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日本の家電流通研究の現状と課題--批判的検討

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Academic year: 2021

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(1)嶺逮 鵡"㌦ ,k\. 豪語 讐. 商経学叢. 第54巻 第3号2008年3月. θ5農 事墾. 日本 の家電 流通 研究 の現状 と課題 批判的検討. 大 概要. 内. 秀 二 郎. 家電 流通 に 関 す る研 究 は 数 多 くあ るが,そ れ らの ほ とん ど は,1)高. カ ー の流 通 系 列 化 政策 に 焦 点 を 当 て る,か つ/も. し くは,2)松. 度成長期の メー. 下電 器 産 業 を 中心 的 事 例 と. して取 り上 げ る,も の で あ る。 本 稿 で は,流 通 構 造 の 生 成 ・発 展 の メ カニ ズ ムを 分 析 す る上 で さ らな る 研 究 の 蓄 積 が必 要 で あ る こ とを,他 産 業 を 事 例 とす る先 行 研 究 を踏 まえ て 主 張 す る と と もに,今 後 研 究 を進 化 させ る上 で 検 討 す べ き論 点 を 提 示 す る。. AbstractManyresearchershavebeeninterestedinandhaveanalyzedthedistributionsystemofhomeelectricappliancesinJapan.However,mostofthemfocuson 1)manufactures'verticalmarketingsystem(κ8硬. 翻channel)inthemid-50stothe. mid-70s(thehigheconomicgrowthera),and/or,2)channelstrategyofMatsushita ElectricIndustrialCo.,Ltd.Thisnoteinsistsonthenecessityoffurtherresearch andsuggestssomeperspectives,bycontrastwithstudiesonotherindustries.. キ ー ワ ー ド 家 電,流 通 研 究,流 通 構造,. 流 通 系 列 化,生 成 ・発 展 過 程. 原 稿 受 理 日2008年1月29日. 一191(361)一.

(2) 第54巻. 1は. 第3号. じ. め. に. 本 稿 の 目的 は,日 本 の い くつ か の 産 業 に お け る流 通 構 造 の 生 成 ・発 展 過 程 に関 す る先 行 研 究 の レ ビ ュ ー を通 じて,家 電 流 通 研 究 が 今 後 取 り組 む べ き研 究 領 域 を指 摘 す る と と も に,解 明 す べ き研 究 課 題 を 提 示 す る こ とで あ る。 これ まで,多. くの 研 究 者 が 日本 の 高 度 成 長 期 の 垂 直 的 マ ー ケ テ ィ ング ・シ ス テ ム,す な. わ ち,製 造 企 業 に よ る流 通 系 列 化 政 策 に着 目 して きた 。 例 え ば 矢 作(1997)は,各. 流通段. 階 問 の 取 引 関 係 の あ り方 を 基 準 と して,日 本 の 消 費 財 メー カー に よ る チ ャネル 組 織 化 を 下 記 表 に 示 され る四 つ に類 型 化 して い る。 この 類 型 化 は,メ ー カー が,配 荷 数 と チ ャネル 統 制 の 度 合 い とい う,多. くの 場 合 トレー ド ・オ フの 関 係 にあ る チ ャネル 構築 の2つ の 目標 の. バ ラ ン スを 鑑 み な が ら,自 らの 要 求 水 準 に応 じた 流 通 系 列 化 政 策 を採 用 して き た こ とを 指 摘 す る もの で あ り,そ の 意 味 にお いて 流 通 系 列 化 の 本 質 を 捉 え た もの と評 価 す る こ とが で き る。. ① 特 約 店 ・代 理 店 制 度 、/卸. 売 段 階 に お い て,. ②販社型 4卸. ③一貫型. 売段階が専属化 さ 4卸. ④直販型. 売段階の販社化を 4卸. 売段階を完全 に内. テ コ に,小 売 段 階 ま れ,特 約 店 ・代 理 店 部組織化 制 度 よ り強 い 統 制 が で 緩 や か に組 織 化 、/メ ー カ ー の 営 業 部 門 代 理 店 を 配 置 しそ れ と られ る 、/メ ー カ ー が 店 舗 設 計 が直接小売店 に販売 ら を メ ー カ ー が 管 理 v・ 卸 一 小 売 段 階 の 取 引 や取扱商品の制限 な し,そ の 管 理,統 制 、 〆 特 約 店 ・代 理 店 と取 関 係 は,特 約 店 ・代 どを 含 め 小 売 業 務 に を行 う 引 先 小 売 店 との 関 係 理店制度 と基本的 に v・ 自 動 車,新 聞,一 部 積極的 に関 与 は通常の商取引関係 同 じ v・ 家 電 や 化 粧 品 な どが の 医 薬 品 メー カー が 、/加 工 食 品 や 日用 雑 貨 、/家 庭 用 合 成 洗 剤 メー 代表的な業種 該当 品 な どの 業 種 に多 い カー の 花 王 が 採 用 都 道 府 県 単 位 に1な い し少 数 の 特 約 店 ・. しか しな が ら,こ の 類 型 化 に は次 の よ うな 問 題 点 も指 摘 で き よ う。 す なわ ち,こ れ は あ くまで 特 定 の 時 期 にお け る各 メー カー の 流 通 系 列 化 政 策 を 類 型 化 した に過 ぎず,静 的 な 分 析 に と ど ま って い る点 で あ る。 例 え ば,上 記 類 型 化 に従 え ば 「特 約 店 ・代 理 店 制 度 」 に分 類 され る森 永 製 菓(以 下,森 永 と略 記)の 場 合,戦 前 に お い て は,卸 売 段 階 にお いて 販 売 会 社 が 設 立 さ れ る と と もに小 売 流 通 にお い て もか な りの 程 度 の組 織 化 が 行 わ れ て お り,「 一 貫 型 」 と多 くの 点 で 共 通 す る流 通 系 列 化 を 展 開 して い た 。 また,上 記 類 型 化 に従 え ば 「一 一・ 貫 型 」 に 分 類 され る資 生 堂 や 松 下 電 器 産 業(以 下,松 下 と略記)の 場 合,当 初 か ら販 社 を 通 じた チ ャネ ル 統 制 を 行 った わ け で は な く,独 立 卸 売 商 を 活 用 した形 で の チ ャ ネ ル の 組 織 一192(362)一.

