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購買態度の3次元的特性にもとづく商品分類

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(1)

購買態度の3次元的特性にもとづく商品分類

その他のタイトル Classification of consumer goods by three dimensional traits of buying attitudes

著者 佐々木 土師二, 白銀 二郎

雑誌名 関西大学社会学部紀要

13

2

ページ 31‑65

発行年 1982‑03‑28

URL http://hdl.handle.net/10112/00022795

(2)

購買態度の

3

次元的特性にもとづく商品分類*

佐 々 木 白 銀

土 師 二

消 費 者 行 動 に も と づ く 商 品 分 類 の 最 近 の 動 向

1 .  

商品類型論における二つの研究系列

消費者が入手する商品(消費者用品)を特徴づけ分類するための視点は多様である。その物理 的・化学的性質はもとより,社会的・経済的条件との関連で性格づけられることもあれば,それ が保有され消費される様式や状況によって分類されることもある。しかしマーケティングや広告 の分野で特に注目を集めてきたのは,消費者の 購買行動 を主体とするさまざまの行動的・心 理的特徴にもとづいて商品の特性を記述し比較し分類するという試みであった。つまり,商品の 購買における「誰が」「いつ」「どこで」「どんな方法で」「なぜ」という側面から,その特性にア プローチするというものである。

このアプローチは 消費者行動にもとづく商品類型論 と呼ぶことができるが,そのなかにも 類型構成の方法論からみて二つの系列があるといえよう。

1

の系列は,なんらかの経験的あるいは理念的な商品類型を先験的

( ap r i o r z )

に構成し,

その分類を合理的かつ効率的に行なうための特徴的カテゴリーや測定メジャーを消費者の行動的

・心理的条件に求めるもので「先験的類型論」と名付けることができよう。その代表的な系譜は

「伝統的

3

分類論」とも言える

C o p e l a n d ,M. T .   ( 1 9 2 4 )

以降の論議に見ることができるが,こ れは,商品を最寄り品,買回り品,専門品に

3

分類することを基本として,そのための妥当かつ 有効な標識や分類システムの構成をめぐる論議であり,

1 9 1 0

年代から今日までの長い歴史をもつ ものである。そして,また,この

3

分類にはとらわれないが,主に商品のマーケティング的特徴 に関するいくつかの尺度によって構成される連続体のうえに商品を位置づけ段階づけようとする

A s p i n w a l l ,  L .   ( 1 9 5 8 )や M i r a c l e ,G .  E .   ( 1 9 6 5 )

の「多次元特徴的段階説」と呼びうる立場も,

この第

1

の方法論的系列に加えることができるであろう。

2

の系列は,商品類型を先験的に設定するのではなく,帰納的に見出した分類カテゴリーに もとづいて事後的

( ap o s t e r i o r z )

に類型構成を果すという方法論に立つ「帰納的類型論」と呼

* この分析のための一連のコンピュータ・プログラムは関西大学社会学部・辻岡美延教授の研究グループに よって開発されたものを利用させていただきました。記して謝意を表しますっ

‑ 3 1   ‑

(3)

悽]西大学「社会学部紀要」第

1 3

巻第

2 サ

ぶことができるものである。因子分析や数量化理論などの多変量解析技法を適用して,消費者行 動に関するさまざまの測定メジャーにおける商品間の親縁性や共変性(相関性)によって類同的 特徴をもつ商品クラスターを構成するのである。しかし,商品の分類カテゴリーや類型は,測定 メジャーの性質や尺度構成方法に規定されるために,あらかじめ商品類型を設定する「先験的類 型論」の場合とは異なり,商品の分類システムや類型が個々の分析作業において任意かつ独得の 性質をもつ場合が多い。

ところで,かって佐々木

( 1 9 7 0 )

は「先験的類型論」の展開の跡を探り,また佐々木・長尾

( 1 9 7 7 a ,   b )

では「帰納的類型論」的分析のわが国における進展状況をふり返るとともに,自ら も購買態度の

6

次元的特性による商品分類の探索的分析の結果を報告しているが,商品分類をテ ーマとする本稿を発表する機会に,その後のこの領域での研究の展開について若干の整理を試み ておきたい。しかし,ここで気づくことは,「先験的類型論」的研究はわが国では乏しく,また

「帰納的類型論」的分析がアメリカの文献に見られないということである。したがって今回のレ ヴューもそのような事情を反映したものにならざるをえない。

2 .  

先験的類型論の近況

「先験的類型論」の系列にある「伝統的

3

分類説」と「多次元特徴的段階説」という二つの立 場が接近し,統合的に交わりつつあるというのが最近の動きであるといえよう。これは主に「伝 統的

3

分類説」の系譜にある研究における,商品購買にみられる行動的・心理的な側面に注目し つつ多次元的で操作的な分類尺度の構成を試みるという方向での,論議の深まりに見られるもの である。そこで本稿では,まず「伝統的 3分類説」に立つ実証的分析の若干を概観したうえで,

こうした最近の動向をあらわす代表的論文にふれてみたい。

1 .  

伝統的

3

分類をめぐる実証的分析

最寄り品,買回り品,専門品という類型についての概念的記述に終らず,消費者行動のなんら かの特徴に関連づけて実証的分類を行なおうとする試みも

1 9 7 0

年代に入ってからの新しい動きで

ある。その試みはまだ初歩的で探索的であるが,将来の進展を期待させる芽生えといえよう。

例えば

G r e e n b e r g ,B

. & B

e l l e n g e r ,  D .   ( 1 9 7 4 )

による分析は,一つの商品が最寄り品的に買 われることもあれば買回り品的に選ばれることもあり,その認知や購買の様式には消費者による 差異があることに着目する。そこで,なんらかの尺度でとらえた購買行動の分布的差異を商品ご とにとらえ,

3

類型の性質の相対的ウエイトを求めて,商品分類を行なうべきだとして,これを 水平的アプローチ

( h o r i z o n t a l approach)•

と呼んでいる。具体的には,大学生を対象に

8

品(たばこ,百科事典,自動車タイヤ,高級カメラ,かみそり匁,高級ゴルフ用クラブ,生命保険,カラー

T V

セット)の各々について,①必要性の有無,R今後の一定期間内での購入可能性の有無,を質 問し,Rで「有」と回答した場合には,さらに⑧その商品のためにショッビングをしたいと思う

‑ 32 ‑

(4)

購買態度の

3

次元的特性にもとづく商品分類(佐々木・白銀)

程度,④特定プランドの選好の程度,をたずねている。そして⑧と④に対する回答の評定値から

a .  

