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(1)

バスケットボールの基礎技術の構造化:教授目標と 下位目標行動の設定の検討

著者 石村 宇佐一

雑誌名 教科教育研究 │ 金沢大学教育学部

9

ページ 81‑90

発行年 1976‑07‑22

URL http://hdl.handle.net/2297/23563

(2)

81

バスケットボールの基礎技術の構造化

-教授目標と下位目標行動の設定の検討一 石村宇佐一*

最近では,授業を,教師と学習者の活動の相 互作用ということを軸として見た場合には,教 授一学習過程であるとするとらえ方がある。つ まり,授業を構成する要素を教師,教材,学習 者の3つの傾面からとらえる立場である。この 授業場面を構成する種々の条件・要因の中て,

教師は教材を通して学習者に所期の行動変容を うながすのである。この学習者の変容は教授活 動,学習活動の相互作用によって生じるもので ある。したがって授業の改善ということは,与 えられた条件の中て,いかにうまく教授一学習 過程を組むかということと深く関連してくる。

教師,教材,学習者の相互の関連を考え,目 標到達のために最適の方途を設計しなければな らない。設計の大まかな手順としては,①目標 の明確化②教材内容の構造化③学習者の学習行 動の分析④プログラミングが挙げられる。体育 科教育では,チームゲームを教材として用いる ことが多い。1951年JayArcher23)によって少 年たちのために運動能力や精神発達にあわせ て,ミニ・バスケットボールが考案された。小 学校体育科の指導要領では,ポール運動の領域 でバスケットボール型のポートポールがとりあ げられている。昭和46年度から実施された小学 校新学習指導要領においては,第5・第6学年の ポートポールをバスケットボールに代えること ができるようになった'1)'2)。しかしながら,バ スケットボールを教材としてとりあげる場合,

学習成立の基本要因の指導に関して,方法,順 序,程度などを決定する一般的方針や,目標達 成のために,なにを,どのように,どんな順序 で,どの程度指導すればよいかということにつ

いては明確にされていない。さぎに,筆者は,

小学校バスケットボール教材におけるゲームの 実態をV・T.Rを用いて観察し,基礎的動作 の発現の仕方をゑてきた7)。

本研究では,それにつづき,ミニ・バスケッ トボールのゲーム事態を分析し,運動要素の発 現様式を明からにすると共に,小学校でバスケ

ットボールが授業として成立するための教授目 標一下位目標行動の設定を検討しようとした。

方法

対象となったゲームは,全国ミニ・バスケッ トボール教室交歓大会,YMCA体育館,昭和 49年3月29日,8ゲーム,石川県ミニ・バスケ ットボール教室交歓大会,石)Ⅱ県体育館,昭和 49年11月23日,16ゲーム,計24ゲームである。

ゲームの観察にあたっては,できるだけ事態 の再現性を求めるために,カセット・テープレ コーダーを使用し,マイクはリモート・コント ロール・スウィッチが付属しているものを用い た。録音は攻撃開始原因・成員間のパス過程,

攻撃終了原因を収録した。その結果を再生して ゲーム中に出現する各技術要因を記号化し,記 録用紙に記入した。

ゲームの様相を想定するために,動作・時間 研究法を用いた'0)'9)。すなわち,ゲームそのもの をシステムとしてとらえ,ゲームを構成してい る要素の相互関連の中に,ゲーム事態は成立し ているという認識に基づいてゲーム分析をしよ うとした。とりわけ,それはゲーム事態をでき るかぎり,現実の事態に即して,実態をありの ままとらえようとする視点に立脚している。

*金沢大学教育学部体育

(3)

第9号昭和51年 82金沢大学教育学部教科教育研究

表I 基本攻撃回数・総攻撃回数と技術要因頻数

ラニヱ|蓋塞|総攻撃|Sh。t数|成功数|自投数|成功数lORlDRlF・ullMi蘂 DribblelPasslSc 124129

0031

11 19 13 19

33 1619

39 53

Hn-68 72

65 32

94’46Ii

ⅢⅢ|沼Ⅳ|印舶

9056

AB

全国大会男子

161115 13

65|ロ8

23

22 50

33

2234

33

紹妬一州〃|弱弱

AC

107 93

94-05-’11 9611

5258

旧2-66 50-30 旧6’9円一川而

別羽一引咄 旧6-旧8-Ⅲ州

DB

13784

47

11

3521 50 81 71

91 86.611.2

CE

【]