(3) 日本 の家 電 流 通 研 究 の現 状 と課 題(大 内). 化,す. な わ ち 「特 約 店 ・代 理 店 制 度 」 と共 通 した特 徴 を持 つ流 通 系 列 化政 策 を,そ の原 点. と して い る。 この よ う に,特 定 の 時 期 の み に焦 点 を 当 て た類 型 化 の試 み は,メ ー カ ー に よ る流 通 系 列 化 政 策 の 普 遍 的 特 徴 を 見 落 と して しま う危 険 性 を は らむ と と もに,そ の生 成 ・ 発 展 の メ カニ ズム を 分 析 す る上 で も不 十 分 で あ る。 垂 直 的 マ ー ケ テ ィ ン グ ・シス テ ム の 形 成 メ カニ ズ ムを 歴 史 的 に分 析 した研 究 と して は, G.PorterandH.Livesay(1971)が. 挙 げ られ る。 これ に よ れ ば,ア メ リカ合 衆 国 にお け. る19世 紀 か ら20世 紀 初頭 に か け て の 製造 品 の 流 通 構 造 の 変 化 の 基 本 的 要 因 は次 の 二 つ で あ り,産 業 の 中 で い ず れ か の事 態 が生 じた場 合 に,メ ー カ ー は,既 存 の 卸 売 商 へ の 依 存 か ら 脱 却 し,自 らに よ る垂 直 的 マ ー ケ テ ィ ング ・シス テ ム の 構 築 へ と転 じる,と 結論 づ け られ て い る。 第1に,生. 産 の 寡 占化,あ る い は都 市 に お け る集 中市 場 の 成立 に よ り,生 産 者 が ,. 既 存 の 商 業 網 が な し得 る よ り も 「よ りひ くい単 位 費 用 で彼 ら 自身 の製 品 を販 売 す る こ とが 可 能 ω」 に な る こ と。 第2に,特. に,技 術 的 に複 雑 な商 品 の流 通 に お い て,「 独 立 卸 売 業 者. の 能 力 あ る い は意 欲 の 不 足(2)」の た め に,生 産 者 自 らが 「生 産 物 を効 果 的 に販 売 す る こ と が 必 要(3)」 とな る こ と。 彼 らの研 究 に よ って提 示 さ れ た,市 場 特 性 と製 品特 性 が 流 通 構 造 を 規 定 す る とい う命 題 は,国 や 産 業 を 越 え た 普 遍 性 を 有 す る可 能 性 が あ り,そ の理 論 的 貢 献 は 大 きい と言 え る。 しか し,こ れ らの 要 因 は,あ. くまで 垂 直 的 マ ー ケ テ ィ ング ・シ ス テ ム. 生 成 の契 機 に過 ぎ ず,そ の 発 展過 程 の 具 体 的 形 態 を 規 定 す る もの で はな い。 上 記 研 究 の意 義 と限 界 を踏 ま え,流 通 構造 の生 成 ・発 展 過 程 につ いて,そ の 普 遍 性 を 抽 出 す る と と もに そ の具 体 的形 態 を規 定 す る要 因 を 解 明 す る とい う,二 つ の 大 きな 理 論 課 題 を視 野 に入 れつ つ,本 稿 で は,こ れ らの理 論 課 題 に接 近 す るた め の 一 段 階 と して,今 後 の 家 電 流 通 研 究 に求 め られ る研 究 課 題 を考 察 す る こ と とす る。 第4節 に お い て述 べ られ る通 り,日 本 の家 電 流 通 に関 す る先 行 研 究 は数 多 くあ る が,そ れ らが 焦 点 を 当 て る対 象 に は偏 りが あ り,い くつ か の領 域 が 空 白 と して残 さ れ た ま ま で あ る。 一・ 方 で,近 年,他. の い くつ. か の産 業 を事 例 と して,流 通 構造 の生 成 ・発 展 過 程 を分 析 す る上 で有 用 な研 究 が蓄 積 され つ つ あ る。 産 業 間 の 比 較 を通 じて 先 の二 つ の理 論 課 題 に ア プ ロー チす る た め に も,家 電 流 通 研 究 の さ らな る蓄 積 が 必 要 で あ ろ う。 以 下,第2節. にお いて,加 工 食 品 産 業 を事 例 と した先 行 研 究 につ い て,第3節. で は,ト. イ レタ リー ・化 粧 品 産 業 を事 例 と した 先 行 研 究 に つ い て,そ れ ぞ れ概 観 す る。 後 述 の 通 り,こ れ ら2つ の 産 業 にお い て は,流 通 構 造 の 生 成 ・発 展 過 程 の通 史 的 な分 析 を可 能 にす (1)山. 中 豊 国 ・中 野 安 ・光 澤 滋 朗 訳(1983),3ペ. (2)同. 上。. (3)同. 上。. ー ジ。. 193(363).

(4) 第54巻 る複 数 の研 究 が 存 在 して い る。 第4節. 第3号. で は,家 電 産 業 を事 例 と した先 行 研 究 を概 観 し,空. 白の ま ま残 さ れ た研 究 領 域 を指 摘 す る。 最 後 に第5節. で は,他 産 業 に お け る研 究 成 果 を 踏. まえ,家 電 流 通 研 究 が 今後 検 討 す べ き論 点 を挙 げ,本 論 の小 括 とす る。. 2加. 工 食品産業を対象 と した事例研究. 加 工 食 品 産 業 に お け る 垂 直 的 マ ー ケ テ ィ ン グ ・シ ス テ ム の 形 成 過 程 に つ い て は,森 (1973)や. 前 田(1977)な. ど に お い て,森. 永,麟. 麟 麦 酒,味. の 素 な ど の メ ー カ ー が,「 国 内. 市 場 の 拡 大 傾 向 に 既 成 の 問 屋 網 が 有 効 に 対 応 で き な い よ う な 場 合,(中 織 を 整 備 す る 動 き 」(4)を戦 前 か らす で に 見 せ て い た こ と が,早 ら に 近 年 で は,製. 菓,麦. 酒,醤. 油,化. 学 調 味 料 な ど の 各 業 界 に お け る,戦. 前 のメーカーの. 積 さ れ つ つ あ る(5)。本 節. れ ら の 先 行 研 究 の 成 果 を 簡 単 に 総 括 す る。. ま ず,戦. 前 の 加 工 食 品 産 業 は,①. 非 常 に 大 き か っ た 業 界,②20世 界,の. 略)自 主 的 に 販 売 組. くか ら指 摘 され て い る。 さ. チ ャ ネ ル 組 織 化 活 動 の 動 向 や 流 通 構 造 の 変 化 に 関 す る 研 究 が,蓄 で は,こ. 川. 産 業 の 成 立 ・発 展 を 牽 引 した 一 新 興 メ ー カ ー の 役 割 が. 紀 の 初 頭 に お い て既 に 寡 占 的 構 造 が 定 着 しつ つ あ った 業. 二つ に 大 別 で き る 。 ① に 該 当 す る も の は,化. 学 調 味 料 業 界 に お け る味 の 素 や 製 菓 業. 界 に お け る 森 永 で あ る 。 こ れ らの 業 界 に お い て は,個. 別 メ ー カ ー に よ る卸 売 業 者 の 組 織 化. を べ 一 ス と した 垂 直 的 マ ー ケ テ ィ ン グ ・シ ス テ ム の 形 成 が 見 られ た 。 味 の 素 の 場 合 は,大 手 特 約 店(一. 次 卸)を. 通 じ た 副 特 約 店(二. 次 卸)の. 管 理,さ. らの働 きか け に よ って 結 成 され た副 特 約 店 の店 会 組 織 統 制 に よ る 乱 売 阻ILを 図 っ た 。 ま た,1929年 た 後 は,味. ら に1927年. 頃 よ りメ ー カ ー か. 「味 の 素 会 」 を 通 じ て,チ. ャネ ル の. に グ ル タ ミ ン酸 ソ ー ダ の 製 造 特 許 期 限 が 切 れ. の 素 に よ っ て構 築 さ れ た チ ャネ ル が 後 発 他 社 に対 す る参 入 障 壁 と して 機 能 し. た(61。森 永 の 場 合 は,卸 売 業 者 を 専 属 の 特 約 店,後 (4)森. 川(1973),181ペ. (5)製. 菓 業 界 に 関 す る 研 究 と し て は 小 原(1994)や. 油 業 界 に 関 し て は,西. に 販 社 と し て 組 織 化 す る(7)と と も に,小. ー ジQ 村(1997)や. 森 田(2000),薄. 井(2004)な. 池 田(1998,2000,2001,2002a,2002b)な. ど が,麦. 酒 や醤. ど が,化. 学 調味. 料 に 関 し て は,特 に 味 の 素 の チ ャ ネ ル 組 織 化 に 焦 点 を 当 て た 池 田(1996a,1996b,1997)な ど が, そ れ ぞ れ 挙 げ ら れ る 。 ま た 風 呂(1994,1995)は,化 学 調 味 料,麦 酒,石 鹸 な どの 業 界 を 事例 と し て,戦. 前 における. 「縦 型 特 約 店 制 」 ・「販 社 制 」 の 形 成 過 程 と,戦. 時 に お い て そ れ らが 果 た した. 役 割 に つ い て 考 察 し て い る。 (6)味. の 素 に と っ て の 強 力 な 競 合 製 品 は,日. 本 窒 素 肥 料 が 製 造 ・販 売 す る 「旭 味 」 で あ っ た が,「 総. 代 理 店 や 大 特 約 店 を 頂 点 に 小 売 店 に い た る 安 定 し た マ ー ケ テ ィ ン グ 体 制 の お か げ で,そ 退 け 」,競 合 他 社 は,「 『味 の 素 』 よ り も 安 い 価 格 で 料 理 店,蒲 売 を 試 み る の が 普 通 で あ っ た 」。 森 川(1973),197ペ (7)1922年,大. ー ジ。. 阪 の 専 属 特 約 店 か ら な る 「友 進 会 」 が,森. 商 会 」 を 設 立 し,翌1923年 た 。 同 年 に は 全 国 で16の. 永 製 品 を 共 同 販 売 す るた め の 販 社. に は 京 都 ・和 歌 山 の 組 織 を 合 わ せ て 販 社 が 設 立 さ れ た 。 薄 井(2004),200ペ. 194(364). の 挑戦 を. 鉾 店 な ど大 口需 要 家 に対 し直接 販 「友 進. 「森 永 製 品 関 西 販 売 」 と 改 称 し ー ジ。.