⑧で低い場合…•………••最寄り品

b .  

⑧では高いが,④で低い場合………買回り品

C .  

⑧④ ともに高い場合•………•••……••専門品

と各個人が商品を性格づけているとして,その分布を求めている。この特性分析の結果によれば,

たばこ,かみそり刃は最寄り品的であったが,自動車タイヤは性格があいまいで,

a:b:c

の比 率はほぼ

2:  1 :  1

であった。

また

J o l s o n ,M.A. & P r o i a ,  S .   L .   ( 1 9 7 6 )

の分析も,個々の商品が

3

類型の性格を兼ねてい るとみる視点からのものであり,その根拠として

G r e e n b e r g& B e l l e n g e r

と同じように,商品 は消費者によって異なる認知や行動を引き起すという側面を考えている。ただ

J o l s o n &  P r o i a  

は,これを説明するために,商品分類に認知的不協和理論を導入した

K a i s h ,S ( 1 9 6 7 )

の 説 に 立っている。つまり,消費者にとって 重要性 が小さいという点で最寄り品の特性は明瞭であ るが,ともに重要性が大きく購入前不安が高い買回り品と専門品の区分が明瞭でないのは,それ が結局は,消費者側の諸条件に依存するからであると考え,特定の商品が,その外見的・物理的 特性を品質・性能と関連づけて評価できる人にとっては買回り品となり,それができない人にと っては専門品になるとするのである。具体的手続きとして,

J o l s o n& P r o i a

3 2 5

世帯から 回収した郵送調査データによって,乗用車,高価な宝石,ワイン,クキシード(またはカクテル

・ドレス),スポーツ用品(または写真用品),カラーT Vセット(またはステレオ)を買う場合 の行動をしらべたが,この方法はいささかユニークなものであった。すなわち

K a i s h

説に沿っ て,商品選択におけるリスク認知,商品識別力に対する自信,比較検討行動の範囲,適合性につ いての最終的判断力,店舗間買回り行動の程度などを異にする 仮想的人物像 を二人示して,

Aをショッパー(買回りをする人), Bをノン・ショッパー(買回りをしない人) としたとき,

各商品の購買意思決定にあたって,各回答者が

A, B

のどちらの人物にどの程度似ているかを

5

段階で自己評定させ,商品ごとに評定値の分布を求めたのである。その結果,高価な宝石とワイ

ンでは

A

型と

B

型に両極化する傾向が見られ,その購買行動に大きな個人差があることが示され た。また,その他の

4

商品では

A

(ショッパー)的な人が多かったとはいえ,

2030

彩の人びと

B

(ノン・ショッパー)的であった。

ところで,ここに引用した

2

論文は,ともに,商品の認知や購買にみられる個人差に注目して いた。そこで,ある人にとっては買回り品であるものが他の人にとっては専門品であるという現 象を指摘することは,まず理念型としての商品類型を積極的に認めていることを意味するが,同 時に商品分類に関する実証的分析作業を否定するものでもない。問題は,個人の立場からみるか 全体の立場からみるかという視点の違いであろう。われわれが,今ここで,商品類型を構成する 場合,個人個人に認知される形での類型ではなく,全体の立場からみて特定商品をいかに性格づ けるかということを問題にしている。そのために個人を単位として測定を行なうが,その集合に

‑ 3 3  ‑

(5)

関西大学「社会学部紀要」第

1 3

巻第

2

よって見出される全体的水準での商品の性質を論じようとしている。その場合,個人の散布から 成る分布をふまえつつ,代表値に注目することになる。したがって,このような方法での商品分 類では,各商品に関して明らかにされる代表値を含む分布そのものがどの分類カテゴリーヘ仕分 けされるか,という分類システムの問題が重要だということである。多くの場合,散布度を等質 だとみて,代表値によって類型化や段階区分が行なわれているが,逆に商品に関するマーケット

・セグメンテーションを意図するならば,散布状況(つまり,個人差)こそ重要になろう。

むしろ,これら 2論文が積極的に示唆していることに注目する必要がある。それは, (1)3類型 を連続的尺度のうえに位置づける意図をもっていること,

( 2 )

その尺度化のために商品購買に関す る行動的・心理的特徴をとり入れていること,という操作的側面である。特に

J o l s o n &  P r o i a  

が描いた 仮想的人物像 はきわめて多様な特徴をそなえているが,この人物像は,ショッパー 対ノン・ショッパーを意味する合成尺度に当るものであり,それぞれの個別的特徴はこの合成尺 度の下位尺度に当ることになろう。このことは,方法論的には「多次元特徴的段階説」の発想に 共通するものである。ただ従来の「段階説」は,主に広範なマーケティング特徴によって下位尺 度を構成しており,消費者行動的特徴はごく部分的にしか採用していなかったという違いはある

(佐々木,

1 9 7 0 )

2 .  

購買意思決定過程の諸特徴との対応

消費者の購買意思決定過程にみられる行動的・心理的な特徴を多面的にとらえ,それらのあら われ方の差異を商品分類に結びつけるとともに,これによって「伝統的

3

分類説」と「多次元特 徴的段階説」で別々に示されている商品類型を統一的に理解する試みは,今日のところ

A s s a e l , H .  

2

論文

( A s s a e l ,1 9 7 3 ;  Ramond & A s s a e l ,  1 9 7 4 )

にもっとも明確に見ることができる。

A s s a e l

の最初の着想は

NewYork

大学経営大学院のワーキング・ペーパーとして

1 9 7 3

年に 発表されているが,この論文は次の

3

つの論点から成り立っている:

(i)  Copeland

的な「伝統的

3

分類説」による商品類型に対応づけられている購買行動と,

Howard, J .   A .   &  S h e t h ,   J .   N .  

