• 検索結果がありません。

r r 近世文学教材の研究と再構築

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "r r 近世文学教材の研究と再構築"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

近世文学教材の研究と再構築

教科・領域教育専攻 言語系(国語)コース 川 村 量 子 1.研究の目的

近年、大学入試問題において近世文学作品を 扱 っ た も の を 多 く 目 に す る 。 ま た 、 平 成15年 4月から実施されている学習指導要領より、国 語の古典教育では日本の文化と伝統を尊重する 態度を育てることが重視されている。そのため、

授 業 や 補 習 授 業 等 で 近 世 文 学 作 品 を 扱 う 必 要 性 を強く感じているが、実際には教科書や参考書 等 で 近 世 文 学 作 品 が 取 り 上 げ ら れ て い る こ と は 少ない。そこで、新課程用教科書、大学入試問 題について実態調査、分析を行い、教材として の近世文学作品の必要性を明確にし、近世文学 作品の教材化の例を挙げ、その可能性を探るこ

とを目的とした。

2.研 究 の 方 法

第1章 新 課 程 用 教 科 書 の 実 態 調 査

新 学 習 指 導 要 領 を ふ ま え 、 平 成 15年度以降 使 用 さ れ て い る 教 科 書 の 古 文 教 材 に つ い て 実 態 調査を行う。「国語総合J

r

古 典J

r

古 典 講 読j

の 教 科 書 に 採 録 さ れ て い る 古 文 教 材 の 書 名 、 及 び 採 録 部 分 を 挙 げ 、 そ の 採 録 数 と 、 新 課 程 用 教 科 書 全 体 の 特 徴 に つ い て 分 析 を す る 。 ま た 、 近 世 の 作 品 が 多 く 含 ま れ る 日 本 漢 文 の 教 材 に つ い ても調査を行う。

第2章 近世文学作品を扱った

大 学 古 文 入 試 問 題 の 実 態 調 査 過 去5年 間 の 国 公 私 立 主 要 大 学 入 試 問 題 デ ー

指導教官 赤 松 万 里

タをもとに、近世文学作品を扱った大学入試問 題 に つ い て 、 出 典 名 と 出 典 数 を 挙 げ 、 分 析 を 行

o

3章 近世文学作品を教材に

近 世 文 学 作 品 の 、 教 材 と し て の 可 能 性 に つ い て 考 え 、 現 在 教 科 書 に 取 り 上 げ ら れ て い な い 作 品の教材化を試みる。第 1章 、 第2章の調査、

分析に基づいて近世文学作品を取り上げる。

2.研 究 の 結 果 と 考 察

第 一 章 「 新 課 程 用 教 科 書 に お け る 古 典 教 材 の 実態調査Jにおいて、生徒たちが実際に触れて いる近世文学作品が、中世以前の作品に比べて 少 な い こ と が 確 認 さ れ た 。 し か し そ の 数 は 増 加 の傾向にある。近世文学作品は、『奥の細道』

が 必 ず と 言 っ て い い ほ ど 取 り 上 げ ら れ て い た が 、 そ の 他 に 様 々 な ジ ャ ン ル の 作 品 が 取 り 上 げ られるようになり、特に随筆や小説といったジ ャ ン ル の も の が 多 く 見 ら れ る よ う に な っ て い る。

近 世 文 学 作 品 は 、 教 材 本 文 と し て の 採 録 数 は 少 ないが、補助的教材としての挿絵は多く掲載さ れ て い る 。 中 世 以 前 の 教 材 に 、 近 世 に 描 か れ た 肖 像 画 や 版 本 の 挿 絵 な ど が 多 数 採 用 さ れ て い る。しかし、挿絵そのものには、いつの時代の 誰 が 描 い た も の か と い う 説 明 を つ け て い る 教 科 書がほとんどない。生徒たちは、その挿絵から 教 材 の 内 容 や 当 時 の 人 々 を 想 像 す る の で あ る か

pn u 

﹁ ﹁U

(2)

ら、やはりある程度の説明は付しておくべきで ある。新課程用教科書では、生徒たちが親しみ やすい教科書を目指し、カラフルな絵画や写真 を多く掲載する傾向がうかがえるD 今後はさら に視覚的効果の高い教材が増えていくものと考 えられるo

