卵巣癌を免疫抗原として作製された
ヒトモノクローナル抗体HMOCC‐1により特異的に認識される
モノまたはジ硫酸化N‐アセチルラクトサミンオリゴ糖構造
の同定
柴田 俊章
浜松医科大学 大学院5年HMOCC‐1
糖鎖
卵巣癌
卵巣癌
??
??
HMOCC‐1
??
卵巣癌
卵巣癌
正常卵巣組織
生体内での糖鎖
エネルギー源 砂糖・米・でんぷん、ブドウ糖。グリコーゲンなどは、グルコースを多数結合させて、体 内でのエネルギー源として保存しやすい形に蓄積したもの。 生体内での糖・糖鎖 内でのエネルギ 源として保存しやすい形に蓄積したもの。 細胞骨格 セルロースなどは、丈夫な繊維になるため、動植物の体を構築する素材として重要。複合糖質
タンパク質、脂質と結合して存在している。 (糖タンパク質、糖脂質、プロテオグライカン)糖鎖の研究対象
ヘパリン コンドロイチン硫酸硫 など 糖蛋白は 1本の蛋白質に 短い糖鎖(単糖が20個まで)が 1本の蛋白質(コア蛋白)に、長い糖鎖(単糖 レセプター トランスポーター など ・糖蛋白は、1本の蛋白質に、短い糖鎖(単糖が20個まで)が、 1~数百本の糖鎖が結合している。 ・糖脂質は、1本の脂質分子に、1本の糖鎖が結合している。 1本の蛋白質(コア蛋白)に、長い糖鎖(単糖 が100~1万個:グリコサミノグリカン)が結合し ている。糖鎖の特徴(1)
~構成~ (1)ヒトの場合では、約10種類の単糖が決まった ルールに従って、樹状・複雑に連なって、糖鎖を形成 する する。 (2)反応基が多い。 β‐D‐グルコース β D グルコ ス (3)立体構造が多様である。=異性体を多く持つ。糖鎖の特徴(2)
~糖タンパク質~ 糖タンパク質の糖鎖には、 ・アミノ酸のアスパラギン残基に結合しているN型糖鎖(N結合型糖鎖) ・アミノ酸のアスパラギン残基に結合しているN型糖鎖(N結合型糖鎖) ・アミノ酸のセリン(Ser)やスレオニン(Thr)に結合しているO型糖鎖(O結合型糖鎖) が存在する。 N N O N結合型糖鎖: 構造は複雑。 シグナル伝達やタンパク質のフォールディングに関係している。 O結合型糖鎖: 比較的 構造は単純。 O結合型糖鎖: 比較的、構造は単純。 ムチン(粘液)中に多数存在し、ムチン糖鎖とも呼ばれている。糖鎖の特徴(3)
~糖鎖の生合成~ 設計図 DNA 転写 mRNA 翻訳 タンパク質 タンパク質の生合成 設計図 糖転移酵素 転写 翻訳 構築 設計図 DNA mRNA 糖転移酵素 硫酸転移酵素など (タンパク質) 転写 翻訳 糖鎖の生合成 構築 糖鎖 転移酵素 種類ある *この転移酵素は、200‐300種類ある。糖鎖の設計図は鋳型ではなく、糖鎖構造の把握が難しい。
反面、
反面、
研究の技術として、遺伝子研究法・タンパク質研究法を応用できる。
(例)B3GNT7( beta Gal beta‐1 3‐N‐acetylglucosaminyltransferase 7 )という酵素の場合 (例)B3GNT7( beta Gal beta 1,3 N acetylglucosaminyltransferase 7 )という酵素の場合 3位 1位 β ガラクトース 3位 1位
+
B3GNT7 β‐ガラクトース β‐N‐アセチルグルコサミン β‐ガラクトース β‐N‐アセチルグルコサミンGlcNAcβ1 ‐3Gal
GlcNAc
Gal
β1,3
HMOCC‐1
HMOCC‐1は、
・卵巣癌を特異的認識する
・完全ヒトモノクローナル抗体
である。
治療抗体の作用機序
① ADCC(Antibody-dependent cellular cytotoxicity)活性
d d
ヒト化抗体・ヒト抗体
糖鎖