118.8 15.6 23.1

4.9 22.3 7.0 50.8 2.6 107

22 9.6

41.9 3.9

11.7 7.8

51.4 3.4 6.2 Mean

S.,

2418 3541

9150 202 116

胆7一W6 68

9793

FG 48

119153 33 32

8汕lm4

川皿弱Ⅳ|朋別

〔『】(く〕ハペリ△(可向く〕幻刎守■■■■(、〕〔【U【【リブ,1丁。I

GHlIJ 1】

石川県大会男子

184134 2320 92 11 101

14

0口

;|ロ

131134

Pu】弓〃Ⅱ

5075

旧6|枢6

93’67

FK

3020 35 27 130

108

62100

90

LM

ズ’16

119189

旧岨一旧加

6357 21

102

113

16

;|そ

115139 7974

引皿一M印一川Ⅲ 刀5’85 56

6666

FL

15597

43 旧卍|川肌 21

56 26 56

1JKIl晦肌

]IL

56.625.5 139.1 3.8 29.3

1.9 10.1

41.9 11.05.0 65.310.2

]1][

2314 2116

87 38

2424 43

85 67

168

別糾一妬訂一期羽一路四

15 ■●

0699

閲別一冊弱

a可,

全国大会女子

2917 24

39 54

42 180 123

84 66

52

99

106 8986

Ca

16

11 48

50 84

100

12

35-8021’21

22 30

刎妬一船舶 05’50

a勺。 24

6490

46

65

19

26 37

16 40 90

70

ae

8.54.7 14.4

66 49.9

14.3 109.5 41.2 42.5

8.4 18.8

5.6 26.0

90.8 5.7

9.9 7.5

4.7 7.8 3.9 2.0

23 Mean

S., 50.1 49

J1

116122

旧灯|旧旧

24 18 11 19

26 75

85 UZlbbll616

旧n|旧9|Ⅱ四 2211

30

30 39

28 5618 ]’8

石川県大会女子 02

4411 86 102 139

159

別7|別7

君ll1il努|’; J0 刀研一四引一巧弱

6968 120 113

56詔lM1iilzYlIli [’1180

24

83

175

旧旧一川旧

諄’;!|21|;Ⅲ

5966

87 127

28 129 18 35110716

31 46 42

24 30

39 5170 82

薯’118’1 21 45 128

5682 157 13 152

74両Ⅲ 17

14 29.628

il9lliAliIllI|; 『0---J

14.35.8

18.97.9 69.9

19.7 134.3

;W;|;:】|;二’1; 23.6

;’。+:|:

(4)

バスケットボールの基礎技術の構造化 83

’)基本攻撃回数はポールを保持して,その保 持を完全に失うまでである。

2)シ…試投率=ポニニ雲鵜i数×,00

3)1回のポール保持における得点率

一ボー雲の保壽回数×,。。

`)shot成功率=蓋:鶚菱川0

5)OffensiveRebound(0.R)獲得率

味方チームの0.R 結果

表1はゲームを構成している各技術要因の出 現頻数,および平均値(Meam)標準偏差(S .D)を示したものである。石川県大会男子お よび女子の得点率,ショット試投数は高いが,

ショット成功率は低くなっている。ショットの 試投が得点へと結びつく確率は低いが試投数そ のものを増すことにより得点している。ミス・

プレイ率とファウル数はゲーム中,頻度の少な いほどよい要因であるが,石川県,男・女とも ミス・プレイ率は増加している。その内容はル ール上のミスではなく技術上の未熟さによるパ ス・ミス,キャッチ・ミスである。

