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岡 山 醫 學 會 雜 誌

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Academic year: 2022

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(1)岡 山 醫 學 會 雜 誌 第66卷3号(第701号) 昭 和29年3月31日. 発 行. ホ ル ネル 氏 症候 群 を 呈せ る縦 隔 竇 腫瘍 の一 例 岡 山 大 学 医 学 部 平 木 内 科 教 室(主 副. 手. 岡. 野. 〔昭 和29年1月20日. 任. 平木. 卓. 潔教 授) 也. 受稿 〕. 同 年11月13日 緒. 言. に 腫 瘍 様 陰 影 あ り と云 は れ た.11月. ホル ネ ル 氏 症 候 群 とは1869年llornerに 依 り発 表 さ れ た 交 感 神 経 性 瞳 孔 縮 少,眼 没,眼. 球陥. 部 交 感 神 経 の 損 傷,炎. 症,. よ うに な り,12月13日. 喉 頭 部 に 引 懸 る様 な 感 じ が す る よ うに な つ た が 嗄 声 に は 気 付 か な か つ た.現 又 顔 面 浮 腫 も な い.上. の で あ る.従 来 縦 隔 竇 腫 瘍 の 患 者 で ホ ル ネ ル. て 来 た の で28年12月16日. 氏 症 候 群 を 呈 す る 者 の 報 告 例 が 少 く,僅 か に 中3),清 水4),富 田5). が 報 告 して い るに 過 ぎ な い.他 に 食道 癌 の 鎖 骨 窩 転 移 竈 の 圧 迫 に よ る もの と して 呉6)が 報 告 して い る.私. も最 近 典 型 的 な ホ ル ネ ル 氏 症. 現 症.体. 何 れ も正 常.皮. 意 識 明 瞭.頸. 主 訴.血. 痰.. 肉 の 発 育 良 好.. 部 淋 巴 腺 腫 脹 な く,ヴ ィル ヒ ョー 面 浮 腫 な く顔 面 神 経 麻 痺 症. 頸 静 豚 よ り顳 〓 静 脉 の 努 張 あ. り.右 眼 裂 狭 少,右. 和28年12月16日.. 温,脉 搏. に 亘 り薇 薔 様 発 疹 あ りて 指 圧 に て 退 色 せ ず.. 状 を 認 め ず.右. 入 院.昭. 吸,体. 皮 膚 梢 梢 蒼 白,黄 疽 な し.前 胸 部 よ り上 膊 部. た の で 茲 に 報 告 す.. 小 ○ 陶 ○ 郎.54才.男.. 入 院 す.. 下 脂 肪 組 織,筋. 氏 腺 触 知 せ ず.顔. 例. 在 迄 発 熱 な く,. 記 症状 が次 第 に増 悪 し. 格 栄 養 中 等 度.呼. 候 群 を 呈 せ る縦 隔 竇 腫 瘍 を 観 察 す る機 会 を 得. 症. 末頃 よ り. 頃 よ り嚥 下の 際 に 何 か. 腫 瘍 又 附 近 の 腫 瘍 の 圧 迫 麻 痺 等 に 依 り起 る も. 武 谷1),伊 藤2),山 内,尾. 隔竇. 右 肩 よ り右 上 膊 部 に 亘 る 神 経 痛 様 疼 痛 が 起 る. 裂 狭 少 を 三 主 徴 とす る頸 部 交 感 神 経 麻. 痺 症 状 で あ つ て,頸. に 胸 部 レ線 撮 影 の 結 果,縦. 眼瞳 孔 縮 少 し左 右瞳 孔 不. 同 症 を 呈 す.右. 眼 球 陥 没 し所 謂 ホ ル ネ ル 氏 症. 候 群 を 呈 す(写. 真1).. 瞳 孔 対 光 反 射 は 迅 速 に 反 応 す.舌. は 白苔 を. 蒙 り,口 腔 咽 頭 粘 膜 に 異 常 な く,扁 桃 腺 腫 大. 既 往 歴.特. 記 す べ き 事 項 な し.. せ ず. Oliver‑Cardarelli氏. 家 族 歴.従. 弟 に 食 道 癌 に て 死 亡 せ る もの の. 左 右 正 常,胸 腹 式 呼 吸,呼 吸 困 難 な し.左 第 一 肋 骨 肋 軟 骨 部 に拇 指 頭 大 の 骨 様 硬 の 化 骨 を. 他 に 特 記 事 項 な し. 現 病 歴.昭. 和28年9月. 中 旬 頃 よ り誘 因 な く. 認 む.心. 症 候 を 見 ず.胸. 廓. 臓 大 き さ 心 音 共 に 異 常 な し.肺 臓 聴. し て 喀 痰 中 に 血 液 が 混 ず る よ うに な り,咳 嗽. 打 診 に 異 常 な し.胸 部 レ線 写 真 に て 右 肺 門 上. な くし て 一 乃 至 二 時 間 毎 に 出 る.色 は 暗 赤 色. 部 よ り右 鎖 骨 下 部 に 亘 る腫 瘍 状 陰 影 あ り(写. を 呈 し,空 泡 を 有 し な い.又. 真2,3).腹. 発 熱 もな か つ た.. 部 視 診 異 常 な し.肝 臓 一 横 指 径 腫.