T h eT h e o r y  o f  B u y e r  B e h a v i o r  ( 1 9 6 9 )

にみられる 購買意思決定過程の

3

類型を規定している諸特徴との関連性を検討する。

( i i )   Howard  &  Sheth

の購買意思決定過程の分類を規定する行動的特徴と,

Aspinwall ( 1 9 5 8 )

M i r a c l e( 1 9 6 5 )

の「多次元特徴的段階説」における下位尺度のなかの行動的 特徴との関連性を論じる。

( i i i )  

以上の帰結として,①商品分類,②その商品分類に対応する購買行動と意思決定過程の 諸特徴,⑧その商品分類に対応するマーケティング的な諸特徴,を整理したうえで,同一 類型の商品にみられる③と③を関連づけて,消費者行動に効果的影響を与えるためのマー ケティング戦略に関する仮説を構成する。

この

A s s a e l

の論旨を要約的にみれば,まず 最寄り品一一買回り品 の連続的関係に注目し

‑ 34 ‑

(6)

購買態疫の

3

次元的特性にもとづく商品分類(佐々木.

1'1

銀 )

専門品は考慮の外におく。これは 最寄り品一ー買回り品 を消費者の ショッビング努力 (具 体的には「買探しによって得ることが期待できる利得」の「買探しコスト」に対する比,によって

規定される。)の次元上での“小—大”の値に対応するものであるととらえるが,専門品を“限

定的な市場需要 を条件として ショッビング努力 次元には関係しないとする H o l t o n ,

R. 

D. 

( 1 9 5 8 ) の説を受けているためである。そして Assael は,この 最寄り品一ー買回り品 の連

続体は Aspinwall の“赤色商品—黄色商品”の連続体に対応するとして,この両者を含めた

“最寄り品/赤色商品—買回り品/黄色商品”という商品連続体を構想する。同時に Howard

&  Sheth ( 1 9 6 9 ) の購買意思決定過程の 3 類 型 で あ る 習 慣 的 反 応 行 動 ( r o u t i n i z e d response  behavior; RRB),  限定的意思決定 ( l i m i t e dd e c i s i o n  making; 

LDM)

および拡大的意思決定

( e x t e n s i v e  d e c i s i o n  making; 

EDM)

に注目し, RRB を規定する諸変数が最寄り品/赤色商 品の購買に,また

EDM

を規定する諸変数が買回り品/黄色商品の購買にそれぞれ関連する,と

表 1 A s s a e l   ( 1 9 7 3 ) による商品分類と消費者行動的特徴との関連 出 典

C o p e l a n d ,  H o l t o n   A s p i n w a l l ,  M i r a c l e   Howard‑Sheth 

商品分類体系と購買意思決定過程の特徴

最寄り品 買回り品

黄色商品 赤色商品

習慣的反応行動 A 刺 激 的 特 徴 C o p e l a n d ,  A s p i n w a l l   1 .   情報探索:限定的 Howard‑Sheth  2 .   刺激のあいまいさ:小さい Howard‑Sheth  3 .   刺激の弁別:容易 Howard‑Sheth  4 .   露出(接触):選択的 Howard‑Sheth  5 .   認知の一貫性:高い Howard  6 .   優位にある刺激:製品 A s s a e l   7 .   刺激の効果:直接的

Howard‑Sheth  Howard‑Sheth  Howard‑Sheth  Howard  Howard‑Sheth  A s s a e l   Howard 

B 媒 介 的 特 徽

1. 

覚醒されているセット:限定的 2 .   プランドヘの態度:強い 3 .   選択基準の構造化:強い 4 .   思考の程度:少ない 5 .   確信:強い 6 .   心理的リスク:低い 7 .   同意的支持への欲求:弱い

c 反 応 的 特 徴

拡大的意思決定

拡大的 大きい 困難(般化)

非選択的 低い 情報

遅延的または累積的

拡大的 弱

v

弱い 多い 弱い 高い 強い

C o p e l a n d ,  A s p i n w a l l   1 .   購入頻度:多い 少ない Howard‑Sheth  2 .   再購買の確率:高い 低い Howard‑Sheth  3 .   意図から購買までの時間:短かい 長い C o p e l a n d ,  H o l t o n   4 .   身体的探索:限定的 拡大的 A s s a e l   5 .   認知的不協和の水準:低い 高い

( 注 ) A s s a e l   ( 1 9 7 3 ) はマーケティング的特徴として製品,価格,広告,流通に関する 2 2 特徴との関連に ついても同様の表示をしているが,省略する。

‑ 35 ‑

(7)

関西大学『社会学部紀要」第

1 3

巻第

2 号

している。

このような商品類型と購買意思決定過程の諸特徴との対応を一括して示したのが表

1

であり,

刺激的,媒介的,反応的特徴という

3

群に分けた

1 9

特徴に整理されているが,このうち従来の商 品類型論に出所をもつ特徴は 情報探索"

CA  1) 

"購入頻度

"(Cl)"

身体的探索.

c c  

4) の

三つだけであって,他の大部分は

Howard &  Sheth

の購買意思決定過程モデルから得たもので ある。こうして

A s s a e l

は,商品分類の主たるベースを購買意思決定過程に求めていると言える のである。

しかし

A s s a e l

は,商品分類の目的は,潜在的競合関係を明確にし,マーケティング戦略の評 価枠組をつくり,新製品開発戦略の出発点とすることにあると述べている

( 1 9 7 3 , p . 1 )

。このマ ーケティング中心的態度は

Ramond,C .   K .  