図1は表1の結果を全国大会,男子・女子を 100とした指数に変換して,石川県,男女を回 数比で比較したものである。各技術要因の率は 次式によって算出した21)。

(1)基本攻撃回数

味方チームの0.R数十相手チームの0.R数

×100

6)DefensiveRebound(,.R)獲得率 味方チームのD・R

~味方チームの,。R数十相手チームの0.R数

×100

ポ竺語鵜薮×

7)Miss・Play率= 100

表2は成員相互のパス過程をソシオマトリッ クスにM)'7),各成員の行なった技術要因頻数を 示したものである。地位得点は各成員がポール をキャッチした回数(被選択数)に,相手のポ ールを奪った回数(インターセプト回数)を加 算したものである。この地位得点はどの成員に ポールが集中しているかを示し,集団内におけ る各成員の地位をあらわす指標となる。各チー ムの成員間における地位得点は,Aチームは 4,6,10,CチームはA,B,C,Fチーム は5,6,17,18,GチームはA,BGの各 成員が高い地位得点を示している。どのチーム もガードが高い地位得点を示す傾向がある。ガ ードはポールを運ぶということからもポールが 集中している。

次に,ファードとセンターの関係を承ると,

各チームの攻撃パターンにより地位得点の順位 が変わってくることが認められる。また,各成 員の諸技術要因の出現頻数では,ショット,フ リー・スローとパス・キャッチの過程との関係 を承ると,両者とも密接な関係があることが明 らかとなった。すなわち,ショット,フリー・ス ロー試投数はパス・キャッチとポールの保持回

shot 試投

lay率

得点率 '1数

1F

(5)

0.R率

一全国大会男子(100)……石川県男子

(1)基本攻撃回数

shot M1ssplay率

得点率 )Foul数

【]

(5)OR率 、R率

一全国大会女子('00)……石川県女子 図1技術要因の出現回数比

(5)

第9号昭和51年 84金沢大学教育学部教科教育研究

表2 パス過程のソシオマトリックスと諸技術要因の頻数 A(30-17)C

全国大会男子

FGHIJlShotlF・TlORlDRlM・PlFoul 45681011121314151ABCDE

黙孟 6/60/13/71/41/2

0/1 1/61/5 1/2

2130312130 3320413412 1010100111 1111001010

2220000ノ00ノ0ノ011

30

66470

,10

J30

5790 631101 201200

]3U

44ノノ0000000032

97435ノノノノノ0000ノ32001 1422302203 334341201121000001016201300001

4223

へ115~へ11

;1瓜

2212

612485610 2217224301022714101122220

石川県大会男子決勝F(27-17)G

CDEFGHIJlShotlF・TlORlDRlM・PlFoul 4567811121417181AB

2282ノノノ00ノ00001011 2331000010

2/61/5 4/190/1 2/31/4 0/10/1 0/52/3

4320134322

3452022211

4171020220

202

794

45678Ⅱ枢艸汀旧 U2

Fチ-ム

342137

25 37 220311

'1

3442111101 2221110202

1/151/8 1/70/2 0/41/3 2/130/5 1/20/4

1230120000

ilii

rl、Ll

lll5

2420ノノノ000000102 3362062200

ABCDEFGHIJ

2百'望

Gチ1ム

1161

12

8487131047 91671112402813322

地位得点 54123

ソシオグラムに示した。パス・キャッチの過程 を視覚的に集団構造がどのようであるかをゑよ

としたものである。これによれば,第1クォー ターと第4クォーターは,そのチームの主力で ある成員が出場している。そして,第2クォー ター,第3クォーターに残りの成員を出場させ ている傾向が承られる。

数が多くなればなるほど,それに伴って得点が 増すことがわかる。ポールの保持回数の多少が 初心者技術の優劣の尺度となることを示唆する

ものである。

表2のソシオマトリックスの結果をソシオグ ラムに図示したのが図2である。1試合中の各 クォーターに出場した成員を,それぞれ4つの

(6)

バスケットボールの基礎技術の構造化 85

第1クオーターAチーム 第1クオーターCチーム

第2クオーターAチーム 第2クオーターCチーム

ニー

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15 14

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第3クオーターAチーム 第3クオーターCチーム

}、

一夕

G二三二 ■■■

(QIjEff=≦

第4クオーターAチーム

第4クオーターCチーム

①‐

図2-1成員相互のパス過程のソシオグラム

(7)

