手書き入力メディアを利用した分散協調学習環境に関する研究
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(2) 目次. はじめに._._____.__._.___._.._____.______.1. 第1章研究目的.__.____...______..______.._.._3 1.1分散協調学習環境_._____..__._.___.____.__..3. 1.2提案する協調作業空間__._.___..__.____.__..__4 1.3分散協調学習と手書き入力____..__.__._.___... _6. 第2章認知的道具として手書き入力メディアの利用______..8 2.1認知的道具__.____....______._..__.. __8. 2,2認知的道具としての手書き入力インタフェイス.__.__. _9. 2.3情報の受け手に与える手書き入力メディアの影響_____.10 第3章情報の受け手に与える手書きの影響._____._..___12 3.1仮説_____._._._____.______,._____12 3.2実験の目的______....______..___.___._._12 3.3実験の方法__..____.._._____.____..__..__.13 3.3.1実験期日__.____...___.___._____._..._._13. 3.3.2被験者___._.6_.__..____.。.______.___ 14. 3.3.3提示する文字の種類.______.__.__.__.__._. 14. 3.3.4道具._._____.__..____._._____.._____15 3.3.5実験装置__.____..__.____._____._..... 15 3.3.6手続き__.__.__.____..__.._._____._._. 15. 3.4結果__.___._._.._____._____._..______18. 3.4.1手書きされた文字と活字の比較._____._.____.__20. 3.4.2面識のない他人と面識のある知人での比較___._.__._20 3.5考察.______...______.__._.___._____._21. i.
(3) 第4章手書きへの視線集中を導く共有白板..______..,.._23 4。1教室における視線集中..______.._._____.____23. 4.2視線集中を共有白板上の手書きに導く仕組みの必要性___24 4.3手書き情報作成者に受信者の視線を知らせる仕組み__. .25 4.4受信者の手書き追随行為を支援する仕組み______. .27 第5章手書き入力への視線集中を導く共有白板の試作..__. ..29. 5ユベースシステム__._.___.___.___..___.__。 .29. 5.2視線のメタファとしてのアバタ操作__..____._____31. 5。3スレッドによる受信した手書きストロークの再生__._. 。31 おわりに___._.__.____..__...______.___. .33 引用文献_.._____.__.____..__..____.___. .35 参考文献_____.._.__.____....__…………・…・……. ・37 謝辞___.__._._._____....______..___.__. ..38. 資料. ii.
(4) はじめに. 今日の社会は,高度情報通信ネットワーク社会と呼ばれている。 e−Japan戦略によって,新しい社会にふさわしい法制度や情報通信イ ンララが行われてきた。. 学校においても,最新のコンピュータが導入されるだけではなく,. 情報通信ネットワーク環境が整備され高速インターネット網を活用 することができるようになった。情報通信インフラの普及により,普 段接する事ができない専門機関の情報を利用した学習や,電子メール による交流活動などが行われるようになってきている。. また,社会人や生涯にわたって学びたいという者にとって,いつで も,どこでも,だれでもが様々な場所から教育を受けることができる e−Learningやそれらをさらに遍在化させるu−Learningが注目されるよ. うになってきている。これらの多くの場合,分散された学習環境にお けるコミュニケーションの方法は,チャット,電子掲示板が利用され る。現在においては,高速なネットワークの普及により文字情報だけ ではなく,音声やビデオ映像等様々なコミュニケーション手段が利用 可能になってきており,リアルタイムな協調作業が行える分散協調学 習に関する研究も行われている。分散協調学習においても,社会的構 成主義の学習観に基づき,教師一学習者,学習者一学習者間の相互作 用が重視され,知識の共同構築を目的とした活動を支援するための研 究が行われている。. 昨今のペンタブレットやタブレットPC等の普及によりディジタル ペンによる入力・操作が一般家庭においても可能になってきたことを 背景とし,本研究で提案するシステムにおいては,分散協調学習の相 互作用のための共有白板に手書き入力を利用する。本研究の目的は,. 1.
(5) 手書き入力可能なメディアを利用したネットワーク上でのリアルタ イムなコミュニケーションに基づく学習を構成するに当たり,手書き を導入することの長短を検討し,それを踏まえた共有白板を持つ分散 協調学習環境を構築することである。. 検討の段階においては,まず,手書きされた情報そのものについて の長短を明らかにする。次に,分散協調学習環境における共有白板上 での手書き入力提示の問題点とその解決案を検討していく。最終的に 行った検討を踏まえ,本分散協調学習環境の試作を行う。提案するシ ステムの仕組みは,協調作業を行うにあたり,学習共同体への参画す るにあたっての他者の存在感を向上させ,円滑なコミュニケーション を行うことが可能になる。. 本論文の構成は,次の通りである。. 第1章では,分散協調学習環境と研究目的について述べる。. 第2章では,認知的道具として手書き入力メディアについて述べ, 第3章で述べる調査の必要性を述べる。. 第3章では,手書きされた情報が受け取る側に与える影響について 行った基礎的な実験について述べる。. 第4章では,分散協調作業空間の共有白板において,学習者の視線 を得ることで,仮想的に存在感を高めるために行った学習支援システ ムの提案について述べる。. 第5章では,手書き入力への視線集中を導く共有白板の試作につい て述べる。. 2.
