弘前大学教育学部紀要 第
93号 :
65‑76 (2005年
3月)
Bull.戸ac.Educ.HirosakiUniv.93:65‑76 (Mar.2005)小学校児童における 「 生きる力」 と 学校生活満足度についての因果関係
CausalRelationshipbetween uskillsNecessaryforDailyLifesnand
SatisfactionofSchoolLifesinElementarySchoolChildren
伊藤 武樹* 1 ,葛西 敦子* 1 ,小倉 尚子* 2 ,伊藤 菜緒
*3 ITOHTakeki*1,
KASAIAtsuko*1,0GURANaoko*2,ITOHNao*365
要 旨
本研究は, 中央教育審議会 によって
21世紀型学力のキー ワー ドとして示 された 「 生 きる力」の教育が,子 ども達 にとって生 きていることを実感できる学校生活の場 において,生 きて働 く力 となっているのかの解明 を目的 に,仮説 【 小学校期 に培われ る 「 生きる力」 は,子 ども達の学校生活満足度
(QOL) を促進 させ る】
を設定 し,小学校 5,6年生8 6 8名を対象 に,両者の因果関係及びその生成構造 について共分散構造分析法 を 用い解明 した.
因果分析の結果, 「 生きる力」がパス係数
.78で 「 学校生活満足度」 に強い因果的影響力を有す ることが明 らか にな った ことか ら,本仮説 は証明 された.特 に,仮説 にお ける 「 生 きる力」 は, 「 学校生活満足度」の
「 各教科等 ( . 86 )
」と 「 特別活動 ( . 83)
」に強い因果的影響 力を及ぼす構造であることが明 らか になった.Keywords:
生 きる力,
WHOライフスキル教育,学校生活満足度,総合的な学習の時間,共分散構造分析
Ⅰ.はじめに
第
15期 中央教育審議会 ( 以降, 中教審 と記す) は,文部大臣による
「21世紀 を展望 した我が国の 教育の在 り方 について」の諮問を受 け,
1996( 辛 成
8)年 に第一次答 申を示 した1 ) .その第
1部 「 今 後 にお ける教育の在 り方」の前段 において
,20世 紀の子 ども達の生活の現状 に対 し,積極面 もある 一方,ゆ とりの無い生活,社会性の不足や倫理観 の問題, 自律の遅れ,健康 ・体力の問題が存在す る と共 に家庭や地域社会 の教育力の低下傾向にあ ることを指摘 した,加 えて
,21世紀の社会 を国際 化,情報化,科学技術の発展な どが一層進展す る と共 に,変化の激 しい時代,先行 き不透明な時代 である と分析 した.後段 においては,前段の実態 を受 け今後の教育の基本的方 向 として, これまで の伝統的な教科学力を基本 とす る
20世紀型学力の
限界 に対す る反省か ら
,21世紀型学力のキーワー ドとして 「 生きる力」を示 した.
そ して, これか らの学校教育の在 り方 について
「 生 きる力」の育成 を基本 とし,知識 を教 え込む ことにな りがちであった教育か ら自ら学び 自ら考 える教育‑のパ ラダイム転換
2)を目指す とす る基 本的方 向性 を示唆 した.その中で中教審 は 「 生 き る力」 を,
1)自分で課題 を見つ け, 自ら学び, 自ら考 え,主体的 に判断 し,行動 し, よ りよく問 題 を解決する能力,
2)自らを律 しつつ,他人 と 協調 し,他人を思いや る心や感動す る心な ど豊か な人間性 とた くま しく生きるための健康や体力 と 定義 した.
その答 申を受 け文部科学省 ( 以降,文科省 と記 す) は
,1998 (HIO)年 と
2003 (H15)の一部改 訂 による新学習指導要領 を示 した.そ して,その
*1弘前大学教育学部
FacultyofEducation,HirosakiUniverslty
*2
弘前大学大学院教育研究科
GraduateSchoolofEducation,HirosakiUniverslty
*3筑波大学大学院体育研究科
Master'SPrograminHealthandPhysicalEducation,UniversltyOfTsukuba
育成 を図るための授業時間 として 「 総合的な学習 の 時 間」 を 設 け た.ま た, 「 生 き る 力」 は
2003(H15)
年の中教審答 申 「 初等 中等教育 における当 面 の教 育課程及 び指 導 の充実 ・改善方策 につ い て
」 3)の中で更 に具体化 され
,1)自ら学び 自ら考 える力な どの 「 確かな学力」
,2)他人を思いや る 心や感動す る心な どの 「 豊かな人間性」
,3)た く ま しく生 きるための 「 健康や体力」の
3要因に構 造化 された.
それ らを受 け小学校の教育現場では,「 総合的な 学習の時間」の前倒 し実施な ど意欲的 に取 り組ん できた.
しか しなが ら,その答 申では 「 総合的な学習の 時間」の創設 にもかかわ らず,その 目標や 内容が 示 されていないため,教育現場では暖味なままに 活動 を実施 されているのが現状であ り,必要な力 が子 ども達 に身に付いたか否かの検証 ・評価が十 分 に行われていない と分析 している.また,「 生 き る力」の教育は,新学習指導要領‑の 2年間の移 行期 に加 え,本研究の調査時点は
,2004(H16)午 完全実施以降の 2年半が経過 したばか りの思考錯 誤段階にある と言 える.