第9号昭和51年 金沢大学教育学部教科教育研究

86

第1クオーターGチーム 第1クオーターFチーム

〆}

ダノ '8

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第2クオーターGチーム 第2クオーターFチーム

第3クオーターFチーム

第3クオーターGチーム

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第4クオーターGチーム 第4クオーターFチーム

シゲ

18

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'7

_一一1回一一一→2回一一一一3回一一一一→4回一>5回以上 図2-1成員相互のパス過程のソシオグラム

(8)

バスケットボールの基礎技術の構造化 87

須賀川30-17兵庫西

30 Y=1.3X+1.I

勝チームー 負チーム--.…

20

夢二二Fここf三i二字浜口ヅェー⑪ Y=0.7X-0.9

10

12 '8 24

|、せりあい

UOL=4.13

0 、’

LOL=-2.65

-5 2.Shoot lO

言弍投数

Fieethmws5 獲得数

0

m-PE UOL=6.52

UOL=5.64

LCL=q7 LCL=0.44

3.,R

獲得数 UOL=1.19

UOL=1.14

/ノー

4.0.R

獲得数 UOL=3.22

UOL=1.28 0

5

5.Miss・play数

塁ぅi呈璽〈t三三三塗L: UOL=3.14UOL=2.75

05

6.Foul数

UCL=4.’7

UCL=3.17

0 61218

図3時間経過による得点回帰直線と技術要因の出現形態

24

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(9)

第9号昭和51年 88金沢大学教育学部教科教育研究

らとらえ,かつ何を評価しようとするのかとい うことに関して2つに大別できる。

第一はゲーム構成要素の出現頻数と,それか らの成功一失敗頻数の高さを問題にしてゲーム 内容を把握しようとしている20)。

第二はチームの強弱に関与する諸要因を交互 作用の結果として考え,多次元的にとらえよう

とするものである2)4)9)13)。そのうち注目されて きたのは第二の方法である。しかしながら,ゲ ームそのものをシステムとしてとらえ,ゲーム を構成している要素の相互関連の中にゲーム事 態は成立しているという認識に基づいたゲーム 分析はなされていない3)5)'5)。すなわち,ゲーム 分析において,このシステム化という概念にあ まり関心がはらわれていないということであ

る。

本研究では動作・時間研究法を用いて,ミニ バスケットポーのゲーム事態を観察した。小学 生にバスケットボールを教材としてあつかうと

きに,正課授業とミニ・バスケットボール教室 のゲームにおいて,技術要因の出現形態の差は いかなるものかを比較し,教授目標への到達水 準を明らかにしようと試ふた。

筆者は先に小学校第5学年の正課授業におい てバスケットボールのゲーム分析した結果か ら,攻撃がショットまで結合されず,リバゥン ド・プレイにおけるディフェンシブ・リバゥン ド,オフェンシブ・リバゥンドのせり合い場面 が出現していない。ミスプレィが攻撃終了原因 の55%を占めていることを報告した。

