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miR-137はDCLK1の抑制を介して大腸癌幹細胞の腫瘍形成能を制御する

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Academic year: 2021

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Title miR-137 Regulates the Tumorigenicity of Colon Cancer StemCells through the Inhibition of DCLK1( Abstract_要旨 )

Author(s) Sakaguchi, Masazumi

Citation Kyoto University (京都大学)

Issue Date 2017-03-23

URL https://doi.org/10.14989/doctor.k20220

Right

Type Thesis or Dissertation

Textversion ETD

(2)

京都大学 博士( 医 学 ) 氏 名 坂 口 正 純

論文題目

miR-137 Regulates the Tumorigenicity of Colon Cancer Stem Cells through the Inhibition of DCLK1

(miR-137 は DCLK1 の抑制を介して大腸癌幹細胞の腫瘍形成能を制御する) (論文内容の要旨) 背景:癌組織の中に癌幹細胞が存在し、癌発生や転移、再発に関与すること が様々な癌種で報告されている。癌根治を目指す上で、癌幹細胞の生物学的特 性を決定づけている特有の分子機構を解明することが必要であり、かつ正常の 幹 細 胞 を 障 害 せ ず 癌 幹 細 胞 の み を 標 的 と す る 治 療 法 が 望 ま れ る 。 microRNA(miRNA)は、標的遺伝子の翻訳抑制により遺伝子発現を調整してお り、特定の miRNA が癌細胞特性の制御に関与することが報告されている。一 方、癌幹細胞は正常幹細胞と共通の表面マーカーで特定されてきた。近年、 Doublecortin-like kinase1 (DCLK1)が大腸癌幹細胞特異的表面マーカーであ る可能性が報告された。本研究では大腸癌幹細胞に特異的な miRNA の同定と そのmiRNA と DCLK1 の関連を明らかにすることを目的とした。 方法:大腸癌手術標本を単細胞に単離して、フローサイトメトリーを用いて 幹細胞集団を癌組織、正常組織よりそれぞれ収集する。既報により正常/大腸 癌幹細胞集団のいずれもCD44 陽性/CD66a 陰性の細胞集団であることを応用 して、EpCAM 陽性/CD44 陽性/CD66a 陰性細胞集団を幹細胞集団とした。 その幹細胞集団の miRNA の発現パターンと DCLK1 の発現を qRT-PCR で調 べる。発現パターンより同定したmiRNA と DCLK1 の関連を Luciferase assay とWestern blotting を用いて調べる。Organoid assay とマウス皮下腫瘍形成 能を用いて、その miRNA が癌幹細胞特性に及ぼす影響を調べる。また、正常 腸管に対するmiRNA の影響も調べる。

結果:384 種の miRNA の内、大腸癌幹細胞集団では正常大腸幹細胞集団と比 較して、miRNA-15a (miR-15a)と miR-137 が特異的に抑制されており、一方 でDCLK1 は発現が亢進していた。TargetScanHuman6.2 を利用して DCLK1 の3’UTR 内に存在する標的配列を検索した結果、miR-15a と miR-137 のうち、 miR-137 の標的配列が DCLK1の 3’UTR 内に存在することが判明した。また、 DCLK1 の 3’非翻訳領域には miR-137 の標的配列が2箇所存在していたため、 それぞれを組み込んだ luciferase 発現ベクターを作成し、miR-137 を同時に導 入した。その結果、それぞれの標的配列を組み込んだベクターの luciferase activity がコントロールと比較して有意に抑制され、かつ標的配列に変異を組 み込むとmiR-137 を同時に導入しても、luciferase activity の抑制は認められ なかった。DCLK1 を発現している大腸癌細胞株 SW480 に miR-137 を導入す ると DCLK1 タンパクの発現が有意に抑制された。レンチウイルスを用いて、 miR-137-GFP を SW480 に導入し、GFP 陽性/CD44 陽性/CD66a 陰性細胞 集団を flow cytometry で収集し、organoid 形成能、腫瘍形成能を調べたところ、 miR-137 を導入することにより organoid 形成能、腫瘍形成能は抑制され、 DCLK1 を過剰発現させることにより、miR-137 による抑制は認められなくな った。一方、正常マウス腸上皮由来のorganoid は miR-137 を導入しても

organoid 形成能は影響を受けなかった。また、miR-137 を knockdown するこ とで、正常大腸上皮細胞株由来の organoid 形成能は促進された。 結論:miRNA-137 は DCLK1 の抑制を介して大腸癌幹細胞特性を抑制する可 能性が示された。 (論文審査の結果の要旨) microRNA(miRNA)による遺伝子発現調節機構が、癌幹細胞特性の制御に関 与することが報告されている。一方、近年、Doublecortin-like kinase1 (DCLK1) が大腸癌幹細胞特異的表面マーカーであることが報告された。今回、申請者は 大腸癌幹細胞集団において、有意に抑制されている miRNA を同定し、その miRNA と DCLK1 の関連、さらには miRNA/DCLK1 axis の大腸癌幹細胞特性 の関与を検討した。

ヒト大腸癌切除標本を用いた miRNA, mRNA profiling では、miRNA-137 (miR-137) が正常大腸幹細胞集団に比して大腸癌幹細胞集団において抑制され、 一方、DCLK1 は有意に発現が亢進していた。DCLK1には miR-137 の標的配列 が存在し、その配列を組み込んだluciferase reporter assay の検討では、miR-137 により luciferase 発現の低下を認めた。大腸癌細胞株 SW480 (DCLK1 陽性) に miR-137 を導入すると、DCLK1 タンパクの発現が抑制された。miR-137 を強制 発現させたSW480 ではコントロールと比して、有意に organoid の形成能、腫瘍 形成能が抑制され、DCLK1 を強制発現させることにより miR-137 の抑制効果は 認められなくなった。一方、正常腸上皮由来の organoid は miR-137 を過剰発現 させても変化は認められなかったが、miR-137 を knockdown することにより organoid の形成能は促進された。以上より、miR-137 は DCLK1 の抑制を介して 大腸癌幹細胞の腫瘍形成能を抑制することが示唆された。 以上の研究は microRNA-137 による大腸癌幹細胞による腫瘍形成能の制御の解明に貢 献し今後の大腸癌幹細胞が持つ特有の分子機構を標的とした治療戦略に寄与するところ が多い。 したがって、本論文は博士( 医学 )の学位論文として価値あるものと認める。 なお、本学位授与申請者は、平成28年9月13日実施の論文内容とそれに関連し た試問を受け、合格と認められたものである。 要旨公開可能日: 年 月 日 以降

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