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著者 高坂 智子, 常田 秀子

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ペアレントトレーニングの意義と3〜4歳児の親を対 象としたプログラムの開発 (研究プロジェクト 大 学からコミュニティに向けた困難を抱える人々に対 する心理支援の実践的研究)

著者 高坂 智子, 常田 秀子

雑誌名 東西南北

巻 2013

ページ 154‑162

発行年 2013‑03‑19

URL http://id.nii.ac.jp/1073/00001980/

(2)

── はじめに

ペアレントトレーニングとは、親は自分の子どもにとって最良の支援者になる ことができるという考えに基づいて、障害がある子どもに障害の専門家が直接支 援するのではなく、親が支援者的な役割をとることができるように親に対して専 門家が行う支援のことである。親に対する支援が、間接的に子どもに対する支援 となることを目指している。

親を支援者とするという考え方は、障害児教育において1970年代から見られ、

決して新しい考え方ではない。しかし、発達支援を必要とする子どもの急増や、

親自身が子育てに支援を必要とするケースの増加に伴い、近年さまざまな形でプ ログラム化され急速に普及してきている。

本論ではまず、障害のある子どもの親を支援することの意義を整理し、従来の ペアレントトレーニングの類型化を試みる。また、われわれが計画しているペア レントトレーニングの概要についても紹介する。

1 ── ペアレントトレーニングの意義と類型化

1.ペアレントトレーニングの意義

従来一般的に行われている障害のある子どもに対する支援は、支援室に子ども に来てもらい、障害児の心理や教育の専門家が支援計画に基づいて支援を行うと いうものである。いわば「専門家モデル」と呼べるような支援である。「専門家 モデル」は、障害のある子の支援において一定の成果を上げてきたが、同時にい くつもの問題点もはらんでいた。代表的な問題点は、支援によって向上するパフ ォーマンスが支援室の中での行動に止まり、日常に般化しにくいということであ った。般化が難しいのは、支援室での行動と日常の行動では、同じ行動であって

研究プロジェクト:大学からコミュニティに向けた困難を抱える人々に対する心理支援の実践的研究

ペアレントトレーニングの意義と 3~4歳児の親を対象とした

プログラムの開発

髙坂智子

多摩市教育委員会

常田秀子

所員/現代人間学部准教授

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も子どもにとっては全く異なる意味をもつためと考えられる。すなわち、支援室 と家庭とでは、行動の習得のしかた、習得した行動を用いる子どもの動機付けの ありかた、行動を引き起こすきっかけや、行動に対するフィードバックなどの 様々な側面が異なるのである。

このような反省から、支援室を離れて、日常生活の中で行動を習得できるよう な支援計画の重要性が指摘されるようになった。親は子どもの日常生活において 最も重要な存在であり、子どもの感情や行動発達に多様な影響を与える。従って、

親が自覚的に支援者としての役割を取ることは、障害を持った子どもたちにとっ て非常に意味がある。このような、日常生活の中で親が支援的関わりを行い、心 理学などの専門家がその親を支援するようなモデルを、「専門家モデル」に対し て「保護者モデル」と呼ぶことができる。

以下に、親が支援者となることの利点を整理してみよう。

①生活文脈の中での支援となる。

親が支援者として活動することによって、日常生活の中で支援を行うことがで きる。そもそも、日常生活場面こそ子どもが多様な行動を身に付ける場であるか ら、日常生活の中で支援計画にそった新しい行動を習得することができれば、日 常で必要とされる場面において、子どもが自然に用いることが期待できる。

②常に支援が可能となる。

子どもが一つの行動を習得するためには、その行動が定着する間、集中的な指 導が必要となる。一般に支援室での指導であれば、一週間に一回程度の通室が通 例であり、その場だけの指導では、行動を習得するためには頻度も密度も不足す ることも多い。親が支援者としての役割を果たし、日常生活の中で指導すること により、行動を習得するのに必要な密度と頻度で子どもが経験を蓄積することが 期待できる。

③適切な支援は、より良い親子の関係作りに役立つ

親が支援者として機能することにより、親から子へのポジティブな働きかけの 機会を積極的に設けることができる。親が日常生活において意図的に課題を設定 して子どもに働きかけ、課題ができた時はそれを褒めることができるからである。

障害がある子どもを育てる親は、子どもの弱い部分に対して無自覚的にネガティ ブな関わりを行い、結果的に子どもの自信を低下させることが少なくない。その ような悪循環をなくすために、親が自覚的に子に働きかけることは大きな意味が ある。