② CDC活性:補体依存性細胞障害活性 (CDC: Complement-Dependent Cytotoxicity) ③ 細胞内情報伝達の阻害モノクロナール抗体の種類
Murine HumanFab
Fc
( = omab) ( = ximab) ( = zumab) ( = umab)
Rit i b T t b ® Rituximab Cetuximab Trastuzumab Bevacizumab (Rituxan®) (Herceptin®) (Avastin®) (Erbitux) 第一世代:マウス抗体 第 世代:マウス抗体 第二世代:キメラ抗体 第三世代:ヒト化抗体 最新 :ヒト抗体 HAMAが産生される マウスの抗体を患者に投与すると異物としてマウス抗体に対する抗体 (HAMA:human anti mouse antibody)ができて、薬効失う。 最新 :ヒト抗体
HMOCC‐1による各組織の組織免疫染色
各臓器に対する特異性の評価 卵巣癌各組織型における染色性の違い 染色強度 Weak Moderate Strong A 漿液性腺癌 A: 漿液性腺癌 B: 粘液性腺癌 C: 類内膜性腺癌 D: 明細胞性腺癌 Suzuki N, et al. Gynecologic Oncology 95, 2004. D: 明細胞性腺癌 HMOCC‐1は、卵巣癌に特異的に結合し、 その中でも粘液性腺癌・明細胞腺癌に対しより高い特異性を示す。HMOCC‐1抗原決定基の特徴
HMOCC‐1の抗原は、
・膜型糖タンパク質。
・糖鎖部分を認識している。
・N結合型糖鎖。
小活1
(1) HMOCC‐1は、ヒト卵巣癌細胞を特異的に認識する完全ヒト抗体
である。
(2) 認識抗原は、N‐結合型糖鎖である。
本研究では、「糖転移酵素」および「硫酸転移酵素」を
遺伝子工学的手法で探索し、HMOCC‐1が認識する構造を決定した。
HMOCC‐1の抗原決定基を同定する方法
研究1.
(1)目的の酵素遺伝子を、HMOCC‐1抗原をもたないHEK細胞に遺伝子導入し同定
発現させることにより、抗原決定基を生合成するのに必要な酵素を同定
する。 遺伝子導入(トランスフェクション) リポフェクタミン+Plus試薬目的の酵素遺伝子
細胞
抗
遺伝子導入(トランスフェクション) プラスミドベクター推定
HEK
細胞(
HMOCC‐1
抗原(
-
))
(2) 同定された酵素群より、抗原決定基と考えられる糖鎖構造を推定
する。研究2.
・推定された糖鎖構造をELISAアッセイ、siRNA、質量分析法で確認する。
HMOCC‐1抗原の生合成に必要な
糖転移酵素(GT)と硫酸転移酵素(ST)の同定
研究1‐1
<方法1.>
準備した酵素群の中に目的の遺伝子があるか調べる。8 つの
糖転移酵素
糖転移酵素
(GTs)
6つの
硫酸転移酵素
FUT1
FUT2
B3GALT5
CHST 1
硫酸転移酵素
(STs)
B3GALT5
GCNT1
GCNT3
CHST 1
CHST 2
CHST 4
HEK
細胞B3GNT4
B3GNT6
CHST 5
CHST 6
GAL3ST3
HEK
細胞 (HMOCC‐1抗原(-))B3GNT7
GAL3ST3
HMOCC‐1抗原の生合成に必要な
糖転移酵素(GT)と硫酸転移酵素(ST)の同定
研究1
<方法2.>
14種類の酵素のうち、ひとつずつ除いて遺伝子導入することにより、必須とされる 酵素 酵素群 を 定す8GT 6ST
酵素(または酵素群)を同定する。ひとつずつ
8GTs+ 6STs
ひとつずつ
酵素を除く
残り
13種類の酵素を
遺伝子導入する
HEK
細胞(HMOCC‐1抗原(-))HMOCC‐1抗原の生合成に必要な
糖転移酵素(GT)と硫酸転移酵素(ST)の同定
研究1‐1
1次抗体:HMOCC‐1 発色:HRP AEC試薬結果2.
