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日本糖尿病学会誌第58巻臨時増刊号

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Academic year: 2021

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喫煙は高用量ステロイドによる新規発症ステロイド糖尿病 の危険因子である 南雲 彩子1 ,杉山 隆夫2 ,佐藤 悠太1 ,鈴木佐和子3 ,田中 知明3 龍野 一郎1 東邦大学医療センター佐倉病院内科糖尿病・内分泌・代謝センター1 ,国立病院機構下 志津病院リウマチ科2 ,千葉大学大学院細胞治療内科学講座3 【目的】高用量ステロイドは新規ステロイド糖尿病の原因として知られている が,その危険因子は未だ明らかでない.我々は高用量ステロイド使用時のス テロイド糖尿病発症の危険因子を検討した. 【方法】千葉下志津リウマチコホート研究登録患者のうち,過去に糖尿病と診 断されたことのない681名の高用量ステロイド投与患者を解析した.平均年齢 46.3±16.7歳,PSL投与量40.0±14.1mg!日であった. 【結果】ステロイド糖尿病は26.3%発症し,ステロイド糖尿病群はより高齢で, BMIが高く,女性,SLEの患者の頻度が低く,喫煙が多く,アルコール量が 多く,MPAの頻度が高かった.多変量ロジスティック回帰分析では,治療開 始年齢のオッズ比1.556,BMI 1.062,喫煙1.664,初期PSL投与量1.250であっ た. 【結論】喫煙は,年齢,BMI,ステロイド初期投与量に加えてより高い危険因 子であると考えられた.

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ステロイド治療におけるステロイド糖尿病発症要因の検討 黒木 康雄1,岩崎 真也1,河合 保典2,塩田絵里子2,佐伯 暢生2 神戸百年記念病院内科1,神戸百年記念病院耳鼻咽喉科2 【目的】朝食前後での血糖値,インスリン,Cペプチド測定(食事負荷テス ト)によるステロイド糖尿病の発症予測の検討【方法】対象は,新規にプ レドニゾロン(PSL)投与した31名(平均年齢57.0±14.4歳,平均PSL投与 量70.5±37.5 mg!dl,HbA1c6.1±0.6%).朝食前および食事開始60分後に, 血糖値(BS),インスリン(IRI),血中Cペプチド(CPR)を測定,一日血 糖で食後血糖値≧200mg!dlの症例をステロイド糖尿病群(n=13)とし, 正常群(n=18)比較した. 【成績】ステロイド糖尿病群は正常群に比して,年齢,HbA1c,空腹時血糖 が有意に高く,食負荷テストでは血糖60分値が有意に上昇,CPR index60 分値,ΔIRI!ΔBS,ΔCPR!ΔBSも有意に低下していた(p<0.01).【結論】ス テロイド投与時のステロイド発症予測に食事負荷テストが有用であること が示唆された.[HbA1c:NGSP値]

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内分泌性糖尿病患者の内臓脂肪におけるコルチゾール代謝 酵素のエピジェネティクス 武田 仁裕,米田 隆,米谷 充弘,八木 邦公,武田 仁勇 金沢大学大学院臓器機能制御学(内分泌代謝内科) 【目的】内分泌性糖尿病であるクッシング症候群(Cu)及び原発性アルド ステロン症におけるコルチゾール代謝酵素である11β"hydroxysteroid dehy-drogenase 1(11β"HSD1)mRNA発現とメチレーションの関係について検 討した.【方法】Cu(n=5),アルドステロン産生腺腫(APA)(n=5),非 機能性副腎腺腫(Non"F)(n=5)における内臓脂肪組織を用いて11β"HSD 1mRNAをreal time PCR法,メチレーションの有無をバイサルファイト シークエンスにより検討した.【成績】Cuは本酵素遺伝子発現が高値(p< 0.05).APAでは高メチル化状態であった(p<0.05).【結論】Cu患者にお いて内臓脂肪での11β"HSD1の病態への関与が示唆された.

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腎疾患に対するステロイド治療中の糖尿病発症・増悪に関 する検討 富樫 信彦2 ,山下 智久1 ,大野 絋平1 ,高田 昭典2 ,大沼 義人2 長谷川 徹2,土田 哲人2,遠藤 利昭2,安藤 利昭2 JR札幌病院腎臓内科1 ,JR札幌病院循環器内科2 背景:ステロイド誘発性糖尿病(SI"DM)の発症率は約8%程度と報告されて いるが,どのような患者群でSI"DMが発症するか,十分明らかにされていな い. 方法:当院でステロイドが開始された腎疾患治療患者を対象とし,糖尿病合 併・発症例を検討した. 結果:43名の患者がステロイド治療を開始され,4名は腎疾患発症前から2型 糖尿病(DM群)と診断されて薬物治療を受けていた.糖尿病非合併の39名中 8名(20.5%)がSI"DMと診断された. DM,SI"DM群とそれら以外の群の3群で比較すると,年齢はSI"DM群で,治 療前のHbA1cはDM群とSI"DM群で他の群に比較して有意に高値であった. 結論:腎疾患治療時のSI"DM発症率は20%程度と,高率であった.高齢者や 治療前のHbA1c高値がSI"DMのリスクとなる可能性が疑われた. [HbA1c:NGSP値]

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IgG4関連疾患(IgG4!RD)におけるステロイド治療と耐 糖能に関する検討 竹島 健,宮田佳穂里,山岡 博之,瀬藤 賀代,古川 安志, 太田 敬之,松谷 紀彦,石橋 達也,稲葉 秀文,川嶋 弘道, 有安 宏之,古田 浩人,西 理宏,赤水 尚史 和歌山県立医科大学内科学第1講座 2012年5月から2014年11月に当科を受診し,包括・各臓器診断基準でIgG4" RDが疑われた27例を対象に耐糖能に関する検討を行った.包括診断基準で 確診16例,各臓器診断基準で自己免疫性膵炎(以下AIP)確診11例であっ た.AIP合併例では,初診時HbA1cはステロイド導入済5例6.7"11.9%,未 治療6例5.7"7.7%,インスリン分泌能は,ステロイド導入済3例,未治療例3 例で軽度低下を認めたが枯渇例はなかった.PSL 5mgまで減量できた5例は 食事療法のみでHbA1cが正常化した.AIP非合併12!15例がステロイド治療 を行い,うち11例はステロイド減量により食事療法のみでHbA1c 6%以下 のコントロールであった.IgG4"RDのステロイド治療時に一過性に耐糖能 悪化を認めたが,減量に伴い耐糖能異常は軽快した.早期治療によりイン スリン分泌能の維持・回復を測れる可能性が示唆された. [HbA1c:NGSP値]

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ステロイド糖尿病の治療薬についての検討―当院のステロ イド糖尿病の治療現状に基づいて 瑛超,焦 裕之,谷川 和子,鈴木 俊伸,鈴木 智子, 橋本久仁彦 NTT西日本大阪病院糖尿病・内分泌内科 【目的】ステロイド糖尿病の経口薬による治療法はまだ確立されていない. 今回,当院の治療現状に基づき,適切な経口薬,必要な薬剤数について検 討した.【対象と方法】当院ステロイド糖尿病患者21例(男!女 6!15,年 齢68±9歳)の治療内容について検討した.【結果】DPP"4阻害薬の使用例 が一番多かった.無投薬でDPP"4阻害薬を開始した3例と他の経口薬にDPP" 4阻害薬を追加した2例では,投与前と比べHbA1cは開始後3ヶ月で0.40%± 0.12%,6ヶ月で0.82%±0.31%低下した.新規発症で経口薬のみ投与されて いる11例で薬剤数とCPR indexに有意な正の相関を認めた(相関係数0.633, P=0.036).【考察】DPP"4阻害薬はステロイド糖尿病にも効果を認めた. またCPR indexが高いほど,治療に必要な薬剤数も多くなると考えられた. [HbA1c:NGSP値]

