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<翻訳>ヨーロッパ統合と欧州連合内の刑事司法に対するその影響

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Academic year: 2021

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A.はじめに

伝統的に,各国にはそれぞれ独自の刑法と刑事訴訟法がある。これらの法領域の 形成は,常にあらゆる国の主権(最狭義〔つまり,もっとも核心的部分〕)の一部 であった。 ヨーロッパでは,第二次世界大戦後,これまでに例のない統合プロセスが始まっ

◆ 翻 訳 ◆

ヘルムート・ザッツガー

法科大学院教授

加藤 克佳

(訳)

ヨーロッパ統合と欧州連合内の

刑事司法に対するその影響

目 次 A.はじめに B.欧州刑法 C.ヨーロッパ化された刑法 Ⅰ.中和化 Ⅱ.EU法に合致する解釈 Ⅲ.刑法の調和 D.統一的な司法領域と相互承認の原則 E.新たな展開─欧州検察局─ F.刑事政策上の展望 〔訳者あとがき〕 ザッツガー教授

Übersetzung

Helmut Satzger

Die europäische Integration und deren Einfluss auf die Strafrechtspflege

innerhalb der Europäischen Union

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法定刑,並びに訴訟上の条件にかなりの相違があるために,規制と改善が必要であ る。欧州検察局が立ち上げられて稼働するまでには,おそらく2020年までかかるだ ろう。また,欧州検察局には,既に先天的な欠陥がある。すなわち,全ての加盟国 が参加しているわけではないので,新しい刑事訴追機関は,現段階では6つの加盟 国(アイルランド,スウェーデン,ポーランド,ハンガリー,デンマーク,そして 間もなくEUを脱退するイギリス)の領土を管轄するものではない。このことは, 欧州検察局の力を弱め,多くの派生問題を提起するものとなるであろう。

F.刑事政策上の展望

ヨーロッパの刑事政策は,現在,一定の岐路に立たされている。ヨーロッパの刑 事政策は,今世紀の初めに大いに弾みを付けて出発したのであったが,それは批判 の余地のないものとはいえず,とりわけ,イギリスのEU脱退(「ブレグジット」) や一部の加盟国政府で増大する敵意(反EU化)によって,停滞しているように思 われる。 また,相互承認の原則は,少なくとも当初は賞賛されるべき試みとして(それが 後に行われたものであるとしても),関係者の権利を指令によって強化することが 図られたにもかかわらず,法治国家として水準に明らかな空洞化をもたらした。今 の時点で見ると,このような事態は,欧州の基本的権利の保護範囲を広げる良い機 会であり,それは,「公序」条項を通じて最も効果的に実施されるべきものである。 もちろん,このような手法は,相互承認の原則から離れるものとなる。しかし,こ の原則はもともと,EUにおいて,自由貿易のために展開されたものである。つま り,ある加盟国で合法的に市場に出すことのできる製品は,他の国によっても市場 に出すことができるものと承認されなければならない,ということである。そして, そのような要請は,ますます高まっている。しかし,人間はモノではなく,また, そのようにモノとして扱われてはならない存在なのである! 〔訳者あとがき〕 以上は,ドイツ連邦共和国・ミュンヘン大学のヘルムート・ザッツガー教授(Prof. Dr. Helmut Satzger)の論文「ヨーロッパ統合と欧州連合内の刑事司法に対するそ

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