Mock 8GTs+ 6STs8 つの
糖転移酵素
(GTs)
6つの
発色:HRP-AEC試薬FUT1
FUT2
(GTs)
6つの
硫酸転移酵素
(STs)
8GTs 6STsFUT2
B3GALT5
GCNT1
CHST 1
CHST 2
8GTs 6STsGCNT1
GCNT3
B3GNT4
CHST 2
CHST 4
CHST 5
B3GNT6
B3GNT7
CHST 6
GAL3ST3
HMOCC‐1抗原の生合成に必要な
糖転移酵素(GT)と硫酸転移酵素(ST)の同定
研究1
b
a
c
d
結果2.
-FUT1
-FUT2
-GCNT1
f
e
g
h
-GCNT3
-B3GNT4 -B3GNT6 -B3GNT7
j
k
l
i
-B3GNT7
j
k
l
i
-CHST1
-CHST2
-CHST4
-GAL3ST3
-GAL3ST3
m
n
a. None, b. FUT1, c. FUT2, d. GCNT1, GCNT3 f B3GNT4 B3GNT6 h B3GNT7 Removal enzymeGAL3ST3
e. GCNT3, f. B3GNT4, g. B3GNT6, h. B3GNT7, i. CHST 1, j. CHST 2, k. CHST 4, l. GAL3ST3, m. CHST 5, n. CHST 6.-CHST5
-CHST6
HMOCC‐1抗原の生合成に必要な
糖転移酵素(GT)と硫酸転移酵素(ST)の同定
研究1
結果2.
b a c d f e g hCHST1
g j k l i m n Removal enzyme a. None, b. FUT1, c. FUT2, d. GCNT1, e. GCNT3, f. B3GNT4, g. B3GNT6, h. B3GNT7, i. CHST 1, j. CHST 2, k. CHST 4, l. GAL3ST3, m. CHST 5, n. CHST 6. yCHST1が発現していないと、HMOCC‐1抗原の生合成は亢進する。
CHST1が発現していることにより、HMOCC‐1抗原の生合成は抑制されている。
HMOCC‐1抗原の生合成に必要な
糖転移酵素(GT)と硫酸転移酵素(ST)の同定
研究1‐1
確認実験: HMOCC‐1抗原の生合成に必要不可欠と考えられるB3GNT7とGAL3ST3は、 確 本当に必要なのか確認する。a
b
c
a. GAL3ST3 only, b CHST1 onlyd
e
f
b. CHST1 only, c. B3GNT7 only, d GAL3ST3+CHST1d
e
f
d. GAL3ST3+CHST1, e. CHST1 +B3GNT7, f. GAL3ST3 +B3GNT7.B3GNT7とGAL3ST3は、HMOCC‐1抗原生合成に必要不可欠と確認された。
研究1‐1の結果の小活
8 つの
糖転移酵素
糖転移酵素
(GTs)
6つの
硫酸転移酵素
FUT1
FUT2
硫酸転移酵素
(STs)
FUT2
B3GALT5
GCNT1
CHST 1
CHST 2
GCNT1
GCNT3
CHST 2
CHST 4
CHST 5
B3GNT4
B3GNT6
CHST 5
CHST 6
B3GNT7
GAL3ST3
研究1‐1の結果の小活
8 つの
糖転移酵素
糖転移酵素
(GTs)
6つの
硫酸転移酵素
FUT1
FUT2
硫酸転移酵素
(STs)
FUT2
B3GALT5
GCNT1
CHST 1
CHST 2
GCNT1
GCNT3
CHST 2
CHST 4
CHST 5
B3GNT4
B3GNT6
CHST 5
CHST 6
B3GNT7
GAL3ST3
酵素B3GNT7とGAL3ST3とCHST1の働き
B3GNT7
( beta Gal beta‐1,3‐N‐acetylglucosaminyltransferase 7 )+
B3GNT7
Gal ‐ GlcNAc
Gal ‐ GlcNAc
Gal – GlcNAc ‐ Gal – GlcNAc
β1,3
