2011 年度(後期)「在宅医療研究への助成」報告書
【テーマ】
「地域で在宅療養者の摂食・嚥下機
能評価を多職種のチームで行うため
のモデル事業」
申請者:
医療法人 川島医院 川島 理
提出:
2013 年 2 月 25 日
来ていないのが現状である。 今回、われわれは医師・歯科医師・看護師・言語聴覚士・理学療法士・歯科衛生士・栄 養士・介護職等と摂食嚥下機能評価チームを組んで、在宅療養者の摂食嚥下機能の評価を 行った。 適切な摂食嚥下機能評価を行うことにより、その評価に基づく、患者さん一人一人に合 った「口腔ケア」「嚥下リハビリ」「適切な形態の食事の提供」等を実施することにより、 高齢者が誤嚥を防ぎ、できるだけ長く安全に口から食事をとることを可能にする体制を作 ることを目標とした。 【研究の内容】(配布資料や報告書は、参考資料を参照のこと) 1)勉強会 高齢者の摂食嚥下機能を正確に評価することの重要性が十分に認識されているとは言え ない状況にあると考え、群馬県在宅療養支援診療所連絡会が主催となり、摂食嚥下にかか わる多職種の方々に講演をお願いし、摂食嚥下障害への理解を深めてもらった。 多職種で先進的に摂食嚥下機能評価に取り組んでいる施設を訪問しての見学会を予定し たが、そのような施設が少ないため、先進的に摂食嚥下に係わっている方を講師にお招き して講演会を回数を増やして実施した。 講師の職種は、医師・歯科医師・看護師・歯科衛生士・栄養士と多岐にわたり、みなさ ん、それぞれの立場で、摂食嚥下に係わっているベテランの方々で、大変勉強になった。 内容及び参加者は、以下の通り 第1回講演会 平成24 年 4 月 10 日 演題 前橋赤十字病院における摂食嚥下外来について 講 師 前橋赤十字病院 摂食嚥下障害認定看護師(NST 専門療法士) 伊東 七奈子 先生 歯科衛生士(NST 専門療法士) 高坂 陽子 先生 第2回講演会 平成 24 年7月 19日 演題 摂食・嚥下機能評価について 講 師 大川歯科医院院長 大川 延也 先生
第3回講演会 平成25 年 1 月 10 日 演題1 嚥下内視鏡による摂食嚥下機能評価の実際(ビデオ供覧) 講師 群馬県在宅療養支援診療所連絡会 副会長 川島 崇 先生 演題2 摂食嚥下機能評価と在宅における訓練 講師 足利赤十字病院リハビリテーション科部長 馬場 尊 先生 第4 回講演会 平成 25 年 2 月 8 日 演題 病院から在宅へ~つながろう!口から食べる支援~ 講師 地域栄養ケアPEACH 厚木 代表 江頭 文江 先生 第 1 回 第 2 回 第 3 回 第 4 回 医師 6 13 25 14 歯科医師 7 14 10 5 看護師 18 16 14 25 歯科衛生士 11 12 12 5 介護士 12 6 6 4 言語聴覚士 8 4 21 6 管理栄養士 1 0 5 9 ケアマネ 0 1 2 0 その他 10 6 13 10 合計(人) 73 72 108 78 2)多職種摂食嚥下機能評価視察 多職種で先進的に摂食嚥下機能評価に取り組んでいる施設を訪問しての見学会を開催。 予定では、東京など遠隔地の施設を考えていたが、日程が合わず実現できなかったのが 残念であった。また、県内では、このような先進的な試みをしているところが少なく 2 回 のみであった。 第1 回:特別養護老人ホーム かまくら H24 年 10 月 6 日 第2 回:前橋赤十字病院 摂食嚥下回診 H24 年 10 月 31 日
ークもよくなり短時間で評価できるようになった。 反省としては、患者さんの周りを取り囲む形で検査をするので、威圧感があったのでは ないかと思った(認知症の方、お一人に検査拒否があった)。 予定では、4 回施行を考えていたが、多職種のためチーム内の日程調整や訪問患者さんの 選別などがあり 3 回にとどまった。今後、協力者を増やし、チームを複数作ることも考え たほうが良いと思われた。 第1 回:伊勢崎市 平成 24 年 9 月 13 日 第2 回:前橋市・高崎市 平成 24 年 11 月 1 日 第3 回:渋川市 平成 24 年 12 月 6 日 【今回の研究で得られたこと】 今回の研究で、嚥下内視鏡の有用性、また、それを利用した多職種協働での訪問による 摂食嚥下機能評価の有用性として、次のような点が認められた 1:患者さん(高齢者)が普段生活をしている場に出向いて摂食嚥下機能評価を行った ため、日常生活と同じ環境が保てる 2:検査食でなく、日常食している食材・食形態で検査がおこなえる 3:適切な形態の食事の判断 その場でその人にとって、「安全な食事形態」か「危険な食事形態」か判断できる 4:それにより、介護職が日常的に行っている「食事介助」が、場合によっては非常に 危険な行為であることに気づいてもらうことができた 5:各職種の専門家による、「患者さん一人一人に合った食事のアドバイス」が、その場 でできる 看護師:「食事の提供方法」 歯科医・歯科衛生士:「口腔ケア」「ブラッシング」 ST:「嚥下リハビリ」 PT:「食事の提供時の姿勢」「顔面・頸部の筋マッサージ」
(結語) 1:今回モデル事業で行ってみて、実際に食事を摂取している所を観察して評価する ことができる嚥下内視鏡検査は、非常に有効であると感じた。 2:多職種協働による評価は、その場で、直接、患者さんのリハビリにつなげること ができ、さらに有用である。 3:今後は、嚥下内視鏡の評価結果をもとに多職種協働で食事ケア方法を検討するこ とが一般的になって欲しい 4:問題は、多職種協働による評価に対する診療報酬上の評価がないことにある。現 状では、「医療保険で、往診による嚥下ファイバー施行」のみ認められる。医療保険・介護 保険での報酬の裏付が必要である 5:今回のモデル事業を機会として、摂食・嚥下機能評価のチームを結成して「地域 における嚥下内視鏡を用いた多職種協働による食事ケアの検討」を継続してやっていきた いと思う 本研究は、「公益財団法人 在宅医療助成勇美記念財団の助成による」
場 所 群馬メディカルセンター「大ホール」
次 第
司会:群馬県在宅療養支援診療所連絡会
理事 川 島 理
1.開 会
2.挨 拶 群馬県在宅療養支援診療所連絡会
副会長 大 澤 誠
3.講 演
座 長 群馬県在宅療養支援診療所連絡会
理事 吉 野 浩 之
演 題 前橋赤十字病院における摂食嚥下外来について
講 師 前橋赤十字病院
摂食嚥下障害認定看護師(NST 専門療法士)
伊 東 七奈子 先生
歯科衛生士(NST 専門療法士)
高 坂 陽 子 先生
- 質疑応答 -
4.閉 会
