音楽家の教科交流における教師の支援についての一 考察(?)子ども同士のかかわりに焦点を当てて
著者 篠原 秀夫, 杉谷 怜子
雑誌名 教育実践研究
巻 34
ページ 1‑12
発行年 2008‑09‑01
URL http://hdl.handle.net/2297/12026
一子とも同士のかかわ りに焦点を当てて‑
ASTUDYo fTEACHER‑ ssUppoRTt oCHI LDRENi n TRANSACTI ONALMUSI CCLASSES
‑Fo c uso n也er e l a t i o ns hi pbe t we e nc hi l d r e ni n也ec l a s s‑
篠原 秀夫 Hi de oSHI NOHARA
杉谷 怜子 Re i koSUGI TANI
要約
本研究は、特別支援学級の子 どもが参加する音楽科の教科交流の授業において、教師が特別 支援学級の子 どもに対 してどのような支援 を行えば良いかを明らかにするものである。今回は 子 ども同士のかかわ りに焦点を当て、これが教科交流における特別支援学級の子 どもの学びに おいて重要か、またその際の教師の支援について、授業実践の観察 と授業実践 を通 して検証 し た。結果、「 子 どもの良好な関係の集団」を作る教師の支援 によって子 ども同士のかかわ りが 促 され、特別支援学級の子 どもの表現が引 き出されると共に、技術向上等の学びに繋がってい
ることが明 らかになった。
Ⅰ.は じめに
筆者は、特別支援学級の子どもと通常学級の 子どもとが共に学ぶ音楽科の教科交流の授業に ついて研究を進めている。
教科交流 とは、特別支援学級の子どもが、通 常学級の教科の授業 に参加す ることである。
「 交流教育」の形態の一部であり、その必要性 は小学校学習蒋導要領 「 総則」や、盲学校、聾 学校及び養護学校小学部 ・中学部学習拍導要領
「 特別活動」の章において も述べ られてい る。
交流教育は、特別支援学級の子どもの社会性や 豊かな人間性を育み、また通常学級の子ども達 の障害のある子 どもに対する理解を深め、共に 助け合い、支 え合 う心を育むことができると考
えられていることから行われている。
前回の研究では、音楽科の教科交流における 教師の支援について考察を行った。その結果、
教師は特別支援学級の子 どもが 「 安心 して表現 できる環境 を整 えること」 と、「 表現す る為の
支援 を行 うこと」が必要であることが明らかに なった。これは、教科交流 という普段 とは違 う 環境に置かれている特別支援学級の子どもの、
内面を安定 させ る為の支援 と、自分の思いを表 現できるようにする為の技術的な支援 という二 側面への支援が必要だということであるoそ し て、この両側面に影響を与えることができると 考 えられるのが、今回焦点を当てる 「 子ども同 士のかかわり」である。
子ども同士のかかわりが、子ども達の学びに おいて大切であるという主張は様々な分野で述 べ られている。例 えば、教育学者で あるレイ ヴ ・ウェンガ‑1 ) は、人間の学習は、共同体 と のかかわりや対話、コミュニケーションか ら生
まれ、その時の文脈 とは切 り離せない、と述べ ている。また、障害児心理学の渡辺信一2 ) も、
コ ミュニケーション能力の低い学習者にとって
の共同体の必要性 を述べてお り、「 心の通 じ合
いを大切にすること」や 「コ ミュニケーシ ョン
平成2 0
年3月
30日受理2
金沢大学人間社会学城学枚教育学類教育実践研究
第3 4 号 平成
20年を大切にすること」で、環境や状況の中から自
ら学ぶ力を身につけ、結果 として何かができる ようになるのではないか、 と述べている。この ように、子 どもの学びには、子 ども同士のかか わりを促す共同体の必要性が強調 されている。
よって本稿では、「 子 ども同士のかかわ り」を 促す為 に大切である子 どもの 「 共同体」、つ ま り 「 子 どもの集団」に焦点を当て、これが特別 支援学級の子 どもが教科交流で音楽 を学ぶ際重 要 な ものか、を明 らかにす る。 また、教師の
「 子 どもの集団」を作 る支援 について も検証す る。
Ⅱ.研究の方法
教科交流における 「 子 どもの集団」の重要性 を明らかにす る為に、授業親寮 と筆者による授 業実践の分析から考察 を行 う。授業親寮は、平 成 1 9 年 4 月 〜7 月までの間、良好な 「 子 どもの 集団」 を作 ることを音楽科の授業で実践 されて いる、音楽専科の教師による授業 ( 全
22回) 杏 取 り上げる。授業頼家 を行い、筆者 も授業中に 特別支援学級の子どもを中心にして、その周 り の子 ども達 と由わった。 これをビデオで記蘇 し、
子 ども達の様子や変化、教師の支援について記 鐘用紙 を作成 し、分析 したO ここでは周 りの子 ども達 とのかかわりによって子 どもの表現が引 き出された場面、教師の集団を作 る支援が観察 された場面 を抜粋 して取 り上げる。また、筆者 による授業実践では、子 ども達の変化 を観察 し、
教師の良好な 「 子どもの集団」 を件 る支援につ いて検証す る。
観察を行った学校や学級、教師、また特に焦 点を当てた子 どもについては以下の通 りである。
観察 を行 ったのは、石川県 かは く市内の A 小学校
2年生
22名である0‑人一人がとても個 性的で魅力のある集団だが、こだわりの強い子
どもも多い。