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内科におけるMODY頻度と診断に有用な臨床的特徴 滝澤 美保1,岩 直子1,2,3,尾形真規子1,井出 理沙1,佐伯 新子1 富岡 光枝1 東京女子医科大学糖尿病センター内科1,東京女子医科大学遺伝子医療センター2,東 京女子医科大学統合医科学研究所3 【目的】MODYの頻度は稀でなく,近年では遺伝子診断によるPersonalized Medicineが注目されている.内科診療におけるMODY診断を総括し,意義 を明らかにすることを目的とした.【方法】対象は1992年から2014年3月ま でに遺伝子解析研究に同意した患者で,診断時年齢が30歳未満,自己抗体 陽性者を除外した273名.臨床所見に基づいてMODY1,MODY2,MODY3, MODY5,WFS1遺伝子を検討した.【成績】男136,女137,診断時18.8±6.1 歳.34名(12.4%)に変異が見出され,MODY1変異3例,MODY2変異3例, MODY3変異13例,MODY5変異13例を認めた.Wolfram症候群2例でWFS 遺伝子変異を同定した.変異群は痩せ型で,診断年齢がより若かった.【結 論】自己抗体陰性,痩せ型の30歳未満診断例は遺伝子異常による糖尿病を 積極的に疑う必要がある.[HbA1c:NGSP値]

II−4−8

MODY型の非肥満若年発症糖尿病の新たな発症分子機構の 同定 依藤 亨1,榊原 杏美1,橋本有紀子1,川北 理恵1,細川 悠紀1 藤丸 季可1,松原 圭子4,鏡 雅代4,畑毛 一枝2,玉川 信吉3 村上 明子3 大阪市立総合医療センター小児代謝・内分泌内科1,大阪市立総合医療センター臨床 研究センター2,大阪市立総合医療センター遺伝子診療部3,国立成育医療研究センター 分子内分泌研究部4 【対象と方法】MODYを疑われて遺伝子検査を行い,既知の遺伝子に変異を 認めなかった113症例について,メチル化特異的PCRにより6q24部位のメチ ル化異常をスクリーニングした.【結果】3例に父性片親性ダイソミーを同 定した.全例が低出生体重で,新生児期に高血糖は見られなかった.【結語】 6q24メチル化異常が必ずしもTNDMをきたさず,小児期以降のMODY型糖 尿病の原因となりうることを初めて証明した.[HbA1c:NGSP値]

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日本人MODY 6の4症例についての検討 塩谷真由美1,堀川 幸男1,橋本 健一1,廣田 卓男6,諏訪 哲也6 間部 裕代2,福嶋 3,大橋 正明4,池田 富貴5,武田 1 岐阜大学医学部附属病院糖尿病代謝内科1,熊本大学医学部附属病院小児科2,済生会 川口総合病院小児科3,佐久総合病院内科4,順天堂大学大学院医学研究科代謝内分泌 学講座5,岐阜大学医学部附属病院免疫内分泌内科6 【背景と目的】MODYは日本人糖尿病の5%程度を占める単一遺伝子疾患で ある.そのうち非常に稀とされているMODY 6の4症例を遺伝子診断したの で報告する.【方法】遺伝子検査は直接シークエンスにて施行.【結果】 NEUROD1 にミスセンス変異1個とフレームシフト変異3個のヘテロ接合変 異を検出.発端者の出生時体重は4005gと3035gと1480g.糖尿病診断年齢 は10∼14歳,診断のきっかけは2症例が学校検尿,1症例がケトーシス,1症 例が体重減少であった.3症例の経過中にケトーシスのエピソードが認めら れ,治療は4症例全員がインスリンであった.中枢神経系異常は1症例にの み認めた.【考察】糖尿病診断年齢やインスリン分泌能の低下については比 較的一定の傾向が認められたが,明らかな中枢神経系異常を認めたのは1症 例のみで,必ずしもMODY 6に特徴的な所見ではないと考えられた.

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肺炎罹患時の高血糖を契機に診断されたMODY2の一卵性 双胎例―OGTTでの評価の重要性について― 小澤 綾子1,2,本木 隆規2,5,齋藤 義弘1,2,宮田 市郎2,望月 2,3 依藤 亨4 ,井田 博幸2 東京慈恵会医科大学葛飾医療センター小児科1,東京慈恵会医科大学附属病院小児科2 埼玉県立小児医療センター代謝内分泌科3 ,大阪市立総合医療センター小児代謝・内分 泌内科4 ,東京慈恵会医科大学第三病院小児科5 [第1子]12歳1ヵ月男児.9歳時肺炎に罹患し高血糖指摘され紹介.空腹時血 糖133mg!dl,HbA1c 7.2%で糖尿病と診断.非肥満.OGTTで境界型だが60 分値267mg!dl,インスリンインデックス(II)0.03,HOMA"IR 0.17.[第2子] 12歳1ヵ月男児.同胞が糖尿病と診断されて精査.非肥満,HbA1c 6.8%,糖 尿病型でOGTTを施行.境界型だが60分値215mg!dl,II 0.08,HOMA"IR 0.16. [家族歴]父親は30歳代で高血糖を指摘,両祖母は糖尿病,母と弟は正常型. [診断]2例共膵島関連自己抗体陰性,インスリン初期分泌が低下しており遺 伝子解析を行った.GCK 遺伝子のエクソン5にc.533G>C(p.Gly178Ala)をヘ テロ接合性に認め,MODY2と診断した.[考察]両症例OGTTで境界型の診 断だったが,インスリン初期分泌の低下と60分値で200mg!dlを超える高血糖 を認め,これらはMODY2の診断評価の一助になるのではないかと考えられ た.[HbA1c:NGSP値]

II−4−11

グルコキナーゼ遺伝子異常による糖尿病の臨床的特徴の検 討 松野 正平1,太田 敬之1,古川 安志1,石橋 達也1,松谷 紀彦1 稲葉 秀文1,有安 宏之1,川嶋 弘道1,西 理宏1,古田 浩人1 宮脇 正和2,吉川 徳茂2,赤水 尚史1 和歌山県立医科大学附属病院糖尿病・内分泌代謝内科1,和歌山県立医科大学附属病 院小児科2 【目的】MODY 2の特徴を明らかにする.【方法】遺伝子診断された4家系, 9名を後ろ向きに調査.【結果】診断時年齢は12.9±6.0歳(平均±SD).診断 契機は全例健診(6名が学校検尿健診).体重は低体重域が6名で普通体重域 の3名も痩せ傾向.空腹時血糖は正常高値域2名,境界域5名,糖尿病域2名, HbA1cは6.33±0.31%.HOMA"β(8名で測定)は17.5±14.3%,HOMA"IR は0.72±0.50.75gOGTT(7名)は,正常型1名,境界型5名,糖尿病型1名 で,インスリン分泌指数は0.33±0.27.家族歴は,8名は両親のいずれかに 軽度の耐糖能異常あり.1名は不明.【総括】若年で体型が痩せ型,耐糖能 障害が軽度で,かつ,軽度の耐糖能障害の家族歴を有する場合は,MODY2 を念頭に置くべきと考えられた.[HbA1c:NGSP値]

II−4−12

遺伝子診断が治療法の選択に有用であったMODY3の1例 浦木 進丞1,古田 浩人1,宮脇 正和2,松野 正平1,土井 麻子1 有安 宏之1,川嶋 弘道1,西 理宏3,吉川 徳茂4,赤水 尚史1 和歌山県立医科大学第一内科1,社会保険紀南病院小児科2,和歌山県立医科大学病態 栄養治療部3,和歌山県立医科大学小児科4 【目的】MODY3症例の臨床像を検討【結果】女児.10歳時学校検尿で尿糖 指摘.11歳時再度尿糖を指摘され受診.HbA1c10.5%でありインスリン (INS)治療を開始.問診上明確な糖尿病(DM)家族歴を聴取出来ず.膵 島関連自己抗体は陰性,身長は"2.00SD,肥満度26.7%とやや低身長で肥満 傾向.INS分泌能は比較的残存.遺伝子検査でHNF"1α 遺伝子にp.E274K変 異を認めMODY3と診断.診断後,SU薬を中心とする経口血糖降下薬治療 に変更し血糖コントロールは良好.また,HNF"1α が転写を調節しているC 反応性蛋白(CRP)の血清値は持続的に低値.【総括】若年発症DMでは, その原因により臨床経過が異なるため正確な診断は不可欠であり遺伝子診 断は有用である.肥満を伴い若年発症2型DMと考えられる場合もMODYの 可能性を考慮し慎重な判断が必要である.また,血清CRPの低値はMODY3 を疑う上でのバイオマーカーの1つである.[HbA1c:NGSP値]