(2) 362. 岡. 脹,辺. 縁 鋭,軟. ず.四. 肢 腱 反 射 正 常.病. 野. に し て 圧 痛 な し.脾 臓 触 知 せ. 腫 な し.運 動,知. 的 反 射 な し.下 腿 浮. 卓. 也. (退 院 後2月2日. に 急 に 意 識 消 失 し昏 睡 状 態. を 呈 して 不 幸他 界 せ し 事 を 聞 く).. 覚 す べ て 正 常. 総 括 並 考 按. 諸. 検. 査. 所. 見. 縦 隔 竇 腫瘍 の 際に 発 現 す るホル ネル 氏 症候. 尿 ウ ロ ビ リ ノ ー ゲ ン(+)の. 他 は 異 常 な し.. 糞 便 中 寄 生 虫 卵 を 認 め ず.潜 色 素 量80%,赤 9,600個,(百. 分 率,好. ン ハ 球22%,好. 核 球4%).赤. 沈.一. 多. (一 部 の もの は 例 へ ば 瞳 孔 性 の もの は 更 に 大. 時 間 値58mm,二. 血 圧 右 側 最 高125mm最 低80mm水. い づ れ も 陰 性,又. 諸 種 の眼 筋 に終 る交感 神 経 の 走路 は 延髄 中 枢. 酸 球5%,単. 等 値46mm.血. 120mm,最. 血 球 数. 中 性 桿 状 核8%,同. 形 核61%,リ. 値68mm,中. に よ る圧 迫 の 為 頸 部 交 感 神 経 麻 痺 の 結 果 生 ず.. 血 反 応(+).血. 血 球 数404万,白. 脳 皮 質 と関 聯 す)よ 時間. 液 ワ 氏 反 応(‑). 低80mm,左. 銀 柱 .喀. 痰 塗 抹,集. 菌. に よ り第 二 ノ イ ロ ン と な つ て 星 状 神 経 叢 に 入 り之 を 通 過 し て 頸 部 交 感 神 経 節 に 終 り,こ. ゝ. よ り第 三 ノ イ ロ ン の 節 後 繊 維 と し て 瞳 孔 散 大. 反応 検. 筋 に 到 る.従 つ て 胸 腔 内 腫 瘍 に よ る 圧 迫 は 末. 原 氏 癌 反応. 梢 性 の も の で 第 二,第 三 ノ イ ロ ン の 圧 迫 に よ. (+).. り瞳 孔 縮 少 を 見 る.小 島7)は 実 験 的 に 眼 球 陥 没 は 眼 窩 中 のMuller氏 入 院 後 経 過. 増 悪 し,12月24日. よ り レ ン トゲ ン深 部 治 療 及. び ナ イ トロ ミン25mg注. 射 療 法 を 行 ひ,12月. 30日 に は 赤 沈 値 一 時 間5mm,二 中 等 値7mmと. 下 眼 瞼 の 上 昇 に 因 し,上 眼 瞼 軟 骨 筋 と下 眼 瞼 提 挙 筋 の 交 感 神 経 緊 張 脱 落 と 自律 神 経 栄 養 障 碍 に よ り起 る と 云 つ て い る.か. 時 間18mm,. 伊藤,山. 好 転 す る も 全 身倦 退 感 強 く1. よ り輸 血 を 行 ひ,レ. 筋 の 麻 痺 に よ る もの. で あ り,眼 裂 狭 小 は 上 眼 瞼 の 下 垂 の み な らず. 漸 次 顔 面 静 脉 努 張 し,食 嗜 欠 損 し,嗄 声 が. 月4日. 八 頸 髄 及 び 第 一 胸 髄 の 側 角 に あ る毛 様 脊 髄 中. 頭鏡検. 査 に て 右 側 反 廻 神 経 麻 痺 を 認 む.癌 査 で キ ュ ル テ ン 氏 反 応(‑).松. り第 一 ノ イ ロ ン と し て 第. 枢に 人 り,こ の 中 枢 を 出 る 神 経 繊 維 は 交 通 枝. 側 最 高. 癌 細 胞 を 認 め ず.喉. 群 は 腫 瘍 直 接 或 ひ は 鎖 骨 上 窩 へ 転 移 せ る腫 瘍. ン トゲ ン深 部 治 療. 内,尾. かる例 と して. 中等は 肺 臓 腫瘍 又 は その鎖 骨. 窩 転 移 竈 の 圧 迫 又 は 障 碍 に 因 す る例 を 報 告 し, 清 水,平. 田8)は 胸 腺 癌 に よ る もの を 報 告 し て. と ナ イ トロ ミン 注 射 療 法 を 併 用 す.1月12日. い る.又 天 野9)は 頸 部 交 感 神 経 ノ イ リ ノー ム. よ り右 背 部 よ り右 肩 胛 部 に 亘 り神 経 痛 様 疼 痛. に よ る例 を 報 告 して い る.私 の 見 た 一 例 は 胸. あ りて イル ガ ピ リ ン注 射 に よ り軽 快 せ り.然. 腔 内 腫 瘍 に よ る圧 迫 と思 推 され 第 二,第 三 の. し て 食 慾 良 好 とな り過 食 し た 為 か 水 様 性 下 痢. 末 梢 ノ イロ ン の 圧 迫 に よ りホ ル ネ ル 氏 症 候 群. 便 を 見 る様 に な り,次 い で 粘 血 便 排 出 を 見 る. を 呈 せ る も の と思 は れ る.. に 至 り 下 腹 痛 を 訴 へ,糞. 便 のSS培. 赤 痢 菌 培 養 に て 菌 を 認 め ず.ア せ ず.直. 地 に よる. 腸 鏡 に て 直 腸 の 肛 門 よ り上 部10cm. よ り15cmの. 部 に 小 出 血 性 潰 瘍 を 認 め,テ. ラ. 出 回 数 も減 少 し,血 液 の 色 も薄 くな る も 白 血 に 減 少 す.1月28日. 腫 を 生 ず る も 希 望 に よ り1月30日. 語. レ ン トゲ ン 写 真 で は 著 明 に 認 め ら れ な い 縦. マ イ シ ン服 用 に て 治 癒 す .此 の 間 血 痰 量 も喀. 球 数 は4,000個. 結. メ ー バ も検 出. に下 肢 浮 退 院 す.. 隔 竇 腫 瘍 で あ るが ホ ル ネ ル 氏 症 候 群 を 呈 せ る 例 を 報 告 し た. 擱筆 す るに当 り御 懇篤 な る御 指導 と御 校閲 を賜つ た恩 師平 木教授 に深 謝す..