(6) 第1章 研究目的 1。1分散協調学習環境. 分散協調学習とは,地理的に離れた学習環境にいる学習者が、グル ープ活動の中で互いの学習を助け合い、ひとりひとりの学習に対する 責任を果たすことで、グループとして目標を達成していく、協調的な 相互依存学習である(教育工学事典2000)。分散協調学習環境を構築す る上では,コンピュータとネットワークが利用される。岡本ら(1996). は,分散協調学習には,図1.1で示すように,教材提示や板書を行う 共有白板ウィンドウ,チャットや掲示板のようにコミュニケーション を行う対話ウィンドウを備えた協調作業空間と,ノートをとる,計算. を行う等の個人作業空間の2つに分けることが一般的だと述べてい る。近年では,ネットワークの高速化により,カメラ映像を含めたボ イスコミュニケーションの導入がなされ,また,協調作業空間におい ては,学習に参画するメンバによる操作がリアルタイムに反映される ような製品(NTT−IT 2001)1も存在する。. また,ネットワークを利用した分散協調学習空間においても社会的 構成主義の考えを基に教師一学習者,学習者間の相互作用を重視した 学習が行われている。. 1NTT・IT(株)によるパソコンとインターネットを利用したウェブTV会議シス テム。. 3.
(7) 共有白板ウィンドウ. 電子ノートウィンドウ. 対話ウィンドウ. 練習ウインドウ. @チャット等. v算や漢字等. 個人作業空間. 協調作業空間. 図1.1 協調学習の2つ作業空間. 1.2提案する協調作業空間. 本研究においては,同期的な分散協調学習環境における共有白板上. でのコミュニケーションの改善による協調学習の効果の向上を目的 とするが,その手段として,ペン入力メディアを利用した手書き入力 を用いる。本研究を進めるにあたって,本分散協調学習環境における 協調作業空間の構成を以下に示す。. (1)ワークシート等を地として手書きによる書き込みが可能な共有. 白板システム (2)学習に参加していることを知らせるWebカメラを使用した動画. 配信システムと音声情報によるボイスチャットシステム (3)文字情報を共有するためのチャットシステム (4)学習活動を記録・録画する機能(ポートフォリオ). 4.
(8) ご. ぼ. 「じ輔. @ 魯. 参加者. 発言者. メニュー. 共有白板ウィンドウ. ヤツト Eインドウ. @ ベ’ @. し.. 図1.2 本協調作業空間における画面の例. ハードウェアについては,タブレットPCまたは,ペン入力が可能 なコンピュータ,Webカメラ,マイクロフォン,スピーカまたはヘッ ドフォン,そして,高速な通信が行うことができるインターネット環 境である。. 本論文においては,上述の(1)のあり方について検討を行っていく。. 検討を行うにあたり,次の2点について述べる。. ①手書きを導入した場合の長短について ②手書き入力が可能な共有白板を構成するに当たり,手書きのスピ ーディさ故に生じる問題について. ①については,次章,および第3章にて,②については第4章にて 検討を行っている。. 5.
(9) 1.3分散協調学習と手書き入力. 分散協調学習では,学習者は他の学習者または教師とリアルタイム なコミュニケーションを行いながら学習を行う。その際,図1.3で示 すように,学習者自身が考えたことを発信したり,他の学習者の考え を聞いたり,学習者は情報の発信者と受信者となり常にダイナミック に入れ替わりながらインタラクションが行われる。. 受信者. 発信者 共有白板上にて インタラクションを. ①① △. 誘発する道具 く手書き入力メディア〉. 受信者. 発信者. 図1.3 情報の発信者と受信者の入れ替わり. Miyakeθ’aZ(2003), Miyake(2004)は,協調学習を行う過程とし て,. 1.学習した自分の考えを外化する。. 2.外化した内容を学習者全体に反映し,共有させ吟味の対象にす. 6.
(10) る。. 3.吟味を受けることで,外化した内容を修正,改訂し,個々人の 学習,理解を深めることによって知識統合を行う.. と述べている。. 本研究では,考えを外化させるために,次章2.2節で述べる認知的. 道具としての手書き入力と共有白板を使用し,Webカメラやボイスチ ャットによるコミュニケーションに加え,手書き入力の導入により,. 話しながら指示を書き込む等の円滑なコミュニケーションを誘発す ることができると考えている。よって,実際の対話と同様に,物理的. に離れた環境においても相手を意識した学習を行うことができると 考えている。. e・Learningのような分散学習は,主に高等教育機関や企業内教育に. おいて実施されることが多い(経済産業省2007)。しかしながら,本. 研究では,小学生や中学生のようなコンピュータに慣れていない児 童・生徒を対象とし,手書き入力メディアの利用により教室での学習 に近づけた授業を行うことができると考えている。 次章に,手書き入力メディアについて述べる。. 7.
(11) 第2章 認知的道具として手書き入力メディアの利用 2.1認知的道具. 現在,コンピュータの主要なインタフェイスはキーボードとマウス である。我々は仕事や趣味でキーボードを使いこなしている人もいれ ば,そうでない人もいる。キーボードは,鉛筆とは違い使いこなすま でには時間がかかる。それは,タイプライター時代,キーボードの機 械的な構造上の問題のため,わざと打ちにくいキー配置にして遅く打 つようにしたことに由来している。このため人間:工学の観点から理想. 的な配置ではなく,キーボードに慣れない者にとっては思考を中断さ せる大きな要因になる(佐藤1ggg)。実際に手書きとキーボードによ る入力について比較を行ったHamzahθ’α1.(2005)によると,キーボー. ドと手書きの問でメモを取る実験を行った結果,1分間の入力文字数 において,手書きの場合のほうがキーボードの場合に比べ有意に高く なったと述べている。. 佐伯(1gg7)は,ユーザーの側から道具に対する注文として「道具の 三条件」を次のように述べている。. (1)道具は人間の代用物ではないし,人間に「かくあるべし」とか. 「こうするべきだ」という価値判断の基準を示すものであって. はならない(非・規範性) (2)道具は人が何かの作業(当然それは道具の「外」の仕事)を達. 成しようとしたとき,その達成を支援する手段として有効に機 能してくれるものでなければならない(手段性) (3)道具はしばらく使っているうちに「使っている」という意識が. なくなり,それを使って実行している作業そのものに集中でき. 8.