II−4−13

自然流産と同時期に糖尿病を発症したミトコンドリア糖尿 病孤発例の2症例 松島えり子,池島 碧,大川原奈々,大塚雄一郎,東海林 忍, 山口 賢,江頭富士子,石原 寿光 日本大学医学部内科学系糖尿病代謝内科学分野 症例①36歳女性.18歳時腎炎を指摘.26歳時糖尿病と診断も加療せず.28 歳時感音性難聴発症.30歳時と33歳時に自然流産.症例②37歳女性.29歳 自然流産を契機に糖尿病を指摘.同時に感音性難聴を指摘.①②ともに末 梢血ミトコンドリア遺伝子解析にて3243A→G変異(当院精査時における変 異率20"40%)が確認された.2症例とも,糖尿病家族歴は認めず,報告さ れているミトコンドリア糖尿病孤発症例での糖尿病発症年齢平均(43.3± 12.3歳)と比較して早期に発症していた.また,糖尿病指摘と同時期に自然 流産を認めていた点が共通であり,自然流産については,遺伝子変異率の 高値が関連している可能性が考えられた.ミトコンドリア病の臨床症状と して生殖能異常をきたした可能性がある2症例を経験したので報告をする. [HbA1c:NGSP値]

II−4−14

ミトコンドリア遺伝子変異を認めた若年発症糖尿病の1例 出口 有近1,山岡 正弥1,木村 武量1,小澤 純二1,北村 哲宏1 安田 哲行1,西澤 1,前田 法一1,松岡 孝昭1,大月 道夫1 今川 彰久1,船橋 2,下村伊一郎1 大阪大学医学部附属病院内分泌代謝内科1,大阪大学医学部附属病院代謝血管学寄附 講座2 症例は41歳女性.27歳時に糖尿病と診断,29歳時より内服治療,36歳時よ りインスリン(Ins)治療開始となった.HbA1c 9.9%にて入院,BMI 21.4kg! m2 で肥満歴なし,難聴なし,心電図で陰性・平低T波,ST低下を認めた. グルカゴン負荷試験でΔCPR 1.1ng!ml,Insulinogenic Index 0.079とIns分泌 能低下を認めたがGADおよびIA"2抗体は陰性であった.Ins負荷試験でKITT 1.20%とIns抵抗性も認めた.肥満歴のない若年発症の糖尿病,心電図異常 の他,母・弟が若年発症のIns治療を要する糖尿病,難聴・心不全・腎不全 を有したことからミトコンドリア遺伝子変異を疑った.末梢血にてミトコ ンドリア遺伝子3243AG変異を認め,発症後14年で同遺伝子変異を有する糖 尿病と診断した.1日52単位の強化Ins療法にて良好な血糖コントロールが 得られ,退院となった.[HbA1c:NGSP値]

II−4−15

ミトコンドリア糖尿病の臨床像と診断 山口 祐司,真山 大輔,武市奈緒美,長尾 元嗣,稲垣 恭子, 中島 泰,及川 眞一,杉原 日本医科大学付属病院糖尿病・内分泌代謝内科 【背景】ミトコンドリア遺伝子3243A>G点変異を呈するミトコンドリア糖 尿病は日本人糖尿病患者の約1%を占めるという報告もあり,日常診療で見 過ごされている例も少なくない.今回我々はミトコンドリア遺伝子3243A> G点変異を呈したミトコンドリア糖尿病の4例を経験したので報告する. 【症例】我々が経験した4例は全例軽度∼高度の高音域を中心とした感音性 難聴の合併を認めたが,母系遺伝が明らかではない症例や進行性筋委縮を 認めない症例等,その臨床像は陽性,陰性所見が混在していた. 【考察】ミトコンドリア糖尿病の初発症状は感音性難聴であり,90%以上の 症例に合併する.そのため,糖尿病に感音性難聴を合併している疑わしい 症例には,他の所見や家族歴の有無を問わず,ミトコンドリア遺伝子変異 の検査等の積極的な検索を行う事が望ましいと思われる. [HbA1c:NGSP値]

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ミトコンドリアDNA異常症の1例 岸本 菜央,西村久美子,丸岡あずさ,笠井乃梨子,高橋佐和子, 中野美由紀,野田亜未香,林 展之,藤尾 智紀,岩崎 真佳, 野村惠巳子,浮田千鶴子,西川 光重,塩島 一朗,豊田 長興 関西医科大学第二内科 症例は65歳,女性.35歳で糖尿病と診断.39歳でインスリン治療が開始. その後,現在に至るまで,糖尿病ケトアシドーシス,心不全で入院を繰り 返す.2014年,当院を受診.家族歴:姉・娘が糖尿病を合併するが難聴は ない.身長148cm,体重36.0kg.難聴を認めた.単純型網膜症,腎症4期. 抗GAD抗体は陰性,グルカゴン負荷試験:血CPR前値0.4,負荷後0.6 ng!ml よりインスリン依存性と診断.インスリンリ10単位!日,HbA1cは6∼7%で 経過.ミトコンドリアDNA3243A→Gの点突然変異を認めた.血中乳酸17.5 mg!dlと高値.心臓超音波検査では,拡張型心筋症様と診断.ミトコンド リアDNA異常による糖尿病,難聴及び心筋症と診断した. [HbA1c:NGSP値]

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II−4−17

家族性腎性糖尿が疑われた1症例家系で同定した2種類の SGLT2遺伝子変異 森谷 眞紀1 ,濱田 淳平2 ,松本 真里1 ,渡部 有加1 ,三好 達也3 横田 一郎1,3 四国こどもとおとなの医療センター臨床研究部小児ゲノム医療研究室1 ,愛媛大学大 学院医学系研究科小児科学2 ,四国こどもとおとなの医療センター小児内分泌・代謝 内科3 【目的】家族性腎性糖尿は,血中グルコース濃度が正常域に保たれているに もかかわらず,常に尿糖陽性を認める疾患である.今回,家族性腎性糖尿の 疑いのある1症例家系を対象に,発症原因と考えられるSLC5A2 遺伝子を解 析した.【方法】許諾を得て採取した患者(9歳女児),そのご家族(ご両親 と弟)および健常者(100人)を対象に,SLC5A2 遺伝子(14 Exons)の全cod-ing領域,splice junctionsの塩基配列を決定し変異の有無を解析した.【結果・ 結語】患者およびその弟において,SLC5A2 遺伝子内に,R479GおよびP514 S変異を複合ヘテロ接合体で持つことが確認された.父親は,R479G変異を, 母親はP514S変異をヘテロ接合体で持つ.本研究で同定した患者特有の2つミ スセンス変異は,日本人腎性糖尿の発症原因であること,腎性糖尿病が疑わ れる患者におけるSLC5A2 遺伝子の確定診断の重要性が示唆された.

II−4−18

糖尿病合併妊娠経過中に肺炎を発症し,診断されたMODY 1型の症例 菊池 史1,井端 智裕1,小林 俊博1,福長 健作1,永田 宙生1 吉本 卓生1 ,井町 仁美1 ,村尾 孝児1 ,森谷 眞紀2 香川大学医学部附属病院内分泌代謝内科1,四国こどもとおとなの医療センター臨床研 究部・小児ゲノム医療研究室2 32歳女性.24歳で糖尿病と診断,インスリン療法開始.BMI17.8.自己抗体陰 性.母親・姉に糖尿病家族歴あり.患者は妊娠判明時,HbA1c10.1%. 定期的な妊婦健診・通院なく妊娠20週で感染性腸炎のため入院.増殖網膜症 を認め,腎機能はネフローゼに近い状態.妊娠22週6日当院転院. 入院3病日発熱,酸素飽和度低下を認め,肺炎を発症.抗菌薬投与・非侵襲性 陽圧換気療法を行い,呼吸状態は改善.栄養指導・利尿剤内服を開始し,第18 病日退院. 非肥満,家族歴のある若年発症糖尿病であり,MODYを疑い遺伝子検査依頼. ミスセンス変異R114Wを同定,既報HNF4α遺伝子の変異であり,MODY1と 診断. 生活習慣の変化によって2型糖尿病の発症年齢も若年化しているが,家族歴・ 肥満歴などの詳細な情報から,単一遺伝子異常による糖尿病を考慮すること も重要である.[HbA1c:NGSP値]

