2009
年後期量子力学
1
演習
(担当:吉岡)
本授業を受講する際の注意等 • 毎回出席をとります。 • 成績は (出席点 40 点満点)+(黒板で解いた問題、もしくはレポート 60 点満点) の合 計で付けます。 • 本演習中に講義の補足をすることが多々あるので、対応する講義の「量子力学 1」を 必ず同時に受講して下さい。 • 自分にあったテキストを必ず購入して下さい。 予定している内容 1. 量子力学の発端と前期量子論 2. Schr¨odinger方程式と波動関数の一般的性質 3. 簡単な系 (a) 一次元散乱問題 (b) 一次元束縛状態 (c) 調和振動子 これからは、レポート問題は、http://goofy.phys.nara-wu.ac.jp/˜yoshioka/education-09.html に pdf ファイルでアップロードしてあります。1. 量子力学の発端と前期量子論 • 光は” 粒子” である。(光子、photon) 振動数 ν、波長 λ = c ν (c = 3.0× 10 8/m : 光速) の光は エネルギー ² = hν (1) 運動量の大きさ |~p| = hν/c = h/λ (2) の光子の集まりである。ここで h はプランク定数 h = 6.626176× 10−34J· s (3) である。振動数の代わりに、角振動数 ω = 2πν、波動ベクトル ~k(方向が波の進行方 向に一致し、大きさが 2π/λ) を使うと、 エネルギー ² = ¯hω (4) 運動量の大きさ ~p = ¯h~k (5) ¯ h = h 2π = 1.05459× 10 −34J· s (6) – プランクの輻射公式 温度 T のもとで熱平衡となっている空洞の、振動数が ν ∼ ν + dν の間にある 単位体積あたりのエネルギーは u(ν)dν で与えられる。ここで、 u(ν) = 8πhν 3 c3 1 ehν/kBT − 1 (7) である。 – 光電効果 X線や紫外線を金属の表面に照射すると、電子が飛び出す。これは光電効果と 呼ばれ、以下のような性質を持つ。 ∗ 電子が飛び出すことのできる光の振動数には下限がある。 ∗ 飛び出てきた電子のエネルギーは光の強さにはよらず、振動数のみに依存 する。 ∗ 飛び出す電子の個数は光の強さに比例する。 飛び出て来る電子の運動エネルギー1 2mv 2 は以下の式を満たす。 1 2mv 2 = hν − W (8) ここで、W は金属内の自由電子が金属表面を飛び出すのに必要な仕事 (仕事関 数) である。
– コンプトン効果 X線を物質に照射すると、入射 X 線よりも波長の長い X 線が散乱されて出て 来る。この効果をコンプトン効果と呼び、以下の式で与えられる。 ∆λ = λ0− λ = h mec (1− cos θ) (9) ここで、λ0(λ)は入射 (散乱)X 線の波長であり、meは電子の質量、入射 X 線と 散乱 X 線のなす角を θ とする。 • 粒子は波である。(ドブロイの関係式) 運動量 ~pを持つ粒子の波長 λ は λ = h |~p| (10) で与えられる。波動ベクトル ~k (|~k| = 2π/λ) と運動量との間には ~ p = ¯h~k (11) の関係が成り立つ。 • ボーアの量子化条件 系のラグランジアンが L で与えられているとき、 ps= ∂L ∂ ˙qs (12) を自由度 qsに対応する一般化運動量と呼ぶ。qsについて周期性が成り立つ時、量子 化の条件は以下のように与えられる。 I psdqs= nh (13) ここで n は正または 0 の整数である。
問題 1. 送信機から、波長 1mm の電磁波が出力 500kW で放射されている。 (a) 放射されている光子のエネルギーは何 J か、またそれは何 eV か。 (b) 振動の一周期あたりに放射される光子の個数はいくらか。 2. プランクの輻射公式を用いて、以下の問いに答えよ。 (a) hν/kBT À 1 および hν/kBT ¿ 1 の漸近形を求めよ。 (b) 空洞内の単位体積あたりのエネルギーを求めよ。 (c) 単位波長間隔あたりのエネルギー密度 ˜u(λ)を求めよ。ただし、波長を λ とする。 (d) ˜u(λ)が最大になる波長を λmとすると、“λmT =一定” の関係が成り立つこと を示せ。 3. 光電効果について以下の問いに答えよ。 (a) タングステンで光電効果によって電子を放出させるためには、照射する光の波 長が 2300 ˚A以下でなければならない。タングステンの仕事関数を eV(電子ボ ルト) 単位で求めよ。 (b) タングステンに波長が 1800 ˚Aの光をあてた時に出て来る電子の速さを求めよ。 