教師 ( T l)は、教師歴 2 4 年である。養護学 校に
3年間勤め、小学校の音楽専科 と学級担任 の経験がある。 この学校へ来て 5 年 日になる。
教師は 4 月当初、このクラスは一人一人が個性 的だが、人のあらさが Lをする傾向にあるとい う印象を持った。クラスの一体感 を育てたい、
個人の能力をその子だけの ものにせずクラス全 体 に広 めてほ しい、とい う思 いか ら、良好 な
「 子 どもの集団」を作 ることに重点 を置 き、授 業 を行 ってい る。使用教科書 は 「 教育芸術社
r 音楽 21 」である。
特に重点 を置いて観察する子 どもの一人は特 別支援学級の男子 N である。就学時健診での 結果か ら、 1年時より特別支援学級に在籍 して いる。発達検査等は行っていないが、その実態 か らは軽度の知的障害であると推測 される。 日 常生活では、挨拶や衣服の着脱、登下校の送迎 などにおいて補助が必要である。社会性に関 し ては、周 りのことが気になると、自分のことに 集中できなくなるが、情緒的には安定 している。
教師 と一対一だと会話が理解でき、手伝いなど も進んで行 う。教科交流は、体育、音楽、図工、
生活に参加 し、行事にも参加 している。教科交 流の授業には補助教員はつかず、一人で参加 し ている。
重点を置いて観察するもう一人の子 どもは、
場面瀬黙の疑いの ある男子 R で ある。授業 中、
教師の前では、話 したり、発表 したりできず、
一人での活動や、苦手なこと、間違 える恐れの あるものは決 して行お うとしない。得意な教科 では、比較的参加 しているようであるO休み時 間には友達 と普通に話す ことができ、活発に遊 んでいる
。 1年時よりも、より頑なになってい
る傾向があると言われている。
授業では、子 ども達はチャイムが鳴ってから 並んで音楽室に来る。音楽室に置いてある鍵盤 ハーモニカを並んで取 り、自分の席に座 る。授 業は一般的に 、 「まくあけの歌」、今月の歌、身 体活動 ( 「 キラキラ星」、「ドレ ミの歌」、「 ロン ドン橋」等)、鍵盤ハ ーモニカの演奏、とい う 流れで組 まれている。
ここで取 り上げる活動は以下のような内容で
ある。
◇ 「 かっこう ・かえるのがっしょう」の手合 わせ
「 かっこう」は、 2人組にな り、3拍子 に合 わせて膝 ・手 ・手合わせ を行 う活動である。 こ れは、拍子に合わせて手合わせ をする、ペアを 探 して手合わせをする、手合わせの順番を反対 にする、というような段階がある。いろいろな 子どもと毎回違 うペアになることで、合わない 所などに気付 き、自然に直せるようになること を目標 としている。「 かえるのがっしょう」で は
4拍子に合わせて、膝 ・手 ・手合わせ
2回、
を行 う。
◇鍵盤ハーモニカ
「 かっこう 」 運荷を正 しく行 うことと
、3拍子にうまくのれるようになることを目標 とし ている。
「 かえるのがっ しょう 」 指の移動をうまく 行えるようになることを目標 としている。
Ⅱ. 括果
( 1 )授業実技の観察括果
ここでは、授業頼家の記録 と分析を抜粋 して 述べる。全
22回の音楽の授業の中から、子ども
( N、R、他の子 ども達)の表現が、子 ども同士 のかかわりによって引き出された場面、教師の N・R・クラス全体に対する支援が戟寮 された 場面、を抽出して記述する。親察記鐘は、場面 毎に記録番号 ( 記録 1‑記録1 1 )をつけ、戟察 記録の後にはその場面からどのようなことが言 えるかという分析 も記述する。ここでは、音楽 専科の敦師を
Tl、筆者 ( 観察者、補助者) を T2、特別支援学級在籍の子 どもN、場面繊黙 の疑いのある子 ども R、N と同 じ班の子 ども K
( 男子) 、 0 ( 女子) 、Rと同 じ斑 の子 どもを S ( 男子) 、その他の子 ども達は 「 周 りの子 ども 」 とする。
記鐘1 ( Nの状態 ・4月17 日)
N : 活動には個別の声かけがなくて も参加で
きてい る。会話 はで きるが、教師や友達 の意図や指示 を分かっていない場合 も多 い。発言す る意欲 はある。教師の動作や 友達の動作 をよく見てお り、真似が うま い。教師への信頼感 もあ り、教師 に反抗 す ることはないが、友達 に対 しては言葉 遣 いや態度 が悪 い ことが ある。「 今 月の 歌」は大体歌 えているが、あやふやな所 や歌詞が読 めていない所 もある。「 鍵盤 ハ ーモニカ」は、吹いて音 を出す ことは で きるが、指 をうまく動かせず、音や位 置、右手 と左手、満の番号 なども分か ら ないようである。
通常学級の子 ども達 とN との間に、技術的 な差がかなりあると感 じた。 この差 を授業中に 埋めることは難 しいと思われる。よって特別支 援学級の担任や家庭 と連携 し音楽の授業以外に も練習することが必要である。また、授業中の 個別の声かけや拍導 も不可欠である。
記録2 ( Rの表現が友達によって引 き出 され た場面 ・5 月 9 日)
「 かっこう」の手合わせ
Rは活動に参加せず、椅子のところで周 り の様子を伺っていた。その後にピアノと壁の 間の小 さなスペースにきて座 り、皆の様子を 見ていた。
Tl: 「 ひとりばっちがいるよ !」 と注意 を 促す。
氏: 動 こうとしない。
Tl:R
の手を持って動かそうとする。
R: それでも動かない。
Tl:R
の ところに
Sを自然に連れて きてグ ループを作 らせる。
