• 検索結果がありません。

管理会計論序説(II)

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "管理会計論序説(II)"

Copied!
11
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)<研究ノート>. 管. 理. 会. 計. 論. 序. 説(Ⅱ). 護. 会計システムの場合には!それが将来事象を対象とす 第ⅠⅤ節. 管理会計論の発展. ることが不可避であることから,ある代替案を採用し ない場合の取引にもとづいて算出される横会原価(op-. Ⅰ.管理会計情報の特質. portunity. 管理会計の磯能は,一般的には,経営管理者の合理. cost)データが中心的な役割を果すことに なる。したがって,また管理会計データには予測値が. 的な意思決定に資するような情報を収集(collect)し,. 含まれる可能性が高く,それだけに不確実性(uncer-. 分類(classify)し,要約(summarize)し,分析(analyze)し,かつ報告(report)することにあるといわれ. tainty)も伴いやすいことになる。ともあれ,管理会 計システムの成否は,そこから生み出される管理会計. る。また,それが財務会計と相違するのは,財務会計. 情報によって,企業内部の意思決定主体が如何に効率. が最終的に投資家をはじめとする企業外部の経済主体. 的に組織目標を達成しうるかに依存しているというこ. の意思決定に資すべきことを本来的役割としているの. とができる。. に対し,管理会計は経営者や部門管理者などの企業内 部の意思凍定主体に対して貢献することがその役割と. ⅠⅠ.管理会計の生成. して期待されている点である,とされる。したがっ. 株主,与信者,行政官庁など,外部意思決定主体を. て,管理会計システムに投入されるデータには,たと. 対象とした財務会計の生成に比べて,管理会計が生成. えば,価格!受注数量,予測需要量,あるいはその他. 発達してきたのは比較的最近のことである.現代の管. 物量データに象徴されるような非会計データが多く含. 理会計の生成母体となったのは原価計算(cost. まれるという特散が指摘される。とはいえ,最終的に. counting)であるといわれる。原価計算それ自体は,. は,それらのデータも借方・貸方の二元的分類と貨幣. いうまでもなく,財務会計目的に資するように考案さ. 的評価に裏付けられた会計情報として変換されていく. れ,発達してきたものであり,それが主眼とするとこ. ac-. ことになる。そうでなければ,それらのデータは管理. ろは,ある会計期間に発生した原価を製品製造原価と. 会計情報に固有の会計的特質をもちえないことになる. 期末仕掛品原価に配分することであり,どれだけの原. わけで,その場合には,管理会計よりも】むしろオペ. 価を当期の費用として損益計算書に計上し,どれだけ. レーションズ・リサーチや生産管理などの分野で扱わ. を棚卸資産として貸借対照表に計上するかを決定する. れる方が相応しいデータであるとみなされる。. 原価配分手続きにほかならない。原価計算生成の初期. 上述したように,管理会計システムは,企業内部の. の頃は,すべての原価を客観的かつ明瞭に配分するこ. 意思決定主体に貢献することをその役割として期待さ. とが強調されていた。この頃の論争は,いかにして,. れており,外部報告を主眼とした財務会計のように商. より「正確(accurate)」かつ「公正(fair)」に原価. 法・税法などの制度的制約も無いことから,そこで利. を配分するか,ということが主たる論点になってい. 用されるデータは相対的に客観性が低く,かつ検証可. た。この時期の原価計算を指して,ホーングレンは. 能性の程度も小さくなりがちである。また,財務会計. 「真実原価(true. システムの下では取得原価主義にもとづく歴史的原価 (historicalcost)データが中心となるのに対し,管理. cost)」探求の時代,ないしは「絶対 真実アプローチ(absolute-truth approach)」の時代で あるとしている(1)o.