Β1,4
β1,4
N型糖鎖の末端はポリラクトサミン構造を持つことが多く、糖鎖 末端 リラク 構造を持 多 、 B3GNT7は、この構造を生合成している。 B3GNT7 ラクトサミン構造β1,3
N型糖鎖の例 ラクトサミン構造 ラクトサミン構造酵素B3GNT7とGAL3ST3とCHST1の働き
GAL3ST3
( beta‐galactose‐3‐O‐sulfotransferase 3 )という酵素の場合‐ X‐ X ‐
‐ X‐ X ‐ +
GAL3ST3H
2SO
4 ‐O
3S 3
X X
Gal
X X +
H
2SO
4CHST1
( k t lf t D l t 6 O lf t f )という酵素の場合O
3S 3
Gal
CHST1
( keratan sulfate D‐galactose‐6‐O sulfotransferase )という酵素の場合SO
3‐ X‐ Gal ‐ X ‐ X ‐
Gal
Gal
CHST16
Gal
Gal
+ H
2SO
4‐ X‐ Gal ‐ X ‐ X ‐
Gal
Gal
SO
3 CHST1‐ X‐ Gal ‐ X ‐ X ‐
Gal
Gal
6
研究1‐2
HMOCC‐1抗原決定基の構造推定とCHST1の調節酵素としての働き
<方法の概要>
調節遺伝子としての
B3GNT7
必須な糖転移酵素
GAL3ST3
必須な硫酸転移酵素
CHST 1
調節遺伝子としての
硫酸転移酵素
B3GNT7
GAL3ST3
CHST 1
いろいろな組み合わせで遺伝子導入することにより、
相互作用を明らかにして
HMOCC 1抗原決定基の構造を
推定
する
HMOCC‐1抗原決定基の構造を
推定
する
CHST1の調節酵素としての働きの推定。
HEK
細胞(HMOCC‐1抗原(-))研究1‐2
HMOCC‐1抗原決定基の構造推定とCHST1の調節酵素としての働き
<結果1>
<方法1>
3G
G
3S 3
B3GNT7 + GAL3ST3
B3GNT7 → GAL3ST3 +CHST1
抗原を発現する
細胞が
細胞が
少なくなる
少なくなる。
研究1‐2
HMOCC‐1抗原決定基の構造推定とCHST1の調節酵素としての働き
B3GNT7 + GAL3ST3
ポリラクトサミンの基本骨格 ポリラクトサミンの基本骨格 β1,3 Produced Backbone structure by B3GNT7. GAL3ST3:Gal
β1,3
:GlcNAc
HMOCC‐1 抗原決定構造
‐O
3S 3
HMOCC‐1抗原決定基の構造推定とCHST1の調節酵素としての働き
研究1‐2
抗原を発現する
B3GNT7 → GAL3ST3 +CHST1抗原を発現する
細胞が
少ない
ポリラクトサミンの基本骨格 β1,3 Produced Backbone structure GAL3ST3 +CHST1 by B3GNT7. SO3‐ SO3‐ β1,3 ‐O 3S 3 β1,36 β1,3 ‐O 3S 3 3 6 HMOCC‐1 antigen SO3‐ SO 3‐ SO3‐ SO3‐ 6 SO3‐ 6 β1,3 6 ‐O 3S 3 β1,36 6 ‐O 3S 3 6 β1,36抗原を発現する
B3GNT7 → GAL3ST3 +CHST1
抗原を発現する
細胞が
少ない
ポリラクトサミンの基本骨格 β1,3 β1,3 Produced Backbone structure by B3GNT7. GAL3ST3 +CHST1SO
3‐6
β1,3 ‐O 3S 3β1,3
6
3
競合
HMOCC‐1 antigen ‐O
3S
3
抗原を発現する
B3GNT7 → GAL3ST3 +CHST1
抗原を発現する
細胞が
少ない
ポリラクトサミンの基本骨格CHST1を含む2つのガラクトース硫酸転移酵素を
同時に
発現する
β1,3 Produced Backbone structure by B3GNT7. GAL3ST3 +CHST1C S を含む
のガラクト ス硫酸転移酵素を