主 催 群馬県在宅療養支援診療所連絡会 共 催 群馬県医師会 -この講習は公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団の助成を受けています-病院と地域をつなぐ『食の支援』 ~当院の現状と連携に必要なetc・・・ 前橋赤十字病院NST 群馬県在宅医療支援診療所連絡会 2012.4.10(火) 前橋赤十字病院 栄養サポート室 専従看護師 伊東七奈子 前橋赤十字病院の概要 診療科 :30科 病床数 :592床 平均在院日数 :12.9日 病床利用率 :91.5 % 一般紹介率 :57.6 % 逆紹介率 : 47.9 % 救急患者数 :62.2 人/日 救急車搬入人数:15.8 人/日 地域医療支援病院、がん診療連携拠点病院 高度救命救急センター、ドクターヘリ設置 基幹災害医療センター、臨床研修指定病院、 日本医療機能評価機構認定病院、 NST稼働認定施設、教育認定施設 など 施設認定・機能 自己紹介 いとうななこ(○年7月7日 七夕生まれ) O型 名前の由来:誕生日から名づけられました! 現在、大殺界中です。 年明け早々、りんご病、感染性胃腸炎、インフルエンザ・・・ 最近は、慢性胃炎の急性増悪が・・・免疫不全状態でした! 自分の栄養療法が必要かもしれません。 NSTはブレイクスルー!現在のまでの経緯 脳外科病棟に勤務していた私は摂食・嚥下障害看護の患者さん をたくさん看ていました。NSTが院内に発足し、設立当初からNST に参加しました。その後、消化器病センターに異動し・・・ やっぱり自分の原点に戻って、勉強しようと思い、摂食・嚥下障害 看護の認定看護師になろう!! なぜ、経口摂取が望まれるのか • 経鼻栄養チューブや胃廔などの非経口的栄養法は、 長期的には大きな意味での栄養障害になる • 多様な調理法によってバランス良く栄養を摂取できる • 早期離床・早期歩行によるリハビリテーションと平行 でき、QOLの改善にもなる • 非経口摂取代替栄養法が非人間的である 前橋赤十字病院NST 腸管を使うことはとても大切 経腸栄養をしている腸管の断面は・・・ 前橋赤十字病院NST 病 院 施設・在宅 初めは下痢 栄養吸収障害 いずれ便秘 栄養吸収障害 廃用性委縮 液体は通過が速い 蠕動運動が 微弱 尿路結石 意識障害で、ずっと車椅子での生活、栄養剤は十分 おむつを換える際に痛そうにしていたので、検査したら 結石が見つかった。 前橋赤十字病院NST
ふくよかな栄養失調 4. 痩せる(体重減少、肌の艶がなくなる、骨ばる、褥瘡等) 前橋赤十字病院NST 前橋赤十字病院NST 要介護高齢者で、認知症であった 病院では個室であった 歯牙の有無、義歯の有無は確認できていない 食事中の摂取状況は確認できていない ベッド上の食事であった 施設における事故 • 転倒・転落 73.3 • 外傷 14 • 誤嚥・誤飲 6 • 離苑(設) 5.5 • 異食 3.1 • その他 16.5 前橋赤十字病院NST (%) 経口摂取は難しい、なぜ? • 同じ経路を使う呼吸機能を安全に確保する ことが難しい • 非経口摂取代替栄養法からの離脱判定が 難しい 前橋赤十字病院NST 嚥下リハビリテーションの肝 • 呼吸路の安全性の確保 • 口腔~咽頭機能の腑活 • 食物の調整 • 姿勢 前橋赤十字病院NST リスクマネージメント 患者さんがむせています! 前橋赤十字病院NST その場にいるあなたはどうしますか? • 水にとろみをつける • 飲水をやめる • とりあえず、今の食事を終了する • ベッドを横にして休んでもらおう
今日もむせています! 前橋赤十字病院NST 今日のあなたはどうしますか? 食事を継続するかどうか、主治医へ報告する しばらく経口摂取はお休みして、点滴になる Q:“とろみ”は何故つけていますか? 前橋赤十字病院NST A: ムセるから・・・。 Q: ムセると、何故“とろみ”をつけますか? A: ・・・・・。 ですが・・・ “とろみ”はムセてしまう患者さんの万能薬 ではないんです。 前橋赤十字病院NST 確かに! とろみをつけると、水やお茶を飲んでも むせなくなることがあります。 普段患者さんに作っている
“とろみ水”
or“とろみ茶”
を作ってみましょう !! 前橋赤十字病院NST • とろみの粘度 • 濃度の時間的変化 • 味 前橋赤十字病院NST とろみをつける上で大切なのは! たかが“とろみ”、されど“とろみ” 患者に合ったとろみを作ることが大切なんです。 トロミ調整剤のプチ知識① トロミ剤調整剤は大きく3つに分けられる ・ でんぷん:でんぷん ・ キサンタン系:増粘多糖類 ・ グァアガム系:増粘多糖類 前橋赤十字病院NST そもそも、とろみって?キサ ンタンガム キサ ンタンガム トロメリンHi グアーガム・ キサンタンガム 混合系 スカイスルー ネオハイトロミール トロメリンS (販売終了) その 他 その 他 キサンタンガム系 ソフテイア トロミパーフェクト トロメイクSP つるりんこ トロメリンA トロメリンA トロメリンEx ・グァーガム:豆が原材料 添加量が少なくてもトロミがつく。牛乳でもしっかりトロミがつくが 味に変化があり、多少グァーガムの豆臭さがある。 ・キサンタンガム:キサントモナス族(培養するときに出るネバネバ) 透明性に優れ、無臭で付着性が少ない。スプーンですくい にくさがあり、蛋白や糖分の多いものはトロミがつきにくい。 前橋赤十字病院NST トロミ調整剤のプチ知識③ ◎キサンタンガム系の増粘剤を添加したもの (3%)と同じ硬さを得るためには・・・ ・ でんぷん系では4.5~5% ・ グァーガム系では2~2.5%が必要 ◎いろいろなトロミ調整剤があるが、必ずきちんと 計っておく ◎在宅の人に勧める場合には、毎日使うものだから 経済面も考慮する 前橋赤十字病院NST そもそも、とろみって??? 最近の増粘剤の傾向 (当院のネオハイトロミールRX) 少量でとろみがつく! <メリット> 使用量が少なくて済み、コストダウンになる 短時間でとろみがつく <デメリット> 濃度の微調整がしにくい とろみがつくのが速すぎて、ダマになる 前橋赤十字病院NST 濃度が濃くなれば、味は落ち、粘度は増す! では、“とろみ”の役割は • 口から咽頭まで到達する速度を遅くする • 一旦、口の中に入ったら、加速をつけて 咽頭に 流れ込む水分に、 適度なブレーキをかける • 適度なブレーキは喉に送り込む機能、つまり舌や 頬の動き、飲む姿勢など、患者個別による 前橋赤十字病院NST 図で示すと・・・ 前橋赤十字病院NST 気管 食道 水 とろみを つけると・・・ 下手な図ですが! 特に覚醒不良や加齢だと・・・ • 速度が速いと対処ができない • タイミングが合わない • ゆっくりすると、自分のペースで 対処できる ゴックン! ゴックン!
とろみの適正な粘度 前橋赤十字病院NST 通常1%の濃度 体位が30℃以上に挙げられない人 舌運動が低下している重度の患者 は低粘度がよい Ex)神経筋疾患などで舌の委縮が 著しい患者 高い粘度 低い粘度 嚥下とは ? 水分や食べ物を口の中に取り込んで、咽頭から 食道・胃へと送り込むこと。 これらの過程のどこかがうまくいかなくなることを 『嚥下障害』と言う。 普段、当たり前にやっている嚥下が いったんできなくなると・・・ 低栄養・脱水や、肺炎になってしまう ことがある。 摂食・嚥下に関わる器官 (食べ物の通り道) のどは、飲食物の通り道で あると同時に、空気の通り道 (気道)でもあり、両者が 交わっているところである。 そのために嚥下と呼吸の 仕組みの間には高度な協調が 必要である。 嚥下障害とは 基礎編 http://www.ai-hosp.or.jp/sinryouka/center_riha/enge2/page1.htm, (2011.2.21現在)から引用 摂食・嚥下運動:5期モデル 1.認知期(先行期) 2.準備期(咀嚼期) 3.口腔期 随意運動→不随意運動 4.咽頭期 反射運動 5.食道期 蠕動運動 口腔期から食道期までの所要時間 1秒以内 摂食・嚥下運動 ・先行期(認知期):何をどのくらい、どのように 食べるかを無意識に判断する 時期。 ・準備期(咀嚼期):食物を口の中に取り込み、 咀嚼し、唾液と混ぜて飲み込み やすいように食塊をつくる時期。 嚥下障害支援サイト スワロー http://www.swallow-web.com/engesyogai/index.html(2011.2.21現在)引用して一部改編 嚥下運動 • 口腔期: 食塊を舌によってくちから喉へ 送り込む時期 ・ 咽頭期: 食物を喉から食道へ 送り込む時期 ・ 食道期: 食塊を食道内から胃へ と送り込む時期 どこが障害されているのかを見極める 嚥下障害支援サイト スワロー http://www.swallow-web.com/engesyogai/index.html(2011.2.21現在)引用して一部改編
