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2  水素親和性ナノ粒子を分散させた高効率の水素分離膜

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Academic year: 2021

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科 学 技 術 動 向 2006 年 10 月号

4 Science & Technology Trends October 2006 5

  ナノテク・材料分野  TOPICS NanoTechnology & Materials

 従来の主流である水素製造方法では、約 800℃の高温下で行われる天然ガスの水蒸気改質による吸熱 反応を用いており、そのため、熱効率の向上が課題となっている。 Z新エネルギー ・ 産業技術総合開 発機構が推進している 「高効率高温水素分離膜の開発」プロジェクトにおいて、譛ファインセラミック スセンターの研究者らは、水素の透過率および選択性に優れた分離膜の作製に成功した。直径が数〜十数 nm のニッケルなどの水素親和性粒子を分離活性層内に分散させたナノ複合多孔質シリカ分離膜で、従来 の水素製造方法に比べて 70%増の世界最高の水素分離特性を得た。この分離膜は、分子ふるい機能を有 する非晶質多孔質シリカに水素親和性ナノ粒子を分散させることで、高温における水素の吸脱着特性と 分子ふるい機能を併せ持つ。この水素分離膜を組み込んだ、膜反応モジュールの開発も実施されており、

高効率水素製造プロセスは 2010 年頃に実現すると期待されている。

トピックス

2  水素親和性ナノ粒子を分散させた高効率の水素分離膜

 水素を利用する環境低負荷型エネルギーシステ ムの構築に向けて、高効率な水素製造技術の開発 が望まれている。従来の水素製造方法は、主成分 がメタンである天然ガスの水蒸気改質反応による ものが主である。この反応は吸熱反応であり、ニ ッケル(Ni)系触媒などを用いて高温(約 800℃)・ 加圧条件下で行われているため、熱効率の向上が 課題となっている。さらに、水素の生成工程と分離・

精製工程が独立しており、これらの工程を一体化 できれば、反応温度低減などによる省エネルギー 化が可能となる。

 このようなニーズを受けて、平成 14 年度より、

C新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)

が推進する「高効率高温水素分離膜の開発」プロ ジェクトが開始された。膜による水素分離特性は、

水素の透過率と水素のみをふるい分ける選択性に よって評価されるが、これらの特性は相反する関 係にあり、多孔質膜の実用化のためには、これら を両立させることが課題である。

 プロジェクトの集中研究所である譛ファインセ ラミックスセンター(JFCC)の岩本らは、東京大 学との共同研究により、膜厚を数十から数百 nm に制御するとともに、膜の細孔径を水素分子径よ り若干大きい約 0.3nm で制御して得られる分子ふ るい機能による多孔質セラミックス膜の開発をし て、多孔質基材、中間層および分離活性層の多層 構造を、数百 nm からサブ nm のスケールで制御 したセラミックス膜の開発を進めてきた。この度、

水素の透過率および選択性の開発目標値を達成し たシリカ高効率水素分離膜の合成に成功し、従来 の水素製造方法に比べて 70%増の世界最高の水素 分離膜特性を得た(右図参照)。ここでは、新規な 分離膜として、水素のみをふるい分ける分子ふる い機能を有する非晶質多孔質シリカと高温で水素 親和性を有する Ni などとの複合効果についても検

討し、直径が数〜十数 nm の Ni 粒子を分離活性層 内に析出させたナノ複合シリカ膜を作製した。Ni 単体は高い水素吸着性を示すが、その高温での水 素脱着性は存在しないのに対して、Ni ナノ粒子分 散非晶質シリカは水素の可逆的な吸脱着特性を有 することが見出された。このような水素の吸脱着 特性が、Ni ナノ粒子分散非晶質シリカ膜の高温で の水素透過率と選択性の向上に寄与しているもの と言える。現在さらに、ナノ粒子複合シリカ膜の さらなる水素分離特性の向上とともに、分離活性 層および中間層の耐熱および耐水蒸気性の向上を 目的とした材料開発が進められている。膜反応モ ジュールの開発も精力的に行われおり、NEDO の ロードマップによれば、高効率水素製造プロセス は 2010 年頃に実用化が予定されている。

参考   岩本雄二ほか、「触媒年鑑・触媒技術の動向と展 望」、「ニッケルナノ粒子分散シリカ系高温水素 分離膜の開発」、触媒学会編、p.74 〜 p.81(2006)

多孔質セラミックス水素分離膜間の特性比較

JFCC 提供

参照

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