(5) 日本 の家 電 流 通 研 究 の 現 状 と課 題(大 内). 売 段 階 に お い て1928年. 以 降 「ベ ル ト ラ イ ン ス トア 」 制 度 を 敷 き,建. 制 限 な ど 小 売 業 者 の 活 動 の 統 制 を 実 施 す る と と も に,各. 値の遵守や販売地域の. 種 小 売 店 支 援 を 行 う こ と で,「 非 価. 格 競 争 を 軸 と した 近 代 的 マ ー ケ テ ィ ン グ を 展 開 し う る 菓 子 小 売 店 の 育 成 ・確 保(8)」を 図 っ た(9)。 ② に 該 当 す る も の は,醤. 油 業 界 や 麦 酒 業 界 で あ る。 こ れ ら の 業 界 に お い て は,個. カ ー に よ る 垂 直 的 マ ー ケ テ ィ ン グ ・ シ ス テ ム の 形 成 と 言 う よ り も,む. し ろ,寡. 別 メー. 占 メー カ ー. 間 の カ ル テ ル 行 為 と商 業 者 組 合 組 織 の 集 合 行 為 を 通 じ た チ ャ ネ ル の 統 制 が 展 開 さ れ た と 言 え る 。 醤 油 業 界 で は,1920年 「三 蔵 協 定 」 を 取 り結 び,従. 代 半 ば に キ ッ コ ー マ ン,ヤ. マ サ,ヒ. ゲ タの醸造 業者三社 が. 来 の 問 屋 委 託 取 引 か ら メ ー カ ー 指 値 制(10>,さ ら に は1930年. の直. 配 ・手 形 制 度(ll)の導 入 を,問. 屋 組 合 の 協 力 を 得 な が ら 実 施 し,市 場 価 格 の 維 持 を 図 っ た(正2)。. 麦 酒 業 界 に お い て も,1927年. 以 降,大. 日 本 麦 酒,日. 本 麦 酒 鉱 泉,麟. 麟 麦 酒(13)の三 社 が 「麦. 酒 醸 造 業 者 懇 話 会 」 を 結 成 し,出 荷 数 量 お よ び 販 売 価 格 に 関 す る 協 定 を 取 り結 ぶ と と も に, 問屋 組 織. 「東 京 和 洋 酒 食 料 品 問 屋 聯 盟 会 」 に 対 して,最. 対 す る 警 告 を 要 請 す る と い っ た よ う に,醤 業 界 の 場 合 は,問. 低 価 格 以 上 で の 販 売 と乱 売 業 者 に. 油 業 界 と 同 様 の 動 き が 見 られ る 。 た だ し,麦. 屋 組 織 が 各 メ ー カ ー の 特 約 店 の 寄 せ 集 め に 過 ぎ ず,上. み は 実 効 性 を 欠 い て い た 。 実 際,1930年. よ る 拡 販 へ と 転 じ た 。1933年. に,日. 記の価格維持の試. に は 日 本 麦 酒 鉱 泉 が こ の 協 定 か ら 脱 退 し,ま. 1929年 に こ の 協 定 に 加 わ っ た 櫻 麦 酒 も2年. 後 の1931年. 酒. に は 脱 退 し,こ れ ら2社. た. は値 下 げ に. 本 麦 酒 鉱 泉 を 合 併 し た 大 日 本 麦 酒 と 鹿期隣麦 酒 に よ る. 「麦 酒 共 同 販 売 株 式 会 社 」が 設 立 さ れ た こ と に よ り,よ う や く麦 酒 業 界 に お け る 価 格 の 安 定 が 実 現 す る こ と と な っ た(14)。 (8)同 上,208ペ ー ジ。 (9)森 田(2000)は,森 永 に 加 え,明 治 製 菓,江 崎 グ リコ,不 二 家 の 戦 前 にお け る活 動 を 概 観 した 上で,戦 前 に お い て は 森 永 が 製 菓 業 界 を 「制 覇 」 した と評 価 し,そ の 要 因 の 一 つ と して,森 永 が 「販売 網 の 囲 い込 み 」 に 成 功 した こ とを 挙 げ て い る。13-67ペ ー ジ。 ω. 問 屋委 託 取 引 に お い て は,問 屋一 小 売 店 間 の 決 済 価 格 は問 屋 組 合 の 協定 に よ って 決 定 され,そ の 決 済 価 格 の8%が,醸 造 企 業 か ら問 屋 に 対 して 販 売 手数 料+蔵 敷 料 と して 支払 わ れ た。 指 値 制. とは,従 来 は 決 済 期 に 事 後 的 に しか 確 定 しな か った この 決 済 価 格 を,三 蔵 各 社 が 事 前 に 「指 値 」 す る こ とを 表 す。 池 田(1998),102ペ ー ジ。 (11)三 蔵 協 定 に よ って,醸 造 業 者 各 社 は 共 同 荷 扱 所 か ら小 売 店 へ の 直 配 シ ス テ ム を採 用 して い た。 手 形 制 度 とは,こ の小 売 店 へ の配 送 の 際 に,「問 屋 組 合 の為 替 手 形 を添 付 して,商 品 の 到 着 と 同時 に 手 形 を 引 き受 け させ る こ とに よ り,小 売 価 格 を 手 形 額 面 価 格 以hに 維 持 す る こ と を狙 った もの で あ る」。 同 上,103ペ ー ジ。 ⑰. この 三 蔵 協 定 は1933年 に 解 消 され るが,そ の 後 は キ ッコ ー マ ンが 単独 で直 配 ・手 形 制 度 の 導 入 を 東 京 や 京 阪 神 地 区 に お い て 実 施 し,個 別 的 な チ ャ ネ ル統 制 に よ る価 格 維 持 を 図 っ た。 一・ 方業界 全 体 と して は,三 蔵 協 定 解 消 後 は,景 品 付 き特 売 が 蔓延 し乱 売 の 防 止 は 困難 な状 況 に陥 っ た。 同 一L,107ペ ー ジ。. q3な お,こ れ よ り以 前の1926年 に,顧 麟 麦 酒 は明 治 屋 と の一 手 販 売 契 約 を解 消 し,明 治 屋 傘 ドの 特 約 卸 売 業 者 と個 別 に取 引 を 行 う よ う にな った 。 これ は,麟 麟 麦 酒 が 大 日本 麦 酒 や 日本 麦 酒 鉱 泉 に対 抗 して,卸 売 業 者 依 存 の 販 売 体 制 か ら の 脱 却 を 図 っ て い た こ と を 示 す も の で あ る。 風 呂 (1994),37-38ペ. ー ジ,西 村(1997),18-21ペ. ー ジほ か。. 195(365)一.

