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教 育 委 員 会 制 度 の 問 題 点
前 野 喜 代 治
Ⅰ は じ め に
日 数育委 員会制度 の経過概 観
地 方教育行政制度 の板木 的改 革が,米 国教育視察団の報 告書 に よって勧告 さ れた のは,昭和
21年
4月の ことであ った。 それ は,戦後 の教育改革 の一環 と し て,教育行政機構 の地 方分権化,民主化,独立化を実現せ ん とす るものであ っ た。 わが教育刷新委 員会は, この勧 告の線に沿 って検討 し
,21年
12月
27日,政 府に対 して,教育行政機構 の改革に関す る第 1回の答 申を行 った。だが,それ は,極 め て短期 間に立案 された とい う事情 もあ って,頗 る抽象的 な ものであ っ た。 そ こで同委員会は,引 きつづ き教育行政 の刷新 につ いて具体的 な審議 を進 めた。 その結果
,23年
4月に至 って さきの答 申を敷桁 し具体的方策を再答 申 し た。文部省は これ らの答申の趣 旨を尊重 して法 案 の作製 を急 ぎ,
23年
6月,
「教育委員会法案」 を国会 に上程 した。 そ して若 干の修正が行われた後, 同法 案 は成立 し
,23年
7月
15日に公布 された。
か くて同年
(23年)
10月
5日に第一 回の教育委員選挙が行 われ,
11月
1日に は全国の都道府県,
5大市 のほか任意設置 の
21市
,16町,
9村におい て,わが 国最初 の教育委 員会が発足 した のであ った。
その後,教員委員会制度 は実施 の経験 に鑑 み,再検討 を要望す る声が各方面
に現れた。 政府 もまた改訂 の必要を感 じていたが,その確 信 あ る結論 に達 せず
全 国の市町 村t / 1実施す るこ とを
,27年
11月 まで延期す る法改正を行 ってなお も
検討をつづ けた。 しか もなお 自信を得 るに至 らず, さらに 1年 の実施延期 を図
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ったが, その延期法案 の審議 未了に よ り
,27年
11月
1日か ら全国市町村に教育 委 員会 (以下 「地教委」 とい う) を設置す ることに な った。
「地教委」 は,実施
3年に して種 々の問題点に直面 した。 日本 の国情に十分 な考慮を払 うことな く,国情 を異にす る米国の制 度を範 と して直訳 的に移植 さ れた妹 もあ ったか ら,わが国情 に適す るよ う改訂すべ きであ るとの要請が強 く 各方面に現れた。就 中教育委員の選 任方法, 「 地 教委」 と地方公共 団 体 の 長
(以下 「首長」 とい う) との職務権限,県教委 と地教委 との関係 な らびに文部 大 臣の地方教育行政に対す る責任の明確化等は早急に解 決すべ き課 題 で あ っ
た 。
この よ うな背 景の もとに,政府は教育委員会法 の取木 的改訂 を意 図 し,その 法案 の作 製 を急 いだ
。31年
3月
6日の閣議 において政府原案 を決定 し,
3月
8日,第24 国会に これ を上程 した。 この政府原案 は, さきの教育委員会法 と性 格 上に も著 しい相違 が あ ったか ら,一度 同法案が公表 され ると怒涛 の よ うな反響 を呼 んだ。有力諸新聞, 日本教育学会をは じめ各種 の学会 の反対 ,矢 内原案大 学長等 の反対声明,全国教育委員会連合体 の反対, 日教 組 の一斉早退戦術を含 む反対,全 国知事会 の賛 成,全国市長会 ・町村長会 の賛 成,地方議会連合体の 賛成等,広汎かつ激烈 な賛否の論議 が まき起 った。 この よ うな背 景の もとに, 衆参両院におい て も深刻 な様相を呈 し,民主的 ル ‑ / レを踏みに じる激烈 な対立 が延長国会 の閉会 前 日までつづ く有様 であ った。 6月 2日,無修正 の ままで両 院を通過 し, ここに 「地 方教育行政 の組織 及び運 営に関す る法律
」(以下 「現 法」 とい う)が成立 した。
現 法は,
6月
30日法律
162号を以 って公布 され, その一部 は公布 と同時 に 施 行 され,
10月
1日か ら全面的に施 行 され て今 日に至 ってい る
。( ∃ 現法改訂の胎動
現 法施行 され て今や満
8年,再改訂 の胎動を見 るに至 った。法案成立の過程
で論議 の対象 とな った諸点即 ち,H教育委員の任命制 ,( I) 地教委 の有 していた
教 職員 の人事権を県教委‑ の移譲,巨) 教育予算原案 の送付権及び教育財産 の取 得処分,収入支 出の命令権 の剥奪,( 四) 教育 長 の上級庁に よる承認制 ,匝) 文部大 臣の措置要求権等 々の諸 点において強い再改訂 の要 望が起 って来た。
た また ま,本 年
(39年)
2月
17日,教育委 員会制 度発足
15周年 の全国都道府 県教育委員会大会 の席上 ,当時 の部屋 文部大臣は祝 辞を述 べ,その中で次 の よ
うな注 目すべ き発言 が あ った。
「教 育委員会 は幾 多の試練 を経 て今 日漸 く一応 の体制r を整え るに至 ったが, 教育 の理想を達成 す るためには,なお刷新充実 を図 らねばな らない問題が少 くない。 (中略) これ ら教 育施設を民主的か つ能率的に遂 行 して行 くために 現 在 の地 方教育行政 の組織 及び運営に関す る改善 について検討 の 目を向け る べ き段階に あ るのでは ないか と思 う」