嚥下障害とは 基礎編 http://www.ai-hosp.or.jp/sinryouka/center_riha/enge2/page1.htm, (2011.2.21現在)から引用 3.心理的原因 ①認知症 ②うつ病 ③心身症 ④拒食症 薬剤の副作用(向精神薬、抗コリン剤、鎮静剤など)や、 義歯の問題(合っていない、持っていない)等も摂食・嚥下障害の 原因となり得る 嚥下障害とは 基礎編 http://www.ai-hosp.or.jp/sinryouka/center_riha/enge2/page1.htm, (2011.2.21現在)引用して一部改編 ベッドサイドでのワンポイントケア 1. 姿勢:頚部前屈位、ベッドアップ30度、60度・・・ 2. 口腔環境:義歯の有無、舌の動き、唾液の有無 3. 食形態 4. スプーンの大きさ(食具) 5. 食べる順番 6. 捕食(食べさせ方) 7. ゴックン! 8. 残留の有無(口腔残留、咽頭残留) 9. 呼吸状態、疲労、姿勢のくずれ 前橋赤十字病院NST 1.正しい姿勢 正しいベッド上座位 正しい車椅子上座位 足底を小枕などで 安定させる 1.患者と介助者の姿勢 ベッドサイドに座って、 患者と同じ目線で行う 立ったまま食事介助をすると顎が上がって誤嚥しやすい コピー用紙などを 使って、簡単に 角度を設定できます 頚部の前屈は、 3横指くらいが 適切な角度 ベッドアップ30度、頚部前屈位が 重力を利用して誤嚥しにくくなる体位 ベッドの角度を下げると 前橋赤十字病院NST 下手な図ですが! 気管に 入りやすい体位・・ 気管まっしぐら! 重力
ベッドの角度を下げたら、必ず頚部前屈位 前橋赤十字病院NST 水 下手な図ですが! ①食塊が重力の作用で 咽頭後壁側を流れやすい ②たとえ嚥下反射が惹起しなくても、 咽頭に食物が残っていても、 量が少なければ咽頭内に溜まる (気管に入りにくい) 重力 頚部前屈位ってどうやるの? 意外とできていない!! 前橋赤十字病院NST 唇と耳を結んだ線がベッドと平行になるように! 重力 頭 1.食事の姿勢 腰が背もたれ についている 座面に深く 腰をかける 足底がついている ☆可能であれば・・・ フットレストでなく、 床につける 股関節、膝関節は 90度程度に保つ 体幹の傾き がない 顎を引き 目線は前 テーブルは上肢 に合った高さ 悪い姿勢の例 1.車椅子のポジショニング 足底の位置足底の位置 体幹の傾きがない 体幹の傾きがない 股関節、膝関 節は90度程度 に保つ 股関節、膝関節は 90度程度に保つ 麻痺側の アシスト 2.口腔環境:義歯の有無 前橋赤十字病院NST 3. 食形態 嚥下食とは・・・ 咀嚼や食塊形成困難を補い、咽頭残留や誤嚥の少ないもの ・ 密度が均一である(凝集性が高い) ・ 適当な粘度があり、バラバラになりにくい ・ 口腔や咽頭通過の際に変化しやすい (変形性が高い) ・ べたつかず、粘膜にくっつきにくい (付着性が低い)
前橋赤十字病院NST Level5 通常食 Level4介護食 Level3移行食 Level フォアグラ、ムース こしあん、 かぼちゃの軟らか煮 ピューレ、ムース状の食品で 汁物にとろみをつける 嚥下よりも咀嚼を重視した食事 刻むよりも「一口大」や 「かたちあるもの」が理想 一般健常食と同等の食事 ・ お粥は難しい食品 →米粒と重湯が不均一で、ミキサーにかけるとでんぷん になり、固くなって危険 ・ 寒天の食品は不適切 →体温で溶けない 3. きざみ食とは? 常食や軟食の副菜をきざむことにより、咀嚼が不十分 でも飲み込めるような形態にした食事の総称である。 →つまり咀嚼を補うためには有効だが、まとまりが 悪いために食塊形成が難しく誤嚥などの原因となる 「きざみ食」という同一の名称を使っていても それぞれの施設により、食形態の硬さ、大きさ、 粘度などに隔たりがあることが問題視されている 3. 食形態、適切ですか? 食形態の時間的な変化に注意する ・ 食事時間が長くなると唾液中のアミラーゼが お粥のデンプンを分解し、水分が多くなる ・ ゼラチンゼリーは30℃で溶解し、体温でも 溶けるので長所だが、夏は食べているうちに 溶けて「水」となり誤嚥しやすくなる 食形態の時間的な変化に注意する 食事時間が長くなると唾液中のアミラーゼが お粥のデンプンを分解し、水分が多くなる 介助するスプーン (口に入れるスプーン) と粥を小分けにする スプーンを分ける お茶づけにして 食べさせて いませんか 4.スプーンの大きさ(食具) 前橋赤十字病院NST スプーンの ボール部が 大きくて深い スプーンの ボール部が 小さくて浅い ほぼ平らが理想
4.スプーン選びはとっても大切! ・大きくて深いので口唇でとりにくい ・一口量が10g以上になってしまう ・1回量が守られる ・1回量は2g程度 適切なポジショニングをしても、 一口量が多かったら 前橋赤十字病院NST 食塊 下手な図ですが! 食道の入り口から 溢れて 気管に入りこむ 危険性が高い 重力 誤嚥 5.食べる順番 ☆食べ始めは・・・ 優しい食品から食べる(誤嚥しにくい食べ物) ゼリー状のもの ➩➩➩ 難易度のもの(ベタベタするもの) ➩➩➩ ゼリー状のもの 前橋赤十字病院NST 6.捕食(食べさせ方) 前橋赤十字病院NST スライスゼリー 口唇でゼリーをとる 唇を閉じようと必死 深くて、口輪筋の力 のある人でなければ とれない ゼリーのとり方 ゼリーはスライス状にとって介助する 6.捕食(水分の取り方) 前橋赤十字病院NST 首が後屈してしまう 口唇が水に触れる ことなく、喉に送り 込まれる
前橋赤十字病院NST 咽頭隆起 2本の指で、軽く触れる 前橋赤十字病院NST 舌骨部 咽頭隆起 2本の指で、軽く触れる 喉頭挙上(喉仏のあがる距離) 加齢による喉頭下垂でスタートラインが下がる 1-2椎体下がると言われている 前橋赤十字病院NST ゴール!! ゴールに達すると 食道が最大限に開く 通常の スタートライン!! 高齢者のスタートライン!! 筋力が低下している上に、 長距離を走らなくてはいけないので、志半ばで引き返す →そのため、全ての食べ物が通らないうちに食道が閉じる →食物が喉に残る(これを咽頭残留) ☆咽頭残留はこれだけが原因で起こるわけではないが・・・ 見るポイント 前橋赤十字病院NST 筋力が低下している上に、 長距離を走らなくてはいけないので、志半ばで引き返す →そのため、全ての食べ物が通らないうちに食道が閉まる 嚥下は0.6秒と言われていて、食べ物が通るまで待ってくれない →食物が喉に残る(これを咽頭残留) ☆咽頭残留はこれだけが原因で起こるわけではないが・・・ 8.残 留 前橋赤十字病院NST 「あ~!」と声を出してもらう ➩ガラガラ声の有無を確認する または 咽頭残留 口腔残留 対処は: 交互嚥下、複数回嚥下 口腔に残留する場合の介助方法 取り込み、咀嚼、食塊形成、送り込みの障害 ●姿勢の調整 ●体幹角度の検討(頸部前屈位で30度~90度) ●食物の調整: (水分)状態によってゼリー/増粘剤入り水 (食事)ゼリー食,少量からスタート(スライス) ●介助法:食塊を奥舌へ介助 スプーンでの介助法,スプーンの選択(Kスプーン) ●嚥下方法: 交互嚥下,複数回嚥下, Kポイント刺激(送り込み)