4. 以下の仮定のもとでコンプトン効果の式を導出せよ。 (a) X線は静止している電子と衝突し、その電子が相対論的に取り扱われる場合。 (b) X線は静止している電子と衝突し、その電子が非相対論的に取り扱われる場合。 この場合、どのような近似が必要か。 5. 光子が自由電子と衝突して、その運動量とエネルギーをすべて電子に与えて消滅す ることは不可能であることを示せ。 6. 原子間隔 1 ˚A程度の結晶を下記の線の回折像によって調べるのにどの程度のエネル ギーが必要か、eV 単位で答えよ。 (a) X線 (b) 電子線 (c) 中性子線 7. 水素原子のモデルとして、一個の電子が原子核の周りを円運動している系を考える。
(a) 電子の波動性を用いて、水素原子のエネルギー準位を求めよ。ただし、n = 1 を基底状態とせよ。 (b) 基底状態にある電子の軌道の半径をボーア半径と呼ぶ。この大きさを˚A単位で 求めよ。 (c) 古典電磁気学では加速度運動する電子は電磁波を放出する。このように考えた 時、基底状態にある水素原子の寿命を求めよ。ただし、加速度運動する電子の 単位時間あたりのエネルギー変化は dE dt = − e2 6π²0c3 ˙ ~v2 (14) で与えられる。また得られた結果を 微細構造定数 α = 1 4π²0 e2 ¯ hc ' 1 137 電子のコンプトン波長 λc = h mc ' 2.43 × 10 −12m 光速 c' 3.00 × 108m/s を用いて表し、寿命の値を得よ。 8. 水素原子が n = 4 の状態から n = 1 の状態へ遷移したとき、放出される光の振動数 はいくらか。また、この光子を放出することによって、水素原子がうける反跳の速 さはいくらか。ただし、水素原子の質量を 1.67× 10−27kgとする。 9. 一次元調和振動子のラグランジアンは以下のように与えられる。 L = 1 2m ˙x 2− 1 2mω 2x2 (15) ここで ω は角振動数である。 (a) xに対応する運動量 p を求めよ。 (b) エネルギーを求めよ。 (c) 位相空間 (x-p 平面) における軌道を書け。 (d) ボーアの量子化条件を用いて量子化せよ。
2. 波動関数と Schr¨odinger方程式 • Lagrangian L(xi, ˙xi)と Hamiltonian H(xi, pi) (i = 1∼ N) Lagrangeの運動方程式は d dt ∂L ∂ ˙xi − ∂L ∂xi = 0 (16) であり、(xiに対応する) 運動量 piは pi = ∂L ∂ ˙xi (17) で与えられる。大抵の場合、L = T− V (T : 運動エネルギー、V : ポテンシャルエ ネルギー) である。一方、Hamiltonian H は H = N X i=1 ˙xipi− L (18) で与えられ、運動方程式は dxi dt = ∂H ∂pi (19) dpi dt = − ∂H ∂xi (20) となる。大抵の場合、H = T + V である。 • 量子化 以下では一個の粒子の運動を考える。 ~ p→ ˆ~p = −i¯h∇ (21) E → i¯h∂ ∂t (22) と置き換えを行い、H = E を演算子として波動関数 ψ(~r, t) に作用させたものを Schr¨odinger方程式という。ここで~r = (x, y, z)、∇ = ( ∂ ∂x, ∂ ∂y, ∂ ∂z)である。H = ~ p2 2m + V の時、 ˆ H(~r,−i¯h∇)ψ(~r, t) = ½ −¯h 2∇2 2m + V ¾ ψ(~r, t) = i¯h∂ψ(~r, t) ∂t (23)
|ψ(~r, t)|2は時刻 t 位置 ~r での粒子の存在確率密度を表す。すなわち、時刻 t に位置 ~r の周りの微小領域 d~r = dxdydz に粒子を見出す確率は|ψ(~r, t)|2d~rで与えられる。し たがって、通常 Z d~r|ψ(~r, t)|2 = 1 (24) となるようにしておく。この手続きを波動関数の規格化と呼ぶ。 • 物理量 量子力学では、一般の物理量 F (~r, ~p)も (波動関数に作用する) 演算子となり、 F (~r, ~p)→ ˆF (~r,−i¯h∇) (25) で表される。Hamiltonian はその一つの場合である。物理量の期待値hF i は hF i = Z d~rψ∗(~r, t) ˆF (~r,−i¯h∇)ψ(~r, t) (26) で与えられる。 ˆ F を演算子、f を普通の数とするとき、 ˆ F (~r,−i¯h∇)χ(~r) = fχ(~r) (27) が成り立つ場合に、χ(~r) を ˆF の固有関数、f をその固有値という。