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心血管治療としての理学療法─可能性への挑戦─

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Academic year: 2021

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(1)理学療法学 第 42 巻第 8 号 791 ~ 792 頁(2015 心血管治療としての理学療法─可能性への挑戦─ 年). 791. 分科学会シンポジウム 6(日本心血管理学療法学会) 日本循環器学会との合同シンポジウム. 心血管治療としての理学療法─可能性への挑戦─* ─循環器治療としての理学療法・運動療法─ 内 山 覚 1) 田 畑 稔 2). はじめに. 敏先生,藤田保健衛生大学坂文種報德會病院の河野裕治先生, 北里大学医療衛生学部の松永篤彦先生の 3 名を加えた 4 名のシ. 日本心血管理学療法学会は,記念すべき第 50 回日本理学療. ンポジストにより「心血管治療としての理学療法」をテーマと. 法学術大会において,日本循環器学会とのジョイントシンポジ. してディスカッションを展開した。. ウムをはじめて開催した。設立早々の日本心血管理学療法学会 が学術活動を推進するうえで誠に喜ばしい出来事となった。今. シンポジストの発表. 後も継続的に,心血管疾患領域の他学会と関係を構築しながら. はじめに代田浩之先生からは,1950 年代に木村登先生がは. 学術研究活動を行うことが必然であることを示唆したもので. じめられた急性心筋梗塞後の早期離床の取り組みの紹介から,. ある。. その後の心疾患リハビリテーションの対象疾患の拡大やデバイ. 背 景. ス治療との関係,多職種連携による包括的な介入にいたるまで の歴史的変遷について解説をいただいた。心血管疾患理学療法. 近年,心血管疾患の治療は経皮的冠動脈インターベンション. の効果は多数報告されているものの,海外での報告が多いこと. (percutaneous coronary intervention:PCI)や心臓外科手術,. や,退院後の回復期において心血管理学療法実施施設の普及率. 種々 ICD や CRTD などのデバイス治療の普及に伴い,急性期. がけっして充分でないことなど,解決すべき課題も多数存在す. 心血管疾患の救命率や生命予後は飛躍的に向上した。一方で,. る。近年の血管内デバイス治療や薬物療法の進歩は心血管疾患. フレイルやサルコペニアに加えて低心機能の状態で生活する高. 患者の予後を改善し死亡率を顕著に減少したが,その半分の効. 齢心不全症例の存在や,依然として動脈硬化や血管内皮機能障. 果は食事や運動といった心血管理学療法を含む非薬物療法の効. 害を背景とした新規の虚血性心疾患発症を抑止できない問題が. 能であると述べられた。心臓リハビリテーションの歴史的な背. 残っている。. 景から,今もなお残されている臨床的課題,また未来像にいた. 心血管理学療法は,旧来より心筋梗塞後の安静臥床治療に. るまで包括的にお話しいただいた。. よって生じた低身体機能の回復を目的として行われていたが,. 続いて,渡辺敏先生は心血管疾患症例における有酸素運動と. 近年では血管内デバイス治療により,急性発症した虚血性心疾. 無酸素運動の特色とその目的について言及され,心血管理学療. 患は発症早期に虚血が解除され,在院期間が短縮化し,むしろ. 法の維持期は 2 次予防の観点から予防期といえる時期にあた. 二次予防としての抗炎症作用,血管保護作用,プラーク(粥腫). り,心血管疾患の再発予防とともに健康寿命を延ばす意味で心. の安定化など心血管治療としての役割が脚光を浴びている。す. 血管理学療法は非常に重要であることが示された。. なわち心血管疾患治療後の理学療法という役割から,動脈硬化. 河野裕治先生からは,初回発症の脳梗塞は比較的軽症のこと. や血管内皮機能障害の改善,慢性心不全の病態進行抑制や急性. が多いが,心血管疾患の治療を怠ると病態は徐々に進行し重度. 増悪の予防,生命予後改善を目的とした心血管疾患の病態治療. 化することから,ライフスタイルの変容が病態進行の抑制に有. を果たす役割へとその位置づけは変化している。. 効であるが,禁煙や食事療法と比べて運動療法はアドヒアラン. 本シンポジウムは日本循環器学会から順天堂大学の代田浩之. スが問題となっていることが示された。さらに,塩分管理の不. 先生をお招きし,当学会から聖マリアンナ医科大学病院の渡辺. 十分な症例では脳梗塞再発症例が多いことが示され,厳格な減 塩と運動療法の継続が重要であり,心血管疾患と同様の危険因. *. Cardiovascular Physical Therapy as Cardiovascular Therapy 1) 新東京病院 (〒 270–2232 千葉県松戸市和名ヶ谷 1271) Satoru Uchiyama, PT: New Tokyo Hospital 2) 豊橋創造大学保健医療学部 Minoru Tabata, PT: Toyohashi Sozo University キーワード:心血管理学療法,治療,動脈硬化. 子をもつ心原性脳梗塞の発症予防には,動脈硬化病変の進展予 防が有効であると提言された。 最後に松永篤彦先生から,維持血液透析を行っている慢性腎 臓病症例の現状と問題点について報告があり,慢性腎臓病症例 では筋力低下を合併する症例が多く,歩行速度が 90  m /分を.

(2) 792. 理学療法学 第 42 巻第 8 号. 下回る症例では特に経過中の予後が不良であることが示され. 施されるべき介入として位置づけられており,心血管疾患症例. た。慢性腎臓病症例の体力を維持するためには,5,000 歩/日. の運動機能改善に加えて,運動療法による心血管疾患に対する. 程度の身体活動量が必要であり,そのための介入は心血管理学. 多面的効果が脚光を浴びている。心血管理学療法に携わる理学. 療法の共通事項として必要であると述べられた。. 療法士は,目の前に見える症例の運動機能や運動耐容能の回復. おわりに. に着目するだけではなく,心血管疾患の急性増悪や再発予防さ らに長期予後といった実際には目に見えにくい治療効果を念頭. 心血管疾患の治療が進歩をとげた一方で従来から実施されて. において介入を続けるべきことが,今の時代と社会からの要望. いる,心血管理学療法の重要性が改めて注目され,治療ガイド. でもある。. ラインにおいてもすべての心血管疾患症例に対して標準的に実.

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