理学 療 法 学 第29巻 第6号 230
〜
236頁 (2002年 )報
告
人
工
呼
吸 器 装 着 中
の
呼
吸 理 学
療 法
に
関 す
る
全 国調 査
*高 橋 哲
也
1)石
川
嶋 先
晃
5)朗
2)神 津
玲
3)桜
田
弘
治
4)千 住 秀 明
6)眞
渕
敏
7) 要旨
理 学 療 法 士 が どの 程 度
,
ま たど の よう
に人
工呼 吸 管
理に関 与
してい る か を 明 ら か にす
る た め に,
全 国
470
施 設
を対 象
に,
人 工呼
吸 器装 着 中
の呼 吸 理 学 療 法
(
Chest
Physiotherapy
for
patients
with mechani−
cal ventilation ;
CPT
−
MV )
に 関 す るア ンケー
ト調 査 を 行
い,
272
施 設
か ら回 答
を得
た(
回 収率
57
.
9
%)
。
そ のう ち
,
CPT
−
MV
を行
っ てい る と 答 え た 施 設 は176
施
設(
647
%)
であ
っ た。CPT
−
MV
を行 う
際に最 も よく用
い る手 技
とし
ては呼 吸 介 助 法
,
ス ク イー
ズ
ィ ング, 四肢
の関節 可 動 域 練 習
・
筋 力 増 強 練 習
の順
に多
か っ た。
過去
1
年
間でCPT
・
MV
中
に 人 工呼
吸 器 関 連の トラ ブル があ
っ たと答 え
た施 設
は104
施 設 (
59
,
1
%)
で,
その内
訳 は, フ ァ イ テ ィ ン グ,
気
道へ の結
露 流 入,
気 道 内 圧 上 昇の順 に多
かっ た。
また,
人
工呼 吸 器
関
連 以外
の ト ラ ブルで は,
筋
・
肋 骨
・
脊 椎
の疼 痛 や 不 快 感
,
不 整 脈
,
呼
吸困 難
,
急 激
な 血 圧変 動
,低 酸 素
血症
の 順に多
かっ た。
そ れ ら トラ ブル発 生 時
に は看 護 師
や医 師
へ の報 告
は高
率
で行
な わ れ てい た一
方
で,
事 故 報 告 書
を作
成 してい る 施 設は わず
かであ
っ た。272
施 設 中
,
CPT
−
MV
を 行っ て い ない と 答 え た 施 設 は35.
3
%あ り
,
今 後
CPT −
MV
の普 及のた め に は 医学 的 効 果
の証 明
と,
啓 発
,
理 学 療 法
士自 身
の知 識
と技
術の向
上の必 要 性
が挙 げ
ら れ た。
キ
ー
ワー
ド人
工呼 吸
,
呼 吸
理学 療 法
,
全 国 調査
は じ め に救
命
・
集 中 治 療 に お け る 呼 吸 理 学療
法の 目 的は,
肺
の換 気
と ガス交 換
の改 善
,
気
道内
分 泌物
の 除去 と酸 素
化
の改 善
,
肺 合 併
症の予 防
治療
,
人 工
呼 吸 器
か らの離 脱
,早 期 離 床
の促
進,
ICU
入 室 期 間 や 入 院 期 間 の短 縮
,
医 療 費 軽 減
,
とい わ れて い る1)。
我
々理学 療 法
士 は これ らの 目的 す
べ て を達 成 す
るた めに,
人 工呼
吸 器*
National Survey of Cardioputmonary Physiethcrapy fQr Patients
with Mechanical Venti]ation
l )群馬 県立 心 臓 血 管 セ ンタ
ー
心 臓リハ ビ リ テー
シ ョン室(〒371
−
OOO4 群馬 県 前 橋 市 亀 泉町 甲3の12)Tetsuya Takahashi RPT
,
MSc:Gunma Prefectural CardiovascularCenにer
2) 札 幌 医 科 大 学 保 健 医療 学 部 理学 療 法学 科
Akira Ishikawa
,
RPT,
PhD:Sapporo Medical University3) 聖 隷 … 方 原 病 院 リハ ビリテ
ー
ショ ン科・
呼吸 器 セ ン ター
内科Ryo Kozu
.
RPT :Seirei
Mikatabara General Hospital4)埼玉 医科大学附 属 病 院 リ
ハ
ビ リ テー
ショ ン 部Koji Sakurada
、
RPT ;Saitama Medical School Hospital5)和歌 山県立医科大学 附 属 病 院 リハ ビリテ
ー
ショ ン科Akira Shimasaki
.
RPT :Wakayama Medicat University Hospita且6)長崎大学 医学部保健 学 科 理 学 療 法 学 専 攻
Hideaki Senjyu
.
RPT.