本研究では試合の勝敗を左右する要因は,オ フェンシブ・リバゥンドからのショットを含め ショット試投数を増加させ,ディフェンシブ・

リバゥンドを獲得して,ミス・プレイ数の減少 を示した。せり合いの状態から対応の関係につ いてふると,せり合い負けているときはミス・

プレイ数の増加が,せり合いに勝っている場 合,相手のショット・ミスのリバゥンド,すな わち,ディフェンシブ・リバゥンドを獲得しシ

ョット試投数を多くしている。

次に表2と図2に示すように,成員のパス過 図3は全国大会,男子,須賀川:兵庫西のゲ

ームで,時間経過と得点の回帰直線と各技術要 因の出現頻数から作成したX管理図である8)'6)。

基本攻撃回数は両チーム45回であった。スピー ドのあるゲーム展開とはいえないことを示して いる。両チームの回帰直線は,勝チームでは

/、/、Y=1.3X+1.1,負チームではY=0.7×-0.9 で,勝チームが傾ぎ,切片とも高い値いを示し た。

次に,勝チームを中心にせり合いをもとにし て,得点経過をみると,得点差の状況が明らか になる。すなわち,0の基線に接近して得点差 がプロットされている場合は,両チーム対等に せり合っている状態である。しかし,上方管理 限界(UCL)外であれば勝チーM:勝ってお り,下方管理限界(LCL)外であれば負けて いることがわかる。負チームについてはこの逆 である。第1クォーターは6分から,第2クォ ター11分まで6点の上り連が続いている。6分 と11分には勝チームがUCL外にあり有利に 戦っていることが認められる。また,各技術要 因がゲームに,どのような影響をおよぼしてい るかについて,ショット試投数とフリー・スロ

ー試投数,0.R獲得数,,.R獲得数,M.P 数,Foul数の6つの要因から承ると,勝チーム は6分にショット試投数,OoR獲得数の増加 から総攻撃回数が多くなっている。逆に負チー ムは,M.P数がUCL外にあることから負 チームの危険状態を示している。13分から14分 の時間帯は負チームの得点増加については,勝 チームのM.P数がUCL外にある。両チー ムともせり合いに負けている時はM.P数が増 えており,勝っているときは,0.R,,.Rを 獲得している。

論議

ゲーム自体は教授一学習過程において,学習 するに価値のある重要な要素である。

バスケヅトポールのゲーム分析に関しては多 くの研究者によって考察されたが,現在ゲーム 事態の観察のうち,ゲームをどのような視点か

(10)

バスケットボールの基礎技術の構造化 89

程を中心にして成員のチームに対する関係や地 位,チーム自体の構造をソシオメトリーの手法 を用いて把握した。中心的プレイヤーはチーム 内において最も多くポールを保持した頻度が高 く,孤立的プレイヤーは極端にポール保持頻度 が低くなる。吉井21)も述べているように,初 心者の技術の優劣はほとんどポールを持った頻 度の高い順であると考えられる。以上の結果か ら,正課授業とミニ・バスケットボールのゲー ムを比較して承ると,ミニ・バスケットボール は正課授業に比べ,ショット試投数が増加し て,リバウンドのせり合い場面が出現してき た。しかし,ミス・プレイ数の出現はルール上の 違反ではなく技術上の未熟さからである。これ は正課授業におけるミス・プレイの出現様式と よく似ている。このゲームの様相の差のあるこ とについては,種々の原因があると思われるが,

一つにはポール。ハンドリングとポールのキー

プカとは密接な関係があると考えられる。ポー ル・ハンドリングはポールをそれ自体の操作,動 かし方であり,ポールの初歩的キープカはショ

ットを除く攻撃の基礎技術である。ポートポー ルとバスケットボールのポール・ハンドリング ポールキープカは基礎技術として関連はあるし 発展させていくことはできると考えられる。し かしながら,ポートポールとバスケットボール の相違はショットするゴールにある。前者は台 上に立つゴールマンであり,ショットに対して ゴールマンは対応することができる。後者は成 員のショットに対応しない空中にある水平なリ ングがゴールである。成員の調整の承でショッ トを試投しなければならない。この両者の違い はショット技術にあると思われる。したがって,

調整力を養うためにもバスケットボールの指導 ではショット技術が第一にならなければならな いと考えられる6)。Singerl8)も報告しているよ うに,最終的なゲームの形へ最も能率的に推進 していくためにも教材配列の順序に関して,と りわけ学習の系列的な順序が具体的にかつ明確 にされなければならない。つまり,ポールを保 持すればショット,あるいはドリブルでついて