「 えがおできょうも 」
S:
始めはどう接するか迷っているようだっ たが、自分一人で活動を行いつつ、時々反 応 しない Rの手 を持 って動か した り、少 しアレンジして R の身休 に触 った りしな が ら活動を行 う。
R:
相手に触れ られるような動作 ( 例 :手 を
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金沢大学人間社会学域学枚教育学類教育実践研究 第3 4 号 平成
20年
合わせてパ ンパ ン叩 く)では、受身の態勢 をとった り、自分か ら手 を伸ば した りして いた。その後のケンパの活動では自分か ら 動いて、 友達を探 しに行った。 席に戻ってか らも、 友達 と会話 し、 笑顔がみ られていた。
R は、初めての活動や一人での活動で特に固 くなって しまうようである。 また教師に見 られ ていても参加できなくなるようである。 しか し この活動 においてだんだん参加で きるように なったのは、い くつかの理由が考 えられる。ま ず、活動が歌 と身体表現 を伴 うものであったこ とである。 これ によって、自然 に R の表現 を 引 き出すことができ 、R も音楽につ られてつい 身体を動か して しまったのか もしれない。友達 との身体接触があったことも大 きい。身休接触 によって、いつ もより早 く心を解放できたので はないかと考 えられる。 また、活動 を何回か行 う間に何をすれば良いか分かってきたことも、
後半参加で きた理由である。そ して
Sが強制 的にではな く、楽 しみなが ら R の為 に自由な 方法で関わろうとしていた点 も大 きいと考えら れる。教師からの働 きかけには身動 竜しない R が Sには反応 したことか ら、Rが教師 よ りも 友達からのかかわりに応答できたと見 ることが できる。友達は、安心 して心を開ける存在で、
教師のように強制せず R の応答 を待 って くれ る。このことが、彼の心 を開き、活動できるよ うにしたのではないかと考 えられる。
記録 3 ( Nの様子 ・5 月 23日)
N: 「 かっこう」の手合わせが、前回よりも で きな くなってい る
。3拍子の リズムに のって、膝 ・手 ・手合わせ という頓で打つ 単純な活動だが、Nにとっては難 しく、最 初 か ら順番通 りに行 うことがで きていな かった。何回かくり返す うちにだんだんで きるようになってきていたが、今 日は順番 がバ ラバ ラになったり、 リズムにのってで きていなかった り、正 しい方法 でで きな
Nは、前回できたか らと言 って今回
もできる とは限 らず、積み重ねをすることが
とて も難 し い。他の子 ども達がどんどんでき
るようになる ことで も、Nはできた り、で
きなくなったりを 繰 り返 しなが ら成長 しい くのであ
る。長期的な 展望 と、繰 り返 しの支援、そして
周 りの彼に対 する理解が必要なことが分
かる。
記 脊4 ( N、N
の班の子 ども達の様子 と教師の 支援
・5月23日
) 鍵盤ハー
モニカ 「 かっこう」の活動 名列順に四人ずつの
斑 を作 る。まず階名で 全員が歌 えるようにし、歌 えるようになった
ら教師の所に行って判定 してもら
う。合格 し たら鍵盤ハーモニカで練習する。
班
が決 まった時
他の班の子 ども :「 N と同 じ班
じゃなくて良 かった 。 」①
活動が始 ま
N: 参加 しようとしていない。 った直後
Tl:「 N もちゃんとしないとだめだよ 。 」
② 鹿での活動 K: 「まね して 」 ♪ 「ソミソ
ミレ ドレ ド 」 N: ♪ 「ソミソ ミレ ドレ ド」短いフレ
ーズの 模嶋はできる。
K: 「 つなげて言ってみて 。 」
N: 「 つ
なげて」の意味が分か らない。 1フ
レーズ以上になると長す ぎて模唱できない。
子 ども達に聞く。
K: 「 だめ」④
Tl:
「 そっか。でも
N辛いんだって。だか ら今日は
T2とやって、できるようになっ たらまた一線 こやろうね 。 」
班の子 ども達 :合格 を貴いに
Tlの所に行 くc
N:みんなにはついていかず
、T2の所 に来
る。
T2:
「 みんな 、N と一緒にや りたかったっ て。 」
N: 堕i塵
T2:
「 頑張って練習 して早 くみんなの所に 戻ろうね。 」
N: 領 く 。N 専用の楽譜を作 り、復唱 させ る。
フレーズの出だしの音 さえ提示すれば 1 曲 続けて歌 うことができる。覚 えられない所 を繰 り返 し練習する。
K:合格を貰った後、Nの様子を見ている。
N: T2と‑岸 にな ら最後 まで歌 えるように なった。
これは、Nや Kの様 々な思いが見 えた場面 である。下線① は、やは りこの ような思い を 持っている子 どもがい るのだ とい うことが分 かった。早急に Nの態度や、Nに対す る子 ど も達の見方を変えていかなければ共に楽 しく活 動することはできない。下線②で
Tlがこのよ うに声をかけたのは、Nを毎回特別扱いするわ けでなく 、N も他の子 ども達 と同 じように活動 しなければならないという意識を、Nにつける 為である。 しか し下線( 勤で教師が Nに聞いた のは、鑑の中で技術的にかなりの差があり、 こ のままでは双方にとって良 くないと判断 したこ とから、Nに意思の確認を行った。ふ ざけてい るNに対 してイライラしていた Kであったが、
