修士論文要旨 「製造業における環境戦略 と企業の競争優位性 との関係
」
153製造業における環境戦略 と企業の競争優位性 との関係
Co mp e t i t i v eAd va n t a g e sa n dEn v i r o n me n t a lSt r a t e g yf o rMa nu f a c t u r l ng
神 奈川大学大学 院 経営学研 究科 国際経営専攻 博士前期課程
荒 井 勝 義
要 旨
本研 究 で は、環境保全 と企業 戦略 の組 み合 わせ が今後 の企業経営 にお いて、市場 にお け る企業 の 競争優位性 を獲得 し、確 固た る地位 を築 くこ とが 可能 であ るのか につ いて検証 を行 った。 その 中で も特 に、製造業 の製 品が市場 において競 争優位性 を獲得す る こ とと、企業 の環境対 策 との間 にはな ん らかのかか わ りが あ るのか につ いて焦点 を当て た。
本論 文 で は次 の2点 の仮 説 を立 て、 その検 証 を 試 み た。 まず 、 ポー ター
( Po t e r ,M. E. )
のい う競 争優位戦略 の理論 を用 い、環境対策が この戦略理 論 と適合 し、企業が市場 での競 争優位 を獲得 で き る と仮定 し、その検 証 を行 った。次 に、製造業 に おけ る品質向上 の ための プロセスが環境対策 を推 進 させ てい くプロセス において、何 らかの関連 が あ る と仮 定 し、その検証 を行 った。 その検証 の結 果、次 の2点 の結論 に結 びつい た。①
環境対 策 において も、ポー ターのい う競 争優 位 戦 略 の理 論 に当 て はめ る こ とが 可 能 で あ る。広 範 囲かつ複 雑 な環境 問題対 策 を3つ の 戦略 にそれぞれ分 け、有効 な対 策 とす るため の過程 と して、 ポー ターの理論 が応用可能で あ る こ との提示 を試 み た。戦略 をコス トリー ダー シ ップ、差 別化 、集 中、の観点 か ら分析 し、競 争優位性 を獲得 す る こ とにつ いて説 明 を行 った。本研 究 におけ る環境対応 を企業 の 環境 戦略 と して策定、実行 す る上 で も、本論 文 で述べ たの と同様 の手法 、プ ロセス に よ り、競争優位 を獲得 す る こ とが可 能であ る と考 え る。製造業 におい て も環境対 策 を戦略 の一つ と して策定 し、実行 す る こ とに よ り、企 業 は 市場 において競 争優位 を獲得 す る こ とが可能
となる ことを提 示 した。
② 品質 向上 の ための プロセス と、環境 問題対 策 にお けるプロセスには共通項が多 くあ る。 こ の共通 の プ ロセ ス を環境対 策 に関連 させ て 、 その アプローチの手法 を提示 した。 品質管理 の概念 が新 しいパ ラ ダイムに よって変革 した ように、環境対策管理 において も、環境対策 には コス トがかか る とい った概 念 か らの脱却 が必 要 になって くる。
この2点 の結論 を導 き出す ため に、本論文 は以 下 の構成 を行 った。
第1章 で は本論 文 の 目的 と構 成 と して、次 の よ うな考察 を行 った。地球環境 問題 に対 し、地球サ ミッ トでの共通認識 をは じめ、国際的 には どの よ うに認識 されているのか を明 らか に した。 そ して その間題 を解 決す るため に これ までの企業 に よる 環境対策 の取 り組 み方や、経 営学 の分野 において は どの ような研 究が行 われ、議論 が交 わ されてい るのか をまとめた。
第2章 で は企業 にお け る地球環境 保全 の取 り組 みの変化 と して、次 の ような考察 を行 った。企業 、 特 に製造業 において環境 問題‑ の対 策が どの よう
に と られてい るのか につ いて、現状 を認識す るた めの説 明 を行 った。 そ して どの ようなプロセス を 経 て、現状 の取 り組 みが行 われ る ようにな って き てい るのか につ いて考察 した。
第3章 で は製造業 にお ける環境 問題 と競 争優位 性 との関係 と して、次 の ような議論 を行 った。 ポ ー ターの競争戟略 を取 り上 げ、環境対策 にお ける 競 争 優 位 性 と競 争 戦 略 が どの よ うに影 響 を及 ぼ し、競 争優位 を得 る こ とが可 能であ るのか を考察 した。 また環境管理対策 にお けるプ ロセス改善 に 品質管理 の プ ロセス との関連 がみ られたので、品 質管理 で行 った手法 、考 え方 が環境対策 プ ロセス で も通用 す るのか どうか を議論 した。
第4章 で は戦 略 に よる競争 と外 部評価 によ る競
154 研究年報 第7号
争優位の獲得 として、以下 に示す項 目に焦点 をあ て、議論 を行 った。 「戦略 に よる競争」 の中で差 別化 に焦点 をあて、実際 に製造業が どの ような環 境対策戦略 を実行すれば、競争優位性の獲得 につ なが るのかについて議論 した。 さらに市場おいて 競争優位 を獲得 した企業 に対す る環境格付 け、企 業評価 は どの ように行 われ、 また どの ような影響 を与 えるのか について も考察 した。 その中で も、
競争優位 と環境格付 け との関係 によ り、企業が得 た競争優位性 にどの ように影響、変化がみ られる のか について焦点 をあてた。
第5章ではまとめ と今後の課題 として次の よう に議論 をまとめた。本研究 におけるまとめ を述べ るとともに、環境 問題、環境経営、製造業 におけ る今後の課題 をあげた。本研究 においてその 目的 である、製造業が市場 において優位性 を獲得す る ために目指すべ き戦略 を提示 し、企業の環境対策 が競争優位性 の獲得 に有効 となるのか をまとめて みた。環境問題 を含め、製造業が抱 えるグローバ ル戟略の課題や海外展 開な どどの ような問題が現 在、議論 されているのか をまとめ、今後の課題 と
して提示 した。