この文部大臣 の発言では,現法 の どの点を どの よ うに改訂す るか とい う具体 的 問題 については何等触れ ていないが,灘 尾文部大臣の平素 の言動の中に教育 委 員会制度 の改訂 の意 図が散 見 されていただけに,上述 の発言は異状 な反響 を 呼 んだ。 即 ち当 日の大会 では早 くも 「現行教育委員会制 度に按本的 な検討 を加 え,異に時代 の要請 と期 待に応え得 る新 らた な地方教育行政制 度 の確立を期す る」 とい う決議 を採択 した。
この決議 には, 「族本的 な検討 を加 え」 と言いなが ら,教育委 員会制 度 の本 質か ら現 法 の性格 の改訂 とい う基本 問題 に までは触れ るものでは な く,主 と し
て教職 員の人事管理面 において都道府県教育委 員会 の権板強化を意 図 してい る もの ら しか った。 それ は決議 文 の一節 に 「時代 の堆移 に伴い各都道府県相互 も しくは都道 府県 と市町村 の間におけ る教 職員の人事管理或は市町村教育委 員会 の組織 ,機 構,規模 さらには教職員 の身分及び教育機 関 の職員制 度等 について 実 際 の運営上幾 多の不合理,不都合な面が見出 され てい る」 とい う吉葉か ら, それ を推測す ることがで きる
。この よ うに人事面 におけ る都道府県教育委員会 の権限 の強化は,地教委 に と
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っては権限 の縮少 とい う結果を招 き,現法 に よる教委 の性格を教委本来へ の姿 に再改訂す るどころか,却 って益 々中央集権化へ の傾 向さえ窺 われ る
。だか ら 同大会 の翌 日
(39.2.18.),衆議 院予算委員会第二分科会で石野久男 (杜)義 員は,灘 尾文部大臣に対 し 「文部省は益 々教育行政 の中央集権化を意 図 してい るのではないか」 と詰問 した。 同大臣は 「今す ぐど うしよ うとす るものでは な い」 と答弁 してい るが, それは 「やがては何等か の改訂を加え るべ きものであ る」 ことを音 外にに よあせ てい るもの と思 われ る。
要す るに,現法 の改訂 は一部進歩的 な学者間はか りでな く,教育行政当事 者 間に もその必要 が認め られつつ あるもの と言 って よい。
匡) 本稿 のね らい
この よ うに,現 法改訂 の胎動はすでに見 られ るのであるが,その改訂 の方 向 ない し内容 は如何にあ るべ きででろ うか。単 に教 職員の人事管面理に止め て よ いか ,或は教委制度発足当初 の理会を明確 に再現す る方 向に大改訂を断行すべ きか。 まさか愈 々教委制度 の理会を後退せ しめ るよ うな改悪は許 され まい。
何れにせ よ,現法実施 8年 の経験 を積 んだ首長や教委当局者, さらに直接関 係の深い小学校長,中学校長等は, この間題 に対 しどの よ うな見解を抱いてい るのであろ うか. 本稿 では本県 におけ るこれ ら各方面 の声を聞 き,その実態を 把握 したい。 そ して教委制度 の健全 な発達 を念願す る一人 と して,各方面 の見 解 に批判的考察を加え なが ら私見を卒直に述べ ることにす る
。私見に対 し大方 の叱正 と教示をいただ くことが で きれ ば幸甚 この上 もない次第であ る
0Ⅱ
調査領域 とその方法
上 述 の意 図の下に各方面に質 問紙 を発 しその見解を聴 板 した。 質 問の領域 は
広 く教委制度 の板弁 を なす諸点にわた ってい る。 即 ち教 委設置単位,教育委員
の宝数,教育委員の選 任方法,教育長の選 出法 ・承認 ・免許状,教委 の権限,
文部大臣 の措置要求等 々広汎 な領域 にわた り,各 々若 干の項 に分 って意 見を徴
した。 そ の質 問 の全 文 を掲 げ よ う
。教 育 委 員会制 度 に関す るお伺 い
市 ・町 ・村 ・教 育 委 員会 ・小 ・中学 校 長 ( 次の各 々について貴下のお考の所に○印を願います)
1)教育委員会の設置単位
イ 現行通 り全市町村に設置す る。
ロ 小規模町村は近隣町村 と適合 して設置す る
ノ、 人口どの位か ら単独設置す るがよいか
5万
・10万
・15万
2)教育委員の定数イ 現行法逼 り
(A) 5名
(B) 3名
(C)もつと増加せ よロ 県教委 と地教委の委員数は
(A)同数 (B)異数3)教育委員の選任
川 現行法通 りの首長の任命
制( 議会の承認の上で)
回 公選
(A)一般公職選挙法で (B)小選挙区制で (C)資格制眼を厳格にした上で (D) 職業 ・政党等に一定の制限を加えた上で
4)教育長の関係
イ 市町村の教 育長は
(A)委員中か ら (B)委員外か らロ 教育長の承認制は
(A)不必要 (B)必要‑ 教育長の免許状制は
(A)不必要 B必要
5)教委の権限関係イ 地教委か ら県教委‑人事の内申権は
(A)存続 (B)県教委に一任す る (内 申権無用)
ロ 教育予算原案の送付権は
(A)ない方がよい (B)あ った方がよい‑ 文部大臣の措置要求権は
(A)認めた方が よい (B)いけない。教育の中央支配 となるか ら
6)
根本問題
イ 教育委員会制度は今後 とも存続 させ る
ロ 骨抜 きにな った教育委員会制度は無意味だ,戦前の方が よい
以上 この調 査 の対 象 はH 県 内市 町 村 の首 長 ,( I) 教 育 委 員 会 当事 者 ,E) 中学 校 長 , 囲 小 学 校 長 と し,H には郵 便 で,( I) 以下 は弘 前大学 学生 を して夏 期 休 業 中 それ ぞれ 帰 省地 を 中心 と して訪 問調 査 せ しめ た。 か くて 回収 し得 た数 は第
1蓑 の通
りで あ る
。50
