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樫山 和也 論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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樫山 和也 論文内容の要旨

主 論 文

miR-196a downregulation increases the expression of type I and III collagens in keloid fibroblasts

(マイクロ RNA-196a の発現低下はケロイド由来線維芽細胞において

Ⅰ型及びⅢ型コラーゲンを増加させる)

樫山和也、光武範吏、松瀬美智子、荻朋男、ウラジミール・サエンコ、

氏福健太、宇谷厚志、平野明喜、山下俊一

Journal of Investigative Dermatology.

(in press)

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医療科学専攻

(主任指導教員:平野 明喜 教授)

緒 言

ケロイドは、軽微な外傷を契機に発生する異常線維化を伴う隆起性病変であり、掻 痒感や時に強い痛みを伴う。その病態の主体はコラーゲン等の細胞外マトリックスが 線維芽細胞で異常産出されて、細胞外に蓄積されることと考えられているが、はっき りとした病態は未だ解明されていない。

マイクロ

RNA (microRNA

miRNA)

は、平均

22

塩基からなる一本鎖のノンコーデ ィング

RNA

である。標的メッセンジャー

RNA (mRNA)

3’

非翻訳領域に結合して翻 訳を阻害し、遺伝子の発現を負に制御する働きを持つ。一つの

miRNA

は同時に数多 くの様々な遺伝子の発現に影響を与えていると考えられている。近年、各種臓器の線 維化や細胞外マトリックス産出への

miRNA

の関与が報告されており、ケロイド発生 にも特定の

miRNA

が関与している可能性が考えられ、それを明らかにする研究を計 画した。

対象と方法

倫理委員会承認の下に、実験に必要なケロイド及び正常皮膚の組織を臨床検体より 得た。ケロイドと正常皮膚の

miRNA

発現比較を、組織より採取したケロイド由来線 維芽細胞(KF)と正常線維芽細胞(NF)を用いて

miRNA

マイクロアレイ及び

TaqMan

リアルタイム

RT-PCR

で行った。

miRNA

の標的遺伝子の検索を

3

つのウェブデータベ ースを用いて行った。予測された標的遺伝子の

mRNA

の発現比較を、リアルタイム

RT-PCR

で行った。同定された

miRNA

の機能評価を

miRNA

の過剰発現及びノックダ ウンの下にウエスタンブロッティングとレポータープラスミドを使用したルシフェ

(2)

ラーゼアッセイで行った。

miRNA

の発現量変化に対する

DNA

メチル化の関与の有無 をメチル化特異的

PCR

法で検討した。

結果と考察

miRNA

マイクロアレイ及び

TaqMan

リアルタイム

PCR

を使用した

KF

NF

miRNA

発現比較は、

KF

ではマイクロ

RNA-196a (miR-196a)

の発現抑制とマイクロ

RNA-142-3p (miR-142-3p)の発現増加があることを示した。また、これらの miRNA

発現が培養環境の影響を受けて変化することも示した。ウェブデータベースを用いた 標的遺伝子の検索は、

miR-196a

がケロイド病態の中心的役割を担っていると考えられ ているⅠ型及びⅢ型コラーゲンを標的遺伝子として持つ可能性があることを示した。

また、Ⅰ型及びⅢ型コラーゲン

mRNA

の発現比較は、

KF

では

miR-196a

の発現低下 に対応する形でⅠ型及びⅢ型コラーゲン

mRNA

の発現が増加していることを示した。

この結果、ケロイドでのコラーゲンの過剰産出に

miR-196a

の発現抑制が関係してい る可能性あることが示された。

miR-196a

の過剰発現及びノックダウン下に行ったウエ スタンブロッティングは、

miR-196a

がⅠ型及びⅢ型コラーゲンの発現に影響を持つこ とを示した。また、COL1A1及び

COL3A1

3’非転写領域を含んだレポータープラス

ミドを使用したルシフェラーゼアッセイも

miR-196a

がⅠ型及びⅢ型コラーゲン遺伝 子の発現に影響を持つことを示した。メチル化特異的

PCR

法は、ケロイドでの

miR-196a

の発現低下には

DNA

メチル化が無関係であることを示した。

以上より、

miR-196a

が皮膚線維芽細胞でⅠ型及びⅢ型コラーゲンの発現に関与して いることが示され、

miR-196a

の発現低下がケロイドにおけるコラーゲンの過剰産出の 原因の一つであることが確認された。また、

miR-196a

を標的とする治療が皮膚線維化 の治療に結びつくことが示唆された。

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