適当な境界条件 をつけると、f は勝手な値をとれず、f1、f2、· · · と離散的な値をとる場合が多いが、 連続固有値をとることもある。固有関数 χi(~r)は規格化しておくと、以下のように 書ける。 Z d~rχ∗i(~r)χj(~r) = δij (28) すなわち、異なる固有値の固有関数は直交している。 • 演算子他 – ある演算子 ˆΩの共役演算子 ˆΩ†は以下のように定義される。 (φ, ˆΩψ) = ( ˆΩ†φ, ψ) (29) – 交換関係 (交換子) [ ˆA, ˆB]≡ ˆA ˆB− ˆB ˆA (30) – 物理量を表す演算子 Ω は、エルミート演算子である。 Ω†= Ω (31)
問題 10. 一粒子の問題で Lagrangian が L = m ˙~r
2
2 − V (~r) と書けるとする。
(a) Lagrangeの運動方程式が Newton の運動方程式を導くことを確かめよ。
(b) Hamiltonianが H = ~p 2 2m + V (~r)と表され、Hamilton の運動方程式が Newton の運動方程式を導くことを確かめよ。 11. 電場 ~E(~r, t)、磁束密度 ~B(~r, t) のもとでの電荷 q を持つ荷電粒子の運動を考える。 (a) Newtonの運動方程式を書け。 (b) Lagrangian L = m ˙~r 2 2 − qφ(~r, t) + q ~A(~r, t)· ˙~r (32) が上で求めた Newton の運動方程式を導くことを示せ。ここで、 ~A、φ はそれ ぞれベクトルポテンシャル、スカラーポテンシャルであり、以下のような関係 が成り立つ。 ~ E = −∇φ − ∂ ∂t ~ A (33) ~ B = ∇ × ~A (34) (c) 運動量 ~pを求めよ。 (d) Hamiltonianを求め、 Schr¨odinger方程式を書け。 12. 上式の ~E、および ~Bはゲージ変換 φ(~r, t) → φ0(~r, t) = φ(~r, t) + ∂ ∂tλ(~r, t) (35) ~ A(~r, t) → ~A0(~r, t) = ~A(~r, t)− ∇λ(~r, t) (36) のもとで不変であることを示せ。 13. ゲージ変換の元で波動関数はどのように変換されるか。 14. 質量 m の粒子がポテンシャル V のもとで 3 次元的に運動しているとき、平均値につ いて以下のような古典的運動方程式が成り立っていることを示せ。 md 2 dt2h~ri = −h∇V i ただし、粒子の波動関数 ψ は十分に局在しており、無限遠方で ψ→ 0、∇ψ → 0 と なるものとする。これをエーレンフェストの定理という。
15. ポテンシャルエネルギー V が時間 t に依存しない場合を考える。 (a) 波動関数 ψ(~r, t) を ψ(~r, t) = T (t)u(~r) (37) と書いた時、T (t) = exp(−iEt/¯h) となることを示せ。 (b) u(~r)は以下の方程式で決定されることを示せ。 ½ −¯h2∇2 2m + V ¾ u(~r) = Eu(~r) (38) 『重要』この方程式は時間を含まないもしくは定常状態の Schr¨odinger方程式と呼ば れ、式 (27)、(28) の議論の特別な場合である。このとき、粒子の存在確率密度は時 間に依存しない。u(~r) は上の方程式に従うだけでなく、適当な境界条件を満たさね ばならない。そうすると E は特定のとびとびの値 E1、E2、· · · だけが許される。こ れをエネルギーの固有値とよぶ。また、それぞれに対応して決定される関数 u1(~r)、 u2(~r)、· · · をその固有値に属する固有関数という。エネルギーの固有関数 ui(~r)は規 格化しておくと、以下のようにと書ける。 Z d~ru∗i(~r)uj(~r) = δij (39) 16. 物理量 F の固有値を fi、対応する規格化された固有関数を χi(~r)とすると、波動関 数 ψ(~r, t) は以下のように書ける。 ψ(~r, t) =X i ci(t)χi(~r) (40) 波動関数 ψ(~r, t) が規格化されているとき、下の 2 つの式を示せ。 (a) X i |ci(t)|2 = 1 (41) (b) hF i =X i |ci(t)|2fi (42) 以上のことから、波動関数の固有関数による展開の係数 ci(t)は時刻 t に物理量 F を 測定した場合に、値 fiを得る確率が|ci(t)|2で与えられるという意味を持つ。 17. エネルギー固有値を Ei、対応する規格化された固有関数を ui(~r)とし、波動関数 ψ(~r, t)をそのエネルギー固有関数で展開する。 ψ(~r, t) =X i ci(t)ui(~r) (43)