との共同執筆論文

( 1 9 7 4 )

でさらに明確に打ち出さ れており,商品の分類基準として“流通速度•

( d i s t r i b u t i v e  v e l o c i t y )

という新概念を導入して いる。この 流通速度 は「ひとつのプランドがその消費者の手元に到達するまでの速さ,言い かえれば,工場出荷と小売販売との間の時間的ずれの程度」と説明されているが

(Ramond & 

A s s a e l ,  1 9 7 4 ,  p .   3 5 6 ) ,  

このようなマーケティング的特徴によって商品類型を構成するという立 場は,もはや 消費者行動にもとづく商品類型論 の範囲外にあると言えるかも知れない。しか 流通速度 による商品分類は,製品を 消費者の行為 流通経路の反応 によって規定 する立場であるとして

( p .3 4 9 ) ,   Copeland

3

分類や

A s p i n w a l l

の色彩分類との類似性を求

( p .3 5 6 ) ,  

その商品類型に関連する消費者意思決定過程の諸特徴を仮説的に提示しているとこ ろを見れば,商品分類の裏づけをなお消費者行動に求めており,商品類型論と消費者行動論との 結びつきを図ろうとする方向を持っているということができよう。

ところで

Ramond& A s s a e l  ( 1 9 7  4 )

が提示している商品分類体系とそれに関連する消費者意 思決定過程の諸特徴に関する仮説は,表

1

に示されているのと同様の形式で,刺激的,媒介的,

反応的特徴に

3

区分されているが,その特徴のとらえ方が,さきの

A s s a e l( 1 9 7 3 )

の場合より も 概括的 になっている。このことは,新たに導入されている特徴として 買手 (受動的一一 能動的), 環境的制約 (限定的ー一拡大的), 媒介変数の効果"(限定的ー一拡大的)などがあること

に認められよう。

結局

Ramond &  A s s a e l  ( 1 9 7  4 )

の立場は,

A s s a e l( 1 9 7 3 )

よりも, 商品分類 にポイント を絞ってきているということができる。そのために,購買意思決定過程をベースにするのではな く,新しい概念である 流通速度 を分類システムとすることにしたのであろう。そして,この 分類システムに即した商品類型として,最寄り品一~買回り品—専門品の 3 類型を連続体的に 示しているが,これは,さきに

A s s a e l( 1 9 7 3 )

が特に説明を加えて除外している 専門品 最寄り品̲買回り品 の延長上に位置づけていることである。この点について

Ramond& 

A s s a e l

は特別の説明を加えていないが, 流通速度 でとらえればこのような位置づけが可能に なる。しかし,それに対応づけられている意思決定過程の諸特徴との関連をみたときには,疑問

‑ 36 ‑

(8)

購買態度の3次元的特性にもとづく商品分類(佐々木・白銀)

とすべきところも少なくない。

3 .  

わが国における帰納的類型論

1 .  

一次元尺度による商品クラスクーの構成

帰納的な商品分類のわが国での展開を見ると,商品についての評価,イメージ,保有行動など に関する一次元的尺度による各種商品の測定データに因子分析など多変量解析技法を適用し,そ の尺度上での商品間の親縁性や相関性から構成される因子やクラスターをそのまま商品類型とす るという方法を採用していることが多い(佐々木・長尾,

1977b

参照のこと)。それぞれの類型 の性格を物語るのは,商品そのものであり,同一のクラスターに入る商品群に共通する性質であ

例えば,その単純な形を,日本マーケティングシステムズの非公表資料

( 1 9 8 1

5

月)から得 ることができる。その分析は,昭和

5 6

3

月に東京都に住む

15 49

歳の女性

5 0 5

人からの「デパー トや大きな商店街へ出かけた時,すぐに買うつもりの品がなくても売場や専門店を見ることが多 いのはどんな商品分野か」という質問に対する「よく見る」から「全く見ない」までの5段階評 定デークを主因子法で因子分析して,次の

6

因子(つまり,商品分野の

6

群)をとり出したもの である(因子負荷量

0 . 4 0 0

以上の商品分野を示す):①食器・調理器具,家具・インテリア,花・

植木・園芸用品,家庭電気製品,ホビー・日曜大工・手芸用品,健康食品・健康機器;③文房具

・画材,書籍,オーディオ・レコード・テープ・楽器,スポーツ用品・つり具;⑧バッグ・靴,

スーツ・シャツ・プラウスなど衣料品,化粧品,宝石・装身具・時計・ライクー;④自転車・カ ー用品,スポーツ用品・つり具,健康食品・健康機器;⑥海外プランド品•特選品;⑥ファンシ ーグッズ・玩具。これら

6

群は,それぞれ,消費者のショッビング的関心にもとづく商品分野と して区分されたもので, ①は リビングを充実させるもの", 文化・教養を向上させるも ,⑧は おしゃれを楽しむもの ,④は 活動的で健康な暮しをつくるもの などと性格づけ ることができるだろう。

同様の方法は小嶋•

( 1 9 8 0 )

による 心理的サイフ に関する分析でも採用されている。こ の分析は,田中・北出

( 1 9 7 4 )

の研究を発展させようとするもので, 心理的サイフ の概念を より多面的にとらえ,その安定的な構造を探るとともに,両分析の時期的な差異による 心理的 サイフ の変化とその中での個別商品の移行状況を明らかにする目的をも兼ねている。つまり田 中・北出の分析は「その商品への支払いに伴なう心理的いたみ」(心理的いたみ)という

1

尺度 で商品を測定していたが,小嶋•浜は,このほかに「社会生活を営む上でのその商品の必要性」

(必要性)と「現段階におけるその商品の一般性」(一般性)という 2尺度を加え,これら 3尺 度で主婦

2 1 7

名が

5 0

商品を

7

段階評定したデータを因子分析した。つまり

3

ケースの商品分類を 行ない,その比較をしたのである。 心理的いたみ および 一般性 では

9

因子を, 必要性 では

1 1

因子を抽出し,各因子の高負荷商品の内容によってその特性を解釈したが,

3

ケースで共

‑ 37 ‑

(9)

関西大学『社会学部紀要」第

1 3

巻第

2

通の意味をもつと考えられる因子(つまり 心理的サイフ")が七つ見出された:①生活必需用 サイフ,Rちよっとぜいたく用サイフ,⑧文化・教養用サイフ,④財産用サイフ,⑥生活保障・

安心用サイフ,⑥女性用品用(ヘアーケアー用)サイフ,⑦外食用(お出かけ用)サイフI)

2 .  