文献研 究 に よって確認 され た研 究 内容
4)5)も
「 生 きる力」 とは何か に関す るものが多 く,指導 要領の一部改訂等 を考 えた場合,客観的 に文科省 が示す 「 生 きる力」 を構造論的 に論 じた研究やそ れ らを評価す るための具体的項 目について も定ま っているとは言 えない.また,教育効果の検証 に ついて もクロス集計や相関関係 を求める といった 段階で止まっているのが現状である.
筆者等は,以上の現状 を踏 まえ,真の意味での 教育効果 を求めるには,「 生 きる力」の教育が本 当 に生 きて働 く力 として,現在 を生 きる子 ども達の 生活 に生か されているのかについて因果 レベルで 分析す ることが必要不可欠であると考 える.加 え て
,21世紀の社会が変化の激 しい時代,先行 き不 透明な時代であれば こそ,学び取 った 「 生 きる力」
が今 を生 きる子 ども達の学校生活 に真の意味で生 きる力 となって働いているのかを実感 させ ること が不可欠であると考 える.
そ こで本研究は,学習の結果 として身に付 けた
「 生 きる力」が,本 当に生 きて働 く力 して子 ども 達の学校生活 に因果的影響 を及ぼしているのかを 解明す ることを目的 に,仮説 【 小学校期 に培われ る 「 生 き る力」は,子 ども達 の学校 生活 満足 度
(QOL)を促進 させ る】を設定 し,新学習指導要
領が 目指す 「 生 きる力」の教育の有効性 を因果構 造論的視点か ら明 らか にす ることによって証明 し
よ うとす るものである.
本研究の願いは,子 ども達が 自ら手 に入れた 「 生 きる力」 を発揮す ることによって,充実感 と達成 感 に満ちた学校生活 を今現在お くっていることを 実感 させ ることこそが教育の最重要課題である と 確信す るか らである.その実感 こそが, 中教審が
21世紀 を変化の激 しい時代,先行 き不透明な時代 と形容 した社会 を生 きて行 く力に繋がる と確信す るか らである.加 えて,本研究が教師 にとっての 科学的根拠 に基づ く 「 生 きる力」の教育の力 とな ることをも願 うものである.
Ⅱ.研究方法 調査対象
対象は,弘前市内の小学校
6校の
5,6年生の計
915名である.但 し,有効データ数 は下記の操作化 によって得 られ た
868名
(94.9%)である.
調査時期
2004
年 6月上旬〜 7月上旬.
調査方法
調査 は,学級担任 に依頼す る形でのアンケー ト 調査法 によった.
調査内容
1 )原因変数 :「 生 きる力」 とその観測変数 本 変 数 につ い て は, 「 新 しい学 力 を育 む 研 究 会
」6)が21世紀型社会の求める資質 ・ 能力 として構 造化 した 「 生 きる力」領域 に関す る質問項 目を活 用 した.その構造領域 は 「 能力・ スキル」 「 社会‑
の適応 力
」「 態度 ・価値観
」「自己成長力」の
4領 域である.本研究ではそれ ら4領域 を潜在変数 と し,計
40項 目の質問に対 し
5件法 (1.全 く当ては ま らない
2.あま り当てはま らない
3.どち らと も言 えない
4.少 し当てはまる
5.とて も当ては まる)を用い,「 生 きる力」についての 自己評価 を 求めた. ( 義 ‑
1)2)
結果変数 :「 学校生活満足度」 とその観測変数 本変数の構造化 に当たっては, まず一 日の学校 生活を行動学の視点か ら 「 各教科 ・道徳 ・総合的 な学習の時間」 ( 以降,各教科等 と記す) 「 特別活 動
」「 休憩時間」の
3領域 を上位領域 とした.そ し て,それぞれの生活時間帯 において満足感 を促進 す る上で必要不可欠 と考 える 「 意欲」 「 達成感」
「 人間関係」 を,それぞれの下位 3領域 として構
造化 した.そ して,上記両領域 に対 して計
41項 目
小学校 児童 における 「 生 きる力」 と学校生活満足度 についての因果関係
秦‑1生き る 力個具的 原馴 二郎する鮎 変蜘 ・舶 麦蜘 1
7ン
ケー帽 査項目の基槻 計量(
N=868)潜在如 醐 姐
アンケ‑帽朝 日
M S. D .
能 力 ス キ ル 調査研
加 3.2 1.06 3.31.093
,2 1.07 3.0 1.12 3.l l.233 . 4
1.13 3.3 1.09 3. l l . 0 5
コ ミ ユ ニ ト シ 】 ン 力
32..5 19 1.̲2077 3.2 1.ll情舶 用力 3 . 3
1.372.0 1.30
コ ン ビ ユ づ持っ て 、 レ
ポー は手 と 鵬こ び留る
2.51
.3 1
2.5 1.35 3.l l.23 2.8 1.24社 鮎 力
会への社会鮎 力
3,6 1.192
.7 1.l3 2.9 1.22 2.31
.2 1
3.7 1.15 3.0 1.19 3̲O l̲432.4 l.32 3.3 1.29
重度
鵬 板
共生帽 度
3.4 1.162
.7 1.33 2,9 1.45 3. l l . 3 6
自鮒 紙
3.3 1.ll2.9 1.20 3.
7
1.16 3.5 1.07 3.4 1.17自 己
成長力
自 己 誠力 2 . 7
1.36I
3.4 1.342.4 一.12
生き方の脚 力
4.21
.21
の観測変数 を設定 し
,5件法
(1.全 くそ う思わな い
2.そ う思わない
3.どち らとも言 えない
4,そ う思 う
5.とて もそ う思 う) を用 い,学 校生活満足度 を求めた.
