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『現代家族』の批判的検討 『専業主婦』における『生活』意識の検討をとおして

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(1)

茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学・芸術)29号(1980) 63−84      63

『現代家族』の批判的検討

『専業主婦』における『生活』意識の検討をとおして

林 るみ子㌔吉田昭久・吉田紘子

(1979年10月17口受理)

Critical Inquiry into Families in Modern Society

with Special Reference to Consciousness of Housewives in Ordinary Life

Rumiko HAYAsH適 Teruhisa YosHIDA, and Hiroko YosHIDA

(Received October 17, 1979)

は  じ  め  に

社会システムが巨大化し経済機構が複雑化した現代において,「ホワイト・カラー」と呼ばれる人 人の増大に伴い,我が国の社会学者をも含めた社会科学者の間で,階級論と階層論についての論争が

1)2)3>

行なわれている 。 これは,アメリカにおける社会科学者を中心とした「ホワイト・カラー」の社       4>5)

@       に影響された動向であるといえよう。また昭和45年度に総理府の行なった「国民生会的性格の解明

活に関する意識調査」において,自らの暮しむきを「中(中の上・中・下の合計)」と回答する国民      6)がgo%に達したことにも触発されたものであろう。このような新「中間層」論争と呼ばれる論議の中心

課題は,集計整理における方法論上の問題であった。しかしながら,昭和48年の「オイル・シ。ック」      7)を契機として生起した慢性的な経済不況にもかかわらず,「国民生活に関する意識調査」に示された,

国民の90%の「中流」意識は下向していない。このような状況を反映して,再度「中流生活者の意識」

8)9)

に焦点をあてた「中間層」論争が社会学者たちの間で試みられている。

しかし,この論争においても,なぜ個人が「中流」意識をもつのかという観点に立った,十分な解 明がなされたとは言い難い。我が国の近代化の過程において現出してきた「中流」意識は,資本制社 会における私的所有を基礎としたものであることは疑いの余地がない。従って,その意識は,中産階       10)

沿モ識としてとらえることが妥当であろう。何故ならば,身分制社会の崩壊した現代社会にあっては,

       11) 12)13)14)15)16)17)18)19)

ツ人は労働力の私的所有者としてしか位置づけられないからである      。

現代人のもつ中産階級意識は,労働力商品市場における個の分断を前提に成立している。そしてそ れは,市場価値として優位に位置づけられる生産性が個を支配し,労働力商品市場における個人間の 競争の中へ個を追いやるという状況に規定されている。このような状況の中で個は,私的利害のみを 追求せざるを得なくなっている。その際,新たな生産性の向上を目指す資本の論理でしかない,「便 利で豊かな生活」が,個人主義と近代合理主義により理想化され,個人の持つ意識や欲求を呪縛する

ものとして働き,現代人の多くの中に中産階級意識は蔓延してきたといえよう。

*教育学部教育専攻科教育心理学選修 (Advanced Course of Educational Psychology,Faculty of Education)

(2)

「便利で豊かな生活」は,都市への労働力人口の集中により農村社会を崩壊させ,生産者であり消 費者であった女たちを,社会から消費の場としての「家庭」へと幽閉することにもなった。更には,

性別役割分業体制を生み出し,「家事・育児に専念する幸福な家庭の主婦」という新良妻賢母主義が

「主婦』という女の存在様式を作り上げたのである。その結果,現代の多くの女性は,「結婚」が全

       20)      21)

トにされ,人生に関して23才までの生活設計しか描けない状況におかれている。これを田中は,結婚 した『専業主婦』の生活は,奴隷の身分と同じであると指摘している。だが,一方で,この指摘に対

22)

する反論も同時にあるが,吉村らに代表される反論の根底には,「主婦』の存在の承認と,現行の家 族制斐との絡みの無視といった誤謬があり,性別役割分業論を超えていない。従って,性別役割分業 を前提とした「女一家庭」論が,分断され抑圧されている女の現状を一層深刻なものにしているとい えるだろう。

「専業主婦」にとっての家族の問題は,家業を持たない都市労働者の,消費単位としての核家族に 典型的に示されているといえる。松原の核家族論牲よれば,核家族を普遍的な家族形態としているが,

それは,戦後庶民層にまで定着した,男女の生物学的差異を社会的・文化的差異にまで拡大解釈した

「分業」観を基礎に,家族における役割と地位の固定を定式化した,家父長的権威主義的な家族を正 当化した論理で組み立てられている。更には,核家族における夫婦関係もまた社会的な承認を前提と することは,現代の家族が法制度による体制維持の単位であることを意味し,また婚姻制度を基準に する限り,「欠損家族」「未婚の母」あるいは「私生児」への差別を許容したものと言えよう。

このように見てくると,現代の核家族は,あらかじめ準備された社会的条件や家族制度によって,

家騰成員各効・役割を修得する為磯倉旨を持たされており2㌔れは,江戸時f℃の骸階級に見られ          25)

スものに近似している。だが,1945年以前の日本においては,士族階級における家父長的家族主i義と

26)

村落共同体における共同体的大家族主義との二重構造があった。日本の近代化の過程で,農村の大家 族主義が,前近代的なものとして否定され解体されてきた結果,家族構成員の役割の固定化と少人数 家族化といった家族の変質が定着したものと捉えられよう。そして,中産階級意識の蔓延と共に,女 を「主婦』に固定し,「専業主婦」として,子育てを最大の理由とした「現代家族』へ押し込めた状 況もつくり出されてきたのである。このような中で,『主婦』は社会からとり残され生気を奪われる,

27)28)

小児性と退行現象とを必然化されているといえよう。

従って,本論文においては,中産階級意識の蔓延した中での「専業主婦」の「生活』意識に検討を 加え,「現代家族』の問題の所在を明らかにしつつ,その克服の方向性を探究することを課題とした。

