奈良教育大学学術リポジトリNEAR
小学生の自己調整学習に関する研究(II)
著者 藤田 正, 岩田 充宏
雑誌名 教育実践総合センター研究紀要
巻 11
ページ 63‑68
発行年 2002‑03‑31
その他のタイトル A Study of Self‑regulate Learning in Elementary School Children (II)
URL http://hdl.handle.net/10105/4081
藤 田 正 (奈良教育大学心理学教室)
(蝣]蝣 間 充 実
(横浜市中央児童相談所)
A Study of Self‑regulate Learning in Elementary School Children (II)
Tadashi FUJITA
(Department of Psychology, Nara University of Education) Mitsuhiro IWATA
(Yokohama‑city Central Child Guidance Center)
要旨:小学校6年生91名を対象に新たに作成した自己調整学習方略尺度を実施し、自己調整学習方略の構成因子を検 討すること、さらに日常における自己調整学習方略の使用頻度と動機づけ要因(自己効力感と内発的価値)および学 業成績との関係を検討することを目的とした。調査の結果、自己調整学習方略は1因子で構成されていることが明ら かになった。また、動機づけ要因(自己効力感、内発的価値)が高い子ども程、自己調整学習方略をよりよく使用し、
自らの学習状況をコントロールして学習に取り組んでいることが明らかになった。さらに、自己調整学習方略の使用 が学業成績にも影響していることが明らかになった。
キーワ‑ド:自己調整学習方略strategy of self‑regulated learning、動機づけ要因(自己効力感、内発的価値)
motivational factors (sense of self‑efficacy, intrinsic values)
1.はじめに
「自ら学び考える力」や「自己学習力」に関して、
心理学では自己調整学習(Self‑Regulate Learning) の研究領域において研究が進められてきた。 Corono
Mandinach (1983)の研究以来、自己調整学習に 関するさまざまな研究が行われてきた。その主な内容 は、自己調整学習の規定要因を検討するものや、自己 調整学習方略の使用と動機づけ要因や学業成績との関 連について検討するものなどがみられた。
しかしながら、先行研究の多くは中学生以上を対象 としたものが多く、小学生を対象としたものは少ない。
また、自己調整学習が小学校高学年の段階で学業成績 にどのような影響を与えるのかについて検討したもの は見あたらなかった。そこで藤田・岩田(2001)は、
小学生6年生を対象に学習生活の実態に合った5つの 学習場面を設定し、自己調整学習方略について自由記 述により調査した。その結果、自己調整学習方略は、
学習に集中出来ない場面と学習課題が難しく自力で解 くことが困難である場面において学習方略の産出傾向
に特徴が見られた。
これまでの研究では、 Pintrich & DeGroot (1990)、
伊藤(1997a, b)、及びTanaka&Yamauchi (1998) らが自己調整学習に関わる学習方略がどのように構成 されているかを検討している。これらの研究では、自 己調整学習には自己調整学習方略と認知的学習方略が 含まれ、これらは質的に異なる学習方略であるという 結果が報告されている。しかし、自己調整学習方略に 焦点をあてて構成要因を検討した研究は見当たらない。
そこで、本研究においては、藤田・岩田(2001)で自 己調整学習に関する自由記述質問によって得られたデー タをもとに自己調整学習方略尺度を作成し、使用頻度 を評定した結果に関して因子分析を行い、自己調整学 習方略の構成要因を検討することを第1の目的とする。
また、 Pintrich & DeGroot(1990)、熊谷・山内(199 9)などでは、自己効力感や内発的価値などの動機づけ 要因が高いほど、自己調整学習方略をより多く使用し、
自律的に学習に取り組むと言うことが報告されている。
そこで本研究においては、小学校高学年の段階でも自
己効力感や内発的価値などの動機づけ要因が自己調整
藤田 正・岩田 充宏
学習方略の使用にどのような影響を与えているか検討 することを第2の目的とした。
さらに、 Pintrich & DeGroot (1990)、伊藤(1996)、