(義‑2)以上の潜在変数 と観測変数 による仮説モデルは 図
‑3に示す通 りである.
操作化
1
) 「 生 きる力」の質問文 を対象学年 に合わせ,以 下の様 に簡略化 した.
・調査研究力
(4)「 ‑見通 しのある活動の計画 を
67
表‑2鞘生活満足度(因果的
矧 に
関 する
潜在変
鰍 朋 変鮒
・アン ケ
一博 査項
目0)基舶計量
(N = 8 6 8 )
国別鵬 果 鮎 的 捌 柚 アンケ‑帽査項目
MS . D .
】 1 l
i
学習の鯛 劣台紙 各鮒
道愚
意 欲国語
をも つ と 鮎 し た い
3.4 一.26約
をも つ と 勉乱, た い
3.7 1.31鮒
をも つ と 糾 し た い
3.8 1.20社会
をも つ と 蛸 し た L l
3.8 1.28拝青を も つ と 舶 し た い
4.2 1.19 昔兼
をt, ?
と鮎したい 3.
4 1̲37陶 工作
をも つ と 魅 乱た い
4.l l.i7 維月払つ 塊 乱たい
4.O
u2道色を わと 触 し たい
3.5 1.27た告白 的 をも つ と
件乱たい
3.5 1.28達成感 閑 の成
:溝足し ひる
3.2 1.25相 の朋 乱ている
3.3 1.30l
J I l
鞘 生活
ま足度 l I】
】
義足度邪的
成二義足し て いる
3.3 1.24社会の成
こ溝足し て いる
3.3 1.27休育Q
)庇秩
:義足し ている
3.5 7.34昔射場
こ嘉乱ひる
3.3 1.34同音工作の慮#
lこ溝足し て いる
3.5 1.24舶 削) 皮 に蒲足し ひる 3
.4 1B道即) 丘
こ兵乱て いる
3.0 1.l7捨合名 鳩 の紺
にj i 足し ひる
3.2 1.22 人閉経班の控
圭l 州やすい
4.0 1.16自 分Q ) 軸 Q ) と
き.
書見引凱t で く れる友達机ヽ る
3.7 1.14鮒 親 藩足度 意 欲 手
折事椅足. 違勤怠、 学芸会な ど ) の鯛 ! 将ち 逼ul
4.2 1.10委員 剖) 細 網 ち 乱い
3.4 1.34 苧故意b(食. 請
舶ど ) 梢ち乱い
3.5 .21達成悪 絹 Q 妻具合の ) ま ‑1
乱精一l 柑 岬
九f
九= と たと 乱f 乱f : =
33..66 1.145 クラ 1. 寺請nQ 漁 舟‑榊 れ
たと 乱f :
4.0 1.10抵食.
絹など. 苧即納 する と き. 清‑榊 れたと 乱た
3.5 1.18人関 係 行事Q ) と き , 担当0 )
先生はよ く 御 礼てく れる
3.9 1.ll l朝
会のと き 、 担当0 ) 先封ま よ く 榊 をし て く れる
3.9O
0B
7 J クラ ブ, 寺請的 と き 、 担当Q )
先生はよ く 籍手札てく れる
4.2紘 請婦など . 鞘 で孟
鞄する と き . 先生旧く 榊をし て く れ
る 3.8 Ol I l l
I
l 自
分には行事
q)とき/掛こ W L てく れる 友達机l る り
08自
分には委員会q ) と き、 ‑掛こ 行凱てく れる 友達的l る
4.1 .12的に は
クラ ブ儲 私のと き 、 ‑矧こ 行臥て く れる友達机l る
4.3 05紬に 旺苧拒札渦.
Hq) t き 、 一軒こ 市
臥て
くれる 古畳がい
る4.0 3梢 鯛
嘉足度 意 欲1 細網 に先
生r こ いろ いろ にと を話せる
3.I
5触 綱 土 偶ち違し い
4.5 92 達成感触
耶忙したいと
思っ た= と を 実行で きひる
3.9 1.18立て ることができる」 を 「 ,先の ことまで活 動の計画 を立て ることがで きる」 とした.
・調査研究力 (
8)「 す じみちを立てて」を 「 順序 だてて」 とした.
2)「 新 しい学力 を育む研究会」では 4件法 を使用 しているが,本研究では共分散構造分析 を用 い るには量的データ として扱 うことが必要であ る ことか ら
5件法 とした.
3
)データの有効的活用 を試みた ( 分析データと
しての取捨選択基準).
・観測変数全体 に対す る回答 を
100%とし,回答率 が
66%に満たない場合,その個人データ全体 を 削除す ることとした.
・上記の回答率が
66%を上回 った場合で,観測変 数の一部 の回答が欠落 してい るデータ箇所 につ いては,その観測変数の平均値 を代入す ること で分析デ ータとした.
統計処理
平均 値 ・標 準偏差 及 び信頼性 係 数 の算 出 には
SPSS12.0Jf o
rWindowsを,また因果構造分析 に は
Amos5.OJ7日 1 )を用 いた.
尚,因果モデル決定 と仮説証明 に至 る分析手順 は以下の通 りである.