第 1 表 回 収 資 料 数 及 び 分 布
注
( 1) 首長については
8市
59町村 の うち
3市41 町村 より回 答を得た。
(2)
教委以下につい ては,学生の帰省 先が普 く各郡市に わた っていないか ら,資料を得 られない郡 もある。総数(
155)が必ず しも多 くないことと共に, この調査結果の妥当性に,おのずか ら眼界のあることを断 ってお く。
Ⅲ
調 査結 果 とその考 察
日 数 育委員会 の設置 単位の問題
教 育委員 会 の設置単位 は現 行法 の如 く全市町村 (府県単位は一 応 問題 外 と し て) とすべ きか ,或 は小規模町村 は連合設置 を可 とす るか, これ についての調 査結 果は第
2蓑 の通 りで あ ったO
第
2表 設 置 単 位
この表 に よれ は, 首長の
64%は現 行法 を支持 し,そ の他は概 して連 合設置 を
希望 してい る。特 に小学校 長に この支持 者が多い
(76%)。設置単位 の適正人
口を
5万 となす ものがほぼ一 致 した見解 であ る点か ら見 て,′ ト規 模町村 は連 合
設置すべ きこ とにな る
。果 して何れが是か。
抑 々教 委 の設置単位につい ては,立法 の当初か ら問題 であ った。 旧法 の政府 原案 では,人 口 1万以上単方 虫設置, 1万以下 の町村 は連 合設 置 とい う案であ っ た。 それが国会審議 の過程 で,人 口
1万以下 の町村 で も財政 その他 の条件 で単 独設 置 も可能 で ある場合 もあ るとの考えか ら,原則 と して全市町 村に設置す る が,必要 な場合は連 合設置 とい うよ うに修正 された (旧法第
3条)。
しか し
,25年
9月に 日教 組は教委設置単位を都道府県及び
5大市に止め,市 町村 に設置す ることに反対す るとい う方針を打 ち出 した
。25年
12月,地方行政 調査委員会 では, 「市は必置,町村は任意」 とい う考えを政府に勧 告 し て い る
。また,文部省 内に設 け られた教委制度協議 会 も
26年
10月に 「個 々の町村 に まで教委設 置を義務付け るのは,教育行政 の民主化 ない し地方分権化 には貢献 す るが,他面行政 の非能率を もた ら し教育 その ものの振興 を阻害す る」 とい う 結論 を文部大臣に提 出 してい る。 さらに,政令改正諮問委員会 で も,人 口
15万 以下 の市町村 の教育行政は県教委が掌 るべ きだ とい う見解 を明 らか に し て い る
。この よ うに全市町村 に教 委を設 置す ることは,各方面 よ り甚だ疑 問視 され て いたが,未だ法改正に まで至 らず
,27年
11月か ら とにか く全面設 置 された ので あ る
。全面実施後全 国知事会は直 ちに 「地方制度改 革に関す る意見書」 を発表
(27年
11月
15日) し,教 委制 度は 自治行政全体を甚だ しく綜合性 と均衡性 を失 わせ るものであ ると して反対 の意を明 らか に し,全 国町村 長会は,教 委は市町 村長 の諮問機 関 とせ よと主張 した。
この よ うな首長 の見解 に対 して, 中央教育審議会は教 委制度 を存続す ること
は勿論 の こと, その設置単位 も現 行法 (旧法)通 りとい う態度 を堅持 した。 文
部省 もこの方針を貫 くことには変 りは ないが,首長 の主張た る 「行政 の綜合的
運 営 の 円滑 化」 とい う点は無視 で きず,一方 日教 組勢力 の分断 とい う意図 もあ
って,全面設 置 の方針 を貫徹 しなが ら,教 委法 の大改訂 を図 り, ここに現法 の
一 口 一 山h i i i i ii ii
iii E
52
出現 を見 るに至 った のであ る
。以上 の経過 で も明 らか な通 り,教委設 置単位 の問題 は今 なお問題視 され てい る
。だが,私見に よれ ば,町村合併 も著 しく実現 した今 日では,町村 の規模 も 教 委制度 の発足 した当時に比 し大幅に拡 大 され た。 本県 の場 合,
3市
165町村 か ら 8市59町村 となった。 また教 委 の運 営 も次第 に習熟 して教育行政 の非能率 を もた ら してい るとも思 われ ない。 さらに地方 自治 の綜合性 と均衡性 は 旧法 に 比 し著 しく改善 され てい る
。だか ら現行法通 りに全市町村に教委を設置す るこ とを原則 とす る方が,地方 自治権 の確立 とい う点か らも望 ま しい。但 し,町村 の事情 に よって一部事務組合に よる設置 も認め るべ きであ ると考え る
0目 数育委員 の定数 問題
この間題に対す る今度 の調査結果は次 の第
3表 の通 りであ った。
第
3表 教 育 委 員 の定 数 問 題
この裏 で知 られ るよ うに,教育委員 の定数は
5名が適当である となす ものが 圧倒的 に多い。増 加説但) も 3 名論 ( 0) も論 ず るに足 らない。 また,県教委 と地教 委 の委員数 は同数 で よい湖 となす ものが最 も多い。ただ 首長におい て異数 が よ い㈱ との主張 が㈲ とほほ接近 してい る ことに注 目 したい。県教委は現法第
27条
・第
51粂等 でその権限 ない し使命が地教委 のそれ と異 るものがあ る点か らの配
慮 と思 われ る
。私 見に よれ ば,教委は 合議 制 の執行機関 と しての機能 を保持す
る上 か らも,その能率化 とい う点か ら も県教委 も地教委 も同数 の
5名が必要か つ適当 な定数 であると思 う