その際,我々は,単に「専業主婦」あるいは女だけが中産階級意識を持たされ,「現代家族』の中 で抑圧されているという問題意識を持たない。現代社会における「主婦』と「現代家族』との相剋の 問題は,社会状況に起因すると考えることが出来る。従って,一般に問題とされる個と社会とか,病 理現象を呈する個とそうでない個というような相対主義的な立場によらない。我々にとっての課題は,

様々な個人や社会・文化にみられる無数の人間性のあらわれから,全人類に共通する人間としてのあ       29>30)31)

@       ちなみに近来,欧米において,また我が国においてり方の問題に接近しようとすることにある。

      32)

焉C社会諸現象の把握に,精神病理学的知見を導入して解析する方向も追求されて来ている。そこで 我々は,「専業主婦」の抱え込んでいる問題を社会病理的側面を重視しつつ問題としたい。

(3)

林・吉田・吉田:「現代家族』の批判的検討      65

第1章 中産階級意識の歴史性と家族制度における「主婦』

第1節 中産階級的所産としての『主婦』と家族制度

現在, 「結婚」した女性は,職業の有無にかかわらず「主婦』と一様に呼ばれ,未婚女性もまた

「主婦予備軍」と呼ぼれているが,明治45年生れの貝島炭坑婦が「ほら,主,主婦て,あがんとです

33)

かねえ。子どもの守りどんしてですね。」と炭坑から女子労働者が締め出され,失業していた当時を 回想しているように,働く女にとっては馴染みのない言葉であった。従って,ここでは,現代人にお ける中産階級意識の蔓延が,女の存在様式をどのように規定しているかに関して,家族制度との関連 を中心に,江戸時代の農民の『暮し』と現代の『専業主婦」の『生活』とを対比しながら検討してい

くQ

江戸時代の人口の8割を占めていた農民の間では,大家族という生産活動の場を共有する生活共同

34)

体が一般的であった。そして,姉家督・長女相続・分割相続ということに示されるように,農民の中

35)

では長男相続が絶対的なものではなかったし,次・三男ということで冷遇されることも少なかった。

      36)37)

Xに,貧困を共有していた村落生活者は,農村・漁村・山村同士の共生関係を保っていたし,ムラの 構頗が濃作業.年中行事.冠癬馳どを協働共産しなヵ調比較的平等な共同体的燗関係を         39)

揩チていたといえる。このような大家族制度の中での女は重要な働き手であり,家族の統率者として        40)

フ女には杓子権・ヘラ持ちなどの主婦権が認められていた。だが,複雑な人間関係を維持しながら暮 していく農民の知恵として,主婦は最も粗末な食事と衣服で過ごし,支配者にはならなかったのであ 君11そして当時膿民は,、5歳から2。歳までの男子はr4儲宿』に,2・歳から結婚するまでは「若 者宿』へ,同様に女子は「娘宿」へ入り,村仕事では一人前扱いされ,宿親に教育され,男女の交歓

      42)43)

烽?閨Cまた行事の中心として働いたのである。

結婚は,この時代,婿入婚から嫁入婚へ変ってきていたが,婚家の方だけでなく女の方も婚家を選

      44)       45/

ヤ自由があった。そしてまた,子どもが何人か生まれてから夫側の家に引移るという結婚形態もあり,

      46)

。日でいう「戸籍」を基準とする婚姻制度は一般的ではなかったといえる。こうした大家族は,数組 の夫婦と子どもから構成されており,同じような年齢の赤ん坊が何人か生まれることになり,女たち       47)

ヘ農作業の合い間に交替で,泣いている子から順に授乳していた。すなわち,一・人の母親は全ての子 どもにとっての母親であったといえる。また「子だまり」の言葉にみられるように,子ども集団のな かで子どもは育ち合い,老人はそれを助ける役割を担っていた。このような村の生活の中では,…人 の働きが他の人々の生活にとって大切なものであったし,その逆の関係も成り立っており,人間の自 然の摂理であった性や年齢の違いが,人間関係の中で生かされ,助け合うことが基本に置かれていた。

このような人間関係に支えられた大家族では, ・人の人間が一定の役割に固定されるといった役割構 造を持っていたとはいえず,個の抑圧や疎外された労働からは比較的自由であったといえよう。

これに対して,「イエ」制度の下にあった士族rl皆級の妻女の存在様式は,根本的に異なっていた。

俸給生活者である武士の妻女は,消費面だけをまかされた「養われる」劣位の性であり,「イエ」の          48)49)

ミ信の道具でもあった。また,武士の生活規範である儒教イデオロギーでは「腹は仮りもの」とされ,

単に直系嫡出子を生み,育てるところに存在価値が認められていたため,「処女性」が士族階級の女 にとっては絶対視されていたのである。

 そして,士族の生活規範であった儒教に基づいた「女訓」は「家婦訓」とも言え,家婦以外は娼婦扱     50)いされていた。また,「女孝教」では良妻賢母が説かれ,「無才是徳」とされた女には家事以外のこ

とを認めていなかった。このような女訓書は町内の心学者・師匠を介し,江戸後期頃から富裕な町民

(4)

      51)

wにも浸透し始めていた。更に,明治に入って良妻賢母主義は民法により法制化されるとともに,欧

52)

化主義と富国強兵策に規定された女子教育により,庶民の間にも広げられていったのである。

こうした状況の中で現われた,福沢諭吉らの近代的女性論に共通していることは,来たるべき社会 の指導層を西欧諸国の中産階級に求めなヵ謝女性の役割を論じていることであ器版らの意図した       55)

烽フは,増加する勤労者世帯の核家族化と西洋的個人主義の流入を基盤として,夫婦を基本的対とす       56)

驫j家族モデルを理念とする,明治旧民法の焼き直しとしての昭和民法により       ,達成され一般化され

たのである。

このような近代化の過程で,現代の「主婦」という女の存在様式が登場してきた。「主婦』という 言葉は,明治34〜5年に,堺枯川の「新家庭風味」の中に登場し,藤村の「破戒』や田山花袋の小説

