Carcinological Society 011.α'Pan
タカアシガニを飼育展示していたニつの E X P O
水族館
T w
oE X P O
a q u a r i u m s w h e r e the giant spider c r a b,
Macrockeira kaem
p.
作
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w a s rearing a n d displaying安原健允
l T a k e n o b u Yasuhara . は じ め に 韓国 ・麗水で昨年 (2012 年) 聞かれた海の万博会 場の中心的な施設,水族館でもタカアシガニが会期 タカアシガニは,全節足動物中世界最大の甲殻類 中飼育展示されていたので,それらの水族館におけ でわが国の主として宮城県沖から九州西岸沖合まで る飼育展示の状況について報告する . の太平洋岸に分布する( 酒井, 1976). 分布につい ては,近年,台湾東方沖 (Huang et al., 1990) や隠 岐島沖合から漁獲されて報告( 武田ら, 2012) され たことから分布域が広がった. しかし,漁業( 安原 ら, 1985) として行われていることや漁獲量などか ら,わが国 の特産物として評価することができょっ.
タカアシガニが世界最大の甲殻類であることや, 分布がわが国の周辺海域に限られていることなどか ら,わが国のみならず世界の博物館における重要な 展示生物となっている. 最近では,戸田村( 現沼津 市) か ら寄贈された雌雄のタカアシガ ニの標本が, 元熊本大学教授山口隆男博士のお骨折りによりオラ ンダ ・ライデンにできたシーボルト博物館にも展示 されている . また,諸外国の水族館でもタカアシカーニが飼育展 示されているので,その状況について,筆者は本誌 で報告してきた( 安原, 2000,2007,2008). 今回,新たにポル トガル のリスボンで 1998 年に 聞かれた国際博覧会の水族館で,筆者が訪れた 2011年 当時タカアシガニが飼育展示されており, 1 日本大学名誉教授 干411-0838 静岡県三島市中田町 11-2811-28 N紘ata-machi,Mishima, Shizuoka 411-0838, Japan
E-mail: [email protected] 1. Oceanario de Lisboa ( 通称ヴァスコダガマ水 族館) ポルトガル ・リ スボンで「海,未来への遺産」を テーマに 1998 年 5月22日から 9月30日までの 132 日 間聞かれ,入場者は会期中 1000 万人,日本をはじ め155 ヶ国・機闘が参加した. この国際博覧会は, ヴァスコ ダヵーマのインド航路発見 500 周年を記念 して開催された. ポルトガルの首都リスボンは大西 洋に流れるテージョ川( R l
O
TEJO) の河口にあり, 万博会場はリスボン市の東地区の川岸を一部掘削 し,また広く整地し地下鉄を開通させて各国のバビ リオンやシンボル会場などが建設された. 万博終了 せ,その中に Oceanario de Lisboa,通称ヴァスコダ ガマ水族館( 以後この通称名を用いる) と呼ばれて いる水族館( 図2) がある . 筆者は,2011 年 11月27日,観光で訪れたリスボ ンでヴァスコ ダガマ水族館を訪れる機会を得た. 水族館は,地下鉄東線の東釈で下車,駅舎からスー ノfーマーケットを通ってヴァスコ ダ ガ マ 中 央 口 (Centro Vasco da Gama) を出ると,右側の湾の中に 建てられている( 図 2). 入口は陸域の本館にある が,橋を渡って水族館に入る. 水族館には 500種類 8000個体の動物と植物が展示されている . 訪れた図1 . リスボン ・万博会場の一部. 図2. 通称 ・パスコダカ、マ水族館. 図3. タカアシガニ水槽の展示解説文. 時には各種のウミガメが飼育展示されており,橋の 天井には段ボールで作られたクラフトのウミガメが 館の案内役もしていた. 飼育展示されていたタカアシガニは,甲幅おおよ そ20 c m の雌 l個体( 図 4) であった. 展示水槽の
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図4. 水槽中のタカアシガニ. 図5. タカアシガニの乾燥標本I
res crustaceos conhecidos.
Imagine
,u m caranguejo c o m 3.6
de enver adura e 1 8 kg d e peso!
As q
Ulmeras
,q u e d e a m u
a m
図6. タカアシガニの展示解説文. 上 に は 解 説 文 ( 図6) があり,大きさは 3.6m
,重 さが18 kgにもなると書かれていた . また,水族館 には,資料展示室が3 階にあり,そこの展示標本に も水槽中で飼育展示されていた個体よりやや小さな 雌のタカアシガニの甲殻が展示されていた( 図5).図7. 韓国 ・麗水万博会場一部.
この標本のラベルにはGiant Spider crab moltと書い てあったので,脱皮時期は不明であったが, この水 族館で脱皮したタカアシガニの脱皮殻であることが 推損lドされる. 筆者は先に,タカアシガニを生かしたまま輸 出 し,諸外国の水族館で飼育展示されていることに加 えて,伊豆の業者が事業としてわが国特産の水産生 物を輸出していることを述べた( 安原, 2008). ヴァスコダガマ水族館のタカアシガ‘ニも,日本か ら輸出された個体であることも予想される.