咽頭に残留する場合の介助方法 ●姿勢の調整 体幹角度の調節(頸部前屈30度~スタート) 一側嚥下などの検討 ●食物の調整:(水分)ゼリー(スライス) (食事)ゼリー食(スライス)より開始 ●介助法:摂食ペースの配慮,一口量に注意 ●嚥下方法: 頸部突出法,頸部回旋横向き嚥下, 交互嚥下,複数回嚥下,など 交互嚥下の目的と方法 1.嚥下しにくいものと嚥下しやすい食塊が交互に 入ることで咽頭残留の除去に有利に働く 2.粥などの粘性の強い食品や水分が少ない食品で 咽頭残留の可能性がある場合はゼリーや水分を 交互に与えると口腔や咽頭がクリアになる *食事の最後はトロミ茶またはゼリーで終了する 交互嚥下、複数回嚥下の効果 1回の交互嚥下 または複数回嚥下でクリア 9.呼吸状態、疲労、姿勢のくずれ • 必ずSPO2でモニタリングをしながら行う (嚥下時無呼吸) • 3%低下したら、一旦中止する • 食事時間は30分を目安にする(疲労はむせ を引き起こす) • 疲労により姿勢が崩れる➩誤嚥のリスク • 面倒がらず、姿勢をその都度直す 前橋赤十字病院NST ベッドサイドでわかる 摂食・嚥下障害を疑う症状 • Wet hoarseness(湿性嗄声) • よくむせるようになる(特に水分) • 夜間の咳、痰の増量 • 繰り返す発熱・肺炎 • 食事時間の延長、食が細い、こぼす • 食物の好みの変化、食欲の低下 • 食事中・食後に咳き込む • 体重減少・痩せてきた • 咽に違和感・残留感がある 患者さんがむせています! 前橋赤十字病院NST その場でどう対処しますか? • 水にとろみをつける ➩適切な濃度のとろみ • 飲水をやめる ➩本当に水分でむせているのか • とりあえず、今の食事を終了する➩本当にとりあえず • ベッドを横にして休んでもらおう ➩誤嚥の危険性を高める この患者さんは、何でむせているのか? 水分?食べ物? いつむせているのか? 食べる時、食べた後
前橋赤十字病院NST 3. 水分誤嚥・・水分は誤嚥するが、工夫した食物には誤嚥しない 2. 食物誤嚥・・あらゆるものを誤嚥し、嚥下できないが呼吸状態は安定 1. 唾液誤嚥・・唾液を含めて全てを誤嚥し、呼吸状態が不良 一般医療機関で直接訓練可能 専門医療機関で慎重に直接訓練可能 困難 前橋赤十字病院NST いつ食べ始めるのか、もうずっと食べられないのか? 義歯を外す、ずっと外す➩筋力が落ち、廃用が進む 次に食べる機会がやってきた時にはもう食べられる 体力は残っていない ➩それでも食べてみる ➩むせる ➩誤嚥 ➩誤嚥性肺炎 ➩チューブ栄養 ➩PEG? そんな時は! 前橋赤十字病院NST 専門的な嚥下機能評価が必要です! 当院の摂食・嚥下外来を受診して頂ければ、 VFやVEなど客観的な評価ができます♡ 摂食・嚥下外来 前橋赤十字病院NST ◆ 診療内容 ・ 嚥下障害患者に対する嚥下評価と栄養アセスメント ・ 訓練内容や栄養療法の指導 ◆ 診療時間 ・ 毎週木曜日午前:外来、嚥下造影検査(VF)午後:訪問診療 ◆ 担当スタッフ:各職種1名ずつ 歯科医師、看護師、言語聴覚士、歯科衛生士 摂食・嚥下障害認定看護師 外来 病棟診療 計(例) 2009年度 270 273 543 2010年度 294 357 651 食事の進め方 前橋赤十字病院NST 前橋赤十字病院 NST 前橋胃ろうネットワークでも 摂食・嚥下障害患者さんを支えられるような システムを構築中です
前橋赤十字病院 NST 前橋胃ろうネットワークで行った出張嚥下評価 前橋赤十字病院 NST そして・・・、胃廔だけでなく 少しでも長く安全に食事が食べられるように ネットワークで『食の支援』でつなく連携ができればと 考えています 在宅の先生や医療スタッフの方々は どこに尋ねたらいいのか、誰に聞いたら分かるのか、 食べることについて評価してくれる施設、動ける人はいないのか ・・・とお困りのことが多くあると思います。 施設ごとの食事を開示して、転院や在宅でもスムーズに同様の 食事が提供できるように・・・嚥下機能評価や訓練、評価に合った 食形態を提供できるような連携を作っていきたいと思います。 前橋赤十字病院 NST
当院を活用して下さい!
前橋赤十字病院NST NST(栄養支援チーム)があなたの栄養状態をサポートします “健康の回復は十分な栄養とともに” 当院では栄養に関する専門チーム(NST)が栄養評価、栄養管理、栄養療法を行なっています。 対象は栄養状態に問題のある患者さん、食事摂取ができない患者さん、手術のため栄養管理が必要 な 患者さんなどです。主治医の依頼により患者さんの栄養支援をさせていただきます。 おわり。前橋赤十字病院 NST 前橋赤十字病院 歯科衛生士 高坂 陽子 急性期病院の 歯科衛生士が思う事 ーつなげよう♡食・べ・るー 群馬県在宅療養支援診療所連絡会 H24.4.10 前橋赤十字病院 NST まずは自己紹介 歯科衛生士こんなことに係っています 1.口腔ケアスクリーニング抽出患者の口腔ケア実施 2.病棟における口腔ケア及び摂食機能療法の実施 3.消化器外科周術期における 口腔ケア・衛生指導・嚥下訓練 4. PEGパス 5.摂食・嚥下外来 6.栄養サポート外来 7.糖尿病(週1回)・ 母親教室(月1回) 8.病棟カンファレンスの実施(脳外科・消化器) 9.消化器・脳外科・循環器・呼吸器NSTラウンド参加 10.各学会等への参加、発表 前橋赤十字病院 NST 当院の入院時スクリーニング 栄養 褥瘡 口腔 全入院患者に対し 病棟看護師が施行 について 入院時スクリーニング・再評価 前橋赤十字病院NST 前橋赤十字病院NST 栄養 褥瘡 口腔 スクリーニングと再評価は、3項目とも全て看護師が行う • 口腔乾燥 • 口 臭 • 舌 苔 • 口腔清掃不良 • 痰 汚 染 観察項目 口唇部のみ 口腔内まで 15cmで感知 30cmで感知 舌 の 1/2 舌 全 体 食 残 少 食 残 多 漿 液 性 粘 黄 性 口腔ケアの評価方法 あり(軽度) あり(重度) (病棟看護師が施行しスコア化) スコア 0 点 1 点 2 点 なし 評 価 前橋赤十字病院 NST ー ー ー ー ー 前橋赤十字病院NST 口腔ケア計画書
2013/1/21 1. 口腔状態の評価(乾燥) 前橋赤十字病院 NST 0 : 指が抵抗なく 口角から入る 1 : 指にやや抵抗がある (口唇乾燥) 2 : 指に抵抗がある (口腔内乾燥) 点数 評価内容 観察方法 2. 口腔状態の評価(口臭) 前橋赤十字病院 NST 0 : 感じない (15cmの距離で) 1 : 感じる (15cmの距離で) 2 : ウッと感じる (30cmの距離で) 点数 評価内容 観察方法 3. 口腔状態の評価(舌苔) 前橋赤十字病院 NST 0 : なし 可動良好 1 : あり、舌の1/2 可動あり 2 : あり、舌全面 可動不良 点数 評価内容 観察方法 4. 口腔状態の評価(口腔清掃) 前橋赤十字病院 NST 0 : 食物残渣、なし 1 : 食物残渣、少し (麻痺側確認) 2 : 食物残渣、多い (麻痺側確認) 点数 評価内容 観察方法 5. 口腔状態の評価(痰) 前橋赤十字病院 NST 0 : なし 1 : あり、奨液性 (指にやや抵抗あり) 2 : あり、粘黄性 (指に抵抗あり) 点数 評価内容 観察方法 歯科衛生士による 口腔ケア施行例の経時的変化 NST稼動 スクリーニング開始 前橋赤十字病院 NST 早期スクリーニング対応 摂食機能療法開始