また、親がよき支援者として機能するためには、子どもをよく見てペースに合

わせること、こどもの現在の状態にふさわしい課題を選択すること、適切な方法

で教えること、子どもの行動に対して適切なフィードバックを行うことなどが必

要となる。親が支援者として機能できるように専門家が親を支援することで、親

はこれらのことがらに関する自身のあり方などについて自覚したり、より良く行

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動できるよう工夫する。このような工夫は、親が自分と子どもの関係全般を捉え 直すことにつながるだろう。

④子どもの生活の質を日常的に高めることができる

親が支援者としての視点を持つと、支援計画にある子どもの行動に対してだけ でなく、日常生活全般で、子どもに支援的な関わりを行うことが期待できる。そ の結果、子どもの生活の質が日常的に高まることが期待できる。

支援的な視点に乏しい家庭では、子どもへの関わりが全般的に少なかったり、

親にとって子どもが妨げになる場面でのみ働きかけが行われがちである。妨げに 対する働きかけも、何がいけないのかについての説明や教示ではなく、怒鳴りつ ける、ビデオやお菓子などを与えて気をそらす、などのその場しのぎの関わりが 多くなりがちである。その結果、週日を通所施設などで過ごす子どもの場合、週 末に在宅時間が増えると、周囲への働きかけが乏しくなったり物事への関心が狭 まってしまうことも少なくない。親が支援者として自覚的になることで、このよ うな問題を回避できる可能性が高まる。

⑤ピアグループ的支援は、親の仲間作りにつながる

親支援のプログラムは、複数の親が参加するピアグループセッション方式で行 われることが多い。ピアグループとは、同じ立場の人からなるグループのことで ある。一般に障害がある子の親は、子育ての悩みを健常児の親と共有することが 難しいために、防衛的・孤立的になりやすいが、障害児の親同士のグループセッ ションであれば、抱える困難が共通しているため、相互に理解し励まし合うこと ができ、親にとって安心できる場所となる。

ピアグループで経験を積んだ親の中には、新しいピアグループの中でファシリ テーターや助言者としての役割を取るようになる者もいる。このような役割をペ アレントメンターと呼び

(井上ら, 2012)

、他の親に対して先輩的・支援者的役割 をとるのに適した人材となる。

⑥親のエンパワーメントになる

親が支援者として自覚的に子育てができるようになると、子育ての自信を回復 できる。障害のある子の親は、子育てが自分の期待通りに進まないときや、「専 門家モデル」によって専門家なしでは子育てが難しいと感じた場合、子育てへの 自信を失いがちである。親自身が支援者となるように支援されることで、子育て への自信を取り戻すことができる。

また、ピアグループによる相互の支え合いも、子育てへの自信を高めることに つながる。

⑦ローコストである

「専門家モデル」で行動の習得に十分な支援を行うためには、それに必要な時

間だけ専門家を占有するためのコストや、支援室に子どもを送迎するための時間

や人手が必要となる。そのためのコストは、現状では、親と自治体が負担してい

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る。しかし、親の負担には限界がある。自治体も、発達支援を必要とする子ども の人数が増加しつつある現在、個々の子どもに十分に支援を行うことは困難であ る。一方「保護者モデル」は有効な働きかけを比較的ローコストで子どもに行う ための現実的な手段となる。また、それを親のピアグループ形式で行う場合、親 のエンパワーメントとローコストを両立する重要な手段となる。

2.親を支援者とする発達支援の類型化

90年代以降「専門家モデル」から「保護者モデル」への移行が本格化するなか で、様々なタイプの支援で「保護者モデル」が提案されるようになった。これら の「保護者モデル」は、以下に示すような二つの次元を用いて整理ができるよう に思われる。

第一の次元は、親が支援を行うことの意味をめぐる次元である。子どもの身近 で毎日支援プログラムを実施できる支援者として親を位置づける考え方から、親 が支援の一翼を担うこと自体に意味を見いだす考え方に連なる軸である。前者の 場合、支援の主体は必ずしも親である必要はなく、専門家が設定した支援計画に そって毎日の支援を実行することを期待される。それに最適かつローコストな存 在が親なのである。このような立場では、親自身は、専門家の作る支援計画をよ り良く実行するものとして、専門家に訓練されるような側面を持つ。結果として、