(2) 52. (324). 横浜経営研究. 第Ⅵ巻. 1950年代から60年代にかけて,企業の会計担当者 は,外部報告日的のために算定されている製品原価デ. 第4号(1986) とするところではなく,詳論することはしない(4)0 ともあれ,. 50年代から60年代にかけて,とりわけ米. ータを,内部管理目的に用いることに疑問を抱くよう になった。価格決定,製品の組合せ(product mix)な. 国では,様々な原価概念を考察することで,それぞれ. どの企業内部の意思決定問題に,財務会計目的のため. 見られたわけである。ホーングレンは,この時期の利. に作成される製品原価データが,あたかも唯一の正確. 用者志向的原価計算を指して,. な会計数値のごとく利用されることの是非が問われは. ーチ(conditionaltruth. じめたわけである。実務レベルでの会計担当者たち. のも,原価の真実性(truth)は,それが,どのよう. は,外部報告目的のための会計記録を様々な形で記録. な目的に適用されるかに依存して異なってくるからで. するように工夫し始めるようになった。具体的には,. ある。. の意思決定に相応しい原価を適用しようとする動向が 「条件付き真実アプロ. approach)」と呼ぶ。という. 財務会計ないし税務会計目的のためには,全部原価計 寡(absorption costing)による原価データが要求さ れるのに対し,内部の経営意思決定目的のために変動. ⅠⅠⅠ.情報システムとしての管理会計の発達 1960年代後半から1970年代前半にかけて,上で指摘. 費と固定費の二元的分類による直接原価計算(direct. したような二つのアプローチをも包摂しようとする,. costing)の有用性が主蛋され,また実務面でも活用さ. いわば,管理会計思考の「第三の波」ともいうべき,. れるようになっていった。. より広汎な考え方が登場してくる。これは,. 企業の会計担当者の側で,経営意思決定に適合する. 済学アプローチ(information. economics. 「情報経 approach) 」. ような原価計算手続きを様々な形で追求するようにな. とも呼ばれるように,管理会計システムを情報システ. ると,彼等はそれまでのコスト集計やコスト配分の方 法は,意思決定の内容によって相違させるべきである. ム(information system)の一つのタイプとして位置 付けようとする考え方に他ならない。近時の統計的意. ことに気付き始めた。あらゆる意思決定に万能な,唯. 思決定論や不確実性下の経済学の研究動向の特徴の一. 一のコス†配分方式などは存在しないことが認識され るようになったわけである。ここに,原価計算システ. つとして,. ムは外部報告会計から内部意思決定にその重心を移行. 経済主体の取引の対象として考えようとする点を指摘. するようになったわけであり,これこそが実務レベル. できる.その場合の「情報」は,それが与える効用は. での管理会計の萌芽であるとみることができる。. すべての個人が等しく享受しうるものであって,ある. 「情報」をもーつの財(commodity)とし. て把撞し,製品や生産要素などの通常の財と同様に,. 実務レベルでの管理会計の生成とは別に,意思決定. 個人が多く満足を感じれば,他の個人の満足する量が. 目的に応じて利用されるべき原価概念を相違させるべ. 減少するという性質のものではない〔消費の集団性. きことを,早い時期から主張していた経済学者もあっ. Gointly consuming)〕という特徴をもっており,この ことから「情報」は通常の私的財(private goods)と. た。. J. M.クラークがその著書『間接費の経済学』(2). において「異なる諸目的のための異なる諸原価(Di圭一. 異なり,公共財(public. ferent. えられている。. Costs. for Different. Purposes)」と題する一章を. 設けて,意思決定日的に応じて異なる原価概念を適用. goods)の性質を有すると考. ところで,管理会計情報をも経済的な財の一種とし. すべきことを説いたのは, 1920年代のことであった。. て認識するならば,その需要ないし必要性を問題にす. これらの原価は特殊原価(special costs)とも呼ばれ, 後に,アメリカ会計学会(AAA)の1951年度原価委員. るとき,その情報を獲得ないし生成するうえでのコス. 会の報告書く3)では, J. M.クラ-ク以降の諸成果を. 済学アプローチの下での管理会計システムの優劣は,. も含めて, 22種の原価概念をあげて解説している。そ. そのシステムから生み出される情報が意思決定主体に. こで指摘される特殊原価の主要なものとして,機会原 価,未来原価(future cost),埋没原価(sunk cost),. 与えるベネフィット(便益)と,その情報を生み出す. 差別原価(differential cost),現金支出を導く原価. を通じて評価されることになるo情報システムのコス. トを無視して議論することはできないoここに情報経. ために要するコスト(費用ないしは犠牲)の比較考量. (out・of・pocketcost),などがあげられるが,その具. トベネフィットを考える場合に採用されるモデルに. 体的な概念内容を説明することは必ずしも本章の目的. は,およそ,以下のようなモデル構成要素が含まれて.

(3) (青山. 管理会計論序説(Ⅱ) い●る。. 護). (325). 53. 下位部門の資源管理を委託するためにミドル・マネジ. (1)意思決定者が直面する環境(environment). メントに相当するエージェントを雇用する場合を考え. (2)意思決定者が採択しうる行為(actions). てみよう。このような雇用契約には,管理の対象とな. (3)実際に生起した環境と採択された行為の関数と. しての成果(outcomes). る経営資源と,それに附随する管理行動の規定が含ま れるのみならず,被雇用者であるミドル・マネジメン. (4)環境と成果に関するシグナルを伝えるうえで情 報システムが果す役割とそのコスト. トを評価するための業績軌定(performance. measure-. (5)意思決定主体のリスク選好感度(risk-attitude). ment)方法の規定も含まれるのが通常である。業績 評価の韻rJ定借は,本来,双方のエ-ジュントにとって. すなわち,情報経済学アプローチの下での管理会計. 客観的に観察可能な変数にもとづくべきであり,資源. システムを評価する場合には,上記の(1)-(5)を内在. 配分を受託したエージェントが委託側のエージェント. 化させたモデルを用いて,そのコストべネフィツー. を無視して自らの利益を最大化しうるような操作. を評価するという手続きが採られることになるわけで. (manipulation)を可能ならしめるような余地を残し. ある。. てはならない。場合によっては,委託側のエージェン. 管理会計論の1975年以降の発展を顧みるとき,情報. トが,その資源配分に関して,求償(recourse)でき. システムないしは報告システムのあり方が個々の意思. る-すなわち会計責任を追求しうる-ような仕組. 決定主体に影響を及ぼしうるという事実が大きくクロ. みをもっていなければならない。. ーズ・アップされるようになった点に注目しなければ. このような考え方を背景にすれぼ,管理会計システ. ならない。情報経済学アプローチそれ自身は,情報シ. ムの下で生成される会計情報こそが異なる経済主体問. ステムが意思決定主体の形成する確率信念〔より具体. での契約内容のあり方を規定することが明らかとな. 的には,事象(events)と自然の状態(state. る。管理会計情報の相違が,契約内容を相違させると. of. nature) に関する確率分布〕に影響を及ぼしうることを強調し. すれば,それは受託エ-ジュントの側で異なる意思決. てきたが,近時の研究成果によれば,個々の意思決定主. 定をもたらし,それはまた委託エージェントと受託エ. 体の行為や業績を単に測定・報告するだけでも,意思 決定主体の行為に影響が現われることが明らかにされ. ージェンTの間での企業活動成果の分配をも相違させ ることになり,ひいては資源配分の効率性(alloca・. ている.たとえば,井尻(5)によれば,会計システムが. tional. 企業の他の情報システムと相違するのは,それが企業. eBiciency)にも影響することになる。このよう な状況下では,管理会計情報は, 「真実」であるか否. 内部における会計責任(accountability)を明示する唯. かというよりは,エージェント間の契約にもとづく. 一のシステムである,という特徴を有する点に求めら れる。経営資源の配分がある経営管理者に委託された. 「経済的効率性」の観点から評価されることになる。、 経済的効率性の観点から管理会計システムのあり方を. とすると,この資源配分に関わる,あらゆる取引は管. 考えようとする研究は,すでに「企業予算」や「差異. 理会計システムによって記録され,最終的には,経軍. 分析」などを対象として幾つか例が存在してし1るoし. 資源の拠出者に対して,これらの取引結果を解釈し,. かし,目下のところ,それらの成果もかなりプリミテ. かつ評価しうるような形で報告されることになるoす. ィブな段階にすぎず,せいぜい経営管理システムのあ. なわち,資源の委託者に対して,その使途を明らかに. り方が部門管理者の意思決定に影響を及ぼしうること. するという会計責任は会計情報システムを通じてのみ. を示唆するに止まっており,既成の会計システム全体. 明らかにすることができるわけである.. のあり方を改善しうるほどの成果をもたらすには至っ. このような会計責任の考え方は,今日では情報シス. ていないのが実情である.. テムの枠組みの中で更にフォーマルな分析が与えられ るようになっている。資源配分に関して,異なる経済. 第Ⅴ節. 情報経済学アプローチの基礎. 主体(economic agent)が契約を結ぶとき,そこでの 情報システムのあり方はその契約関係によって内生的. Ⅰ.数値例による問題設定. に競走されることになる。たとえば,企業経営者ない. 情報経済学アプローチのエッセンスは簡単な数値例. しはトップ・マネジメントに相当するエージェントが. によって説明することができるoある企業が,その製.