摂食・嚥下外来 開設 ・2006年4月、開設 ・毎木曜日 午前:外来、VF、午後:訪問 ・ 歯科医師(摂食・嚥下専門):1名 ・ 言語聴覚士(産休中) : 1名 ・ 訪問看護師 : 1名 ・ その他、必要時に消化器専門医、 管理栄養士, 歯科衛生士など 摂食・嚥下外来患者の推移 250 260 270 280 290 300 310 320 330 2008年 2009年 2010年 2011年 摂食・嚥下外来風景 VF検査 退院前にVF検査 食べる体位、食形態、一口量をVF検査で決定してやっと退院! 毎週木曜日PM1:00~ 嚥下カンファレンス ST DHDH DH DH Ns Dr DH Dr 摂食嚥下 認定看護師
2013/1/21 前橋赤十字病院 NST 摂食・嚥下外来にて 嚥下食の試食 前橋赤十字病院 NST 重症急性膵炎の症例 発症26病日:舌の尖端1/4切除 下顎前歯部4本抜歯 発症46病日:人工呼吸器を離脱 発症55病日:一般病棟に転出 VFで嚥下評価 結果:舌による送り込み不良とス ピーチカニューレによる喉頭挙上 制限の可能性もあり、梨状窩に軽 度の残留を認めた。 対応:①舌の運動の強化、②舌の 運動を補えるような義歯の調整③ 梨状窩の残留に対しては、複数回 嚥下や交互嚥下を指導 口腔リハビリテーション 舌の運動強化を中心に 舌筋強化訓練やセルフケア に向けた自力での歯磨きの 獲得と含嗽訓練を行った。 その他、機能的口腔ケアの 継続と吸引チューブ咬み訓練 で咀嚼強化訓練も実施した。 発症174病日目:PEG施行 経口摂取:ペースト食とし、 残りはPEGから注入した。 本人と家族が在宅経腸栄養を 安全にできるよう、前橋胃ろう ネットワークのPEGファイルに 沿って指導を実施。 前橋赤十字病院 NST 口腔ケア実施風景 前橋赤十字病院 NST 人工呼吸器患者の口腔ケア ガーゼガムの作り方 前橋赤十字病院 NST 口腔機能回復と刺激唾液と満足感
ポジショニングと舌体操 前橋赤十字病院 NST ここまで急性期病院はかかわることができません!! 在宅や介護施設での継続を連携していく必要があります!! 前橋赤十字病院 NST 前橋赤十字病院 NST 前橋赤十字病院 NST 消化器外科周術期口腔ケアの推移 前橋赤十字病院 NST (例) 1 3 385 93 488 395 407 394 (年) NST稼働 8月より稼働 全身麻酔件数と 周術期口腔ケア実施件数の推移 (例) (年) 歯科衛生士が関わるのは全体の7分の1 DH介入口腔ケア 消化器以外
2013/1/21 栄養サポート外来 前橋赤十字病院NST ◆診療内容 ・在宅栄養管理(経口、経腸、経静脈)の必要な患者の栄 養アセスメントと栄養療法の指導 ◆診療時間 ・毎週木曜日 午後 ◆担当スタッフ ・外科医師 :1名 ・看護師 :1名 ・管理栄養士 :1名 ・歯科衛生士 :1名 ◆2010年度実績 ・延べ受診患者数 :126名 年齢・性別・原疾患 ・平均年齢:63.3歳 ・性別(男/女):14/7 前橋赤十字病院 NST 計 症例数(%) ・食道がん術後 ・膵頭十二指腸切除術 ・大腸がん術後 ・胃がん術後 ・高度肥満 ・パーキンソン症候群 ・慢性閉塞性肺疾患 原疾患 21 8 3 2 5 1 1 1 (38) (14) (9) (24) (5) (5) (5) 2010年4月~2011年3月に栄養サポート外来を 受診した33例のうち、2回以上受診した21例を対象 口腔状態 義歯のトラブル 4 (45) 1 3 2 (22) 1 1 3 (33) 1 2 21例中義歯装着が必要な13例のうち 義歯のトラブルがある症例:9例(42.8%) 前橋赤十字病院 NST 不適合 ・歯周病による歯牙の動揺 ・緩くてガタつく 未使用 ・何度作成しても合わない ・違和感が強く入れておけない 未作成 ・残根多数で未治療 ・自然脱落のまま放置 9 例(%) 前橋赤十字病院 NST 地域連携で経口摂取出来る喜びを!! ・かかりつけ医の先生方との連携が必要です。 ・普段からの診療で口腔管理の重要性を伝えていただきたい。 ・予定手術の場合は積極的に歯科治療をお願いします。 ・退院後の医科歯科のケア・フォローを連携していけるように。 前橋赤十字病院 NST ご静聴ありがとうございました。
場 所 群馬メディカルセンター「大ホール」
次 第
司会:群馬県在宅療養支援診療所連絡会
理 事 川 島 理
1.開 会
2.挨 拶 群馬県在宅療養支援診療所連絡会
会 長 小笠原 一 夫
3.講 演
座 長 群馬県在宅療養支援診療所連絡会
副会長 大 澤 誠
演 題 摂食・嚥下機能評価について
講 師 大川歯科医院
院 長 大 川 延 也 先生
- 質疑応答 -
4.閉 会
主 催 群馬県在宅療養支援診療所連絡会 共 催 群馬県医師会 -この講習は公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団の助成を受けています-2013/1/21 「口から食べるから元気になる」 東京都開業 大川延也 群馬県在宅療養支援診療所連絡会/群馬県医師会 2012.7.19
摂食・嚥下機能評価について
高齢化とともに口から食事を取
ることが難しい人が増えている
施設高齢者の関心事 (愛知医報:1998) 1位 2位 3位 特別養護 老人ホーム 食事 44.8% 行事参加 28.0% 家族訪問 25.3% 老人保健 施設 (n=1324) 食事 48.4% 家族訪問 40.0% 行事参加 35.2% 老人病院 (n=362) 食事 40.0% 家族訪問 39.4% テレビ 28.3% 療養型病院 (n=50) 食事 55.1% 家族訪問 55.1% テレビ 30.0% 経管栄養にした後の肺炎の発症率にはかな りのばらつきがみられ、誤嚥による肺炎の発 症を抑えられるわけではなく、その後のケア が重要である。(FinucaneTE) 急性期には3~4割の嚥下障害が認められる が慢性期まで残存するのは1割に満たない (才藤ら) 病院等での評価において退院時、転院時に経口 摂取ができないと判断された場合でも、その後回 復していくことを念頭におき、継続した評価とその 結果に基づいた対応を続けていくことが必要 食べられない人とは? • 「むせ」る(お茶や食事でむせる) • タン(痰)がからむ • 食事を食べこぼす • 食事のため込み (飲み込まない) • 歯がなくて食べられない (義歯があわない) • 歯が痛い、歯が粘膜にささる • 食欲がわかない だから刻み食、とろみ食、胃ろう? 在宅での摂食・嚥下評価 (誰が評価するのか?) • 嚥下障害のスクリーニングテスト • 外部観察・診査(聴診、触診、視診 etc) • VE検査 (嚥下内視鏡による)嚥下障害のスクリーニングテスト ①反復唾液嚥下テスト 30秒で3回以上が正常。のど仏の動きをみる ②改訂版水飲みテスト 冷水3ccを口に含ませ、飲み込ませる 嚥下するか?むせないか?呼吸が乱れてないか ③食物テスト 約4gのプリンを口に入れ、上記と同様に評価 同時に外部診査 • 喉頭挙上を触診 • 嚥下音を聴診 • 嚥下後の呼気音を確認 ①安全な食形態の選択 ②間接訓練によるリハビリ ③直接訓練による機能向上
刻み食は食べやすいのか?