及び田中・山内(1999)においては自己調整学習方略 の使用が学業成績にポジティブに影響していることが 報告されている。そこで、本研究においては、さらに 小学校高学年の段階で自己調整学習方略の使用が学業 成績にどのように関係しているか検討することを第3 の目的とした。
2.方 法
2. 1.調査対象
調査対象は、奈良市内の立小学校6年生91名(男子 43名;女子48名)であった。
2. 2.調査時期
調査は、 1999年11月上旬に実施した。
2. 3.調査材料
調査材料には、自己調整学習方略尺度と動機づけ要 因尺度の2つの材料を使用した。
自己調整学習方略尺度(原尺度)は、表1に示すよ うに藤田・岩田(2001)の自己調整学習に関する自由
記述質問紙で得られたデータから、学習に集中できな い場面2と学習課題を自力で解くことが困難な場面3 によって産出された学習方略の中から自己調整学習方 略に分類された上位項目を参考にして作成された22項 目を用いた。調査用紙の作成に際しては、小学校教諭 3名による表現の検討が行われた。回答方法は、 「い つも」 「時々」 「していない」の3件法で回答する形式 を用いた。設定された学習場面に関しては、自己調整 学習に関する自由記述質問紙の場面2と場面3におけ る特定の教科についての学習課題特性を除き、具体的 に科目が設定されていない状況で、難しい問題があっ たり、テレビのことが気になったりしてなかなか宿題 が進まない状況が設定されていた。
調査用紙には、 「今からしてもらうことは、みなさ んが学校や家で勉強しているときに、どのように勉強 しているか調べるものです。これはテストではありま せんので、学校の成績とはまったく関係ありません。
いっもの自分自身のことを思い出してあてはまるとこ ろに○をつけて下さい。」と書かれていた。
動機づけ要因に関する尺度は、表2に示したとおり Pintrich & DeGroot (1990)で使用された調査項目 を日本語訳したものを使用した。調査項目は全部で16 項目あり、回答方法は「とてもそう患う」〜 「全くそ う思わない」の4件法であった。調査用紙の作成に際 表1 自己調整学習方略尺度(原尺度)
今からしてもらうことは、みなさんが学校や家で勉強しているときに、どのように勉強しているか調べるものです。これはテス トではありませんので、学校の成績とは全く関係ありません。いっもの自分自身のことを思い出してあてはまるところに○をっけ て下さい。
【質問】
明日までにしなければならない宿題があります。けれども、難しい問題があったり、見たいテレビのことが気になって、なかな か宿題がすすみません。このようなとき、あなたはどのようにしますか。
1)わからないところを家の人に聞く。 いっも 2)宿題をするのをあきらめる。 いっも 3)テレビを見るのをがまんして宿題をする。 いっも 4)教科書の練習問題や問題集の問題をやりながら、宿題の問題の解き方を考える。 いっも 5)わからないところは、明日学校に行って先生に聞く。
6)宿題の中ではかにできる問題があれば、先に解いてみる。
7)テレビを見るのをあとまわしにして、宿題を先にしてしまう。
8)静かな部屋などに行ったりして、勉強しやすいように工夫する。
9)わからないところは、友達に聞く。
10)何がわかっていないのか確かめながら宿題をする。
ll)時間を決めて宿題をする。
12)問題がよく理解できるように考えながら読む。
13)先にテレビを見てしまってから宿題をする。
14)友達と一緒に宿題をする0
15)自分の考え方で問題を解いてみようと努力する。
16)宿題をした後で何か楽しいことをしようと考える。
17)自分が出来る範囲で適当にする。
18)問題が解けるまでがんばろうとする。
19)宿題をするとき、何からしたらいいか順番を考えて勉強をする。
20)宿題に集中できるようにがんばろうとする。
21)宿題がどのようにすればわかるようになるか考えてみる。
22)宿題をしているときに、時々休憩して気分転換する。
時々 していない
時々 していない
時々 していない
時々 していない
時々 していない
時々 していない
時々 していない
時々 していない
時々 していない
時々 していない
時々 していない
時々 していない
時々 していない
時々 していない
時々 していない
時々 していない
時々 していない
時々 していない
時々 していない
時々 していない
時々 していない
時々 していない
表2 動機づけ要因に関する尺度
①クラスの他の子と比べて、勉強ができるようになりたい。
②新しいことが習うことができるので。勉強が好きだ。
③学校でならったことが絶対わかる。
④学校でとても勉強が出来ると期待されている。
⑤授業で勉強することはとても大事なことだ。
⑥クラスのほかの子と比べてよく勉強ができる。