下線④で 「 だめ」 と教師からの申し出を断った ことは意外であった。これは、自分たちの鑑の 友達が抜けてしまう、という思いからか、自分 がどうにか したいという思いからか、はっきり とした理由は分からないが 、N が離れて練習す ることが嫌であったことは事実である。N もす ぐふざけたり、教師からの申し出にす ぐ領いた
りしたのに、下線⑤から、自分ができないこと や、別々の所でや らなければいけないことに対 して、辛い、悔 しい、悲 しい思いを持っていた ということが分かった。そ して、その後の個人 練習では、 しっか り取 り組んでいたことからも、
他の子 ども達と一緒に活動 したい、同 じように 弾 きたい、という強い思いが彼の練習する意欲 に結びついていたことが分かった。
記
脊5( 教師の全体への支援
・5月
28日) 鍵盤ハーモニカの発表をします !という教 師の声に、「え ー 」 とい う子ども達。
Tl:
「 みんなの前で失敗 したら恥ずか し い人は ?」 という問いかけに何人か手を挙げ
る。
Tl:
「 間違 えたらだめなんだっけ ? 」
子 ども達 : 「 だめ じゃな い。 」 「 へ たって
言 ったり笑ったりしたらだめ 。 」 「 頑張ってい
るんだからそれでいい 。 」
Tl:
「 学校は間違 える所です。今 日は最 後 までみんなで協力 して弾けたら OK です。
鍵盤ハーモニカも、ケースつ きで良い ( 間違 えて も分か らないように)ので、協力 して最 後 まで弾けたら大 きな拍手をしましょう 。 」
皆の前で発表 して間違えて しまうことが恐い、
という子 ども達に対 して、教師がその恐 さを取
り除こうとした場面である。間違えることは悪
いことではない、という意識を全貝が持てるよ
うにすることと、みんなで協力 して最後まで演
奏することを目標にすることで、一人一人が完
壁でなくても良い、という安心感を持たせるこ
とがで きた。子 ども達の感想か らは、「 ち ょっ
と間違 えていたけど最後 まで弾けていたからす
ごい と思いました 。 」 とい うような、上手に弾
けたかよりも、最後 まで皆で演奏 したことを評
価できるようになっていた。 このような声かけ
と、教具の工夫 ( 鍵盤ハーモニカをケースつ き
で発表 させること)によって、子 ども達の人前
で演奏することへの恐怖を取 り除 くことができ
ると考 える。
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弟3 4号 平成
20年 記 命6 ( Rの様子 と教師の支捷 ・5月28日)
R:
参加せずに輪の外か ら見ているO
Tl:持ち上げて も
Rが嫌が らないことか らお姫様 だつこをして、鴇の中に入れる O
R が皆の様子を遠 くから見ていたことから
、参 加方法は違っていても 、R も参加 して
いたと 判断 し、これをクラス全員の前で
評価 した○
教師は常 に R の様子 を観察 し
、今 どのよ う な状態か、参加 したいのか、など
について判断 している 。R が安心 して参加でき
るような支援 を行い 、R なりの参加方法を評価
することで、
R が参加できなくならないように
している。そ して、Rはみんなと同 じ方法で活
動に参加で き なくても良いのだ、とい うことを
他の子 ども達 にも伝 え
ている。
記録 7 ( Nの様子 と子 とも達の様子・
5月30日) 鍵盤ハ ーモニカ 「 かっこう」
、全貝でゆっ くりと全部
通 して弾 く。
N : 弾
いていない。
グループ発表の為
の練習時間。
N: T2 と練習する為に近
づいて くる。
T2: 「 今 日はみんなと同 じ所
で練習 しよう ね。 」 と言 って斑の場所 に行 くが Nの場所
T2:「 がない。 K の横 に言って 、K に教えてもら お う 。 」
N: K の横
に移動するo
T2:「 K、N だいぶで きるよ
うになった し 教え
てあげて 。 」
K: あまり乗 り気ではないようで返事を しな N :
い 。鍵盤ハーモニカを準備す るまで時間が
か
T2 かる。 : N の鍵盤ハ ーモニカの準
備の手伝 いを し、楽譜 を見ながら練習 して
いると、班の 他 の子 ども達が N と T2 の様子 をじっと 見ている。
T2: 「 歌って くれ ると弾ける
と思 うよ。 」
Ⅹ: 「 分かった 。 」 と言って歌
って くれる。
N: K の歌 に合 わせて弾 く。 この時間では、 4 小節はどうにかできるよう
になるが、中 間部が難 しいようだった。
班での発表 最初の鑑の発表では、最初の
方 を間違 えた 子どもがいたが、最後 まで止 まらずに
演奏 し
Tl:た。 子 ども達の感想 を開 き
終 わ った後、
「 実は間違 えて しまった人が
い ました。け れどやめずに続けました。そ
れは皆がちゃ んと続けて くれたか ら最後ま
でできたので す。 これがすごく大事なこと
です。子 ども だし、練習中だか ら、間違え
てもいいので す。他のお友達が助 けて くれ
たか らこそ頑 張って最後 まで弾けました。
だか らとても 良かったと思います 。 」 とコ
メン トした。
Nのグル ープの発表では、
出だ しで Nが 間違えて しまった。途中で揃っ
て、最後はま たバ ラバ ラになっ
て しまった。
冗 : 発表中 Nの指をずっ
と見ている。
N : 発表が終わった後 に 「 けっ
こうで きたで しょ 。 」
とKに言 う.