同時に
発現する
ガラクトースへの硫酸基の結合が
競合する
GAL3ST3 +CHST1SO
3‐ GAL3ST3 +CHST1HMOCC‐1抗原の生合成が抑制される。
β1 36
競合
β1,3 HMOCC‐1 antigen ‐O 3S 3β1,3
‐O
3S
3
研究1‐2
HMOCC‐1抗原決定基の構造推定とCHST1の調節酵素としての働き
<結果2>
<方法2>
B3GNT7 + GAL3ST3
B3GNT7 + GAL3ST3 → CHST1
抗原を発現する
細胞が
多くなる。
抗原を発現する
抗原を発現する
細胞が
多くなる。
B3GNT7 + GAL3ST3 → CHST1
ポリラクトサミンの基本骨格 β1,3 Produced Backbone structure by B3GNT7. β1,3 ‐O 3S 3 GAL3ST3 HMOCC‐1 antigen 3SO
3‐SO
3‐ CHST1 β1,36
‐O
3S
3
β1,3 ‐O
3S
3
6
βSO
3‐SO
3‐ β1,36
6
‐O
3S
3
抗原を発現する
抗原を発現する
細胞が
多くなる。
B3GNT7 + GAL3ST3 → CHST1
ポリラクトサミンの基本骨格 β1,3 Produced Backbone structure by B3GNT7. β1,3 ‐O 3S 3 GAL3ST3 HMOCC‐1 antigen 3SO
3‐SO
3‐ CHST1 β1,36
‐O
3S
3
β1,3 ‐O
3S
3
6
βSO
3‐SO
3‐ β1,36
6
‐O
3S
3
より強いHMOCC‐1 antigen
小活
(1) HMOCC‐1抗原の生合成に必要な糖転移酵素(B3GNT7)と硫酸転移酵素
(GAL3ST3)を遺伝工学的手法を用いて同定した
(GAL3ST3)を遺伝工学的手法を用いて同定した。
(2)
SO3‐ 6 6 ‐O 3S 3競合
Galβ1 ‐ 4GlcNAcβ1 ‐ 3Galβ1 ‐ 4GlcNAc1β ‐
CHST1の発現バランスにより、
生体内でHMOCC‐1抗原量の調節を行っていることが示唆される。
3
(3) HMOCC‐1の抗原決定基は、下記のように推定された。
3Galβ1 ‐ 4GlcNAcβ1 ‐ 3Galβ1 ‐ 4GlcNAc1β ‐
‐O 3S
or SO3‐
3Galβ1 ‐ 4GlcNAcβ1 ‐ 3Galβ1 ‐4GlcNAc1β ‐6
‐O 3S
推定糖鎖構造の確認実験
3Galβ1 ‐ 4GlcNAcβ1 ‐ 3Galβ1 ‐ 4GlcNAc1β ‐
‐O 3S β β β β 3 or 3G lβ1 4Gl NA β1 3G lβ1 4Gl NA 1β6 SO3‐
O S 3Galβ1 ‐ 4GlcNAcβ1 ‐ 3Galβ1 ‐4GlcNAc1β ‐
‐O 3S
(1) 化学合成されたHMOCC‐1抗原決定基の糖鎖構造による
ELIZA Inhibition Assay。
(2) RMG‐1細胞における必要糖転移酵素糖鎖遺伝子のRT‐PCR。
(3) siRNAを用いたB3GNT7とGAL3ST3の遺伝子ノックダウン実験。
(3) siRNAを用いたB3GNT7とGAL3ST3の遺伝子ノックダウン実験。
(4)質量分析法による卵巣癌組織試料における目的糖鎖構造の同定。
推定糖鎖構造の確認実験
3Galβ1 ‐ 4GlcNAcβ1 ‐ 3Galβ1 ‐ 4GlcNAc1β ‐
‐O 3S β β β β 3 or 3G lβ1 4Gl NA β1 3G lβ1 4Gl NA 1β6 SO3‐
O S 3Galβ1 ‐ 4GlcNAcβ1 ‐ 3Galβ1 ‐4GlcNAc1β ‐
‐O 3S
(1) 化学合成されたHMOCC‐1抗原決定基の糖鎖構造による
ELIZA Inhibition Assay。
(2) RMG‐1細胞における必要糖転移酵素糖鎖遺伝子のRT‐PCR。
(3) siRNAを用いたB3GNT7とGAL3ST3の遺伝子ノックダウン実験。