⑦授業で勉強していることが好きだ。
⑧クラスであたえられた係の仕事がよくできる。
⑨学校で勉強したことは、勉強以外のときでも役立つ。
⑲たくさん勉強しなければならないときでも、なにかを学ぶ ことができる。
⑪学校で先生にだされた問題や課題がよくできる。
⑫テストで間違えたとしても、なにかを学ぶことができる。
⑬勉強していることが役に立つ。
⑭はかの子に比べて、勉強のことをたくさん知っている。
⑮勉強していることがおもしろい。
⑰理解することはとても大切だ。
(※⑯番は欠番であった。) しては、事前に小学校教諭3名による表現の検討が行 われた。調査用紙の冒頭には、 「これは学校の成績と は関係ありません。恩っているとおり、ありのままを 答えてください。」と書かれていた。
2. 4.手続き
調査は事前に作成された調査実施の手引きに基づき 学級担任によって集団で実施された。最初に「やり方」
についての説明が読み上げられ、続いて「質問」を1 項目ずっ読み上げ一斉に回答させるようにした。
なお、学業成績に関しては学級担任より6年生の1 学期に実施されたテストの4教科の成績(各教科50点 満点で合計200点)を提供してもらった。学業成績の 平均と標準偏差に関しては表3に示した通りである。
表3 学業成績の平均と標準偏差 男子 女子 全体 人数4345
平均37.642.740.2 標準偏差Q37.180 .z
3.結 果
3. 1.自己調整学習方略尺度の構成
自己調整学習方略尺度について、全合計得点との相 関の低い2項目を取り除き、主因子法による因子分析 を行った。その結果、複数の因子は抽出されなかった ので、自己調整学習方略尺度は単因子構造であると推 定した。さらに、尺度の合計得点と相関が低く項目と
して識別力の低いと考えられる6項目を取り除き、表 4に示すように最終的に得られた14項目を自己調整 学習方略尺度の項目とした。全項目の合計得点の平均
得点は27.31であり、標準偏差は5.25であった。
次に、自己調整学習方略尺度の信頼性について検討 した。信頼性に関しては各項目と合計得点との相関を
求めた。その結果、相関係数は.21‑ の範囲にあっ た。これらの結果より、各項目間にある程度の関連が あることが明らかにされた。
さらに、尺度の内的一貫性を調べるためにクロンバッ クのα係数を算出した。その結果、 α係数は.83の高 い値を示し、尺度に内的一貫性があることが明らかに された。
以上の結果から、小学校6年生を対象とした自己調 整学習方略尺度の信頼性が確認された。
表4 自己調整方略尺度
項目番号 平均 SD 全体一那棚 3 テレビを見るのをがまんして宿題する。
4 教科書の練習問題や問題集をやりなが ら宿題の問題の解き方を考える。
6 宿題の中で他にできる問題があれば先 に解いてみる。
7 テレビを見るのを後回しにして、宿題 を先にしてしまう。
8 静かな部屋などに行ったりして、勉強 しやすいように工夫する。
10 何がわかっていないか確かめながら宿 題をする。
11時間を決めて勉強をする。
12 問題がよく理解できるように考えなが ら読む。
15 日分の考え方で問題を解いてみようと 努力する。
16 宿題をした後で何か楽しいことをしよ うと考えるO
18 問題が解けるまでがんばろうとする。
19 宿題をするとき、なにからしたらいい か順番を考えて勉強をする。
20 宿題に集中できるようにがんばろうと
蝣j ‑;、、
21宿題がどのようにすればわかるように なるか考えてみる。
1.91 0.66 .32
1.73 0.66 .55
2.38 0.68 ,23
1.93 0.66 ,44
1,71 0.70 .54
1.81 0.67 .63
1.54 0.65 .40
2.07 0.65 .54
2.12 0.55 .33
2.22 0.71 .21
1.99 0.61 .50
1.96 0.81 .49
2.00 0,70 .66
1.94 0.61 ,57
3. 2.動機づけ要因尺度の構成
動機づけ要因尺度については、 Pintrich & DeGroot (1990)の因子分析結果を参考に2因子での解釈を試み た。主因子法による因子分析の結果、 Pintrich DeGroot (1990)と同様の2因子が抽出された。複数 の因子にやや高い負荷量を示す2項目と、どの因子に も低い負荷量しか示さない1項目の計3項目を除いて 14項目を抽出し、さらにバリマックス回転を施したと
ころ、表5に示すような因子負荷量となった。
因子構造をみると、第1因子は「授業で勉強するこ とはとても大事なことだ(項目5)」や「学校の授業 で大切なことを学ぶことが出来る(項目17)」や「勉 強していることが役に立っ(項目14)」など、学習に 対する価値の認識を評定する項目が集まっており、