また、日本漢文の採録数は圧倒的に近世のも のが多く、「古典」教科書には日本漢文を含め るようにすると新学習指導要領に示されている ことから、今後も近世の日本漢文は採録数を増 やしていくと思われる。

第二章「近世文学作品を扱った大学古文入試 問題の実態調査」においては、近世の作品は新 出典としての出題頻度が高く、大学入試問題、

特に大学入試センター試験の出題率が高いこと が明らかになった。近世文学作品はあらゆるジ ャンルから出題されており、生徒たちにはなじ みのないものが多い。

生徒たちの苦手意識が強い和歌を含んだ近世 文学作品からの出題が多くみられたが、調査結 果から、「和歌・歌文j は、「俳句・俳文・俳 論」とほとんど同数の出典が採用されているに もかかわらず、教科書には全く採録されていな いことが明らかになった。生徒たちが苦手意識 を持っている「和歌・歌文」は、指導者にとっ ても指導しにくい教材である。だからこそ、苦 手意識をなくすためにも、授業で、現代に近い 時代である近世の歌壇を紹介し、和歌に親しむ 必要がある。教科書はこういった現状も踏まえ て「和歌・歌文jのジャンルの教材を取り上げ るべきであろうo

注目すべき出典としては「江戸町方役所への

『言上帳 ~J からの出題が挙げられる o 国語と いうよりは日本史的な要素が強く、「文学作品 からの出題」という今までの概念を破るもので

あるo 今後もこういった日本史関係の出題が見 られるようになるのか興味深いところである。

第三章「近世文学を教材にJでは、近世和歌、

挿絵、伝統芸能に関する教材の資料を提示し、

近世文学作品の教材としての可能性を探った。

新課程用教科書における近世文学の教材は、

増加の傾向にあり、今後ますます取り上げられ ると考えられる。近世文学の作品は、それ自体 が持つ挿絵が教材として重要なポジションを占 めていると言える。絵と文が一体化した近世文 学作品は、親しみやすく視覚的効果が期待でき る教材であり、生徒のニーズにあった教材とい える。

江 戸 時 代 の 風 俗 や 庶 民 の 生 活 が 描 か れ た 絵 は、近世文学の文章の部分と一体化しており、

中世までの文学作品に描かれている文章の補助 的な挿絵とは性格を異にする。近世の文学作品 における文字と絵の一体化は、現代におけるマ ンガやアニメーションにつながる部分があり、

そういった教材が今後ますます取り上げられる ことは時代の要請であると考える。

文字と絵が一体化した文学は、第三章の二で 取り上げた『かちかち山』の後日請である『親 敵討腹鞍』のように、情報教育や総合教育にも つながるものであり、また学校教育にとどまら ず、社会教育や生涯教育など、あらゆる場所で そのニーズに応える可能性をもっている。今後 の古典教育には、従来の古典授業の既成概念を 取り払い、古典を学ぶ人のニーズに応える教材、

新しい古文教材が求められている。例えば、一 つのテーマに沿って古典の文章や絵、さらに漢 詩 文 や 歴 史 的 資 料 な ど を 含 む 教 材 が 考 え ら れ る。そのような教材が、多くつくられていくべ きであり、言い換えれば、私たちがそれをつく っていくことが求められている。

iFU

/ω

参照

関連したドキュメント

There is a bijection between left cosets of S n in the affine group and certain types of partitions (see Bjorner and Brenti (1996) and Eriksson and Eriksson (1998)).. In B-B,

(The Elliott-Halberstam conjecture does allow one to take B = 2 in (1.39), and therefore leads to small improve- ments in Huxley’s results, which for r ≥ 2 are weaker than the result

[r]

“Breuil-M´ezard conjecture and modularity lifting for potentially semistable deformations after

lines. Notice that Theorem 4 can be reformulated so as to give the mean harmonic stability of the configuration rather than that of the separate foliations. To this end it is

S., Oxford Advanced Learner's Dictionary of Current English, Oxford University Press, Oxford

At the end of the section, we will be in the position to present the main result of this work: a representation of the inverse of T under certain conditions on the H¨older

支払方法 支払日 ※② 緊急時連絡先等 ※③.