(4) 54. 第Ⅵ巻. 横浜経営研究. (326). 第4号(1986). 晶系列に新製品を導入することを考えているとしよ. ときには,この原価計算システムの予測精度は更に高. ラ(6)。その製造原価(コスト)は不確定であり,もし,. まり,高コスト状態であるにも関わらず,誤って低コ スト・シグナル(yI.)を出す確率は0.1まで減少すると. コス†が高くつく場合(このケースをHと表わす)に は,この企業はこの製品に関して,. 25万円の損失を発. 仮定しよう。換言すれば,正しく高コスト・シグナル が出される確率は0.9であるということである。. 生させる。また,コストが低ければ(このケースをL. 以上を要するに,この企業の経営者は2万円の支出. と表わす),この製品から30万円の利益を稼得できる としよう。過去の経験から,この企業の経営者はこの. によって,. 製品コス†が低く抑えられる可能性(確率)は0・6で. った情報システムを導入するオプション(選択権)を 有するわけであり,その情報システムは,次のような. あると見込んでいるとする。. Pr(・)を,ある事象が生. 特徴をもつ。. 起する確率を表わすものとすれば Pr(L) -i-Pr(H). yLまたはyIIという2つのシグナルを伴. 6. -0.. Pr(yL IL)-0.6,. Pr(yL IH)-0・1. Pr(yHIH)-0.4,. Pr(yHIH)-0・9. と表わすことができる。この製品の導入からもたらさ れる期待値(expected value : EV)計算をおこなえ. このような情報システムは,それがPr(yLIL)-1. 揺,この場合の期待利得は,. とか,. EV-Pr(L) -o.. 6. ・. (300,000) +Pr(H). を提示しないという意味で,. (-250, 000). (300,000) +0. 4(-250, 000) -80,. Pr(yHLH)-1となるような完全なシグナル. テム(noisy. 000円. と計算されることになる。この場合,次節で議論する ように,経営者のリスクに対する態度がリスク中立的. information. 「ノイズのある情報シス. system)」と呼ばれるo. II.ペイズの定理の応用による例解. さて,以上のような状況に関して合理的な意思決定. (risk・neutral)である-経営者の効用関数は決定問 題のリスクの大きさから独立である-とすれば,期. をおこなうためには,条件付き確率の計算に関して若. 待利得がプラスである限り,この新製品導入のプロジ. 干の予備知識が必要となる。ここでは,以下のような. ェクトは採用されることになる。 ところで,この企業では新たな原価計算システムを. ベイズの定理(Bayes'Theorem)を紹介しておく。. 導入することをも併せて考えておりそのための導入コ ストが2万円かかるとしよう.この原価計算システム を導入すれば,既成の製品系列のコストを測定できる のみならず,新製品製造に関わるコストが高コスト (H)になるか,低コスト(L)でおさまるか,が予測で きるものとするoただし,この予測は必ずしも完壁で はなく,. 100パーセント完全な予測を可能ならしめる. ものではないとする.現実に低コストの状態(L)が生 起するとき,この原価計算システムによって,低コス ト状態が正確に予測される(このようなシグナルを yLと表現する)可能性は60パーセントであると,こ の企業の経営者は考えているとする。すなわち,. この定理の証明に関しては,軽く普通の統計学の入 門書で紹介されており,ここでは詳論しないが,直観 Pr. 的には,図Ⅴ-1のような樹形図(tree. diagram)に. (A 】B)によって事象Bが生起したときに事象Aの生. ょって理解することができる。この図において,事象. 起する条件付き確率(conditional. Aが事象Bjを経由する確率は,この樹形図にあるn. probability)を示. すものとすれば,. 本の枝のそれぞれの右側に記してある確率合計に対す Pr(γL IL)-0.6. る第j番目の枝の確率の比率にほかならないことがわ. と表わすことができる。したがって,低コスト状態が. かる。一般に,樹形図の右側に記してある確率の合計. 出現しているときであっても,この原価計算システム. はPr(A)に等しいから,. が高コストシグナル(yE)を出す確率が0.4だけある ということである。現実の状態が高コスト(冗)である. n. pr(A)-. ∑ Pr(Bi) ・Pr(A IBi) ・・-・(2) i-i.