K
:答 えない。
子 ども達か ら出た意見 : 「 最
初はあってな かったけど、止 まらずにやって
いた らだんだ んあってきたか ら長かったと思いま
す 。 」「 N
が良かっ
たと思 う 。 」
Tl:
「 N さんは特別にのぞみ
( 特別支援学 級)で特訓
したのよ。 」 子 ども達 : 「うっそ‑
、すごい 。 」
Kは今回の出来に満足 していないような表
情であった。 今回の練習では、斑の場所で個
別練習 を始め たことか ら、他の子 どもとかかわ
りなが ら練習 す ることがで きた。「 教 えてあげ
て」 と言 って も子 ども達がす ぐ行動に移 らなか
ったのは、他 の子ども達 もどのように教えたら
よいか分から なかったか らではないか 。T2 が
どのようにす れば Nができるようになるかを
周 りの子 ども 達に示 したことで、かかわ りを生
むことができ たと言 える。よって、かかわ り合
いを促す為に も、どのような教え方 をしたらよ
いかを教師が
子 ども達に示す場面が
発表 に関 しては、決 して上手な ものではな かったが、始めの斑の発表の際の、教師からの コメン トや以前からの意識作 りの成果 もあり、
Nの薮 も周 りの子 ども達からそのような観点か ら評価 してもらえた。子 ども達の中にも、「 間 違えることが悪いことではなく、最後まで協力 してできたらよ い 」 という意識が生まれ始めて いると言 える 。Nにとっても特別支援学級での 練習や頑張 りをみんなに認めてもらえる機会 と なり、嬉 しさや自信、次への意欲 となったと考 えられる。 しか し
、Kにとっては斑 としてやは り 「 上手に」演奏 したいという思いがあるよう で、今回の発表は不本意なものであったようで ある。この K の思い を実現 させ る為 には 、N ができるようになるしかなく、今回は極めて難
しいことであると言 える。
記 希8 ( Nと子 どもの様子 ・6月4 日)
「 かっこう 」 「 かえるの歌」の手合わせ N:うまくリズムにのつてできていないo 同じペアの子 ども :Nのペースに合わせたり
、 教えたりしなが ら活動 してい
N:とても楽 しそう るo
であるo 毎時間行われる活動において、正
しくできな いか らと言 って Nに怒 った り、N
を放 ってお いたりする子ども達の姿が減ってきた
。N がで きるような方法で、Nができるよう
にかかわる 姿が、何人かの子 ども達において見
られるよう になってきた。 これは、子ども達が
活動をくり 返す中で楽 しさを十分に味わい、子
ども達の中 にも余裕が生まれてきているからだ
と考えられ る。よって、周 りの子ども達に楽 し
さを十分味 わわせ、滞足できるようにすること
が、できな い子ども達への接 し方 を改善する為にも必要
で
ある。 記録9 ( Nの様子 と教師の支溝 と
子 どもの様 子 ・
6月6 日)
T2: 休み時間に、特別支援学級
の教室で N
と鍵盤ハーモニカの練
習をする。
N:ゆっくりとだが最後まで、楽
譜 を見なが ら弾けるよ
うになる。
0:
特別支援学級の教室に遊びに
来て、練習 している様子を見ていく。
授業開始前
T2: Tl に 、N がだいぶで きる
よ うになっ たこと
を伝 える。
N: Tl に 「 先生、楽譜見 なが ら
で きるよ う になったよ。
」 と言 う。
Tl: 「 みんなに聴いて
もらう ? 」
N:
「うん 。 」
Tl t : 「 聴いて くれ るかみんなに聞いてみよ うね 。 」
鍵盤ハーモ
ニカの活動
自分の席で、全員で演奏する 。
Tl は Nの 為に伴奏 をゆっくり弾
いている。
N: 遅いテンポの伴奏になら合わ
せて弾 くこ と
ができた。
Tl: 「 N がのぞみ ( 特別支援学
級)で練習 してできるようになったから、
みんなに聴 いてほ しいん
だって 。 」
0:
「 そうだよ、のぞみで練習 していたんだ よ 。 」
子 ども達 : 「 そうなの ? ! 」 と
感心する。
Tl: 「 みんな聴いて
くれる ? 」
子ども達 : 「
いいよ !」
N:曲の始めを何回か弾 きなお し
たがその後 はゆっくり最後 まで弾 くこと
ができた。
子ども達 :集中して聴いている。
心配そうな 顔つ きで聴いている子どももい
る。
Tl: 拍手 「 みんなよ りち ょっ と遅
か ったけ ど ちゃんと弾けるようになりまし
た。頑張 り ました。聴 き方 もとてもよかっ
たです 。 」
N: 「 弾けた !」 と言って、満足
そうな表情 を
していた。
Nは今まで 1曲通 して弾 くことが
できず、班 での発表 も友達に認めてもらえず、
楽 しさや達
成感を味わ うことができていなかった
8
金沢大学人問社会学域学校教育学類教育実践研究
第3 4 号 平成
20年 一人での発表ではあったが、頑張ればできるよ
うになるとい うことを N 自身が感 じられたの ではないか。 これには N の、みんな. と同 じよ うに弾けるようになりたい、 とい う強い思いが 大 きく関係 していたと考 える。そして教師は