これが時間に依存する Schr¨odinger方程式の解となるようにしたい。ci(t)のみたすべ き方程式を求め、その解を得よ。その場合、各時刻にエネルギーを観測したとき、値 Eiを得る確率は時間に依存しないことを示せ。以上の結果を用いて、時刻 t = 0 で 波動関数が ψ(~r, 0) = F (~r) で与えられているとき、任意の時刻での波動関数が (43) の形になるように、ci(t)を求めよ。 18. 不確定性関係を用いて、以下の系の基底状態のエネルギーを概算せよ。 (a) 長さが a の一次元井戸型ポテンシャルのなかに閉じ込められた粒子 (b) 一次元調和振動子 (c) 水素原子 「ヒント」(b) では E = p 2 2m + mω2x2 2 において、不確定性関係 ∆x∆p = ¯h/2より、 運動量を x で表し、その値を最小化せよ。(c) では E = p 2 2m − e2 4π²0r において、不 確定性関係 ∆r∆p = ¯hより、運動量を r で表し、その値を最小化せよ。 このように不確定性関係によって原子の大きさが有限に保たれることが保証されて いる。 19. ポテンシャルエネルギー V (r) = −α rs (44) の中で運動する粒子の定常状態のエネルギーが下限を持つための条件を不確定性関 係より求めよ。ただし、α > 0、s > 0、s6= 2 である。 20. 実関数のポテンシャル V (~r, t) を受けて 3 次元空間を運動する質量 m の粒子を考える。 (a) 波動関数を ψ(~r, t) として時間に依存した Schr¨odinger方程式を書け。 (b) 確率密度を ρ(~r, t) =|ψ(~r, t)|2と書くとき、∂ρ ∂t を求めよ。 (c) 以下で与えられる ~J (~r, t) ~ J (~r, t) = ¯h 2mi{ψ(~r, t) ∗∇ψ(~r, t) − ∇ψ(~r, t)∗ψ(~r, t)} (45) が連続の方程式、 ∂ρ ∂t +∇ · ~J(~r, t) = 0 (46) を満たすことを示せ。
(d) 自由粒子の Schr¨odinger方程式の解を用いると、 ~J (~r, t)はどうなるか? (e) 波動関数が実数の場合、 ~J (~r, t)はどうなるか? 『重要』 ~J (~r, t)は確率密度の流れを表す。 21. ˆA、 ˆBをエルミート演算子とするとき、以下の交換関係が成立しているものとする。 [ ˆA, ˆB] = i ˆC (47) 以下の問いに答えよ。 (a) ˆCはエルミート演算子であることを示せ。 (b) 以下の関係が成り立っていることを示せ。 ∆A· ∆B ≥ |h ˆCi|/2 (48) ただし、∆A2 =h( ˆA− h ˆAi)2i、∆B2 =h( ˆB− h ˆBi)2i である。 22. 交換関係について、以下の等式を証明せよ。 [ ˆA, ˆB ˆC] = [ ˆA, ˆB] ˆC + ˆB[ ˆA, ˆC] (49) [ ˆA ˆB, ˆC] = ˆA[ ˆB, ˆC] + [ ˆA, ˆC] ˆB (50) 23. 座標演算子 x と運動量演算子 p との間には以下のような正準交換関係が成り立つ。 [x, p] = i¯h (51) 次の問いに答えよ。 (a) 数学的帰納法を用いて、以下の等式を証明せよ。 [x, pn] = i¯hnpn−1, [p, xn] =−i¯hnxn−1 (52) ただし、n は正の整数である。 (b) 関数 f (x)、g(p) はそれぞれテーラー展開できる関数である。以下の等式を示せ。 [x, g(p)] = i¯hdg dp, [p, f (x)] =−i¯h df dx (53) 24. ハミルトニアン H がエルミートである (H = H†)時、シュレディンガー方程式は全 確率を保存することを示せ。
25. ある物理量 ˆAに対して、同一の固有値をもつ 2 つの一次独立な波動関数 ψ1、ψ2 が
ある場合を考える。
(a) 二つの波動関数の一次結合 ψ02 = c1ψ1+ c2ψ2 も同じ固有値をもつことを示せ。
(b) ψ1、ψ2は必ずしも直交しているとは限らない。しかしながら、c1、c2を適当に
