情状鑑定について
1 情状鑑定 (1) とは 2004年11月、奈良市内で下校途上の小学1年生の女児が何者かに誘拐され た。被害者の母親の携帯には、「娘はもらった」と、殺害後の写真を添えた脅 迫のメールがあり、数時間後女児は農道脇の側溝で遺体となって発見された。 捜査の最中である犯行の一か月後にも両親や親族当てに「今度は妹をねらう」 というメールが届いた。同年の年末に逮捕された犯人は、37歳の新聞配達員の 男だった。彼は強制わいせつ、わいせつ誘拐、強制わいせつ致死、殺人、死体 損壊・遺棄、脅迫罪などで起訴された。公判で弁護士から情状鑑定の請求があ り、裁判所に採用された。内容は、「性格およびその形成要因、小児性愛的傾 向、犯罪傾向の有無およびその原因、本件犯行当時およびその前後の心理状 態」であった。 情状鑑定はそれなりの歴史をもつが、精神鑑定ほど目立つ存在ではなく、マ スコミに出ることがほとんどないので、マスコミから情状鑑定とは何かという 問い合わせがある。情状酌量とのからみあいで、なぜ刑を減免しなければなら ないのか、などとなかなか理解してもらえない始末である。たしかに情状酌量 では、被告人のよい点、同情すべき点などがとりあげられる。2009年の酒井法 子事件で情状証人が登場したが、これも被告人の立ち直りに有利に働く人で あった。しかし、情状鑑定では事件関連以外の事実、実情を調査するので、ろ くでもない過去の不利な面も暴かれる。 アメリカでは、少年、成人の裁判ではプロベーション・オフィサーが処遇決 定のための調査も担当する。1955年の「プロベーション法」の改正で、一年を 越える刑にあたる罪について有罪とされるときは、判決には処遇意見のつけら れた判決前調査報告書(Presentencing Investigation Report)が必要とされる ようになった。
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