(12) るものでなければならない(透明性). 以上を踏まえるとキーボードに慣れない者にとってキーボードは, それを使用して作業を行うことの負荷が高いため,認知的道具たり得. ない2。対して,鉛筆などペン型の道具は小さいころから人間の表現 手段の一つとして馴染みが深く透明性が高いといえる。. 2.2認知的道具としての手書き入力インタフェイス. コンピュータを利用した学習の中で近年注目され使用されている 入力機器にペンタブレットやタッチペンと呼ばれるものがある。タブ. レットの歴史は,1964年に発売されたNANDタブレットによって始 まったとされている。その後1970年代にCAD(Computer Aided Design). 3用のポインティングデバイスとして発展してきた。現在よく使われ ているマウスは,コンピュータのGUI(Graphica1 User lnterface)4の. 操作のために使われるが,絵を描いたり文字を書いたりすることには 向いていない。ペン型の入力メディアはマウスに比べ細かい作業や正. 確さを求める図形や地図,CAD用のポインティングデバイスとして利 用されたり,絵やイラストを描いたりするに向いている。 加藤(1998)は,ペンUI(User Interface)の良さをマウスと比べ,「ペン. はマウスより次の操作があらかじめ分かっているとき,操作がより速 くできるようになる」と述べている。また,ペン型の入力メディアは. 紙と鉛筆のように思いついたことを自由に書くことができるので思 2ただし,キーボードを長く使っている者については「タッチタイプ」という言 葉があるように手がキーボードの配置を覚え考えたことを打ち出すことができ思 考の中断が起こらなく,佐伯のいう透明性の状態になることもある。 3コンピュータを利用した,設計・製図システム。 4グラフィックス表示によりユーザに対する情報をマウスなどによる操作を行な うことができるユーザインタフェイスのこと。. 9.
(13) 考の中断が起こりにくく自分の考えを直感的に書き出せ,すぐに目に. 見える形に描き表すことができ手間がかからない(曽谷1gg3,尾関 ら1997,三末1997)。. 頭の中で考えている事を目に見える形にして表現することを「思考 の外化」という。考えていることや思ったことを素直に目に見えるか. たちに書き出すことによって自分の考えを整理することができるた め,学習においてはこのような作業が負荷なく行えることが重要であ るといえる。. つまり,コンピュータで実現された共有白板においてディジタルペ ンによる手書き入力は,認知的道具となりえ,手書き入力メディアと しての共有白板は,学習者が自らの考えを他学習者に伝達しあうとい う思考の外化の活動を支援することが可能であるといえる。. 2.3情報の受け手に与える手書き入力メディアの影響 前節においては,情報の作り手に対し,手書き入力のメリットを述 べた。本節においては,情報を受け取る側から,手書き入力を検討し ていく。. 手書き入力インタフェイスの研究においては,手書きの長所面から のアプローチがこれまでなされてきた。たとえば,中川(2002)は,手. 書きインタフェイスについて,「文字認識は言語依存であるけれど手 書きそのものは言語に依存しない」,「手書きの習慣と文化がすでにあ. り,個性と感情の表現が可能」と述べている。また,非同期的な遠隔 教育の研究において,Liθ’α1.(2006)は,日本語学習者から電子的に提. 出された日本語の作文について提出された電子媒体のコメント機能 による添削情報の提示と,手書き入力されたものについて比較を行い. 10.
(14) その結果,手書き入力されたものを利用した方がより学習者の記憶に 残りやすいという結論を出している。しかしながら,Liθ’α1.は,実. 験結果を考察する段階で,提示する情報の誤り箇所と添削情報間の近 さが記憶に与える効果を持つ可能性についても言及しており,手書き が個性や感情の表現が可能であるからとはいえ,一概に学習に効果的 であるとはいい切れない。残念ながら,筆者の知る限り(Liθ’α1.2006). 以外,学習における手書きの効果について述べている文献が無く,ま た,一方で活字の生まれた経緯を考えると,手書きの効果を積極的に 肯定することは難しいように思われた。. そこで本研究においては,手書き入力を分散協調学習に導入するに 当たり,まず手書きそのものが持つ受け手に与える影響について実験 を行い,検討することとした。. 11.