       57)58)

w妻』には,「主婦(かみさん)」という言葉が使われている。これらの著書における「主婦』は,

中流家庭における家政と家事労働の担当者を示すものとして使われており,このことからも,戦後,

      59)6⑪)      61>

ウ科書に見られるような性別役割分業や家庭科の女子必修は,「男は仕事,女は家庭」という家父長 的家族制度の論理でしかないといえる。そして,子どものいる働く女への圧力や,共働き夫婦に保育

62)      63)

所が冷淡であるという社会的圧力は,女だけに育児を押しつけ,女を「夫・子どもに仕える」存在へ

      64)      65)

ヌい込むものとなっている。離婚した女への社会的制裁は,士族階級の妻女に加えられた屈辱的三態 を受け継いだ論理でしかない。従って,現代の「主婦』は,士族階級に範型を持つ,家父長的な家族 形態としての「現代家族』に支えられたものと言えよう。

第2節 女性論における『主婦』問題の位置づけ

ところで,我が国における女性論争を歴史的にみてみると,まず戦前の,平塚らいてふ・与謝野晶

       66)      67)

q・山川菊枝らの展開した論争があげられようQこの女性論争は,山川・福田らの社会主義婦人論と,

      68)

^謝野の近代的個人主義婦人論,及び平塚の母性主義婦人論に分類される。三者に共通するものは,

女性も職業を持ち,経済的に自立し,男性に伍して社会へ進出するという立場である。ここで指摘さ れる問題は,資本制社会における疎外された労働の問題を無視した「経済的自立」は,資本の利潤追 求に利用されるものでしかないこと,及び,「主婦」を有職女性との対比で,「自立」していない女 性」として批判の対象としたことである。更に,平塚については,女性の出産機能を母性へ拡大解釈

していることが問題として指摘できるQ

       69)

氓ノ,昭和30年以降,石垣綾子が発表した「主婦という第二職業論」を契機として展開された,い わゆる「主婦論争」があり,主として,二つの立場にたっての論争が展開されている。その一つは,

家事労働を社会化して,女性が生産労働に参加し経済的に自立することによって,女性は解放される

とする繍舶立論であ贈栖は,爾謀よる,r主刷蠣を蠣力生産に紺る価値労働とし

て評価しようとした家事労働の経済的評価論である。これらの論議は継続され,法律的に夫婦財産の

      73)      74)

u別産制」か「共有制」かの論議や損害賠償請求権について,家事労働有償論が最高裁判決として出 されるなど,実践面においても進展している。

75)76)

更には,国際婦人年を契機として,女性論争の新たな展開がみられる。1970年に入って,竹中・駒

77)   78)79)

?E嶋津らは,性別役割分業のもとでの女の仕事とされた家事労働を,社会的性格を持つものとする ことにより,有職女性と「主婦』の問の従来からあった距離を埋めようと試みているが,そこでは相 変らず労働力の商品化という資本制的な価値基準が適用されているにすぎない。特に,竹中のように,

家事労働を社会化することによって,労働の分配率を高めるということは,家事労働を商品化する論

(5)

林・吉田・吉田:『現代家族」の批判的検討       67

理でしかなく,社会的役割分業の受容を一歩も超え得ていないものといえよう。

この際,新しい理論として,都留氏による「GNP指標というものを拒否して,それに代る福祉の 指標を考えるなど,打算社会の論理の転換によって,金銭的報酬を受けない人間の労働,家事労働を     80)

]価する」という論を受け止める必要があるであろうQ何故なら,「近代的自我」論を拠り所とする

「経済的自立」による「女性解放」は,現代社会構造を視る際の重要な視点の一つである,分業によ る労働の疎外や個の抑圧性の問題を拡大することにしかならないし,また,「いやな仕事,面倒な仕 事」は,儲に押し付けるという労働の差蝦も造咄すものでしかないからである.更に潰本の 論理の下での「経済的自立」は,家事労働の商品化によってのみ成り立ち,資本の利潤追求を目的に       82)

「り出された合理的な「消費生活」を超えることは出来得ない。その為,「主婦』が「消費の女王」

に位置づけられ,家事労働が一層,部分化されるという疎外状況を変えることにはならない。

      83)84)

]って,「経済的自立」論を支える「近代的自我」論は,現代の「主婦」の孤独な閉塞状況により,

現実的には破産しているといえよう。現代の資本制的社会における,分断された個を前提にしての

「個の自立」はあり得ないQ何故ならば,我々は多様な人間関係の中において初めて,自らを対象化 でき,「個の自立」を図ることができるのであり,現代の役割分業までを含めた分業体制の中に,人 間が固定化・画一化された状況にあって,自己はどう「在る」のかを「決断」として求められること が前提となる, 「個の自立」があり得るとすること自体が幻想であろう。

以上に述べて来たように,多くの『専業主婦』は,近代化の過程で蔓延して来た中産階級意識に規 定され,「現代家族』の中で,性別役割分業に固定されているといえる。そして,このことにより,

「専業主婦』は,労働の疎外と個の抑圧という現代の疎外状況下に置かれているのであるQ

これらの問題を明らかにする手掛りを得る試みとして,「専業主婦』を対象とした面接調査を行い,

実証的に我々の課題を検討したい。

第目章 茨城県内在住の「専業主婦』を対象とした面接調査とその総括的検討 第1節 手続きおよび方法

本調査は,茨城県内在住の「専業主婦」を対象として,1978年11月16日〜12月6日にかけて実施 された。面接の実施にあたり,表1のように面接視点および具体的面接視点の構造化を行ない,それ に基づき表2に示したような具体的質問項目を設定し,調査目的にかなった面接を保証するものとした。

面接視点は,表1の縦軸に示すごとく,「専業主婦』をとりまく状況因を日常レベルで捉え,更に,

「専業主婦」の持つ意識対象を12に範疇化し,また,個の意識は対象との関係において行為性と志向 性とに表出されるものであるため,これを関係性の視点として立て,横軸とした。

面接視点の縦軸と横軸とをクロスさせて出来た各メッシュに,具体的面接視点を表1のように設定 した。これらの視点は,各々,他の視点と重複した内容を見るものにならないよう配慮した。更に,

