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シリコンナノワイヤトランジスタの試作とその特性ばらつき解析

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Academic year: 2021

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修士論文要旨(2016年度)

シリコンナノワイヤトランジスタの試作とその特性ばらつき解析

“Fabrication and Variability Measurements of Silicon Nanowire Transistors”

電気電子情報通信工学専攻 古峰祐樹 Yuki Komine

1.背景

トランジスタは私たちの身の回りのあらゆるところで 利用されている.スマートフォンをはじめとする電子機 器では,トランジスタの性能が電子機器の性能につなが ってくる.そのトランジスタは年々微細化が進められて いる.これまでVLSIの高性能化は,MOSトランジスタ の微細化によって達成されてきた.微細化することで理 想的にはトランジスタは高速化と1チップあたりの集積 度が向上するため,より高性能なCPUがVLSIに搭載で きるようになった.半導体業界ではまだ微細化は続いて いくと予測されている.しかしながら実際には短チャネ ル効果をはじめとする微細化の問題によって微細化を進 めることが難しくなってきている.この問題を克服すべ くこれまでトランジスタの構造を変えることで微細化は 続けられてきた.従来のBulk型MOSFETではチャネル 奥深くにはゲートの制御が届かない.そこで基板中に酸 化膜を挿入したSOI MOSFETが提案された.またゲー トによる制御性を上げるためさらに3方向を囲んだトラ イゲートという構造が生まれ今日では利用されている.

究極にはチャネルをゲートで完全に囲んだゲートオール アラウンド(GAA)構造を持つトランジスタが提案されて いる.この GAA 構造をもつトランジスタはこれまでも 研究が行われているがいまだ不明な点も多い.そこで,

本研究の目的として実際に GAA 構造を持つナノワイヤ トランジスタを試作し,測定を行うことでその特性を理 解する.また測定結果からばらつきの影響についても考 えていく.

2.トランジスタの構造 2.1.Bulk型MOSFET

Fig.2.1にBulk型MOSFETのモデルを示す.従来の

MOSFETの構造を今後の構造と区別するためBulk型と

呼ぶことにする.

Fig.2.1 Bulk型MOSFETのモデル図

MOSFET はゲート,ソース,ドレインの 3 端子を持

つトランジスタであり,N型であればP型基板にN型の ソース及びドレインを持つ構造となる.またゲートとチ ャネルの間にはゲート酸化膜が存在する.MOSFETのゲ ー ト 電 圧 に 対 す る ド レ イ ン 電 流 特 性(Id-Vg 特 性)を Fig.2.2に示す.

Fig.2.2 MOSFETのId-Vg特性

ゲート電圧がある値を超えると MOSFET がオンとな りドレイン電流電流が流れ始める.このときのゲート電 圧をしきい値電圧Vthと呼ぶ.

2.2.SOI MOSFET

Bulk 型ではチャネルの奥深くにてゲート電圧の制御 が利かないことが問題となったそこで Fig.2.3 に表すよ うな構造が提案された.

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Fig.2.3 SOI MOSFETのモデル図

このトランジスタではチャネル直下の基板に酸化膜が 挿入されている.これにより微細化の問題の抑制につな がった.またチャネルが完全に空乏化するため Bulk 型 と比べ,基板バイアスといった影響も受けにくくなった.

2.3.NW トランジスタ

ゲートの支配力を上げることでトランジスタの微細化 への問題解決につながる.細いチャネルを持つためナノ ワイヤ(NW)トランジスタと呼ばれている.NWトランジ ス タで 現在 利用 され ている トラ イゲ ート(Tri-gate)を Fig.2.4に示す.

Fig.2.4 Tri-gate NWトランジスタ

この構造ではソースが手前,ドレインが奥に存在して いる.3 方向がゲートに囲まれるため制御性がよい.さ らに全方向をゲートで囲んだゲートオールアラウンド構 造を持つNWトランジスタをFig.2.5に示す.

Fig.2.5 GAA NWトランジスタ

Tri-gate 同様に手前がソース,奥がドレインとなる.

チャネルが基板からゲートの poly-Si によって切り離さ れているため基板の影響がないことが特徴となる.

3.試作工程

GAAの試作にはSOI MOSFETの工程を利用している.