(15) 第3章 情報の受け手に与える手書きの影響. 手書きについては学習における情報の作成者の利点に焦点をあて た先行研究が多いが,本章においては,これまであまり議論されなか った受信者側からその効果について実験を行った。. 3、1仮説. 教室での授業における板書には,それを書いた教師の個性や感情と いった“情”が入ることで,手書きされた文字から,それを書いた人 の存在感を得ることができると考え,以下の仮説をたて実験を行った。. (1)情報の受信者は手書きされた文字等の情報にその作成者の ‘‘情”を感じる。. (2)(1)から誘発される作成者の想起がなされる。. (3)(2)の想起から受信者である学習者が動機づけられ学習が促 進ずる。. 実験については,単純化のため(1)については文字のみに限定し,(3). については,短期的な記憶に与える影響に範匪1を狭め手書き効果の測 定を行うこととした。. 3.2実験の目的. 上記の仮説を基に,情報の受信者の短期的な記憶に与える影響につ. いて実験を行う。実験は次の2つの小仮説を立て,仮説を検証する。. ●手書きされた文字は人間によって書かれたものなので,活字体の. 12.
(16) 文字よりその人・その時の情が表れるので,記憶しやすい。. ●教師や友人など良く知っている人の文字は学習者にとって特別 な意味を持ち記憶しやすい。. 図3.1は,上記仮説をモデルで表したものである。教師のような知 人が手書きしたものであれば,その人との面識によって存在感が手書 きされた文字に加わるが,面識のない人が書いた文字では,書いた人 の“情”が入っても受信者には伝わらない。そこで,活字の文字と手 書きされた文字を比較することで,“情”の存在を確かめる。. /(傅\ (知人の文字\ \. ▼、一. 、. 個卑情1. ノ \、. ノ/. 〆−. 〆/. 記劇. (他人の文字,. \\ メノ. / ∫. \. 一. ノ. ℃ノ. ノ謬. \ \ 活字の文字 一一一一一一《垂) わ. \\ ノ \∼_一〆“. 図3.1 仮説のモデル. 3.3実験の方法 3.3.1実験期日. 実験期日は2007年11月5日から2007年11月28日である。被験 者一人当たりの所要実験時間は,実験の説明等を含め40分間程度で ある。. 13.
(17) 3.3。2被験者. 被験者は本大学に所属する大学生・大学院生・大学職員の計25名. (男18名,女7名)であった。内訳は,大学生1名,大学院生21 名(大学院生のうち4名は現職の公立学校の教員),大学職員は3名 である。. 3.3.3提示する文字の種類. A) 被験者にとって面識がない人の文字(以下,他人と示す). 文字データベースの中から実験者が被験者と面識が全く無い 人を選び実験に用いた。実験後に被験者に面識があるかどうか 確認をした。. B) 被験者にとって面識のある人が書いた文字(以下,知人と示す). 文字データベースの中から被験者に,よく知っている人,その 人の文字をよく見ている人を直接選んでもらい実験に用いた。. C) 被験者自身が書いた文字(以下,自分と示す). 実験前に被験者自身に書いてもらった文字を実験に用いた。. D) 活字体の文字(以下,活字と示す). 活字は本や新聞などワープロによって書かれた文字。清原ら (2003)によると,明朝体に比べてゴシック体の方が文章理解され. やすいとされているため,本実験では,マイクロソフト社のMS ゴシックを用いて実験を行った。. 14.
(18) 3.3.4道具. 以下の道具を用いて,実験を行った。. ● コンピュータ(Windows XP搭載のPC) ● 17インチディスプレイ ● 記述用紙(4枚1組). ●鉛筆2本(1本は予備). 3.3.5実験装置. 実験は,コンピュータによって9文字のランダムな文字列を提示で きるプログラムを用意したコンピュータを使用し実験を行った。この プログラムは,予備実験の際に被験者が紛らわしいと述べた文字の対 “0”と“Q”等については本実験では提示画面に同時に表示をしないよ. うに設定を行った(資料V参照)。表示機器には,17インチのTFT液 晶ディスプレイ(解像度1280×1024dot)を使用した。また,提示される. 手書き文字と活字(MSゴシック)については,ほぼ同じ大きさで提 示されるように調整を行った。. 3.3、6手続き. 事前準備として,個人の手書き文字を収集するために,手書きシー. トにアルファベットのAからZまでを大文字で書いてもらった。この とき,できるだけ普段書いている字体で書くように指示を行った。. 実験を始める前に,実験の目的や実験方法の説明を行った。次に実. 際のプログラムで練習を5回程度行い実施方法の手順を確認した。本 実験では,被験者が操作するマウスのクリックで開始され,1クリッ. ク後1秒間無意味なアルファベットのつづりが9文字提示される(図 15.
(19) 3.2)。その後5秒間の遅延時間を知らせる赤い丸印が表示される(図 3.3)。被験者は5秒間の遅延時間後に提示された文字列を記録用紙に. 記入する。文字列の記入は,再生順番は特に指定せず記憶に残った文. 字を書き出してもらった。被験者はこの一連の作業を1文字の種類に. つき20回連続で行う。1文字の種類終了ごとに2分間の休憩時間を 設けた。また,実験を行う順序は,実験中の慣れの効果をキャンセル. する為に4種類の文字の組み合わせを変えたラテン方格法によって 24通り行うことにした。つまり,被験者ごとに実施順序を入れ替え て特定の文字が有利にならないように行った。本実験では25名の実 験協力者が集まったので1組み合わせだけ2回行っている。 被験者は,コンピュータ画面に文字列を提示させる為の操作を行い それ以外の作業は実験者(著者)が行った。. 16.
(20) 図3.2 提示画面. 図3。3 遅延画面. 17.