(6) 第54巻 な お,戦. 時 統 制 経 済 下 に お い て,戦. 第3号. 前 に 構 築 さ れ た チ ャ ネ ル 構 造 の 一 部 は 「配 給 機 構 」. に 形 を 変 え て 存 続 す る こ と に な っ た(15)。 加 え て,物 扱 権 の 取 得 が 至 上 命 題 に な っ た こ と に よ り,メ 強 め られ た こ と,ま. た,指. 資 不 足 の 中,旧. ー カー と 旧特 約 店 と の結 びつ き が か え って. 値 制 や 手 形 制 度 は,統. 制 経 済 下 の 三 段 階 公 定 価 格 制,さ. 戦 後 の 建 値 制 の 原 型 と な っ た と 考 え られ る こ と,な 統制経済■ ドに お い て 消 滅 し た わ け で は な く,一. 特 約 店 に と って 物 資 取. ど か ら,戦. らに は. 前 の チ ャ ネ ル 編 成 は,戦. 時. 面 に お い て は 一 層 強 化 さ れ た と言 う こ とが. で き よ う。 戦 後,「 三 蔵 協 定 」 や て 排 除 さ れ た 。 ま た,加 し,メ. 「共 販 会 社 」 の よ う な 明 確 な カ ル テ ル 行 為 は,独 工 食 品 産 業 に お い て は,卸. ー カ ー と 特 約 店 と の1対1の. よ る チ ャ ネ ル 統 制 は,各 に,森. 売 段 階 に お け る特 約 店 会 組 織 は形 骸 化. 関 係 に 変 質 した 。 す な わ ち,戦. 前 の よ うな ヨコ組 織 に. メ ー カ ー に よ る個 別 的 な チ ャネル 統 制 に変 質 した と言 え る。 さ ら. 永 の 場 合,「 売 買 の 社 会 化(売. ンが 生 じ,新. 占禁 止 法 に よ っ. 買 の 集 中 代 位)を. 基 礎 とす る新 た な小 売 イ ノベ ー シ ョ. た な 業 態 が 小 売 サ イ ドで 展 開 さ れ た(16)」こ と に よ り,小. 売 段 階 にお け る系 列. 化 は 「そ の 歴 史 的 使 命 を 終 え る こ と に な っ た(例。. 3ト. イ レ タ リ ー ・化 粧 品 産 業 を 対 象 と し た 事 例 研 究. トイ レ タ リ ー ・化 粧 品 産 業 は,加. 工 食 品 産 業 と 並 ん で,戦. 前 の メー カ ー に よ る マ ー ケ. テ ィ ン グ 活 動 の 先 駆 的 形 態 と し て し ば し ば 指 摘 さ れ る 事 例 で あ り(18),近年 で は,齊 (1998)や. 佐 々 木(1999,2002,2004,2007)な. ど に お い て,一. 企 業 の み を 取 り上 げ る に. と ど ま ら ず 産 業 全 体 を 視 野 に 入 れ た 分 析 が な さ れ て い る 。 本 節 で は,こ 踏 ま え,戦. 木. れ らの 研 究 成 果 を. 前 の トイ レ タ リー ・化 粧 品 産 業 に お け る 垂 直 的 マ ー ケ テ ィ ン グ ・シ ス テ ム の 形. 成 過 程 を 概 観 す る。 トイ レ タ リー ・化 粧 品 産 業 で は,19世. 紀 の 後 半 よ り小 間 物 ・石 鹸 ・雑 貨 ・化 粧 品 な ど の. 卸 商 組 合 の 結 成 が 見 ら れ る(19)が,醤 油 ・麦 酒 な ど の 事 例 と 異 な り,問 (ゆ. 風 呂(1994),38-39ペ. (15)例. 屋組織の集合行為を. ー ジ。. え ば 森 永 の 場 合 は,販. 社 が 統 合 さ れ て 森 永 配 給 株 式 会 社 と な り,菓. 子卸商業組合には参加せ. ず 独 立 の 配 給 機 関 と し て 機 能 し た 。 ま た,グ ル タ ミ ン酸 ソ ー ダ 配 給 統 制 協 議 会 は,味 の 特 約 店 ・副 特 約 店 に よ っ て 構 成 さ れ た 。 風 呂(1995),18-21ペ ー ジ。 ㈲. 薄 井(2004),211ペ. (17)同. 上。. (18)例. え ば,森(1976)で. や,資 -272ペ (19佐. の素の既存. ー ジ。 は,長. 瀬 商 会(現. 在 の 花 王)と. 小 林 商 店(現. 在 の ラ イ オ ン)の. 広告 活動. 生 堂 に よ る ボ ラ ン タ リ ー ・チ ェ ー ン の 形 成 な ど に つ い て 論 じ ら れ て い る 。 森(1976),267 ー ジ ,276-281ペ ー ジ。. 々 木(2007),9ペ. ー ジ。 -196(366)一.

(7) 日本 の 家電 流 通 研 究 の現 状 と課 題(大 内). 活 用 した形 で の チ ャネ ル の統 制 は,先 行 研 究 に お い て は 確 認 され て い な い。 ま た,メ ー カ ー間 の カ ル テ ル行 為 も明 確 に は存 在 して い な か った。 そ の意 味 で は,製 菓 や化 学 調 味料 業 界 にお いて と同 様,メ ー カー に よ る個 別 的 な チ ャネ ル組 織 化 が 展 開 さ れ た業 界 で あ った と言 え る。 一 方 で,複 数 の メ ー カ ー に よ る個 別 的 な チ ャネ ル 構築 活 動 が 同 時 期 に 展 開 さ れ,そ れ らが流 通 構 造 の 変 化 を牽 引 した 点 は,先 発 企 業 の 役 割 が きわ め て 大 きか った 製 菓 や化 学 調 味料 の事 例 との相 違 点 と して指 摘 で き る。 ラ イ オ ン歯 磨 を製 造 した小 林 商 店 の場 合,小 売 段 階 に お け る 「お と り廉 売」 の 防止 の た め,全 国 一 律 の 価 格 体 系 の 構築 と代 理 店 網 の組 織 化 を 図 った。 前 者 に 関 して は,1931年. に. 各 商 品 につ い て 卸 売 価 格 ・小 売 価 格 を 設 定 す る取 引制 度 改 正 を お こ な った。 後 者 に関 して は,1931年. の 「東 京 ラ イオ ン会 」 を は じめ と して,有 力 代理 店 を組 織 化 した 「ライ オ ン会」. を 各地 に 設立 す る と と もに,販 売 先 へ 景 品 な どの 利 益 提 供 を 卸 売 業 者 が 個 別 に行 う こ とを 禁 じ,「 直 接 卸 店 ・間 接 卸 店 ・小 売 店 の い ず れ に つ い て も,そ の販 売 実 績 を本 舗 た る小 林 商 店 が把 握 し,直 接,報 酬 を 与え る こ と と した(2① 」。 加 え て,ラ イオ ン会 の 会 員 か ら 「取 引 信 任 金 」 を徴 収 し,正 価 を遵 守 しな い な ど の取 引規 約 違 反 が あ った場 合 に は,取 引 を 中止 す る と と も に信 任 金 を 没 収 す る こ と と した。 た だ し,多 くの代 理 店 は ラ イ オ ン歯 磨 の み な らず 複 数 メー カー の 有 銘 品 を 取 り扱 った 。 1919年 に小 林 商 店 か ら石 鹸 ・油 脂 事 業 が 独 立 す る形 で設 立 さ れ た ラ イ オ ン石 鹸 の場 合, 東京 市 内 の小 売 店 や 全 購聯 な どの 各 種 団 体 に対 して は,問 屋 を 経 由せ ず 市 内販 売 部 が 直 接 取 引 を行 い,地 方 に お い て は,代 理 店 を選 定 しそ の 販 路 を 活 用 した 。 さ ら に1931年 に は1 県1店. の専 売 代 理 店 制 を敷 い た(21)。 加 え て,小 売 段 階 に お い て も,1933年. に代 理 店 に よ っ. て推 薦 され た有 力 小 売 店 を専 売 店 と して登 録 し,他 社 製 品 の取 扱 中止 に伴 う売上 減 の一 部 を保 証 す る,宣 伝 物 や 商 品 見 本 な どの 販 促 品 を無 償 で提 供 す る,な. どの イ ンセ ンテ ィブ の. 供 与 を 行 い,乱 売 の 防 止 に努 め た⑳。 資 生 堂 の 場 合,ボ. ラ ン タ リー ・チ ェ ー ン ・シ ス テ ム の 採 用 に よ る チ ャネ ル の 組 織 化 を. 図 った こ とが特 徴 的 で あ る。1923年 に まず 化 粧 品 に関 して 「資 生 堂 連 鎖 店 制 度 」 を導 入 し た。 これ は,資 生 堂 が 卸 売 業 者 と の 間 に 「資生 堂 連 鎖 店 取 次 店 契 約 」 を結 び,取 次 店(後 に特定代理店 と改称)に 対 して は,保 証 金 の 供 託 を課 す と と もに,テ ⑳. 同 上 書,22ペ. ⑳. 齊 木(1998),80ペ. ー ジ。 ー ジ。 た だ し こ こ で い う 「専 売 」 と は,洗. 製 品 の 取 扱 を 制 限 す る と い う 意 味 で あ り,代 か った とい う意 味 で はな い。 ⑳. 同 上,80-81ペ. リ ト リー 外 へ の 販 売,. ー ジ,佐. 濯 洗 剤 に関 して の み 競 合 他 社 の. 理 店 が 他 社 の トイ レ タ リ ー 製 品 を 一 切 取 り 扱 わ な. 々 木(2007),30-32ペ. 注 を 参 照 の こ と。 一一197(367). ー ジ 。 「専 売 」 の 意 味 す る と こ ろ に つ い て は 上 記.

