第70回日本泌尿器科学会群馬地方会演題抄録
日 時:平成 27年 6月 20日 (土) 15時 00∼
場 所:群馬大学医学部内 刀城会館
会 長:小林 幹男(伊勢崎市民病院)
事務局:柴田 康博(群馬大院・医・泌尿器科学)
セッション >
座長:中山 紘 (群馬大院・医・泌尿器科学)
臨床症例
1.尿膜管癌・腹膜播種症例に対して施行した集学的治療
の経験
宮尾 武士,橋本 圭介,根井 翼
関口 雄一,佐々木隆文,鈴木 智美
中山 紘 ,栗原 聰太,宮澤 慶行
加藤 春雄,周東 孝浩,新田 貴士
野村 昌 ,関根 芳岳,小池 秀和
井 博,柴田 康博,伊藤 一人
鈴木 和浩 (群馬大院・医・泌尿器科学)
大津 晃 (伊勢崎市民病院 泌尿器科)
青木 雅典 (日高病院 泌尿器科)
馬場 恭子 (足利赤十字病院 泌尿器科)
症例は 31歳女性,2013年 7月,他院で施行した鼠径ヘル
ニア手術時の腹膜より転移性癌を認めた.婦人科,消化器
外科による精査で尿膜管癌の疑いがあり,同年 8月,当科
初診となった.尿細胞診は classⅡであった.膀胱鏡では,
後壁に圧排所見を認めたが粘膜面は正常であった.MRIで
頂部に腫瘍を認め,尿膜管癌・腹膜播種と診断した.同年 9
月より TS-1による治療を開始したところ, 治療開始前は
CA19-9 377 U/ml,CA125 200 U/mlと 高 値 で あった が,
徐々に低下し,2014年 2月には CA19-9 39 U/ml,CA125
18 U/mlまで低下した.しかし,その後,腫瘍マーカーが上
昇に転じたため同年 4月より CDDP/TS-1による治療を
開始した.その後も腫瘍マーカー上昇とともに腹膜播種増
大を認めた.特に卵巣転移の増大が著しく,QOLを著しく
低下させたため婦人科により両側卵巣摘出術が行われた.
摘出重量は 8.6 kgに及んだ.組織学的には粘液性腺癌であ
り,尿膜管癌・卵巣転移に矛盾しない所見であった.現在も
化学療法を継続中である.
2.巨大多発囊胞腎に発生した腎細胞癌に対する手術療法
の経験
関口 雄一,橋本 圭介,根井 翼
佐々木隆文,鈴木 智美,中山 紘
宮尾 武士,栗原 聰太,宮澤 慶行
加藤 春雄,周東 孝浩,新田 貴士
野村 昌 ,関根 芳岳,小池 秀和
井 博,柴田 康博,伊藤 一人
鈴木 和浩 (群馬大院・医・泌尿器科学)
佐々木 靖,東 洋臣,岡部 和彦
(本島 合病院 泌尿器科)
巨大多発囊胞腎に発生した腎細胞癌に対し根治的腎摘出
術を行った症例を経験したので報告する. 症例は 47歳男
性,X-11年前医にて,多発囊胞腎による CRFのため HD
導入となった.X-1年 10月肉眼的血尿出現した.精査にて
尿細胞診 classⅡ,CT上右腎腫瘍を認めた.X-1年 11月精
査加療目的に当院紹介となった.当院での造影 CTにて右
腎下極に 28 mmの腫瘍を認め,RCCが疑われた.造影 CT,
PET-CTで転移を疑う所見は認めなかった.X年 4月右腎
細胞癌 cT1aN0M0に対し右根治的腎摘除術を施行し, 5.7
kgの腫瘍を含む右腎を摘出した.術後 L/Dにて膵型アミ
ラーゼの増加を認めたが,膵炎疑う所見なく経過は良好で
あり術後 15日目に退院となった.当日は巨大多発囊胞腎
に発生した腎細胞癌に対して行った根治的腎摘出術の経過
と若干の文献的 察を含めて発表する.
3.当院における抗アンドロゲン剤 替療法の検討
須藤 佑太,古谷 洋介,田中 俊之
塩野 昭彦,町田 昌巳
( 立富岡 合病院 泌尿器科)
【目 的】 前立腺癌に対する新規治療薬が 用可能とな
り,近年前立腺癌の治療体系に変化をもたらしているが,
今回フルタミドによる抗アンドロゲン剤 替療法 (AA
替療法)が 5年以上奏効している症例を経験した.従来か
ら行われている AA 替療法の有効性について検討した.
【方 法】 当院で 2014年 4月∼2015年 4月に前立腺癌に
対してフルタミドによる AA 替療法を施行した 30例に
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抄 録
2015;65:311∼315