(3) siRNAを用いたB3GNT7とGAL3ST3の遺伝子ノックダウン実験。
(4)質量分析法による卵巣癌組織試料における目的糖鎖構造の同定。
化学合成されたHMOCC‐1抗原決定基の糖鎖構造による
ELIZA Inhibition Assay の原理
RMG‐1細胞を96穴プレートで培養。 4%パラホルムアルデヒド in PBS で固定。 0 3%過酸化水素水で内因性ペルオキシダーゼを阻害 化学合成オリゴ糖 0.3%過酸化水素水で内因性ペルオキシダ ゼを阻害。 HMOCC‐1(一次抗体)と濃度を振り分けた化学合成オリゴ糖 (阻害物質)の混成液を各ウェルの細胞に振りかけ、インキュ ベ 時 化学合成オリ 糖 ベーション。(1時間) HRP結合の2次抗体(Human IgM antibody)を振りかけ、イン キュベーション。(1時間) HMOCC‐1 キュベ ション。(1時間) 余分な2次抗体を洗浄。 ( ) を化学発光 ( 分) RMG 1細胞 TMB(tetramethylbenzidine)にてHRPを化学発光。(30分) 硫酸により反応中止。 RMG‐1細胞 HMOCC‐1抗原決定基 RMG‐1細胞に結合しているHMOCC‐1を吸光度450nmで測定。化学合成されたHMOCC‐1抗原決定基の糖鎖構造によるELIZA Inhibition Assay 硫酸化していないジ・ラクトサミン構造 VS VS B3GNT7 +Gal3ST3に相当する 末端ガラクトース3位がひとつ硫酸化されたジ・ラクトサミン構造 No sulfated and Blue line: Non‐sulfated tetrasaccharide. Galβ1 ‐ 4GlcNAcβ1 ‐3Galβ1 ‐4GlcNAc1β ‐ NH2 No sulfated and mono‐sulfated Green line: Mono‐sulfated tetrasaccharide.
3Galβ1 ‐ 4GlcNAcβ1 ‐ 3Galβ1 ‐ 4GlcNAc1β ‐ NH2
‐O 3S
B3GNT7 +Gal3ST3に相当する 末端ガラクトース3位がひとつ硫酸化されたジ・ラクトサミン構造
VS
Gal3ST3+B3GNT7→CHST1に相当する
末端ガラクトース3位と内部ガラクトース6位のふたつが硫酸化されたジ・ラクトサミン構造
Green line: Mono‐sulfated tetrasaccharide
Mono‐sulfated and disulfated
Green line: Mono‐sulfated tetrasaccharide.
3Galβ1 ‐ 4GlcNAcβ1 ‐ 3Galβ1 ‐ 4GlcNAc1β ‐ NH2
‐O 3S
Purple line: Di‐sulfated tetrasaccharide.
SO3‐
3Galβ1 ‐ 4GlcNAcβ1 ‐ 3Galβ1 ‐4GlcNAc1β ‐ NH6 2
SO3 ‐O
推定糖鎖構造の確認実験
3Galβ1 ‐ 4GlcNAcβ1 ‐ 3Galβ1 ‐ 4GlcNAc1β ‐
‐O 3S β β β β 3 or 3G lβ1 4Gl NA β1 3G lβ1 4Gl NA 1β6 SO3‐
O S 3Galβ1 ‐ 4GlcNAcβ1 ‐ 3Galβ1 ‐4GlcNAc1β ‐
‐O 3S
(1) 化学合成されたHMOCC‐1抗原決定基の糖鎖構造による
ELIZA Inhibition Assay。
(2) RMG‐1細胞における必要糖転移酵素糖鎖遺伝子のRT‐PCR。
(3) siRNAを用いたB3GNT7とGAL3ST3の遺伝子ノックダウン実験。
(3) siRNAを用いたB3GNT7とGAL3ST3の遺伝子ノックダウン実験。
(4)質量分析法による卵巣癌組織試料における目的糖鎖構造の同定。
RMG‐1細胞における必要糖転移酵素糖鎖遺伝子のRT‐PCR