(8) 第54巻. 第3号. 連 鎖 店 以 外 へ の販 売 を禁 じた。 加 え て,契 約 不 履 行 の場 合 の取 引停 止 と保 証 金 の 没 収 が 規 定 さ れ た。 小 売 店 に対 して は,取 次 店 との連 鎖 店 契 約 を通 じて 「常 備 品」 の 備 え 付 け と正 価 の遵 守 を 義 務 づ け,連 鎖 店 の監 視 の 任 を 取 次 店 に 負 わ せ た ㈱。1926年 に は こ れ と同 様 の 制 度 を石 鹸 ・歯 磨 に も導 入 し,取 次 店,小 売 店 を そ れ ぞ れ 「スペ シ ャル ・メ ンバ ー」,「セ ー ル ス ・メ ンバ ー」 と称 した。 さ らに1927年 以 降,各 地 の特 定 代理 店 の 出 資 協 力 を 仰 ぎな が ら,販 売 会 社 の 設 立 を 行 った。1937年 の 時 点 で,消 滅 会 社 数 を 差 し引 い て54社 の 販 社 が あ った⑳。 な お,資 生 堂 の販 社 設 立 に協 力 した代 理 店 の 中 に は,中 山太 陽堂 の 「ク ラ ブ化 粧 品販 社 」 な ど他 社 の 販 社 設 立 に も関 与 した もの が少 な くな か った こ とが,佐 々木(2007) に よ って 指摘 され て い る㈲。 花 王 の場 合 は,既 存 の有 力 問屋 を 組織 化 す る形 で チ ャネ ル の 構築 ・管 理 を 図 った こ と, 小 売 店 の 組 織 化 ま で は至 らな か った こ と,な ど,小 林 商 店 と の共 通 性 が 多 く見 出 せ る。 1930年 頃 の 花 王 の 販 売 経 路 に お い て は,大 都 市 に お け る有 力 代理 店 が,地 方 の 二 次 卸 との 帳 合 を持 ち,か つ,花 王 の み な らず 業 界 他 社 の 代 理 店 機 能 も併 せ 持 つ こ とが 多 か った 。 こ の こ とは,代 理 店 が花 王 に 対 して 価 格 交 渉 上 優 位 に立 っ こ とや,花 王 の チ ャネル ・コ ン ト ロー ル が 末端 ま で 十 分 に 行 き渡 らな い こ とを意 味 し,花 王 の チ ャネル は乱 売 を防 止 す る と い う観 点 か らは不 十 分 な もの で あ った 。 そ こで,1931年. の 「新 装 花 王 石 鹸 」 の 発 売 に 当 た. り,広 域 代理 店 の地 方 直 送 を 制 限 して 花 王 自身 が 地 方 問 屋 と直 接 取 引 を行 う体 制 に改 め, 二 重 帳 合 を整 理 した。 また 小 売 正 価 を 一 個15銭 か ら10銭 に引 き下 げ,卸 建 値 も一 ダ ー ス1 円5銭. と明 確 に 定 め た。 これ らの 価 格 改 正 は,実 効 性 の あ る価 格 維 持 の実 現 の た め だ っ た. と理 解 で き る。 実 際. 花 王 は 広 告 な どを 通 じて,小 売 正 価 が 一 個10銭 で あ る こ と を消 費 者. に 周知 徹 底 す る こ とを 図 った(2⑤ 。 戦 時統 制経 済 下 に お い て,1939年. 発 せ られ た 価 格 統 制 令 に基 づ き,第 一 次 公 定 価 格 が,. 洗 濯 石 鹸 に つ い て は 等 級 別 に,化 粧 石 鹸 につ い て は銘 柄 別 に,そ れ ぞれ 制 定 され た。 長 年 石 鹸 業 界 にお い て 懸 案 で あ った 乱 売 問 題 は,図. らず も これ に よ って 解 消 され た。 た だ し,. この 公 定 価 格 の 制 定 は,原 料 油 脂 の 公 定 価 格 制 定 に先 立 って 行 わ れ た た め,原 材 料 の 高 騰 に よ り減 産 や生 産 の停 止 に 追 い込 まれ る製 造 業 者 も少 な くな か った(2り 。 流 通 機 構 に 関 して ⑬. 齊 木(1998),61-61ペ な お,佐 々 木(2007)で. ー ジ,佐 々 木(2007),41-42ペ ー ジ,小 原(1994),41-43ペ ー ジな ど。 は,中 山 太 陽 堂 や 平 尾 賛 平 商 店,高 橋 東 洋 堂,柳 屋 本 店 な どの 他 社 の 当. 時 の チ ャネ ル 組織 化 の 概 要 が 紹 介 され て い る。 ⑳. ま た,大. 都 市 部 で は これ とは 別 に 日用 品 専 門 の 販 売 会 社. 木(2007),47-49ペ ⑳ ⑳. 同L書,49-57ペ ー ジ。 以 ヒ,詳 し く は 齊 木(1998),35-53ペ. ⑳1940年. 「セ ー ル ス 会 社 」 が 設 立 さ れ た 。 佐 々. ー ジ。 ー ジ,佐. 々 木(2007),69-101ペ. に は 原 料 油 脂 の 公 定 価 格 が 制 定 さ れ た が,そ -198(368). ー ジ を参 照 の こ と。. の 直 後 に 石 鹸 の 公 定 価 格 が,成. 分 や そ の 含/.