2. H a n w h a A qua Planet Yeosu
E X PO 2012 Yeosu Korea麗水世界博覧会が,韓国 の南部,太平洋 ・対馬海峡側に面する麗水新港を中 心に行われた. メインテーマは「生きている海,息 づく沿岸」として,サブテー マは「沿岸開発と保 全,新しい資源開発技術,創造的な海洋活動」で あった. 会期は 2012 年 5月12日から 8月12日まで の93日間,日本をはじめ 105 カ国, 10 の国際機関 が参加したが,入場者数を 800 万人とした初期の予 想を下回ったと言われている. 万 博 会 場 の 西 域 に 海 洋 生 物 館 ・Hanwha Aqua Planet Yeosu水族館 ・アクアリウム( 図 8) がある. この展示館は,第一展示館「驚くべき干潟生態系
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, 第 2 展示館「不思議な海の生態系」に分かれ, タカ アシガニ( 図 10) は第 2 展示館に生体展示されてい fこ. 筆者は,万博期間の後半 2012 年 7月26・27 日に 訪れたが,夏休みに入ったころで,学生や小中学校 の生徒のグループ,子供会や老人会のグループな図8. Hanwha Aqua Planet Yeosu
図9. タカアシガニ水槽の展示解説文. 図10. 水槽中のタカアシガニ. ど,各種の団体客や家族づれで超満員,水族館の入 館には 3 時間待ちでやっと入ることができた. 当 初,入場者が少なく,入場料の値引きや,各種の団 体 な ど へ の 呼 び か け が 行 わ れ た . 入 場 料 大 人
33,000 W ( 当時・日本円約2,900円) であったが, 話によると半額程度に割引するなど関係者の努力が 実って無事閉幕した. 会場は,ソウルから新幹線 ( K T X ) で約4 時間, 終点の麗水駅に着くと目の前がE X P O 2012 Yeosu Korea麗水世界博覧会の会場( 図7) である. 飼育展示されていたタカアシガニは3 個体で,お およそ甲幅25 c m雄 l個体と甲幅2 0 c mほどの雄2個 体であった. いずれの個体も活発に動いていた. 展示水槽の横には図9のような説明文が付いてお り,説明文は "100年生きる,一回の脱皮で1 .5倍 になり,一生に20回脱皮する" というもので,説 明文の内容が,どのような資料から得たものかは不 明であった. 筆者らは, 1990年にタカアシガニの抱卵メスの 腹肢から採卵し,幼生から新生稚ガニまでの飼育に 成功し本学会誌に発表した (Yasuhara et a,.l 1990) が,新生稚ヵーニは10 ヶ月半 (322日) 飼育し, この 間に9回脱皮し9令になった. したがってこの時期 では 1 ヶ月に一度脱皮し,成長するにつれて脱皮回 数は少なくなる( 安原ら, 1985). 説明文の稚ガニ の絵は,脱皮に関するものであろうと思われるが, このことについても示されていないのが残念であっ た. 圃 お わ り に 世界博覧会,第一回の万博は1798年パリで聞か れた. 水族館は,博覧会における集客施設にもな り,わが国でも各種の博覧会の特設会場としてス ター卜した水族館は少なくない( 鈴木 ・西, 2005). 博覧会と水族館は,歴史的にも共存して発展してき たと言っても過言ではない. 水族館の目玉になる水族は,時にサメ類であった り,奇魚であったり,アマゾンに生息する巨大魚で あったりしているが,会場が広くなり,水族館も大 きくなると,目玉になる複数の種類が必要になり, 開催地やその周辺に生息する種類以外に他の地域の 特産種が求められるようになる . タカアシカ。ニは日本の特産種であると 言 うばかり でなく,全節足動物中最大の甲殻類であることや, 雄では鉛脚が長く,左右に広げた時の長さ (span) が大きな個体では4 mにもなるものも報告されてお り( ギネス記録5.79 m,安原ら, 1985),駿河湾で は現在でも3 m程度の個体が漁獲されていることか ら,当然水族館の飼育展示生物として注目され,多 くの水族館で展示されている. 近年,大型の冷水性生物の飼育設備が高度化し, さらに,諸外国への移送施設も改良されたことか ら,今後ますますタカアシガニの需要が多くなるこ とが予想される. しかし,タカアシガニを漁獲して いる漁業者は多くなく, しかも乱獲気味であること から,資源保護の問題も生じてこよう . さらに食用 水産物としてのタカアシガニの需要も多く,次第に 高価になってきていることから,再生産技術( 養 殖) の更なる開発が求められる.
園 支
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証
Huang, J.-F., Y u, H .-P.,
&
Takeda, M., 1990. Occurence of the giant spider crab, Macrocheira kaem,前 ri (Tem-minck, 1836) (Crustacea: Decapoda: M勾idae) in Tai-wan. Bulletin of the Institute of Zoology, Academia Si-nica, 29: 207-212.酒 井 恒 , 1976. Macrocheira kaempferi (Temminck,
1836) タカアシガニ 日本産蟹類. 講談社,東京. p.105 鈴木克己 ・西 源二郎, 2005. 水族館学. 東海大学出 版会,神奈川, 517 pp. 武田正倫・古田晋平 ・宮永貴幸・田村昭夫・和田年 史, 2010. 日本海南西部鳥取県沿岸およびその周 辺に生息するカニ類. 鳥取県立博物館研究報告, 48: 42-43. 安原健允, 2000. 博物館のタカアシガニ 外国の博物 館 ・展示5例. Cancer, 9. 45-49. 安原健允, 2007. タカアシガニを飼育展示していた外 国の7つの水族館. Cancer, 16,43-49. 安原健允, 2008. タカアシガニを飼育展示していた外 国の2つの水族館. Cancer, 17: 23-28
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昭 ・F. I. Kamemoto, 1985,駿河湾産 タカアシガニ について 日本大学三島学園生活科学研究所報 告,8: 45-80.