。県教委 と地教委は その処理すべ き事務の規模 と性 質 を異にす るもの もあるが,具体的事務 の執行 は事務局で これを行い,教委 自 体は行政方針 その他重要事項 を決定す る合議 体であ るか ら,委員数 に差 異をつ け る必要は ない。
なお,現 法第
3条但 し書
(3名 も認め ること)は,特 に弱小 な町村 の場合を 考慮 した ものであろ うが,教育長,委員長を含め ての
3名の委員では合議体 と
しての意味 をなさないか ら, この但 し書 は削除すべ きもの と考え る。
巨) 教育 委員 の選任 問題
教育委員 の選 任につい て,現 在 の任命制 が是か, 旧法 の如 く公選制 を採 るべ きか最 も異見のあ るところであ る
。初めに今度 の調査結果を第
4表に示 してお
く。
第
4表 教 育 委 員 の 選 任 問 題 項
公
教育委員 の選 任方法 については,首長 とその他 との見解が匝め て鮮明に異 る ものが ある。第
4蓑 の示す如 く,首長 の
86%は抑 即 ち現行法通 りの任命制 を主 張 し,その他は それ ぞれ
71%,84%,82%の絶対高率を以 て回即 ち公選制 を要 望 してい る。 この間題は今度 の調査におい て偶然に この よ うな鮮か な対立を見 た のに止 まる ものでは ない。実に委員 の選任 の問題は,単 なる手続の問題では な く,教委 の性格に も関連す る重大 な基本問題だか らである。
周知 の如 く旧法では公選制 であ ったが
,26年
9月 に地方行政調査委 員会が,
54
同年1 0月 に教育 委員会制度協議 会が, 同年11月 に政 令改正 諮 問委員会 が何れ も 任 命制 を主張 した ので あ って,教 委設置 単位 の問題 と並んで教 委制度改革 の焦 点 であ った のであ る。
抑 々旧法 の公選制 を廃 し現 法 で任命制 を採 用す る よ うに な った理 由は何 で あ った のか。
国会 で現法 案 の審議 の過程 で政 府が直接 公選制 の欠 点 と して挙 げた ところを 見 る と,ド) 選挙 費がか か って委 員 と しての適任 者が立 候補 しない,( =) 大都市で は組織 票 (日教 組 な どの) が多 くなる,伝) 野心家が立 ち適任者は選 挙 を嫌 って 出席 しない等 の点を指摘 してい る。 また ,灘 尾文部大 臣は教 委 の政治的 中立 の 角度 か ら , 「公選制 では或 る政党 が全委 員を独 占 し,教育 の 中立制が失 われ る こともあ り得 る」 旨を述 べ,任命制 に改訂す べ き ことを主張 した。 この よ うな 立場 か ら,現法第
7条 の
2・3項 には 「委員会 には 同一政 党 の委 員が
3名以上 (委 員 の数が 3名 の場合 には 2名以上 ) い ては いけ ない」 とい う趣 旨を規 定 し 教育 の政治 的 中立 を確保 す る措置 を講 じてい るのであ る。 即 ち教育委員 の任命 制 と同一政 党 員 の制限 とに よって教 育 の政治的 中立 の原則 を確 立 しよ うと した ので あ る。
政 府が公制 を廃 した今一つ の理 由 と して,教 育委員選 挙 の投 票率 の低 か った ことも挙 げ られ る。次 の第
5蓑は
3回行われた教育 委員選 挙 の漠 票率 を示す。
第
5表 教育委員選挙投票率
這這‑
讐 it23年度
j 25 〜 27全 国
̲し52L%L竺 空注 l l ) 全国及び東京都の数字は,尾形裕康監 修教育委員会制度の研究5
9頁によるご
(2)本県の数字は東奥 日報,23,1
0,7何.
25,
l
l,12付2
7,10,7f 寸の記事による。
第
5表 の示す通 り,全 国平均 は何れ の年度 の選挙 で も漸 く
50%台で あ り,本県 の場合,27 年度 は知事選挙 と同 日に行 われた関係 もあ って6 5%余 とな ってい
るが,全体的 に決 して高 い投票率 では ないo 東京都 におけ る驚 くべ き低 率 を見
てほ選挙 もナ ンセ ンス と言 う外は ない。
なお注 目すべ きは,地教委 の委員選挙 の場合に相当多数 の無投票地区 (対立 候補がないため,投票 を行わないで全候補者が委員 とな る地区) が多か った こ
とであ る。第
6蓑は これ を示す。
第
6表 無投票地区
蒜‑ 聖! 市 部 l 町村 部 L
馴 23,25両年度餅 ,皇至遺著 「 市町村教育委員 会の実態→1
8頁によるo表中 2 2 T とは・調査回答
22市中2 市が無投票であったことを示す。以下同 様。
(21 27
年度分は,全国町村会編 「全国 町 村 会 史」
508
貢よる。
第
6蓑に見 るが如 く,町村 の場合,23 年には約
6割,25 年には
7割 までが無 投票地 区であ る。本県では27 年1 0月
4日 (選挙 の前 日) の立候補状況は次 の通りであ った。 青森
8名,弘前
6名,八戸
6名,無投票3
5地区で残 る
125町村で 投 票が行われ ることにな った。 だか ら本県 の無投票地区は約
2割 で あ っ た。
(27.10.4付 日報)
以上 の よ うに全国的に投 票率が低 く,かつ無投票地区 の多か った原因は,敬 委制度 の趣 旨やその活動が十分 に国民に徹底せず,一般 の理解程度が低 く関心 が薄か った と考えざ るを得ない。 少な くとも国民 の7か らの盛 り上 る熱意に よ
って教委が設置 され運営 され てい る もので なか った ことはは っき り言え る。
この よ うな教 委に対す る国民の意識 と,数回 の公選 の結果 とに鑑 み,教育 の 中立性 の確保,教育委員の適格者の珪得,経費 の節約等 々の理 由で政府は断乎 任命制 に踏み切 った もの と考え られ る。