PhD:Nagasaki University7)兵 庫 医 科 大 学 病 院 リハ ビ リ テ
ー
ショ ン部
Satoshi
Mabuchi,
RPT :Hyogo College of Medicine Hespital(受 付 日 2002 年 1 月 8日 /受理日 2002年8月10日〉
装 着 中
の患 者
に対
し て も呼
吸 理 学療 法 を行
っ て おり
,
そ の効 果 も散 見
さ れ る2)。
わが
国
にお ける人 工呼
吸管
理 に対 す
るコメ ディ カ ルス タ ッフ の介 入
は,
看 護 師
が高 率
かつ広範 囲
に わ たっ て行
っ てい る のが現 状
であ
る3)。 し か し,
我
々理学
療
法 士
が ど の程 度
,
ま
た どの よう
に人 工呼
吸 管 理に関与
してい る か は十 分 把 握
さ れていな
い 。人
工呼 吸 器 装 着 中
の患者
に対 す
る呼 吸 理 学 療 法
(
Chest
Physiotherapy
for
patientswith mechanical ventilation ;
CPT
−
MV
)
は,
患者
の身 体
に
少
な か らず
侵襲
を 与え
る方 法
であ
る た め 4},
事 故
やニ ア ミ ス発
生の誘 因 と な る 可能 性
は否 定
できな
い 。し
か し,
理 学 療 法
士 が行 う
CPT −MV
に お け る 医療 行 為
(
技 術 )
が,
ど れ ほ どの割 合
で各 種 問
題 を 引 き起
こ してい る か に つ いても 明
ら か に さ れ てい ない。
そこ で
今
回,
理 学 療 法
士 が どの程 度,
ま た どの よ う に人
工呼 吸 管 理
に関与 し
て い る か を明
ら か にす
る た め に,
ま た,
CPT −
MV
中に ど れ ほ どの割 合
で各 種 問
題 が 起 き てい るの かを 明
らか にす
るた めに,
CPT
−
MV
の実
施 状 況 と そ の詳
細,CPT −MV
に よっ て引 き起
こさ
れ た各 種
問
題,
さ ら に 今 後のCPT −
MV
の普
及 に 関 して の意 見
な どを 全 国 調 査
し たので報 告 す
る。
人 工
呼
吸 器 装 盾中の 呼 吸 理学 療 法に関 する全 国 調 査231
方
法
本 調 査
は「
人
工呼 吸 器 装 着
中の呼
吸 理学 療 法
に関 す
る 全 国 調 査」
と 称 し,
全 国の理 学 療 法 士(
PT
)
の ボ ラ ン テ ィ ア24
名
が共 同 研 究 者
とな
っ て行 な
われ た
。調 査 施
設
は各 都 道 府 県
で病 床 数
の多
い順
に10
施 設
と し,
全 国 で合計
470
施 設
のPT
が所 属 す
る部
(
課,科
, 室 な ど)
の責 任 者 宛
て にCPT −MV
に 関す
る アンケー
ト を 送付
し た。
調 査
す る 対象
日 は2001
年
1
月1
日現 在
と し,
調 査
項
目は,施
設の形 態
, 病 床 数,
理学 療 法
士の人 数
,
施 設
基 準
,CPT −MV
を行
っ てい る か(
行
っ ていな
い場 合
は,
その 理 由 ),CPT −
MV
を行
っ て い る職 種
,対
象
疾 患
,
1
ヵ 月平 均 対 象 者 数
,
1
回
のCPT −
MV
時
間,CPT −MV
の 目 的,
内容
,
最 も 良 く用
い るCPT −MV ,
最 も効
果 的 と考
えるCPT
−
MV
,
CPT −
MV
を 行
う
際 に最 も 注 意
を払 う
こ と,CPT −MV
で人
工呼
吸 器 に関 連 す
る問 題
,
過 去
1
年 間
でCPT −
MV
中
に起
き た 問 題,
CPT
−
MV
中
に問
題が発 生
した場 合の対
処法
,
CPT
−
MV
に対 す
る診 療 報
酬請
求
,診 療 報
酬 と実 際
のCPT −
MV
は労 力
に見 合
っ てい ると 考 え
る か,
CPT
−
MV
を行 う
上 で の他
職種
との 連 携,
理学 療 法
士 に よる休
日・
夜 間
のCPT −MV
の有 無,
CPT −
MV
の普 及
に は何 が 必 要
と考 え
る か,
と
し た。
ア ンケ
ー
トの送 付
は,
北 海 道 東 北 ブロ ッ ク,
関東 甲信
越
ブロ ッ ク,
東 海 中 部
北 陸 ブロ ック,
近 畿
ブロ ッ ク,
中
国 四 国
ブロ ック,
九 州 沖 縄
ブロ ック に分 け
て行
っ た。
ア ンケー
トの回 答 は,
無 記名
で,
お よ そ2
週 間
の 回答 期
間を 設 定
し, ア ン ケー
ト 回答 用 紙
に答 え を記 入
し,
ブロ ッ ク担 当 者
に返 送 しても
らう
ことで回答
と し た。
表1 病 床 数,
理 学 療 法 士 数 施 設 基 準,
人 工 呼 吸 器 装 着の呼 吸 理 学 療 法の有 無 病 床 数病 床 数
593
.
7±253,
2
(
184
−
1514
)床
ICU 病 床 数
15
.
4±17
.
0
(0
−
98
) 床 理 学 療 法 士の人 数 常 勤5
.
7
±3
.
8
(O
−
24
) 人非 常 勤
0
.
2
±0
,
8
(
0
−
U) 人呼 吸療 法 士
0
.
6
±1
.
1
(0
−
7) 人 施設基
準 無 回 答6
無 回 答37
無 回答38
無 回 答16
結
果
総 合リハ ビ リ 承 認 施設
63 (23
.
2%)理 学 療 法 施 設基準
n
200 (73
.
5
%)
理 学 療 法 施設基 準皿
4
(1
.
5
%)無回答
5
(1
.
8
%) 人工呼吸 中患者 呼 吸 理学 療 法 施 行の有 無し てい る
176施 設 (
64
.
7
%)
し てい ない
96
施 設(
35
.
3
%)
表2 対象疾 患 (複数 回答 ) 対 象 件数 (%) 呼吸 器疾 患 脳 疾 患 (含 脳血管 障 害 ) 脊 髄 疾 患 循 環 器 疾 患 末 梢 神 経・
筋 疾 患 消 化 器 疾 患 骨・
関 節 疾 患 その他 146 (83.
0) 106 (60.
2) 101 (57
.
4) 82 (46.
6
) 82 (46,
6
) 42 (23
.
9
)26
(14
.
8
) 21 (11
.
9
)全
470
施 設
中,
272
施 設 か ら 回 答 が あ り,
回収 率
は57
,
9
%であ
っ た。
調査
し た病 院 施 設
の平 均 病 床 数
は593
,
7
(
184−1514
) 床
,
平均 集 中 治 療 用
ベ ッド数
は ユ5
.