刻み食は固形物+水分 正常な咀嚼機能と嚥下機能が必要 したがって嚥下障害ある方の食形態ではない!ー患者さんの変化を求めてー
廃用
症例 (81歳) H23年8月30日初診 • H19年10月 左視床出血 右マヒ • H23年1月 右大腿骨頸部骨折 • 4年間 経管栄養 (エンシュア 5本/ day) この4年間経口摂取なし (要介護5) 家族の希望としてお楽しみ程度でも 口から 食べられれば、、、、 (主訴) 経口摂取が可能か?もし可能ならどんな物が、 検査結果 • 嚥下機能には問題なし • 4年間経口摂取していなかったので、最初は ゼリー、とろみをつけて上唇でぬぐうように 一口量に注意して直接訓練していく。 • 間接訓練としては頬、口唇、舌のリハビリ 特に右側を強化する • まず、上顎旧義歯を改造装着していく2013/1/21 ADL・QOL 向上 • 体重が増えてきた 53.2kg 53.8kg • アイスクリーム1カップは簡単に食べる 捕食の仕方よくなり、嚥下反応早く、ムセ(-) • 23年1月骨折以来歩いていなかったが 移乗: ベット 車いす トイレ 先週は介助つきでトイレに歩いて行った • はっきりした声、発音ができるようになった “あ い う え お” “は~い“ “おはよう” “ありがとう“ etc,etc 今後の方針(希望) • 週1回、歯科衛生士による口腔ケア・リハビリ を導入していく • 非常に難しいが、下顎にも総義歯を作製する • それにともない食形態の向上、発音・発語の 向上を望む(ST の参入ができれば、、、、) • さらなるADL・QOLの向上を時間をかけて 目指していく • 2回目のVE検査を行う 症例:79歳 男性 • 診断: 脳梗塞左片麻痺 脳血管性認知症 高血圧 • 2007年 2月 脳梗塞入院(東大和病院) • 構音障害・嚥下障害があり、3月胃瘻造設 • 5月退院、訪問診療となる • 生活状況:妻、長男と3人暮らし。妻の介護に 対する不安が大きく、また体調不良から施設 への希望が強い 初回訪問時現症 • 車いすレベル、端座位不可、立位不可、 起き上がり全介助、車いす移乗全介助 寝返り全介助 (要介護5) • 食事は一部介助にて経口摂取(要1時間) • 残りミキサーにかけて胃瘻より注入、水分は胃 瘻から • 入れ歯はあわない、会話時に落ちる、 臥床時入れ歯が落ちて口をふさぐ。 • 排尿は尿器で行うが排尿まで30分要す 奥さんはこのような状態の人は自宅で介護は 困難ではないかと思っている。 • 投薬:ワーファリン(1) 1T バッファリン81 1T デパケン 4.5mg • コミュニケーションはとれる(最初は) • 総入れ歯ははずれやすく、食事が難しい • 体幹機能低下歩行困難、車いす(1時間) • 12月肺炎発症からいっきにレベルダウン • 家族の介護負担増大 PT(理学療法士)によるアプローチ • 座位バランスの向上、座位時間の延長(車い すで長く座っていられなかった) 耐久性、体力の向上 デイケアへつなげる(デイで座っていられるだ けの体力をつける) • トランスファーの介助量軽減(家族の介護負 担の軽減) 体幹機能低下の向上をめざす
全身的アプローチ • 訪問看護師による全身看護ケアと家族の精神 的サポートケア • がたがたの入れ歯を安定させる • 義歯(装具)ができたら食べるための口づくり口 腔ケア・口腔リハビリ(家族への指導) • 摂食・嚥下評価 VE検査 歯科的アプローチ 装具(義歯)ができたら 食べるための口づくり “口腔リハビリ” 研究では • 無歯顎者における歯周病原因菌の存在部位 無歯顎者の口腔内では舌背及び義歯が 歯周病原性細菌の温床になっている 2009.老年歯科学会 東京歯科大学口腔科学研究センター 安井・竜・櫻井・石原 検査結果は? 安全・安心な嚥下のためには 食形態のレベルを下げた方が良い ゼリーとの交互嚥下が望ましい 患者のQOLは低下 義歯の顎位が左側前方偏位 さらに低位咬合 • 麻痺側の舌・頬・口唇を中心に口腔周囲筋の リハビリ強化 • 義歯を新製し、偏位した顎位および咬合高径 を改善する。 現在の機能にあわせた
装具
をつくる 私はあきらめない!リハビリをして原疾患が
治るわけではない
廃用症候をなくすことが大切2013/1/21 経過 運動機能 障害の程度 軽度 重度 リハビリ 廃用症候群の出現
歯医者がつくる廃用症候群
責任重大
症例 (92歳) 女性 H19年11月施設近くの歯科医院にて義歯装着 1ヵ月以上たつのに義歯落ちる、うまく噛めない 半月位前から活気なく、しゃべらなくなった。 また食べこぼしたり、手から物をよく落とす。 痙攣のような不随意運動も見られ全体的に レベルが落ちてきている。 スタッフ会議では「この年齢では仕方ない、病院 に入院させよう」という意見が大勢をしめた。 しかし担当看護師だけは・・・ 廃用症候群では 1日で2%の筋力が落ちる 人間は1年で1%の筋力がおちる 東北大学医学部付属病院 内部障害リハビリテーション科 上月正博 教授 「寝かせきり」にしたら「寝たきり」になる 研究では • 無歯顎者における歯周病原因菌の存在部位 無歯顎者の口腔内では舌背及び義歯が 歯周病原性細菌の温床になっている 2009.老年歯科学会 東京歯科大学口腔科学研究センター 安井・竜・櫻井・石原 今後の目標 バナナボート食で食形態の目安 ①やわらかバナナ ②やわらか刻み状食 ③やわらかつぶし状食 ④ペースト ⑤ペースト+ヨーグルト戻る力のある人に、手遅れ
にならないうちに
家族、ケアスタッフとの協働口から食べられない人には
神経難病の口腔ケア
研究では • 口腔ケアが要介護高齢者の免疫機能に及ぼ す影響 2009.老年歯科学会 東京医科歯科大学大学院歯学総合研究科 高齢者歯科学分野 山田・星野・植松 口腔ケアの効果としては口腔細菌の減少よりも 免疫機能の向上が寄与しているものと考えられる。 要介護高齢者の対する口腔ケアは、NK活性を上昇させる ことが明らかになった。 大川先生こんばんは。いつも父を気にかけてくださり本当にありがとうござい ます。 実は昨日体調悪化しまして救急搬送され昨夜の23時過ぎに亡くなりました。 自宅が好きな父だったので夜中の3時頃自宅に帰りました。とても穏やかな顔 と言われます。 亡くなってからのケアをモアブラシでしました。大川先生と守部さんにお会いで きて 口腔ケアで、あんなに気持ちの良いリラックスした顔が作れる時間を過ご せてとっても幸せでした。父のあの表情が物語っています。 今もその時のような表情をしています。 大川先生の口腔ケアの取り組み方や患者さんに対する接し方に本当に感動 しました。 父を見て下さり本当にありがとうございました。出会いに感謝しています。 H24年2月6日 口腔ケアの重要性 • 装具としての義歯・歯 • 食べられる口づくり • 誤嚥性肺炎の予防 安心・安全な嚥下をするために! 生きることを支援するために! (歯科医の役割り) 多職種・家族の 協力が必要 神経難病の口腔ケア • 肺炎予防(口腔清掃 = 破壊と回収) • 不快症状の緩和 疼痛、乾燥、首、肩のこり、審美 etc • 表情の変化 頭、顔面の皮膚を軟らかく 気持ちよくしてあげましょう!2013/1/21 • 今もっているかもしれない能力を引き出す • 何もしなければ進行+廃用 • 廃用部分をなくしていければ、 “患者さんのよろこびは我がよろこび”
元気と
やる気と
勇気を
与えてくれる《ありがとう》
場 所 群馬メディカルセンター 2階「大ホール」 司 会 群馬県在宅療養支援診療所連絡会 副会長 大 澤 誠 次 第 1.開 会 2.挨 拶 群馬県在宅療養支援診療所連絡会 会長 小笠原 一 夫 3.講 演 座長 群馬県在宅療養支援診療所連絡会 副会長 大 澤 誠 演題 1「嚥下内視鏡による摂食嚥下機能評価の実際」 講師 群馬県在宅療養支援診療所連絡会 副会長 川 島 崇 先生 演題 2「摂食嚥下機能評価と在宅における訓練」 講師 足利赤十字病院リハビリテーション科 部長 馬 場 尊 先生 - 質 疑 応 答 - 4.閉 会 主催:群馬県在宅療養支援診療所連絡会 共催:群馬県医師会