しか し一度現 法案が発表 され公選制 を廃 し任命制が明 らか とな った際 きび し い批判 を受けた。31 年
2月26日の 「朝 日」はその社説 で
H教委 の政 党色が濃厚
とな る,( I) 首長U )代 る度に教育方針が動揺す ると論 じ,その他各学会,所謂1
0大学長等 々か ら反対の集 中砲火を浴びた。
56
踊 って任命制実施
8年 の実績は ど うか。 私 の見 る ところでは,当初憂潰 され た教委 の政党色の濃化,教委が政党員で支配 され てい るとい う事実は殆 ん とな い と思 う。 「朝 日」 が指摘 した よ うな首長 の代 る度 に委員 の色彩が変 り,教育 方 針が ぐらつ くとい う事例 も顕著 に現 われ てい るとは思わない。 に も拘 らず公 選制復活 の要望 は各方面に聞かれ ,今回の調査で も第
4表に見 る如 く,学校長 等は圧倒的多数 で公選 を希望 してい る。 その理 由は何 であろ うか。
私見に よれ ば,教育 の中立性 の喪失 とい う点か らでは な く, また教育 の民主 化が後退 した とい う意味か らでは な く,教育委員 の 「首長へ の侍女化」 とい う
ことが最大 の理 由であ る と思 う。 首長か ら任命 された委 員の立場 と して,首長 に対 し強 い態度を と り難 い場合 もあろ うこ とは一応考え られ るが,結局は委員 の職責 に対す る自覚 の問題である。委員は首長 の盲従者ではな く,教育振興へ の献身 者でなければ な らない。 この自覚 の もとに,首長 の侍女では な く,む し ろ教育 に関 しては首長 の啓蒙者,鞭軽者た らね ばな らない。 委員が この使命に 徹す る限 り,公選制た ると任命制 た る とを問わ ない筈である
。公選制 の主張 者 達 は, この よ うな委 員は公選に よってのみ得 られ るとの 白信に基づ くのであろ
う。
だが,従来 の選挙 の実績か ら見 る と, 政 党色が強 くでた り, 徒 らに首長 との摩
擦 が多か った りして決 して満足すべ きものでは なか った。 金のあ る野心家か組
織的地盤 のある者で なけれ ば当選で きない とい う事実 もあ った。 そ こ に 選 挙
方法 の改善論が拾頭す る。現行 の公選法では候補者を よ く知 ること が 困 難 だ
か らとい って小選挙区説 もで る
。小選挙区制 は金 も多 く要 しないであろ うとい
う賛成 者 もで よ うが, その選挙区割 を ど うして定め るか,た とえそれ がで きた
と して も,選 出された委 員が地区代表に堕す る危険は十分 にある
。また,組織
力や財 力のあ る者以外 は当選 で きない とい う点を改め るために,選挙公営制 の
徹底を主張す る者 もあ るが,それは財政的に も技術的に も頗 る困難 な 点 が あ
る9委員の資格に一定 の制限を加えた り,同種 の職業や政党に制限 を加え る案
・ ・ . : さ 簿
57
が学 校長か ら多 く支 持 され てい る (第
4表参 照) が, それ も事実上 可能 であ ろ うか。
この よ うに見 て くる と,公選説 は観 念的 には理想 で あ って も,現実 的 には必 ず しも最 良 では ない。 私 は任 命制 の改善 こそ現実 的 な最勝 の途で あ る と 考 え る。 任命制 の改善 とは根本的 には首長が真 に委 員 の適材 を推挙す る よ うにす る こ とであ る
。そのた めに,首長 の独断 を防 ぐ意味 におい て,予め委 員選 考 の分 野 を定 め てお くとか ,推せ ん母 体 を設 け て適材 を推せ んせ しめ その内か ら選 任 す る とか ,特 に議 会が首長 の推せ ん者を厳 格に審 査す る権限 を強 化す る とか種 々の方 途が 考え られ る。 政 党 色を防 ぐた め には政 党人 は 2名以上 に な ら な い
(現法 は
3名以上) よ うに法改 正す る必要 もあろ う。
何れ にせ よ任命制 は首 長 の良識 と賢明 さを前提 とす る。 首長 は委 員 の選 考 に 当 って現法第
4条 の趣 旨に基づ き,一切 の情実 を排 し,人 格高潔 で教育 に対す る高 い識 見 と熱 情 とを有 し,地域住 民 の信頼 を得 て教育 を負 荷 し得 る人材 を任 命す る こ とが肝要 であ る
。この意味 にお い て,今秋 の本 県 内多数 の町村 におい て委 員 の改選 が行 われ に当 り,県教育 長 が当 該首長 に対 し,次 の通達 を発 した こ とは機 宜 の措置 で あ った と思 う
。県教育長通達 「教 育委 員 の改選 に当 っては広 い現 野 に立 って大局 的 な見地か ら公 正適格 な判 断 を下 し得 る人材 を選 任す る こ と」
首長が委 員 の任命 に慎 重 を期 す る と同時 に,地域住 民が委 員 の教 育 行政的 活 動 に対 して常 に高 い関心 を払 い,苛 も首長 の侍女 と して安住 し,積極 的に教 育 振興 に努 力 しない とか ,或 は権威 の高座 にあ って徒 らに教育 関係者を威 圧 した り,地域 住民 の教 育へ の悲願 を無 視す る場合 の如 きは断乎解 職請 求 (現法第
8条) を敢行 す るだ け の積極 的 な関心を払 わ なけれ ばな らない。
囲 教育長 関係 の諸 問題
現 法第
16条 に よれ ば,地教 委 の教育長 は委 員 の中か ら選 任 され る ことに な っ
てい る。教 育長 の職務 の重要性 か ら見 て,県教 委 の場合 の如 く委 員外か ら適材
68