4
(
0−98
) 床,
平 均 理 学療 法
士 数 は常 勤
5
.
7
(
0−
24
)
人,非
常 勤
0.
2
(
0−
ll
) 人
,
3
学 会 合 同 呼 吸 療 法 認 定 士
0.
6
(
O−
7)
人
。施
設 基準
は 総合
リハ ビ リテー
シ ョ ン承
認施
設63
施 設 (23
,
2
%)
,
理学 療 法 施 設 基
準H200
施設
(
73
.
5
%)
であ
っ た(
表
1
)
。1
.
CPT
−
MV
実施
の 有 無 と実 施 者
CPT −MV
を 行 っ てい る施 設
は272
施 設 中
176
施 設
(
64.
7
% 〉
で あっ た(
表
1
)
。各 医 療
ス タ ッ フがCPT −MV
を実
際 に行
っ て い る割 合
は,
医 師
24.
4
% ,看
護 師
77.
3
%, 理学 療 法 士
97.
7
%
,
臨 床
工 学技
士4
.
5
%であ
った
。
2.CPT −
MV
の対 象 疾 患
と 目 的 お よ び実 施
してい る手 技
CPT
−
MV
の対象
疾 患 は 呼 吸 器疾 患
が最 も
多
く
,次
い ※ 但 し,
%は176
施 設が 回答し た割 合を示 す.
【その他 】 多 発 外傷、
新 生 児(
超未
熟 児を含む),
皮 膚 疾 患.
表3
呼吸 理 学 療 法の目 的 (複 数 回答 可 ) 目 的 件 数 (%
〉
痰
の移 動 胸 郭の可 動 域 改 善 ウ イニ ング 無 気 肺の改 善 呼 吸 法 獲 得 酸 素 化の改 善 呼 吸困難 感の改 善 呼吸筋の 再教 育 その他 無 回答154
(
87
.
5
)132
(75.
O
)121
(
68
.
8
)
114 (64.
8) 105 (59.
7) 101 (57,
4) 70 (39.
8
) 67 (38
.
1
) 20 (11.
4) 1 (0
.
6
) ※ 但 し,
%は176施 設が 回答
し た割合
を示 す,
で脳 疾 患
,脊
髄疾 患
,循
環 器疾 患
, 末梢 神 経
・
筋 疾 患
,
消 化 器 疾 患
,
骨 関 節 疾 思 の順に多
かっ た(
表
2
)
。CPT −
MV
の 目 的 は 痰の 移 動 が 最 も多
く,
次い で胸 郭 可 動 域 改
善
, ウ イニ ング,
無 気 肺
の改 善
,
酸 素 化
の改 善
と続
い た(
表
3)
。
ま た,
CPT
−
MV
の治 療 時 間
は30
分未
満 が 全 体 の79
.
0
% を占
め,
逆
に60
分
以 上行
っ てい ると
答
え た施
設
は わず か
1.
1
% であ
っ た(
表
4
)
。CPT −
MV
の 内 容で 多 かっ た の は,
四 肢の 関 節 可動
域練 習
・
筋 力 増
強練 習
,
呼
吸介 助 法
, ポ ジ ショ ニ ン グ,
ス クイ
ー
ズィ ン グ,
体
位 ドレナー
ジ,
端
座 位・
起
立な
どの 離 床 練 習,
肋 骨のモ ビリゼー
シ ョ ン,
リラ ク ゼー
シ ョ ン, 肋間
筋
の ス トレ ッ チ と続
い た(
表
5
)
。吸 引
や加
圧行 為
232
理 学療 法 学 第29
巻 第6
号表
4 上回の呼吸 理 学 療法 時間 治 療 時間 件 数 (% )0
〜
15
分
ユ6
〜
30
分
31
〜
45分 46〜
60分 1時 間 以上 無回答 ) )>
6
」
48 ) ) )a
肌 鳳 UU 如 ( ((
( ( (816227
302
1
合 計176
(100.
0
) 表5 呼吸 理学 療 法の内容 (複 数回答
可)
を 行っ てい る と答 え
た施 設
は,
吸 引
が53
/176
(
30
.
1
%)
施 設
,
加
圧行 為
が25
/176
(
14
.
2
%
)
施 設
であ
っ た。ま
た,
最 も
よく用
い る手
技 を
5
つ選
ぶ という質 問
で最
も
多
か っ た の は呼 吸 介 助 法
(
64
.
2
% ),
ス ク イー
ズィ ン グ(
55
.
1
%)
,
四肢
の関 節 可 動 域 練 習
・
筋
力 増 強 練 習(
48
.
9
%)
,
体 位 ドレナー
ジ(
47
.
2
% )
,
ポ ジシ ョ ニ ン グ(
45
.
5
%)
の 順 に多
かっ た(
表
6
>
。 さ ら に最
も効
果 的 と考 え
る手 技
は呼 吸
介助
法(
63
ユ %)
,
ス クイ
ー
ズ イ ング(
54,
0
% )
,
体 位
ドレナー
ジ(
50
.
0
%)
,
ポ ジ シ ョ ニ ン グ(
38.
1
%)
,
離 床 練 習
(
37
,
5
%)
であっ た(
表
6
)
。
内 容 件 数(
%)
四肢の関節 可動域練 習,
筋 力 増 強 呼 吸 介 助 法 ポ ジ ショ ニ ング ス クイー
ズ ィ ング 体 位 ドレナー
ジ 離 床 練 習 肋 骨のモ ビ リゼー
シ ョ ン リ ラ ク ゼー
ショ ン 肋 間 筋 のス トレッチ ウ イニ ン グ スプ リ ン ギ ン グ 呼 吸 筋 トレー
ニ ング 体 幹の ロー
テー
ショ ン バイ ブレー
ショ ン パー
カッ ショ ン,
ク ラッ ピング マ ッサー
ジ 横隔膜の フ ァ シ リ テー
ショ ン シェ イ キング ポ ス ト リ フト シル ベ ス ター
法 その他 無 回答156
(
88
.
