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土砂トンネルの切羽安定性評価に基づく地山分類法 に関する研究

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

土砂トンネルの切羽安定性評価に基づく地山分類法 に関する研究

木谷, 日出男

Graduate School of Engineering, Kyushu University

https://doi.org/10.11501/3166597

出版情報:Kyushu University, 1999, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)

第 4 章 地 下 水 浸 透 力 に 着 目 し た 切 羽 自 立 性 評 価 と 浸 透 崩 壊 試 験 法 の 提 案

4.  1 はじめに

砂 質 地 山 で の ト ン ネ ル 切 羽 の 安 定 性 の 評 価 に 関 す る 検 討 と し て , 第 3章 で 過 去 の 研 究 事 例 調 査 と 施 工 事 例 の 統 計 分 析 を 行 い , い く つ か の 重 要 な 関 連 事 項 を 抽 出 す る こ と は で き た が , 一 方 で 実 際 に 計 画 段 階 で 地 山 等 級 区 分 を 行 え る 精 度 の区分指標や区分基準値の設定にはさらに検討を必要とすることが明らかとな った。こ の 問 題 の 解 決 の た め に は , 今 回 収 集 し た 施工データ以ヒの量 と質を 持 った資料の収集による分析精度の向上を図る方法が考えられる。しかしながら,

前 述 の 分 析 結 果 の 問 題 点 に 挙 げ た よ う に , 多 く の 区 分 指 標 と な り 得 る 物 性 条 件 を 切 羽 単 位 で 把 握 す る 必 要 が あ る こ と , 地 山 の 強 度 定 数 を 新 た に 求 め る 必 要 が あること,新たに得たデータとの精度の違し1か ら こ れ ま で の デ ー タ が 同 時 に 検 討 で き な い こ と , 等 か ら さ ら な る 施 工 デ ー タ の 収 集 を 行 っ て も 大 き な 成 果 は 期 待 で き な い 状 況 に あ る と 判 断 さ れ る 。 こ の 他 の 方 法 と し て は , 実 際 の ト ン ネ ル やこれに近い状態、の実地盤での再現実験,モデル実験あるいは数値解析による 方法がある。ただし,これらの方法で検証を行う場合でも着目すべき物性値や 計測項目を予察しておく必要があり,本段階ではこの着目点の抽出が最大の問 題といえる。

本 章 で は , 実 際 の ト ン ネ ル 切 羽 で の 再 現 や 境 界 条 件 の 設 定 が 困 難 な 切 羽 の 流 動化現象を簡易なモデノレ実験で再現することにより,同現象を説明するための 着目点 を 得 る こ と を 目 標 と し て 行 っ た 検 討 結 果 を 示 す。さ ら に , 同 実 験 と 同 じ 試料試験を適用したいくつかの研究事例や実験試料の適用性等を検討したうえ で砂質土を対象とした浸透崩壊試験法を提案する。

4.  2 モデル 実 験 の 目 的 と 方 法 4.  2.  1 モデル実験の目的

砂質地山の切羽安定性のより合理的な評価区分を行うためには,第 3章にも 述べた次の事項が検討すべき点として挙げられる。

①トンネル切羽の状態変化を説明するには, トンネル掘削により切羽に働く不 安 定 化 促 進 要 因 と 地 山 が 本 来 持 つ 抵 抗 性 要 因 の バ ラ ン ス に 着 目 して区 分 す

る必要がある。

②特に, ト ン ネ ル 湧 水 を 伴 う 切 羽 の 流 動 化 は , 通 常 の 切 羽 周 辺 で 得 ら れ る 情 報

6 9  

(3)

のうち,判別分析等の検討か ら「切羽湧水量」 が重要 な 不 安 定 化 要 因 と 考 え られる。

③一方,抵抗性要因に つ い て は 同 分 析 に よ る 検 討 で は 絞り込 み が で き な い 状 況 で あ り , か っ 地 山 の 強 度 指 標 と な り 得 る 物 性 値 を 入 れ た 検 討 が必要と考えら れる。

これらの事項 は 現 象 を モ デ ル 化 す る う え で は , 切 羽 湧 水 を 発 生 させる地下水 の 流 れ を 土 試 料 中 に 実 験 的 に 作 り , 最 終 的 に モ デ ル 切 羽 の 状 態 変 化 に 至 る 過 程 を再現することに相当する。さらに,目的とする切羽の状態変化の境界条件は,

状態変化時点の湧水に伴う浸透力と土試料の物性値の比較検討を系統的に進め ることで求めることができる。

以上のような考え方に基づ き , 本実験 の 目的 は ト ン ネ ル 掘 削 時 に 切 羽 に 発生 す る 地 下 水 の 湧 出 に よ る 浸 透 力 を モ デ ル 化 し , そ の 結 果 と し て 見 ら れ る モ デ ル 切羽の状態変化を発生時の浸透力と各試料の物性値の関係という観点から考察 し,問題とする現象に関与する着 目点を抽出することとした。なお,ここでの 検討事項は砂質地 山 に 特 徴 的 な 切 羽 の 流 動 化 の モ デ ル 化 で あ り , 同 地 山 条 件 で 見られる地下水の関与が小さい場合の切羽崩壊は考えないこととする。

4. 2. 2 既 往 の 研 究

トンネル切羽湧水 は , 後 述 す る よ う に 地 山 中の自然水位と圧力解放状態、にあ るトンネル切羽の聞の圧力水頭差によって生じる地下水流に伴って発生する 。 このような地下水の流れによる地山の破壊,変形は,例えば地下水位の高い地 盤 で の 掘 削 工 事 等 で 従 来 か ら 浸 透 破 壊 の 問 題 と し て 検 討 さ れ , K. 