1)質問項 目の信頼性及 び潜在変数間の因果 関係 の推定
2
)記述統計量 による 「 生 きる力」 と 「 学校生活 満足度」の算 出
3)
因果関係 についての仮説モデル及びその修正 モデルの生成 とその評価
4)
最適モデルの決定
I l l .結 架
1)質問項 目の信頼性及び潜在変数間の因果関係 の推定
筆者等 による文献研究の結果か ら,先行研究 に おける科学的根拠 に基づいた 「 生 きる力」の教育 評価は,未だ不十分 と考 えた.そ こで本研究では 仮説 【 小学校期 に培われ る 「 生 きる力」 は,子 ど も達の学校生活満足度 ( QOL)を促進 させ る】を 設定 し,その因果的検証 を試みた. しか し,本研 究で活用 した 「 生きる力」 についての信頼性や, 新たに構築 した 「 学校生活満足度」 についての信 頼性 な どは検討 されていない.そ こで仮説検証 に 先立ち,本研究で用い る 「 生 きる力」 と 「 学校生 活満足度」 に関す る構造別質問項 目につ いての科 学的根拠 としての妥 当性及び信頼性 を求めた.
まず 「 生 きる力」 につ いては,全質問に先立 ち 中教審の定義内容全体 を評価す る質問を
1項 目用 意 し
,5件法
(1.全 く当てはま らない
〜5.とて も当てはまる) によって 「 生 きる力」の程度 に関 す る全体的評価 を求めた.そ して,全質問項 目の 妥 当性 を求めるため,全
8潜在変数 との間の相関 係数 を算出 し,全質問項 目につ いての信頼性 と妥 当性 を検討 した.
その結果,仝相関係数 は.
546‑.216の間 にあ り
0.1%水準で有意であることが検証 された. また,
各上位 ・下位領域の観測変数群 との信頼係数 をク ロンバ ックの
αによって求めた結果
, α‑ .912‑,618
の間にあることか ら,それ らの変数 の有効性 を認めた.
同様 に 「 学校生活の満足度」 について も,学校 生活 における全体的な満足度 の程度 を評価す る質 問 を用意 し
,5件法 (1. 全 くそ う思わない
〜 5.とて もそ う思 う) によってその程度 を求め,全質 問項 目に関す る信頼性及 び妥 当性 を検討 した.
そ の結 果,相 関 係 数 は.
429‑.228の 間 にあ り
0.1%水準で有意であることが検証 された.また, 各上位 ・下位領域 の観測変数群 との信頼係数 をク
ロンバ ックの
αによって求めた結果
, α‑.905‑.426
の間 にあることか ら,それ らの変数の有効性 を認 めた.
統計処理の結果,信頼係数 の低か った観測変数 と質問項 目数の関係 か ら信頼性係数の求め られ な かった項 目は
,「 休憩時間満足度」の 「 意欲」
,「 達 成感」, 「 人間関係」であったが,学校生活満足度 の仮説構造上か らみた場合
,「 休憩時間」を外す こ とはできない と判断 し分析 に用いた.
最後 に,両者の因果関係 の有無 を推定す るため に 「 生きる力」の総合点が 「 学校生活満足度」の 上位領域 の観測変数 と如何な る相関関係 にあるの かを検証 した.
その結果,各教科等
(r‑.595),特別活動
(r‑.599)
,休憩時間
(r‑.630)の仝潜在変数 との問 で,有意な相関関係が
1%水準で認め られた. よ って,本研究で得たデータを用 い,本仮説 を共分 散構造分析 に用 いることが可能 であると結論 した.
2)
記述統計量か らみた 「 生 きる力」 と 「 学校生 活満足度」
ここでは,仮説検証 に先立ち因果分析 の解釈 を 容易 にす ることを 目的 に,記述統計量の視点か ら 両潜在変数 を構成す る全ての観測変数 についての
自己評価 の実態 をみた.
原 因構成要因である 「 生 きる力」のバ ランスを 図
‑ 1の レーダーチ ャー トによって検証 した.そ の結果,「 能力スキル」領域 の構成要因である 「 調 査研究力」 と 「コ ミュニケーシ ョンカ」 につ いて は
,5段 階評価 の平均値 で あ る
3点代 の レベ ル に あることが認め られた.「 情報活用力」につ いては, 平均点を下回 り2 点代 の レベル にあることが認め
られた.その原 因を表
‑ 1によって探 ってみ る と,
電子 メールでのや りとりや コンピュータによる レ
ポー ト作成, コン ピュータを使 っての発表等 に関
小学校児童における 「 生きる力」と学校生活満足度についての因果関係
調
̲ 査 i 研
一一究力生き方 の構想力
/ ま ′ 、 一 、 、 、 、 、 ヽ ヽ
ヽヽヽ、ヽヽヽヽヽ
ヽ\ヽヽヽヽヽヽヽ
ノ
∫ ′′ . ′
′
′′ ノ
′′̀ /′
自己放隷カモ自律的態度、ヽ\ヽヽヽ図ヽヽIヽ、ヽ‑、、1ヽヽ
ヽ ヽ ー . ヽ ∫ , ヽ J ヽ ′
ヽヽ′ 2 3 , 一 のバ ラ ,
態度′′′′′′ ノス力 I , ′′′′, ,
′J /′′′′′ ′ ′
什脚 力
する 「 生きる力」 に自信の無いことが認め られた.
「 社会‑の適応力」領域 については
,3点代の平 均値 に位置 した.そこで,その内容 を表
‑ 1によ ってみ る と,健康の維持増進の方法やTVや新 聞 による最近の社会の出来事ついての 「 生きる力」
には 自信があるが, コンピュータ社会の問題点に 関する知識や外国の文化や暮 らしについて 自ら調 査す るについての 「 生きる力」に自信の無いこと が認め られた,
「 態度価値観」領域 については
,「 共正的態度」
「自律的態度」共 に
3点代 に位置 してお り,それ らの 「 生 きる力」 に自信が認め られた.特 に友達 の良い ところを探す, 自分 に課せ られた ことは最 後までや り抜 くや学校や社会のルール ・マナーを 大切 にす るとす る 「 生 きる力」についての 自信 の 高い ことが認め られた.