2013/1/22 「嚥下内視鏡を用による 摂食嚥下機能評価の実際」 在宅療養支援診療所連絡会 副会長 川島 崇 2013年1月10日 症例の紹介 • (主病名)脳梗塞 (右麻痺) • (現病歴) 反復する誤嚥性肺炎 入院 H24.5.7~22 6.7~22 6.25~7.31 7/19peg造設、 H24.8.誤嚥性肺炎、尿路感染症 (H24.8.2~8.14入院) • (介護度)要介護4 • (ADL) • 食事:経管栄養、 • 排泄:オムツ交換、入浴:中間、移乗:介助、移動:全介助 • 意志疎通:言語障害あり。意思表示はジェスチャーが主 症例 K・R 男 S21年7月6日生 (66才) • (摂食・嚥下機能の状況) 経口摂取するも誤嚥性肺炎を繰り返し、経管栄養となってい る。経口では何も食べていない。痰からみがひどい状態。 • (検討課題)経管栄養であるが本人の食への気持ちが強い ので、経口摂取が可能かどうか判断をお願いしたい • ↓ • とろみ水:咽頭残留(-)喉頭侵入(少量)誤嚥(有) • ゼリー:咽頭残留(中等以上)喉頭侵入(中等以上)誤嚥(中 等以上) 経口での食事摂取は不能 • (主病名)アルツハイマー病、脳梗塞 • (介護度)要介護5 • (ADL) • 食事:全介助、 • 排泄:オムツ交換、入浴:機械浴、移乗・移動:全介助 • 意志疎通:認知症により意志疎通困難 症例 I・T 女 S5年3月30日生 (83才) • (摂食・嚥下機能の状況) 口の中にため込んでしまい、のどに流れてしまう感じで飲み 込まれる。副食にとろみを強くしないと口から流れ出てしまう。 つばにむせてしまう (検討課題) 徐々にムセも多くなり、飲み込みが悪くなっている。経口摂取 が継続できるように安全に食べられる方法を検討したい • (改善点) 上手に送り込めないので、摂食時の姿勢をファーラー位(半 座位. 上半身を45起こした体位)にして送り込みをアシストする 舌の動きが悪いため、食前に舌を動かすようなリハビリをした り口腔内のストレッチをしたりしてから摂取したほうがよい。(今 回モアブラシを紹介しました。) 症例 K・K (病名)脳梗塞後遺症、潰瘍性大腸炎、症候性てんかん、 脳動静脈奇形、肝障害、前立腺肥大症、逆流性食道炎 男S14年1月4日生 (73 才) (病歴) 脳動静脈奇形術後による左上下肢の片麻痺に加え、平 成13年3月、脳梗塞(右不全片麻痺)発症したため歩行障 害がさらに著明になった。同年6月に急性胆のう炎を発症 し、廃用の進行により車椅子対応になり、認知機能の低 下はすすみ、意欲減退発語も乏しくなった。 平成10年頃から潰瘍性大腸炎の治療もしている。
ADL • (介護度)要介護4 • (ADL)ほぼ全介助 • 基本動作もほぼ介助を要し、自力での座位保持困難で、立 ち直り反応も見られない。右上肢は随意運動可能(ブルンス トロームステージ:上肢・手指ともにⅣ~Ⅴ)。左上肢と両下 肢は実用的な運動は困難。体幹機能は低く、頭頸部~背部 ~下肢と伸筋群の筋緊張亢進が見られる。車イス座位では、 バックレストに寄りかかり頭頸部は伸展位をとりやすい。 • 覚醒度にむらがあり傾眠傾向のときもある。注意散漫もある。 摂食・嚥下機能の状況 • 水分はむせてしまうため、トロミ又はゼリーにしている。主食 はお粥で、副食は普通食を摂取している。覚醒状態のよい 時は口頭での促しでスプーンを用いて自力摂取可能である が、それ以外は介助にて摂取している。 • 注意散漫のため、嚥下時も頭頸部が伸展位をとりやすいた め口頭での促しを必要とすることが多い。 • 通所リハビリ利用時の食事では、周囲が気になり注意がそ れてしまう。痰のからまりがあり、必要時は吸引を行なってい る。通所リハビリでの歯磨きは介助にて行なっている。 • (コミュニケーションは会話のキャッチボールは難しいが、簡 単な意思の疎通は可能である。) 症例 T・M 女 T4年3月31日生 (97才) • 病名:認知症、気管支喘息、イレウス、左大腿骨骨折 • 要介護5 • (ADL)車椅子に座っているだけで、その他全介助。声かけ に返事はあるが、発話内容は不明。現在ADLはほぼ全介助 状態
群馬県在宅療養支援診療所連絡会 講 演 会 摂食嚥下機能評価と在宅における訓練 ⾜利⾚⼗字病院リハ科 ⾺場 尊 ⾜利⾚⼗字病院リハ科 ⾺場 尊 目 次 1. 摂食嚥下障害とは 2. 嚥下の運動学 – プロセスモデル 3. 摂食嚥下の評価 – JSDRの摂食・嚥下障害の評価(簡易版) – 嚥下内視鏡検査・嚥下造影 4. 嚥下訓練 摂食嚥下 • 必要物質を体内に取り込むための運動機能 – 麻痺,形態異常で機能低下 – 不用で機能低下(廃用) – 過負荷の法則 – 運動学習理論 機能増強・改善 摂食嚥下障害の治療の目標 1. 食べ物を口に入れる:捕食 2. 咀嚼する:食塊形成 3. 嚥下する:食塊を、気道ではなく食道に入れる – 嚥下運動そのものは単純で機能は1つ – 運動効率や容姿は不問 – ただし、嚥下を見て直達できない。 ICIDH (国際障害分類), WHO; 1980 • 機能障害:臓器レベル – 例)脊髄損傷で対麻痺(下肢麻痺) • 能力低下:個人レベル – 例)下肢麻痺で歩行障害 • 社会的不利:環境レベル – 例)歩行困難で復職困難 ICIDH (国際障害分類), WHO; 1980 • 機能障害:臓器レベル – 例)脳幹障害で咽頭麻痺 • 能力低下:個人レベル – 例)咽頭麻痺で嚥下障害 • 社会的不利:環境レベル – 例)嚥下困難で会食参加困難
– 道具の使用→経管栄養 • 社会的不利へ – 環境調整 – 例)嚥下調整食
• 運動学習
リハビリの3つ戦術• 廃用予防
• 健側強化・機能回復
• 運動学習
廃用症候群と摂食嚥下障害 • 意欲の低下 • 口腔・咽頭衛生の不良 • 嚥下関連筋群の筋力低下 • 顎、頚部可動域制限 嚥下の廃用 1日の嚥下回数、500から800回 1食、100から150回 唾液は1日、1000mlから1500ml絶飲食・経管栄養
気管内挿管・口呼吸
1日の嚥下回数 は?? リハビリの3つ戦術• 廃用予防
• 健側強化・機能回復
• 運動学習
健側強化・健側使用 • 代償法 • 姿勢調整法 SSGSSGS EffS Mendelshon リハビリの3つ戦術
• 廃用予防
• 健側強化・機能回復
• 運動学習
運動学習とフィードバック • フィードバックなしに学習は成立しない – 目標とそれを行う方法・行動法 – その方向に、向いているか否か • 外的フィードバック – 他者がコーチする • 内的フィードバック – 自らの感覚器で知覚する バイオフィードバック • 生体現象を物理現象に変換して感覚させる – 視覚 – 聴覚 – 触覚・温痛覚 • 筋収縮 – 筋電図 • 咽頭・喉頭の運動嚥下内視鏡
ヒトの嚥下の2様式 • 液体嚥下: drinking • command swallow:命令嚥下 • Four stage model• 咀嚼嚥下: eating • chew-swallow complex:咀嚼嚥下連関 • Process model • stage II transport 液体嚥下:4期モデル 食道期 口腔送 り込み 期 口腔準備期 Stage II transport Stage I
transport Pharyngeal Esophageal
咽頭期
Processing
能動的に咽頭(喉頭蓋谷)へ 輸送すること コンビーフ咀嚼嚥下 混合 咀嚼嚥下 (下咽頭) (口腔咽頭)
OC: Oral Cavity UOP: Upper Oropharynx VAL: Valleculae HYP: Hypopharynx 硬口蓋後端 下顎骨下縁 喉頭蓋 UOP VAL HYP OC XrayPのランドマーク 武田斉子ら:咀嚼が食塊の咽頭進行に及ぼす影響.リハ医学,2001 液体 半固形物 混合物 % 0 20 40 60 80 100
UOP VAL HYP
OC 嚥下反射直前の食塊先端位置 ヒトの咀嚼嚥下 • 元来のほ乳類の嚥下 – 喉頭蓋谷に食塊を進行させる • Stage II transport – 喉頭蓋谷は中咽頭 • 液体は下咽頭へ落ちる – 咽頭期嚥下運動の性能が非常に重要 • 嚥下反射はどのようにコントロールされているの か? ヒトの液体嚥下 • 生理的な経管栄養 – 誤嚥を防ぐため,咽頭を短時間,完全な食物 道(管)にする. – 短時間に一気に流し込む. 味わいの問題 最も誤嚥しやすいものは? • 液体と固形物の混合物