~方法~ 卵巣癌細胞(RMG‐1細胞)に先の実験で得られたHMOCC‐1抗原を生合成するのに 必要不可欠な糖転移酵素が本当に発現しているのかRT‐PCRで確認した。 RMG‐1細胞を培養。 RNAをRMG‐1細胞からTRI‐zol試薬にて抽出。 RNAをRMG 1細胞からTRI zol試薬にて抽出。 Oligo(dT)Primer にて、1st strand cDNAを作製。 Primer にて、1st strand cDNAを作製。 Reverse transcriptase
PCR(右記条件)にて、それぞれのPrimerを用い増幅。 Gel 解析にてそれぞれの酵素のmRNA発現を確認。
RMG‐1細胞における必要糖転移酵素糖鎖遺伝子のRT‐PCR
GAL3ST3遺伝子は、RMG‐1細胞において強く発現している。
その一方 GAL3ST遺伝子の残り3つのサブタイプは発現がとても弱い
その一方、GAL3ST遺伝子の残り3つのサブタイプは発現がとても弱い
もしくは発現していない。
3G
遺伝子は
G 1細胞において発現している
B3GNT7遺伝子は、RMG‐1細胞において発現している。
推定糖鎖構造の確認実験
3Galβ1 ‐ 4GlcNAcβ1 ‐ 3Galβ1 ‐ 4GlcNAc1β ‐
‐O 3S β β β β 3 or 3G lβ1 4Gl NA β1 3G lβ1 4Gl NA 1β6 SO3‐
O S 3Galβ1 ‐ 4GlcNAcβ1 ‐ 3Galβ1 ‐4GlcNAc1β ‐
‐O 3S
(1) 化学合成されたHMOCC‐1抗原決定基の糖鎖構造による
ELIZA Inhibition Assay。
(2) RMG‐1細胞における必要糖転移酵素糖鎖遺伝子のRT‐PCR。
(3) siRNAを用いたB3GNT7とGAL3ST3の遺伝子ノックダウン実験。
(3) siRNAを用いたB3GNT7とGAL3ST3の遺伝子ノックダウン実験。
(4)質量分析法による卵巣癌組織試料における目的糖鎖構造の同定。
siRNAを用いたB3GNT7とGAL3ST3の遺伝子ノックダウン実験
HMOCC‐1抗原の生合成に、B3GnT7とGAL3ST3が本当に必要不可欠か確認する。
RMG‐1細胞をガラススリップの上で50%程度となるまで培養する。
目的の酵素のsiRNAをX‐treme transfection reagent (Roche)で導入する。 さらに4日間培養する。
HMOCC‐1でsiRNAを導入したRMG‐1細胞を免疫染色する。 Image J ソフトで定量解析を行う。
siRNAを用いたB3GNT7とGAL3ST3の遺伝子ノックダウン実験
No transfection Control siRNA GAL3ST3 GAL3ST4 B3GNT7siRNAs
siRNAs
RMG‐1細胞においてGAL3ST3とB3GNT7 は、
HMOCC‐1抗原の生合成に必要な酵素である。
No transfection Control siRNA
GAL3ST3 GAL3ST4
B3GNT7 *p=0.0191
siRNAs
siRNAs
*p=0.0191
siRNAs
siRNAs
推定糖鎖構造の確認実験
3Galβ1 ‐ 4GlcNAcβ1 ‐ 3Galβ1 ‐ 4GlcNAc1β ‐
‐O 3S β β β β 3 or 3G lβ1 4Gl NA β1 3G lβ1 4Gl NA 1β6 SO3‐
O S 3Galβ1 ‐ 4GlcNAcβ1 ‐ 3Galβ1 ‐4GlcNAc1β ‐
‐O 3S
(1) 化学合成されたHMOCC‐1抗原決定基の糖鎖構造による
ELIZA Inhibition Assay。
(2) RMG‐1細胞における必要糖転移酵素糖鎖遺伝子のRT‐PCR。
(3) siRNAを用いたB3GNT7とGAL3ST3の遺伝子ノックダウン実験。
(3) siRNAを用いたB3GNT7とGAL3ST3の遺伝子ノックダウン実験。
(4)質量分析法による卵巣癌組織試料における目的糖鎖構造の同定。
卵巣癌組織より抽出した試料の精製方法