子どもの発達段階に適した課題設定が可能にはなるが、親のエンパワメントは実 現しにくく、親子ともに専門家に依存するような形を取りやすい危険性もはらん でいる。

一方、軸の対極にあるのが、親が支援者としての役割を取ることに意味がある という考え方である。この考え方では、子どもの日常において最も重要な存在で ある親が子どもに適切に関わることによって、親子の関係改善や子どもの望まし い行動の獲得に寄与できるとする。親に対しては子どもとの関わり方の指針を伝 えることが中心となり、子どもへの直接の指導は親が主体となって行う。その結 果、専門家が行う指導に比べて非効率になる場合もあるが、親の養育態度の変容 や養育への自信につながることも考えられる。

「保護者モデル」を整理する第二の次元は、支援の日常性をめぐる次元である。

日常的な支援といっても、日常的な活動全般に深く関連する支援から、日常生活 のごく限定された行為や能力に対して行う支援まで、多様である。日常的な親の 関わり方全般の改善を図るような支援計画の場合、子どもに対する支援は生活全 般に及ぶ。一方、毎日時間や場面を区切って、目的を限定して集中的に支援を行 う場合もある。親にとって特別な設定をするからこそできる関わりがあり得るこ とに加えて、そのことが子どもの日常全般の関わりの質を変える可能性もあり、

軸のいずれの極も子どもに与える意義は大きい。

以上二つの次元を考えると、これまでの「保護者モデル」による支援は、図 1

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に示すように四種に大別されると考えられる。

第一のグループは、親を大量な訓練を実施できる単なる支援者とみなし、日常 生活から切り離された支援を日常生活の中で行うタイプの支援である。たとえば、

Doman

(1974)

は脳機能に障害がある子どもに対して、運動や感覚、視覚などの

不全がある機能に関して、各機能ごと一時間おきに刺激を与えることで、子ども の機能を改善するような訓練を提案した。これほど頻回に子どもに対して指導を 行うのは、家族以外には難しい。しかし、このような訓練は、親子の当たり前の 日常生活を阻害するほどに侵入性が高いため、現在では一般的とはいえない。

第二のグループは、日常的な活動に対する支援において、毎日実施可能な支援 者として親を位置付けるタイプの支援である。機会利用型の行動形成的支援

(飯 島ほか, 2008. 関戸, 1996)

は、これによくあてはまる。機会利用型指導では、子 どもに行動習得をさせる機会を支援室から日常生活に広げることで、子どもが日 常生活で指導された行動をすることを促す。子どもの発達状態や生活上の必要性 に基づいて子どもに習得させたい具体的なターゲット行動を定め、日常生活場面 でターゲット行動を促し、フィードバックを与える。日常生活の中でターゲット 行動を用いる必要のある場面を意図的に多く設定することによって、行動の学習 や定着の機会を人為的に増やすこともある。このような支援では、ターゲット行 動や支援方法を共有した支援者であれば親である必然性は少ない。

日本では「肥前方式」と呼ばれるペアレントトレーニング

(山上, 1998. 伊藤ほ か, 2005)

も、このカテゴリーに入る。肥前方式では行動分析における学習と条 件付けに基づく行動変容モデルに忠実に親が指導ができるように、専門家が親に 対して行動形成の理論や技術を教育する。親は専門的な知識を有する支援者とし て、その時々にターゲットとする行動を子どもが形成できるよう、専門家の助言 を得ながら支援する。

第三のグループは、目的や時間を限定して、その時間は子どもに適した関わり を集中的に行うというタイ

プの支援である。広汎性発 達障害の子どもと親が、フ ロアタイムと呼ばれる 1 回 15分程度の時間を親子で 集中して遊ぶという支援は この好例である

(Greenspan

& Wieder, 2006) 。広汎性発 達障害の子どもが示す感情 や意図の表出は非常に小さ いため、家族が常に応答的 であることは難しい。日常

図1 親を支援者とする発達支援の類型化 毎日指導できる 資源としての親

子どもにとって重要 な存在としての親 支援が日常生活

の一部に限定 支援が日常生活

全般に関連する ドーマン法

DIR治療プログラム 家庭版プレイセラピー

機会利用型指導 肥前式ペアレント トレーニング

精研式ペアレント トレーニング

(7)

生活では、子どもの微弱な発信を親が見逃す時も少なくない。時間を区切り、子 どもに集中することによって、その時間だけは可能な限り応答的になることを継 続的に繰り返すことで、子どもはコミュニケーションの実感を深めることができ る。専門家は、定期的に親と面談し、フロアタイムの親子の様子を聞き取り、親 の応答の仕方に対する助言や、フロアタイムに行う遊びの種類に関する助言を行 う。限られた時間だけでも、応答的な環境で過ごす経験を通して、充実したコミ ュニケーションを取ることの心地良さを子どもに与えることを目指す。