T e r z a g h i ( 1 9 2 2 ) 1 )

による 限 界 動 水 勾 配 や

J . D .  J u s t i n ( 1 9 2 3 ) 2 )

の限界流速によ り検討され,かっそ の 後 の 研 究 で は こ れ ら の 指 標 に基づく 実験 や 現 象 の 解 釈 が 行われてきたわ。

実験は主に鉛直一次 元 浸 透 モ デ ル で 検 討 さ れ , 問 題 の単純 化 の た め に 粒 度 調 整したそろった粒度分布の試料,標準砂あるいはガラスビーズを試料とする基 礎的な検討がその大半を占める。鉛 直一次元浸透モデルでは, 浸透力が下向き に働く場合は試料の自重応力と同じ方向に作用するため鉛直応 力 は 増 加 し , 逆 の場合には鉛直応 力 は 減 少 す る こ と と な る。一般に試験は後者の条件で行われ,

上向きの浸透 力 と 飽 和 試 料 の重 量の 釣 合 う 条 件 で の 動 水 勾 配 を 限 界 動 水 勾 配 と いい, 次式で表わす。

I c  

h  /  L 

( G s   ‑ 1 )  /  ( 1   + ε )

・・・・・

( 4 . 2 . 1 )

ここ にIcは限界動水勾配 hは 試 料 に か か る 圧 力 水 頭Lは試料の長さ Gs 

70 

(4)

は土粒子の密度, eは 間 隙 比 で あ る 。 限 界 動 水 勾 配 は 試 料 の ボ イ リ ン グ 発 生 条 件の一つの

J

旨 標 と し て 評 価 さ れ る が , 粒 子 聞 の 摩 擦 力 や 粘 着 力 等 は 考 慮 さ れ て いない問題がある。

類 似 の 手 法 を 用 い た 実 地 盤 の 評 価 や 試 験 法 と し て は , 主 に パ イ ピ ン グ の 危 険 度 評 価 を 目 的 と す る 不 撹 乱 試 料 を 用 い た 鉛 直 上 向 き 浸 透 試 験 が 多 く 報 告 さ れ て いる 4)5)6)。こ の う ち 山 口 ほ か

( 1 9 9 4 )

6)は 土 や 岩 の 浸 透 彼 壊 に 関 す る 既 往 の 研 究 を 整 理 し , ダ ム の 基 礎 地 盤 に 関 す る 室 内 浸 透 破 壊 試 験 結 果 か ら 得 ら れ

た限界動水勾配と試料の上質試験結果(間隙比,透水係数, 一軸圧縮強さ,等〉

の 関 係 を 検 討 し た 。 そ の 結 果 , 一 軸 圧 縮 強 さ と 限 界 動 水 勾 配 に 比 較 的 良 い 相 関 があることを報告している。

以 上 の よ う に , 既 往 の 研 究 に 見 ら れ る 試 験 法 は 主 に 鉛 直 上 向 き の 浸 透 モ デ ル による検討である。この場合, 2.  2.  1式 に 示 す よ う に 鉛 直 上 向 き の 浸 透 力 に よ る 粒 子 や 粒 子 で 構 成 さ れ る 上 塊 の 浮 き 上 が り が 浸 透 崩 壊 の 主 な 現 象 と な る 。 こ れに対し, ト ン ネ ル 切 羽 の 近 傍 に 発 生 す る 浸 透 力 は 地 山 か ら 切 羽 に 向 か う 地 下 水 流 に よ る た め , 主 に 水 平 方 向 あ る い は 下 向 き 成 分 の 浸 透 力 を 考 慮 す る 必 要 が あ り , 粒 子 の 浮 き 上 が り 効 果 は 無 視 で き る 程 度 に 小 さ い と 考 え ら れ る 。 既 往 の 研究における水平方向の浸透モデル実験はノミイピング評価を目的として,吉岡 ほか

( 1 9 8 4 )

7)や河野ほか

( 1 9 8 5 )

8)等に よ る 実 験 が あ る が , い ず れ も 小 規 模 な 二 次 元 土 槽 で の 実 験 で あ る 。 こ の よ う に , 既 往 の 研 究 で は ト ン ネ ル 切 羽 近 傍 で発生する水平方向の浸透力による崩壊や流出の検討は行われていない。

4.  2. 3 流 動 化 地 山 の モ デ ル 化 に 関 す る 基 礎 的 検 討

( 1 )地山の 不 安 定 化 促 進 要 因 の 検 討

ト ン ネ ル 切 羽 の 状 態 変 化 は 応 力 解 放 に は じ ま る 現 象 で あ り , 前 章 の 図 3.4.1  に 整 理 し た 物 性 値 の う ち 力 学 指 標 に 関 す る 検 討 が 必 要 と な る 。 こ の 検 討 を 進 め る た め に は , 不 安 定 化 促 進 性 要 因 と し て 挙 げ た 「 地 山 の ゆ る み 」 と 「 地 下 水 の 浸透力の発生」の関係が重要となる。この

2

つ の 要 因 は , 一 般 に ト ン ネ ル 掘 削

に伴って生じる独立した現象として検討されることが多い。しかしながら, ト

ン ネ ル 施 工 区 間 の 地 下 水 位 が 常 に 施 工 基 面 高 さ よ り 十 分 低 い 等 , 地 下 水 の 浸 透 )]に関する問題がまったく無い場合を除き,切羽の安定性を検討する上では両 現象の相互の関連性を考えることが重要である。これを切羽の自立時間という 観点、から検討し,図 4.2.  1に 両 要 因 の 関 連 と そ の 結 果 と し て 生 じ る 切 羽 の 自iム 流出の関係を図示する。