6
)
149 (84
.
7) 132(75
.
0
)
130 (73.
9) 127(
72
.
2)
121 (68
.
8
) 101 (57.
4)101
(57
.
4
)9
ユ (51
.
7
>85
(48,
3
)74
(
42
.
0
)
73(
41.
5)
71(
40.
3)
64 (36.
4) 50 (28,
4)49
(27
,
8
)47
(26
.
7
)46
(26
ユ)46
(26.
1)45
(
25
.
6
)88
(50.
0
> 1 (0
.
6
) ※但 し,
%は176施 設に対 する割 合 を示す.
【
その他】
誤 嚥 防 止のた めの嚥 下練
習.
各 手 技の 用 語の定 義は参 考 文 献5,
6を参照.
3
.
CPT −MV
に お け る問 題
とそ
の発
生率
CPT −MV
を行
っ てい ると
回答 し
た176
施 設
の中
で ,過 去
1
年 間
でCPT
−
MV
中 に生
じた 人
工呼 吸 器 関 連
の 問 題 があ
っ た と答 え
た施 設
は104
施 設
(
59
,
1
% )
であ
っ た。
人
工呼 吸 器 関 連
の問 題
の内 訳
は, フ ァイ ティ ング61
施
設(
34.
7
%)
,
結 露
の気
道へ の 流 入40
施 設
(
22.
7
% )
,
気
道内
圧 上昇
31
施 設
(
17
,
6
% )
,
換 気
量低
下27
施 設(
15
.
3
%)
,
回路
の問 題
23
施 設
(
13
,
1
%)
,
機 械
の 誤作
動
・
故 障19
施 設(
10.
8
%)
,
その他
6
施 設 (
3
.
4
%)
,
無
回 答
2
施 設
(
1
.
1
%)
で あっ た(
表
7
)
。一
方
,
人 工呼
吸 器 関連
以外
の問 題
は,
79
施 設
(
44
.
9
%)
が「
な かっ た 」 と 答 え た が,
「
問 題があ
っ た」
と 答 え
た内 訳
は,
疼 痛
や不 快
感21.
O
° /・, 不整 脈
15.
9
%
,
呼
吸 困難
15
.
9
%
,
血 圧 上昇
ま た は低
下12
.
5
%
,
低 酸 素
血症
11,
4
%の順
に多
かっ た(
表
8
)
。
ま た, 窒息 (
2
.
3
%〉
や 心停 止
(
0.
6
% )
,
意 識 障 害
(
0
.
6
%)
な ど 重篤
な合 併
症 も散 見 さ れ た。
これら問題 発
生時
,
どの よう
に 対処
し 表6最 も 良 く用いる 呼 吸 理 学療 法 と最 も効 果 的と考え る呼吸 理 学 療 法 内 容 最 も良 く用 い る呼 吸理学 療 法 合 計 件 数 (%) 内 容 最も効 果的 と
考
える呼 吸 理 学 療 法 合 計 件 数 (%) 呼 吸 介助法 スク イー
ズィ ン グ 四肢の 関 節 可 動 域 練 習,
筋 力 増 強 体 位ドレナー
ジ ポジ シ ョニ ング 離 床 練 習 リ ラ ク ゼー
シ ョ ン 肋 骨 のモ ビ リ ゼー
ショ ン ス プ リンギング 肋 間筋の ス トレッチ 呼 吸 筋 ト レー
ニ ング バ イ ブ レー
ショ ン 体 幹のロー
テー
ショ ン 横 隔 膜の フ ァシリ テー
ショ ン ウイニ ング シェ イ キング マ ッサー
ン パー
カ ッ ショ ン,
ク ラッ ピング シ ルベス ター
法 ポス トリフ ト その他 無 回 答ll3
(64
.
2)97
(55
.
1)86
(48
.
9
>83
(47
.
2
)80
(45
.
5
) 55 (31
.
3
) 39(
22
.
2
)
36(
20.
5) 28 (15.
9) 28 (15.
9
)25
(14
.
2
)
23
(13
.
1)
18
(10.
2)
18
(10,
2)16
(9
.
1) 14 (8
.
0
) 14 (8
.
0
) 13 (7
.
4) 13(
7
,
4) 10(
5
.
7
) 29 (16
.
5
) 43(
24
.
4
) 呼 吸 介 助 法 ス ク イー
ズイ ング 体 位ドレナー
ジ ポ ジ ショ ニ ング 離 床 練 習 四肢の関 節 可 動 域 練 習,
筋 力 増 強 リ ラ クゼー
シ ョ ン 肋 骨の モ ビ リ ゼー
ショ ン 呼 吸 筋トレー
ニ ング ス プ リンギング 肋 間 筋の ス トレッチ バ イブレー
ショ ン 横 隔 膜の ファ シ リテー
ショ ン シェ イ キング ウ イニ ング パー
カ ッ ショ ン,
ク ラッ ピング体 幹
の ロー
テー
ショ ン シルベ ス ター
法 ポス ト リフ ト マ ッサー
ジ その他 無回答 ユ11(
63、
1) 95 (54.
0
) 88 (50.
0
)67
(
38
ユ)
66
(37.
5) 65 (36.
9) 44 (25.
0> 34 (19.
3)32
(18
.
2
)28
(15
.
9
)28
(15
.
9
>21
(11
.
9
)20
(
11
.
4
)
14 (8
,
0
) ユ4
(8
.
0
) 12 (6
.
8
)12
(
68
)
U(
6.
3>
ユ0 (5.