「内発的価値因子」と命名した0
第2因子は、 「他の子と比べて勉強のことをたくさ
ん知っている。 (項目15)」や「学校で習ったことが絶
表5 動機づけ要因の因子分析結果
藤田 正・岩田 充宏
番号 項 目 FI F2 共通性 r 授業で勉強することはとても大事な
ことだ。
学校の授業で大切なことを学ぶこと が出来る。
14 勉強していることが役に立つ。
学校で勉態したことが勉強以外のこ とでも役立っ。
18 理解することはとても大切だ。
たくさん勉強しなければならないと きでも何か学ぶことが出来る。
テストで間違えたとしても何かを学 ぶことが出来る。
1:>
他の子と比べて勉強のことをたくさ ん知っている。
3 学校で習ったことが絶対わかる。
Ill
4
13
1
学校で先生に出された問題や課題が 絶対にわかる。
学校で勉態が出来ると期待されてい m
クラスのほかの子と比べて勉強が出 来る。
クラスの他の子と比べて勉強が出来 るようになりたい。
.81 ‑.01 .65 .69
.78 .06 .62 .69
.76 .07 .57 .63
.75 .01 .56 .63
.69 ,03 .47 .57
.66 ,22 .48 .57
.65 .22 .47 .56
.01 .83 .69 .68
.13 .74 .55 .52
.00 .72 .52 .54
.27 .61 .46 .49
.05 .57 .32 ,41
.07 .43 .17 .30
寄与率 (.%) 27.6 21.6 累計寄与率 (.%) 27.6 49.2 α係数 .86 .76
対的にわかる。 (項目3)」や「学校で先生に出された 問題や課題が絶対にわかる。 (項目11)」などの自己効 力感を評定する項目に高い因子負荷量が認められるこ とから「自己効力感因子」と命名した。
最終的に得られた項目は、内発的価値因子と自己効 力感因子ともに7項冒ずっであった。各因子を構成す る項目の合計得点は、第1因子の内発的価値では、下 位尺度得点の合計の平均点は21.76、標準偏差は3.66 であった。第2因子の自己効力感では、下位尺度得点 の合計の平均点は15.65、標準偏差2.95であった。
各下位尺度の項目と合計得点の相関係数を見たとこ ろ、内発的価値では.55‑.70の範囲にあり、自己効力 療では.30‑.68の範囲にあった。これらの結果より、
各下位尺度の項目間に関連があることが認められた。
次に、尺度の内的整合性信頼性をみるために、下位 尺度ごとにクロンバックのα係数を算出した。その結 果、第1因子は.86 、第2因子は.76の値を示した。
この結果から、動機づけ要因尺度は、内的一貫性があ ることが認められた。
以上の項目分析の結果から小学校高学年を対象にし た動機づけ尺度に関する信頼性が認められた。
3. 3.各尺度の検討
尺度ごとの平均と標準偏差は表6に示す通りである。
まず、先行研究では一貫した傾向がみられなかった性
差についての検討を行うために、尺度毎にt検定を行っ た。その結果、自己調整学習方略尺度に関しては、女 子のはうが1%水準で有意に高かったU (87) ‑2.63, p<. 01)。しかし、動機づけ尺度に含まれる自己効 力感および内発的価値に関しては有意な性差は認めら
れなかった。
表6 各尺度の男女別と全体の平均と標準偏差
男 子 女 子 全 体 平均 SD n 平均 SD n 平均 sD n 自己調整学習方略 25.72 5.1 42 28.7 5.03 47
日己効力感 21.66 3.3 42 21.7 4.02 47 21.68 3.68 内発的価値 16.0 2.2 42 15.4 3.51 47 15.70 2.86
さらに、各尺度問の関連をみるため、相関係数を算 出した。その結果、動機づけ要因と自己調整学習方略 の関連を見てみると、内発的価値と自己調整学習方略 は0‑.41)、自己効力感と自己調整学習方略は(r‑
.34)でともに1%水準で有意な相関を示していた。
内発的価値と自己効力感は有意な相関が見られなかっ た 0‑.19,n.s.)c
3. 4.重回帰分析による各尺度および学業成績の関 連の検討
3. 4. 1.動機づけ要因と自己調整学習方略との関 連について
田中・山内(1999)では、大学生を対象に調査を行っ た結果、内発的動機づけが高いものほど、より多く自 己調整学習方略を使用していることを明らかにした。
その結果を参考に本研究においては、小学校6年生の 段階でも、動機づけ得点が高いものほどより多く自己 調整学習方略を使用しているかどうかに関して、動機 づけ要因の自己効力感と内発的価値の合計得点を説明 変数とし、自己調整学習方略尺度の合計得点を目的変 数とした垂回帰分析を行った。