多次元尺度による分類

商品そのものによって類型の性格をとらえるのではなく,独立に構成した多次元尺度によって 各商品の特性を測定し,その特性値にみられる親縁性にもとづいて商品分類を行なうという方法 をとったのが佐々木・長尾

( 1 9 7 7 a ,b )

の場合である。その第

1

報告

( 1 9 7 7a )

では,

1 9

項目の 購買態度を因子分析して抽出した 6 次元ー―—忠実購買,情報収集,社会的特性重視,情緒的特性 重視,市場的特性重視,即断購買の

6

傾向一の特性値(具体的には 因子得点")を女性

1 2 2

種,男性

1 2 0

種の商品のそれぞれで算出し,その

6

次元的特性から成るプロフィールによって各 品を商性格づけ,また第

2

報告

(1977b)

では,プロフィール全体の親縁性をマハラノビス汎距 離によって計算し,これをメジャーとして種々の類型化を行なった。

このような独立の尺度による測定値にもとづく商品分類は,前項で述べた方法をとるものにく らべて,ごく少数である。しかし,このタイプの分析は,例えばライフ・スタイル分析で消費者 のクラスターを構成するためには,ごく一般的に用いられている。種々の項目についての質問に 対する回答データを因子分析などの多変量解析技法によって少数の特徴的次元に整理し,各次元 の特性値(例えば因子得点)によって消費者を分類するのである2)

I l

購 買 態 度 の

3

次 元 的 特 性

1 .  

研究の意図

本研究はさきの佐々木・長尾論文

( 1 9 7 7a ,   b )

に立脚して発想したものであり,それと同一 のデークの再分析によって,より明確で分りやすい分類システムによる商品類型化を果すことを 目的としている。したがって対象とする商品も同一であり,表

2に示すものである。

われわれは,その第

2

報告で「最終的に構成された

10

類型の相互間の独立性や各類型の内部等 質性について,さらに修正し改善する余地が大きく残されている」と述べて,より妥当な類型化 をはかるための反省点の一つとして「

6

次元という包括的次元でなく,もっと少数の次元を目的 意識的に選び出して,構成される類型の実質的意味を明確化する方が有効なのではないか」と自 問していた(佐々木・長尾,

1 9 7 7 b , p .   1 1 5 )

。そこで,われわれのデータの範囲内で,少数の次 1)⑥の女性用品用サイフとヘアーケアー用サイフは「必要性」では分離しているが,他の

2

ケースでは合 体する。また⑦の外食用サイフは3ケース共通に見出しうるが,お出かけ用サイフが得られるのは「必 要性」だけである。

2)

例えば村田昭治ほか編「ライフスタイル全書」(ダイヤモンド社,昭和

5 4

年)にみられる分析技法や事 例紹介には,この方法によるものが多い。

‑ 3 8  ‑

(10)

購買態度の3次元的特性にもとづく商品分類(佐々木・白銀)

男女共通商品

( 1 0 0

種)

2

対 象 商 品 の 一 覧

( 1 )

I i 2 i

I ( 3 )

即 席 食 品

I ( 4 )

調

I ( 5 )

飲 み も の

1

ビ タ ミ ン 剤

1 1

化 粧 石 け ん

2 1  

インスタント

カレー

3 1

4 1

J

2 胃

1 2

シ ャ ン プ ー

22 

インスタント

スープの素

32

マ ー ガ リ ン

42

ウ イ ス キ ー

3

肝 臓 強 精 薬

1 3

23 

インスタント

シチューの素

3 3

43

4

1 4

ク レ ン ザ ー

2 4

化 学 調 味 料

34

マ ヨ ネ ー ズ

44 日

5 のど•せきの薬

1 5

食 器 用 洗 剤

2 5

3 5

ケ チ ャ ッ プ

4 5

6 鎮

1 6

住 居 用 洗 剤

26 

インスタント

ラーメン

3 6

4 6

7 筋

1 7

洗 濯 用 洗 剤

27 

インスプタント

I

J

ンの素

37

47 

インスタント

コーヒー

8 目

1 8

28

冷 凍 食 llll 

38

48

9 防

1 9

2 9

ハム・ソーセージ

3 9   酢 4 9

1 0

2 0

3 0

カップヌードル類

40

5 0

(6)

子 I ( 7 ) 耐 久 財 I I  ( 8 ) 耐 久 財 I I( 9 ) 耐 久 財 皿 I U O l 耐 久 財 I V

5 1

チ ュ ー イ ン ガ ム

6 1

カ ラ ー テ レ ビ

7 1

8 1

オ ー プ ン

9 1

デ ジ タ ル 時 計

5 2

キ ャ ラ メ ル

62F M

付 ラ ジ オ

7 2

82

パ ネ ル ヒ ー タ ー

9 2

5 3

ク ラ ッ カ ー

6 3

ス テ レ オ

7 3

自 動 炊 飯 器

83

石 油 ス ト ー ブ

9 3

ラ イ タ

5 4

ク ッ キ ー

6 4

74‑

ミキサージューサー

84

電 気 ' ‑ た っ

9 4 万 年 筆

電気•電池

5 5

ビ ス ケ ッ ト

658

ミ リ カ メ ラ

7 5

ト ー ス タ ー

85

電 気 毛 布

9 5

カミソリ

5 6

チ ョ コ レ ー ト

6 6

76

電 子 レ ン ジ

86

ア イ ロ ン

9 6

57

キ ャ ン デ ー

67

電 子 オ ル ガ ン

77

自 動 食 器 洗 い

87

97

転 車

58せんぺい•あられ 68乗

用 車 78

食 器 乾 燥 機

88

98

レ コ ー ド 全 集

5 9

ス ナ ッ ク 菓 子

6 9

カセット 卓上魔法びん

7 9 掃 除 機 89

(ボット)

テープレコーダ

9 9

ス キ ー 用 具

60

コ ー ン フ レ ー ク

7 0

ル ー ム ク ー ラ ー

80

9 0

電 子 ジ ャ ー

1 0 0

ゴ ル フ セ ッ ト

B

男 女 別 商 品

皿 衣

U 2 l

( 1 1 )

( 1 2 )