II−4−19

原発性アルドステロン症の局在による糖代謝異常の出現機 序について 高野 綾子,長尾 元嗣,小林 俊介,周東 佑樹,長峯 朋子, 仲村 優子,武市奈緒美,原田 太郎,稲垣 恭子,及川 眞一, 杉原 日本医科大学付属病院 【背景】原発性アルドステロン症(PA)が糖代謝異常を合併する機序につ いて局在による違いがあるのか検討した.【方法】副腎静脈サンプリングを 施行し,片側もしくは両側にアルドステロン過剰分泌を認めたPA症例のう ち,経口ブドウ糖負荷試験を施行した55例についてその結果を比較した.【結 果】片側症例(U群)と両側症例(B群)で糖負荷前後の血糖値に差はなかっ たが,U群で糖負荷後のインスリン値が有意に低く,インスリン分泌指数 も低値の傾向を示した.またB群でMatsuda indexは低値の傾向を示した. 【考察】PAにおける糖代謝異常の出現機序として,片側症例ではインスリ ン分泌能の低下が,両側症例ではインスリン抵抗性が関与していると考え られた.[HbA1c:NGSP値]

II−4−20

重症成人成長ホルモン分泌不全症に対する成長ホルモン補 充療法による糖代謝・脂質代謝変化の検討 高野 幸路,林 哲範,七里 眞義 北里大学医学部内分泌代謝内科学 【背景】成人成長ホルモン分泌不全症(AGHD)は糖尿病のリスクであり, GH補充療法により糖尿病の発症抑制の可能性もある. 【目的】AGHDに対するGH療法を施行し,長期的な代謝効果を評価する. 【方法】AGHD患者8例に対し,GH療法後36か月の体組成,安静時代謝量 (REE),糖代謝,脂質代謝を検討した. 【結果】IGF"1は35.6ng!ml("6.16SD)から36か月で117.0ng!ml("1.70SD) に有意に上昇した.REEは1304kcalから1850kcalに有意に増加した.GH補 充療法前に比し,体重は8か月で一過性増加を認めたが,その後は著変なかっ た.徐脂肪体重,脂肪量は変化を認めなかった.FPG,HbA1cも明らかな 変化を認めなかった(前:FPG 105.6±14.7mg!dl,HbA1c 5.7±0.2%,36 か月:FPG 101.9±7.4mg!dl,HbA1c 5.7±0.2%)【結論】非糖尿病合併 AGHD患者に対するGH補充療法により,新規糖尿病発症は認められなかっ た[HbA1c:NGSP値]

II−4−21

副腎偶発腫(Incidentaloma)として発見された機能性副 腎疾患の耐糖能障害についての検討 生駒 亜希,船崎 俊介,山田 穂高,吉田 昌史,浅野 智子, 草鹿 育代,豊島 秀男,加計 正文,石川 三衛 自治医科大学附属さいたま医療センター内分泌代謝科 【目的】機能性副腎疾患の耐糖能障害を副腎偶発腫群と,それ以外の群とに 分け比較検討した. 【対象及び方法】当センターで診断された機能性副腎疾患患者85例.平均年 齢は57.0±11.60歳.男性34例,女性51例. 副腎偶発腫として診断された群をA群,それ以外の群をB群とし,2群にお けるHbA1c,年齢,体重,血清Na値,血清K値,脂質,インスリン抵抗性, 内因性インスリン分泌能を比較検討. 【結果】A群18例,B群67例間のHbA1cには有意差はみられなかった(5.80± 0.17vs6.08±0.12,p=0.278).A群はB群よりも血清K値が有意に高く,腫瘍 径が大きい傾向だが,年齢,血圧,血清Na値,血清脂質には有意差はみら れなかった. 【考察】糖尿病の有病率は副腎疾患全体では24%だが,副腎偶発種において は8.3%と低いことが明らかになった.[HbA1c:NGSP値]

II−4−22

糖尿病合併ウェルナー症候群の血糖管理にリラグルチドが 有効であった一例 山本 雅1,2,井出真太郎1,2,井上 宏美1,2,石川 1,2,小林 一貴1,2 竹本 稔1,2,横手幸太郎1,2 千葉大学大学院医学研究院細胞治療内科学1,千葉大学医学部附属病院糖尿病・代 謝・内分泌内科2 【目的】2型糖尿病合併ウェルナー症候群(WS)患者におけるリラグルチド の有用性に関して検討を行った. 【症例】51歳男性.35歳でWS,36歳で糖尿病を指摘された.糖尿病に対し てはインスリンアスパルト56単位!日,インスリンデグルデク44単位!日, シタグリプチン100mgを使用されHbA1cは6.1%であったが,大量のインス リンを使用し,かつ低血糖も認めたため薬剤調整目的に入院となった. 【結果】入院後,シタグリプチンを中止し,リラグルチドへと変更した.そ の結果,良好な血糖管理を保ったまま,インスリンアスパルトは不要とな り,インスリンデグルデクも22単位へと減量できた.さらに入院時に認め ていた肝機能障害は改善し,血流依存性血管拡張反応も上昇した. 【結語】リラグルチドは糖尿病合併WSの血糖管理に有効であり,加えて多 面的効果を有する可能がある.[HbA1c:NGSP値]

II−4−23

エキセナチド・食事・アルギニン各負荷,GTTの血中グル カゴン反応を調べた早期膵グルカゴノーマの一例 宮本 正治,樋上 拓哉,真智 俊彦,宮森 弘年 恵寿総合病院内科 【症例】68歳 男性.糖尿病50歳頃発症.血糖コントロール不良で入院.ス クリーニングCTで膵尾部に13 13mmの腫瘤を認め,血中グルカゴン(IRG) 369pg!mlと高値.グルカゴノーマ(G"oma)と診断,膵尾部切除施行.病 理は15 8mm大のG"oma.術前→後,FIRG416±105→172±16.pg!ml【術 前・術後負荷試験】術前エキセナチド(Ex)負荷;IRI増加,PG低下,IRG 抑制なし.75gGTT;IRG術前・術後とも抑制.糖尿病食負荷;IRGは術前, 術後いずれでも変化なし.アルギニン負荷(ATT);IRG増加反応,術前大 きく,術後は前値・増加量とも術前より低下.【まとめ】G"omaでこれら負 荷のIRG反応の報告は殆どない.G"oma摘除後もGTT,食事負荷,ATTで のIRG反応は術前と同様であった.G"oma細胞のIRG反応は,膵非腫瘤部α 細胞と同じである可能性がある.本例術後を2型DMと考えると,GTT・食 事負荷IRGは既報と合致しない.[HbA1c:NGSP値]

II−4−24

糖尿病を合併したプラダー・ウィリー症候群患者に対する トホグリフロジンの有用性,安全性の検討 綾部 匡之1,2,村上 信行1,松原 知代1,永井 敏郎3 獨協医科大学越谷病院小児科1,独立行政法人国立成育医療研究センター分子内分泌 研究部2,東埼玉中川の郷療育センター3 糖尿病(DM)を合併したプラダー・ウィリー症候群(PWS)患者に対す るトホグリフロジンの有用性,安全性を検討した.対象はDM合併PWS男 性患者4例.トホグリフロジン追加前の治療は,メトホルミン単独1例,メ トホルミン+シタグリプチン1例,メトホルミン+リラグルチド2例.トホ グリフロジン開始後1か月でのHbA1c,体重,有害事象の有無について評価 を行った.全例で脱水や尿路感染など副作用を認めなかった.HbA1cは全 例で低下した(8.5%から7.8%,10.1%から8.7%,11.2%から10.0%,8.8% から7.8%).体重は3例で減少した(104.2 kgから99.8 kg,143.4 kgから136.4 kg,83.1 kgから80.7 kg,67.4 kgから67.7 kg).短期的には,トホグリフロ ジンはPWSのDM治療に有用と考える. 今後,症例数を増やし,長期的な効果を検討する.[HbA1c:NGSP値]

(4)