7) 9 (5.
1) 27 (15.
3
)72
(409) ※但 し、
%は176施 設に対 する割 合 を示 す.
人工呼 吸 器 装 着 中の呼 吸 理 学 療 法に関 する全 国
調
査 233表
7
過 去1年 間の人 工 呼 吸 器 関 連の問 題 (複 数回答可) 表
9
ト ラ ブル発 生 時の対 処 法
(
複 数回答
可)
内容 件 数 (% )対
処法
件
数 (% ) な し 頻 回の フ ァイテ ィング 結 露の気 道へ の流 入 気 道 内圧 の著しい上昇
換 気量の著しい 低下 回路の トラブル 機 械自体の誤 作動・
故 障 その他 無回答70
(39
.
8
>61
(34
.
7
>40
(
22
、
7
>
31
(
17
.
6
)
27
(15
、
3
)
23 (13.
1) 19 (10.
8)6
(3
.
4
) 2 (1ユ) ※但 し,
% は176
施 設に対 する割 合 を示 す 【その他 】 痰が吹 き 出る,
停 電に よ り停 止、
SaO2
低下,
胸 郭 変形.
看護 婦 に報告 医 師 に 報 告 理学 療 法士 カルテ に記 載 上司 (所 属 長 )に報 告 ヒヤ リハ ッ と報 告 書 作 成 事 故 防 止 対 策 委 員 会に報 告 事 故 報 告 書 作 成 特 に 何 も しない (経 過 観 察 〉 家 族に報 告 その他 無回答
132 (75.
O
) 131 (74,
4>92
(52
.
3
)61
(34
.
7
>54
(30
.
7
)33
(ユ8
.
8
)32
(
18
ユ)
10
(
5.
7)
10 (5.
7)7
(4.
0) 14 (8
.
0
) 表8
過 去1
年 間の人工呼 吸 器 関連 以 外の トラブル(複 数回答 可 ) ※但し,
% は176施設に対 する割 合を示 す,
【
その他】
医 師 カル テ に記 載、
当 院 独 自の事 故マ ニ ュ ア ルに 従 う.
ト ラ ブル件
数(
%)
表 10 呼 吸理学 療 法の診 療 報 酬 請 求とその労 力 感 な し 筋,
肋 骨,
脊 椎の疼痛 や 不 快 感 不整脈
呼
吸困 難急 激
な 血 圧低
下 また は 上昇 低 酸 素血 症 無 呼 吸 頭 蓋 内 圧の上 昇 嘔 吐 筋や骨の損 傷 気 管 支レ ン縮 窒息 誤 嚥 意識障 害 心 停 止肺
出血 その他 無 回 答 79 (44.
9
) 37 (21
.
0)28
〔15.
9
) 28 (15.
9) 22 (12,
5
) 20 (ll.
4) 12 (6
.
8
)5
(2
.
8
)5
(2
.
8
)4
(2
.
3
)4
(
2
.
3
)
4
(
2
.
3
)
3(
1.
7)
1 (0.
6) 1 (0、
6)0
(α0
) 4 (2.
3
)5
(2.
8
) 件 数 (% ) 診 療 報 酬 してい ない 簡 単 複雑 そ の他無回答 診 療 報 酬に
労 力
は見合っ て いる か ? 見合 っ て いる ほ ぼ見合 っ て い る 少 し少 ない かな り少 ない 無 回 答4
(2
.
3
)
143(
81
,
3
)
19 (10.
8) 7 (4.
0
) 3 (1.
7) 9 (5.
1) 29 (16.
5)54
(30
.
7
)79
(449
)5
(2
.
8
) ※但 し,
%は176施 設に対 す る割 合 を示 す.
【その他 】 気 管 支カニ ュー
レを 再 挿 管,
脳低 体温療法 施 行 中 の患 者の脳 血 流 量の増 加.
食 道 癌 術 後 創 部よ りの 出 血.
ま す か ? という
問い に 対 し て は,
看 護師
に報
告す
る(
75
,
0
%)
, 医 師 に報 告 す
る(
74
,
4
%)
が高 率
で行 な
わ れ てい た一
方
で,
ニ ア ミ ス報 告 書
を作 成
し てい る施 設
は30
.
7
%,
事 故 報 告 書
を作
成 して い る施 設
は18
,
1
%
であ
っ た。
ま た,
家 族
に報 告 す
る施 設
は5,
7
%
と少 な
か っ た(
表
9
)
。表
11他 職種との連携とう ま くい っ て いない場 合の理 由 他 職
種
との連 携 非 常に良 好 良 好 普 通 あ ま り 非 常に上 手 くない無回
答
件 数 (% ) 10 (5
.
7
%)30
(17.
0
%)77
(
43
.
8
%)
52
(29
,
5% )3
(1
.
7
%)
4
(
2
.
3
%) 他 職 種 との連 携が上 手 く行っ て ない と答
え た方
の 理由 連 携 不足 知 識 不 足 目 的の違い その他 無 回 答 20 (36.
4%) 6 (10.
9%) 2 (3.
6%)3
(5
.
5
% )20
(36
.
4
%) る施 設
は5
施 設 (
2
.
8
% ) あ
っ た(
表
12
)
。4
.
診 療 報 酬 と
チー
ム ワー
ク診 療 報 酬 は ほ と ん ど が 理 学 療 法 簡 単 で請
求
して いた(
81.
3
%) (
表 10)
。
ま た多 く
の施 設
でCPT
−
MV
は労 力
に見
合 っ てい ない と回 答
して い た(
見 合
っ て い る9
施 設
5
.
1
%,
ほ ほ見
合っ て い る29
施 設
16
.
5
%,
す
こ し少
ない54
施 設
30,
7
%
,
かな り少 な
い79
施 設
449
%,
無
回答
5
施 設
2.