核家族の『専業主婦』の意識は,中産階級意識と性別役割分業とを,他の要因に関係なく反映してい ることを明らかにするために,夫の職業・子どもの年齢および人数・面接対象者の年齢および出身地 を独立項目として設定している。従って,面接調査の対象者の条件を,戦後,強力に進められた近代 化過程の社会的影響を強く受けてきている「専業主婦』を対象とするために,①6・3制新教育課程 を経験している45歳以下の,②小学生の子どもをもつ,③核家族の専業主婦というように設定した。

調査地域に関しては,調査目的との関連から,茨城県的特殊性を排除し,都市生活者に近似した生 活様式を持つ「専業主婦』を選定するために,勤労者核家族世帯の相対的に多い東海村・取手市・日

(6)

表1 構造化された面接視点および具体的な面接視点 表2 具体的質問項目

    関係性

オ・識気

1, 行 為 性 2, 志 向 性

 桂島.

1  行  為 性 2  志  向  性

A

a自 己

L社会教育機閨の利用

@。内容  ・時/頻度 ・理由

2.教育内容の選択基準

@。内容 。程度 。理由

1,社会教育機関の利用

@Qあなたは地域内の婦人会や消

且 教育内容の選択基準

@Qあなたはどのようなことを学 教 b家 庭 1.子どもの家庭学習への関与

@。頻度  。時間 ・理由

2.躾の選択基準

@・内容  。性別 ・理由

A

費者講座のような学習会に出 ネしたことがありますか。

びたいと思っていますか

育 e学 校 1.PTA行事への関与

@・回数 。内容  。理由

a学歴に対する過敏性

@。程度 。性別 。理由

b家庭

1.子どもの家庭学習への関与

@Qあなたは自分の子どもの宿題

@や予習・復習のような家庭学

2. Qあなたが自分の子どもを躾る

@際に大切だと考えていること

.阿一一一

a衣生活 1.専門店に対する関心 2.身なりに対する過敏性 習を見てあげていますか。 は,どのようなことですか。

。内容 。理由 ・内容 。理由

育 1,PTA行事への関与 2,学歴に対する過敏性 B

b食生活 1、外食の受容 @。回/月(頻度)。内容。理由

2.献立の作成基準

@。内容 。理由

c学

QあなたはPTAの会合や行事に,

@今年どの程度参加しています

Qあなたは今の社会において,

@男の子の場合と女の子の場合

日常

。住生活 1.家電製品の受容

@。内容 。理由

2持ち家の必要性

@・内容 ・理由

校 か。  回バ1年) のそれぞれにどの程度までの ナ終学歴が必要だと考えてい ワすか。

生活

d家 計 1.家庭経済の計画性 @。内容・理由 ・人(決定者)

2.貯蓄の希望水準

@。程度  ・内容  。理由 裏 1. 専門店に対する関心

@Qあなたは洋服の専門店・プティ

2,身なりに対する過敏性

@Qあなたは着古した服などを仕 e家 事 1.毎日行なう労働内容

@・内容 ・時間数 ・理由

a夫の家事労働の許容水準

@。程度 ・理由 B

生活

クに入って見ることがありま キか。

立て直したり,つくろったり オて家族に着せるということ

1.言葉遣いに対しての関心 2.標準語に対する過敏性 についてどう思いますか。

C

a ≡…』 量五 ロ  ロq

・内容 ・理由 ・内容 。理由

b食

1.外食の受容 2,献立の作成基準

@Qあなたは家族の夕食を作る時 文 b慣 習 1.中元・歳暮の贈答

@・対象 ・理由

a結婚式の選択基準

@・内容 ・理由

生活

Qあなたはお子さんとあるいは

@家族全員で外食することはど

@の程度ありますか。

どういうことに気をつけてい ワすか。

c風 俗 L余暇の利用形態

@・内容 ・回数・場所。理由

2,近隣との交際の選択基準

@。内容  ・程度  。理由 常

C笙

1,家電製品の受容

@Qお宅で,ごく最近購入された

a 持ち家の必要性      一

@Qあなたにとって,持ち家は必

d流 行 1,デパートの利用 2.化粧品の選択基準 家電製品は何ですか。 要だと思われますか。

・回数  。内容  。理由

・内容 。理由

d 1.家庭経済の計画性 2 貯蓄の希望水準 家 Qあなたのご家庭では,どうい Qあなたは貯蓄はどの程度あれ 活 計 うところに最もお金をかけて ぽ良いと思いますか。

いますか。

Face Sheet

1.毎日行なう労働内容 2 夫の家事労働の許容水準

・夫の職業・妻の年令。子どもの人数 。妻の出身地

蒙事

Qあなたがご家庭で毎日してい

@る家事は何ですか。

Qあなたの夫が夕食の買㌔物や

?魔 することについてどの 程度まで認められますか。

1,言葉遣いに対する関心 2.標準語に対する過敏性 a Qあなたは子どもや夫がどんな Qあなたは日常使う言葉として

Face Sheet (独立項目)

C

言語

言葉を使う時注意をしますかQ 標準語と茨城弁や出身地の言 tを比べた場合,どちらを使 いたいと思いますか。

。夫の職業 Q1どのような職業ですか

1.中元・歳暮の贈答 2 結婚式の選択基準

Q2どのような仕事をしているのですか

b慣

Qお宅ではどういう間柄の人に

@対して欠かさずお中元・お歳

Qあなたが考える具体的イメー

@ジの結婚式とは,どんなもの 習 暮を送っていますか。 ですか。

・妻の年齢 QIあなたは何十代ですか

1.余暇租用の形態 2.近隣との交際の選択基準

Q2前半ですか,後半ですか

C風

Qあなたはご家庭では日曜・祭

@日の休日にどのようなレジャ

Qあなたは近隣の人たちと,ど

@のような交際をしたいと思い 俗 一を楽しんでいますかD ますか。

。子どもの人数Ql子どもは何人ですか

d 1. デパートの利用 2,化粧品の選択基準 流 Qあなたは月に何L]デパートに Qあなたが高級化粧品とするも

。妻の出身地 行きますか。 のは,どのようなものですか。

立市の他,水戸市・勝田市の5市村,14ポイントを選定

したQ

面接方法は,個別面接とし,面接調査の事前依頼をせずにランダムに訪問して行なった。面接に際 しては,心理臨床における個別面接法としての深層面接法に準じて,日常会話形式により行ない,チ エッカー1名が面接対象者の話した言葉をそのまま,筆記記録した。従って,面接は,構造化された 面接視点に依拠しつつ,面接対象者の話す内容の流れに沿って進められ,具体的面接視点との関連で 欠損項目のないように,チェックされながら進められた。