ここに,

I

地 山 の ゆ る み 」 は 掘 削 後 の 切 羽 付 近 で の ゆ る み 領 域 の 形 成 が 進 行 し,時間とともに地山の変形,強度の低下さらにゆるみ荷重の増大をもたらす。

周辺地山の自立性に係わる初期耐力(地山が初生的に持ち,図 3.4.1の地山の 低坑性要因の組み合せで決まる強度〉を図中の

F f o

と す れ ば , 施 工 法 や 地 山 条

71 

(5)

件に起因する地山のゆるみに伴う強度の低下程度により,これが無視できる程 度に小さければ時間に係わりなく一定であり,ゆるみの程度が大きくなるにつ れて曲線 Ffa,Ffbで示すように時間とともに強度の低下が大きくなる。 一方, 地下水浸透力は, 一般 に 掘 削 直 後 に 圧 力 水 頭 勾 配 が 最 も 大 き く 最 大 と な る。そ の初期の切羽周辺地山にかかる浸透力が Ff。を超える場合(浸透条件 J

A )

には

切羽の流出,崩壊が発生し,逆に初期の大きさが地山のゆるみを考慮、しでも卜 分に小さい場合 (Jcで 示 す 浸 透 条 件 ) に は 自 立 , な い し 十 分 な 自 立 時 間 の 佐 保 が可能な状態、となる。ここで,図中 JBの 場 合 は 地 山 の 強 度 と 地 下 水 浸 透 力 の 関係は掘削初期から不安定な状態が発生し,地山のゆるみ程度によっては切羽 の流出に至る(例えば,曲線 Ffbに 沿 っ た ゆ る み の 形 成 を 考 え る と , 曲 線 の 父 点で境界条件を超え流出に至り,その切羽の自立時間はム Tで表せる〉。なお,

地山のゆるみに伴う地下水浸透条件の変化や地下水流に伴う地盤間隙での有効 応 力 の 低 下 等 , こ れ ら の 要 因 に は 強 度 低 下 に つ な が る 相 乗 効 果 や 掘 削 前 の 先 行 変位の発生も考える必要があるが,図には切羽の状態変化を概念的に整理した。

上 述 の 切 羽 周 辺 地 山 の 状 態 変 化 の 概 念 に 基 づ き , 切 羽 の 安 定 性 を 検 討 す る た めには,次のことを知る必要がある。

①地山の自立性に係わる初期強度と崩壊時の強度 (境 界 条 件〉との大小関係,

およびゆるみの進行特性

②切羽周辺に発生する地下水浸透力と①で決まる地山の耐力との大小関係

前 述 の よ う に , 本 論 で 対 象 と す る 土 砂 地 山 は 特 殊 な 地 山 条 件 で あ り , 特 に 切 羽の流動化等,急激な状態変化の有無の判定が重要な要件のーっとなる。この 判定のためには,掘削直後に大きな塑性地圧の発生や変形を生じるなどの重大 な状態変化につながる境界条件を明らかにする必要がある。こ こ に , 上 記 の 整 理より,主な境界条件は,①の初期強度が自立性の権保が可能な耐力に比べて 著しく低い場合や,②の地下水浸透力が地山の耐力を超える場合となる。この うち,通常の条件での山岳トンネル工法による掘削を前提とし, 一般 に そ の 施 工が可能と考えられる程度の強度を有する場合には,図 4.2.  1の モ デ ル 図 に 示 すように,ゆるみ領域の形成に比べて地下水浸透力の不安定促進効果は,切羽

j i i

皮初期にそのピクを持つ点で関与が大きいと考えることができる。逆に,

切羽が進行しない状況を怨定すると,時間の経過とともにトンネルの湧水量は 般 に 漸 減 す る の で , 切 羽 の 安 定 性 は , 地 山 の ゆ る み 現 象 を 無 視 す る 限 り , 時 間経過とともに安全の方向へ向かうことになる。

( 2 )地下水の浸透 力 に 関 す る 検 討

トンネル侃削直後に最大となる浸透力は,実際には次の ような現象と考えら れる。

7 2  

(6)

切 羽 の 状 態 を 決 定 す る 要 因 の 大 小 関 係

B : Tが短時間の場合流出

n T:地山強度がFfb

浸透力 jB 場合の自立時間

c 安定

角立領域}

削 時間 (T)

注 1)J A • J B • Jcはそれぞれ切羽周辺地山に発生する地下水浸透力の 発生条件 (初期条件の大きさの違い〉をモデル化して示す。

2)Ffoは切羽の自立性に係わる地山の初期強度 (耐力), Ffa.  Ffb  はそれぞれ異なるゆるみの進行程度をモデル化して示す。

図4.2.  1切 羽 の 状 態 変 化 モ デ ル 図

トンネル掘削に伴い トンネル周辺の水頭が低下すると, トンネルに向かう 動;.K勾配が形成され,主にトンネル切羽付近への集中湧水 が 発 生 す る。 施 工 中

, トンネルが不透水性の地層を突仮して急、に水頭の高い砂や砂傑層からなる 借水層に入った場合 切 羽 付 近 は 非 常 に 大 き な 動 水 勾 配 下 に 置 か れ る こ と に な り 、 こ の 勾 配 が 地 山 の 抵 抗 性 要 因 か ら 決 ま る 限 界 の 動 水 勾 配 を 超 え る 時 , 切 羽 の安定が損なわれ,湧水による切羽土砂の流出が生じることになる。

切羽湧水量Qは,切羽周辺の動水勾配!, トンネル断面積 A切 羽 周 辺 の 透 水係数kと す れ ば ダ ル シ 一 則 か ら , 次 式 で 求 め ら れ る 。

73 

(7)

Q=A*k*I  (4.2.2) 