を求め る必要 は ないか。 また ,県教育 長 の任命は文部大 臣 の,地教 委 の教育 長 は県教 委 の承認 を要 す る現行規定 は果 してそ の必要が あ るのか,抑 々教 育長 の 重責 を果すた めに何 等か の免許状制 は必要 と しない のか。 これ ら諸 点に対す る 今 回の調査 結果 は第
7表 の如 くで あ った。
第
7表 教 育 長 関 係 の 諸 問 題 項
戟
抑
教 育 長選任方法
第
7表に よれ ば,現 行法通 り,委 員 の中か ら選 出す るを可 とす るものが ,首 長 では約500 /
0,教 委 で
は600/
0,校長 では約400 / oとな ってい る
。従 って学校 長 で は委 員 外か ら求む べす となす ものが 多数
(60%)であ る
。全体 と して現行法に 対 し賛 否ほほ半 ばす る とい う結 果 が出た。
元来,現法 で地教 委 の場合は委 員 中か ら教 育長 を求 め る こ とに な った のは, 教育 の政 活的 中立 と教 育行政 の安定 の確保 が損 われ ない限度 におい て,行政機 構 の簡素 化を図 る こと及び財政負担 の考愚 もあ って採 られた措置 であ ると思わ れ る。
しか し,私 は次 の諸 点で疑 問があ る
。その日 は首長が委 員を任命す る際,敬
育 長適任者を考窟す るを要す るわけで あるか ら,教 育長 は委 員会 で委 員 中か ら
選 任す るとい って も,事実上首長がすでに教育 長 を内定 して しまってい ると い う点であ る
。疑 問の( I) は教 委 の所謂 L ,‑マ ン ・コ ン トロ‑ルの考え方 を破 る ものでは ないか とい う点であ る
。委 員の中で
1人が教育専 間家 であ って も, レ
‑マ ン ・コ ン トロ‑ル の原則を破 るものでは ない とい う反論 もで よ うが,教育 長た るに適す る委 員は
1人 とは限 らないであ ろ うか ら, この疑 問は 解 消 し な い。 第
3のそ して最大 の疑 問は次 の点であ る
。教育 長が 同時に委員長を兼ね る ことも法 律上差 しつかえ ないか ら, そ こに教 育 長独善 の弊を生 じ,合議制 の行 政委 員会 と しての体 をなさない場合 もあ り得 るとい う点 であ る
。委 員定数
3人
の場合 な どその極 端 な事例 であ る
。この よ うに種 々疑 問が あ るに拘 らず,現法 では地教委 の教育 長は委員 中か ら 選 任 され る規定 であ るか ら,今秋 の委 員の改選 に当 って,県教育 長は次 の通達 を当該 首長に発 した。
県教育 長通達 「今回任期 満 了 とな る委 員が教育長 であ る場合は当然教育 長 と し て失職す るので,後 任委 員 の選考に当 っては,兵に住民 の信頼に応 え得 るよ うな指導 的人材が教育 長 と して得 られ る よ う配慮す ること,教育長は教育 の 振興 に果す役割が極 めて重大 であ るので,教育的信念,行政管理事務能 力, 過去 の実践,学 力,年齢等総合的に配 置 され たい」
この通達が言 う通 り,教育 長 の使命 は重大 であ るに も拘 らず,小規模 の町村 では人材難 こ陥 り, または老齢化 しその活動が消極 化 してい る
。文部省 の調査 に よる と現法施行当初 の
31年度は
60歳以上 の教育 長は全体 の
23%で半数 は
50歳 台であ ったが
,38年度 には全教育 長 の
51%が
60歳 以上 に な ってい る
。(39.ll.3.付東京朝 日夕刊)
。かれ これ考え合せ て私 は,地教委 において も広 く委 員外か
らそ の適 任者を簡接 して任命 され る よ う法律改訂 を強 く要望す る。教育 長
1人
を委 員外か ら求 め ることに して も,行政機構が著 しく複雑化 した り,財政的圧
迫 が過度 に強 くな った りす る心配は殆 ん どあ るまい。 町村財政 の援助 のた めに
文部省は,教育 長 の給与 の補助 を増額 こそすれ ,打 ち切 るよ うな措置を とって
6 0
はならない ことを要望 してお く
。 (ロ)教育長 の承認 問題
教育長はそれぞれ上級庁 の承認 を要す るとなす現法は,その法案の国会審議 の過程で も大 きな論争点であ った。 「朝 日」 は 「これは地方分権か ら中央集 権 へ の逆転である
」(31.2.26付) と反対 した し, 日本教育学会は 「地方 自 治 の 本旨に背 き,教育行政 の面か ら地方 自治 の根幹を崩す ものであ る
」(31・3・15)と反対声明を発 してい る
。このよ うな反対があ るに も拘 らず,敢 て承認制 を強行 した のは,現 法 の全体 的色調が 「文部省 の都道府県に対す る,都道府県 の市町村に対す る積極的 な指 導,助言,援助 の体制 を立 てる」 とい う所謂 「連携 の原則」に立脚 し,その一 環 と して とられた措置 であ ると思 う。
私 も地方教育行政が 中央教育行政 と孤立 して独善的に行わ るべ きでない,十 分 な連携 の もとに行わ るべ きであ ると考え る
。だが,十分 な連携は承認制 を強 行 しなければ絶対にで きない とい う道理はない。承認制は,連携 の名のもとに, 実はそれぞれ下級庁 の自主性 の侵害で もあ り,要す るに不信頼だ と言え る
。今 回の調査 で も,第
7蓑 に見 られ る如 く,首長 も現教委 も小学校長 も 「不必 要」 となす ものが 多い。 「朝 日」 の論ず る如 く,承認制は 中央集権へ の太いパ イ プとなってい る
。透かに この承認制は廃 さるべ きものと考え る
。困 教育長 の免許状制
現 法第
17条
1項 及び第