更に,面接場面では,面接対象者が,他者からの心理的影響を受けないよう配慮した。

第2節 面接調査の結果および整理視点の設定

前節で述べた面接調査を行ない,訪問戸数約900戸のうち「専業主婦』75名の解析可能な資料を得 た。結果は,カード分類法に従い,面接対象者の言葉を,面接視点ごとに忠実にカードに記入し,表 に整理した。更に,『専業主婦』のおかれている社会状況との関連において,「言葉」がどのような

(7)

林・吉田・吉田:「現代家族』の批判的検討      69

意謝反映しているものなのかに関して,現象学的紛麟嘗すめるための内容分析の枠継設定し,

整理視点の構造化を行なった。

第1の整理視点としてく分断された人間関係〉が設定された。

近代化の羅で,労働力人。の都市への螂窪戸方での村徽同体への多くの牒流入ひこよる,同        88)

ニ者集団としての地域的結合の崩壊によって,村の解体が起ってきた。また,それと同時に,「近代 的自我」礼賛による個人主義が浸透するにつれて「マイホーム主義」が台頭し,地域内の生活共同体

89)

的人間の紐帯は,「プライバシー尊重」の風潮により現代人から奪われて行った。

      90)

Xに,今日の「現代家族」は,資本の支配単位であると同時に,消費単位とサービス労働としての 家事・育児という機能しか持たされていない。このようなコミュニティを持たない「現代家族」にお

いて,『専業主婦」は家事労働を機械化と社会化により失ないつつある中で,口をきかないで済む孤

      93)       91)92)

ニな生活を強いられて来ている。夫の収入の半分は妻のものであり,家族内で夫婦は対等という「二       94>

?[ tァミリー(同僚夫婦)」論における論理は,法的には夫の扶養家族であり,夫の収入で生活を 保証され,「フロ,メシ,ネル」の三言で私的に隷属する「妻」の更更養なわれる 関係といった事実 を無視しているQこのような孤独と自己の不全感により,「専業主婦』は「我が子」に自己を膠着さ        95)

ケてしまうほど埋没していかざるを得ず,子どもを通してしか人と接触できない状況に追い込まれて

 96)

「る。このような観点から,第1の整理視点が立てられる。

次に,第2の整理視点としてく性別役割分業の浸透度の高さ〉が立てられる。

男女間の畦の差黙,生殖機能でしかな課笙物学的誤でしかない女の出産機能を「母性」と いう概念をもって過大に位置づけ,女を全ゆる教育手段を構じて「家庭の主婦」へと収敏させる女性

教育が行楠れて来摺製して沖産階級灘を難とす碓役割は,轍主翻性格納在化しな

       104)105)        101)102)103>

ェら構成されている。  つまり,文化の型や社会構造,しかも階級別に性役割は形成されるのであ るが,現代の『主婦』観と家族観は,封建制下の武士階級を範型としており,更には,労働力市場に        106)

ィける商品価値として人間を価値づける資本主義社会の経済原則からは,「非労働力」の女子どもと され,女は家族制度の中で保護されつつ支配されるものとされてきたのである。

従って,本来性別の如何に拘らずある「摂食・睡眠・排泄・生殖」にかかわる人間的事柄までが分 業化され,「家事・育児は女性の天職」と『主婦』に押しつけられ,女への抑圧が強くかかってきた のである。男性優位社会にあっては,男性が男性性を強化されるよりも女子が抑圧されることの方が 強く,それ故,女性差別が生じることとなる。しかも,良妻賢母主義の社会的圧力により,「主婦」

は,妻としては抑圧されつづけ,母親としては息子と,それより強く娘を抑圧する家庭教育を担わざ        107)

驍 えず,世代間の性別役割分業の伝承・拡大再生産の要として位置づけられている。このような観 点を第2の整理視点の基盤として据えた。

そして,第3の整理視点として,〈都市文化型への志向性と上昇志向の強さ〉が問題となる。

ここで,都市文化型とは東京に代表される大都市文化の中で生起する種々の文化形態・様式を前提 としている。核家族自体,都市労働者家族の生活様式であり,現代状況は,種々のマス・メディアを 媒体として膚語生活を初甥らゆる生滞式において漏住地域の如何を問わず,東京をビラ・.

         109)

hの頂点とした画一化を進行させている。都市文化への志向性は,農村文化への差別,即ち,労働価 値の低いものとして肉体労働を否定・蔑視する方向を基底に持っている。また,制度内的スタータス の差異は消費に対す礁度に最もよく示されてい器・,とりわけ第3次産業の膨張に劾れている       111ウ

]暇時間の消費は,生活における安楽さの追求という形をとって示されている。

更に,E.フロムも指摘するように,上昇志向は,制度内的・商品価値のグレイド・アップを目指

(8)

112)

し,それによる権威の獲得を目指すものである。現在の分業制の下では,専門性に裏付けられた知的 労働者は,肉体労働との相対的関係において優位性を持ち,その中で自らのスタータスが明確に位置 づけられ,安泰な生活を保証されることになる。そして,女性のグレイドは,制度内的スタータスを 持つ男性との関係で決定される。かくして,都市文化型と上昇志向によって,「専業主婦』は,『合理 的で便利な生活』の享受と能力主義的人間観を追求する方向へと押し流されることとなる。

