に軍事力・経済力が欠如した外交の影は薄い。軍事力・抑止力があってこ そ,初めて相手が交渉のテーブルに着くのである。日本外交の貧困さは周 知の通りだ。外務省には優秀な人材も少なくはない。しかし政界には外 交・安全保障を担当し得る政治家が圧倒的に少ないのである。このような 国家は,先進国では日本を置いてない。何故か。戦後の日本外交の基本は アメリカが定めたし,平和な暮らしに慣れてきた日本人は安全保障を真剣 に考える必要がなかった。政治家も同様である。加えて外交・安全保障で は選挙で票にならない。防衛大臣の人材で苦しんだ民主党政権は,政権末 期には政界外部の専門家に防衛大臣就任を請い願わなければならなかった。 これこそ憂うべき「日本の情景」である。 外交・防衛分野において優秀な政治家を育成することは緊急の課題であ る。外交・安全保障に明るい首相・外相・防衛相がトップにいてこそ,外 務・防衛官僚・自衛隊は初めて潤滑に動く。道路政治家,原発崇拝政治家, 年金医療政治家,農協政治家,郵便局政治家,労組政治家は叩き売りにか けても余りあるほど山をなしている。現在わが国が切に必要としているの は,先見性と説得力がある数多くの外交・安全保障担当政治家である。そ れは国家の死活に関わる問題であるからだ。 筆者の白昼夢の中で,オバマ大統領と対峙する習近平国家主席は「国際 秩序の変容」について熱を入れて語った。「21世紀は中国の時代になる」 と。習近平はオバマを正面から見据えて低い声で,しかも力強く英語で叫 んだ。Change! Yes, we can.
中華帝国のトロイメライ : 21世紀における国際秩序の変容
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