また、家庭で毎日時間を区切り、親がプレイセラピストとして、感情面の問題 を抱えた子どものプレイセラピーを促す支援もある

(Kraft & Landreth, 1998)

。日常 5 ~10分の限定された時間をプレイセラピーの時間として設定し、ものを壊した りしない等最低限の約束のもとで、子どもに対し可能な限り受容的に遊ぶ。専門 家は、定期的に親と面談し、セラピータイム中に示した子どもの遊びの様子を聞 き取りながら、遊びの象徴的な意味を解釈する。親が自分と一緒に遊んだ場面に おける子の行動の意味を知ることを通して、子が親に伝えたいと思っていること を知ることになり、それが親子の関係の変容を促すことになる。

第四のグループは、子どもに適した関わりを日常全般にわたって行うタイプの 支援である。「精研式」と呼ばれるペアレントトレーニングは、このグループに 入りうる。同じ行動変容を目指す方式だが、先述した「肥前式」と異なり、親子 の関係改善を目指すアプローチでもある。子どもの不適切行動を低減させられる よう、よりよい指示の出し方、励まし方、注目のしかたなどのスキルを親が学習 する。子どもの不適切行動が低減したり、子どもの行動に対する親の不適切な対 応が改善することを通して、子どもの自尊感情が向上することなどを目指す。

2 ── 3~4歳児の保護者向けペアレントトレーニングプログラムの開発

1.和光大学子ども発達相談室におけるペアレントトレーニング

我々は、発達に気がかりがある 3 ~ 4 歳児とその保護者を対象に、親への支援 を通して子の成長を促すことを目指している。対象となる子どもたちは、感情や 行動コントロールが不得手だったり、親のことばに注目しにくいなどの発達上の 偏りがあるケースが多い。この年代の子どもをターゲットにした経過は、別稿

(常田, 2013)

に述べたとおりである。

我々の研究で扱うプログラムは、 Whiteham らによって1986年からカリフォル ニア大学ロサンゼルス校で行われてきたもの

(Whiteham, 1998)

をもとに、上林ら

(2009)

が国立精神・神経センターによって日本向けに翻案したものであり、通

称「精研式」と呼ばれるペアレントトレーニングである。行動理論に基づく行動

修正に基礎を置きつつも、子どもの発達の偏りが親子関係にもたらす親子の混乱

を軽減し、よりよいコミュニケーションをとれるようになることを目指す。

(8)

筆者らがこの方式を用いる理由は以下の通りである。

第一の理由は、我々が対象にしたい子どもは明らかに障害と言える状態ではな いことである。重篤な障害を持つ子どもに対しては、ちょうど第二グループに相 当するような、ターゲットとなる行動とそれを習得するためのプログラムを専門 家が設定し、それを保護者が実施することが有効かもしれない。それに対して、

今回の対象児はそのような重篤な障害はなく、親が日々の生活の中で、自然な形 で子どもの行動の習得を促すことが適切と考えられる。専門家は子どもの行動習 得を励ますための全般的な関わり方を保護者に伝え、保護者がそれを実践するこ とで子どもの行動習得を自律的に支援する経験を重ねることが、親のエンパワメ ントにつながるだろう。

第二の理由は、対象児の年齢が小さいことから、親子関係の改善に重点を置く ことにより、親子関係の混乱の蓄積からくる将来の二次的障害を軽減することが できることである。親の行動に合致しない行動を取る子どもたちは、過剰に叱責 されるなどによって、自尊感情を低めやすい。幼少時から親が子の全般的な行動 を適切に理解するのを支援することが、子の成長に非常に大きな意味があると考 える。

2.プログラム作成上の配慮点

本プログラムは、上林ら

(2009)

のテキストを参考に、発達相談室で使用しや すく、また参加者のニーズに合うよう、内容と回数の変更を行った。

本プログラムを受講する親の多くは、3 歳児健診等で地域からのフォローを受 けている場合はあるものの、医療機関や療育機関等で専門的な指導を受けた経験 はほとんどなく、また診断も受けていない状態である。本プログラム終了後に、

継続的にふりかえりや指導を受ける機会がない可能性もあるため、日常的に使い やすく取り入れやすい部分を抜粋し、基本的でかつ重要な考え方やスキル、テク ニックをくり返し学習できるよう内容と回数を見直すこととした。