通 常 , 地 山 の 透 水 性 を 変 え る よ う な 対 策 を と ら ず , ま た , 前 述 の よ う に 最 も 不 安 定 な 状 況 と な る 煽 削 直 後 を 考 え , 地 山 の ゆ る み は 無 視 で き る と す れ ば , 4.2.2式の右辺では Iの み が 変 数 と な る の で , 切 羽 湧 水 量 は 地 下 水 の 形 成 す る 動 水 勾 配 で 決 ま る 。 こ こ に , 急 激 な 切 羽 の 状 態 変 化 に 至 る 時 点 の 切 羽 湧 水 量 や 動 水 勾 配 が 切 羽 の 安 定 性 を 区 分 す る 境 界 値 と な り , 状 態 変 化 の 発 生 と 未 発 生 の 評価区分はこれらに着目する ことで可能となる 。

( 3 ) 限 界 動 水 勾 配 の 定 義 と 実 験 条 件

限 界 動 水 勾 配 は 砂 質 地 山 の 切 羽 状 態 変 化 の 重 要 な 評 価 項 目 で あ り , か っ 地 下 水条件により連続的に変化する動水勾配に関わる境界条件と位置づけられる。

本 論 で は , 上 記 の よ う な 崩 壊 や 流 出 の 発 生 す る 境 界 条 件 で の 動 水 勾 配 を 限 界 動 水 勾 配 と 定 義 し , 以 降 に 述 べ る モ デ ル 実 験 結 果 や 試 料 実 験 結 果 等 の 検 討 時 に 用 いる。

ここで,前述の 4.2.  1式 で 示 す 限 界 動 水 勾 配 が 土 の 飽 和 重 量 と 鉛 直 上 向 き 浸 透 力 で 決 ま る の に 対 し , 以 降 で 用 い る 限 界 動 水 勾 配 は 土 の 崩 壊 時 の 動 水 勾 配 を 直接求めた値を示す用語とする。よって , 土 試 料 の 流 出 条 件 は 4.2.2式 の 動 水 勾配fと限界動水勾配Icの関係から次式で表わせる。

1>  I c  

・ (4.2.3) 

また,限界動水勾配は地山の抵抗性要因(図 3.4. 1)と し た 地 山 の 諸 物 性 値 で 決 ま り , 地 山 の 本 来 持 つ 浸 透 力 に 対 す る 抵 抗 能 力 の 程 度 を 直 接 表 わ す 強 度 指 標 と 考 え る こ と が で き る 。 し た が っ て , こ の 地 山 の も つ 限 界 動 水 勾 配 を 予 め 求 め,実際の切羽Jli傍に形成される動水 勾 配 と 比 較 検討 す る こ と に よ り 流 動 化 地 山のトンネル切羽の状態を区分できる可能性がある。

と こ ろ で , 地 山 の 限 界 動 水 勾 配 を 求 め る 方 法 に は , 前 項 の 既 往 の 研 究 に 挙 げ た 一 次 元 浸 透 モ デ ル に よ る 試 料 実 験 が 最 も 簡 便 , か っ 一 般 的 な 実 験 手 法 と 考 え られる。ただし,本論の目的であるトンネル切羽の状態区分を再現するために は,鉛直上向きの浸透モデルではなく,初期応力により拘束された地山中で,

垂直な切羽面に向かう浸透力に伴う現象のモ デ ル 化 が 必 要 で あ る。このため,

水 平 一 次 元 浸 透 崩 壊 モ デ ル で の 実 験 方 法 を 検 討 し , 後 述 す る 一 連 の 実 験 装 置 お よび実験子順を開発した。また,基本的な実験条件として,実際のトンネルの 状態を模擬することを考慮し,切羽面側を解放の状態、とする 。

74 

(8)

4.  3 一 次 元 浸 透 崩 壊 モ デ ル 実 験 の 方 法 と 結 果9) 

前節で検討 した基本的な実験条件を考慮、して,水平一次元浸透 崩 壊 モ デ ル で の砂質土 地 盤 試 料 を 用 い た 実 験 を 以 下 の 試 料 お よ び 手 順 で 行 っ た。

4. 3.  1 実 験 に 用 い た 試 料

( 1 )試 料 採 取 地 の 地 質 条 件

実験試料の選定に当たっては, 実地 盤 試 料 を 用 い た実験 を 前 提 と し て , 不 撹 乱状態での実験を重要 な 検 討事項のーっ と し た。このため,後述する三重管ボ ーリングコ ア 試 料 を 用 い る こ と と し , 東 京 都 国 分寺市 に 位置する (財〉鉄 道 総 口技術研究所敷地内でボーリングに よ る 試 料 採 取 を 行 っ た。採 取 地 は 多j挙川流 域の青梅, 立川 , 府 中 か ら 調 布 付 近 に 分 布 す る立川 段 丘面に 分 布 し , 比 較 的 均 質な黄褐色の立川 ロ ー ム と 平 均 傑 径

1 0 c r n

程度 の円礁を主体 と す る 立 川 磯層が 表層を形成する。今回の主な実験 試 料 は , こ の 地 域 の基盤 を な す 上 総層群 で あ る。上総層群は一般 に 浅 海 成 な い し 汽 水 成 の 砂質土,粘性土からなる主に第四 紀洪積世の地層である 10)

図4.3.  1に 試 料 採 取 の た め に 掘 削 し た ボ ー リ ン グ 位置周 辺 の 地質状 況 を,同 ボーリングとその他の 目的 で 侃 削 さ れ た ボ ー リ ン グ デ ー タ か ら笠理,図化する 。 地質断面と凡例に見られるように, 当該 地点の 地質は前述の