(5) 管理会計論序説(Ⅱ). BI. (青山 護). Pr(H. P7-(Alβ1) Pr(Bl) ・Pr(A IBl). (327) (H) ・Pr(yH Pr (yH). JyH). IH). 55. -0.6. であり,高コスト・シグナルが出ているにもかかわら. Pr(B2) ・Pr(A IB2). ず,現実には低コストである確率は. Pr(L FyH). FL) Pr(L) ・Pr(yH竺⊥土±L-0.. -. 4. Pr(yH). と計算される.. Pr(Bn) ・P7・(A I Bn). かくして,それぞれのシグナルの下での期待利得を 図Ⅴ-1ベイズの定理のための樹形図. 計算すると, EVlyL-0.. より,ベイズの定理は. Pr(Bj lA). 9(300,000). --・(3). [yH-0.. EV. 4(300,000). ニー30,. とも表現することができる。 さて,われわれの数値例にもどることにしよう。ま. 1. +0.. 6(-250, 000). 000円. -245,. IBj). Pr(Bj) ・Pr(A Pr (A). -. (-250,000). +0.. 000円. となるoこの結果から明らかなように,. yLというシ. ず,下図のような樹形図ないし(2)式にしたがって,低. グナルの下では,新たな原価計算システムを導入して. コストシグナルが出てくる確率を計算すると,. ち,期待利得がプラスであることから,当初の新製品 導入という意思決定内容が変更されることはない。む. H. prbL[H). __、. しろ当初80,000円の期待利得しかなかったのに対し,. yL. Pr(H) ・Pr(yL IH) 0. 04. yLのシグナルの下では245,000円という期待利得が計 算されることから,より積極的に新製品導入という意. pr(L) ・Pr(yL Lエ). 思決定が促進されるようになることがわかる。これに. 0.. PrbL) -Pr(H). I H) +Pr(L). ・PrbL. 36. fL). ・Pr(yL. プロジェクトは否決されることになる。. -0.04+0.36-0.4. であり,. (3)式のようなベイズの定理を用いると,低. コスト・シグナルの下での低コストないし高コスト状 態出現の確率は, Pr(L. ryL). Pr(H. fyL). 対して, yHというシグナルが与えられたときには, 期待利得がマイナスの値になることから,新製品導入. Pr(L). ・Pr(yL IL) -0.9 Pr( yL) Pr(H) ・Pr(yL IH). 思決定は上述の通りであるが,新たな原価計算システ ムを導入することで,当初の意思決定がどれほど改善 されることになるのか,について原価計算システム導 入のコストとの比較で検討しておく必要があろう。 原価計算システム導入前の期待利得は80,000円であ. -0.1. Pr(yL). さて,個々のyLないしyHのシグナルの下での意. となる。同様に,高コスト・シグナルの出される確率 ‡ま. yLというシ った。原価計算システムを導入すれば, グナルの下では新製品導入を決定し, yHというシグ ナルの下では否決することが明らかにされていたo原. fI. Pr(yHTH). 価計算システム導入のコスト, 20,000円を含めた形で. yH. pr(H). ・Pl・(yH 1H). 期待利得を計算すれば,. 0. 36 0.4. EV-Pr(yL). pr(i) ・Pr(yH IL) 0. 24. -78,. Pr(yH) -Pr(H). ・Prb,H fH) +Pr(L). ・-0.36+0.24-0.. ・Pr(yH. IL). 6. であり,ベイズの定理より,高コスト・シグナルが出. ・EV. lyL+P7-(yH). ・0-20,000. (0.4) (245,000)+ (0. 6) (0)-20,000. -. 000円. この場合,正味の期待利得は2,000円だけ減少してお り,原価計算システム導入の追加コスト20,000円の方 がシステム導入による便益98,000-80,000-18,000円. されたとき,現実にも高コスト状態が生起している確. を上回ることより,原価計算システムの導入は否決さ. 率は,. れることになる。.