1 0 1ス ー ツ 1 1 1

クレンジング

1 0 1背 広 1 1 1ボ マ ー ド

1 0 2ワンピース 1 1 2

コールドクリーム

1 0 2ブ レ ザ ー 1 1 2ヘアトニック

1 0 3プ ラ ウ ス 1 1 3栄養クリーム 1 0 3  

レインコート・

1 1 3整 髪 料

1 1 4ファンデーション

ダスターコート

セーター・

1 0 4  

カーデイガン

1 1 5乳

1 0 4オーバーコート 1 1 4ヘアークリーム

1 0 5皮製コート 1 1 6アストリンゼント 1 0 5ジャンパー 1 1 5チ ッ ク

1 0 6ス カ ー フ 117 口

1 0 6皮 製 上 衣 1 1 6  シェービング

フォーム

107パンタロン 1 1 8マニキュア 107ワイシャッ 1 1 7  アフターシェーブ

ローション

1 0 8ジーンズ (G

パン)

1 1 9ヘアークリーム

1 0 8ネ ク タ イ 1 1 8  アフターシェープ

1 2 0ヘアーカラー

クリーム

1 0 9  ファンデーション・

1 2 1生 理 用 品 1 0 9ジ ー ン ズ 1 1 9男性クリーム

ランジェリー

1 1 0  

パンティストッキング

1 2 2テッシュペーパー 1 1 0 下 着 1 2 0養 毛 料

‑ 3 9  ‑

(11)

関西大学「社会学部紀要」第

1 3

巻第

2

元を目的意識的に選び出すことによって得られる商品分類の一つの形を探ろうと考えたのである が,このためのアプローチには多様な側面が含まれている。しかし当面の問題として次の点を検 討した:

(i) 

すでに佐々木・長尾が得ている

6

次元のなかから適当な次元を選び出すか。それとも新 しい次元を構成するか。前者の場合にはすでに求められている因子得点を特性値としてそ のまま利用できるという便利さがあるが,後者の場合には次元構成そのものでなんらかの 目的意識を反映させることが必要であるだけでなく,新しい特性値を算出する必要もあ

( i i )  

次元の数をいくつにするか。われわれが日常生活で親しんでいる空間を構成する次元数 にとどめるのが理解しやすいだろう。

( i i i )  

目的意識をどこにおくか。すでに得ている

6

次元は,商品の 買い方 に関する

3

次元

(忠実購買,情報収集,即断購買の

3

傾向)と商品の 特性認知 に関する

3

次元(社会 的,情緒的,市場的の各特性の重視傾向)に大別できたが,この区分を導入するか。それ とも,まったく新しい視点での次元の構成を行なうか。

つまり,佐々木・長尾の分析結果をどの程度利用するか,その情報をどの程度集約的に再整理 することができるか,ということを検討したのである。

その結果,今回の分析では最終的に次の方法をとることにした:

(i) 

新しい次元を構成する。基礎データは前分析と同一のものであるが,次元構成の方法論 的関心を満たすという目的もあって新たに分析を行なう。すでに得ている

6

次元は,その 相互の独立性に欠けていたため(佐々木•長尾, 1977

a ,   p .  2 2 6 ) ,  

商品間の親縁性を求め るのにマハラノビス汎距離を求める必要があるなど問題を複雑にしていたが,相互独立的

(直交的)な次元を求めて,それぞれの特性値の意味を明確にするとともに,商品分類シ ステムも簡便化したい。

( i i )  

次元数は「 3」とする。これにより次元間の関係と商品分類システムを一つの空間とし て視覚的に理解することができ,各商品の位置づけが容易にできるようになる。

( i i i )  

次元構成では,さきに得た

6

因子の

2

次因子分析による

3

次元

(2

次)の意味からヒン トを得て,外部(他人)指向性,状況依存性,経験指向性と解釈されている

3

次元が反映 できるようにしたい。これらの

2

次因子は,もとの

6

因子

(1

次)の全体的内容をより高 次のレベルでとらえた潜在的次元として,

1 9

項目の購買態度を包括する意味をもつもので あるといえよう(佐々木・長尾,

1 9 7 7 a ,   p .  2 2 7 ) 3 ' o  

このような枠組のなかで分析を進めるとき,一つの方法として,この

2

次因子の因子得点を次 元ごとに各商品について求めて,これをそのまま特性値として,商品を3次元的にとらえるとい

3)後掲の図 1

を参照のこと。

‑ 4 0   ‑

(12)

購買態度の

3

次元的特性にもとづく商品分類(佐々木・白銀)

うアプローチも考えられよう。しかし,このアプローチについては,

a .   2

次因子の意味は非常に抽象度の高いものであり,その特性値を数量化したとしても,そ の値が示しているものの意味はあいまいである,

b .   2

次因子の意味は,それを高負荷する

1

次因子群を包括的に表わしているが,

1

次因子そ れ自体がもとの項目に依拠して解釈される必要がある,

C .  

したがって

2

次因子から示唆される意味をもつ

3

次元を

1

次因子レベルで導き出しうるよ うな項目を選択し,それによって次元構成を行なうことが,

3

次元的特性の具体的意味を明 確化できる,

と考えて,もとの

1 9

の購買態度項目を再分析して新しい

3

次元の構成に適する項目を選び出すこ ととした。

2 .  

新しい

3

次元の構成

われわれのデータである

1 9

項目の購買態度を集約的にあらわす3次元の意味を

1

次因子レベル でとり出すことができるような項目を見出すために

2

段階の分析を試みたが,その探索段階では もっぱら女性デークを用いて,ある程度まで新次元の抽出が進み確認を要する段階に達したとこ ろで男性デークを含む全体デークを用いることにした。ここで女性デークを優先的に利用したの は,佐々木・長尾の分析で

1

次因子から

2

次因子までの構造が一貫してより明確であったためで ある

( 1 9 7 7 a ,   p .   2 2 5 ) 4 > 。

まず第

1

段階として,

3

次元を抽出しうると思われる項目を

2

通りの分析方法で選択し,次の 2段階では選択した項目について主成分分析を行ない, 3次元性を確認し,その意味づけを行 なった。

1. 