(21) 3。4結果. 被験者25名に対して,3種類の手書きによる文字とコンピュータ の活字が情報の受け手にとって短期的な記憶に影響があるか実験を. 行った。各文字の種類につき提示一再生を20回ずつ行った。再生で. きた文字を1点とし,1試行あたりに再生できた文字数の平均を表 3.1にまとめた。なお,O内は標準偏差(SD)を示している。また,表 3.2に被験者ごとに各文字の種類の平均再生数をまとめた。. 課題における平均文字数を基に結果を述べていく。1試行9文字提 示あたりに再生された平均再生文字数は,他人の文字4.57文字(0。62), 知人の文字458文字(0.63),自分の文字4.67文字(0.65),活字4.64文 字(0.76)である。. 表3.1 再生文字数の平均点(標準偏差). 〔N=25〕. 他人. 知人. 自分. 4.57 (0.62). 4.58 (0.63). 4.67 (0,65). 活字. 再生. カ字数. 18. 4.64(0.76).
(22) 表3.2 各被験者の再生文字数の平均点 被験者Nα. 他人. 〔N=25〕. 自分. 知人. 活字. 1. 4.3. 4.0. 4」. 4.1. 2. 5.7. 5.9. 5.8. 5.9. 3. 4.7. 4.6. 4.6. 4.6. 4. 4.2. 4.3. 4」. 4.6. 5. 5.9. 4.8. 5」. 5.7. 6. 4.6. 4.6. 4」. 4.2. 7. 4.4. 4.3. 4.6. 4.8. 8. 3.8. 3.9. 3.9. 3.5. 9. 5.9. 5.9. 6.3. 6.5. 10. 3.8. 4.2. 4.4. 3.5. 11. 4.6. .4.6. 4.8. 4.3. 12. 4.0. 4.1. 3.9. 4.0. 招. 4.7. 4.5. 4.9. 4.8. 14. 3.6. 3.2. 3.6. 3.5. 15. 4.0. 3.9. 4.4. 4.2. 16. 4.6. 4.3. 4.7. 4.9. 17. 4.8. 4.9. 4.9. 5.2. 18. 4.7. 4.5. 5.4. 5.0. 19. 4.1. 4.8. 4.6. 4.3. 20. 5.4. 5.8. 5.5. 5.8. 2准. 4.6. 4.9. 4.9. 5.2. 22. 4.7. 4.5. 4.5. 4.6. 23. 5.0. 5.2. 5.4. 4.5. 24. 4.7. 4.6. 5.0. 4.5. 25. 4.1. 4.7. 3.9. 4.3. 19.
(23) 3.4.1手書きされた文字と活字の比較. 手書きされた文字の平均再生数((他人+知人+自分)/3)は, 4.61文字である。自分の文字は活字より多く再生できているものの,. 手書き文字全体では,活字より低い結果が見られた。図3.4は,縦軸 に平均文字数,横軸が水準を表す。手書き文字4.61文字,活字4.64 文字であり大きな差が見られなかった。. 8 平6 均. 4.61. 4.64. 手書き. 活字. 文. 字4 数. 2 0. 図3.4 手書き文字と活字が記憶に与える効果. 3.4.2面識のない他人と面識のある知人での比較. 教師や友人など良く知っている人の文字は学習者にとって特別な 意味を持ち,記憶しやすさを調べるために他人と知人の平均文字数を 比較する。図3.5は,縦軸に平均文字数,横軸が水準を表す。他人4.57. 文字,知人4.58文字であり大きな差が見られなかった。. 20.
(24) 8. 平6 均. 文. 字4. 1麹. 4.58. 数. 2 0 他人. 知人. 図3.5 他人と知人の文字が記憶に与える効果. 3。5考察. 今回の実験では,手書きされた文字情報に含まれる“情”が受信者の. 短期的な記憶に与える影響を考慮すべき調査を行ったが,単純化のた. めに被験者は学習という文脈から切り離し文字のみ提示される状況 として,かつそれが短期的な記憶に与える影響に関してのみ調査を行 った。. その結果,受け手にとって作成者の違い,手書き文字か活字体であ るかの違いについて差が見られなかった。よって, (1)情報の受信者は手書きされた文字等の情報にその作成者の“情” を感じる。 (2)(1)から誘発される作成者の想起がなされる。. (3)(2)の想起から受信者である学習者が動機づけられ学習が促進す る。. という仮説を採用することは難しいと結論付けた。以上より,情報を 受け取る側にとって手書き文字に埋め込まれる個性は,記憶に寄与し ないことが示唆された。一方で,驚くべきことに表3.2と図3.4から. 21.
(25) は,手書き文字であるが故に読み取りにくさを与え,結果として学習 を阻害する可能性については,今回の実験においては,それほど影響 が無いことが示唆された。. また,実験実施時に知人の文字を選んでもらう際,数人の被験者か ら「本人(人物)は,知っているけど,その人の文字は覚えていない。」. というコメントが得られた。このことを考慮すると,もし学習におけ る手書きに効果があるとすれば,その効果は学習という文脈における 手書きから得られるものであると考えられる。今回の実験では,文字. の種類による違いが短期的な記憶に与える影響について測定を行う ことができた。しかしながら,単純化のために学習という文脈から切 り離し,文字(アルファベット)のランダムな系列を用いたため,授 業のような学習の文脈で手書きされた情報(単語や文に加え矢印等の マーク等)を見ることが学習に与える影響については,検証の範囲外 であった。これについて検討を行うことを今後の課題とする。. 次章においては,第2章で述べたような情報作成者の思考を中断し. ないという手書き入力の利点を生かした同期的な分散協調学習環境 のあり方について検討を行う。. 22.