II−4−25

持続グルコースモニタによる心臓周術期における術前の血 糖変動の評価と術後高血糖の予測について 石川 友美5,細島 康宏2,桑原 頌治4,忰田 亮平2,佐藤 裕喜3 青木 賢治3 ,土田 正則3 ,鈴木 芳樹5 ,成田 一衛1 ,斎藤 亮彦4 新潟大学医歯学総合病院腎・膠原病内科1 ,新潟大学医歯学総合研究科病態栄養学講座2 , 新潟大学医歯学総合病院呼吸循環外科3,新潟大学医歯学総合研究科機能分子医学講座4 新潟大学保険管理センター5 【目的】心臓周術期において持続血糖モニター(CGM)を用いて術前の血糖変 動から術後に血糖コントロールが悪化しやすい患者を予測しうるか検討する. 【対象と方法】当院心臓血管外科で心臓手術を行った非糖尿病患者27例を対象 とし,手術前日,術後,絶食下に持続インスリン静注を行う期間から,食事を 再開しスライディングスケールで血糖コントロールを行う期間までの間におけ る平均血糖,標準偏差(SD),変動係数(CV),180mg!dlを超える値を示す時 間の割合を評価し,術後のインスリン投与量を算出した. 【結果】術後,術前に比べて平均血糖は有意に上昇し,術前の平均血糖は術後 の平均血糖,必要インスリン量と,術前のCVは術後のCVと180mg!dlを超える 時間の割合と相関を認めた. 【結論】心臓周術期における血糖コントロール悪化の予測因子として術前の血 糖変動の評価が有用である可能性が示された.

II−4−26

2型糖尿病患者における10年間のHbA1c変動と薬物療法変 遷との関連性 近藤 英明1,増田 真吾1,陣内 ちさ1,川崎 幸子2,川崎真奈美3 遠藤友志郎1,山川 大介1,小松 直広1,井上 重宏1,岸川 孝之1 八坂 貴宏4,白浜 1 上五島病院内科1,上五島病院看護部2,上五島病院メディカルクラーク3,上五島病 院外科4 HbA1cの平均値のみならず変動状況も合併症や生命予後に影響する.今回, 糖尿病治療・療養指導の基礎的資料を作成することを目的として当院で治 療を継続している2型糖尿病患者759人を対象として過去10年間のHbA1c変 動状況と振り返り,薬物療法変遷との関連性の検討を行った.HbA1cの変 動には明瞭な季節変動が認められ,acrophaseは2月から4月にnadirは10月 に出現していた.インクレチン関連薬が当院で導入された2011年以降HbA1 cは低下する傾向が認められた.年間平均HbA1c7%以上で,かつ,冬季に HbA1cが0.7%以上上昇する者が占める割合は各年度で減少し,調査開始時 に3割前後であったが2013年にはほぼ半減し113人(15.9%)であった.HbA 1cの平均値のみならず季節変動にも留意し,一人一人の患者に向き合うこ とが望まれる.[HbA1c:NGSP値]

II−4−27

糖尿病合併の腎移植後患者における患者背景の検討 田中 陽一,丸山 康典,藤本 美香,大野 恭裕 近畿大学医学部堺病院 【目的】腎移植後において免疫抑制剤投与による耐糖能の悪化が報告されて いる.糖尿病合併の腎移植後の患者背景につき検討した.【対象及び方法】 対象は腎移植後で糖尿病合併例33例(男性21名,女性12名).平均年齢歳54.9± 12.4歳,BMI 23.1±7.2kg!m2 ,HbA1c 6.7±0.8%.移植年齢48.3±12.4歳, 移植後期間6.7±5.4年.腎移植の原因疾患は糖尿病性腎症9例,IgA腎症2例, 多発嚢胞腎5例,慢性糸球体腎炎12例,原疾患不明5例.免疫抑制剤はPSL 及びシクロスポリン(CYA)または,タクロリムス(TAC)を併用.【結 果】PSL単独群(6.6±0.6%)に比べて,CYA併用群(7.4±0.8%)が有意 にHbA1cが高値であったが(P<0.05),TAC併用群(6.2±1.0%)とは有意 差なし.【結語】CYA治療群で腎移植後の耐糖能異常の悪化を認めた.他 の糖尿病悪化予測する因子についても検討したので文献的考察を含めて報 告する.[HbA1c:NGSP値]

II−4−28

抗精神病薬内服者の糖代謝異常の発症リスクに関する生存 分析 野々垣香織1 ,酒匂 赤人1 ,七澤 英毅1 ,三塚 智彦1 ,三島 修一1 近藤 忠之2,鵜重 順康2,榎本 哲郎2,早川 達郎2,上村 直実3 柳内 秀勝1 国立国際医療研究センター国府台病院内科1,国立国際医療研究センター国府台病院精 神科2 ,国立国際医療研究センター国府台病院消化器科3 【背景】オランザピン(OLZ)は糖尿病に禁忌だが,糖尿病発症の実態は明ら かでない.【方法】2011年からの2年間に28日以上OLZが処方され,前後のHbA 1cのある患者を後向きに調べた.開始から終了1年後のHbA1cで,糖尿病の疑 いが否定できない6.0以上と糖尿病型6.5以上をアウトカムとして生存分析を行 い,患者背景で比較した.【結果】OLZ処方とHbA1c測定がある997例のうち229 例が対象.平均年齢43歳,男性108例,開始直前の平均HbA1c 5.5,精神疾患 平均罹病期間13年.糖尿病は平均観察期間1190日で発症6例,1年発症率2%, 2年発症率4%.HbA1c6.0以上は平均観察期間1012日で発症23例,1年発症率 9%,2年発症率23%で,40歳以上と未満の1年発症率は13% vs 6%,罹病期間 10年以上と未満の1年発症率は11% vs 5%で有意差があった.【考察】40歳以 上や精神疾患歴10年以上のOLZ内服患者では糖代謝異常に注意を要する. [HbA1c:NGSP値]

II−4−29

当科初診糖尿病患者の5年後の経過 安島 美保1,九島 健二2,沢 3 川崎幸クリニック内科・糖尿病科1,川崎幸クリニック内科2,川崎幸病院内科3 【目的】2009年糖尿病治療薬未使用の(A)初診糖尿病患者像(B)半年以 上通院患者の約5年後のHbA1c値,eGFR低下率とその関連要因を検討. 【結果】(A)対象75人.5年後の理由不詳通院中断24.6%(半年以内9.5%), 死亡6.8%. (B)対象65人.追跡平均3.9年!中央値5.0年.1)HbA1c:0!1!2!3!4!5年後: 9.0!7.4!7.2!7.3!7.2!7.5!7.1%.最終受診時HbA1cは,5年後通院中断(7.7%)> 通院中(6.9%).半年以降のHbA1cと正相関.最終受診時インスリン(8.2%)> 経口薬(7.1%),薬無(6.5%). 2)eGFRの推移:0!1!2!3!4!5年後:87.1!76.9!75.2!74.8!71.1!66.7.最終受 診時eGFR低下率は,初診時HbA1cが高い程大. 【まとめ】受診早期に中断者が多い.治療開始半年後の管理がその後にも影 響する.初期HbA1cが高い程eGFR低下率が高い.[HbA1c:NGSP値]

II−4−30

食事療法と運動療法でHbA1cが著明に改善した症例の特徴 について 関谷 新井病院内科 【緒言】糖尿病と診断されたのち,最終的に食事療法と運動療法のみで,良 好な血糖コントロールが得られた症例を検討した.【方法】HbA1cが6.5% 以上の患者に,食事療法と運動療法のみでHbA1cが6.5%未満になった症例 の特徴を検討した.【結果】対象となった症例は22例(男!女:13!9)あっ た.であり,平均年齢48.86±11.77(26∼71)才であり,治療前のHbA1cは 9.47±2.11(6.7∼14.8)%であった.最も改善した時のHbA1cは5.75±0.49 (4.2∼6.3)%であった.この変化をみるための観察期間は9.68±8.75(3∼42) ヶ月であった.この間の体重の変化は"6.30±7.01("23∼4.6)Kgであった. この間に薬物療法を行った症例は9例であった.【考案】糖尿病を発症した 際に,食事や運動など生活習慣を変えることでその病態を改善でき,患者 の状況が許されれば,薬物療法を安易に使用するべきではないと考えられ る.[HbA1c:NGSP値]