22条
1項に規定す る通 り,教育長は教委 の権限に属す
るすべ ての事務を掌 り,事務局 の事務を総括 し,所属職員を指揮監督す る立場
にある。実に教育長は委員会が決定 した方針を具体的に執行す る責任 を有す る
のであるか ら,行政的に も練達 した人材であ って,助言を通 して委員会 の方針
決定を誤 ら しめない よ うな能力 さえ必要 とす る
。この よ うに専 門的知職 と行政
的 な能力 と識見 とを有 しさえ しれば,免許状 の有無に関係 な く,広 く適格者を
求めて任用す るとい う方針が現 行法 なのであ る
。即ち旧法に見 る任用資格を削
61
除 したのであ る
。このよ うな現法に対 し,第
7表で見た如 く首長の
70%は現法を支持 し,現教 委及び 中学校長は賛否相半ば し,小学校長 の
60%は免許状制を要望 してい る。
これは現法に よる地教委 の教育長は, よ しや行政的能力はあ るにせ よ,教育に 対す る専門的 な知職に乏 しく,そのため教育現場 の要請が無視 され勝 な場合が 少 くないか らであろ う
。事実 この よ うな事例が屡 々見受け られ る。
元来,教育長は専 門職た るべ きことが教委制度 の通念であ る。 この立 場か ら 私は さきに教育長 を委員外か ら求め る方が よ り適格者を求め得 ると した のであ るが,その実を全 うす るために任用資格制 を復 活すべ きことを要望す る。尤 も その資格は教育長免許状 1本に限定 しないで,教 員免許状 を以て これに代え る 途 を開いてお く必要 はあ るであろ う。 この よ うに免許状 を拡大 したな ら,学校 長は挙 って必要論 者 となった もの と考え られ る
。( 5) 教委 の権限 問題
教委 及び首長 の織務権限につ いては問題点が頗 る多い。 ここでは現法第
38条 に よる地教委 の所謂人事 内申権 の要否, 旧法
56条に よる教育予算原案の送付権
同63条に よる所謂教育予算 の二本建制 の復活の要否及び現法
52条 の文部大臣の 措置要求権の要否, この三点に限 って調査 した。第
8表はその集 計 結 果 で あ る。
抑
地教委 の人事 内申権 問題
この間題に対 しては,各方面 とも一致 してその存続 を要望 してい る。ただ県 教委は,公立学校 の教 職員の任命権者は県教委 であ り,その給与は県費負担で あ るか ら,全県的視野に立つ人事行政 を行 うために,地教委 の人事 内申権を削 除 したい とい う方 向にあ る
。文部省 も内心 これに同調的であ り, さらに同一府 県内のみ な らず府県相互間の人事 交流 の よ り円滑 化を図 りたい意 向のよ うであ
ら (本稿
1「は じめに」参照)
0さて , 旧法では地教委が当該管内の教 職員の任命権を有 してい王 のであるが
62
第
8表教育委員会の権限問題 項
現 法 で は 任 命 権 者 は 県 教 委 に 移 り, 地 教 委 は 内 申権 のみ を 有 す る こ とに な った (現 法
38条)
。そ こで 任 命 権 と内 申権 と の関 係 は ど うか 。 「地 教 委 の 内 申 に 対 して県 教 委 は そ の 内 申 にす べ て 拘 束 され る も の で は な い が , 内 申 を また ず に 任 用 そ の 他 進 退 を 行 うこ とは で き な い」 (施 行 通 達 ) の で あ る。 も と も と, 地 教 委 に 人 事 の 内 申権 を 認 め た の は 次 の理 由 に よ る
。即 ち地 教 委 管 内 の教 職 員 の身 分 は 当 該 市 町 村 の公 務 員 で あ り, 従 って教 委 の職 務 上 の命 令 に服 し, そ の 職 務 に 服 す る の は 当 然 で あ る。 また ,教 職 員 の服 務 情 況 の監 督 は 当 該 地 教 委 の責 任 で あ る (現 法
43条)
。地 教 委 の こ の よ うな地 位 か ら, 服 務 の監 督 者 と して の意 見 を反 映 せ しめ るた め に , 地 教 委 の 人 事 内 申権 が 認 め られ た の で あ る
。県 教 委 は 任 命 権 者 で あ って も, 地 教 委 管 内 の教職 員 に 対 して服 務 命 令 を 出 した り監 督 した りす る立 場 で な い 限 り, 地 教 委 の 内 申権 は 今 後 と も存 続 さ るべ きで あ る
。県 教 委 が 全 県 的 視 野 か ら適 切 な人 事 交 流 を行 うこ とは 是 非 必 要 で あ るが , そ れ は 地 教 委 の 内 申 を ま った 上 で , そ の権 限 に お い て断 乎 これ を 行 え ば よ い。 地 教 委 の 内 申 権 を 剥 奪 しな け れ ば 全 県 的 な適 正 な人 事 は 行 い 得 な い こ とは ない 筈 で
あ る。
回
教育予算原 案の送付権 問題
第
8表 で見た如 く,教 委 の教育予算原 案の送付権につい て,首長 はこ れ を認 めず (即 ち現法支持),そ の他はすべ て強 くこれ を要求 してい る。 また,所謂 教育予算 の二本建制 につい て も同様 な対立が首 長 とその他 との間には っき りし てい る。現法 の趣 旨は,首 長 と教委 との関係を調整 して教育行政 の 円滑 な運営 を図 ら うと した もの,所謂 「調和 の原則」 を確立 しよ うと した ものである。 し か し,何 とい って も教育 予算原 案や条例案 の二本建制 を廃 し,教育財産 の板得 処 分,収入支出 の命令権を首長に移 した ことは,教委 自体 の著 しい後退 であ る ことを認 めざるを得 ない。だか ら,現法 案 の国会審議 の過程 におい て, 国会 の 内外を問わず, この点が激烈 な論争点 とな った のであ る