(26) 第4章 手書きへの視線集中を導く共有白板. 本章では,第1章で述べた効果的な同期的な分散協調学習を実現す るために,第2章で述べた思考を中断しない手書きの良さと,ポイン ティングデバイス5としてのペン入力インタフェイスの良さを効果的 に利用することのできる共有白板のあり方について検討を行う。. 4.1教室における視線集中. 協調学習を行うためには,学習者の積極的な参加が必要になる。佐 藤ら(2005)は,電子化黒板に共有された情報への視線集中が受講…者の. 存在感(社会的存在感),ここでは「メディアを介した相互作用にお いて,相手がそこにいると感じられる程度」および,学習の情意面こ こでは「学習に対する主体的な態度や学習内容に対する興味・関心,. 学習のやりやすさ,受講者が主観的に感じる難易度等を含む (KEARNEYθ’α1.1985)」に与える影響について,電子化黒板の有無,. 教師の有無,個人/協同学習の3要因の実験を行っている。その結果,. 図4.1に示すように,電子化黒板の有無条件から視線集中が存在感を 規定し,存在感が情意面を規定していることを明らかにした。つまり,. 共通する一つの電子化黒板への視線集中が多いほど,他の学習者を意 識することができる。また,存在感が増すことにより学習への態度や 興味・関心が増し,一人で学習をするよりも効果があるといえる。そ のため,学習者の視線を得る工夫を行うことで協調学習に積極的に参 加できると考えた。. 5画面に表示されたアイコンを指示・選択する装置。現在のコンピュータは一般 的にマウスを使用している。. 23.
(27) く…中ノ 注)佐藤ら(2005)図4の一部を抜粋. 図4.1 視線集中の効果に関わるモデル. 佐藤らの実験は,対面授業形態での視線集中に関する研究であり, また,山崎ら(2001)のビデオカメラとモニタを用いた遠隔教育にお. ける障害について検討を行った研究6においても,視線一致の重要性 を見出しており,情報作成者と受信者という学習者の視線の共有が学 習の情意面をサポートしているといえる。. 4.2視線集中を共有白板上の手書きに導く仕組みの必要性 分散された学習環境では,物理的な黒板が存在しておらず,共有白 板を代替として利用する。手書きによる情報作成者とそれを受信する 他の参画者は物理的に距離が離れているため,それぞれの視線の一致. はWebカメラ映像により確認するしかない。山崎ら(2001)の研究か ら,カメラ映像に基づく視線の一致の成立は難しい。なぜなら,モニ. タ上に提示された協調作業空間では,受信者の様子をWebカメラか らの映像として,ほぼリアルタイムで見ることができる。しかし,設. 置されたWebカメラはバストショット7を動画配信しており,作成者 にとって,受信者が共有白板のどの部分に視線を集中しているか確認 することが難しくなる(図4.2参照)。 6複数のビデオカメラとモニタを使って仮想的に顔と顔を向き合わせた作業指示 のためのコミュニケーションを行ったが,指示者と作業者が向かい合うような配 置の場合,指示者は作業者がどの画面を見て作業を行っているのかが分からず, 作業に支障が生じたことが述べられている。複数のカメラを用いた配置について も工夫を行ったが,やはり同様であったことが述べられている。 7顔画像。人間の胸から頭までの画像。. 24.
(28) 発信者から見える映像. 石識 いノ 受信者. ). Webカメラ. /. ◎へ つ ㍉”『一・. \ミ. \ ディスプレイ. 図4.2 分散協調学習における視線の不一致. そこで,次節からは,手書き入力が可能な分散協調学習環境におい て,ディジタルペンをポインティングデバイスとして使用し,視線集 中(視線一致)を仮想的に行うことのできる仕組みを検討していく。. 4.3手書き情報作成者に受信者の視線を知らせる仕組み. 分散協調作業においてはしばしば,参画者のメタファ8としてのア バタ9が利用される。岩田ら(2002)は,生徒のディスプレイ上に先生の. 代わりに先生用アバタを表示することで生徒の注意を筆記動作に向 けさせることができると述べている。本分散協調学習環境においても アバタを導入する。教室での授業において教師は,発言や板書を行い ながら,学習者の表情や発言から,発言内容の理解度や話す速さ等さ まざまな情報を得ている。しかしながら,分散された環境では,4.2. 8隠喩。本論文では,参画者をたとえたもの。 9自身の分身をキャラクタで表したもの。. 25.
(29) 節で述べた,Webカメラによる動画配信では,学習者からのフィード バック方法が限られるため,適切なコミュニケーションが取れない。 そこで,共有白板において発信者によって描かれた手書きの文字やイ ラストを図4.3に示すように学習者は,ディジタルペンを使い追随さ せることでアバタを移動させる。それにより発信者は,学習者が筆記 内容を見ていることを認識する。手書きへの追随作業については,マ ウス操作によって行うよりも,すばやく指示を行うことが可能なディ ジタルペンによってなされることが適当である。 以上の仕組みを取り入れることで,作成者の情意面がサポートされ, 円滑なコミュニケーションが促進される。. ⑥⑨. 共有白板. 発信者. ◎(菊 学習者A 学習者B. 学習者のアバタ. 図4.3 手書き情報作成者への受信者の存在感の誘発. 26.