3

次元構成のための項目分析

1-(~) 1 9

態度項目の主成分分析による

3

成分の抽出

1 2 2

商品

X19

項目の

0

行列から項目間相関行列

(19X1 9 )

をつくり,これを主成分分析して

3

分を直接抽出した。この

3

成分が,

2

次因子レベルでの

3

次元をあらわすことを期待したからで

ある。その

Varimax回転解は表 3(A)に示す通りである。

この結果で絶対値

0 . 4 0 0

以上の高い主成分値を示す場合をみると,特定の

1

成分に対して純粋 性を示す項目は,第

1

成分で

k , p ,   1 

(ただし

1

はマイナスで)の

3

項目,第

2

成分で

m,n ,   o 

3

項目,第

3

成分で

b , e ,   f ,   g ,   i

5

項目の計

1 1

項目であった。しかし

2

成分が高い値を示

8

項目のうちでも

qは第 1

成分がマイナスで第

3

成分がプラスであり,またSは第

1

成分がマ

4) 

「女性データ」は

1 2 2

商品のそれぞれについて

1 9

項目が「当てはまる」と回答した選択回答率(%)を ベースとして,その分布を正規分布に修正するために逆正弦変換

( f J

変換)した

f J

値から成る

1 2 2

商品

Xl9

項目の

0

行列を基礎にしている。「男性データ」は1

2 0

商品X19項目から成る同様の

0

行列で,こ れら二つを連結した

2 4 2

商品

Xl9

項目から成るものが「全体データ」である。

‑ 4 1   ‑

(13)

関西大学「社会学部紀要」第

1 3

巻第

2

イナスで第 2 成分がプラスであって,その意味は明瞭であった。残り 6 項 目 ( a ,c ,   d ,   h ,   j ,  

r)

は二つ以上の成分にプラス 0 . 4 0 0 以上の高い値を示し,その意味は多義的であった。

こうして全体的にみると単純構造が得られているとは言えないが,各成分の意味は 第 1 成分……情報収集傾向

第 2 成分……低努力購買傾向 第

3

成分……情緒的購買傾向

と解することができよう。これら 3 成 分 を 佐 々 木 ・ 長 尾 ( 1 9 7 7

a)

の分析で得ている 1 次 因 子 レ ベルの構造と対応づけると

第 1 成分…… 情報収集傾向 と 即断購買傾向 とが対極的に位置しながら同一次元上 にのっている,

第 2 成分…… 忠実購買傾向 と 市場的特性重視傾向 が合体している

第 3 成分•…••

情緒的特性重視傾向 を中心に 社会的特性重視傾向 や 市場的特性重 視傾向 へも広がりをもっ,

ということが.各成分の値が高い項目の構成から示唆される。しかし,このことは,これら 3 成 分と

2

次因子レベルでの

3

次元との対応があまり認められないということも意味している。

3 1 9 態度項目の主成分分析ならびに 2次因子投影分析の結果

‑ ‑

(A) 

主 (Va 成 rima 分 x 解値 )  l ( B )   2 次因子空間投影値

I I   I l l  

a 近所の人や知人の話題になることが多いのは…••………·

4 6 2   4 2 6   4 5 3   8 2 6   2 4 2   6 4 9   b 流 行 や 評 判 が 気 に な る の は ・ . . . . . . . . . . , . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 3 5 6   3 9 8   6 7 8   9 0 8   4 0 1   5 7 6  

C 製品が出ると使ってみたいのは………••………•

0 1 4   5 1 8   5 8 3   6 7 3   5 9 5   4 9 9   d 他人の持物や買い方が気になるのは………・……….. 5 2 9   1 0 6   6 4 4   8 2 0   0 6 7   4 3 1  

e

できるだけ個性的なものを持ちたい(使いたい)のは…… 2 3 9   1 2 0   7 8 3   7 6 0   2 9 5   3 3 9  

f 買い方や使い方に人柄があらわれるのは••………·

2 2 6   0 8 9   7 8 0   7 2 8   2 8 6   2 9 2   g 持ったり使ったりするとき何となく楽しいのは...………  ‑ 0 6 2   ‑ 0 9 3   8 2 3   5 3 4   3 7 2   ‑ 0 3 8   h 買うときにとくに品質のよしあしが気になるのは……… 6 0 9   5 4 8   2 5 5   7 3 2   1 3 0   8 3 4   i 買うときに見た目や楽しさが大切なのは……… ‑ 1 2 1   0 7 1   8 0 4   5 5 7   5 1 6   0 6 0  

j 買うときにいろんな店で比較してみるのは••.•

………  5 2 5   1 6 7   4 4 9   6 8 3   0 8 2   3 9 4   k 買うときに店の人に相談したり,意見を聞くのは……… 8 0 3   0 7 3   1 9 7   5 7 8   ‑ 2 7 6   4 4 9  

1 あまりメーカーやプランドが気にならないのは•••••……•

‑ 7 2 0   1 2 9   0 0 7   ‑ 2 9 2   5 0 9   ‑ 2 5 8   m よく広告しているものを買うのは……… ‑ 0 8 2   1 7 3   3 1 4   5 7 0   7 6 2   6 8 7   n どの店で買うか,だいたい決っているのは……… 2 3 5   8 4 0   ‑ 1 0 9   4 0 9   3 1 5   9 6 8  

0

買うメーカーがだいたい決っているのは...………  1 5 0   8 1 2   ‑ 1 4 2   3 2 4   3 2 0   9 4 8  

P

家族の意見を聞いたり相談して買うものを決めるのは… 5 9 2   3 1 1   2 4 2   6 0 7   0 3 7   5 2 4  

q 思いついて急に買うことがあるのは……… ‑ 7 0 1   3 3 3   4 0 3   1 1 1   8 0 9   ‑ 0 2 8  

r 似たものが多くてどれを買うか決めにくいのは•••………

‑ 1 5 0  

9 4 0 1   5 3 2   7 4 8   5 1 0  

s 値段の差があまり気にならないのは…••………•

‑ 5 ? 9   6 7 4   1 3 3   1 1 7   8 3 9   3 4 7  

(注)主成分値および投影値の小数点は省略する。太数字は絶対値 0 . 4 0 0 以上の値。

‑ 4 2   ‑

(14)

購買態疫の 3 次元的特性にもとづく商品分類(佐々木• (I

銀 ) 1 ‑ ( 2 )   2

次因子空間への原項目の投影

もとの項目の主成分分析によって2次因子レベルの意味をもつ 3成分を直接的に見出そうとす る前項の発想とは全く逆方向からのアプローチとして,

2

次因子の各次元の意味をもとの

1 9

項目 がどの程度含んでいるかを検討し,それぞれの意味を濃く反映する項目に着目するというアプロ ーチが考えられる。この操作は,原項目を

2

次因子空間内に

1

次因子構造行列を媒介としながら 投影することを通して具体化され,これを 原項目の

2

次因子空間への投影 と呼ぶことができ よう5)。 この操作を.2次因子投影分析 と略称するが,これによって求められた.