8
% ) (
表
10
)
。
また
,
多 職 種 と
の連 携
は66
,
5
% が「
ふつう
」
も し くは「
良 好 」
と答 え た(
表
ll
)
。
休
日 もCPT −MV
を 理学 療 法
士 が 行 っ てい る 施設
は 必要
に 応 じ て行
っ てい る施 設
が15
.
3
%,
当 直
日直 体 制
で行
っ て い5
.
CPT
−
MV
を行
わな
い理由
ア ンケ
ー
ト に 回答
し ても
らっ た272
施
設 中,96
施 設
(
35,
3
% )
でCPT −MV
を行
っ てい な かっ た。
その理 由
は呼
吸 理 学療
法の知 識・
技 術不
足,
医 師
の指 示
・
理解
が な い , ス タッフ の不
足,
リス ク管
理の困 難
さの順
で多
かっ た(
表 13)
。
6
.CPT −
MV
の普 及
に は何
が必 要
か最 後
に「
CPT
・
MV
の普 及
に は何
が必 要
か」
との問
い234
理 学療法
学第
29
巻 第6
号 表12
休
日・
夜
間の呼
吸 理学 療 法 休日夜 間 件 数 (% ) 表 14 人工呼 吸 中の呼吸 理 学 療 法の普 及には何が 必要と考
え ますか ? (複 数回答可) 特 別 施 行して い ない 看 護 婦が施 行 (内容は理学 療 法 士が考 案 ) 看 護 婦が施 行 (内容は看 護 婦が考案 )
必 要に応 じて理 学 療 法士 が施行
理 学 療 法 士が当・
日直体
制 その他 無 回答62
(35
.
2
)42
(23
.
9
)41
(
23
.
3
)
27
(15.
3
) 5 (2.
8) 3 (1.
7) ll (6.
3) 必 要 な もの 合 計件
数 (% )176
(100
.
0
)【
その他】
内容はPT
とNrsで考える,
呼
吸 理学療
法の知 識・
技 術の習 得 他職種
の 理解 科 学 的 効 果の解 明 診 療 報 酬の改正 チー
ム 医 療 マ ンパ ワー
の充 実 啓 発 活 動 その他無
回答
72
(26
、
5
)57
(21
.
0
)33
(12
、
1
)31
(11
.
4
)25
(
9
.
2
>
20
(
7.
4)
12 (4.
4> 12 (4.
4>55
(20.
2
) ※但し,
% は272施 設に対 する割 合 を示 す,
表13
呼 吸 理学療法を行わ ない 理由 理由 件 数 (% ) 呼 吸 理学 療 法の知 識・
技 術 不足 医 師の指 示・
理 解がない ス タッ フ の数の不 足 リ ス ク管 理 困 難 看 護 婦が施 行してい る 対 象 者がい ない 効 果 が 不 明 その他 無回答 64 (66
.
7)63
(65
.
6
)58
(60
.
4
)29
(30
.
2
)23
(24
.
0
)18
(
ユ8
.
8
)
8(
8,
3)
7 (7.
3) 3 (3.
1) ※但 し,
% は呼 吸 理 学 療 法を施 行 して い ない と答 え た96
施 設 に 対 す る割合 を示 す.
【
その他】
シス テ ム上行 え ない、
行いた く ないな ど,
に対
して は,
呼 吸 理 学 療 法
の知 識
と技 術
の習 得
,
他 職 種
の 理解
,
科 学 的 な 効 果
,
診 療 報 酬
の増 加
,
医 療
チー
ム の 連携
,
マ ン パ ワー,
啓 蒙
の順
に多
かっ た(
表
14
)
。
考 察回
答
のあ
っ た272
施
設 中,CPT −MV
を 行 っ て い る 施設
が64.
7
% で あっ たこ と は,水
口 らの報 告
3)の「
呼 吸
管
理の実 施 状
況のう
ち,
呼
吸 訓練
は62
.
1
%の理学 療 法
士 が 行っ てい る 」 との結 果 と 似て いた。
これ は水
口 らの 調 査 も わ れ わ れの調
査 も,
急 性 期 病 院
を中 心
に行
っ た呼
吸 理学 療 法
に関 す
る アン ケー
ト であ
る た め,
同 じよう
な 結果
が得
ら れ たも
の と 思 わ れ た。CPT
−
MV
の対 象 疾 患
は呼 吸 器 疾 患
に次
い で脳 疾 患
が多
か っ た。脳 疾 患
に おける呼
吸 器 合 併 症の高い発 生 率 は 以前
か ら指 摘
さ れて おり
7),今
回の 結果
か ら も 臨床 的
に脳 血 管 障 害 例
に対 す
る呼
吸 理 学療 法
の需 要
の高
さ が伺
わ れ た。
治
療 時 間
は30
分 未 満
が 全体
の79
% を占
めて い た 。今
回の調査
で は1
回
の呼 吸 理 学 療 法 時 間
に関 す
る質 問
で,
看 護 師 が行 う呼 吸
理 学療 法
を含
め る かどう
か につ い て は言 及 し な
かった た
め に,
1
日にか か る全 体
の呼 吸
ケ ア時
間
に関 し
ては不 明
であ
る。 よっ て こ の結 果
は診 療 報 酬 と
の関 係
(
2001
年
1
月
1
日現在
,
呼
吸 器疾 患
に 対 す る 理 学療 法
は簡 単 〔
15
分 以 上〕
し か 認 め ら れ て い ない)
が背
景
にあ
るの か,
そ れと も
CPT −MV
の1
回の治 療
と して は30
分 以 内 が 適当
なの か は,
今
回の調 査
か ら は判 断
は でき な
い 。CPT
−
MV
は様
々な 目的
で行 な
われ てい る 現状
が 明 ら か にな
っ た。
問 題は, 選択
し てい る呼
吸 理学 療 法 手 技
が これ ら の 目的 を達 成
す
る よう
に 正確
に選 択
さ れてい る か であ