。ここには当時 の過激 な煽情的 な反対論 を再説す るよ うな愚 をや めて端的に絶対必要 と考え られ る二 点 につい て私見を述べ よ う。
その‑ ほ,地方 自治体 の首長が教育 に高い熱意 と努力 とを払 うことを強 く要 望す る。 地方 自治行政全体 の総 括的 代表 者た る権限が首長に与 え ら れ て い る (地方 自治法第
197条
,149条
,180条等)以上,教育予算 の編成権 もまた 首 長 の手 中にあ ることは当然 と言 って よい。 この際首長が教育 の重要性 を理解 し, 現 実 の教育実態を把握 し,その振作 向上 のた めに強 い熱意 と絶大 な努力 とを払 うことを強 く要望 した い。 その際特 に注意を換 起 した い ことは,現法第
29条に 見 られ る教委 の意思反映 の道 を強 化す ることであ る。 同条 の 「教委 の意見を き か なけれ ばな らない」 とあ るのを, 「教 委の意 見を ききこれ を尊重 しなけれ ば な らない」 と法改正す ることを私は強 く要望す る。 ここに 「尊重」 とは単に 「 聞 きお く」 ので な く,聴坂 した意 見を必ず予算面に実現せ しめる義務を負 うと い う意 味 であ る。
要望 の第二は現法第
24粂第
5項 を削除 し, これ を教委 に移譲す る こ と で あ
る。 それ は地方 自治法
180条 の
6第
3号の特例 を認め ることである
。特に す で
に決定 した教育予算 の執行 に当 って支 出命令権を教 委に委任す ることは絶対 に
64
必要 である
。収入及び支出の命 令権が首長 の職務権限 とされた のは,首長が予 算執行 の総 括者であ り, その適正 な運営について責 任を負 うた めである
。しか し,教委所 掌の事項 の処理は教委 であ り, その処理 にはすべ て費 用を 必 要 と し,支出命令を伴 うもので あるか ら,支出命令権が教委にない場合に事務 の円 滑 な運営を期す ることがで きない。 この意味 において, 旧法第
60条を復 活 し, 支出命令権 を教委 に与 え,収入命令権を教委 に委 任す るよ うに関係法令 を改廃 す ることを切 に要望す るものである
。困 文部大 臣の措置要求権 問題
現 法第52条 の示す文部 大臣の措置要求権 につい て,第 8表では, これ を是認 す るものが相当に多い。 わが国教育 の現段階 の事情 では,私 もこの条項 の存在 意義を認 める
。首長や教委の行 う教育事務 の管理や執行が,法令 の規定に違反 してい ると認 め られ るとき, または著 しく適正 を欠 き,かつ教育本来の 目的達 成に阻害 してい るとい うよ うな事態に対 してほ,国 と して看過すべ きでない。
法令 の実施を確保 し,教育本来の在 り方 を護 り高 め る見地か ら是正 または改善 の措置 を求め ることは,国の教育全体に対 して責 任を負 う文部大 臣の責務であ るか ら, この よ うな規定が定 め られた もの と考 える。
但 し, この条項 は文部大 臣 と して最後 の処置 ,伝家 の宝刀であ るか ら軽 々 し く抜 くべ きものではない。何が法令に違反 してい るか,果 して教育本来 の 目的 達 成に著 しく阻害 してい るか の判断は軽 々 しく文部 大臣の主観 で決定 され るべ きではない。 も しこれが軽卒に行 なわれ るな らば,それ こそ不当な権力統制 と い う重大 な事 態 とな る
。呉 々もこれが行使は慎重 の上 に も慎重 を期 し,十分か つ完全 な調査の上 で絶対必要 な場合に限 って行使 さるべ きものである
。Ⅳ
お あ り に
教育委 員会制度 は今後 も存続すべ きものであ るか,それ とも著 しくその性 格
を後退せ しめ骨抜 き状 態 と言 われ てい る現制度 よ りも,む しろ従来 の如 く首長
の一部局 となす方が よいか との最後 の間に対 し,第
9表 の示す通 り圧倒的 多数 を以 って教育委員会制度 を存続 せ よとの結果が現れた。
第
9表 教 委 制 度 の存 否 問 題
教 委 制 度 の 存 否
項 目 1 ㌔。 戸 惰 2 4 軍閥' 5‑ B i F / 」 、 ' 岩欝長
∴ ∴ ∴ 二 二 : :::‑ 二
:I
: ‑ 子 エロ 禁碧とた現制度は無意味だ・従前の方 l1
0 1 3 1 6i
‑ どちらとも俄かに断定できない 1
11 1 2 第
9表 で,首長におい て約
20%,そ の他におい て も若干 の否定 者, 即ち後退 した現制度 の教委 は無意味 であ る,む しろ従 前の如 く首長 の部局 と しての教育 行政方式が よい となす 者が あ ることに,深い注意 を払 う必要が あ る
。教委方式 の存続 を認 め る ものが多数だ とい って も,現行法そのままを無条件 に支持す る ものは全 く1人 もなか った。必ず上来見 て来た諸項 目中の何れか の点を改訂 し た上 で存続せ よとなす ものであ る
。私 も教委制度 は必ず存続 せ よと主張す る
。だが ,現行法 を改訂 した上 での こ とであ る
。どの点 を どの よ うに改訂す るか,それは既に各項 で論 じて来た こと であ るが, ここにその要 点を約説 しお こ う
。( 1 ) 教委設置単 位は現行法通 り,改訂 の要 はない。
( 2) 教育委 員の定数は,県教委 ・地教 委 とも 5 名。
(3名は認めない よ う改 訂せ よ)
(3)