(6) 56. 横浜経営研究. (328). 第Ⅵ巻. 第4号(1986). ⅠⅠⅠ.情報経漢学アプローチの評価と問題点. 設計のレベルにまで適用可能なものとするためには,. 上記の数値例は極めて単純化されたケースではあっ. 克服しなければならない問題点がいくつか残されてい. たが,情報経済学アプローチの主要な特徴は,この数. る.上で例解したような情報経済学アプローチが実際. 値例から浮彫りにされてくる.ここで考えた原価計算. に適用可能であるためには,少なくとも以下のような. システムないしは情報システムは,それが正確である. 条件が満たされなければならない(ア)。. か否か,というよりは,意思決定者の問題とすべき確. く1)情報システムから入手できるすべてのシグナル (yL,yH,・・・)が識別可能であること. 率がどれほど改善されるか,という観点から導入され るものであった。当初,意思決定者の低コスト状態. (2)シグナルが入手される先験的(ア・プリオリ). (エ)が生起すると信じる確率は0,6であった。情報シ. な確率〔たとえば,. ステムによって.シグナルが与えられると,. ど〕が既知であること. yLの下. ではこの確率は0.9まで改善されたのに対し, 下では0.4に下落した。. yHの. Pr(yH),. -な. (3)各々のシグナルが意思決定者の確率信念〔Pr (yL[L),Pr(γHIH), ・・・など〕に与える影響 を合理的に見積りうること. yLないしyHというシグナ. ルそれ自体は期待利得を上昇させるが,このケースで はそれが情報システムの導入コス†をカバ-しうるほ. Pr(yL),. (4)各々のシグナルが意思決定者の行為に与える影 響が既知であること(期待利得による定式化お. どには十分でないことが明らかとなる。 上のケースとは違って,情報(原価計算)システム. よびベイズの定理の適用が可能なこと). がより正確なシステムであれぼ,導入の可能性もあり. (5)情報システムのコストが計算可能であること. うる。仮に, 20,000円のコストで完全情報システム. (上例では20,000円であったが,一般的には単. (perfect information. 純には計算できない). system)を導入することができ. (6)意思決定者のリスク態度が確定していること. るとしよう。すなわち,. Pr(γL LL)-Pr(yH. ・ (上例では,意思決定者はリスク中立的である. IH)-1・0. と仮定されていたが,通常の場合の意思決定者. と仮定するo このとき, Pr(yL) -Pr(L) Pr(yH) -Pr(H). -0・. はリスク回避的であり,リスク回避の程度を明. 6. 示するためには効用関数を特定化する必要があ. 4. -0.. る). であり,. yLというシグナルが与えられれば,新製品 導入を決定し, yHというシグナルが与えられれば,. 新製品の導入は否定される。このとき,期待利得は EV-Pr(yL) -160,. ・. (300,000)+Pr(yH). ・. (0)-20,000. 000円. であり,完全情報システムの下ではユ経営管理者の意 思決定は大幅に改善されることがわかる. ここで紹介したような情報経済学アプローチは,そ れがシグナルによっで情報システムの評価をおこなう 場合の概念的基礎を提供してくれる。すなわち,情報 システムを導入することで,意思決定者の確率信念 (beliefs),行為(actions),あるいは成果(ontcomes). 以上のように,管理会計システムのような情報シス テムを,実践的な見地から評価するためには,数多く の問題点が残されている。とはいえ,このような考え 方が管理会計論の領域に適用されることで,旧来の管 理会計論の分析手法によっては必ずしも明瞭ではなか った会計システムの評価の問題が明示的に頼り扱われ るようになったわけであり,情報経済学的アプローチ によって開かれた新たな視点を手掛りに,今日,旺盛 に議論されるようになったプリンシパルーエージェン ト・モデルの考え方が芽生えてくることになるわけで ある。. がどのように変化するか,が明示的に取り扱われるこ とから,このような考え方を管理会計論の議論に適用 すれぼ,企業全体の合理的な資源配分を促進するうえ. 第ⅤⅠ節. 最適契約アプローチ:プリンシパルー エージェント・モデル. で,コストベネフ1ツト(費用一便益)分析の観点か ら如何なる管理会計システムが合理性をもちうるか,. Ⅰ.プリンシパル-エージェント関係の考え方. を検討する場合の手掛りが与えられるわけである。と. 前節で議論したような,単純な情報経済学アプロー. ほいえ,このような考え方を現実の管理会計システム. チの下では,原価計算システムやその他の管理会計シ.

(7) 管理会計論序説(Ⅱ). (329) 57. (青山 護). ステムが採用されている状況でしばしば問題となる多. とになる。その場合,経営組織内部での業績評価に関. 人数(multトperson)の組織の問題が無視されてい. して,原価計算システムなどの管理会計システムが大. た。近時の企業経済学ないしは情報経済学の成果を援. きな役割を果すものとして期待されており,プリンシ. 用することによって,企業組織における情報の役割. パルーエージェントの見方を適用した最適契約の理論. と,経済主体問の契約のあり方に関して新たな視点が. が管理会計論に少なからぬ影響を与えることはいうま. 設けられることになった。このようなアプローチによ. でもない。. って解明される問題は,しばしば,プリンシパルーエ -ジュント(principal-agent)関係の問題と呼ばれるo このようなアプローチの下で想定されるプリンシパ. ルないしエージェントには,階層を異にする-すな. ⅠⅠ.プリンシパルーエージェント関係の定式化. 近時の経済学,財務言軌 あるいは会計学の嶺城で旺 盛に議論されているインセンティブ・システムの設計. わち,意思決定の権限(authority)に関して差異を有. や不確実性下のリスク・シェアリング(危険分担)の. する-経済主体を考えることができる。典型的に. 問題をフォーマルに定式化するためには,前節で指摘. は,. (i)企業のオ-ナ-. (あるいは株主). 〔プリンシパ. したように,意思決定主体の遠好ないしリスク態度. ル〕とトップ・マネジメント〔エージェント〕,また. (効用関数),主観的な確率信念,生起しうる自然の状. は(ii)トップ・マネジメント〔プT)ンシバル〕と部門. 態,成果関数などを確定しておく必要があるoこれら. 管理者〔エージェンり,のような関係を考えること. をフォーマルに定式化するためには,ある程度,現実. ができる。いずれの関係を想定する場合であっても,. との整合性を犠牲にして,単純化された状況を想定し. プリンシパルにとって最善の利益が導かれるようなエ. なければならず,管理会計システムの設計というよう. ージェントに対する誘因(インセンティブ:incentive) と情報システムを確立することが,ここでの中心的な. るものではないが,すくなくとも業績評価とかインセ ンティブ・システムの設計というような管理会計上の. 問題になるo. このようにプリンシパルの利益を最適化するような 形でエ-ジュントを動横づけ(モチベート)しようと する考え方自体は,何も目新しいものではない。経営 組織論の分野では古くから議論されてきた考え方であ り,たとえば,分権化(decentralization)とか権限委 譲(delegation. なオペレーショナルな目的には必ずしも直裁に応えう. of. authority)などの考え方はまさに プリンシパルーエ-ジュンtの考え方に一致する。会. 問題を考える上での有益な概念的基礎を提供するとい う意味では,このような単純化もそれなりの意義をも っているo. 単純化した状況の下では,二人の経済主体の存在を 想定すれば十分である.添字iを第i番目の経済主体 を示すものとして,第1番目の経済主体(i-1)をプリ ンシパルとし,第2番目の経済主体(i-2)をエージェ. 計学の分野でも分権的組織を前提にした考え方が古く. ントとする。すでに言及したように,プリンシパルと. からなされており,企業予算や事業部制(利益センタ. エージェントの関係には,株主(プリンシパル)と企. -)あるいは部門別業績評価の問題がテーマとして扱 われてきた。. このような動向とは別に,アロー,ジュンセン&メ -リス&ラビブといった研究者たちは不 確実性ではすべての経済主体が意思決定状況に関して ックリング,. あらゆる局面についての完全な情報を保有しているわ けではないという事実認識の下に情報の役割に注目し ながら,企業組織内部の均衡モデルに関する議論を展 開してきた(8)。このようなアプローチの下で古3:,プリ. ンシパルとエ-ジュントの間での最適なインセンティ ブと業績測定指標が均衡解の結果として導かれること. 業経営者(エージェント)の関係を想定することもで きるし,あるいは企業経営者(プリンシパル)と部門 管理者(エ-ジュント)の関係を想定することもでき るoさしあたり,前者の関係を想定して議論を進めて いくことにする。 各経済主体の効用関数は金銭的報酬の関数であり, プリンシパル(株主)の効用関数はu1(・),エ-ジュ ンt. (経営者)のそれはu2(・)であらわされ,とも. に,. ui'(・)>O uiH(・)<o. 'i-i,2'). ・・・・・・(4,. になり,分権化など経営組織の設計において重要な意. というリスク回避的(risk-aversing)な効用関数を有. 義をもつ諸要因に関する理論的な基礎が提供されるこ. すると仮定する(9)oエージェントの採りうる行為.