(30) 4.4受信者の手書き追随行為を支援する仕組み 一方で,本分散協調学習環境においては共有白板上に手書き入力が なされるが,手書き入力のスピーディさ故に,受信者にとって筆記を 行う発信者がどこの箇所から書き始めるかわからず,アバタによる手 書き追随行為が難しくなる。つまり,突然画面に筆記された情報が反 映されるのではなく,書き始めを強調させることで,注目すべき場所 がわかる。. 共有白板では,図4.4に示すように,発信者によって手書きされた 情報,この場合はペンストロークを一度サーバに送り,学習者のコン ピュータに手書き情報を反映させる前に,「今から,ここに書きます」. という意味をこめて第一ストロークの前に,図4.5のように注目を引 くようなハイライト機能を追加する。それにより学習者は,自分の画. 面に文字が反映される直前にどこに注目すればいいのか知ることが できる。 書きはじめを. 1莞i脈ノ◎. サーバ. 5. i㌘. E1 灘……纏. 鷺羅葺. ・匪]. …魂藤溝慈「. 匪]「. ,1無. 一. 教師(発信者). 学習者A. 学習者B. 図4.4 書き始めを強調する機能をつける仕組み. 27.
(31) ⇒農. 警識q実. ◎. 図4.5 第一ストローク前の強調. 28.
(32) 第5章 手書き入力への視線集中を導く共有白板の試作 本章では,前章で述べた仕組みを実装した試作システムについて述 べる。. 5.1ベースシステム. 本試作システムのベースとして,東京理科大学伊藤研究室による,. 大講義室におけるグループ討議のために開発された手書き入力の協 調学習支援システム(長谷川2007)を利用する。ベースシステムは 本分散協調学習環境と同様,個人作業空間と協調作業空間を持つ。. ベースシステムは,Javaloにより実装されており,クライアント・ サーバ型アプリケーションである。その特徴は,遠隔にあるサーバと クライアントが相互にRMI(Remote Method Invocation)11によりメ. ソッド呼び出しによって双方向通信を実現している点である。これに より,遠隔にあるサーバ・クライアントがあたかもそれぞれのメソッ ド12を呼び合う形でインタラクションを行わせることが可能となり, 開発を容易にしている。. ベースシステムで実現される共有白板は,本共有白板と同様,地と. なるワークシート(ベースシステムではWebサーバから提供される HTML文書)の上に,手書きで情報を書き込むことが可能となっている。. クライアントからサーバに対し,共有白板への書き込み要求がなされ るが,ベースシステムでは,複数のクライアントからの要求を考慮し. 10Sun Microsystems社が開発したプログラミング言語。 11Javaで分散オブジェクト環境(異なるマシン問でオブジェクト同士がメッセー ジをやりとりできる環境)を実現するための手法。. 12オブジェクト指向プログラミングにおいて、各オブジェクトが持っている自身 に対する操作。. 29.
(33) 排他制御機構13を備えており,場合によっては,教師(役)のユーザ. が適当なユーザに優先的に書き込みの権限を付与することも可能と なっている。なお,ベースシステムにおいては,書き込みを行いたい 場合に,「発言要求ボタン」を押し教師の許可を受けてから発言権を. 得ることができる。図5.1は学習者Aが発言要求を出し,教師が発言. 権をAに与える様子を表した図である。学習者Aに発言権がある場合 は,学習者Bが発言要求を出してもサーバによって却下される。この 発言制御により混乱のない学習展開ができる。. 学習者Aに発言. ◎⑨. ) 教師. サーバ. 発置 求. 発言権. インタ ・ 発言要求. 発言要求. 【==ニ=コ. ==コ. 学習者B. 学習者A. 1=====⊇. 学習者C. 図5.1 発言制御の様子 13データの読み書きを一時的に制限すること。本システムでは,発言制御。. 30.
(34) 本共有白板とベースシステムの共有白板の違いとして,本共有白板 では,. (a)情報作成権限を持たないユーザからの手書き入力を共有白板上. で表示されるアバタ操作へと変換する機能 (b)クライアント側で受信した手書き入力のストロークの提示をア. ニメーションとして再現し,その書き始めを強調する機能. を持つ。. (a)については,前章4.3節で述べた手書き情報作成者に受信者の視 線を知らせるためのものであり,また(b)については,前章4.4節で述. べた受信者の視線集中を導くためのものである。. 開発を容易にするという点において,本分散協調学習環境はベース システムに対し,(a),(b)を付け加えることで実装する。. 5.2視線のメタファとしてのアバタ操作 前節の(a)について,実装方法を本項で述べる。共有白板への手書き. 権を持たないユーザからの要求は,前節の排他制御機構により手書き 入力としては排除されるが,アバタの提示とその移動として処理され る。. 5.3スレッドによる受信した手書きストロークの再生 5,1節における(b)の機能について,本節で述べる。本共有白板に. おいては,作成者のクライアントからサーバに送信された手書き情報 は,サーバを介し,受信者のクライアントへと送られるが,ここでべ. 31.