3. 簡単な系 • 束縛状態 |x| → ∞ で波動関数がゼロのなるような状態を束縛状態という。 – 束縛状態ではエネルギーは離散的な値をとる。 • ポテンシャルエネルギーが有限の場合、波動関数はなめらかにつながる。 • 散乱問題 入射波の確率密度の流れを Ji、反射波の確率密度の流れを Jr、透過波の確率密度の 流れを Jtとするとき、透過率 T 、反射率 R は以下の式で与えられる。 T = Jt Ji (54) R = |Jr| Ji (55) 問題 26. 以下の微分方程式 d2y dx2 + λy = 0 (56) に対し、境界条件を (a) y(0) = y(π) = 0 (b) dy dx ¯¯ ¯¯ x=0 = dy dx ¯¯ ¯¯ x=π = 0 (c) y(π) = 0および dy dx ¯¯ ¯¯ x=0 = 0 とした場合の、固有値および固有関数を求めよ。 27. 一次元 Schr¨odinger方程式の束縛状態ついて以下のことを示せ。 (a) 縮退がない、つまり、同じエネルギー固有値を持つ固有状態は存在しない。 (b) ポテンシャルが偶関数であるとき、固有関数は偶関数もしくは奇関数のどちら かである。 (c) 波動関数の変曲点が古典力学における運動の限界に対応する。
『注意』非束縛状態では、一つのエネルギーの値に対して、2 個の一次独立な解が ある。ポテンシャルが偶関数の場合にはそれらを組み合わせて、偶関数のものと奇 関数のものをとることができる。 28. 無限に深い井戸型ポテンシャル V (x) = ( 0 (|x| < L/2) ∞ (|x| > L/2) (57) 中の運動について以下の問いに答えよ。 (a) エネルギー固有値と規格化された固有関数を求め、基底状態、第一励起状態の 波動関数を図示せよ。 (b) 各固有状態の運動量の確率密度を求め、概形を図示せよ。 29. 前問の粒子が波動関数 u(x) = A (µ L 2 ¶2 − x2 ) で表される状態にある。ここで A は定数である。 (a) 波動関数を規格化せよ。 (b) 各エネルギー固有状態にいる確率を求めよ。 (c) エネルギーの平均値hEi 及びそれからのずれ (∆E)2を求めよ。 30. 粒子のうけるポテンシャル V (r) = V1(x) + V2(y) + V3(z) とかかれる時、時間を含 まない Schr¨odinger方程式は ½ −¯h2 2m d2 dx2 i + Vi(xi) ¾ ui(xi) = ²iui(xi) (x1 = x, x2 = y, x3 = z) と書かれ、エネルギー固有値は ² = ²1+ ²2+ ²3となることを示せ。 31. 立方体−L/2 < x, y, z < L/2 に閉じ込められた粒子の運動を考える。 (a) 前問の結果を使って、基底状態の波動関数、第一励起状態の波動関数を求めよ。 (b) 基底状態および第一励起状態において粒子の位置を測定したとき −L 4 < x, y, z < L 4 に粒子を見出す確率はどうなるか?
32. 有限の深さの井戸型ポテンシャル V (x) = ( 0 (|x| < L/2) V0 (|x| > L/2) (58) 中の束縛状態のエネルギー固有値を求める式を導出し、少なくとも一つは束縛状態 が存在することを示せ。 33. 以下のポテンシャル V (x) = ∞ (x < 0) 0 (0 < x < L) V0 (L < x) (59) に対する一次元束縛状態のエネルギー固有値を求める式を導出し、束縛状態の個数 と V0の間の関係を求めよ。ただし、V0 > 0とする。(前問の結果を使うと簡単にで きます) 34. 次のポテンシャル V (x) = 2V0 (x < 0) 0 (0 < x < a) V0 (a < x) (60) の場合の粒子の束縛状態のエネルギーを与える式を導出せよ。また、少なくとも 1 個の束縛状態が存在するための条件を求めよ。 35. 運動量演算子−i¯h d dxについて考える。 (a) 固有値が ¯hkで与えられる時、固有関数を求めよ。 (b) (a)の固有値は連続固有値であるが、それを避けるため、粒子を−L/2 < x < L/2 の区間に閉じ込め、固有関数に周期的境界条件 ψ(x) = ψ(x + L) を課す。この 条件のもとで、離散的な固有値が ¯ hkn = 2π¯hn L n = 0,±1, ±2, · · · (61) となることを示し、規格化された固有関数を求めよ。 (c) 異なる固有値を持つ固有関数は直交することを示せ。