(8) 58. (330). 横浜経営研究. (actions)の集合をAとし,. 第Ⅵ巻. Aに含まれる特定の行為. 第4号(1986) が,現在の雇用契約を破棄して,よりリスクの小さな. をαとあらわす。行為αが採られ,ランダムな自然. 雇用機会を得ようと思わないようにさせるための最低. の状態♂が生起したときの企業のペイオフ(利潤ない. 限度の期待効用水準を保証するものでなければならな. しは利得). い。すなわち,. xは,. x-p(e,. (5). -・-. a). (7)式の最大化によって求められる最. 適な報酬計画′*はエージェントを転職させずに,プ. と表現できる。プリンシパルが,自然の状態βの生起. リンシパルのために仕事をしようとモチベ-I(動焼. に関して信じる確率信念は確率関数hl(e)であらわさ. 付け)させるような水準に決まるはずである。. れ,エージェン†のそれはh2(e)であらわされるとす. 以上のように,インセンティブ・システムの設計が. る。一般に,自然の状態♂と行為αは独立であると仮. 問題となるのは】一般的にプリンシパルとエージェン. 定される。具体的には,. トの問で,観察可能性の差異はいうまでもなく,確率. βには企業のランダムな売上. 高ないし売上数量(市場での製品需要量),. αはエー. 信念およびリスク態度に差異があるからである。ただ. ジェントの製品製造数量や原材料の発注数量などを考. し,場合によっては,不完全ながらも観察可能性の問. えることができる。この場合,企業のペイオフ∬は,. 題が解消することはありうるし,また何らかのコスト. 市場での需要量βと製品製造数量αに同時に依存する. を負担することで観察可能性の問題を無視しうる場合. ことになる。. もあるo. プリンシパルーエージェント関係の定式化で,最も 主要な要因は,エージェントの意思決定を促進するた. III.例解(1)-リスク・シェアリングのないケ ース-. めに,プリンシパルがエージェントに対して支払う報 酬の金額である。この報酬は企業のペイオフ∬,自然. 上で解説したことを簡単な数値例で確認しておこ. の状態β,およびエージェントの行為αがプリンシパ. う。ある単一製品を販売している企業を想定する.こ. ルにとって観察可能であるとすれば, ∫(∫,♂,α)と表. の製品の売価は1単位あたり200円であり,製造コス. 現することができる。この報酬はプリンシパルとエー. トは1単位あたり100円であるとする。この製品に対. ジェントの双方にとって観察可能な変数のみにもとづ. する需要量は不確定ではあるが,この企業のオーナー. いて定式化される。一般に,効率的なインセンティブ. (プリンシパル)とオーナーに雇用されている経営者. 契約を導くうえで,観察可能性(observability)とい. (エージェント)はともに,需要量の確率分布は一様. う概念は重要な役割を果すことになる。. 分布(uniform. distribution)であり,需要量の下限. さて,以上のように記法を定めるとき,プリンシパ. は10単位,上限は20単位であるという共通の予想を形. ルおよびエージェントの問題はそれぞれ以下のように. 成しているとするo意思決定の対象となる期間は1期. 定式化することができる。まずエージェ-ソトは,期待. 間のみであり,この期間全体に対する実際の需要量が 実現するのは期末であって,期首には何単位の製品を. 効用. E(u2)-∑ β uB[f(I,e,a)]h2(0). ・・・・・・(6). を最大化するようなα∈Aを決定しようとする。こ. 製造すべきか,という意思決定をおこなわなければな らないとする.仮に,需要量が実際の製造量よりも少 なければ,在庫として残った製品はスクラップとな. れに対して,プリンシパルの方は期待効用. り,経済的価値はないものとする。道に,需要量が実. E(ul) -∑♂ ul[x-f(I,e,a)】hl(e). ・・・-. (7). 際の製造量を上回れば,超過需要数量だけ,. を最大化するような報酬(インセンティブ)計画∫を. 1単位あ たり100円(-200円-100円)だけの磯会原価が発生. 決定しようとする。. することとなる。. プリンシパルの側で,エージェントは(6)式を最大. オーナー,経営者とともに全く同一のリスク回避的. 化するように行動することを知っているとすれば,プ. な効用関数を有しており,次のように表現されること. リンシパルはエージェントが(6)式を最大化すること. が既知であるとする(ただし,. によって得られるαを所与とした上で,. とする)。. (7)式を最大. 化するような報酬計画′を決定するであろう。この ようにして決ってくる報酬計画fは,エージェント. ここに,. Wは富の水準である. ul(W) -u男(W) -W古 dul/dW-(0.5)W-1/2>o,. ・・・・・・(8) d2ul/dW2-.