この Nの思いを汲み取 って、個人発表 の場 を設 定 した。今までの、間違えて も頑張って最後 ま で弾けたら拍手、とい う教えが生 き、子 ども達 が N の発表 に快 く応 じ、心 を開いて聴 いてい たことも良い結果に繋がった 。N が特別支携学 級で練習 していた様子 を 0が見てお り、その ことを授業で発言 したことも他の子ども達に大 きな影響 を与 え、子 ども達全貝で N の成長 を 共有することができたと考えられる。 この発表 によって、今 まで N が頑張 っていないか らで きないのではないか、という思いを持っていた 子 ども連に対 して 、N は頑張ってここまででき るようになった、また、頑張ってできる範囲が ここである、 とい う N の実態 を示す ことがで きたと考 える。そ して N の能力ではな く努力 を認めることで、少 しで も N を理解 した り、
受け容れ られたりするようになったのではない かと考 える。
記
鐘10 (Nの変化
・6月
11日) 鍵盤ハーモニカ 「 かっこう 」
T
1 :全貝で
、1回日はゆっ くり
、2回 日は 普通に
、3回目は早 く演奏す る
N: 早いとできない、 とい うことが、弾 . く前 からも分かるようになるo途中でど
んなに ずれても最後は‑浦に終われるよ
うになるo これは、自分はどのような時に
できて、どの ような時にできないか、 とい う自
分の能力をN がきちんと分かってきたとい うこ
とであり、客 観的な判断が くり返 しの練習によ
ってできるよ うになったということである。 ま
た、最後だけ でも一緒に終われるようになった
のは、周 りの 子ども達が正 しく演奏するのを何
回も同 じ空間
で聴いてきたことで、Nの中に音楽が浸透 した か らではないかと考 える。周 りの
子 ども達の演 奏が無意識の うちに Nに影響 を
与 えてい るの ではないか、 と思 える場面で
あった。
記録
日 (Nの様子
・6
月
25日)
「 キラキラ星 」 l. 「 かっ こう 」. 「 かえるの
歌」の手合わせ うまくペア .トリオ作
りができているo N:一
緒に参加 しているo
T1:
「 ひ とりばっちが誰 もt 一 、 ないなんて素 晴 らしいクラスだね o 」
周 りの子 ども : 「 かえるの歌」の手
合わせ を N に教 えているo
子 ども達 も
、活動中に好 き嫌いで相手を選ぶ のではなく、
誰 とで もペアを作れるようになっ てきている。
くり返 しの活動の中で、安心感が 育 まれ、子 ど
も達の対人関係が拡がってきてい るのではないか
と考 えられる 。N も積極的に参 加 し、いつ も
とは違 う子 どもともペアになって いた。前々回
0に合わせて もらった経験 か ら、
N の対人関係 も少 しずつ拡がってきているの で はないかと考 えら
( 2) 「 子 どもの集 授業実践結果 れる。
団」 を作 る教師の支援 によって、
子 ども達がどの
ように変容 したかを検証する為、
平成
19年
7月
18
日に、筆者
(T2)は授業 をさ せていただく
機会を得た。 この授業実践の 目的 は、
以下の点 を検証することである。
①今 までの支援 によって、良好な 「 子 ど もの集 団」ができているか。
⑧今までの支
損 によって、通常学級の子 ども達 が、特別支
援学級の子 どもに対 して、適切な かかわ
りができるようになっているか。
③良好な 「 子 どもの集団」が、音楽の楽
蒋導計画は以下のものである。
学習活動 ○支援 ●評価 1 活動への導入 。
◇身体表現活動 ( キ ラキ ラ星、
ドレミ歌)
2 キラキラ星演 奏への導入。
◇キラキラ星を 歌 う。
◇ ミュージック ベルを持って弾 く。みんなで協 力 して ミュ ー ジ ックベ ル を 使ってキラキラ 星をひこう。
◇グループに分 かれ、誰がどの 音を担当するか 決める。
3
各音で集まる 。
◇教師の指拝に 合わせて、キラ キラ星を歌 う。
◇説明後、 ミュー ジックベルを持 つ。
◇各音で練習す る。
◇合わせて弾 くC
4各グループに 分かれて演奏す る。
○情動の発散を行い、キラ キラ星を思い出 し、拍子 感や曲想 を感 じ取れるよ
うにする。
○教師 も行 うことで、子 ど も達が教師に対 して安心 して揮することができる ようにする。
○ ドレミの歌で音高感を思 い出す。円になって行 う ことで一体感 を感 じられ るようにする。
○使い方の注意、演奏方法 の説明。
○キラキラ星の 1 フレーズ を演奏す る。
○あらかじめ決めておいた グループに分ける。
〇時間を決める。
○ うま く話 が進 まない グ ループに音の決め方をア
ドバイスする。
○楽譜、フープを用意 し、
集まりやすいようにする。
02 音担当する子は、どち らかのグループに入る
。○自分の音の出るタイミン グを覚 える為に、何度か 歌 う
。○演奏方法のア ドバイスを する。
○出るタイ ミングが分から ない児童に対 し、グルー プの他の児童がどのよう
◇練習する
。◇グループ毎に 発表する。
5
ふ りかえり。
に援助すれば良いかをア ドバイスする。
●拍の流れを感 じ、互いに サポー トし合いながら、
演奏することができる