L r n

T c ‑ g

で示す立 川ロームおよび段丘傑層と,その下位に上総層 群の砂質上を主体 と す る 堆 積 物 が分布する。また,地下水条件はほぼ

G L ‑ I O r n

付 近 に 地 下 水 面 を 形 成 す る こ と が 確認され, 今回 の 対 象 と す る 砂質土層は 飽 和 帯 水層 となっている。図 中 の ほ ぼ 50 m間隔で開削された 3本 の ボ ー リ ン グ で 行 わ れ た 標 準貫入試験による N値, 横 方 向 載 荷 試 験 に よ る 弾 性 係 数 , 変 形 係 数 , お よ び 弾 性 波 速 度 と 地層の 関 係 を 表4.3.  1に整理する。

( 2 )不撹乱試料(ボーリング試料〉

ボー リング長は L=50 mである。こ の う ち , 砂 質 土 部 分 約 21mを ト リ プ ル チ ューブサンドサンプラーによって不撹乱状態で採取した。こ の サ ン プ ラ ー の 構 造は, 先端 に メ タ ル ク ラ ウ ン を 装着 した外径ゆ

l O O r n r n

の外管, 内 径

7 7 r n r n

の中 管(ステンレス製〉お よ び 内 径

7 0 r n r n

の 内 管 (ア ク リ ル 樹 脂 製〉からなり,外管 のみを回転 さ せ な が ら 地 盤 に 押 し 込 む よ う に し て 内管に 試 料 を 送 り 込 む も の で ある (図 4.3.2)。なお,内管に は 通 常 は 塩 ビ、パ イ プ が 使 わ れ る が , 内管に収 納した ま ま の 状 態 で 実 験 試 料 と す る 必 要 が あ る こ と , 試 料 の 擾 乱 状 態 を 目 視 観 察で、きること,お よ び 実 験 時 に 試 料 の 状 態 を 観 察 で き る こ と か ら ア ク リ ル管(内 径70mm,外径

7 6 r n r n )

を用いた。

採取予定深度は事前 に 近 接 位置で実施 し た ボ ー リ ン グ 結 果 か ら 決 定 し た。ま

75 

(9)

14. 3.  1 鉄 道 総 研 構 内 の サ ン プ リ ン

深度(m)

\_~':)V.- N

Lm  深度(m)

I ‑‑‑I::;;7."If4γ23T40ー「3

‑10 l  0=26 

E=275  b::~::I 10

0=27  E=556 

K‑S1 

1 1

  1  1 

0=75 

ljM 

‑20

f>[H]  ~=;~4 20

E=1012 

‑.J  ~.......札1-l 日 K‑S2 

0=252

C

E=624 

alt1 

│ 

凡 例

S3  K‑slt1  1::::::::1'  K‑Pt  横方向載荷試験結果

│ιd 0=

試験位置

‑40 ̲j  I:::::tjl  I I 十斗

K‑S4  0:変形係数 MPa 

E==798 

E:弾性係数 MPa 

t │  

柱状図

δo̲̲j 

h d L o l

円‑

一 一

p

~ 0==292 

l h

シ ル 卜 出 入

。:細磯混入

K‑S5  E=1260 

‑60 

(10)

表 4.3.  1 鉄 道 総 研 権 内 サ ン プ リン グ 位 置 の 地 質 層 序 お よ び 物 性 偵 総 指 表

地層区分 記 号 分布深度 概略N 変形係数 地山弾性j皮速度 相対的な

GL MPa  VP  m/sec  固結度1

立川ローム Lm  0......  2  ローム (茶褐色) 290  立川磯層 T c ‑9  2 ~10 玉石混じり砂磯(暗黄褐色):砂岩,チャー ,頁岩等 50以 上 830 

の円~亜円磯主体,機径 20~80, 最大 150mm 以上

KS1  10......21  細粒砂 (茶褐 黄褐色):比較的均質な非111粒砂で下位に 30......50  26......75  830  L¥ 

向かつて締まった状態に変化

K‑S2  21~30 細粒砂 (黄褐 灰褐色):全体にえ111粒分含有率が高く, 50/8......12cm  252  1920  上位層との境界は漸移(整合)

..J 

..J 

alt1  30......34  シ ル 卜 混 じ り 細 粒 砂 砂 質 シ ル ト (淡青 灰 淡 緑 灰 50/15......12cm  1920  高い 色) :回結程度が高く棒状コアで採取

上総層群 K‑S3  34付近 細磯混り中粒砂 (暗黄褐色)・連続性なく l孔のみ確認 50/12'""'13cm  1920  高い KPt  35付近 有機質土 (黒灰色) :泥化が進み, K‑S3に伴う 47  1920  中程度 slt1  34......36  シルト (L青灰 手L緑灰色):111粒砂混りシル,サン 1920  高い

ドパイプ,貝殻片を伴い固結j支が高く棒状コアで探取

KS4  36'""'49 シルト岩片;昆り中 細粒砂 (黄褐 暗灰褐色) シルト 50/8......16cm  297  1920  高い 岩片,貝 殻)1ーを伴い不均質な砂層

Kslt2  44付近 シル卜 シルト混り細粒砂 (青灰 乳灰色):述続性の 50/15......18cm  1920  高い 乏しい回結シノレ

KS5  49以深 礁混り中粒砂 (暗灰褐色) : tll粒砂,先IOr撲の混入する不 50/6......8cm  292  1920  高い 均質な来1Il~中粒砂層 知!礁の!深径は 20~3 (J mm

1)固結度は調査位置での相対的な程度を示す。

(11)

h7

J

m

hJJ 

HU

1JI 

J η 1  

11Jm

/

m M

mM

du

T

J

' e

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I

1 i d m

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1

11

11

j'