以上のような三つの整理視点によって,「専業主婦」の意識を分析対象として,「現代家族』内で の『生活』意識に検討を加えることとする。

第3節 整理視点にもとつく総括的検討 2−3−1分断された人間関係

面接調査から得られた反応語を表3のように細密に範疇化して,内容的に分析を行ない,整理視点 にもとつく分類を行なった。その際,共同研究者間にブラインドをかけ,反応語を分類する力法をと った。この結果から得られた「専業主婦』の人間関係について,近隣生活者・夫・子どもの順に検討 を加えていくQ

表3 細密化された整理視点

表3−a分断された人間関係       表3−b 性役割の 表3−c 夫婦間表3−d都市文化型への志

受容

の役割分業     向性・上昇志向

近隣生活者

子 ど も 男性件 女性性 夫と妻の役割分押 都市文化型への危、向性一昇志向の

(D表面的醐係 (1)商品化された関係 q)fども中心 (D能動性 (D受動性 ω家    、,1 強  さ 潔

②利害的関係 ②稀薄化した関係 ②子ども依存

(2)放 仔

②抑 月

⑳家 事労働

〔1厚楽  (4)所有意識の強さ 性 ㈹拒舎的関係 (31予どもへの埋没

容 酬経済加(3、家庭中心

容 〔3)生活設。1 ②地位獲得  ⑤便利性

㈲閉鎖的関係 ゆ社会性 (4)渉    外 (3博門性危、向㈲画一性

第一に,『専業主婦』 と近隣生活者との関係について, 表3−aに示した(1)について見ると,その 特徴的反応語として,「深入りしない程度」「挨拶程度」「お茶飲みぐらい」というものがある。こ れらの反応語は近隣生活者との関係について言及した全反応語数の51%を占める。このような「専業 主婦』と近隣生活者との関係は,(2)の特徴的反応語として示される「干渉されたり干渉したくない」

「波風立てず」「競争心も激しいので」といったものに支えられている。(2>に属する反応語は全体の 15%にあたる。そして,全体の7%にあたる(3)の特徴的反応語として現われるものは,「何もせず,

口に出さず,関係ない」「他人は他人」「おせっかいやかれるのが嫌い」というような,近隣生活者 と自分の「生活』を切り離した関係に関するものであった。これらのことは,(4)の特徴的反応語とし てある「地域性しか共通点がない」「付き合っているのは2・3人」「この階だけでも全然付き合い のない人もいる」「御主人の顔なんて見たこともない」(27%)という近隣生活者との関係を必然的 なものにしていると考えることができよう。以上の結果を例示すれば,表4−aのようになる。

上述したように『専業主婦」は,近隣生活者と実際に付き合っている人数は約2〜3人であり,し かも地域共同体性は殆んど失なわれているうえに,個人主義的な「プライバシー尊重」により地域内 の人間関係は稀薄化・狭隆化した状況におかれているといえる。

次に,夫との関係を表3−aに示した視点から検討した結果を例示したものが表4−bである。(1)

(9)

林・吉田・吉田:『現代家族』の批判的検討       71

表4 分断された人間関係を反映する反応語の例示

表4−a 表4−b

反応語総 反応語総

特 徴 的 反 応 語 数に対す 特 徴 的 反 応 語 数に対す

る出現率

る出現率

・(近所の人と)会って話しても通りいっ

リんね

Eあいさつ程度のおつきあいですね・近所の人とは深入りしないようにしてい

95/188

夫と

・主人はお給料を持ってくるだけです E主人はサラリーの運び屋です E何かあった時,誰に頼るというよりお金

ノ頼るしかない

E主人は給料袋を持ってくる下宿人です

12/20

U0%

近 係

・(近所とは)お茶を飲んだり何もせず口 51%

の 潔

・主人からいただいた(給料の)範囲で に出さずに関係なく

2.

・主人も時々(自分たちの関係を)これでいい 隣

・団地というのは競争心が激しいし,噂な

んだよなと確かめますけど

8/20

生  活 2.型晶

んかサァーと広がっちゃうし E干渉されたくないですし,近所でも家に

繧ーたことはない

E出来るならぽ波風立てないように(近所

29/188 係

し褻

・男の人に期待はないです

E(家計については)主人にも相談しない

ナ決めます

40%

関係

と付き合う)

15%

(100%)

・あたりさわりなく付き合っている

3. ・(近所には)行かないですむなら行かな

いですましている

13/188

・(あまり多くの人と付き合うとうるさい

的関 ので)あまり外へ出ない

E近所付き合いはあまりねえ,おせっかい 7% 表4−c

やかれるのが嫌いなんです

4閉鎖 ・地域性しか共通点がないから(仲良くし

ネい)・9年もいるけど30軒だけど御主人なんか

51/188

特 徴 的 反 応 語 反応語総

狽ノ対す 髀o現率

的関係 見たこともないことがある

E2,3軒の方とのお付き合い・1人ぐらいは(お付ぎ合いする人も)いま

キけど

27%

1.子ど ・子どものものは惜し気なく買ってしまう・(食事は)子どもが主体・(レジャーに出かけないと)子どもがか

154/300

わいそう

(100%) 子

中心 ・(レジャーは)子どものことを考えて子 51%

ども中心です

2. ・(自主教育の必要性は)子どもにおいて

の代表的反応語は,「主人は給料の運び屋」と

もと

fも依 きぽりをくわないために

E子どもが段々離れて取り残されてしまう E(レジャーに誘っても)お兄ちゃんが同

14/300

いうもので,全体の60%を占める。(2)の代表的

意してくれない T%

反応語としては,「主人にも相談しない」とい

の関

3.子 ・(自主教育として)子どもに関すること

学びたい

うものであって,全体の40%である。性別役割

ども ・子どもに手をかけてやらないと悪いから

Oへ出られない

132β00

分業と社会状況との関連で「養なわれる妻」が,

・(持ち家は)子どものために絶対に必要

44%

      113)

ニ庭という場では「主人公」にされていること

埋没

・(休日は)子どもと遊ぶ時が少ないから一緒になってかけ回る

を(2)の反応語は示すものであろうが,しかし,

(100%)