(9) 日本 の 家 電 流 通 研 究 の 現 状 と課 題(大 内). は,1941年. に ラ イオ ンが 東 京 と大 阪 に 「ラ イオ ン石 鹸 配 給 会 社 」 を設 立 した こ とが 注 目 さ. れ る。1942年 に 日本 石 鹸 配 給 統 制 会 社 が 設 立 され た こ と に よ り,こ の ラ イ オ ンの販 社 は 「主 要 製 品 で あ る石 鹸 の取 扱 中止 を余 儀 な くさ れ㈱」 るが,蚊 取 線 香 な ど の統 制 外 品 の取 扱 を 拡 充 させ る こ とで これ に対 応 した。 ラ イオ ン石 鹸 配 給 会 社 は,1946年 形 を 変 え 戦 後 も存 続 した 。 一方,日. に ラ イ オ ン商 事 と. 本 石 鹸 配 給 統 制 会 社 は,製 造 業 者 と有 力 卸 店 と の共 同. 出 資 に よ り設 立 され,既 存 の 流 通 機 構 を 活 用 す る形 で の配 給 統 制 シ ス テ ムで あ っ た。 そ の 後,原 料 油 脂 の 不 足 と航 空 潤 滑 油 な どの 軍 需 生 産 へ の 転 換 に よ り,民 需 用 石 鹸 の生 産 は激 減 し,そ の 配 給 統 制 シ ステ ムは 機 能 を 喪 失 して い っ た。 戦 時 中 か ら戦 後 にか けて,ラ イ オ ン歯 磨 は 配 給 会 社 を 設 立 した が,「 それ ら販 社 の存 続 は 短 期 に と ど ま った(2明 。1950年 代 以 降 は,有 力 卸 店 を 結 集 して 「ライ オ ン会 全 国 連 合 会」 を 組 織 した。 花 王 は,再 販 制 度 が 導 入 され た 頃 よ り販 社 を設 立 し,1968年 以 降 は販 社 網 を全 国 に拡 大 して い った⑳。 これ に対 しラ イオ ン油 脂 は いわ ゆ る 「三 強 政 策 剛 を発 表 し,既 存 の 代 理 店 を 通 じた 拡 販 を 図 った。 これ は,「花 王 の販 社 政 策 に 対す る卸 店 の反 発 を,巧 み に 利 用 した 戦 略 で あ った と いえ よ う⑳」。. 4家. 以 上,第2・3節. 電流通 に関す る先行研究. に お いて,加 工 食 品産 業 と トイ レ タ リー ・化 粧 品 産 業 に関 して は,メ ー. カー に よ る垂 直 的 マ ー ケ テ ィン グ ・シ ス テ ム の生 成 ・発 展 過 程 が,既 存 の研 究 に よ って あ る程 度 通 史 的 に分 析 され て き た こ と を論 じた。 本 節 で は,家 電 流 通 に 関 す る研 究 の現 状 を 述 べ る と と も に,そ の問 題 点 を指 摘 す る。 図1は,家. 電 流 通 に関 す る先 行 研 究 を,そ の分 析 対 象 に従 って整 理 し図示 した もの で あ. る。 まず,戦 前 の松 下 の チ ャネ ル組 織 化 活 動 を分 析 した代 表 的研 究 と して,尾 崎(1989) が 挙 げ られ る。 これ は,松 下電 器 の戦 前 の チ ャネ ル行 動 を① 総 代理 店 制 度 か らの 脱却,② 卸 売 業 者 の系 列 化,③ 卸 売 業 者 の部 分 専 売 化 と小 売 店 の 系 列 化 の 三段 階 に 区 分 し,す で に 戦 前 か ら松 下 が代 理 店,連 盟 店(系 列 小 売 店)の 統 制 を通 じて 価 格 維 持 を 図 って い た こ と を指 摘 す る もの で あ る。 高度 成 長 期 の松 下 に よ る流 通 系 列 化 政 策 の 展 開 を 論 じた 先 駆 的 な \ 有 比 率 な ど の規 格 別 に 改 め られ た。 ㈱. 佐 々 木(2007),132ペ. ⑳. 同 上 書,255ペ. ㊤①. 花 王 に よ る 販 社 の 設 立 に 関 し て は,孫(1993)を. G1)ラ 働. ー ジ。. ー ジ。. イ オ ン油 脂 の 佐 々 木(2002),314ペ. 「三 強 政 策 」 に つ い て は,佐 ー ジ。 -199(369). 参 照 の こ と。 々 木(1999)に. 詳 しい 。.

(10) 第54巻. 図1家. 研 究 と し て は,片 (1994)で. は,松Fが,戦. お い て,ど (1994)で. 岡(1971)や. 電流通研 究概観. 岡 本 編(1973)が. あ る 。 こ れ ら を 踏 ま え た 上 で,小. 前 の チ ャ ネ ル を 活 用 し 発 展 さ せ る 形 で,戦. 後,特. に1960年. 原 代 に. の よ う に チ ャ ネ ル を 構 築 し た か に 関 す る 研 究 が な さ れ て い る 。 さ ら に,孫 は,松. 下 と 既 存 流 通 業 者 と の 関 係,特. 者 の 派 遣 に 着 目 しな が ら,卸 な さ れ て い る 。 加 え て,日 関 して,松. 第3号. に販 社 の 出資 比 率 や 松 下 か らの 出 向 経 営. 売 段 階 に お け る 販 社 制 度 の 形 成 過 程 に つ い て,詳. 高(1999)で. は,小. 売 段 階 に お け る 系 列 化,特. に専 売 化 政 策 に. 下 が こ れ を 志 向 した 要 因 と 小 売 店 側 が こ れ を 受 け 入 れ た 要 因 が,社. に 綿 密 に 考 察 さ れ て い る 。 ま た,日 れ て こ な か っ た1950年 動 揺 と 変 容 に 関 して,そ 化 活 動 に 関 して は,そ. 高(1997a,1997b)は,そ. 代 を 対 象 に,加. 藤(2006)で. は,近. 細 な分 析 が. 内資 料 を 基. れ ま で あ ま り焦 点 が 当 て ら 年 に お け る松 下 の系 列 化 政 策 の. れ ぞ れ 実 態 が 分 析 さ れ て い る 。 こ の よ う に,松. 下 の チ ャネ ル組 織. の 創 業 時 か ら現 代 に 至 る ま で の 研 究 が あ る 程 度 蓄 積 さ れ て き て い る. と言 え よ う。 一方で. ,家. 電 産 業 全 体 に 視 野 を 広 げ る と,必 -200(370). ず し も研 究 の 蓄 積 が 十 分 で は な い こ と が,.

(11) 日本 の 家 電 流通 研 究 の 現 状 と課 題(大 内). 図1か. ら見 て とれ る。 玉 城(1971),二. 矢 作(1991),孫(1992)は,い. 瓶(1983b),新. 飯 田 ・三 島(1991),竹. ず れ も高 度 成 長 期 に お け る松 下,東. 濱(1991),. 芝,日 立,三 菱,三. 洋 な どメ ー カ ー各 社 の 流 通 系 列 化 政 策 の 展 開 に焦 点 を 当 て る もの で あ り,そ れ 以 前 の 各 メー カー の チ ャネ ル 組 織 化 活 動 に 関 して は ほ とん ど見 あた らな い。 これ に は い くつ か の 理 由が 考 え られ よ う。 一 つ 目の 理 由 と して は,次 の よ うな もの が 挙 げ られ る。 日本 に お いて 家 電 製 品 の マ ス市 場 が 成 立 した の は,所 謂 「三 種 の 神 器 」 に代 表 され る耐 久 消 費 財 が 普 及 し始 め た1950年 代 半 ば 以 降 の こ とで あ り,マ ス市 場 の 成 立 と産 業 の 成 立 は表 裏 一 体 の 関 係 にあ るた め,1950年. 代 半 ば まで は 家 電 産 業 が 成 立 して い なか っ た と評 価 す べ き で あ る,し. た が って,そ れ 以 前 の 時 期 にお け る メー カー の チ ャネル 組 織 化 活 動 を研 究 対 象 とす る こ と は,単 な る史 実 の 発 掘 とい う こ と以 上 の 理 論 的 意 義 を持 た な い,と い う もの で あ る。 しか し,こ の よ うな 立 場 か らの 研 究 は,高 度 成 長 期 に お け る家 電 メ ー カ ー各 社 の流 通 系 列 化 政 策 の 展 開 と家 電 流 通 構 造 の 変 容 を 断 面 的 に捉 え た に過 ぎず,そ. の生 成 過 程 を分 析 した こ と. に はな らな い。 特 定 の 時 期 に焦 点 を 当 て た 静 的 な 研 究 の問 題 点 につ い て は,す で に第1節 で 述 べ た と お りで あ る。 分 析 対 象 が 高 度 成 長 期 に集 中す る理 由の 二 つ 目 は,松 下 を除 くメ ー カ ー各 社 が チ ャネ ル の 組 織 化 に着 手 したの は1950年 代 半 ば以 降 の こ とで あ り,そ もそ もそ れ以 前 の時 期 に お い て は研 究 に値 す る メ ー カ ーの チ ャネ ル組 織 化 活 動 が 見 られ な い,と い う もの で あ る。 しか し,こ の よ う な見 解 は2つ の観 点 か ら否 定 され る。 ① 家 電 メ ー カ ー 各社 に よ る チ ャネ ル の 組 織 化 が1950年 代 以 前 に見 られ な か った か ど うか に 関 して は,必 ず し も明 らか に され て い な い。 実 際. 例 え ば東 京 電 気 はす で に戦 前 か ら,電 灯 会 社 を通 じて 販 売 され る定額 灯 用 の. 「青 箱 マ ツ ダ ラ ン プ」 と一 般 の 小 売 商 を 通 じて 販 売 され る従 量 灯 用 の 「赤 箱 マ ツ ダ ラ ンプ」 とい う,チ ャネ ル に応 じた二 種 の ブ ラ ン ドを 開発 し,そ の上 で,卸 売段 階 に お け る販 売 会 社 の設 立,小 売 段 階 に お け る店 会 組 織 「マ ツ ダ 会」 の 結 成 な ど,チ ャネ ル の 組 織 化 を 積 極 的 に展 開 して お り⑬,上 記 の 見 解 に は な お再 考 の 余 地 が 残 さ れ て い る。 メ ー カ ー 各 社 の チ ャネ ル 組織 化 活動 が 本格 的 に 展 開 され る よ う にな った の が 高 度 成 長 期 で あ る とす るた め には,そ れ以 前 の 松 下以 外 の 活動 に つ い て も,そ の 実 態 につ いて も明 らか にす る こ とが 不 可 欠 で あ る。 ② い わ ゆ る家 電 メー カー㈹ が 本 格 的 に チ ャネル 組 織 化 に着 手 した のが1950年. ⑬. 戦 前 の 東 京 電 気 の チ ャ ネ ル 組 織 化 活 動 に 関 し て は,大. 内(2004b)を. 電 気 の マ ツ ダ ラ ン プ の マ ー ケ テ ィ ン グ 活 動 は,森(1976)や. 参 照 の こ と 。 な お,東. 京. ど に お い て も,先. 駆. 小 原(1994)な. 的 マ ー ケ テ ィ ン グ の 一 例 と して 紹 介 さ れ て い る 。 Gφ. こ こ で の 「い わ ゆ る 家 電 メ ー カ ー 」 と は,松. 下,東. 芝,日. 総 合 家 電 メ ー カ ー と して 一 般 に 認 知 さ れ る 企 業 群 を 指 す 。 -201(371)一. 立,三. 菱電機. 三 洋,シ. ャ ー プ な ど,.