(d) ある固有値をもつ固有関数を ψn(x)と書く。任意の周期関数 (f (x) = f (x+L)) は f (x) = X n Fnψn(x) (62) と書ける。Fnを求めよ。また、 Z L/2 −L/2 dx|f(x)|2 = X n |Fn|2 (63) であることを示せ。 (e) ここで、L→ ∞ の場合を考える。この時、 X n ξ(kn)→ L 2π Z ∞ −∞ dkξ(k) (64) となることを用いて、フーリエ変換の公式 f (x) = √1 2π Z ∞ −∞ dkF (k)eikx (65) F (k) = √1 2π Z ∞ −∞ dxf (x)e−ikx (66) を導け。 (f) Z ∞ −∞ dx|f(x)|2 = Z ∞ −∞ dk|F (k)|2 (67) となることを示せ。 『重要』f (x) を波動関数と考えると、波動関数を複素フーリエ級数もしくはフーリ エ変換の形で書くということは運動量の固有関数を使って波動関数を展開している ことに対応し、その係数は物理的な意味をもつ。すなわち、(63) の|Fn|2は観測した 波数が kn = pn/¯h の値をとる確率であり、(67) の|F (k)|2dkは観測した波数が k と k + dkの間にある確率となる。 また、連続固有値 p を持つ運動量の固有状態は ψp(x) = 1 √ 2π¯he ipx/¯h (68) で与えられ、規格直交条件は 1 2π¯h Z ∞ −∞ dxei(p−p0)x/¯h = δ(p− p0) (69) となる。
36. フーリエ変換の式は、波数 k の代わりに運動量 ¯hkを用いると、 f (x) = √1 2π¯h Z ∞ −∞ dpF (p)eipx/¯h (70) F (p) = √1 2π¯h Z ∞ −∞ dxf (x)e−ipx/¯h (71) と書ける。以下の式を証明せよ。 Z dxxn|f(x)|2 = Z dpF (p)∗ µ i¯h d dp ¶n F (p) (72) Z dxf (x)∗ µ −i¯h d dx ¶n f (x) = Z dppn|F (p)|2 (73) 『重要』f (x) が『x 表示の波動関数』ならば、F (p) は『p 表示の波動関数』とみなさ れる。この時、x は [x, p] = i¯hより、 x = i¯h d dp (74) という微分演算子となる。この場合 F (p, t) の従う Schr¨odinger方程式は ½ p2 2m + V (i¯h d dp) ¾ = i¯h∂ ∂tF (p, t) (75) で与えられる。 37. 粒子の波動関数として以下のような波束を考える。 ψ(x) = A exp ½ − x2 2a2 + ik0x ¾ (76) (a) (76)の波動関数が規格化されているように定数 A を求めよ。 (b) 位置の確率密度を求め、図示せよ。 (c) 運動量の確率密度を求め、図示せよ。 (d) 位置の期待値、そのまわりの幅 ∆x を求めよ。 (e) 運動量の期待値、そのまわりの幅 ∆p を求めよ。 (f) (d)、(e) の結果より、∆x∆p = ¯h/2がなりたっていることを確かめよ。 ガウス型の波束は ∆x∆p の最小値を与えることが示されるので最小波束と呼ばれる。 38. 次に、時刻 t = 0 での波動関数が (76) で与えられているとき、t > 0 での波動関数を 求める。
(a) 波動関数 ψ(x, t) を ψ(x, t) = √1 2π Z dkC(k, t)eikx (77) とフーリエ変換の形で書き、1 次元自由粒子の Schr¨odinger方程式に代入し、 C(k, t)の満たすべき方程式を求めよ。 (b) C(k, t)を求め、運動量の確率密度は時間に依存しないことを示せ。したがって、 運動量の期待値と、そのまわりの幅は時間によらない。 (c) (b)で得られた答えを (77) に代入し、 ψ(x, t) を求めよ。 (d) 位置の確率密度を求め、時間と共にどのように変化するか図示せよ。また、位 置の期待値とそのまわりの幅を求めよ。 39. 以下のような階段型ポテンシャル V (x) = ( 0 (x < 0) V0 (x > 0) (78) があるとき、x =−∞ から、エネルギー E をもって飛んで来る粒子がある。ただし、 V0 > 0とする。 (a) 0 < E < V0の場合に、それぞれの領域の波動関数を決定し、反射率、透過率 を求めよ。 (b) E > V0の場合に、それぞれの領域の波動関数を決定し、反射率、透過率を求 めよ。 40. 以下のようなポテンシャル V (x) = 0 (x < 0) V0 (0 < x < a) −V1 (a < x) (79) があるとき、x =−∞ から、エネルギー E をもって飛んで来る粒子がある。ただし、 V0 > 0、V1 > 0とする。 (a) 0 < E < V0の場合に、それぞれの領域の波動関数を決定し、反射率、透過率を 求めよ。また、E = V0、E ¿ V0の場合の透過率の漸近形を決定せよ。V1 → ∞ のとき、透過率はどうなるか?