II−4−31

1型糖尿病様の病態を呈し,インスリン分泌能の改善を見 た一剖検例における膵病理所見の検討 當時久保正之1,工藤 1,玉井 秀一1,中村 聡江1,中野 優子1 赤澤 昭一1,徳永 2 新古賀病院糖尿病センター1,新古賀病院病理科2 【症例】69歳男性.30代から高血糖指摘も放置.2006年,倦怠感で入院HbA 1c17.9%,インスリン導入(62U!日).BMI16.8,抗GAD抗体(").空腹時 CPR 0.3∼0.6ng!ml,食後2時間CPR 0.6∼1.0ng!mlと低値.2006∼2011年ま でHbA1cの推移12∼17%であったが,2012年からHbA1c8∼9%に改善,Ins 使用量も10∼20U!日に減少.空腹時CPR1.32ng!ml,食後2時間CPR2.22ng! dlと上昇.2014年に敗血症にて死亡.膵病理像では膵島の減少・萎縮を示 したが,膵外分泌腺導管周囲にIns陽性細胞の発現増加を認めた.【結果】 健常者と比較し,全Ins陽性細胞面積は42.6%に減少を示した.その内訳は, 膵島面積は55.6%に減少していたが,膵島外Ins陽性細胞面積118%に増加を 示た.【結論】最終的には1型・2型にも分類出来ない貴重な症例.膵島の減 少萎縮を認めたが,導管周囲の新生細胞の増加が本症例のIns分泌改善の関 与も考えられた.[HbA1c:NGSP値]

II−4−32

膵石のtwinkling artifact出現とインスリン分泌能との関連

阪上 順一,片岡 慶正,保田 宏明,十亀 義生,加藤 隆介, 土井 俊文,伊藤 義人

京都府立医科大学消化器内科

【はじめに】1996年に腹部臓器の点状石灰化の検出にColor Doppler twin-kling artifact(TA)が有効と初報された.我々はTAが膵石発見に寄与す ることを報告してきた. 【目的】膵石症例におけるTA出現頻度を検討し,膵石主成分である炭酸カ ルシウムを用いたファントム実験を実施後,TA出現の有無でインスリン分 泌に差異があるかどうかを検討する. 【対象と方法】炭酸カルシウムとヒト膵液を用いたファントム実験でTAの 有無を検討した.膵石症例でのグルカゴン負荷試験は負荷前CPRと負荷6分 後CPRの差をΔCPRとして評価した. 【成績】膵石の62%にTAを認め,ファントム実験では,炭酸カルシウム50 mg 300%(w!w)以上でTAが出現した.TA(+)の膵石症例はΔCPRが 有意に低下(P=0.0026)していた. 【考察】TAの確認は膵性糖尿病の拾い上げに有用な手法と考察する. [HbA1c:NGSP値]

(5)

II−4−33

血糖とHbA1cの乖離が診断の契機となった異常ヘモグロビ ン症の一例 藤澤 太郎1,水野 正巳1,飯塚 勝美1,2,武田 1 岐阜大学大学院医学系研究科内分泌代謝病態学1,岐阜大学医学部付属病院生体支援 センター2

(背景)HbA1cは糖尿病診断に汎用され,ion exchange HPLC(I)法,免 疫法,boronate affinity chromatography(BA)法,酵素法が用いられる. 今回血糖とHbA1c(I法)の乖離から異常ヘモグロビン(Hb)症の診断に 至った症例を報告する. (症例)52歳男性.ステロイド使用で血糖悪化を疑われ当科受診.75gOGTT で境界型およびHbA1c 8%にも関わらず,随時血糖とグリコアルブミン (GA)は正常であった.I法でのクロマトグラムの異常,等電点電気泳動で の異常Hbバンドの存在,DNAシークエンスによる(Hb Yahata[β112 TGT (Cys)→ TAT(Tyr)](heterozygote)の同定より,異常ヘモグロビン 症と診断された.さらにI法に比し,免疫法やBA法で得られたHbA1c値は 随時血糖やGAの結果に近いものであった. (結語)血糖とHbA1cの乖離時には①I法のクロマトグラム,②他の血糖マー カー(GA,1,5"AG)との比較が有用である.[HbA1c:NGSP値]

II−4−34

脂肪萎縮性糖尿病の一例 水谷 直広,山口麻里子,半田 朋子,平山 将之,川久保充裕, 岡嵜 裕子,石川 孝太,山本 昌弘,近藤 國和 安城更生病院内分泌糖尿病内科 症例20歳女性.シェーグレン症候群疑いで経過観察中.検診で高血糖肝障 害指摘.身長149.0 cm 体重40.0 kg,筋肉質.75gOGTT BS 127"198"251" 227(0"30"60"120分 mg!dl),IRI 22.5"81.5"134.8"136.7(同 μU!ml)と インスリン抵抗性著明.TG 250 mg!dl,HDL"C 36 mg!dl,LDL"C 165 mg! dl,AST 119 IU!L,ALT 200 IU!L,γ"GTP 89 IU!L.腹部US脂肪肝のみ. 細小血管,大血管障害認めず.体形,検査結果より脂肪萎縮症を疑い追加 検査.レプチン2.9 ng!mlと低値,MRI T1強調画像で全身性の脂肪萎縮を 認め診断.遺伝子検査,メトレレプチン治療は希望されず.後天性全身性 脂肪萎縮症(Lawrence症候群)と考え食事運動指導とビグアナイドで治療 中.[HbA1c:NGSP値]

II−4−35

皮下インスリン抵抗性の一例 住田 崇1,安田 重光1,井内卓次郎1,酒井 豪太1,保川 信行1 保坂 利男2,片山 茂裕1,粟田 卓也1 埼玉医科大学病院内分泌・糖尿病内科1,杏林大学糖尿病・内分泌・代謝内科2 【症例】48歳,男性.41歳に2型糖尿病と診断され経口薬治療されたが血糖 高値.45歳に血糖コントロール目的で当科に紹介受診.外来では血糖コン トロール不良で4度の入院歴あり.入院中血糖改善するが退院後すぐに血糖 上昇.最近はCSIIでbasalのみを4.5U!hr投与(リスプロ),ペン型リスプロ (24"20"16"0),メトホルミン2250mg!3x,ピオグリタゾン45mg!3x,シタ グリプチン50mg!1xで加療.また週に2度インスリンを混注した生食を点滴 投与されていた.2014年1月10日の随時血糖371mg!dL,HbA1c13.6%であ り,血糖コントロール目的で再度当科に入院.【経過】大量のインスリンを 皮下投与では血糖値は改善せず.しかし少量のインスリンを静脈投与で改 善することから皮下インスリン抵抗性と考え,既報のインスリンとヘパリ ンの混合薬を使用し血糖コントロールが改善した.【結語】皮下インスリン 抵抗性は稀な症例であるため報告する.[HbA1c:NGSP値]

II−4−36

若年性皮膚筋炎に続発した脂肪萎縮性糖尿病の1例 馬場 雄介1,2,井出 佳奈1,2,井出真太郎1,2,山賀 政弥1,2,正司 真弓1,2 服部 暁子1,2,坂本 憲一1,2,北本 1,2,石橋 亮一1,2,石川 崇広1,2 徳山 宏丈1,2,前澤 善朗1,2,石川 1,2,小林 一貴1,2,河村 治清1,2 竹本 稔1,2,横手幸太郎1,2 千葉大学医学部附属病院糖尿病・代謝・内分泌内科1,千葉大学大学院医学研究院細 胞治療内科学2 19歳男性.3歳時に若年性皮膚筋炎を発症し,PSL内服を含む免疫抑制療法 による治療中に血糖値上昇を認め,9歳時に糖尿病と診断された.12歳でPSL 内服終了,15歳で寛解を得るも,糖尿病が遷延し19歳時に当科入院となっ た.空腹時血糖197mg!dl,IRI25.6μIU!ml,HbA1c8.6%であり,75gOGTT でのMatsuda ISIは1.25と高度のインスリン抵抗性が確認された.皮膚筋炎 後の後遺症と思われる筋萎縮があり,臍高部腹部CTでは皮下脂肪面積6.4cm2 と著しく低下し,血中アディポネクチン濃度は2.5μg!ml,血中レプチン濃 度は2.8ng!mlと低値であり,若年性皮膚筋炎に続発した後天性脂肪萎縮性 糖尿病と診断し,チアゾリジン誘導体の導入を行った.全身性脂肪萎縮症 は稀少な疾患であり治療経過に文献的考察を加えて報告する. [HbA1c:NGSP値]