(12) 第54巻. 第3号. 代 半 ば以 降 で あ った と して も,そ の 家電 メー カ ー 問 の 競 争 か ら排 除 され た 企 業 群 につ いて の 分 析 が 必 要 で あ る。 例 え ば,電 気 洗 濯 機 市 場 に お い て は,口 本 電 装 や ブ ラザ ー な ど, 1940年 代 末 か ら1950年 代 初 頭 にか け て,他 の産 業 か らの 市場 参 入 が 多 く見 られ た(3D。ラ ジ オ に関 して は,戦 後 しば ら くの 間 は 小 規 模 の メー カー が 乱 立 して お り,市 場 の 寡 占化 は進 行 して い なか っ た㈹。 こ れ らの 企 業 群 が 市 場 か ら撤 退 し,い わ ゆ る総 合 家 電 メー カー 間 の 競 争 が 展 開 され る こ と とな った 要 因 を 明 らか に す るた め には,家 電 メー カー 以 外 の 活 動 の 実 態 を 明 らか にす る必 要 が あ ろ う。 以 上 か ら,日 本 の 家 電 流 通 に関 す る先 行 研 究 は,松 下 を 事 例 と した もの,か つ/も. しく. は 高 度 成 長 期 を 分 析 対 象 と した もの に集 中 して お り,戦 前か ら1950年 代 半 ばの 松 ■ ド以 外 の 企 業 群 の 活 動 の 実 態 や 流 通 構造 に関 して は,今 後 の 研 究 の 蓄 積 が な お必 要 で あ る こ とが 指 摘 で き る(3り 。. 5家. 第4節. 電流通研究の今後の研究課題. ま で で 述 べ て き た と お り,こ. も か か わ ら ず,流. 結 びにかえて. れ ま で の 家 電 流 通 に 関 す る 研 究 は,そ. の数の多 さに. 通 構 造 の 生 成 ・発 展 過 程 を 分 析 す る と い う 観 点 か ら は,他. 産 業 と 比 して. 相 対 的 に 十 分 な 水 準 に 到 達 し て い な い こ と が 明 ら か で あ る 。 具 体 的 に は,1950年 で の 各 メ ー カ ー の チ ャ ネ ル 組 織 化 活 動 や 流 通 構 造 の 変 容 に 関 す る,よ が 求 め ら れ る。 本 節 で は,今. 代 半ばま. り詳 細 な 研 究 の 蓄 積. 後 家 電 流 通 に 関 す る 研 究 を さ ら に 発 展 さ せ る に あ た っ て,他. 産 業 に お け る 先 行 研 究 を 踏 ま え 検 討 す べ き 論 点 や 研 究 課 題 を い くつ か 提 示 し,本. 論の結 び. に か え る こ と と した い。 1点 目 は,流. 通 業 者 に よ る 乱 売 行 為 の 存 在 と そ の 影 響 で あ る 。 加 工 食 品 産 業,ト. リー ・化 粧 品 産 業 の い ず れ に お い て も,メ. イ レタ. ー カー に よ るチ ャ ネル 組 織 化 の 大 きな 動 機 が 乱. 売 の 防 止 で あ っ た こ と が,既. に 確 認 さ れ て い る。 ま た,家. 路 に お け る 乱 売 の 激 化 が,松. 下 を して 流通 に関 与 せ しめ る要 因 とな った こ とが 指 摘 され て. い る㈱。 流 通 構造 の 変 化 を,メ. 電 流 通 研 究 に お い て も,流. 通経. ー カ ー 一 流 通 業 者 間 の 垂 直 的 な 競 争 関 係 か ら捉 え る と い う. 観 点 は,A.D.Chandler,Jr.(1977)やG.PorterandH.Livesay(1971),R.S.Tedlow. ㈹. 大 内(2004a,2005)。. 岡. 崔(2004)な. ⑳. な お,近. ど。 年 の 家 電 流 通 の 変 化 に 関 して は,尾. 崎(1998)や. 日 高(2001a),斎. 藤(2004),中. 嶋. (2007)な ど,家 電 童 販 店 の 成 長 と 流 通 に お け る パ ワ ー シ フ トの 観 点 か ら い く つ か の 研 究 が な さ れ て い る こ と を 付 言 し て お く。 ㈱. 尾 崎(1989),崔(2004)な. ど。 -202(372)一.

