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「ルナウィングの歯ブラシ摩耗性について」

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Academic year: 2021

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(1)

有機複合フィラー 球形ナノフィラー

(SiO2系:20nm)

(UDMA,モノマーTEGDMA)

球形ナノフィラー

(SiO2系:100nm)

ビッカース硬さ(HV0.2)

物性 曲げ強さ(MPa)

59 ルナウィング

116 18 以上

JIS 規格(JIS T 6517:2011)

50 以上(咬合面 80 以上)

100nm 100nm

有機複合フィラー部のSEM写真(×10万) レジンマトリックス部のSEM写真(×10万)

レジンマトリックス部 有機複合フィラー

Luna-Wingの材料構成模式図

「ルナウィングの歯ブラシ摩耗性について」

 本研究レポートは,第62回歯科理工学会学術講演会において発表した内容の一部を加筆・修正している.なお,

各試験結果は基礎研究によるものであることをあらかじめお断りさせていただく.

 レジンの長期的な劣化を調べる目的で,歯ブラシ摩 耗試験は,口腔内でのレジンの摩耗を再現する方法と して古くから用いられている.長期間のブラッシング により,補綴物の表面が粗くなるとプラークが付着し やすくなり,さらに光沢が低下することで審美性が損 なわれる.したがって,前歯部で使用される歯冠用硬質 レジンでは,ブラッシングに対する耐摩耗性が優れる ことは特に重要な要求である.また,ビッカース硬さが 高くなるに従い,歯ブラシ摩耗後の表面粗さの変化が 小さくなる傾向があることが第 59 回歯科理工学会で の弊社発表より分かっており,歯ブラシ摩耗後の光沢 度と硬さの関係にも注目をした.そこで,歯冠用硬質レ ジン「ルナウィング 」と市販の4製品について,歯ブラ シ摩耗性を表面光沢,表面粗さと表面状態について評 価し, ビッカース硬さの影響を評価した. 

 ルナウィングは,球状の無機ナノサイズフィラー(SiO

2

(平均粒径が約 20 nm および約 100 nm)を高密度に配合し ) た有機無機複合フィラーを高充填した設計である.

 このルナウィングを直径 15 mm,厚み 1 mm の金型に充填し,PET フィルムで挟み,LED 型光重合器「LED キュア マスター (当社製品)」で上下面を各 90 秒間照射して硬化した.市販品は同様

の手順で,メーカー指定の重合方法で硬化させた.これらの硬化物を耐水研磨 紙(#2000)とバフにより鏡面研磨し,円盤状試験片を作製した.

 歯ブラシ摩耗試験は,簡易歯ブラシ摩耗試験機(図 3)を用いて,ISO14569 - 1 に準拠し,荷重 2.0 N で歯磨き粉 50 g と蒸留水 100 g を混合したスラリー中で 歯ブラシを用い,滑走速度 850 mm/s で試験片上を繰り返し滑走した.この摩 耗回数は 1 日に朝晩 2 回歯磨きを行う人が 1 回の歯磨きで1歯を歯ブラシが 5 回往復すると仮定した場合,約7年に相当する 50,000 回までとし, 10,000 回ご とに光沢度と表面粗さを測定した.

 光沢度は光沢計で,表面粗さ(Ra)は表面粗さ測定器で測定した.ビッカース 硬度は JIS T 6517:2011 に従い,ビッカース硬度計で測定した(n = 3).また,

歯ブラシ摩耗試験前後の表面状態をレーザー顕微鏡で観察した.

■図1 ルナウィングの構成成分およびフィラーのSEM写真■

■表1 ルナウィングの物性(カタログ値)■

研究レポート No.2

■図2 ルナウィング■

■図3 簡易歯ブラシ摩耗試験機■

(2)

ルナウィング 試料

歯ブラシ摩耗前

歯ブラシ摩耗 5万回後

A B C D

ルナウィング

0  20  40  60  80 

40 45 50 55 60 65 70

光沢度(%)

硬さ(HV0.2)

A D B C 0

20 40 60 80

0 10 20 30 40 50 60

光沢度(%)

歯ブラシ摩耗回数 ×10-3(回)

ルナウィング DC A B

歯ブラシ摩耗回数 ×10-3(回)

ルナウィング

0.00  0.05  0.10  0.15  0.20  0.25  0.30 

0 10 20 30 40 50 60

Ra (μm)

C A D

B

ルナウィング

Ra (μm)

硬さ(HV0.2)

0.00  0.05  0.10  0.15  0.20  0.25  0.30 

40 45 50 55 60 65 70

A

C D

B

ヤマキン  歯科

 図4に,ルナウィングおよび市販4製品の歯ブラシ摩耗回数 10,000 回ごとの 50,000 回までの光沢度の変化を示す.

ルナウィングは市販品に比べて,歯ブラシ摩耗による光沢度の低下が最も少なく,光沢が長時間維持されることがわ かった.図 5 に表面粗さの変化を示す.いずれの場合も摩耗回数の増加により表面粗さは増す.ルナウィングの表面粗 さの増加はBおよびCと同等であり,AおよびDと比べて耐摩耗性が高いことがわかった.また,ビッカース硬さと歯 ブラシ摩耗5万回後の光沢度の関係を図 6 に,表面粗さとの関係を図 7 に示す.ビッカース硬さは,ルナウィング(63  HV0.2)> C(59 HV0.2)> B(49 HV0.2)> A(47 HV0.2)> D(45 HV0.2)であった.各レジンのフィラーの充填率や形 状は異なるものの,歯ブラシ摩耗後の光沢度ならびに表面粗さの変化が少ない順序とビッカース硬さの順序はおおよ そ一致している.

 また,表 2 に歯ブラシ摩耗前後のレーザー顕微鏡を用いた表面状態を示す.表面粗さの変化が小さいルナウィング,

Bおよび C は,歯ブラシ摩耗後の表面の傷が小さいが,反対に表面粗さの変化が大きいAおよび D は表面に大きな傷 が多数観察された.

 以上より, ナノフィラーを高充填したルナウィングは市販の4製品に比べてビッカース硬さが高く,光沢度,表面 粗さの測定結果および表面状態観察より耐歯ブラシ摩耗性に優れることが確認された.

YAMAKIN 株式会社 有機材料開発課

■図4 歯ブラシ摩耗回数と光沢度の関係■ ■図5 歯ブラシ摩耗回数と表面粗さの関係■

■図6 ビッカース硬さと歯ブラシ摩耗5万回後の 光沢度の関係■

■図7 ビッカース硬さと歯ブラシ摩耗5万回後の 表面粗さの関係■

■表2 歯ブラシ摩耗前後の表面状態■

参照

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