(3) ホ ル ネ ル 氏 症 候 群 を 呈 せ る縦 隔 竇 腫 瘍 の 一 例. 1). 武谷. 福 岡 医 科 大学雑. 誌, 11卷,. 主. 要. 92頁,大. 正. 文 5). 7年. 2) 伊 藤. 17卷,. 701頁,昭. 和. 4年. 3). 山 内‑尾. 中. 実 地 医 家 と 臨 牀,. 16卷,. 10年.. 富 田:九. 本 内 科 学 会 雑 誌,. 23卷,. 6). 呉. 7). 小 島:東. 1083頁,. 昭 和14年. 4) 清 水:日. 献. 251頁,昭 日本 内 科 学 会 雑 誌,. 672頁,昭. 和. 363. 州 医 学 專 門 学 校 医 学 会 雑 誌,. 7卷,. 和17年.. 診 断 と 治 療,. 22卷,. 京 医 学 会 雑 誌,. 690頁,昭 42卷,. 和10年. 1968頁,昭. 3年. 8). 平 田. 東 西 医 学,. 2卷,. 9). 天野. 臨 牀 医 学,. 24卷,. 407頁,昭 71頁,昭. 和10年. 和11年.. 和.

(4) 364. 岡. 岡 野. 野. 卓. 論 文. 也. 附 図. 写 真1. 写 真2. 写 真3.

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