GAA ではさらに NW を形成するためにチャネルを薄く する必要があり素子分離に用いられるLOCOSという工 程を利用している.また幅数nm の描画を行うために電 子ビーム装置によるリソグラフィ(EB リソ)を行ってい る.EBレジストを除去する際にフッ酸を用いるためこの 工程でワイヤ部が中空状態になる. EB装置は常に同じ 太さで描画を行うことが難しい.そのため EBリソは描 画を行う前に状態を確認しておく必要がある.また完成 したサンプルのNW径を直接確認することはできないた め本番サンプルの描画時にはダミーもあわせて流すこと でNWの太さを確認する.

4.結果

今回は 4枚のチップを試作した.4枚のレイアウトは 共通でゲート酸化膜の厚みを変えている.そのレイアウ トの概略図をFig.4.1に示す.

Fig.4.1 レイアウト概略図

位置合わせのマーク及びマークエリアと膜厚測定用の エリプソパッドに囲まれた領域に Fig.4.2 のようなトラ ンジスタを,設計幅を変えながら1チップあたり約2400 個配置している.

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Fig.4.2 トランジスタのレイアウト

Fig.4.2の12nmとしている部分が今回のNWの設計 幅となる.今回の設計幅は 7nm~13nmまで 1nm刻み

と 20,50,100nm のものを用意している.完成したサ

ンプルのId-Vg特性をFig.4.3に示す.

Fig.4.3 試作したチップのId-Vg特性

ここではドレイン電圧Vdは0.05Vとしている.また 設計サイズごとに分類したものの一部をFig.4.4,Fig.4.5 に示す.

Fig.4.4 設計幅11nmのId-Vg特性

Fig.4.5 設計幅13nmのId-Vg特性

設計幅が異なるトランジスタで比較してもその差が見 られない.そこで GAA である場合基板側の影響を受け ないことを利用して基板バイアスをかけることで形状が

想定どおりであるかを確認する.Fig.4.6,Fig.4.7に基板 バイアスの影響が現れたものと現れなかったものを示す.

Fig.4.6 基板バイアスの影響のあるId-Vg特性

Fig.4.7 基板バイアスの影響のないId-Vg特性 ほか多数のトランジスタも Fig.4.6 と同様に影響を受 けていた.基板バイアスの影響が見られなかったものを まとめたId-Vg特性をFig.4.8に示す.

Fig.4.8 基板バイアスの影響のないId-Vg特性をまとめ たもの

5本しかGAAと推定できそうなものは見られなかった.

そのためこれらからばらつきの検証を行うことは難しい.

しかし同一サイズの設計でたった2つを比較した場合に このようなId-Vg特性に差が見られたことからトランジ スタの数が増えればさらに大きなばらつきになるのでは

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ないかと考えられる.

5.まとめと課題

GAA 構造を持つ NW トランジスタの試作と測定を行 った.GAAと呼べるもので比較をしたところたった2つ のデバイスでId-Vg特性の差が見られたためより多くの トランジスタで比較するとさらに大きな差が生まれると 考えられる.

今後の課題として,GAAの精度を上げる試作方法の確 立をする必要がある.また今回のものでばらつきはさら に大きなことが予想されるため将来の運用に向けてばら つきの低減方法を考える必要がある.

謝辞

本研究に取り組むにあたり,他大学での研究をする機会 を設けていただいた築山修治教授に深く感謝する.また 受け入れていただいた平本俊郎教授にも深く感謝する.

参考文献

[1] Mark B, “14nm process technology: opening new horizons,” Intel Developer Forum, San Francisco, Sep., Intel, 2014.

[2] 柴田直 著, 半導体デバイス入門 –その動作原理とし くみ-, 昭晃堂, 2011年.

[3] M. Saitoh, K. Ota, C. Tanaka, K. Uchida, and T.

Numata, “10nm-Diameter tri-gate silicon nanowire MOSFETs with enhanced high-field transport and Vth tunability through thin BOX,” Proc. VLSI, pp. 11-12., 2012.

[4] A. Suzuki, T. Kamioka, Y. Kamakura, K. Ohmori, K.

Yamada, and T. Watanabe, “Source-induced RDF overwhelms RTN in nanowire transistor: Statistical analysis with full device EMC/MD simulation accelerated by GPU computing,” Proc. IEDM, IEEE International, pp.30.1.1 - 30.1.4, 2014.

[5] L. M. Almeida, P. G. D. Agopian, J. A. Martino, S.

Barraud, M. Vinet and O. Faynot “Back gate bias influence on SOI Ω-gate nanowire down to 10 nm width”, Proc. S3S, IEEE, pp.1 – 5, 2016.

[6] ITRS 2013 Edition (JEITA 訳) PIDS 章, 4頁.

参照

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