ショットと成員自身が直接攻撃を行ない,次 に間接攻撃であるパスを試承るという順序であ る。教師のポートポールからバスケットボール 教材への変換は教授目標が明確でなければなら ない。教授目標を明確にしておかなければ,教材 内容の構造化もできないし,指導のねらいも不 明確になり評価も教授目標に即応したものには ならない。教授目標の明確化,システム化をは かるためにも,Blooml)などによってなされた 認知領域(Cognitivedomain)情意領域(affe‐

ctivedomain)精神一運動領域(Psycho-Motor Domain)での系統的な分類についてさらに検 討しなければならないだろう。

要約

小学生が行なっているミニ・バスケットボー ルのゲーム,24ゲームを対象とし,そのゲーム 事態の運動要素の発現様式を動作.時間研究法 を用いて観察した。さらに,小学校でバスケッ

トボールの授業として成立するための教授目標 一下位目標行動の設定について検討した。

結果を要約すると以下のとおりである。

’)ゲームの全体的様相は技術の発達段階から すれば,攻防分化の萠芽の段階である。

2)攻撃の終了がショットで終わるようになっ た。したがって,リバゥンド・プレイのせり 合い場面が認められた。

3)攻撃終了の他の要因はミス・プレイの出現 であり,ルール上のミスというより技術の未 熟さによるものである。

4)バスケットボール教材を設定した場合,ポ ール・ハンドリングの養成から,直接攻撃に よるドリブルーショットの基礎技術を中心概 念としてとらえ教授目標一下位目標行動を設 定する必要がある。

最後に,研究を進めるにあたって資料の集計 整理は,星陵高等学校久田由紀江教諭の協力 を得たことを付記する。

(11)

第9号昭和51年 90金沢大学教育学部教科教育研究

引用文献

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.4)Elbel.E・RandFCallen:EvaluatingTeamand lndividualinBasketbalLResQ12(3)538-555.

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5)石村宇佐一:動作・時間研究法によるバスケット ボールのゲーム分析一重相関法と管理図的考察-金 沢大学教育学部紀要231-10,1974

6)石村宇佐一:バスケットボール教材における基礎 技術の構造化,金沢大学教育学部「教科教育研究」

第8号,37-44,1975

7)金沢大学教育学部体育科研究班:保健体育の各領 域における系統性に関する研究(2)-バスケットボー ル教材を中心として-金沢大学教育学部「教科教育 研究」第7号,141-148,1974

8)小山正徳:管理図の作り方と使い方,23-51,日 本規格協会,1971

9)水谷豊,他:バスケットボールの分析的研究一マ ルコフ過程の応用によるゲーム分析一日本体育学会 第23回大会号,412,1972

10)MundeLME箸:山内二郎監訳:動作・時間研究 の理論と実際,紀伊国屋書店,1971PP545-557 11)文部省:小学校学習指導要領,5刷発行182-196

大蔵省印刷局,1971

12)文部省:小学校指導書体育編171-220,東洋館 出版社,1969

13)中村栄太郎,松浦義行:ポールゲームにおけるチ ームの強弱を決する要因の分析一バスケットボール について-体育学研究,16(3),171-181,1971 14)丹羽肋昭:ソンオメトリックスおよび社会調査法

野口義之編著,教師のための体育測定一理論と実際

--第一法規,1969,PP185-236

15)坂本和丈,萩原仁:体育科教育におけるサイバネ ティカルアプローチーバスケットポール教材を中心 として-中国・四国教育学会編,「教育学研究紀 要」17,111-173,1972

16)志村宗考:試合進行状況分析図,吉井四郎「スポ ーツ作戦講座」,バスケットボール,不味堂,1969,

PP198-199

17)心理学実験指導研究会編:実験とテストー心理学 の基礎一四訂版,1968,PP164-168

18)Singer、RN:SequentialSKillLearingand retentioneffectsinVolleybalLResQ39,185-

194,1968

19)高木貫一,他:体育における動作・時間研究およ び運動学習研究の意義について,体育学研究,7(1) 29,1962

20)鯛谷隆バスケットボールゲームの一考察,日本体 育学会第23回大会,415,1972

21)吉井四郎:中学校体育授業におけるバスケットボ ール指導についての私案,学校体育,21(7),30-34

1968

22)吉井四郎:スポーツ作戦講座「バスケットボール」

不味堂,1969,PP37-75

23)ZanderHollander:Themodernencyclopedia ofbasketball・Fourwindspress・NewYork.

l969P414

参照

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