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ω.1.1

1f

h呂づ川市引引い炉停呂管管川一管

1 1 F :

o

J 1

1k

l h

# J Z f j

タホジヘヘ

y p

q

H

U4

1i

nJ

L 1 i η L η J

d

U F O η l O Q u

t i 1 i

サ ン ド サ ン プ ラーの 概 要

100  76

70 

ステンレス製 中 L=980 

68. 9 

69. 5  69. 8 

内 管 先端部の構 造

4 . 3 .  2

トリプルサンドサンプラーの 構 造

78 

(12)

図 4.3.3アクリル管内の砂質土サンプルの状態、

図4.3.  4密 度 調 整 試 料 の 作 成 状 況

7 9  

調整試案は姑失 ケ ー ス ①ー /

Bz u  U c =   7 

Dr .80  '

(13)

y 試 料 の 乱 れ を 最 小 限 に す る た め に 泥 水 の 管 理 , 送 水 圧 , 侃 削 速 度 の 調 整 , 外 管 先 端 部 の 調 節 等 の 試 験 施 工 を 行 っ た う え で , 計 画 区 間 で の 採 取 を 行 っ た。

こ れ ら の 試 料 は , 採 取 時 に 内 管 と し て 使 用 し た ア ク リ ル 円 筒 (内径

7 0 m m )

3 0

.....

1 0 0 c m

の長さで収納し(図

4 . 3 . 3

左),試料両端を十分なパラフィンでキャ ッピングした状態、で実験まで保存した。実験に当たっては直前にコア壁面の目 視観察により,僚の移動や壁面に浸食(掘削時の粒子移動や水流の跡〉がなく,

できるだけ俸状試料の中間部付近の乱れの少ない箇所を選別して,約

1 5 c m

の 長 さに切断して供試体とした(図

4 . 3 . 3

右 〉 。 切 断 は ア ク リ ル 管 の 強 度 や 試 料 の 乱 れ を 最 小 限 と す る 必 要 性 か ら 砥 石 使 用 高 速 切 断 機 で一気 に 切 断 す る 方 法 を 採 用した。この方法は,切断速度を一定 と す る よ う に 手 元 で 調 整 す れ ば , 試 料 の 乱れは目視状態、ではほとんど認められず,またアクリル管の切断面も凹凸がな い状態であった。な お , 土 質 試 料 の 切 断 面 に , 非 常 に 薄 く 切 断 時 に 発 生 す る 熱 に よ る 焼 結 皮 膜 を 形 成 す る が , 実 験 で は ほ と ん ど 影 響 な い も の で あ っ た。

後述する粒度分析等の上質試験は,不撹乱試料では実験後に試料を回収し,

これを乾燥させた状態で試料とした。

( 3 )調整試料

不 撹 乱 試 料 と し て 実 験 を 行 っ た 試 料 と 残 っ た コ ア サ ン プ ル , さ ら に ほ ぼ 同 じ 時 代 や 環 境 の 堆 積 物 で あ り 構 成 粒 子 の 状 況 が 類 似 し た 上 総 層 群 稲 城 層 の 砂 質 上 を混合し)

2 . 0 0

, 

0 . 8 5

, 

0 . 4 2 5

, 

0 . 2 5 0

, 

0 . 1 0 6

, 

0 . 0 7 4 m m

の6フルイで 7種 類 の 粒度範囲の試料を作成した。さらに,後述する

1 0

種類の粒皮配合試料を作成し,

各試料の最大,最小密度を求めた。さらに, 目標本目対密度を設定ししたうえで 長さ

1 5 . 4 c m

の ア ク リ ル 管 ( 不 撹 乱 試 料 の 内 管 と 同 じ〉で 密 度 を 調 整 し て 供 試 体 とした。な お , 以 降 で は 不 撹 乱 試 料 お よ び 調 整 試 料 に つ い て , 実 験 対 象 と す る 砂 質 土 試 料 を 試 料 と い い , ア ク リ ル 管 に 砂 質 土 を 充 填 し た 状 態、の も の を 供 試 体

と呼ぶ。

密 度 の 調 整 は , 容 器 の 容 積 と 計 画 乾 燥 密 度 か ら 必 要 な 試 料 乾 燥 重 量 を 計 算 し たうえで秤量し,最適含水比に近い状態、で湿潤,撹持のうえ, 8等 分 す る よ う に 印を付けたアクリル容器に,やはり 8等 分 し た 試 料 を 1層 づ っ 突 き 固 め を 行 う 方法とした。な お , こ の 作 業 は 図

4 . 3 . 4

に示 す 鉄 製 の 台 座 に ア グ リ ル 管 を セ ッ トし,さらに 6層 め 以 降 の 突 き 固 め 時 に は カ ラ ーを付Aけ て 作 業 を お こ な い , 突 き 固 め 終 了 後 , 供 試 体 上 面 を 平 ら に 整 形 し て 試 料 長 を 測 定 す る , あ る い は 余 分 が出た場合は容器上面で余分な試料を取り, こ の 試 料 を 乾 燥 さ せ て 秤 量 す る 方 法で各供試体ごとの乾燥密度を求めた。

(  4 

)土質試験の項目

不 撹 乱 試 料 , 調 整 試 料 と も に , 検 討 項 目 と し た 物 性 値 は 以 下 に 挙 げ る 項 目 で ある。

8 0  

(14)

①粒度分布(均等係数,細粒分含有率,

D 1 0

, 

D 3 0

, 

D 6 0 ) 

②乾燥密度

①最大・ 最小 密 度 (相対 密 度)

測定方法は J1 Sに 規 定 さ れ た 方 法 に よ る 11)。このうち,最大・最小密度お よびその結果求められる相対密度は密度や間隙比の条件に関わる砂質土の締り 程度の指標と し て 求 め た 。 ま た , 相 対 密 度 は 第 3章で 既 往 の 研 究 で も 評 価 指 標