II−5−1

日本人2型糖尿病患者のSGLT 2阻害薬の実臨床下における 有効性と安全性 瀧端 正博1,寺内 康夫2 三浦中央医院1,横浜市立大学大学院医学研究科分子内分泌・糖尿病内科学2 【背景】日本人2型糖尿病患者のSGLT 2阻害薬の実臨床下における検討はほ とんどない.【方法】当院のデータベースよりSGLT 2阻害薬を追加投与さ れた365人のうち,12週間の追跡が完了した235人を抽出し,糖代謝,血圧, 脂質,肝機能,腎機能に対する有効性と安全性を調査.【結果】HbA1cは7.54± 1.20%から6.98±0.80%(P<0.001),体重は71.0±12.8kgから68.9±12.7kg(P< 0.001),微量アルブミン尿は172±597mg!gCrから101±306mg!gCr(P< 0.001)まで改善.血圧,尿酸,肝機能も有意に改善.体重減少量と血圧, 肝機能に有意な相関を認めたが,HbA1c,尿酸,微量アルブミン尿とは相 関なし.経過中に皮疹7例(3.0)%,便秘28例(12.4%),低血糖12例(5.1%) を認めたが,重症例はなかった.【結論】SGLT 2阻害薬は糖代謝だけでな く,体重,血圧,尿酸,肝機能,微量アルブミン尿も改善させる可能性が 示唆された.[HbA1c:NGSP値]

II−5−2

SGLT2阻害薬投与による体組成の変化と骨代謝への影響 近藤 琢磨,吉田 敦行,盛田 路子,近藤 弘子 医療法人社団糖和会近藤医院 【目的と方法】SGLT2阻害薬を追加投与した2型糖尿病患者14例に関して, HbA1cの改善効果を検討し,身長,体重,体組成,Ht,骨代謝マーカー(BAP, TRACP"5b,ucOC)を投与前後で測定し解析を行った.【結果】投与開始12 週後にはHbA1cは有意に低下した.投与前に比べ,BMIは投与後2週,4週, 8週,12週のいずれにおいても有意に低下し,体水分量は投与後2週目のみ 有意に低下していた.一方,体脂肪量は遅れて低下する傾向がみられた. Htは投与後8週,12週で有意に上昇した.骨代謝マーカーは投与前後でいず れも有意な差を認めなかった.【考察】SGLT2阻害薬投与により血糖コント ロールは改善し体重も低下するが,投与直後の体重減少は体水分量の著明 な低下によるものであり,体脂肪量の低下は遅れてみられることが示唆さ れた.Htの上昇は体水分量が回復した後にも認めるため,長期にわたり注 意が必要である.[HbA1c:NGSP値]

II−5−3

SGLT!2阻害薬投与後のeGFR変化 金澤 昭1,谷古宇史芳1,柿崎 雄介1,藤村 佳世1,安部 浩則1 末盛 敦子1 ,櫻井 衛1 ,大澤 舞1 ,楊 傑仲1 ,伊藤真理子1 佐々木順子1 ,田丸 新一1 ,田辺 節1 ,志熊 淳平1 ,小林 高明1 伊藤 禄郎1,高橋 友乃1,原 一雄2,三輪 1,小田原雅人1 東京医科大学病院糖尿病・代謝・内分泌内科1 ,東京医科大学分子糖尿病学講座(萬田 記念講座)2 SGLT"2阻害薬は糸球体内圧低下を介してeGFRを若干低下させ,糖尿病腎症進 展に保護的に作用するとの仮説が提唱されている.そこで,同薬投与後のeGFR 値変動を検討した.≪方法≫カルテ調査で,処方前と処方1∼2ヶ月後の検査値 を比較した.≪結果≫同薬は22名に処方(Ipragliflozin 18名,Tofogliflozin 2名, Dapagliflozin 1名,Luseogliflozin 1名)されていた.男14名,女8名.年齢48.3± 11.7歳.罹病歴8.7±5.8年.HbA1c 8.6±1.7%,BMI 31.2±6.6.eGFRは投与前 96.8±29.8,投与後88.1±26.8で有意(P=0.0002)な低下を示した.このeGFR の低下量は,罹病年数,前BMI,BMI低下量,前HbA1c,HbA1c低下量との 相関はないが,前eGFRとは逆相関(r=−0.5088,P=0.0156)を示した.≪考 案・結語≫SGLT"2阻害薬投与後のeGFR低下を確認出来た.このことが腎保護 的に作用するかどうかは,今後の検証が必要である.[HbA1c:NGSP値]

II−5−4

SGLT2!i投与女性症例における泌尿器系症状調査と尿の変 化および尿路感染症について 中村 尚広1,石丸 安明2,佐藤富美子2,大嶋由加里2,関東 裕美5,齋藤 暁美4 松澤 義浩6,齊藤 智之2,浅野 智子2,三好 2,穂苅 美月2,矢田 浩子6 片山 茂裕3 医療法人安和会石丸安世記念熊谷ディアベテスクリニック検査部1,医療法人安和会石丸安世記念 熊谷ディアベテスクリニック2,埼玉医科大学内分泌・糖尿病内科3,さいとうハート&キッズクリ ニック4,東邦大学医療センター大森病院スキンヘルスセンター5,みやび薬局6 【目的】2型糖尿病でSGLT2"i投与(Sg)による泌尿生殖器症状・尿路感染症への影響を 検討. 【方法】T2DM女性にSg前から泌尿生殖器系症状調査および尿培養検査を施行しSgによ る変化をSg非投与例を対照に年齢,A1Cで分け分析. 【結果】331例(Sg;120!nSg;211),63.6!67.6*y,病歴14.9!13.0*y,A1C;7.22!6.86*% (*有意差有). Sg!nSg;27.2!20.4%,年齢別(高齢!非高齢)はSg:38.3!40.4%,nSg:22.9!20.4%,A 1C別(Poor!Fair)はSg:30.0!48.3%,nSg:20.0!20.4%で症状有.内訳はSg前およびnSg とも頻尿・多尿が最多,Sg後は対照に比し切迫尿意・残尿感が増加.Sg後は尿糖強陽性 化とともに比重低下傾向,keton増加・pH低下.Sg前より尿中細菌検出例が多くSg後明 かな増加は認めないが前後ともに訴えとの関連は無. 【まとめ】SGLT2"i投与で尿所見が変化し特に女性では尿路感染症に対するきめ細やか な対応が必要.[HbA1c:NGSP値]

(6)

II−5−5

SGLT2阻害剤(SGLT2I)投与による尿糖排泄量は,尿中 Na排泄量によって規定されるか 丈士1,3,長谷川史絵1,浅井 2,中谷 公彦2,中埜 幸治1 京都山城総合医療センター糖尿病センター1,京都山城総合医療センター腎臓内科2 京都山城総合医療センターハートセンター3 【目的】SGLT2Iにおける尿糖排泄量の規定因子の解明のため,本剤投与前 後の1日尿Na排泄(NaD)と尿糖排泄量および血糖降下の関連を調査.【対 象】入院で発症3年以内のNaive Type2 DM(HbA1c12.2±1.6%)の8例. 高血圧無.1例網膜症【方法】食事:女性1600kcal,男性1800kcal,塩分6g! 日,検査:①1日尿中排泄電解質②血糖,ホルモン【結果】①投与前NaDと 尿糖排泄に相関無②投与前NaDと投与後1日尿糖排泄量とは正相関(p= 0.008,R+0.88)③投与後1日尿糖排泄量と血糖値低下とは関連無.【総括】 SGLT2受容体が尿中Naと尿糖を取り込むため,SGLT2Iによる1日尿Na排泄 量と尿糖排泄量の関連を調べ,投与前NaDがSGLT2I投与後1日尿糖排泄と 正相関した.今後この規定因子を検索していく予定[HbA1c:NGSP値]