このような役割分業によって,家族内での夫と 妻の人間関係は疎外されたものとされている現

状を,(1)の反応語は示しているといえよう。

そして,『専業主婦』と子どもとの関係を,表3−aに示した視点から検討したものを例示すれぽ 表4−cのようになる。(1)に入る特徴的反応語には,「子どもの物は惜し気もなく買う」というもの があり,全体の51%を占め,(2)の特徴的反応語は,「子どもに置いてきぼりを喰わないように」「子 どもの方は全然付き合ってくれない」というようなもので,全体の5%にあたる。更に,(3)の特徴的 反応語には,「子どものために」「子どもと私きりになって」というものがあり,全体の44%になる。

このことから,「専業主婦」の多くは,近隣生活者や夫との関係が切れた状況に置かれているが故 に,育児のみに追い込まれ,「母親」という子どもとの関係の中でだけ生きていくことを余儀なくされ ているということが指摘できる。

(10)

2−3−2 性別役割分業の浸透度の高さ

ここでは,主に表1に示した家庭教育・学校教育・家事労働における志向性の具体的面接視点から,

「専業主婦」の意識に反映した性別役割分業の受容に関して表3−b,cに示した整理視点により検 討する。この視点に基づく整理結果を例示すれば表5−a,bおよび表6のようになる。

男性性の次元(1)に入る特徴的反応語として,「男の子はやっぱりたくましく」あるいは「強く」な どがあり,全体の60%にあたる。そして,(2)の特徴的反応語として,「男の子は将来一家を支えてい く」あるいは「家庭を持って食べさせなきゃならない」などがあり,全体の6%にあたる。④の特徴 的反応語として「出世するために協調性が大切」「社会に出て働くのだから心の広い」「男の子はそ の子なりに展望がある」などがあり,全体の22%を示している。

表5 性役割の受容を反映する反応語の例示

表5−a 表5−b

反応語総 反応語総

特 徴 的 反 応 語 数に対す 特 微 的 反 応 語 数に対す

る出現率 る出現率

1能動

・男の子は自立心が必要・男の子はたくましく

38/63

・女の子だから優しい子(母親になるの

セから)

44/122

・男の子は強く 60%

・女の子は素直な方がかわいい

・男の子だから放任主義・男の子は特別にね

7/63 女 性

・女の子は思いやりのある子になってほ

@しい

34%

・男の子は別にない 11%

2

・女の子は礼儀作法・あいさつを厳しく

38/122

3経済 ・男の子はやはり一家を背負って立つ人

ヤだから

E男の子は生活力がないと困る

4/63

V%

抑圧 ・女の子は女らしく育てばいい E女の子は(学歴が)男の人の上に行かな

「方がいい

31%

・男の子は家庭を持って食べさせなきゃ

3

・女の子は社会に出るってことはない

43/122

4

・男の子は早く出世するには協調性が大

家庭 ・女の子には家庭的なことをなるべくさ ケたい

社 切・男の子は社会に出て働くのだから心の 14/63

・女の子は大学出ると適令期になってし

@まうから行かなくてもいい

35%

・男の子はやはりその子なりの展望があ

22% (100%)

るのだから大切にしてね

(100%)

一方,女性性の次元の(1)の特徴的反応語として,女の子は「やさしさ」「素直な方がかわいい」な どがあり,全体の34%にあたる。そして,(2)の特微的反応語として,女の子は,「礼儀作法を厳しく」

「男の上に行かない方がいい」などがあり,全体の31%になる。(3)の特徴的反応語として,「女の子 は家庭的なこと」「18才位までお嫁に行かせた方がいい」などがあり,全体の35%を示した。

これらのことから,男児に対しての「能動性」「社会性」は,「経済力」を支えるものとして必要 とされ,男児に対する男性性の強化は,「男の子には注意しません」というように,余り表面化して いない。一方,女児に対しては,「女の子らしく」という「抑圧」により,「受動性」が強く求めら れ,それは「やっぱり家庭に入っちゃう」という理由からのものである。また,「男の人より上に行 かない方がいい」という理由で,学歴に対しての必要性が稀薄になっている。これは,男児の最終学 歴を「大学まで」とするものが24名に対し,女児には「高校・短大ぐらい」とするものが41名あった ことにも示される。従って,「専業主婦』の意識には,男性との相対的な関係で,女児への抑圧が強

(11)

林・吉田・吉田:「現代家族」の批判的検討       73

表6 夫婦間の役割分業を反映する反応語の例示

反応語総 反応語総

夫 の 役 割 分 担 数に対す 妻 の 役 割 分 担 数に対す

る出現率 る出現率

ω家 ・5万円以上なら主人に相談します。・(家計支出については)夫が目を通す

8β00 (1)

・結婚した時,これでようやくお金のやりくり

フ心配をしなくて済むと主人は言っていた 37/300

・大きいものを決めるとかは,やはり主人です

E男の人って経済観念ゼロでしょう 3%

・家庭の決定権は私です

E主人はそんなことにノータッチ 12%

・ストーブ・扇風機の掃除は主人がしてくれま ・(夫が家事をするのは)自分の城を侵される

す・男の人がそんな事(家事)をしているのは気 21/300

(2)

E主婦として当然すること,当り前でしょうようだからいやですね

71/300

の毒で見ていられない

・家事は男女同権でも,女に適している

労働 ・(主人が)台所に立っている姿を見るのはわ

ムしい 7%

労働 ・悲しいですね,代理をやってくれる人がいな

「ということは

24%

・(男の人が家事をするのは)みっともない姿だ

㈹生 ・主人に学校をのぞくのはお前の仕事だといわ

黷ワすから 6/300

(3)

・深く考えない

E(自己教育に対して)意欲がない,堕落してる

52/300 活

・(食事は)主人の好みや時間に合わせます

活 と思う

・(休日には)主人があそこに行こうかと言って 2%

・家庭のことに主体性はありません 17%

計 計

・家の中にいても退屈だし

ω渉 外 ・主人は外で働いている

E主人は仕事に専念してくれれぽいい E男の人は貫緑があった方がいい E父親は手を出さないで一段と上で見守って

17/300

@6%

(4)