2

次因子空 間投影値 を表

3(B)

に示した。

5 7(3  X  1 9 )

個の投影値のうちで

0 . 5 0 0

以上が

2 9

0 . 5 0 0

未満

2 8

個でほぼ折半されるので,投影値

0 . 5 0 0

を一つの基準として各項目を検討した。

もともと

2

次因子は普遍的性質の強いものであり,それぞれが各項目にかなりの関連性をもっ ていると考えられるが,上記の基準により,唯一の

2

次因子空間に高い投影値を示している項目 を拾い出すと,第

I

因子で

6

項目

( d , e ,   f ,   g ,   j ,   k ) ,  

1 I

因子で

3

項目

( I , q ,   s ) ,  

第 皿 因 子で 2項目 (n, o) の計11項目であった。(ただし, Kのように他の 2次因子空間投影値との差 が僅小なものも含んでいる。)他の

8

項目のうち,

6

項目

( a , b ,   c ,   h ,   i ,  

p)は二つの

2

次因 子へ,また残りの

2

項日 (m, r) は全部の

2

次因子へ,それぞれ

0 . 5 0 0

以上の投影値を示して いる。

1(3)両分析結果にもとづく項目選定

以上の2ケースの分析結果を比較しながら,項目選定を行なうために作成したのが表4で あ る。これは,主成分値

(A)

2

次因子空間投影値

(B)

について

0 . 5 0 0

0 . 4 0 0

の二つのポイン トを設け,これとの関係で構成される分類カテゴリーに各項目を仕分けしたものである。それぞ れの分析で,その純粋性が高い項目は左寄りに,また純粋性の低い項目は右寄りに入ることにな

ところで,これらの分類カテゴリーのなかから

①,⑥……一つの主成分値または

2

次因子空間投影値が

0 . 5 0 0

以上の高い値を示す場合,

R, 

⑥…•••二つの主成分値または 2 次因子空間投影値が 0.400 以上の高い値を示すが,一 方は

0 . 5 0 0

以上,他方は

0 . 5 0 0

未満の値である場合,

という,それぞれ

2

カテゴリーを「比較的純粋性が高い」場合とし,これらに該当する項目をま ず選び出した。それらは

主成分値で………

・ b , e ,   f ,   g ,   i ,   j ,   k ,   I ,   m, n ,   o ,   p ,   q ,   r ,   s  ( 1 5

項目)

2

次因子空間投影値で・…..

d ,   e ,   f ,   g ,   j ,   k ,   1 ,   n ,   o ,   q ,   s 

(11項目)

の各項目であった。そして,これら二つの分析で共通に選ばれた

1 0

項 目

( e , f ,   g ,   j ,   k ,   I ,  

5)

この

2

次因子空間投影値

(C)

を算出する公式は次の通りである:

C=B(A'A)

→ 

A; 

ここで

A

2

因子負荷行列, B は 1 次因子構造行列。なお,この方法については関西大学社会学部専任講師•清水和

秋氏からアドバイスをいただきました。

‑ 4 3  ‑

(15)

4

項目選定のための主成分分析および

2

次因子投影分析の結果の総括 (A) 主成分分析結果: 高い主成分値を示す成分(B) 

2

次因子投影分析結果: 高い投影値を示す

2

次因子

2

成分が

.500

以上ともにすべて

• 500

以上ともに.

500

以上すぺて

.500

以上1

.50 昧満 1‑ 500

以上と

.400

以上

.500

以上

.400

以上

.400

以上

.500

以上

.400

以上

.500

以上

1

成分が

3

成分が

111

因子へ

2

因子へ3因子へ

① 

⑧ 

④ 

⑥ 

⑥ 

⑦ 

⑧ 

⑨  最終的選定項目

44

abcdefghi.JKlmnopqrs  近所の人や知人の話題になることが多いのは...…………  流行や評判が気になるのは••………·

新製品が出ると使ってみたいのは……••………• 他人の持物や買い方が気になるのは••………• できるだけ個性的なものを持ちたい(使いたい)のは•••… 買い方や使い方に人柄があらわれるのは•••……… 持ったり使ったりするとき何となく楽しいのは•••……… 買うときにとくに品質のよしあしが気になるのは……… 買うときに見た目や楽しさが大切なのは……… 買うときにいろんな店で比較してみるのは……… 買うときに店の人に相談したり,意見を聞くのは……… あまりメーカーやプランドが気にならないのは•••…... よく広告しているものを買うのは••………• どの店で買うか,だいたい決っているのは•••……… 買うメーカーがだいたい決っているのは……… 家族の意見を聞いたり相談して買うものを決めるのは… 思いついて急に買うことがあるのは……… 似たものが多くてどれを買うか決めにくいのは..

………•

値段の差があまり気にならないのは•••………

333 ,ノ

l112221 

︵ 

1>3  (1)>3  2  >3 

21 

33 99 

1,2  2,  (1) 

1.2,3 

I‑11  llI‑II‑II 

I> 皿

>Ill 

皿 >I

I, 

I[  III 

99 I

I.  m 

~ IIIll 

ヽ︑/ヽ/

IllII  II 99 

II,fil,  I 

efg  .JKl  湮瓦汁他「#鼎柿菩裕漉」瀕13~ll2% 

no 

Il,I,lll 

(注)()付きはマイナス値の成分を示す。また,不等号は

・.soo

以上の成分(因子)

>.400

以上の成分(因子)の意味。

参照

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