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今後の公共図書館のあり方:

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司書課程履修生の学びの記録

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 国際成人力調査が 24 か国で確率抽出法を用いて実施され、その結果が『成人スキルの国 際比較 OECD 国際成人力調査(PIAAC)報告書』として公刊された。私はこれを読んで、

今後の公共図書館サービスのあり方の一つとしてデジタル・デバイドを解消することが挙げ られると思う。

 この調査の内容は、各国の 16 歳から 65 歳以下の人々の読解力(リテラシー)、数的思考 力(ニューメラシー)、IT を活用した問題解決能力、及び背景調査である。そして、その結 果から、日本は読解力と数的思考能力に関しては全体として非常に高いことがわかった。し かし、一方 IT を活用した問題解決能力に関しては、全体的には高い水準にあるとはいえず(表 1)、また 55 〜 65 歳の IT 使用が他国と比較すると低い(表 2)1)。このことから、高齢者 層を中心にしたデジタル・デバイドの可能性があり、またそれへの適切な対応が求められて いるといえよう。

 実際、私が普段利用している西東京市ひばりが丘図書館などでは、若年層の利用者が検索 用のパソコンを使用する姿をよく見かけるが、高齢者がそのパソコンを使っている姿は滅多 に見かけない。高齢者の多くは、むしろ直接カウンターで利用したい図書を尋ねている。そ のため、カウンターにはそのような目的の高齢者と貸出しの利用者とで列ができている状況 である。もし高齢者でも検索用のパソコンが利用できるなら、そのような待ち行列も解消さ れるのではないだろうか。

 それに公共図書館ではインターネットを自由に使えるパソコンの設置も少ない。しかし現 在ではさまざまな生活情報を入手するのにも、インターネット検索は不可欠である。IT が 発達した時代の中、情報を取得する手段としてパソコンが果たしている役割は以前と比較に ならない。今後その役割はますます大きくなっていくだろう。その流れにおいては、印刷体 の図書だけを取り扱っているひばりヶ丘図書館のような図書館がコミュニティ・ニーズに対 応できなくなる可能性があるように思える。図書館も印刷体の図書以外の情報もとりこみ幅

今後の公共図書館のあり方:

OECD国際成人力調査(PIAAC)報告書を読んで

「図書館サービス特論」レポート

 青野 径歩(文学研究科史学専攻)

表1 16 〜 65 歳の成人 IT を活用した問題解決能力の

習熟度レベル別分布 表 2 仕事及び仕事外における ICT

 (パソコン)使用状況

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を広げなければならないし、デジタル・デバイド解消に向けた利用者支援のサービスを提供 する必要がある。

 少し調べてみたところ、このデジタル・デバイド解消に向けた図書館サービスの試みが、

これまでなかったわけではないようだ。『インターネット時代の公共図書館 2001:ハイブ リット図書館の確立に向けて』では、

・京都府立図書館では、当館独自の貴重書データベースを高精細で閲覧できる機器 3 台のほかに、CD-ROM 閲覧端末を 12 台、インターネット情報閲覧端末を 10 台配 置し、外部有料データベース閲覧端末(2 台)も課金システムを開発することで配置 可能とした。(p65.)

・秋田県立図書館の施策として、① CD-ROM とホームページリンク集による主題別 情報端末の作成、②レファレンス DB と新聞記事索引 DB のホームページでの提供(IT 講習会端末の活用)、③専門情報機関との連携、④地域潜在文化の収集発信、⑤他の 情報機関所蔵資料の電子化を紹介する。(p68.)

・市川市中央図書館では、新コンピューターシステムによるサービスとして、①図書 館の蔵書情報のインターネットへの公開、②レファレンスへの活用、③来館した利用 者がインターネットを使える環境、④新聞記事検索サービスを挙げている。(p72.)

・本の森厚岸情報館では「幅広い情報提供」を基本理念として、①電子資料の提供、

②コンピューター実習室の利用、③ホームページの開設と e レファレンスのサービス を挙げている。(p74.)

といった事例が掲載されている2)。そのように、2001 年の段階で新しいサービスがいくつ も考案されていたのである。しかしこれらの試みはその後広く普及しなかったようで、今で も、インターネットを自由に使えるという公共図書館は少ない。

 PIAAC の報告書が示唆しているのは、人々への IT スキルの支援がわが国では十分では なかったという点である。改めて、デジタル・デバイドの解消につなげるよう公共図書館に おけるインターネットを自由に使えるような環境整備や、パソコンを利用した講習会実施の 必要性があるように思う。公共図書館での IT のサービスは、パソコンスクールの講習会な どとは異なり、だれでもが、無料で、普段通いなれている場所で行えるという大きなメリッ トがある。そして、電子図書をはじめとする種々の電子資料やインターネットなど様々な情 報の取得方法を高齢者に少しずつ示すことがデジタル・デバイド解消において大切なことだ と思う。

1 )

国立教育政策研究所編『成人スキルの国際比較 OECD 国際成人力調査(PIAAC)報告書』明 石書店,2013,p.123,129.

  表 1 は、TableA.210a、表 2 は TableA4.10。表 2 については、仕事及び仕事外での ICT の使 用頻度に関する背景調査の回答をもとに、項目反応理論を用いて推計し、平均値 2、標準偏差 1 の 分布に従うよう変換した数値である。各用途の ICT 使用頻度に関する回答に基づいて算出している。

2)

丸山修、小磯勝人編『インターネット時代の公共図書館 2001:ハイブリット図書館の確立に向け て』朝日メディアインターナショナル,2001.

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参照

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