II−5−6

SGLT"2阻害剤の使用経験について∼脂質・電解質の変化 も含めて∼ 松浦みのり,渡辺 宏美,阪本 理夏,永倉 穣,鈴木 淳, 高橋謙一郎,岡本 芳久,山川 横浜市立大学附属市民総合医療センター内分泌糖尿病内科 【背景・目的】Ipragliflozinの日常診療でのデータは非常に限られている. Ipragliflozinの単独療法,他の糖尿病治療薬との併用療法における有効性と 安全性に関して検討した. 【対象と方法】当院通院中の2型糖尿病患者28例(男8例!女20例,平均年齢50.3 歳,糖尿病歴10年)を対象とし,投与前及び投与後4,8,12週間後のHbA1 c,体重,腎機能,電解質及び脂質の変化を評価した. 【結果】HbA1cは9.33±1.65%から4週間後で8.27±1.22%,12週間後には7.44± 1.06%と有意な改善を認めた(p<0.05).体重は77.3→76.7kgと低下傾向を 示した.腎機能は軽度増悪を認め(Cre 0.65→0.74mg!dl),血清Na値の上 昇あり,体液量減少による変化及び経過中最多に認めた口渇との関連が示 唆された.脂質に関しては,TC・HDL・TGのいずれも著明な変化は認め なかった. 【結語】IpragliflozinはHbA1cを約1.9%低下させた.[HbA1c:NGSP値]

II−5−7

日本人2型糖尿病患者におけるエンパグリフロジンの有効 性及び安全性:第IIb!III相試験併合データを用いたBMIと年 齢によるサブ解析 輝男1 ,石井 聡2 ,大熊 比左3 ,満吉 利佳3 ,Crowe Susanne4 ,小岩井和樹3 東邦大学医療センター大橋病院糖尿病・代謝内科1,日本イーライリリー株式会社研究開発本部 医学科学本部糖尿病領域2 ,日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社3 ,Boehringer Ingelheim GmbH & Co. KG, Ingelheim, Germany4

目的:日本人2型糖尿病患者(T2DM)におけるエンパグリフロジン(EMPA)の有効 性及び安全性を,ベースラインBMI及び年齢による層別解析で検討した. 方法:EMPAの単独療法または併用療法を評価した52週以上の無作為化第IIb!III相の3 試験の併合データを用いて,ベースラインのBMI(kg!m2 )(<22[n=228], 22∼< 25[n=452],≧25[n=723]),及び年齢(歳)(<50[n=256], 50∼<65[n=658], ≧65[n=489])によるサブグループ別にEMPA10mg,25mgの日本人患者における有 効性・安全性を検討した. 結果:HbA1cの調整平均変化量はBMI別でEMPA10:"0.71%,"0.84%,"0.90%,EMPA 25:"0.70%,"0.91%,"0.97%,年齢別でEMPA10:"0.91%,"0.86%,"0.80%,EMPA 25:"1.06%,"0.92%,"0.81%であった.忍容性は良好であった. 結論:日本人T2DM患者において,EMPAはBMI別及び年齢別サブグループに共通し て臨床的に意義のあるHbA1c低下をもたらし,忍容性は良好であった. [HbA1c:NGSP値]

II−5−8

トホグリフロジンの臨床効果とIn body 770を用いた体組 成変化の検討 岩本 正博1,篠原 尚典1,杉元 由佳1,松原 修司2,石田 俊彦3 医療法人社団幸正会岩本内科医院1,香川大学医学部付属病院卒後臨床研修セン ター2,キナシ大林病院3 【目的】トホグリフロジン(TOF)の臨床効果と体組成変化の関係について 検討した.【対象と方法】当院外来通院中の2型糖尿病症例41人:男性27例, 年齢51.5±11.7歳,HbA1c8.5±1.4%,BMI33.0±5.1kg!m2 ,インスリン治療 症例は22例.薬物療法を行っているにもかかわらずHbA1c7%未満を達成困 難な症例にTOF20mgを投与し12週間後の臨床効果とInBody 770を用いて 継時的な体組成分析を行い検討した.【結果】TOF投与12週後,HbA1cは1.1± 1.1%,体重は2.8±1.1kg,体脂肪は約2kgの低下を認めた.TOF開始後の体 重変化とHbA1c改善度には有意な相関は認めなかった.【考察】薬物治療中 の肥満2型糖尿病患者へのTOF追加投与は,有意な血糖管理の改善,及び体 重の減少が期待できることから有用な治療手段の一つになると考えられ た.[HbA1c:NGSP値]

II−5−9

SGLT2阻害薬の有効性と体成分に及ぼす影響 長谷川 敦,馬場 美香,生田麻衣子,小林 広美,大沢 遥, 合浦 英敏 医療法人社団糖翠会はせがわ内科クリニック 【目的】SGLT2阻害薬(SGi)の有効性と体成分(InBody)に及ぼす影響を 検討した.【方法と方法】対象はHbA1cが7%以上の2型糖尿病12名(平均年 齢52.8歳,体重76.0Kg,BMI 30.9Kg!m2 ).SGiを追加投与し12週後のHbA1 c,BW,体成分の変化について検討した.【結果】HbA1cは8.6から7.7(" 0.83)%,BW76.0から74.1("1.87)Kgへ優位に低下した.体成分に関して は,体水分量("0.49L),筋肉量("0.61Kg),骨格筋量("0.33Kg),体脂肪 量("1.26Kg)および脂肪組織量(FTM)("1.57Kg)が有意に低下したが, 体脂肪率("0.72%)と除脂肪組織量("0.29Kg)に差を認めなかった.ΔHbA 1cは0週HbA1cとの優位な相関を示したが,ΔHbA1cおよび0週BWと各体成 分の変化量との相関は認めなかった.【結論】SGiはHbA1cや体重の改善に 有効である.主にFTM(84%)が減少するが,体重によらず筋肉量の減少 も認めサルコペニアには注意する必要がある.[HbA1c:NGSP値]

II−5−10

血糖コントロール不良2型糖尿病患者におけるSGLT2阻害 薬の追加併用の有効性と安全性の検討 小菅恵一朗 (社医財)仁医会牧田総合病院糖尿病科 ■目的:血糖コントロール不良2型糖尿病患者に,SGLT2阻害薬を追加併用 し,安全性と有効性を検討した.■対象方法:HbA1c7.0%以上,BMI22以 上,12週観察.■結果:27例登録,Ins療法12例,OHA2剤以上16例,OHA 2剤未満1例,年齢51.4±10.3歳.12週終了20例の中間解析の結果HbA1c" 0.7%,p=0.004,体重"2.4kg,p<0.001,TG,γ"GTPが有意に低下した.HbA 1c7%未満達成群は7例,未達成群が13例,達成群で導入時HbA1cが低い傾 向がみられた.HbA1c0.5%以上改善群は8例,0.5%未満改善群は12例,患 者背景では有意差はなく,体重変化量で0.5%以上群"3.8±3.4kg,0.5%未満 群"1.4±1.6kgと有意差がみられた(p=0.04).HbA1c変化量は導入時HbA1 cでR=0.64と負の相関(p=0.002),体重変化量とはR=0.64と正の相関(p= 0.002)がみられた.■総括:SGLT2阻害薬の追加併用におけるHbA1c変化 量は導入時HbA1c,体重変化量が影響する.[HbA1c:NGSP値]

II−5−11

演題取り下げ

II−5−12

強化インスリン治療中高度肥満合併2型糖尿病患者に対す るSGLT2阻害剤の効果 柳瀬 匡宏,猿井 宏,北江 彩,佐々木昭彦,武田 則之 朝日大学村上記念病院糖尿病・内分泌科 [目的]強化インスリン治療でもコントロール不良の高度肥満合併2型糖尿 病患者にSGLT2阻害薬を投与しその効果を検討.[対象と方法]男性4名, 女性2名.平均年齢47.8±8歳,平均BMI 33.7±3.3,投与開始時HbA1c 12.2± 1.1%.投与後のHbA1c,体重,インスリン投与量,血清浸透圧を検討.[結 果]平均HbA1cは投与1ヶ月後11.1±0.9%,2ヶ月後10.6±1.1%,3ヶ月後10.6± 1.5%.体重,平均総インスリン使用量は投与3ヶ月後でそれぞれ平均1.4±1.6 kg,約14単位減少した.血清浸透圧は投与1ヶ月後,投与3ヶ月後ともに高 値を示した.[考察]治療抵抗性の本検討例のような症例においてもSGLT2 阻害薬は一定の血糖コントロール改善効果を示した.投与後3ヶ月にわたり 脱水傾向が認められ,注意を要すると考えられた.[HbA1c:NGSP値]

参照

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