「自己成長力」領域 については , 「自己認識 力」
と 「 生き方の構想力」において顕著な違いが認め られた.前者の 「自己認識 力」では平均点を下回 り,逆 に 「 生き方の構想力」では
4点代 に近 く, 全質問項 目の中でも最 も高い 「 生 きる力」 として, 自信 を有 していることが認め られた.特 に,将来 つ きたい仕事や夢を持 っているに関す る 「 生きる 力」 についての 自信が認め られた.
最後 に , 「 生 きる力」の中で 自信 を持っていると するものを,領域 に関係な く高い順 に挙げてみた.
その結果 , 「 将来つ きたい仕事や夢を持 っている」
「 健康 を守るためにどうしなければな らないか知 っている 」 「自分がや らなければいけないことは最 後までや り抜 くようにしている」 「 TVのニュース や新聞で最近の社会 の出来事をよく知っている」
等が認め られた.逆 に, 自信の持てない力につい ては , 「 電子 メール等で他校の人や住 んでいる地域
69
の人達 とや りとりができる 」 「コンピュータ社会の 問題点を知 っている 」 「 外国の文イ ヒや人々の暮 らし について 自分か ら調べてみたことがある
」「自分が 周 りに人か ら認め られていると思 う」等が顕著 に 認め られた.
他方,原因変数である 「 学校生活満足度」 につ いて も,図
‑2の レーダーチャー トによって検証 した.その結果 , 「 各教科等満足度」領域 の 「 意 欲 」 「 人間関係」については
4点 に近 く,満足度の 高いことが認め られた.同様 に 「 達成感」 につい て も
3点以上 と決 して低い訳では無いが
,3要 因 のバ ランス と
QOLにおいて最 も重要な指標 であ る自己実現の観点か らみ ると,バ ランスを欠いて いることが認め られた.それ らの具体的内容 を表
‑2
によって探 ってみ ると , 「 意欲」及 び 「 達成 感」 については,体育,図画工作,家庭科の授業
に対す る満足度の高いことが認められた.
「 特別活動満足度」領域 については , 「 意欲 」 「 達 成感」共 に高得点でバ ランスが良 く,特 に 「 人間 関係」 について得点の高い ことが認め られた.同 様 に表
‑2によって具体的特徴 を探 ってみ ると,
「 意欲」では 「 学校行事の時間が待ち遠 しい」が,
「 達成感」では 「クラブ ・部活動の後精一杯やれ た と感 じた」が,そ して 「 人間関係」では 「クラ ブ ・部活動の とき担 当の先生はよく指導 して くれ る 」 「自分 には行事の とき一緒 に行動 して くれ る友 達がいる 」 「自分 には委員会の とき一緒 に行動 して くれる友達がいる 」 「自分にはクラブ・ 部活動の と
き一緒 に行動 して くれる友達がいる 」 「自分 には学
級活動,清掃,給食の とき一緒 に行動 して くれ る 友達がいる」に対す る満足度の高い ことが認め ら れた.
「 休憩時間満足度」領域 については , 「 意欲 」 「 達
成感 」 「 人間関係」共 に満足度の高い ことが認め ら
れた.同様 に表
‑2によって具体的特徴 を探 って みると 「 休み時間が待ち遠 しい 」 「 休み時間に一緒 に行動 して くれ る友達がいる」,そ して 「 休み時間 にしたい と思 ったことを実行できている」 につい ての満足度の高いことが認め られた.
「 学校生活満足度」について も,特 に満足 してい るとす るものを高い順 に挙げてみた.その結果,
「 休み時間が待ち遠 しい 」 「 休み時間に一緒 に行動 して くれる友達がいる 」 「自分 にはクラブ・ 部活動 の とき一緒 に行動 して くれ る友達がいる」や 「 体 育をもっと勉強 したい 」 「 学校行事の時間が待ち遠 しい 」 「クラブ・ 部活動の とき担 当の先生はよく指 導 して くれ る」等が顕著 に認め られた.逆 に,柄 足度がそれ程では無い とする項 目は 「 道徳の成績 に満足 している 」 「 休み時間に先生にいろいろなこ とを話せ る」そ して 「 国語の成績 に満足 している」
「 総合的な学習の成績 に満足 している」であった.
しか し,それ等の満足度は
3点代であ り,満足度 全体のバランスか らみると相対的に低い レベル に あるといわ ざるを得ない.
3)
仮説モデル及び修正モデルの生成 とその評価 本研究データについては,上記
1)での仮説構成 上の観測変数 とその質問項 目全体 についての妥当 性 と信頼性 に関す る検定結果か ら,共分散構造分 析の有効データ としての科学的根拠が得 られた.
加 えて , 「 生 きる力」と 「 学校生活の満足度」に因 果関係が推定 され るのか についての検証結果 にお いても,両者間に
0.1%水準で r
‑.693の強い相関 関係が認め られた. よって,仮説を検証す るため に以下の手順 に従い共分散構造分析 を行った.