としてあげた物性値である。 不 償 乱 試料 で は 試 験 後 の 回 収 し た 試 料 の 乾 燥 重主, 最大 ・ 最 小 密 度 を 各 試 料 ご と に 求 め る 方 法 で (4.3.  1式), ま た , 調 整 試 料 で は 計 画 乾 燥 密 度 を 設 定 し た 相 対 密 度 か ら 逆 算 す る 方 法 で 決 定 し た。

Dr= 

m ax‑ 1/ρm in  /ρd 

emax‑emin  1/ρm in  ‑1 /ρm a x 

ρmax (ρd ρm in )  ρd (ρmax‑ρm in ) 

ここに Dr 相 対 密 度

e

間隙比,

P

d :乾 燥 密 度,

emax 最小 密 度 試 験 に よ る 試 料 の 問 隙 比 emin 最 大 密 度 試 験 に よ る 試 料 の 間 隙 比 ρmax 最 大 密 度 試 験 に よ る 試 料 の 乾 燥 密 度 ρm :最 小 密 度 試 験 に よ る 試 料 の 乾 燥 密 度

4.  3.  2  実 験 装 置 と 実 験 手 順

( 4 . 3 . 1 ) 

本実験に関す る 装 置 の 概 要 と , 基 本 的 な 実 験 手 順 を 以 下 に 示 す。

( 1 )実験装置

供試体の装着部 と 加 圧 水 供 給 部 を 含 む 実 験 装置系 統 図 お よ び 装 置 写 真 を 図 4

3 .   5

, 4. 

3 .   6

に,また,イ共試体の装着部の構造を図 4.

3 .   7

, 4. 

3 .   8

に示す。 装 置は次の条件 を 検 討 の う え 独 自 に 開 発 し た。

①崩壊 時 等 の 試 料 の 挙 動を 目 視 観 察 で き る よ う に , 装 置 は 透 明 の ア ク リ ル 樹 脂製とし,さらに供試体の外径を考慮、して装置の内径を決定した。

②モ デ ル 化 に あ た り , 前 述 の よ う に 切 羽 前 方 か ら 浸 透 力 を 負 荷 す る ト ン ネ ル 切 制面を怨定し,装置は水平方向に試料をセットした状態、で加圧する構造とし

③未固結砂質

t

の一般的な強度と実験装置の!怪装化を考慮し,負ィ苛する水圧は 最大

O . 3 M P a

とし,加圧コック側でこれに耐える構造とした。

8 1  

(15)

エアーコンプレッサ 供給圧力 10kgf/cm2

︒ 一 一

供給水槽

⑪ ⑫  

主な系統中の部品仕機

①一次調整弁 10kgf/cm2

②一次圧力計 101f/cm2

③調整弁 2kgf/cm

④調整弁 4kgf/cm

⑤三方弁 調整弁選択用

⑥ 力 プ ラ ‑ 精密圧力計接続用

⑦圧力計 5kgf/cm

⑧三方弁 空圧供給用

ウォータートラップ

⑬給水弁

⑪,⑫脱気水供給弁

⑬真空供給弁 (バルーン内用)

⑬真空供給弁 (水槽側用)

⑮脱気水槽 (バルーン式 20L)

真空ポンプ

[XJ  浸透崩犠実験装置

4 . 3 . 5

実 験 装 置 の 系 統 図

(A)加圧水供給部 (B)試験試料装着部および計測装置

7.1<圧制御パネル,②脱気圧力水供給水槽,③真空ポンプ

④精密水圧計,⑤浸透崩壊試験器,⑥流量測定メスシリンダ

4 . 3 . 6

実 験 装 置 の 構 成 82 

(16)

シリンダ

試料前面固定押え板 (アルミ根崎賞コ:ム〉

カラスビーズ

500mm  Ic= CHQ‑Hl) /

ここに I:限 界 動 水 勾 配

HQ  浸 透 崩 壊 時 の 負 荷 水 頭 Hl 試 料 切 羽 面 (解 放 面)水 頭

L  試 料 長

4 . 3 . 7

実 験 試 料 の 装 着 部 の 構 造

4 . 3 . 8

実 験 試 料 の 装 着 状 況

8 3  

HO 

(17)

( 2 )供試体のセット

砂質土試料はアクリル管に詰めた状態、では低圧で試料の破壊を作わず,管の 内壁に沿って押し出される。また,この境界部や供試体の上下端が弱部となる 可能性があることから,以下の手順でできるだけ弱部を作らない で 固 定 す る 方 法を検討した。

a 供試体下端側の端部処理

供 試 体 下 端 側 ( 加 圧 時 の 圧 力 水 受 圧 側 面 〉 に は 油 粘 土 を 試 料 と 試 料 保 護 管 の 管培との境界部を埋める ように盛りつけ, さ ら に 管 外 側 に ゴ ム バ ン ドを装着 し た後,装置固定部にメッシュを張ったシリコンゴムフィルターを置き,これに 押しつけるように供試体を挿入,セットした。この結果,保護管外壁と試験器 内壁との隙聞は, シリコンゴムバンドと油粘土で密閉された状態、が得られた。

なお,試料の押し込み時には,加圧バルブを開放し,かっ加圧ノ

k

の チ ャ ン バ ー となるガラスビーズ充填箇所は水を抜いた状態とし,セット時の試料への水圧 や空気圧の負荷が生じないようにした。

b.試料上端側の端部処理

試 料 上 端 側 ( 流 出 側 の 切 羽 に 相 当 〉 も 上 記 同 線 に 油 粘 土 を 盛 り つ け , そ の 上 に同径の硬質ゴムを両面に張った中空 の ア ル ミ 円 板 を 載 せ , 装 置 の 片 側 を 被 せ た状態で押しつけた。このアルミ円板は,前述のように砂質上試料とアクリル 保護管の壁面での低い摩擦力による移動を押さえるために用いた。この結果,