(9) 管理会計論序説(Ⅱ). (331). (青山 護). 59. 表Ⅴト1仮設企業のペイオフ関数. (8)式の効用関数がリス -(o.25)W-1/2<o,となって, ク回避的であることは容易に確かめることができる。 われわれの記法の下では,自然の状態を示す確率変数 ♂は製品に対する需要量を示し,行為を示す変数αは. 中立的であることから,期待ペイオフ(利益)に等し くなっているo ところで,われわれのケースでは,. (8)式のような. リスク回避的なプリンシパルとエージェントを想定し. 経営者の意思決定の結果である製造数量を示すことが. ていた.その場合,プリンシパルであるオーナ-は,. 明らかであろう。このとき,企業のペイオフ関数∬-. 経営者がリスク回避的であり,ランダムに生起する製. p(e,a)は. 品需要量βに対して責任をもちえないことを知ってお り,期首においてエージェントである経営者と(実現. a'tO<<ee<<2a. -(;:Z三「100 (9). --. x(o,a,. と定式化できる。すなわち,会計的には表Ⅵ-1のよ. うことを契約するものとする。たとえば,オ-ナー. は,経営者の意思決定の結果として得られる期待ペイ. うな計算が可能である。 旧来の会計的思考の下では,意思決定主体のリスク に対する態度は殆ど考慮されてこなかった。ここで も, d2ul/dW2-oとなるような,リスク中立的な効. 用関数を想定しうるとして,たとえば, ul(W)-W. ・・・・・・(10). という効用関数を考えるならば,その期待効用は,. E[u(I)】 -E[x(e,. 利益でなく)期待利益をベースにしてその報酬を支払. (200 忘[J:.. e-loo. う。すなわち,報酬に関して, f(I,e,a) -0.20E[x(0,a)】 -o. 20(-1,000+300a-10a2). -・・・. (12). という契約がおこなわれているとする。このとき,エ ージェントである経営者はβにもとづく不確実性の影 響を全く受けることなく,その期待効用を最大化する. a)】. 20-10. オフの20パーセンttを支払う契約を提示するとしよ. de. a). ことができる。. E(u2 【f(I,0, a)])-E(u2 [0.20 (-1, 000+300a-10a2)】) -【o. 20 (-1, 000+300a-10a雪)】を. ・J2aOIOO (13) adO] 上式から明らかなように,経営者の期待効用は単にα -晋[e2-ao]:.・晋[ao]2aO (ll) のみに依存しており,不確実な変数βから独立になっ ・-・・. ニー1,000+300a-10a2. ・・・-. で微分してゼロとおけば,期待効用を最大化するよう. (12) ている.ここに,エージェントである経営者は, 式のような契約の下では, (13)式を最大化するような. な製造数量β串-15が求められる。このとき,期待ペ (ll)式より, 1,250(円)とな イオフE[x(e,a)】は,. α*-15が経営 αを選びさえすればよい。すなわち, 者にとって最適な意思決定であり,そのときの期待効. る。なあ. 用は. となる。期待効用を最大化するために,. (ll)式をα. このときの期待効用は,効用関数がリスク.

(10) 60. (332). 横浜経営研究. 第Ⅵ巻. 第4号(1986). E(u2 [f(I, e, a)】)-u2 [0.20(-1, 000+300a-10a2)】. -ノ2T5す -15.. +. 8114. (4.47214) -0. より,二次方程式の取の公式を利用してa榊を求め ると, α≧10であることに注意すれば. と計算される。 これに対して,プリンシパルであるオーナーは,. e. に由来するリスクをすべて負担することになるoオー. 47214. α*串=14.. となる。このとき期待利得は, E [x. ナーの期待効用を(7)式にしたがって計算すると,経. (e,a**)]. であり,. のものとすれば,. ていることがわかる。このとき, e,. a*-15のときの期待利得1,250よりも減少し (16)式より, E. a)]). (200e-100a-250). JIoJ(100a-250) ・志J (200e-1, 500-250) nulq ・志J 500-250)喜dO. i dO. i de. となって,. a. i dO. a) -31.. 58. βに由来する不確実性をエ⊥ジュントと分. とができる。仮に,プリンシパルとエージェンT・のそ. 10. 20. れぞれの期待効用を合計することで,企業組織全体の. (1,. 15. 厚生が測れるものとすれば,リスク・シェアリングを. 09138. --. (14). と計算されることになる。. おこなうことによって,当初のE(u1)+E(u2)E(u1) +E(u2) -47.264に増加しており, 組織全体では明らかにその厚生が増大している。た. 46.903から,. ⅠⅤ.例解(2)-リスク・シェアリングの. だ,異なる個人間での期待効用の加法計算は必ずしも. ケースー. 正当化されるわけではないことに注意しなければなら. 上の例解では,エージェント-の報酬(インセンテ ィプ)計画が,実際の利得ではなく期待利得にもとづ いていたために, βに由来する不確実性はすべてプリ ンシパルの側で吸収されることになっていた。もし, 報酬が期待利得ではなく不確実な利得にもとづいて契 約されるとすれば,事態はどのように変化するであろ うか。具体的には, f(a,0,a). 0,. 担しあうことによって,その期待効用を増加させるこ. 15. -31.. 67441. E(u1[x(e,a**)】)-f(I,. 20. *. (u2)-15.. プリンシパルについては,. α* 10. 21364. -1247.. 営者のa*-15という意思決定およびf・:h'-250を所与 E(ul [x (e,a) -f(a,. (ll)式より,. ない。. このケースでは,エージェントの側に不確実性の分 担が要求されているにも関わらず,報酬率が20パーセ ントのままで不変であったが,リスクが増加する分に 見合う補償(compensation)として,報酬率を適当に 引き上げるならば,エージェン†の期待効用を当初の 水準から減少させることなく,プリシバルの期待効用. -0.. 2x(e,a). -・・・. (15). を増加させることができる.すなわち,パレート. というように(12)式が変更されたとする。このとき,. (Pareto)の意味でより効率的な資源配分を達成する. エージェントである経営者の期待効用は次のように計 算される。. ことが可能となる.そのような数値例に興味のある読. E(u2 [f(I, 0, a)】)-E(u2【0.2x (0,a)】). 者を3:,章末のR. Kaplanの文献:第17章などを参照 されたい。. α. ;I. =To. 10. [o.2 (2000-100a)I; de 3. [o・2 (100a),idO-. ・foJ?. 3. Ⅴ.小. 括. 本節で紹介したような,プリンシパルーエージェン [窓-J欝]a蔓トモデルの考え方は,今日まで提示されている,多. 数の成果の軽く一部にすぎない。本節では触れる余裕 --(16) 志(400-200a)5+2(20)与a喜 上式はaのみに依存した形になっている.エージェ. がなかったが,管理会計論と直哉な関係を有する情報. ントの期待効用を最大化するためには,上式をaで. システムと資源配分の問題や,如何なる効用関数の下. 微分してゼロとおけばよい。すなわち,. で最適契約が達成可能か,あるいはプリンシパル,エ. L7E (I(=) da. (-0. 4472)a+0. 05(400a-20a2)喜. ージェントともに複数存在するような状況ではどのよ うな均衡解がもたらされるか,などといった問題も存.