(b) E > V0の場合に、それぞれの領域の波動関数を決定し、反射率、透過率を求 めよ。また、どのような条件のもとで透過率は最大になるか? さらに、完全透 過 (透過率が 1) がおこる場合はどのような場合か? 41. 一次元の Schr¨odinger方程式 ½ −h¯2 2m d2 dx2 + ¯ h2 mΩδ(x) ¾ u(x) = Eu(x) (80) の解を調べる。ここで、Ω は定数であり、δ(x) はデルタ関数である。
(a) u(x)は x = 0 で連続であるが、u0(x)は不連続になる。u0(+0)− u0(−0) を求 めよ。 (b) x =−∞ から、エネルギー E をもって飛んで来る粒子があるとき、反射率、透 過率を求めよ。 (c) Ω < 0の場合、束縛状態が存在する。そのエネルギーと規格化された波動関数 を求めよ。 42. 以下のようなポテンシャル V (x, y, z) = 1 2mω 2 (x2+ y2+ z2) (81) で束縛されている 3 次元調和振動子のエネルギー固有値と対応する固有関数を求め よ。また、エネルギー固有値が E = (N + 3/2)¯hω (82) で与えられるとき、その縮退の数を求めよ。 43. 質量 m の粒子が調和振動子のポテンシャル V (x) = 1 2mω 2x2 のもとで一次元的に運 動しており、その波動関数が ψ(x) = A ∞ X n=0 µ 1 √ 2 ¶n un(x) (83) で与えられるとする。ここで、A は規格化定数であり、un(x)はエネルギー固有値 En = (n + 1/2)¯hω をもつ規格化された固有関数である。 (a) Aを決定せよ。 (b) エネルギーの期待値を求めよ。
44. 質量 m の粒子が調和振動子のポテンシャル V (x) = 1 2mω 2x2 のもとで一次元的に運 動している。また、x = 0 に無限に高い壁があり、粒子の運動は x > 0 のみに制限 されている。 (a) エネルギー固有値を求めよ。 (b) 規格化された固有関数を前問の un(x)を使って表せ。 45. 下図のように質量 m の二つの質点がバネ定数 k のバネでつながれており、質点はバ ネに平行にのみ動けるものとする。平衡状態からの変位を x1、x2として以下の問い に答えよ。
m
m
k
k
k
x
1x
2 (a) Hamiltonianを x1、x2とそれらに共役な運動量 p1、p2を使って書け。 (b) 重心座標 X = (x1+ x2)/2、相対座標 x = x1− x2を導入する。これらの変数に 共役な運動量 P 、p を求めよ。 (c) (b)で与えられた変数を用いてハミルトニアンを書き換えエネルギーの固有値 を求めよ。 46. 下図のように質量 m の N 個の質点がバネ定数 k のバネでつながれており、質点は バネに平行にのみ動けるものとする。(N 番めの質点は N − 1 番めの質点と 1 番目 の質点につながっている。これは固体中の格子振動の最も簡単なモデルである。)1
2
3
N
N-1
この系のエネルギー固有値を以下の手順に従って求める。ただし、l 番目の質点の平 衡の位置を la とし、平衡位置からのずれを xlとする。(a) この系の Lagrangian を書き下し、l 番めの質点のニュートン方程式が m ¨xl =−k(2xl− xl+1− xl−1) (84) となることを示せ。 (b) 上のニュートン方程式は xl = X q A(q, t) exp(iqla) (85) とフーリエ級数の形におくことによって解くことができる。ここで、−π a < q ≤ π a、 q = 2πn N a (n = 0,±1, ±2, · · · )。A(q) に対する運動方程式を導け。 (c) 得られた運動方程式は独立な調和振動子の運動方程式になっている。固有振動 数を求め、量子力学的な固有状態のエネルギーを求めよ。 『注意』式 (85) は、q→ q + 2π/a と動かしても変わらない。したがって、q の範囲 は−π a < q ≤ π a に限られる。(もちろん、0 < q≤ 2π/a でもかまいません) この時、 可能な q の個数は振動子の個数と同じ『N 』となる。 47. 電荷 q を持った一次元調和振動子 (x 方向にのみ運動) に一様な電場 E がかかって いる。 (a) Schr¨odinger方程式を書け。 (b) Schr¨odinger方程式の固有値を求めよ。また、固有関数を E = 0 の場合の固有 関数 un(x)を用いて表せ。 (c) 電気双極子モーメント p = qx の期待値を計算し、分極率 χ = ∂hpi/∂E|E=0 を 求めよ。 48. z方向の静磁場は、ベクトルポテンシャル ~A = (0, Bx, 0)を用いて ~B =∇ × ~Aと表 される。この磁場中のもとで x− y 平面上を運動する電子 (質量 m、電荷 −e) のエ ネルギー固有値を求める。 (a) Schr¨odinger方程式を書け。 (b) 波動関数を ψ(x, y) = f (x)eikyとおくことによって、エネルギー固有値を求めよ。 49. デルタ関数型のポテンシャルを持つ一次元系に対して、以下の問いに答えよ。