ツ外

・よそに出たことがないから(どこに社会教育

@関があるか)わからない

E主人があまり封建的というか私が外へ出るの

望まない

88/300

Q9%

・家から解放されたい

(100%)       (100%)

く,女児が劣位に位置づけられている状況が反映されているといえよう。

家事労働に対しては,表6に示した「夫婦間の役割分業」の例示から, 「家事は男女同権でも女の 人に適している」という適性論や,夫が家事をすることに対して,「自分の城を侵されるようだから いや」という性別役割分業論に,『専業主婦』の意識がしばられていることを指摘できよう。また,

「夫は女の仕事(家事)がなくなったらかわいそうと言う」という言葉には,「専業主婦』に対して 夫からの社会的規制も加えられているということも示されている。

しかしながら,家事労働を「当然」としている「専業主婦』の意識の中には,夫は「仕事に専念し」

夫が家事をするのは「みすぼらしい」とする反面,家事は「成果があらわれないでしょう。やった,

っていう気になれません」「主婦というものは悲しいですね」という言葉には,社会からしめ出され

114)115)116)

「家庭一女性の場」での抑圧に対する苛立ち・悲しみのあることも隠せないのである。

以上の如く,「専業主婦』は,性別役割分業の下で家庭に位置づけられ,その中で疎外された状況 にあるといえる。

2−3−3 都市文化型への志向性と上昇志向の高さ

表3−dに示した(1)についての検討を通して,特に余暇の利用に示された「専業主婦』の意識を見 ると,71名が「レジャー」への志向性を示しており,その内容は時間消費型19名,金銭消費型52名と なるQ表7に例示したように,特徴的反応語としては,「ドライブ」「ゴルフ」「やっ1まり暇だし」

といったものがあげられ,全体の11%である。以下,同じように表7を参照しながら検討してみよう。

(2)の特徴的反応語として,「やっぱり大学まで」「就職に有利」などがあり,その対極には,「大 工とか左官なら別ですが」とか「土方みたいな言葉はいや」という言葉に示されるように,肉体労働 者の生活を劣位なものとして意識していることが理解される。これは全体の33%も占めている。

(12)

表7 都市文化型への志向性・上昇志向の強さを反映する反応語の例示

反応語総 反応語総

特 徴 的 反 応 語 数に対す 特 徴 的 反 応 語 数に対す

る出現率 る出現率

ω享

・(休日には)動物園・公園・遊園地へ出かける・(デパートへ)毎日のように行ってる・趣味は時間とお金のある限りやりたいですね

194/i809

留喜 ・(貯蓄は)どれだけあってもある程いい・(貯蓄は)持っていないと気が変になる・(持ち家は)やっぱり必要欲しいです。自分の

253/1809

・生活きりつめて貯金にまわすつもりはない

家なんだなあという実感が湧いた方がいい

11% 蚕さ 14%

(2) ・(学歴は)世の中に出て普通の人と対抗してい ・(つくろいものは)自分でできない

けないと困るから

60(ン1809

(5> ・(持ち家は)歩かないですむから欲しい

2671809 位

・(学歴は)人に笑われない程度に必要

便

・(デパートは)全部そこで揃っちゃうからいい

獲得 ・(方言は)田舎もの扱いされる,土方みたい

E(中元・歳暮は)お世話になった方へ差し上げ 33%

利性

なあと思う

15%

ます

(3)専門性 ・(化粧品は)高いものが高級だと思う ・コマーシャルを見て,きれいなモデルが出て

・一

梠蜉w出てますので,マーケットのレジな

かやりたくないです

403吐809 (6) くるとあの化粧品がいいんだわと思う・全国的に標準語だし

94/1809

・ある程度の知識が必要だから大学へ

22%

・標準語・東京弁の方を使いたい

E(洋服び))流行は気になります

5%

(100%)      (100%)

(3)の特徴的反応語には,「良いものは高いもの」とか「一応大学出ていますのでマーケットのレジ なんかやりたくないです」というものがあり,全体の22%を示している。

(4)は,表1に示した持ち家の必要性や貯蓄の希望水準などから多くの反応語が得られ,その特微的 反応語としては,「やっぱり必要」「それが夢」「貯蓄はあればある程いい」「お金があると気持が 優しくなる」というもので,全体の、4%に嫡。ここでは,燗吻格溜示されている。

(5)には,表1に表した身なりに対する過敏性,外食の受容,家電製品の受容,デパートの利用など から多くの反応語が得られ,その特徴的反応語として,「外食は面倒になった時に」「手間がかから ないから」,デパートは「数が豊富」などがあり,全体の15%を示す。しかし,こうした便利性の追 求の中で,「持ち家は,マンシ。ンのようにドアひとつでばっとという気楽さがなくなる」という取 手市の「専業主婦』の言葉に示されるように,生活と自然との関係もすたれていく状況に,「専業主 婦」は置かれているといえよう。

(6)には,表1に掲げた,標準語に対する過敏性などから多くの反応語が得られた。75名中「標準語」

を55名,「東京弁」を4名が選択している。また,化粧品については,「コマーシャルを見て」「宣 伝聞いて」良いと思わされており,このような反応語は全体の5%を占める。

以上のことから,「専業主婦」は,農村文化や肉体労働者への蔑視を基に,社会的地位の獲得へと 意識が向う上昇志向と権威への志向性の中に置かれているといえよう。そして,コマーシャリズムが 消費拡大のために作り出した,「文化的生活」の合理性・便利さの追求は,『専業主婦」の意識をブ ランド志向・都市文化志向へと収敏させているといえる。

第4節 「専業主婦』の『生活』意識の検討

前節では,整理視点ごとに「専業主婦」の意識構造の分析及び検討を行なったが,ここでは更に社 会状況との関連で,「専業主婦』がどのような『生活』意識をもっているのかの検討を,被面接者の

「ことば」を手掛りとして,試みたい。

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