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マウス肝臓特異的Prox1不活化は肝障害と耐糖能異常を引き起こす

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Academic year: 2021

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Title Liver specific Prox1 inactivation causes hepatic injury andglucose intolerance in mice( Abstract_要旨 )

Author(s) Goto, Toshihiko

Citation Kyoto University (京都大学)

Issue Date 2017-05-23

URL https://doi.org/10.14989/doctor.k20568

Right

The right to self-archive the Accepted Version on the Contributor’s personal website, in the Contributor’s company/institutional repository or archive, in Compliant SCNs, and in not for profit subject-based repositories such as PubMed Central, subject to an embargo period of 12 months for scientific, technical and medical (STM) journals following publication of the Final Published Version; 許諾条件により本 文は2018-02-16に公開

Type Thesis or Dissertation

Textversion ETD

(2)

京都大学 博士(医学) 氏 名 後 藤 俊 彦 論文題目

Liver specific Prox1 inactivation causes hepatic injury and glucose intolerance in mice (マウス肝臓特異的Prox1 不活化は肝障害と耐糖能異常を引き起こす) (論文内容の要旨) 【背景・目的】 2 型糖尿病は末梢臓器のインスリン抵抗性を原因とし、様々な遺伝子の SNP がリスク因子となる。Prox1 もその一つで、ヒト Prox1 SNP は肥満/耐糖能異 常と相関することが示されている。Prox1 ヘテロ変異マウスも肥満を伴う2型糖 尿病フェノタイプを呈することから、これらインスリン抵抗性の主因は肥満だと 考えられる。しかしながら、肝臓は最大のインスリン標的臓器であり、肝臓にお けるProx1 機能の関与を否定できない。 Prox1 はマウス胎生期に肝芽細胞の遊走に働くことや、培養肝細胞において糖 新生酵素 (Pepck)発現量やミトコンドリア機能を制御することが示されている が、成体肝臓における働きは十分に解析されていない。本研究は、肝臓特異的 Prox1 ノックアウトマウスを作成し、成体肝臓における Prox1 の機能と耐糖能異 常への関与を明らかにすることを目的とした。 【方法・結果】

Prox1 floxed マウスを作成し、Albumin-Cre マウスと交配することで肝臓特 異的 Prox1 ノックアウトマウス(Prox1cKO マウス)を得た。Lineage tracing の 結果、Cre recombination は肝臓特異的であり、western blotting と qPCR によ り 85%の Prox1 発現量減少が確認された。 変異マウスは肥満にはならないが、生後42日の腹腔内ブドウ糖負荷テストで 血糖値とインスリン値の上昇を認め、インスリン抵抗性に起因する 2 型糖尿病フ ェノタイプを示した。血液検査では、肝障害・肝機能低下を認めた。 組織学的解析では、中心静脈周囲に空胞を含む肝細胞が出現し、肝小葉構築の 乱れが観察された。電子顕微鏡による検討では、同領域の肝細胞に多くのオート ファゴソーム、オートリソソームを認め、LC3B の免疫染色と western blotting によりオートファジーの亢進が確認された。また、同領域ではミトコンドリアの 異所性活性化が電子顕微鏡で観察され、8-OHdG 陽性肝細胞の存在から ROS 過 剰産生による DNA 障害を起こしていると考えた。 変 異 マ ウ ス肝 臓 では 、 解糖 系 酵素(Gck)の発現低下と、糖新生酵素(Pepck, G6Pase)の発現上昇が qPCR により確認された。Hep3B 細胞株を用いて siRNA に よ る Prox1 knockdown を 行 っ た と こ ろ 、 糖 負 荷 後 の Extra Cellular Acidification Rate の低下と Oxygen Consumption Rate の上昇を認め、解糖系 の抑制と酸化的リン酸化の活性化が確認された。 【結論・考察】 Prox1 は肝細胞における解糖系を賦活化し、糖新生を抑制することが明らかと なった。 変異マウスの肝細胞障害が中心静脈周囲に限られたことは注目に値する。これ は、肝小葉構造内における細胞のエネルギー代謝の違いに関連すると考える。門 脈周囲の肝細胞は酸化的リン酸化が、中心静脈周囲の肝細胞は解糖系が主たるエ ネルギー供給機構である。変異マウス肝臓では解糖系酵素の発現が低下したこと で、解糖系への依存度の高い中心静脈周囲の肝細胞がエネルギー枯渇となり、オ ートファジーの亢進やミトコンドリアの異所性活性化を引き起こしたと考えら れる。酸化的リン酸化の異常な活性化が ROS の過剰産生につながり、肝細胞障 害を引き起こしたと想定される。 Prox1cKO マウスが肥満を伴わない 2 型糖尿病フェノタイプを示したことか ら、Prox1 SNP を持つ患者や Prox1 ヘテロ変異マウスで見られるインスリン抵 抗性には、肥満だけでなくエネルギー代謝の改変に伴う肝細胞障害も寄与すると 考えられる。 (論文審査の結果の要旨) ヒト Prox1 遺伝子の一塩基多型(SNP)は肥満/耐糖能異常と相関することが知 られている。Prox1 ノックアウトマウスは肝低形成を示すが、成体肝臓における Prox1 の働きは十分に解明されていない。本学位申請者は、肝臓特異的 Prox1 ノックアウトマウス(Prox1cKO マウス)を作成し、成体肝臓における Prox1 の機 能とインスリン抵抗性への関与を明らかにすることを目的とした。 Prox1cKO マウスは肥満を伴わない 2 型糖尿病フェノタイプを示した。組織学 的には肝臓 Zone 3 (中心静脈周囲)に、オートファジーの活性化とミトコンドリ アの異所性活性化を伴う肝細胞障害を認めた。Prox1cKO マウス肝臓の解析と Hep3B 肝細胞株を用いた siRNA による Prox1 knockdown 実験により Prox1 は 肝細胞における解糖系を賦活化し、糖新生を抑制する機能を有することが明らか となった。Prox1 欠失によって解糖系酵素の発現量が低下したことで、解糖系へ の依存度の高い Zone 3 肝細胞がエネルギー枯渇となり、オートファジーの活性 化とミトコンドリアの異所性活性化、さらには ROS の過剰発現による DNA 障 害を経て肝細胞障害を引き起こしたと考えられる。 以上の研究は、肝臓のエネルギー制御とインスリン抵抗性制御における Prox1 の機能を明らかにしており、2 型糖尿病の病態理解に寄与するところが多い。 したがって、本論文は博士(医学)の学位論文として価値のあるものと認める。 なお、本学位授与申請者は、平成29 年 4 月 24 日実施の論文内容とそれに関連した試問 を受け、合格とみとめられたものである。

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