(13) 日本 の家 電 流 通 研 究 の現 状 と課 題(大. (1990)な. 内). ど の い わ ゆ る 「チ ャ ン ドラー 学 派 」 に お い て は 必 ず し も明 示 され て お らず,日. 本 の流 通 研 究 に よ って 発 見 ・提 示 され た新 た な分 析 視 角 で あ る と言 え る。 流通 業者 に よ る 乱 売 が垂 直 的 マ ー ケ テ ィ ン グ ・シス テ ム の生 成 を規 定 す る要 因 とな り う るか,さ. らに は,. そ れ が 日本 に お い て,あ る い は 国 際 的 に,ど れ ほ どの 普遍 性 を 有 す る命 題 で あ るの か紛 に 関 して は,さ. らな る事 例 研 究 の蓄 積 が必 要 で あ る。. 2点 目 は,戦 前 の メ ー カ ー に よ るマ ー ケ テ ィ ン グ活 動 が 「中 小 の新 興 産 業 企 業 家 層 に よ って 担 わ れ た㈹」 と い う評 価 の 妥 当 性 に関 して で あ る。 この 仮 説 は,ト イ レタ リー ・化 粧 品産 業 や,加 工 食 品作 業 の一 部 に お い て は 当 て は ま るが,麦 酒,醤 油 業 界 に お い て は必 ず し も適 合 しな い こ とが,第2節. ・第3節. を通 じて確 認 で き た。 家 電 産 業 にお い て は,松. 下の戦 前 の チ ャネ ル組 織 化 活 動 だ け を 見 れ ば,相 当 の蓋 然性 が あ る と言 え よ う。 た だ し, 資本 の集 中 を通 じて 早 くか ら寡 占 メ ー カ ー と して の 地 位 を 確 立 して い た 東 京 電 気 や,芝 浦 製 作 所,日 立 製 作 所,三 菱 電 機 ら重 電 系 メー カ ー の 活 動 を 検討 しな い こ と には,こ の 仮説 が十 分 に 裏 付 け られ た とは言 え な い。 重 電 系 メー カー が 家 電 市 場 に参 入 した 当 初 は,モ ー トル や 工 作 機 器 な ど の 汎 用 機 械 の 販 路 を 活 用 したql)。この 販 路 は いつ,ど れ た の か,さ. の よ うに 構築 さ. らに は,重 電 系 メー カ ー が どの よ う に家 電 専 用 の 販 路 構 築 へ と転 換 して い っ. た の か に つ い て,明. らか に して い く必 要 が あ ろ う。. 3点 目は,個 別 的 な チ ャネ ル の 組織 化 か,そ れ と も集 合 的 な チ ャ ネル 統 制 か,と. い う観. 点 で あ る。 メー カ ー 間 の カル テ ル 行 為 を 通 じた チ ャ ネル 統 制 の 存 在 の 可 能 性 に関 して は, す で に 麦 酒 ・醤 油 業 界 に お い て 指摘 され て い る とお りで あ る。 家 電 流 通 にお いて も,た と え ば 戦 前 にお け る東 京 電 気 の 日本 電 球 工 業 組 合 連 合 会 へ の加 盟 働 や,戦 後 に お け る家 庭 電 気 器 具 市 場 安 定 協 議 会 の 結 成⑬ な ど,メ ー カー が 協 調 して 市 場 の安 定,す な わ ち チ ャ ネル にお け る価 格 維 持 を 図 る とい う行 為 が 見 られ る。 集 合 的 な チ ャ ネル 統 制 の 実 態,あ. るいは. 集 合 的 な チ ャネ ル 統 制 か ら個 別 的 な チ ャ ネル 組 織 化 へ の変 質 の過 程 に関 す る分 析 は,産 業 間 比 較 を視 野 に入 れ た と き に重 要 な 論 点 とな ろ う。. ㈱. こ の こ と に 関 連 して,戦 防ILに い。. ㈹. 鳥 羽(1982),10ペ. ql)例 ω ⑬. 前 の 東 京 電 気 に よ る チ ャ ネ ル 組 織 化 活 動 に お い て は,必. 主 眼 が お か れ て い た わ け で な い こ と を 指 摘 す る 研 究 も あ る 。 大 内(2004b)を. 参 照 され た. ー ジ。. え ば 日 立 に 関 して は 岡 本(1979a),220ペ 大 内(2004b),282-283ペ 崔(2004),109ペ. ず しも乱 売 の. ー ジ を 参 照 の こ と。. ー ジ。. ー ジ な ど 。 な お,こ. の こ と に 関 して 二 瓶(1982b)は,「. 量産 体 制 の差 」 を背. 景 と す る 「シ ェ ア 拡 大 の た め の 価 格 競 争 と,大 量 販 売 の た め の 各 種 イ ン セ ン テ ィ ブ 」の 提 供 に よ っ て は,企 業 間 の 「決 定 的 な 差 を も た ら し え な 」 か っ た た め,「 そ の 時 点 で の シ ェ ア の 差 を い わ ば 黙 認 す る 形 で,寡 占 企 業 の 典 型 的 行 動 で あ る 協 調 を,各 が 妥 当 で あ ろ う 」 と 評 価 し て い る 。66ペ ー ジ 。 -203(373)一. メ ー カ ー が と り あ え ず 選 ん だ と考 え る の.

(14) 第54巻 4点 目 は,販 路(特. 第3号. に卸 売 業 者)の 獲 得 を巡 る メー カー 間 の 競 争 が,垂 直 的 マ ー ケ テ ィ. ン グ ・シ ス テ ムの 形 成 過 程 に及 ぼ した影 響 につ いて で あ る。 第3節. で確 認 した と お り,戦. 前 の 石 鹸 業 界 に お い て は,卸 売 段 階 に お け る専 売 化 が 十 分 に進 行 して お らず,有. 力卸 売 業. 者 が 複 数 の メ ー カ ー と の帳 合 を持 つ こ とが 一 般 的 で あ っ た。 しか し,卸 売 業 者 の メ ー カ ー に対 す る仕 入 依 存 度 が 高 くな い こ と は,メ ー カ ーが 彼 らに対 してパ ワ ー を十 分 に行 使 し う る状 況 に な くチ ャネ ル管 理 が行 き届 か な い こ と を意 味 す る。 チ ャネ ル管 理 の実 効 性 を高 め る た め に は 自社 製 品 の取 扱 比 率 を 向上 させ る必 要 が あ り,そ の た め に は他 社 よ り も有 利 な 取 引 条 件 を卸 売 業 者 に対 して提 示 す る必 要 が あ ろ う。 実 際,高 度 成 長 期 に お け る花 王 の販 社 設 立 と ラ イ オ ンの 「三 強 政 策 」 との対 比 な どを鑑 み て も,メ ー カ ー の チ ャネ ル組 織 化 活 動 は,常. に競 合 他 社 の 動 向 を 睨 み な が ら展 開 され て い た と考 え る こ と も十 分 に 可 能 で あ. る。 家 電 産 業 に お い て も,家 電 の チ ャネ ル の構築 に立 ち遅 れ た重 電 系 メ ー カ ー や三 洋 電 機 な ど の後 発 メ ー カ ー が,早. くか らチ ャネ ル の構 築 に着 手 して い た松 下 に対 抗 して,戦 後 ど. の よ うに販 路 を 開拓 した の か に つ い て,さ. らな る検 討 の余 地 が あ る と考 え られ る。. 最 後 は チ ャネ ル の組 織 化 と製 品 の フ ル ラ イ ン化 との 関係 性 に つ い て で あ る。 戦 前 の森 永 や資 生 堂 らは,製 品 の多 様 化 に よ って小 売 店 に お け る 自社 製 品 の 占 有率 を 高 め,そ の こ と に よ り小 売 段 階 に至 る ま で の チ ャネ ル組 織 化 を展 開 して い た。 家電 産 業 に つ い て も,流 通 系 列 化 に お け る製 品 フ ル ラ イ ン化 政 策 の意 義 に つ い て は,既 に玉 城(1977)や. 竹 濱(1991). な どに お い て早 くか ら指 摘 さ れ て き た。 ま た こ の論 点 は,他 産 業 か らの 参 入業 者 が い か に 家電 メー カ ー 間 の競 争 か ら排 除 さ れ た の か,戦 後 家 電 産 業 に お い て寡 占 的構造 が どの よ う に形 成 さ れ た の か を分 析 す る上 に お い て も,欠 かせ な い分 析 視 角 で あ る とい え る。 これ らの論 点 は,市 場 特 性 と製 品特 性 に加 え て,産 業 に お け る メ ー カ ー 間 の水 平 的 な競 争 関 係 とメ ー カ ー一 流 通 業 者 間 の垂 直 的 な競 争 関係 が,流 通 構 造 を規 定 す る可 能 性 が あ る こ とを示 唆す る。 以 上 を踏 ま えつ つ,産 業 間比 較 を展 望 した形 で,家 電 流 通 研 究 の一 層 の 進 展,と. りわ け,戦 前 か ら1950年 代 半 ば ま で の各 メ ー カ ー の垂 直 的 マ ー ケ テ ィ ング ・シス. テ ム の形 成 過 程 の分 析 が,今 後 求 め られ よ う。 こ の よ うな研 究 は,産 業 に よ る流 通 構 造 の 違 い が,産 業 の特 殊 性 に よ る もの か,あ る い は発 展 段 階 の違 い に よ る もの か を考 察 す る に あ た って も,「 日本 的 流 通 」・「日本 型 流 通」 の 本 質 的 特 徴 を 抽 出 す る上 で も,極 め て 大 き な理 論 的貢 献 を提 供 し うる もの で あ る。. 一204(374)一.

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