最初 に,仝質問項 目を用いて構造化 した仮説 を
「 仮説モデル」( 図
‑3)と命名 し,共分散構造分
析 を行った.その結果 , 「 生 きる力」と 「 学校生活 満足度」との問にはパス係数.86と強い因果関係が 認め られた. しか し,
義‑3の全体評価指標 によ っ て モ デ ル の 適 合 性 を 検 討 し た 結 果
,GFI(GoodnessofFithdex)
値 は
O.382で あ り,同 様 に
AGFI(AdjustedGFI )値 についても
0.237と, 両指標共に経験上の採択基準値
0.91 2 )を下回って い た.
RMSEA (RootMean SquareE汀OrOf Approximation)値 につ いて も
0.281と,採 択基 準
0.0513)をク リアで きない ことが認め られた. よ って,以上の
3評価指標 によって 「 仮説モデル」
の因果構造は棄却 された.
そ こで,以上の結果を踏まえ仮説モデルの修正 を試みた.修正に当たっては,で きるだけ仮説モ デルの構造 を維持す ることを条件 に,
義‑3の部 分評価か ら,潜在変数及び観測変数の取捨選択基 準値 となる
C.R (CriticalRat上())値
1.96を
CUTOFFの第 1基準 とし,加 えて修正指標
(Modification hdex)の指示 に従い,理論的 に解釈可能な変数 間に共分散 を設定 し,修止モデルの再分析 を試み た.その結果
,3度 に渡 るモデル修正を余儀な くさ れた.
1
度 目の修正 に当たっては,次の
2点について 仮説モデルの大修正を試みた.修正
1回 目では, 本研究で用 いた 「 学校生活満足度」について,先 行研究を兄いだす ことができ無かったため,行動 科学の視点か ら本研究において新たに構造化 した 事を修正根拠 とし , 「 学校生活満足度」を構成す る
3潜在変数 とそれ等を構成する全ての観測変数を 集約 し
,3観測変数 とし再分析 を試みた.その結果, モデル全体の適正を評価する
GFI(0.976)と
AGFI( 0. 95 4)については共に採択基準値0. 9を上回っ
小学校児童における 「 生 きる力」 と学校生活満足度 につ いての因果関係 ていたが
,RMSEA値 につ いては
0,057とグレー ゾ
‑ンに位置す る と評価 され た.
しか し,「 生 きる力」とその潜在変数である 「 社 会適応力」 との間のパス係数が 0とな り,その潜 在変数のC U TOFFが示唆 された.そ こで修正 2回 目
として,「 社会適応力」の潜在変数 とそれ を説明す る 2観測変数 をC U TOF FL,再分析 を試みた. しか し,新た に 「 生 きる力」 と 「 態度 ・価値観」の間 のパス係数が負 とな り,論理的 に解釈できない事 態が生 じた.
そ こで修正
3回 目として,それ等の潜在変数 を C U TO FFL,再 度 修 正 を試 み た,そ の結 果,GFl
( 0. 98 4 ),AG FI( 0. 966 )共 にモデルの採択基準で
71
ある
0.9を上回 ってお り
,RMSEA (0.050)値 に つ いて も採択基準値
0.05を上回っていた. この結 果 を受 け
,3回 目の修正 モデル を 「 仮説修正 モデ
ル」 と命名 した.そのパ スダイアグラムは図‑4に示す通 りである.
仮説モデルの検証か らすれば, これ を最適モデ ル として採択 しても良い. しか し,「 生 きる力」を 構成す る重要な領域である「 社会適応 力」と「 態度 ・ 佃値観」の 2潜在変数がC U TO FFされた ことは,中 教審や文科学省 の 「 生きる力」の論理的構造 をも 否定す ることにな りかねない.
そ こで,図
‑5に示す よ うな本研究仮説 を最 も 単純化 した構造 に統合 し,「 シンプルモデル」と命
秦‑3 全体 評価 ・ 部分 評価 よりみた 3 モデルの比較
0.382 0.237 0̲281 8649,/29
0 .
984 0̲966 0.05 92.356I
.∴ ・ .̲ ー ・J . I.. . I . ■ ・ .‑ ..= . ‑∴ . . .S E [ 果
関銭折至研 究力
T 5 事書ヰ胡t研究力
1 7 ●=■ ●
共生的垣 康
一態度. 価他
岨 1 1◆ ■ 事
共自
生律的控 的捉
捷誰 cuTOFF態度. l m也 自己 放れカ
ー自己成長
力 1 9● 1 事自己 ! 紺カ
ー自己 成長
力 1能力, ス キル
l能力. ス キル
.‑ I熊力J ス キル
1I 士 * . ヽ
Q)j占応力 ‑生き る 力
lh 8 へ の ■ J S
力 CUTOF F生き る 力 社 かの 舶カ ー 生き る
力 0.580 2876 …歩度. 価値R
l自己 成長力
l各教科等 1 各教科等 1 各教科等 ー
休憩時r E l n
1 ,t歓 1達成感 0.93T 1 68 事I●■事■
意欲 1
達成感 t.421 2 59 事事事■■ヰ
意欲 1
相朋
関俵
名 し,新たに分析 をした.その結果
,GFI(0.990),
AGFI(0.974)共 にモデルの採択基準であ る
0.9をク リア してお り
,RMSEA (0.046)値 について も採択基準値0. 0 5をク リアすることが認め られた.
以上の分析手順の結果か ら,「 仮説モデル」は全 体評価 によって棄却 されたが, 「 仮説修正モデル」
及び 「シンプルモデル」 については,共にモデル の適合度評価の高い ことが証明 された.そこで, どのモデルを採択す るのかを決定す るため
,AIC(AkaikehformationCriterion)
値
14)を求めた.