摂食・嚥下障害の評価(簡易版) • 最低限診ておくべきポイントを示す • 結果を一枚の表とする • JSDR認定士が施行できるレベルとする • 未評価は空欄として,理由を余白の部分の部分に記載 する • 他施設などに紹介する場合の共通理解の一助にする 1. 認知 • 意識レベル – 周囲に気配りができていれば「清明」 – 何も刺激を与えないで開眼しなければ「傾眠」 • 意思表示 – 手段を問わない。 • 従命 – 具体的に「グー,チョキ,パーをしてください」「口をとがら せてください」など – 失行があればその旨を記載する。 • 食への意欲 – 食べられないことと食欲がないことを区別する 2. 食事 • 摂取姿勢 – 端座位 – 座位が可能でもベッド上はBed up • 摂取方法 – 監視:声かけなど – はじめは自力摂取で途中から介助の場合は矢印で記載する。 • 飲食中のムセ – 実際の摂食場面を観察する. – まれ:食事中1,2 回,頻回:3 回以上 • 流涎 – 多量:食事場面以外でも常時 – 唾液が飲み込めない場合はそのように記載する。 3. 頚部 • 頸部可動域 – 前屈(屈曲)正常は60度 • 少し動く:軽い会釈程度 – 後屈(伸展)正常は50 度 • 少し動く:多少顎が上がる程度 – 回旋 正常は60度 • 少し動く:顎が多少振れる程度 4. 口腔 • 義歯 – 「不要」歯が揃っており義歯が必要のない場合 – 「要」義歯が必要な場合 – 「適合」がたつき,痛みなどのなく義歯を使用 – 「不良」不具合を訴えながらもなんとか義歯を使用 – 「なし」義歯装着が望ましいが装着なし • 衛生状態(口腔) – 「不良」食物残渣,剥離上皮や粘着物の付着 – 「不十分」食物残渣はないが歯垢や歯石が目立つ – 「良好」ほとんど歯垢や歯石が見られない 5. 口腔咽頭機能 • 口角下垂:口唇を閉鎖させた状態で口角下垂の有無を評価する. • 軟口蓋運動(/ ア/ 発声時):/ ア/ 発声時の軟口蓋の挙上運動を評価 する. – 「不十分」挙上が少ない場合あるいは口蓋垂の偏位を伴う場合 • 咬合力 – 「十分」普通食。「不十分」軟食 • 舌運動:口を軽く開けた状態で舌をできるだけ前に出させる – 「十分」下唇より前下方に出せる – 舌尖の偏位がある場合は偏位している方向を記載する. • 口腔感覚異常 – こよりなどで上唇,下唇,舌に軽く触れる
– 「重度」内容の推測が困難 • 開鼻声 / アー/ 発声時 – 「重度」鼻にかかった感じが強く,/ ンー/ のように聞こえてしまえば とする. – 「不十分」腹筋は収縮するが,しっかりとした発声なし – 「不可」腹筋の収縮がほとんどなし • 指示理解の問題で,評価困難な場合は,「不十分」としてその他の欄に その旨を記載する. 8. スクリーニング • RSST(反復唾液嚥下テスト) – 人先指で舌骨,中指で甲状軟骨を触知した状態で空嚥下 を指示し,30 秒間の回数を数える(原法は触診) – 聴診器で嚥下音の確認と触診を併用すると正確になる. – 喉頭隆起が完全に中指を乗り越えた場合に1 回と数え, 30 秒間に3 回未満の場合にテスト陽性,すなわち問題あ りとする. • 誤嚥症例を同定する感度は0.98,特異度は0.66 – テスト陰性3であれば誤嚥の確率はかなり低い – テスト陽性のときに実際に誤嚥する確率は75% 程度 8. スクリーニング • MWST(改訂水飲みテスト) – シリンジで冷水を3 ml 計量 – 利き手でシリンジを持ち,逆手の指を舌骨と甲状軟骨上に置く. – 口腔底にゆっくりいれて嚥下するように指示する. – 嚥下を触診で確認する. – 嚥下が起こったあと,「エー」などと発声させ湿性嗄声を確認 – むせ、湿性嗄声がなければ,反復嚥下を2 回行わせる. • 記載:MWSTを施行した場合は,3 ml に印をつける。 – 3 ml 以外の量を使用した場合は,その量を明記 – MWST を行ってから,より負荷の大きい水飲みテストを行った場合 には,その他に記載 – MWST で評価不能となった場合は,その旨をその他に記載 9. 脱水・低栄養 • 皮膚・目・口の乾燥 – 皮膚の張り具合、かさつき – 涙の減少し,眼球結膜,角膜が潤いがない状態 – 唾液分泌減少は脱水によっても起こり,口唇がかさかさと乾燥し, 口の中の潤いがなくねばねばした状態 • るいそう(痩せ) – 基本的には服を着たままの状態で可能な範囲で臨床的に評価する. • その他 – 最近の体重減少,脱水と関連したデータ(尿素窒素の上昇),低栄養を示すデー タ(アルブミンの低下など)など,把握できている関連情報があれば,その他に記 載する. 嚥下内視鏡検査の目的 評価 • 咽頭期の機能障害の診断 • 器質的障害の評価(耳鼻科) 治療 • 嚥下手技・姿勢調整法の効果の確認 • バイオフィードバック 説明・教育 • インフォームド・コンセント
吸気時 発声時 VE で観察できる咽頭・喉頭の解剖 咽頭後壁 耳管咽頭筋 軟口蓋 喉頭蓋 喉頭蓋谷 声帯 仮声帯 背側 右 左 舌根 咽頭後壁 梨状窩 披裂間切痕 披裂 咽頭喉頭蓋襞 VE で観察できる咽頭・喉頭の解剖 観察点1 nasopharynx →鼻腔閉鎖機能の評 価 軟口蓋 喉頭蓋 喉頭蓋谷 観察点2(高位置) oropharynx →咽頭・喉頭蓋の評価 声帯 披裂襞 観察点3(低位置) posterior to the epiglottis
→喉頭・声帯の機能評価 観察ポイント 1. 総鼻道へファイバーをすすめながら鼻腔内を観察 2. 軟口蓋の挙上(収縮)を発声時、嚥下時で評価 → 液体などを飲ませ、鼻腔内への逆流を観察 3. 高位置で喉頭蓋谷や梨状窩などの咽頭や、奥舌を観察 →器質的疾患、炎症、浮腫など →粘膜の性状、食物残渣、唾液・分泌物の貯留と性状、自然 嚥下の頻度,咽頭腔の広がり具合(左右差)など ・喉頭蓋谷は、舌を突出させると観察しやすい. ・頭部伸展させると、咽頭腔の観察がしやすい. VE の実際(1): -鼻腔・咽頭観察 - 吸気時 発声時 上咽頭側壁の収縮:左右差の有無にも留意 鼻咽腔の観察 1. 低位置で喉頭前庭の観察 • 分泌物の性状と貯留の程度 • 自然嚥下前後の唾液の喉頭内侵入の有無 2. 喉頭蓋,被裂間切痕,仮声帯,声帯 • 構造,色調,浮腫の有無 • 息こらえによる喉頭閉鎖能力の観察 3. 声帯・被裂の動き • 発声・痰の喀出機能の評価 4. 嚥下時の喉頭の動き • ホワイトアウトまで VE の実際(2): - 喉頭の観察 -
Aspiration Penetration 嚥下前あるいは嚥下後の観察 VFでわからない誤嚥 透視は全てを写しださない 50%バリウム嚥下後 50%バリウムと米飯嚥下後 嚥下造影の目標 • 直接訓練の計画を立てること – 運動を評価する • 誤嚥や残留の要因を検討 • 病態診断 – 有効な姿勢・嚥下法を検討 • 治療志向 – リスク管理 • 不顕性誤嚥の診断 運動学的評価 • 物の位置変化の追跡による評価 – 座標と時間 • 距離・所要時間(速度・加速度) – 軌跡・軌道 • 物体と物体の位置 – 喉頭と食塊→誤嚥 – 姿勢変化と食塊→食物道の変化 嚥下造影の特徴 • 体内を可視化 – 造影剤・臓器の動き – それらの位置関係の時系列による変化がみれる – 2次元・透過像 • 録音 – 環境音・披検者の反応と声・検者の音声 – 被験物質の情報,湿性嗄声など • 透視室内の出来事である – 実際の食事場面ではない
嚥下造影の終了判断基準 • リハビリテーションを計画するのに必要な情報を 取得したら終了 – 嚥下障害の病態の理解 – 直接訓練が可能な状態かの判断 – 直接訓練を施行する条件 • 食形態・姿勢・嚥下法 以上がわかったら,直ちに終了 – 被曝量を可能な限り少なくする工夫 VEとVF VF VE 被曝 あり なし 携行性・実際の食事の評価 不可 良 準備期・口腔期の評価 優 極一部可 咽頭期運動の評価 優 極一部可 誤嚥の同定 優 優 食道の評価 良 不可 唾液貯留・軟部組織の評価 可 優 咽頭残留の評価 良 優 運動学的・鳥瞰的評価 優 可 非直接訓練 • 口腔ケア • 間接訓練 – 筋力訓練 – 可動域訓練 – 呼吸訓練 直接訓練 • 嚥下手技、姿勢調整法を理解することが前提 – VFで評価検討することが望ましい。 • 食環境を整える – 食事に集中できる環境 – リスク管理 • 食形態、一口量、ペースを守る – とろみ食品の規格化、適切な食具 • 声をかけて良いとき、悪いときを理解する