その結果、表7に示したとおり、内発的価値は.35、
自己効力感は.28という1 %水準で有意な標準偏回帰 係数を示していた。なお、自由度修正済み決定係数は .22であった。
表7 自己調整学習方略についての重回帰分析 重回帰分析 説明変数 標準偏回帰変数 と値 内発的価値 .35 3.67"
自己効力感 .28 2.86"
垂相関係数 .49 決定係数 .24 自由度修正済み決定係数 .22 回帰式の分散分析(F値) 13.4"
"p<m
3. 4. 2.自己調整学習方略の使用頻度と学業成績
の関係について
Pintrich&DeGroot (1990)、伊藤(1997a, b)、
田中・山内(1999)などの先行研究において、自己調 整学習方略の使用が学業達成に影響することが明らか にされている。しかし、これらの先行研究においては、
対象者は、中学生以上であり、小学生の段階において 自己調整学習方略を使用することが学業達成にどのよ うに影響しているか明らかにされていない。そこで、
本研究では上記の先行研究を参考にして、自己調整学 習方略の使用頻度を説明変数、国語、算数、理科、社 会のテストの素点を合計し、科目数で割った点数を目
的変数とした単回帰分析を行った。
その結果、表8に示すように、自己調整学習方略は .46で1 %水準で有意な標準回帰係数を示していた。
なお、自由度修正済み決定係数は.20であった。
表8 学業成績についての単回帰分析 単回帰分析 説明変数 標準回帰係数 £値
自己調整学習方略 .46 4.8"
相関係数 .46 決定係数 ,21 自由度修正済み決定係数 ,20 回帰式の分散分析(F値 23.27"
"p<.01
4.議 論
本研究の目的は、 ①自己調整学習方略の構成要因を 検討すること、 ②自己調整学習の使用が動機づけ要因 (内発的価値と自己効力感)と学業成績にどのように 関係しているか検討することの2つであった。
自己調整学習方略の構成要因に関して
本研究では、藤田・岩田(2001)の自由記述法を用 いた調査をもとにして、学習に集中できない場面であ る場面2と学習課題を自力で解くことが困難な場面で ある場面3によって産出された学習方略のうち、先行 研究において自己調整学習方略に分類された上位項目 をもとにして、自己調整学習方略尺度を作成した。そ して、その調査結果を因子分析し、自己調整学習方略 の構成要因を検討した。
本研究では、自己調整学習に焦点を絞り検討を行っ たが、 Pintrich & DeGroot (1990)や伊藤(1997a,
b)と同様に自己調整学習方略は1因子構造であると 言う結果が兄いだされた。なお、 Pintrich&DeGroot (1990)や伊藤(1997, a, b)など、自己調整学習 に関する研究においては、記憶方略などの認知的学習 方略も含めて使用頻度を評定させ、因子分析を行って いる。その結果、自己調整学習方略と認知的学習方略 の2因子が抽出されている。
尺度は1因子構造であるが参考までに項目を研究1 で使用した分類基準にもとづき、整理してみると表9
に示すとおりになった。 Help‑Seeking方略に関して は、 1項目も残っていなかった。田中・山内(1999) では、 Help‑Seeking方略に該当するセルフ・ハンディ キャップ方略が学業成績に関して、マイナスに作用す るという結果が出ている。そのような結果から考えて も、 Help‑Seeking方略は自己調整学習方略の中でも、
他の学習方略とやや性質の違うものであるのかも知れ ない。その他の方略ではモニタリング方略が5項目、
努力調整方略が4項目、プランニング方略が4項目残っ m
表9 分類基準別に見た自己調整学習方略尺度の構成 分 類 項 目 (項目番号) Help‑Seeking方略 なし
モニタリング方略
努力調整方略
宿題の中で他にできる問題があ れば先に解いてみる。
何がわかっていないか確かめな がら宿題をする。
問題がよく理解できるように考 えながら読む。
自分の考え方で問題を解いてみ ようと努力する。
宿題がどのようにすればわかる ようになるか考えてみる。
テレビを見るのを後回しにして、
宿題を先に解いてみる。
宿題をした後で何か楽しいこと をしようと考える。
問題が解けるまでがんばろうと
‑j‑ ‑;, ,
宿題に集中できるようにがんば ろうとする。
・教科書の練習問題や問題集をや りながら宿題の問題の解き方を
y, ‑;蝣∴L :.
・静かな部屋などに行ったりして、
プランニング方略 勉強しやすいように工夫する。
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