AIC
値 については,複数のモデルの中でその値が 小 さい ことがモデル決定上の重要な指標 となるこ とか ら
,3モデル の
AIC値 を表
‑3によって比較 検討 した.
その結果,「シンプルモデ
ル」の
AIC値が
65.516と,「 仮説モデル」及び 「 仮説修正モデル」の
AIC値 に比べ値は小 さく,最 も良いモデルであること が検証 された. よって本研究では 「シンプルモデ
ル 」を最適モデル と決定 した.
そ こで最適モデル に基づいて,仮説 【 小学校期 に培われ る 「 生きる力」は,子 ども達の学校生活 満足度
(QOL)を促進 させ る】が如何なる因果関 係 によって構造化 されているのかを更に検証 した.
まず,本研究仮説 として最 も注 目すべ き因果関 係は
,20世紀型学力 として培わ られた 「 生きる
力 」( 原因潜在変数)が,子 ども達の現在の 「 学校生 活満足度」( 結果潜在変数)に如何なる因果的影響 力を及ぼ しているのかを検証 した.その結果,パ ス係数
.78をもって 「 生きる力」が 「 学校生活満足 度」 に強い因果的影響 を及ぼ していることが確認
された.
そ こで,両潜在変数 とそれ らを構成す る観測変
数の因果関係 について検証 した.その結果,「 生き る力」にとっての最 も強い構成要因は 「 能力 ・ス キル合計
(.87)」 「 態度 ・ 価値観合計
(.84)」であ り,最 も弱い影響 力を示 した 「自己成長力合計」
で さえもパス係数
.65と,強い因果的影響力を有す ることが認め られた.以上の因果生成の状態か ら みた場合,4領域全てのスキルが 「 生きる力」にと って重要な原因構成要因であることが明 らか とな った.加 えて,「自己成長力合計」の残差 と 「 学校 生活満足度」の撹乱変数 との間に
r‑.27の相関関 係が認められたことか ら,本質間項 目では説明で きない 「自己成長 力」に関す る事項 が間接 的 に
「 学校生括満足度」に影響 していることが確認 さ れた.
一方,結果潜在変数である 「 学校生活満足度」
についてみ ると,パス係数 は 「 各教科等
(.86)」「 特別活動
(.83)」 に対 し,因果的影響力の強い ことが認め られた. しか し,「 休憩時間」について もパス係数. 5 0と強い因果的影響力を受 けてい る ことが認め られた.以上の結果か ら , 「 学校生活満 足度」は,本仮説で構造化 した
3観測変数 によっ て評価できることが確認 された.加 えて,「 特別活 動」と 「 休憩時間」の残差間にも
r‑.36の相関関 係が認め られたことか ら,子 ども達 にとって特別 活動の時間は各教科等の時間 とは違い「 休憩時間」
に近い性質を有す る事が確認 された.
以上の結果か ら,パ ス係数
.87,.65と強い因果 的影響 力を有す る
4領域 に よって構造 化 され る
「 生 きる力」は,パス係数
.78の強い因果的影響力 をもって 「 学校生活満足度」の特 に 「 各教科等」
と 「 特別活動」にパス係数
.87‑.83をもって強い
因果的影響力を及ぼ していることが明 らかになっ
小学校 児童 にお ける 「 生 きる力」 と学校生活満足度 についての因果関係 た.
これ等の因果構造の生成結果か ら,本研究仮説
【 小学校期 に培われ る 「 生 きる力」は,子 ども達 の学校生活満足度 ( QOL)を促進 させ る】は証明 された とした.
Ⅳ.
考察
1
)記述統計量か らみた 「 生 きる力」と 「 学校生 活満足度」について
本研究で用いた 「 生 きる力」の評価項 目は
,「 新 しい学力を育む研究会
」 15)が中教審の
21世紀社会 が求める 「 生 きる力」の定義 を受 け提案 した項 目 である.研究会 は構造化 にあたって
,21世紀社会 の来 るべ き姿 との関係か ら 「 生 きる力」を
,1)高 度情報通信社会 に必要な 「 情報活用 力」
,2)プ ロ ジェク ト社会で必要な 「 調査研究力」
,3)「自律的 態度」
,4)グローバル社会 に必要な 「コ ミュニケ ーシ ョンカ」
,5)実 力主義社会 に必要な 「自己認 識 力」
,6)「生 き方の構想力」
,7)どの様な社会の変化 に対 して も対応 してい ける力 「 社会‑の適応 力」 と捉 えていることか ら,木構造は中教審の求 める定義 に最 も沿 った領域 と下位領域 によって生 成 されている といえる.
加 えて, 中教審の答 申の完全学校週
5日制の中 で,学力の評価 については,単なる知識の量の多 少では無 く 「 生 きる力」 を身 に付 けているか どう かによって捉 えることを強調 してい る.
以上の点 を考慮 し,本研究結果か ら得 られた因 果的原因変数である 「 生 きる力」の特徴 をみた.