。●緊張感を持ち、達成感や 喜びを感 じることができる。
○演奏の善 し悪 しではなく、
一人一人が一生懸命参加 し、最後 まで演奏できた ことを評価する。
ここでは観察記録は省略するが、授業実践の 結果か ら、上記の点について、検証 してみるo
①授業実践からは、周 りの子ども達が、Nや Rが参加するにはどうすれば良いかを自主的に 考 えて練習 している姿が耕寮 されたOまたフー プに分かれ、楽器を配ってもいいよと言われる まで待 っている子 ども達の姿や、楽器を配った 後に、自分達で自主的に練習を始める子ども達 の姿か らも、学び合いの姿が育ってきているこ とが感 じられた。 しか しいつ もなら助け合いが で きてい るのに、時間がない ことに焦 って し まって、 うまく助け合いができなかった場面 も 観察 された。このことから、良好な 「 子どもの 集団」は大分作 られてきてはいるが、それが発 揮 される為には時間に余裕があることも必要で あることも分かった。
( 参政の他の子 ども達の多くが 、N も一緒に演 奏するにはどうしたら艮いかを考 える場面や、
R
が
Nに教 えている場面 も戟察 された ことか ら 、N に対 しての適切なかかわりが大分できる ようになっていることが分かった。また、Nが、
友達か らの態度によって、その活動への参加す る意欲が変わる場面が観察 されたことからも、
やはり友達 との関係が、Nの活動への参加意欲 と結びついていることが分かった。
③子 ども達が
Nや
Rも参加できるような方
法 を考 えた ことによって、Nや Rも他の子 ど
1 0 金沢大学人間社会学城学枚教育学類教育実践研究
弟3 4 号 平成
20年も達 と共に演奏する機会 を得 ることができ、 こ
れによって N は演奏 に満足 し、いつ もは活動 にあまり参加で きない Rも、参加す ることが できた。また、フープに分かれて、子 ども達が 密接な空間の中で身体活動を行 うことで、一休 感や楽 しさを感 じている場面 も頼家 された。同 じ音を演奏する仲間が始めにいることで、子 ど も達は安心 して活動に参加できた。そ して、自 主的に練習 をしている子 ども達はとても楽 しそ
うであり、意欲 も見 られた。 このような点か ら、
良好な 「 子 どもの集団」が、音楽活動への参加 を促 し、音楽の楽 しさ、一体感、出来栄 えと関 連があることが明らかになった。
Ⅳ. 考察
授業実践の観察結果か ら、子 ども達が周 りと のかかわわ りの中で様々な思いを持っているこ とや、様々なことを学んでいる姿が確認できた。
音楽科の教科交淀 は N に とって、友達 と一 緒に音楽ができる、とて も楽 しみな時間である。
このみんなと同 じように音楽活動に参加 したい という強い思いが、彼の活動 を支 え、練習への 意欲やその継続に括びついていたことは明 らか で あ る。また、技術 的 に困 難 を抱 え る N に とっては、助 けて くれ る友達 の存在が, 必要 で あった。友達に助けてもらいなが ら技術 を獲得 し、またできるようになったことを友達が認め て くれることで、できた喜び をより感 じ、参加 意欲 を継続 させていたのである。そして、友達 の演奏や活動の様子を近 くで何度 も見聴 きする ことで、彼は友達から自然に学んでいたとも言 える。Rにとっても、友達の存在が彼が学ぶ上 では必要であった。それは、友達 と一緒に行 う ことや、友達の様子を見て安心感 を得 ることで、
人一倍間違 えることを恐れてい るR も、活動 に参加できたか らである。教師か らの視線やか かわ りでは固 くなって しまうRだが、友達か ら得 られる安心感によって、活動に参加でき、
楽 しさや技術 を得 ることができた。このような 点か ら 、N や R にとって周 りの子 ども達の存
在が、彼 らの表現 を引き出 し、技術を獲得 させ、
音楽活動の楽 しさを感 じさせた、と言 える。そ の際に、周 りの子 ども達は 「 仲間 」 「 教える人 」
「 演奏者」 と状況 に合わせて立場 を変 え、Nや R に影響を与えていたと考えられる。 このよう
な周 りの子 ども達の柔軟な対応が彼 らの表現 を 引き出 したと言 える。
筆者自身の授業実践の結果か らは、教師によ る意識作 りの成果 と、子 ども達の助け合いがだ んだんできるようになっている様子が明 らかに なった 。1 学期の初 めでは明 らかに見 られ な かったような、子 ども達の自然な助け合いの姿 や、音楽 を共に楽 しもうとする姿、できる ・で きないだけで判断 しないとい う、意識の変化 も 見 られた。また R が活動 に参加で きるよ うに する為には、物的環境 と人的環境の両側面 を整
えることが大切である、とい う結果 も得 られた。
それは、物的環境 として楽器の工夫や、視覚教
材、空間的な しかけを行ったこと、人的環境 と
して、班での人間丙係 を考慮 したことで Rが
活動に参加できたか らである。 ここか ら、表現
することと安心できる環境 との間に、関連があ
ることが明らかになった。次に 、N に対する子
ども達の考 え方、接 し方の変化 も見 ることがで
