• 検索結果がありません。

乳児の歩行発達に関する生態心理学的研究

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "乳児の歩行発達に関する生態心理学的研究"

Copied!
1
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)人間科学研究 Vol. 19, Supplement (2006). 修士論文要旨. 乳児の歩行発達に関する生態心理学的研究 Developmental Study of Infant locomotion from a Viewpoint of Ecological Psychology. 白神. 敬介(KeisukeShiraga). 指導:根ケ山. 光一教授. の動作時間に差が見られ、とくに右手は左手よりも時間的. 【問題と目的】 乳児の歩行発達に関する研究は、実験場面を用いて多く の知見が生み出されているが、自然観察による研究は少な. に長く支持面から離れる傾向があった、下肢については、 動作時間で差は見られなかった。. い。こうした偏りによって、歩行発達研究が日常場面での. 次に、独立歩行とつかまり歩きの相違を検討した。歩行. 発達現象から乗離している可能性がある。とくに、「つかま. 運動における遊脚相と立脚相の時間を指標として、下肢の. り歩き」は、乳児の歩行発達に対する強い影響が考えられ. 運動的差異を検討した。下肢の遊脚時間に関しては、独立. るにもかかわらず、研究対象としてとりあげられることが. 歩行よりもつかまり歩きの方が長い傾向があった。これは. ほとんどなかった(Berger&Adolph,2003)。そこで、 本研究では、これまで歩行発達研究において軽視されがち. 上肢による支持が加わったつかまり歩きの方が、より姿勢. であった「つかまり歩き」を取り上げ、日常場面での縦断. かまり歩きと独立歩行でともに発達的な減少傾向が見られ、. 的観察から形態的特徴、発達的変化、事物との関係を検討. 発達に伴い移動のテンポが速くなることが確認された。乳. することにより、歩行発達における位置づげを明確化する。. 児別に見ると、独り歩きでは‑様な減少傾向を示したのに. 【方法】. 対し、つかまり歩きにおいては、非線形な変化を見せた乳. 観察対象は、独り歩き開始以前の乳児4名(男児2名、. が安定するためだと考えられる。立脚時間に関しては、つ. 児もいた。. 女児2名)。家庭での母子の日常遊び場面をビデオカメラを. さらに分析4では、特徴的な傾向を見せたつかまり歩き. 用いて縦断的に記録した。観察は、乳児が這行をほとんど. 場面の理解を目的として、質的な分析を行った。ここでは. 行わなくなるまで、 2、 3週に一度の頻度で、 1回の撮影. とくに移動運動を「運動」としてではなく、 「行為」として. につき1時間を目安に続けられた。分析に先立ち、ビデオ. 捉えることを主眼として分析を行なったO つかまり歩きを. データから「這行」 「つかまり歩き」 「独り歩き」が行われ. 含む移動運動場面について詳細な検討を行ったところ、把. た場面を抽出し、以降の分析対象とした。. 持対象を媒介にした「遊び」の創出、モノの形状に依る移. 【結果および考察】. 動形態(這行とつかまり歩き)の選択、移動における独自. まず、 3種類の移動形態の出現頻度を乳児ごとに見た。. の役割(高い視点の獲得と安定性の保証)といった可能性. 発達にともなって這行は減少し、独り歩きは増加するとい. が指摘された。. う傾向が見られたが、つかまり歩きに関しては、発達が進. 【まとめ】 つかまり歩きは、長期にわたって出規する独自の移動形. んでも安定的に用いられるという傾向が見出された。 分析1では、つかまり歩きにおける把持対象をKJ法に. 態であり、その運動形態は、独り歩きと類似した発達傾向. よって分類した。つかまり歩きに用いられた約60の事物に. を見せるが、全く同一ではなかった。また移動にかかわる. 対し、 6つのカテゴリ(I‑VI)が作成された。そのカテ. 独自の役割を担っている可能性も指摘された。顕著な個人. ゴリを用いて、つかまり歩きの頻度を検討した。全体的な. 差も検出されたが、それが何に起因するかは、今後の調査. 傾向として、ソファや机で構成されるカテゴリ(班)での. を待たなければならない。以上を踏まえ、つかまり歩きを. つかまり歩きが多い。また、壁や窓で構成されるカテゴリ. 捉えるには生態学的な視点が重要であり、 「環境」と「行. (Ⅰ)でのつかまり歩きは、発達にともなった増加傾向を示. 為」という軸が有効であると考えられる。 本研究により、つかまり歩きを歩行発達の文脈に位置づ. しており、この傾向は乳児ごとにも確認された。ここで作. ける手掛かりを得たといえる。つかまり歩きはこれまで捉. 成したカテゴリは以降の分析でも使用した。 分析2では、生体力学的な指標に基づいてつかまり歩き の形態的特徴を検討した。つかまり歩きにおける四肢の動. えられてきた歩行発達を補う重要な段階であり、つかまり 歩きを組み込んだ歩行発達モデルが必要であろう。. きが見られた時間を「動作時間」として分析した結果、上 肢には発達的な変化が見られた。把持対象によって左右で ‑25‑.

(2)

参照

関連したドキュメント

[r]

2.尿管結石におけるタダラフィルの排石促進効果の臨床 的検討 栗原 太,中村 哲也 (群馬大医・附属病院・臨床試験部) 栗原 聰太,柴田

3.当院における抗アンドロゲン剤 替療法の検討 須藤 佑太,古谷 洋介,田中 俊之 塩野 昭彦,町田 昌巳 ( 立富岡 合病院

151-154) 【シ シンポジウム  ンポ ジ ウム 報告 】 社会科教育学研究は  授業実践にいかに寄与するのか (2010 年 2 月20 日 開 催) 關

どうからの贈 り物は ,それ 以上あ ります 。白い毛 糸を薄紫に染めて ,その毛糸でマフラー を編みま した 。マ フラー を編ん で

313 人 工 知 能  36 巻 3 号(2021 年 5 月) 「編集委員からの抱負と提言 2021」

Major in Computer and Information Sciences, Graduate School of Science and Enginnering, Ibaraki University In this paper, we point out the problem that BERT is domain

電子基準点「厚真」「門別」の傾斜測定 震央に近い電子基準点「厚真」 「門別」の