その結果, 「 能 力・ スキル」領域 の構成要因である
「 調査研究力」 と 「コ ミュニケーシ ョンカ」は平 均 レベル にあるが,「 情報活用 力」については平均 点を下回 り,特 に電子 メールでのや りとりや コン ピュータによるレポー ト作成,或いはコンピュー タを使 っての発表等の力に自信の無い ことが認め られ る.「 社会‑の適応力」領域 については平均 レ ベル にあるが,健康の維持増進 の方法やT Vや新 聞 による最近の社会 の出来事ついての力には 自信が あるが,逆 にコンピュータ社会の問題点 に関す る 知識や外 国の文化や暮 らしについて 自ら調査す る 力に自信の無い ことが認め られ る. 「 態度価値観」
領域 については 「 共正的態度
」「自律的態度」共 に 平均 レベル にあ り,特 に友達 の良い ところを探す,
自分 に課せ られた ことは最後 までや り抜 く,学校 や社会 のルール,マナーを大切 にす る力について の 自信の高い ことが認め られ る.そ して,「自己成
73
長 力」領域の構成要 因である 「自己認識 力」では 平均 レベルを下回るが,逆 に 「 生 き方 の構想 力」
では
4点代 に近 く全質問項 目の中で も最 も高い レ ベルにあ り,特 に将来つ きたい仕事や夢 を持 って いるの力についての 自信がみ られ ること等が児童 の 「 生 きる力」の特徴 と考 えられ る.
この特徴 に関 して,先行研究である 「 新 しい学 力を育む研究会」の分析結果
16)では, 「 能 力 ・ス キル」領域 の構成要 因である 「 調査研究力」の 自 己評価は高 く
,「 情報活用 力」でのコンピュータで 調べ ることはできる. しか し,ま とめた り発表 し た りす るのは これか らと評価 している. また,「自 己成長」領域 において も 「 生 き方の構想 力」の 自 己評価は高いが
,「自己認識 力」の 自分が周 りに人 か ら認め られている と思 う自己評価は低い と分析 している. これ等の傾 向は分析方法 に違いはある が,本研究の結果を支持す るものであった.
次 に,因果的結果変数である 「 学校生活満足度」
の特徴 をみた.その結果,「 各教科等満足度」を構 成す る 「 意欲
」「 人間関係」についての満足度 は高 い. しか し,満足感 として最 も重要な要 因 と考 え る 「 達成感」 については,前 2要因に比べ低 く, バ ランスを欠いている様 に思われ る.そ こで 「 意 欲」 と 「 達成感」 についてのバ ランスを比較 して みた.比較検討の結果,体育,図画工作,家庭科 の授業 を筆頭 に全ての教科 に対す る 「 意欲」は高 いが,「 達成感」については全ての教科で低い.そ の中で も道徳,国語及び総合的な学習での成績 に 対す る満足度 は低い と考 える.
筆者等 は,「 学校生活満足度」に関す る同様の文 献 を得 ることはできなかったが,上記研究会1 7 )に よる,総合的な学習 と各教科の好 き嫌いに関す る 分析結果では, 「 総合的な学習の時間」 「 家庭科
」「 体育」 「 図工」 「 音楽」の順で,好 きと報告 して いる.本研究 と比較す る と
,「 総合的な学習の時間」
を除いた
4教科 については,本研究結果 を支持す
るもの となった. また,文科省 は平成1
4年度 より
毎年,新学習指導要領 についての 「 学校教育 に関
す る意識調査」 を実施 してお り,平成1
5年度の結
果
18)をみ る と,学校生活の満足度 に対 し約91%の
児童が学校生活 に ( 満足 +まあ満足) と答 えてお
り,その内訳 として,友達 と遊ぶ ( 約94%) ,運動
会や遠足 ( 約7
4%),運動や音楽のクラブが楽 しい
( 約4
4%)と答 えている.また,授業の理解度 に
ついて も70%を超 える児童が (よく解 る+だいた
い解 る) と答 えてお り,本研究結果 を支持す る結
巣であった.
ただ文科省の調査結果では
,「 総合的な学習の時 間」が好 きと答 えた児童は約8
9%であったが,本研究結果では, もっ と学びたいに該 当す る 「 意欲 (とて もそ う思 う :
27.5%,そ う思 う:26.7%)」は決 して商い とは言 えない.また 「 達成感 ( とて も満足 :
17.5%,少 し満足 :21.3%)」に至っては,授業意欲 と授業達成感共 に最下位 にあるといえる.
文科省では 「 生 きる力」 を全人的な力である と捉 え,その育成 に当たっては各教科 と総合的な学習 の時間 との連携 を推進す ることによって 「 知の総 合化」を図ることを求めている.その観点か ら本 研究結果 の結果 をみた場 合, 「 総合的な学習の時 間」 と各教科の更なる連携 を推進す ることによっ て,「 生 きる力
」‑「 全人的な力」とすべ く 「 知の 総合化」 を図ることを教育の最優先課題 としなけ ればな らない と考 える.
「 特別活動満足度」については
3構成要因共 に高 得点でバ ランスが保たれてお り,特 に 「 人間関係」
についての得点の高い ことが認め られ る.
また 「 休憩時間満足度」領域 について も 「 意欲」
「 達成感
」「 人間関係」共 に満足度の高い ことが認 め られるが.特 に,休み時間に先生 にいろいろな ことを話 したい とい う意欲の低い ことか ら,それ に対す る教師の努力が必要 と考 える.
本研究結果か ら,教育 によって育まれた 「 生 き る力」が真 に生 きて働 く力 となった とき,子 ども 達の学校生活の満足度は因果的 に高 くなることが 証明 された ことか ら
,「 生 きる力」の教育の充実 こ そが従来の満足度や理解度 を質 ・量共 に今まで以 上 に進展せ ることに繋がるもの と考 える. また, 全人的力 としての 「 生 きる力」の授業体験 と,そ の因果的影響 によって築かれた生活実感 こそが, 児童の生涯 にわたる生活満足度の基礎 を培 う真の 意味で生 きて働 く力を形成す ることに繋がるもの
と考える.
2)