Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
高透光性ジルコニアと歯冠修復材料の摩耗特性
Author(s)
林, 祥太; 本間, 慎也; 武本, 真治; 吉成, 正雄; 矢島,
安朝
Journal
歯科学報, 116(3): 242-242
URL
http://hdl.handle.net/10130/4036
Right
目的:近年,CAD/CAM 技術の発展により,メタ ルフリー修復材料の一つとしてジルコニアが用いら れている。ジルコニアはインプラント上部構造のフ レーム材として使用できるほどの強度を有するが, 不透光性で色調も歯冠色とは異なることから陶材前 装が必要となる。そのため,ジルコニアを用いたメ タルフリー修復では陶材破折のリスクが生じる。現 在,従来型ジルコニアに対して,色調が改善された 高透光性ジルコニアが開発され,その強度は従来型 と同様と報告されており,ジルコニア単味による修 復が可能となった。これらは前装材を使用しないた め,破折リスクの低下に有効ではあるが,対合歯に 与える影響については不明な点が多い。さらにジル コニアの対合歯には,様々な修復材料が使用されて いる可能性がある。その対合歯に使用する歯冠修復 物への影響についての報告も少ない。したがって本 研究は高透光性ジルコニアが歯冠修復材料の摩耗に 与える影響を明らかにすることを目的とした。 方法:摩耗試験は,曲面を持つ上部試料と平板を呈 する下部試料との蒸留水中下における二体摩耗試験 を 行 っ た。上 部 試 料 に は,高 透 光 性 ジ ル コ ニ ア (Zpex100,Tosoh)を用い,先端の曲率半径を2.5 mm に調整した後,研磨を行った。下部試料には二 ケ イ 酸 リ チ ウ ム 含 有 セ ラ ミ ッ ク ス(IPS. e. max-Press, Ivoclar vivadent),コンポジットレジン(MI Gracefil, GC)を用い,自動研磨機(SiC 研磨紙♯320 ∼♯1200およびアルミナ5μm,0.4μm)で各研磨 を行った。二体摩耗試験は上下部間荷重:10N,ス トローク幅:3mm,ストローク速度:90回/分と して最大30,000回の試験を行った。摩耗試験後,下 部試料の摩耗深さ,摩耗断面積および摩耗体積,お よび上部試料の摩耗体積を,3D レーザー顕微鏡 (LEXT OL 4000,Olympus)を使用し,計測をし た。また3D 解析走査電子顕微鏡(ERA-8900,Eli-onix)を使用し,試験前後の上部試料の Sa 値を計 測した。 結果:摩耗試験の結果,下部試料の摩耗量は二ケイ 酸リチウム含有セラミックがコンポジットレジンよ り大きな値を示した。 考察:修復材料の摩耗特性は硬さだけではなく,他 の要因に影響をうけることが示唆された。 目的:顎骨は,咬合力等の機能圧を受ける特殊な力 学的環境下におかれている骨であり,歯牙の喪失や インプラント埋入により,骨の内部構造や骨強度が 変化することが知られている。しかしながら,イン プラント周囲顎骨に加わる荷重環境を解明するため には,局所領域における骨質評価が必要であると考 えられる。生体アパタイト結晶の配向は,圧縮荷重 に対して強い抵抗性を示す骨質因子であり,荷重環 境の予測という観点から大きな期待を集めている。 我々のグループでは,ヒト顎骨における生体アパタ イト結晶配向性の解析を行ってきたが,負荷時のイ ンプラント周囲顎骨におけるナノスケール特性につ いて言及している報告は少ない。そこで本研究で は,インプラント周囲顎骨における生体アパタイト 結晶の結晶学的特性を定量的に評価することで,負 荷を受けたインプラント周囲とその近傍の骨におけ る異方性を明らかにすることを目的とした。 方法:実験動物としてビーグル犬12頭を用いた。こ れを4つの群に分け,有歯顎と抜歯後3ヵ月の無歯 顎,インプラント埋入ののちに上部構造を装着し, 負荷3ヵ月間および12ヵ月間のものとし,各条件に おいて3体ずつとした。第4前臼歯部を関心領域と し,測定点として眼窩下管底部のⅠ点,Ⅰ点から歯 槽頂部までの距離の上部1/6の高さで咬合平面上に 存在する鼻腔底部および頬側皮質骨のⅡ点,Ⅲ点, 下部1/6の高さで咬合平面上に存在する口蓋側およ び頬側皮質骨のⅣ点,Ⅴ点の5点を設定した。各部 位に微小領域 X 線回折を行い,近遠心方向,頬舌 方向および咬合方向の3軸系で生体アパタイト結晶 配向性を評価した。 結果および考察:有歯顎の群においては生体アパタ イト結晶の優先配向性が認められたが,その配向性 は抜歯後の群において失われていた。また有歯顎お よびインプラント埋入後の試料では,頬側歯槽部の みならず眼窩下管や鼻腔底部においても優先配向性 が認められたが,それぞれ異なる傾向を示した。本 研究の結果から,歯科インプラント治療による荷重 環境変化は周囲顎骨における独自の構造特性の発現 に寄与し,その影響は比較的遠隔の部位においても みられる可能性が示唆された。