る。
呼
吸介 助
法 とス クイー
ズィ ン グは類
似 し た手 技
で あり
6),
調
査に は明 確 な 定 義 分 け を し
て いな
かっ た た め に,
そ れ ぞ れの手 技 を
どの よう な 目的
に用
いた か
の詳
細 まで は把 握
でき
ない 。 し か し,
呼 吸
理学 療 法
の内
容,
実 際
に用
い てい る呼 吸
理学 療 法
の手 技
, 最 も効
果 的 と考
え
る呼 吸 理 学 療 法 手 技 と も
に呼 吸 介 助 法
,
ス ク イー
ズィ ン グ,
四 肢の 関節
可 動 域 練 習・
筋 力 増 強 練 習,
体 位 ドレ ナー
ジ, ポ ジ ショ ニ ング が 高い割
合 を占
めてい たこと か ら,
これ らいく
つ かの手 技
を併
用 して,
上位
に上げ
ら れ た 目 的 を 達 成 す る た め にCPT −
MV
が行
わ れて い る こ と が 推 測 さ れ る。
人工
呼
吸器 管
理さ れ てい る患 者
で自
己喀 痰
で き ない患者
は,
気
道内 分 泌 物
の最 終 処 理
を吸 引
(
およ び加
圧) 行
為
に頼
らざ
るを得 な
い。 オー
ス ト ラ リ ア や イ ギ リス の理学 療 法 士
は 吸 引加
圧行
為 をICU
内
で 行い,
吸 引・
加 圧行 為
は重 要 な 呼 吸
理学 療 法
と位
置付
け てい る8)9 }。
今 回
の調 査
では,
吸
引行 為 と加
圧行 為
は 他の呼
吸 理 学療 法 手
技と比べ て その 割 合 は 低 く,
その他の呼 吸 理学 療 法 手 技
に含
め た が,CPT −MV
に おい て吸 引
・
加 圧 行 為
が効 果
的 で,
窒息
な どの リス ク を低 減
で き るの であ
れ ばCPT
−
MV
に積 極
的に取 り
入 れていけ
る よう
に対 応
しな けれ ばな
らな
い 。CPT −
MV
を 行
っ て い ると
回答
した 施 設
の中
で,
39
,
8
% の施 設
は過 去
1
年
間で呼
吸 理 学 療 法 中 に 生 じ た 人 工呼 吸 器
関連
の問 題 が あっ た と 答 え,52
.
3
%の施設
は 人 工呼 吸 器 関 連
以外
の問 題 が あっ たと答
え た。
人 工呼
吸中
の呼
吸 理 学療
法 中 に 発 生 し た各 種 問
題 を医 療 事 故
と捉
え る か は 難 しい が, 窒 息 や 心停
止,
意 識 障 害 な
ど重 篤 な合
併 症 も散 見
さ れ たこと は見
逃 せ ない。本 調 査
で は その後
の 追跡
調 査 はで き ないが,
万
が一,
呼 吸 理 学 療 法
と何 ら
かの因 果 関 係
があ
る と し た ら,
そ
の原 因 究 明
はし
っか り
と行
わ なけ
れ ばな
らな
い 。医 療
現場
に お け る リスク管
理人 工呼 吸 器 装 着 中の呼吸理 学 療 法に関 する全国調 査
235
の基 本 的 な構 成 要
素
は,
事 故
やニ アミ ス に 関す
る情 報 を
収 集 す
ること(
事
故 報 告 書
の収 集 )
,
各 種
問 題の根 本 的
な 原 因の分析
をす
る こと,対 策
の企
画・
実 施 を行 う院 内
組織
を整 備 す
ること
, 現場
に適 時
にフ ィー
ド
バ ッ クす
る こ と,
とい わ れてい る1ω。
近年
急 速 に「
事 故 防 止 委
員会 」
や「
リス クマネー
ジメ ン ト委 員 会 」 な ど
の組 織
が病
院
に設 置
さ れており
,
理 学 療 法 士 も委 員
に加
わっ て い る こと
が多
い と思う
。 し か し,
今
回の 調 査では,
問 題発
生時
の対 応
とし
て,
医 師
に報 告 す
る,看 護
師
に報 告 す
る と いう
の は高 率
で行 な
わ れ てい た一
方
で,
ニ ア ミ ス報 告 書
を作 成
した り,
事 故
報 告 書 を 作 成 してい る施 設
はそれ ぞれ
,33.
3
%と
19,
6
% に と ど まっ た。 これ
は,
系 統 立
て た リス ク管
理の流 れ が 理 学療 法
士の行 う呼
吸 理 学 療 法の 中 に十 分 確 立 して い ないこ と を 意味
し て い る。
我々理学 療
法
士 が リスク管 理
へ の積 極 的 な 参 加 をす
る た め に は,
まず
は 情報
の収 集 (
報 告 )
が必 要 不 可 欠で あ る。
ア ンケ
ー
ト に回答
した272
施
設中
,CPT −
MV
を 行
っ て いな
い と答 え た 施 設
は35.
3
% あり
,
決
して少 な
い割
合
で はなか っ た。
我々 理 学 療 法 士 が行 う呼 吸
理学 療 法
を含
む 医療 行 為
は 医 師の指 示
がな
い と行 え な
い 。 よっ て,医 師
が呼 吸
理学
療
法
の必要 性
や効 果
に関 し
て認
めて い な い 施 設 で は,CPT −
MV
は看 護 師
が行 う
か, も しく
は行
わ ない こ と にな
る。ま
た,
医 師 が そ
の 必要 性
を認
めて い て も,
指 示 を受 け
る側
の理 学 療 法 士
の数
や知
識・
技術
が 不 足 して いる状況
で は指
示 を受
け ることす
らでき な
い と いう
こ とにな
る。医 師
の指 示
が ない という
の は診 療 報 酬
の問 題 も 関 与 し
て い ると
思 わ れる。
CPT
−
MV
の診 療 報
酬
に関
して は ほ と ん ど(
81
.