まず、本プログラム受講者の子どもたちの多くが就園前の状態であるため、就 園先との連携に関する内容を、例えば夫などの身近な人物との協力関係の作り方

テーマ

第 1 回 行動を3種類にわけよう

第 2 回 「ポジティブな注目」について考えよう

第 3 回 好ましくない行動を減らすために①「上手な無視」の仕方 第 4 回 好ましくない行動を減らすために②「無視」と「ほめる」の組合せ 第 5 回 やってほしいことを上手に伝える方法─効果的な指示の出し方─

第 6 回 子どものこと、どう伝えればいい?─集団で上手くやっていくために─

第 7 回 これまでのふりかえり

表1 和光大学版ペアレントトレーニングの各回のテーマ

(9)

に変更した。また、今まで専門的な考え方やより適切な関わり方に触れる機会の なかった親に対して、短時間で誤解のないように考え方ややり方を伝えることが 難しいと考えた内容は削除することとした。

また、上林ら

(2009)

同様「肯定的な注目」という基本を重視し、親子の関係 性がよりスムーズになるような基本的な子どもの見方を提案し、普段陥りやすい、

行き詰まった状況を変えるためのちょっとしたスキル、テクニック等を、具体例 をあげながら、くり返し学べるようテキストを工夫した。例えば、ポイントの説 明には、子どもとの日常のやり取りを連想しやすいように具体例を多く取り入れ た。また、重要なポイントは全講座を通して複数回触れられるようテキストを構 成した。さらに、他の参加者を見て感じたことや参考になった事等を書きこむメ モ欄を充実させ、その回で学んだことを整理出来るように、ロールプレイの他、

ワークを設ける等した。こうすることで、より具体的なイメージを持って日常生 活で実践出来るように配慮した。

以上の観点から、上林ら

(2009)

を和光大学子ども発達相談室に合わせて改定 した結果、効果的な指示の出し方の一部、よりよい行動のためのチャート

(BBC)

制限を設ける、を削除し、全 7 回のセッションに改定した

(表1を参照)

。また、

テキストは上林ら

(2009)

以上に専門用語を排除し、より日常生活で使っている 単語でかつ読みやすい言葉になるよう配慮した。

またテキストは 1 回分ずつ配布し、全 7 回で使用したテキストをまとめて綴じ られるようファイルを用意した。テキストをファイルに綴じていくことで、自分 ががんばったことをその綴じたテキストの厚みや、書き込んだメモから実感でき るよう工夫した。

なお、実際に作成したテキストの内、セッション1を付録に掲載した。

《参考文献》

井上雅彦・吉川徹・日詰正文・加藤香『ペアレント・メンター入門講座 発達障害の子どもを もつ親が行なう親支援』学苑社、2011年

G. Doman, What to do about Your Brain-Injured Child, 1974.

(グレン・ドーマン著、前野律訳『親こそ最良の医師』ドーマン研究所、2000年)

飯島啓太・高橋甲介・野呂文行「自閉性障害児における絵カード交換式コミュニケーション・

システム(PECS)の家庭内での自発的使用促進に関する研究」『障害科学研究』32, pp.195-206、

2008年

関戸英紀「自閉症児における書字を用いた要求言語行動の形成とその般化促進──物品、人、

および社会的機能の般化を中心に」『特殊教育学研究』34, pp.1-10、1996年

山上敏子『お母さんの学習室──発達障害児を育てる人のための親訓練プログラム』二瓶社、

1998年

伊藤啓介・国立病院機構肥前精神医療センター情動行動障害センター・大隈 紘子『肥前方式親 訓練プログラム

AD/HDをもつ子どものお母さんの学習室』二瓶社、2005年

S. I. Greenspan, & S. Wieder, Engaging Autism: Using the Floortime Approach to Help Children Relate,

Communicate, and Think :A Merloyd Lawrence Book, 2006

(10)

(S.グリーンスパン、S.ウィーダー、広瀬宏之訳『自閉症のDIR治療プログラム──フロアタ イムによる発達の促し』創元社、2009年

A. Kraft, & G. Landreth, Parents as Theraputic Partners; Listening to Your Child's Play, Jason Aronson Inc, 1998

C. Whiteham, Win the Whining War and Other Skirmishes; A Family Peace Plan, Perspectiv Publishing,

1998

上林靖子・北道子・河内美恵・藤井和子『こうすればうまくいく発達障害のペアレント・トレ ーニング実践マニュアル』中央法規出版、2009年

常田秀子「発達に気がかりがある子に対する子育て支援──和光大学子ども発達相談室の開設 に向けて」『東西南北2013』和光大学総合文化研究所年報、pp.142-153、2013年

《付録 セッション1のテキスト》

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[こうさか ともこ/つねだ ひでこ]

参照

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