(a) ポテンシャルが V (x) = ¯h 2u 2ma{δ(x + a) + δ(x − a)} (86) と表されるとき、束縛状態が存在するための条件を (I) 固有関数が偶関数の場合 (II) 固有関数が奇関数の場合 の場合にわけて求めよ。また、基底状態の固有関数は偶関数であることを示せ。 (b) 上記のポテンシャルがある系において、エネルギー E > 0 を持つ粒子が x =−∞ から入射する場合を考える。この時、いたるところで流れが連続であることを 示せ。 (c) ポテンシャルが V (x) = ¯h 2 u 2ma ∞ X n=−∞ δ(x + na) (87) と表されるとき、エネルギーバンドを決定する式を導け 50. 以下のハミルトニアンで与えられる一次元調和振動子について以下の問いに答えよ。 H = p 2 2m+ 1 2mω 2x2 (88) (a) 演算子 a = r mω 2¯h x + i √ 2mω¯hp (89) a† = r mω 2¯h x− i √ 2mω¯hp (90) を定義すると、 (i) [a, a†] = 1 (91) (ii) H = ¯hω(a†a + 1/2) (92) となることを示せ。 (b) a†aの固有値を ν、対応する固有状態を uνとする。ν は正またはゼロの整数で あることを示せ。また、ν = 0 の規格化された固有状態 u0 を用いて、ν = n
(n ≥ 1) の固有状態 unは un= 1 √ n!a †nu 0 と書けることを示せ。さらに以下の 式を証明せよ。 aun = √ nun−1 (93) a†un = √ n + 1un+1 (94) (c) au0を用いて、規格化された基底状態の波動関数 u0を求めよ。また、その結果 を使って unの関数形を決定せよ。必要ならば、次のエルミート多項式の定義 Hn(x) = (−1)nex 2 dn dxne −x2 (95) を用いよ。
(d) a、a†を用いて、(un, xun)、(un, x2un)、を求めよ。また、固有状態 unについ
て ∆x∆p = (n + 1/2)¯hが成り立つことを示せ。 51. 前問の消滅演算子 a の固有状態をコヒーレント状態と呼ぶ。 aψλ = λψλ (96) (a) ψλ = P∞ n=0cn(λ)unとおくことによって cn(λ)を求め、(ψλ, ψλ) = 1を満たす コヒーレント状態は ψλ = exp(−|λ|2/2) exp(λa†)u0 (97) と書けることを示せ。 (b) コヒーレント状態でのエネルギーの期待値はどうなるか? (c) 生成演算子 a†の固有状態は作れない。なぜか? (d) (ψν, ψλ)を計算せよ。ここで、ψνは aψν = νψν をみたすコヒーレント状態で ある。 (e) コヒーレント状態の完全性の条件 1 π Z dλ0dλ00ψλ(x)ψλ∗(x0) = δ(x− x0) (98) を証明せよ。ここで、Reλ = λ0、Imλ = λ00である。ただし、一次元調和振動 子の固有関数に関する完全性の条件 ∞ X n=0 un(x)u∗n(x0) = δ(x− x0) は、証明なしに用いてもよい。
このように、コヒーレント状態は完全系をなしている。したがって、任意の状態は コヒーレント状態で展開できる。ただし、異なる固有値を持つコヒーレント状態は 直交していない。 52. 時間を含む Schr¨odinger方程式 i¯h∂ψ(x, t) ∂t = Hψ(x, t) (99) の解について、以下の問いに答えよ。ただし、H は t を含まないものとする。 (a) Hの固有関数系{φn(x)} (Hφn= ²nφn)は完全系をなすので、 ψ(x, t) = X n an(t)φn(x) (100) と書ける。ただし、(φn, φm) = δnmとする。an(t)のみたすべき方程式を求めよ。 (b) その方程式を解いて、 ψ(x, t) = Z dx0G(x, t; x0, t0)ψ(x0, t0) (101) G(x, t; x0, t0) = X n φn(x)φ∗n(x0)e−i²n (t−t0)/¯h (102) となることを示せ。 (c) 前問の結果より、完全性の条件 X n φn(x)φ∗n(x0) = δ(x− x0) (103) が成り立つことを示せ。 (d) 階段関数 θ(t) を用いて、グリーン関数 G+(x, t; x0, t0) ≡ G(x, t; x0, t0)θ(t− t0) (104) 定義する。これは、 · i¯h∂ ∂t − H(x) ¸ G+(x, t; x0, t0) = i¯hδ(x− x0)δ(t− t0) (105) を満たすことを示せ。ただし、 θ(t) = ( 0 (t < 0) 1 (t > 0) (106) dθ dt = δ(t) (107) (e) 自由粒子の G(x, t; x0, t0)を求めよ。