(11) 管理会計論序説(Ⅱ). (333). (青山 護) Costs. Agency. 在する。これらの議論も,いずれ近い将来にはわが国. of. の管理会計論の文献においても旺盛におこなわれるよ. Financial. Stracture",. Ownership. and. Ecol-Omics,. Milton. ともあれ,プリンシパルーエージェントの考え方が. Harris on. sults to. 如何なる性格のものであるかを知る上で,本節の議論. Raviv, with. Law. Review,. Horngren,. where and. Are. Clark, Costs,. 3) "Report. Madison:. in. p・. 1978,. of. Committee. the. Standards",. pp・. 174-188・. Accounting. School,. of. of. Cost. on. Remlew,. Concepts. April. 1952,. Accounting. 参. Association,. 1). Measurement,. 19751. (日本 語版)井尻雄士『会計測定の理論』東洋経済新法 社, 1976年o 6)ここで紹介される数値例は,章末のKaplanの文 献:第1章の申で扱われている例を改訂したもの American. Acco・unting. である。. 7)ここでの条件は,章末に掲げたKaplan[1982】, 第1章での指摘を参考にしている。 in Large "Control Organizations"・ 8) K・J. Arrow, Science. Management. X. (April 1964), pp・. 3971. 408. Michael. HTheory. Jens・en of. the. and Firm:. Stracture. of. Business,. Harvard. 1985.. 9・)リスクに対する態度と効用関数の性質について は,青山 護「不確実性と還好」,諸井勝之助・ 若杉敬明編著『現代経営財務論』東京大学出版 会, 1984年,第1章を参照せよo. 4)特殊原価の詳細については,諸井勝之助著『原価 計算講義』東京大学出版会, 1965年,第2章を参 照せよ。 5) Yuji Ijiri,Theory. 20-30・. をあげておく。 Oてノer-. 1923.. and. pp,. プリンシパルーエ. Uni-. 9・. Economics. the. The. Agents:. BusilneSS. 1975,. Studies. and. Accounting. Symposium・. Wisconsin・. Of. head. in. Barer. Control,. verslty. 2) J・M・. We?",. Management. In-. American. -ジュント・モデルの最近の研究動向を平易に解 説した文献として, (ed・),Principal J・W, Pratt and R・JI Zeckhauser. Accounting:. ``Management. Re-. Health. Enforcement", March. などの文献を参照せよ。なあ 注. "Some. Applications. Employment,. and. and. Economic. Arthur Contracts. and. Incentive. Education. surance. がその手掛りを与えてくれるであろう。. C・T・. 305-. 60.. うになるであろう。. I). Journal. 1976, pp・. October. 61. William Managerial. H・. Robert. S・. counting,. 2) Joel. Kaplan,. 考. 文 Advanced. Prentice-Hall,. S. Demski,. 献 Management. Ac-. 1982・. Information. Analysis,. Addison-. Wesleァ, (吉川武男訳『情報分析の基礎理 論』千倉書房, 1983年) 3)石塚博司外著『意思決定の財務情報分析』国元書 房, 1985年。 清編著『管理会計の基礎知識』中央経済 4)岡本 社, 1977年。 5)津曲直窮著『管理会計論』国元書房, 1977年。 6)諸井勝之助著『原価計算講義』東京大学出版会, 1965年。 1980・. Meckling, Behavior,. 〔あおやままもる. 横浜国立大学経営学部助教授〕.

(12)

参照

関連したドキュメント

以上のような背景の中で、本研究は計画に基づく戦

A(会計士):条件付取得対価の会計処理は、日本基準と国際会計基準で異なります。まず、日本基準からご説明し

そのような発話を整合的に理解し、受け入れようとするなら、そこに何ら

When we consider using WEKO as a data repository, it is not easy for the users to search the data which they wish because metadata are not well standardized in many academic fields..

日頃から製造室内で行っていることを一般衛生管理計画 ①~⑩と重点 管理計画

前章 / 節からの流れで、計算可能な関数のもつ性質を抽象的に捉えることから始めよう。話を 単純にするために、以下では次のような型のプログラム を考える。 は部分関数 (

実習と共に教材教具論のような実践的分野の重要性は高い。教材開発という実践的な形で、教員養

このような情念の側面を取り扱わないことには それなりの理由がある。しかし、リードもまた