水圧により試料にかかる応力は,アルミ円板の内径円空部での試料の英断抵抗 としてかかることとなる。

以上の作業を終えた後,各境界箇所に,顕著な弱部が無いことを確認する。

( 3 )初期状態の設定

浸透崩壊実験に先立ち,試料の初期状態として飽和状態にする必要がある。

その方法として,先ず供試体のセット後,加圧水注水口から空気ができるだけ 残らないように水を徐々に加え,満水となった時点で加圧装置をつなぎ¥低水 で水を送る。この際に試験装置は立てた状態とし,負荷水圧は試料上面から lOcm程 度 の 水 位 と な る よ う に セ ッ ト す る 。 こ の 状 態 で 試 料 上 面 よ り 水 位 が l...̲ 2cm 高くなるまで放置して初期状態とした。

(  4 

)浸透崩壊実験

水圧の制御は 加 圧 装 置 に つ な い だ 精 密 圧 力 計 (ブルドン管〉を モ ニ タ ー と し 一行い.加圧ステップ O.0025MPaを 基 本 と し て 段 階 的 に 加 圧 し た。なお,各加 圧状態ごとに流出水量が 測 定 可 能 な 状 態 と な っ た 以 降 は , 流量をメスシリン夕、、

「受け測定を行った。また,試料の状態変化については目視で観察するととも にスケッチ, ビデオ録画を行い,試料の崩壊形態等を記録した。

8 4  

(18)

( 5 )崩 壊 の 定 義 と 崩 壊 水 圧 の 算 出

試料の崩壊については,切 羽 表層部の小規撲な流出,抜け落ちから始まり,

最終的に試料全体の崩壊,流 出 に い た る。今 回 の実験 の 目 的 は 切 羽 の 状 態 変 化 とその変化に関与す る 条 件 の 抱 握 で あ る こ と か ら , 初 期 の 試 料 表層の 小 流 出 は 試料セ ット時の影響が 大 き い と 判 断 し , 試 料 全 体 の 崩 壊 発生時 を 浸 透 崩 壊 と 定 義し,その時点での負荷 水 圧 を 崩 壊 水 圧 と し た。さ ら に , こ の 崩 壊 水 圧 と 試 料 長から

4 . 3 . 2

式 で 限 界 動 水 勾 配 を算出 し た 。 な お , 崩 壊 の 形 態 に は 急 激 な 流 増加 を 伴 う パ イ ピ ン グ 現 象 の 発 生 と , 試 料 全 体 の 連 続 的 な 流 動 を 特 徴 と す る 塑 性変形の発生する場合とがある。

I c 

== 

( H o  ‑ H

1)/ 

・・・

( 4 . 3 . 2 ) 

ここにIcは 限 界 動 水 勾 配H。は 浸 透 崩 壊 時 の負荷 水 頑, H1は 試 料 切 羽 而 水頭

L

は試料長である。

4. 3. 3 実 験 結 果 と 考 察

実験は不撹乱状態を確認した

2 0

試 料 と , 粒 度 配 合 お よ び 密 度 を 調 整 し た

2 8

試 料を用いて行った。実験結果を実験試料の種別ごとに整理し, 主に実験 結 果 と

して得ら れ た 限 界 動 水 勾 配 と 試 料 の 物 性 値 と の 関 係 と い う 点 か ら 考 察 す る。

( 1 )地 盤 構 造 と 不 撹 乱 試 料 に よ る 限 界 動 水 勾 配 の 関 係

各実験試料の土質試験および 浸 透 崩 壊 実 験 結 果 と し て 得 た 限 界 動 水 勾 配 を , 前述の図 4.3. 1に示す周辺地盤 の地層 記 号 , お よ び 深 度 と と も に 表 4.3. 2に示 す。な お , 表 中 で 限 界 動 水 勾 配 が 未 記 入 と な っ て い る K‑S2に つ い て は 実 験 装

置の能力以上の負荷水圧に至ったこと に よ る 欠 測 で あ る。

以降の検討は約

1 0 0 m

の 離 隔 距 離 は あ る も の の , ほ ぼ 同一層で あ る こ と を 前 提 に両ボーリング孔での調査や実 験 結 果 に 基 づ き 進 め る こ と と し た。

a.対象地盤の特徴

両ボーリンク、、子しから知られる主な 地 盤物性 は 前 述 の 表4.3. 1に整理されるが,

このうち, N値,横方向載ィ苛試験による弾性係数,変形係数およびP波 速 度 は 地盤の主に 強 度 特 性 を 知 る う え で重要 で あ る。こ の 点 を 整 理 す る と , 対 象 地 盤 は表層に近い

K s l

を 除 い て 概 ね

N

5 0

以 上 の 締 ま っ た 砂 層 で あ り ,変 形係数, 弾性係数および P波 速 度 は

2 5 0

..

3 0 0 M P a

6 0 0 " ' " ' 1 2 0 0 M P a

お よ び

2 k m / s

程 度 と 未 固結砂層と し て は 地 盤 強 度 の 高 い 地 層 で あ る こ と が わ か る。

当然 な が ら , こ れ ら の 強 度 指 標 は 概 ね 砂 質 土 層 の 深 度 に 伴 っ て 大 き く なる傾 向を示し , 同 様 な 傾 向 は 土 質 試 験 結 果 の 中 で は 相 対 密 度 に 認 め ら れ る 。 強 度 指

8 5 

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