きた。 これは、教師による意識作 りや支援が少
しずつ子ども達に定着 していきていることを表
わ している。子 ども達のその姿が N に も伝 わ
り、それが N の表現 を引 き出 し 、N の学び に
も繋がったと考 えられる。N とかかわることが
できる子どもと、Nがかかわることができる子
どもの双方が増 えており、お互いの人間閑係が
拡がってきていると考 えられ る。 このような子
ども達の関係が、班での演奏 を作 り上げ、その
ことで子 ども達が音楽活動を軽族できたことか
ら、 これが音楽 を演奏する上で も必要であった
と言 える。また、子 ども達の自主的な活動 を生
み出すための教師の支援についても明 らかにす
ることがで きた。それは、 楽器や曲など音楽の
持つ魅力、 活動の設定、自分達で授業 を進め る
ことができるような教材教具の必要性、空間的
な仕掛けなどである。
このようなかかわ り合いは、‑学期間の教師 の支援 によって実現 した と言 える。教師は N に、授業中に個別に声をかけ、指導 をした
。Rには、強制せずに
、Rができると思 うまで待 ち、
常に観察 して 「 や りたいのでは」 と思った時に 後押 ししたり、身休的なコミュニケ‑ションを 通 して教師に安心感 を持てるようにした。そし て
Nや
Rと全体 を繋 げる支援 として
、Nや
Rの実態や良 さを知ることができるような活動や、
N の頑張 りをみんなで共有できる場の設定 、R の参加方法を認める場、などを作っていた。そ
して、子 ども達に N や R への理解やかかわ り 方、グループでの練習方法や教え方 を示 してい た。また N と R に関 してだけでな く、子 ども 達皆が 「 安心 して表現できる集団」 を作る為に、
教師は全体に対 しての支援 を継続的に行ってい た。「 安心 して表現で きる集団」 とは、一人一 人が認められていると感 じ、共に助け合 うこと ができ、個人の表現が受け容れ られる良好な関 係の集団のことである。この為に教師は、子 ど も達の意識を変 えることで子 ども達の良好な関 係を作っていった。意識作 りにおいては、子 ど も達の、間違えることやできないことへの恐怖 心を取 り除き、共に助け合って課魔を達成 させ ることの大切 さを教えることが重要であった。
間違わずにできたという結果だけを評価するの ではなく、それまでの過程、その子がどれだけ 頑張ってきたか、できない子がいる中で、どう やって全員で協力 して結果を出 したか、という ことを評価 した ことで、子 ども達の意識 も変 わってきた。これによって、一人一人が安心 し て表現できるようにな り、特 に
Nや
Rも周 り の子ども達に認められ、活動に参加できるよう になったのである。また、子ども達の助け合い を促す為には、教え合いの方法を子 ども達に示 すと共に、子ども達が満足できるような活動 を くり返 し、子ども達の心に余裕を作 ることも必 要であった。できる子 ども達の心に余裕を作 る ことで、できない子 ども達に合わせ ることがで
きていたか らである。
この よ うな 「 子 どもの集団」 を作 る支援 に よって、子 ども同士のかかわりが促 されたこと は明 らかで ある。そ して この ことで
、Nや
Rの表現が、周 りの子ども達によって引き出 され、
音楽活動に参加でき、学びを実現できたのでは ないか、と考える。
V. おわ りに
このように、教科交流において、特別支援学 級の子 どもが学びを実現する為に、音楽科の教 師は、子 ども同士のかかわ りを促す為の良好な
「 子 どもの集団」 を作 ることが大切である。こ れを作 ることは、音楽科のみに重要なことでは ない。 しか し音楽科においては、集団による演 奏表現 を行 うという点で、他の教科よりも更に 重要であると考える。それは、どのような集団 による演奏が、人々の心を揺 さぶ り、感動 を与 えているかを考えれば明らかである。様々な個 性が存在する集団が、一つの音楽を作 るとい う
目標に向かって団結 し、心を合わせた時、そこ か ら発せ られる音楽は、何か しらの力、人々に 訴 えかけるもの◆ を持つ。つ まり、このような集 団を作 る過程 も、音楽 を作る過程の一部であり、
このような過程抜 きには、素晴らしい演奏はあ り得ないのではないだろうか。演奏の出来不出 来だけを考 えるのであれば、 とにかく技術的な 指導 を行 えば良い。そうではなく、子ども達に、
集団の中での様々な葛藤や過程を軽薮 させ、そ れを乗 り越 え演奏できるような支援 を行 うこと によって、子ども達は内面的成長 と、音楽的な 成長をす ることができるのではないか。そ して これが素晴 らしい演奏や、音楽を愛好する心、
子 ども達 自身の人間的な成長に繋がるのではな いかと考 える。子 ども達の集団と、学びと演奏 に関 しては、これからも更に深 く追求 していき たいと考 えている。
教科交流において、音楽が載繁に行われてい
るのは、言葉がなくてもコミュニケーションが
とれること、正解を求めなくても良いこと、子
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