実際の卵巣癌組織において、今回同定した糖鎖であるHMOCC‐1抗原決定基構造が 発現し るかを調べる 発現しているかを調べる。 組織(25g)を1mM EDTAを含むpH7 4のTris HCl緩衝液でホモジナイズする 組織(25g)を1mM EDTAを含むpH7.4のTris‐HCl緩衝液でホモジナイズする。 ホモジナイズされた組織の懸濁液をProteinase Kでタンパク消化する。(45C, 24時間) 可溶部分をSephadex G‐15で脱塩する。 ペプチドから糖鎖を脱離するため、0.5M水酸化ナトリウム(NaOH)と1M水素化ホウ 素ナトリウム(NaBH )で処理する (アルカリβ脱離 常温 24時間 ) 素ナトリウム(NaBH4)で処理する。(アルカリβ脱離、常温, 24時間 ) Sephadex G‐15で脱塩する。 Sephadex G‐50で糖鎖分画を集める。 さらに、QAE‐Sephadexカラムで硫酸化グリカン分画を集める。 (陰イオン交換クロマトグラフィー) (陰イオン交換クロマトグラフィー)質量分析法による卵巣癌組織試料における目的糖鎖構造の同定
MALDI‐MSとMS/MS、陰イオンモード
2ヶ所硫酸化された 推定された構造である(HexHexNAc)n 構造 は
含まれていることが確認できた
含まれていることが確認できた。
まとめ
(1) HMOCC‐1抗原の生合成に必須な
糖転移酵素(B3GNT7)
と
硫酸転移酵素
(GAL3ST3)
を遺伝工学的手法を用いて同定した。
(2)
CHST1とGAL3ST3の発現バランス
により、
生体内でHMOCC‐1抗原量の調節を行っていることが示唆された。
(3) HMOCC‐1の抗原決定基は、下記のように決定された。
3Galβ1 ‐ 4GlcNAcβ1 ‐ 3Galβ1 ‐ 4GlcNAc1β ‐
‐O 3S
or SO3‐
3Galβ1 ‐ 4GlcNAcβ1 ‐ 3Galβ1 ‐4GlcNAc1β ‐6
‐O 3S
考察 (学位審査、リサカン用)
糖鎖構造を同定するための従来の方法
(1)既知の糖鎖もしくは糖脂質をプレートに並べ、それらを抗体と反応させること により網羅的に調べる方法。 ・既知の糖鎖構造しか同定できない。 ・糖タンパク質を合成するのは困難なため、プレートにならべられた糖鎖、 もしくは、糖脂質に抗体が反応しなければ同定できない。 (2)糖鎖を試料より抽出して、質量分析法を用いてその構造を同定していく方法。 ・高純度の糖鎖としての試料抽出が難しい。本方法の有益性
・糖及び硫酸転移酵素遺伝子導入により、抗原糖鎖は細胞自体で生合成されるので 糖蛋白質にも適用できる。 ・何より大掛かりな分析機器を必要とせず、どの研究室でも適用できる。 我々は本研究で示した遺伝子技術を利用した方法は 将来広く適用できるであろうと 我々は本研究で示した遺伝子技術を利用した方法は、将来広く適用できるであろうと 考えている。考察・今後の展望 (分子標的研究会用)
(1)卵巣癌診断の一助となる。そのためには、本糖鎖構造が修飾されている血清分 泌糖タンパク質と卵巣癌の存在の関係をELISA法などにより検討する必要がある。 泌糖タンパク質と卵巣癌の存在の関係をELISA法などにより検討する必要がある。 (2)今回同定した糖転移酵素、もしくは糖鎖構造の発現が予後などに及ぼす影響を 検討する必要がある。 検討する必要 ある。 (3)正常組織でも発現を認めているため全身的な治療薬としては使用しにくいが、下 記の例のように局所の糖鎖相互作用が癌の発育に関係している際の局所治療薬と して利用できる可能性がある。 CA125のコア蛋白であるMUC16に結合しているN結合型糖鎖と CA125のコア蛋白であるMUC16に結合しているN結合型糖鎖と 腹膜中皮細胞上に発現しているMesothelinというタンパク質が 結合力が強く、卵巣癌の腹膜播種に関係している。Gubbels J et al Molecular Cancer 2006 5: 50 Gubbels J et al, Molecular Cancer 2006, 5: 50.