3
%)
の施 設 が 理 学 療 法 簡
単 で請 求
し てい た。一
方
,
複 雑 請 求 を し
て いた 施 設
は19
施 設 (
ユ0.
8
%)
であっ た が,
本 調 査
で は請 求
だ け を 調 査 し てい る関 係
上,
実 際
に複 雑 請 求
が認
め ら れ た という
こ と を意 味
して い るも
の で はな
い 。 そ して75
.
6
%の施 設
がCPT
−
MV
は労 力
に見 合
っ てい ない と 回答
して おり
,
診 療 報 酬
の増 加
はCPT −MV
の普 及
に も重要
と考 え
てい る施 設 もあ
る。「
CPT −MV
の普
及
に は何
が必 要
か」
との問
い に対 す
るそ れ 以 外の 回 答 は,
PT
自 身
の知
識 と技
術 の向
上,
他
職種
の理解
,
科 学 的 な 効 果
,
医療
チー
ム の連携
, マ ン パ ワー,
啓 発
の順
に多
かっ た。
今
後CPT −
MV
を 広 めてい く た めには,
我
々 理学 療 法
士自
身
が,
より高
度
で専
門的
な技 術
や知 識 を 身
につ け て,
十 分 な医 学 的 効
果 を 証 明す
る こ と,
そ して他
職 種 か らCPT −
MV
の専 門
的 な技 術
を認
め ら れ る よう
に な るこ と,
そ
して,CPT −
MV
が 社 会 的
にも認 知
さ れ る こ と が,
診 療 報 酬
の増 加
に つな が り
,
マ ンパ ワー
の充 足
につ な が る もの と 思 わ れ た。 いず
れ に’
して も,
理 学療 法
士 が行 う
CPT −
MV
はいま だ
十 分 な認 知
を得
て い る と はいえ ず
,
今 後
は より ま と ま
っ た科
学 的 根 拠
の提 出
が求
め ら れ るこ とにな
る。な
お,
本 調 査 を進
め る に 当 たり助 言
や協 力 を
い た だい た理 学 療 法
士は50
音 順 に,
朝 井 政 治
(
聖隷
三方 原 病 院 )
,
大 久 保 圭
子(
昭 和 大学 横 浜 市 北 部 病
院)
, 川俣 幹 雄
(
津
田内 科 病
院)
,
北 川知 佳 (
田 上病 院 )
,
熊 丸
めぐ
み(
群
馬 県 立 心 臓 血 管 セ ンター
)
,
小 林 義
文(
福 井 県
立病 院 )
, 酒井 桂
太(
YMCA
米 子 医 療 福 祉 専
門学 校 )
,
佐 野 裕
子(
山 王病 院 )
,
竹 村 雅 俊 (
兵 庫 医 科 大 学 病 院 )
,
田平
一
行
(吉島 病 院 )
,
俵 祐
一
(
聖隷
三方
原病 院 )
,
西
野学
(
石 川県
立中 央 病 院 )
,
星 孝 (
仙 台
徳 洲会 病 院)
,
前
田秀 博
(
近森
リ ハ ビ リ テー
ショ ン病 院
)
,
宮 川 哲 夫
(
昭和
大 学 医療 技 術
短 期
大 学)
,森
川 亘(
帝 京 大 学 医 学 部
附 属 病 院)
,
森 沢 知
之
(
兵庫
医科
大学 病 院)
の各 理 学 療 法
士であり
,
深 く感
謝
い た し ます
。 ま た,
貴 重
なご意
見 をい た だき ま
し た,篠 崎
正博 教 授
(
和 歌 山県 立
医科
大 学)
と丸 川 征
四郎 教 授
(
兵 庫 医 科 大 学 )
に深 謝
い た し ます
。
文 献
1) 宮 川 哲 夫 :急 性 呼吸不全 に対 する呼 吸 理 学 療 法,
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JCU
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附 属 病 院 長 会 議 常 置 委 員 会 :医 療 事 故 防 止の た めの安全 管 理体 制の確立に つ い て
一
「医 療 事 故 防 止 方策の策
定
に関 する作 業 部 会 」 中 間 報 告一,
平 成12
年5
月.
236
mp\rkM#
eg29igrg6e
<Abstract>
National
Survey
ofCardiopulmonary
Physiotherapy
fbr
Patients
withMechanical
Ventilation
Tetsuya
TAKAHASHI,
RPT,
MSc
Gunnza
Prefectural
Cardiovascular
Center
Akira
ISHIKAWA,
RPT,
PhD
S(rpporo
Medical
U}ziversity
Ryo
KOZU,
RPT
Seirei
Mihatabara
General
Hbspital
Koji
SAKURADA,
RPT
Saitama
Mledical
School
Hbspital
Akira
SHIMASAKL
RPT
Wdleayama
Mbdical
U}ziversity
Hbspital
Hideaki
SENJYU,
RPT,
PhD
IVIzgasahi
University
Satoshi
MABUCHI,
RPT
llyago
College
ofMedicineHbspital
The
purpose ofthis
study wasto
identify
chest physiotherapytechniques
most often utilizedby
physiotherapistsin
Japan
to
patients with mechanical ventilation,Various
troubles
relatedto
chestphysiotherapy
were alsoinvestigated.
In
eachprefecture,
ten
hospitaLs
wherelarger
numbers ofbeds
existed were selected and aquestionnaire
about chestphysiotherapy
for
patients with mechanical ventilation(CPT-MV)
was mai}ed to totally470
hospitals.
Two
hundreds
andseventy-two