(35) 一スシステムとは異なり,書き始めを強調する形で手書きのストロー クをアニメーションにより再現していく。ここでは,スレッド14プロ グラミングにより,クライアントアプリケーションが自動的に強調と 再生を行う。具体的には,サーバからの手書きストローク情報を受信 したクライアントアプリケーションは,スレッドを作成し,スレッド. から共有白板を構成しているGUIに対し,まずは書き始めの位置に ついて強調するプログラムを起動する。強調するプログラムでは0.2 ∼0.3秒間,強調表示を行う。その後スレッドは,手書きストローク を構成している点について,順番に0.1秒毎に線を繋いでいくプログ ラムを順次起動していく。これにより,手書きのストロークをアニメ ーションとして再現することができる。. を. ♪・. ノ失. 》. >q. レ障 ぴ. 共有白板 〆. ノ !. 1 !. \ ズ/ア は. /. ズ へ. \ ち. 掬ゆ. \ゾーノ. 図5.2 スレッドによる手書きの開始強調と再生. 14ソフトウェアの実行単位。例えば,微小な単位に分割した手書き情報をサーバ から受け取る作業と同時に描画していく作業を行うことでアニメーションとなる,. 32.
(36) おわりに. 本研究では,分散協調学習環境における協調作業空間(共有白板). 上にてリアルタイムなコミュニケーションによる学習を構成するた めに,手書き入力メディアの利用による学習支援システムを試作した。. はじめに,手書き入力メディアの長短を検討するために,手書きさ れた情報が受け手に与える影響に関する基礎的な実験を行った。その 結果,手書きされた文字は,受ける側の情意面に対し好影響を及ぼし 短期的な記憶に効果を及ぼすという仮説は成り立たなかった。また,. 手書きであるが故に生ずる読み取りの阻害についても影響がないこ とがわかった。. この結果と先行研究での知見を踏まえ,思考を中断せず,スピーデ ィなポインティングが可能という手書きのメリットを生かし,協調作 業空間上の学習支援システムとして,①共有白板上において,情報発 信者に受信者からの視線を知らせる仕組みの提案,②共有白板上への 手書き入力された情報へ視線を導くシステムの提案を行った。①につ いて,作成者(情報発信者)が行った板書等の行為に学習者がそれを 追随する機能を持たせることで,作成者の情意面がサポートされ,円 滑なコミュニケーションが促進される。また,②について,共有白板 上において,学習者(情報受信者)に書き始めの位置を強調させるこ とで,視線の集中が得られる。これらの機能により,情報の発信者と 受信者がダイナミックに入れ替わる協調学習において,情報の発信者 と受信者それぞれの存在感を導き,情意面の向上と正確な意見交換や 情報の伝達できるようになる。. 試作は,東京理科大学伊藤研究室のシステムをベースとして行った が,システムの評価実験には至っていないため,本研究で想定する協. 33.
(37) 調作業空間において,提案した機能による円滑なコミュニケーション. に関する評価実験を行うことが今後の課題である。また,第3章で行 った実験は,単純化のために学習という文脈を排除している。そこで,. 学習という文脈の中において手書きされた情報が受信者にとってど のような影響を与えるのか実験を行うことも今後の課題である。. 34.
(38) 引用文献. 岩田陽子・加藤直樹・中川正樹(2002),対話型電子白板を用いた電子. 化授業への遠隔授業者参加方式の試作,コンピュータと教育, pp.33−40 Kai Li and Kanji Akahori(2006), Development and Evaluation of. DlnCo:Enhancing Writing Skill with Online Handwriting Correction. System. .. INFORMATION. AND. SYSTEMS. IN. EDUCATION,Vol.5, pp38−44. 加藤浩・有元典文編著(200D,認知的道具のデザイン,金子書房,東 京,山崎敬一・三樹弘之・山崎晶子・鈴木栄幸・加藤浩・葛岡英 明,4章 提示・道具・相互性,pp95−100 加藤直樹・中川正樹(1998),ペンユーザインタフェース設計のための. ペン操作性の検討,情報処理学会論文誌 Vol.39 No.5, pp.1536−1546 Miyake N, Shirouzu H(2003),. ‘‘Supporting learning cognitive. sciencewiselythroughco正laborativereflection” , 1stJoint Workshop of Cognition and. Learning. Through. Media−. Communication for Advanced e−Learning. MUHO DZULKHIFLEE HAMZAH・田野俊一・岩田満・橋山智訓(2005),手. 書きアノテーションの有効性に関する定量的実験の分析と評価, 情報処理学会 研究報告,20G5−H1−113(8), pp51−58. 中川正樹(2002),表意のヒューマンインタフェースの実現に向けて,信 学技報,PP.41−48 Naomi M孟yake(2004) ,. ‘‘Designlng a Collaborative. Environ皿ent for Knowledge. 35. Integratlon” , Second Inter−. Learning.
(39) natlonalConferenceonCreating, ConnectlngandCollaborating through Computing 岡本敏雄・稲葉晶子・枷場泰孝(1996),分散環:境におけるグループ学. 習支援のための汎用フレームワークの研究,日本教育工学雑誌 20(2), pp.109−122. 佐伯絆(1997),新・コンピュータと教育,岩波新書,東京 佐藤公治(1999),対話の中の学びと成長,金子書房,東京 佐藤弘毅・赤堀侃司(2005),電子化黒板に共有された情報への視線集. 中が受講者の存在感および学習の情意面に与える影響,日本教育 工学会論文誌 VoL29 No.4, pp.501−513. 36.
(40) 参考文献 長谷川健治(2007),手書き入力を用いたコミュニケーションに基づく. 協調学習支援システム,東京理科大学大学院修士論文 経済産業省商務情報政策局情報処理振興課編(2007),eラーニング白 書東京電機大学出版局,東京 清原一暁・中山実・木村博茂・清水英夫・清水康敬(2003),文章表示. メディアと表示形式が文章理解に与える影響,日本教育工学雑誌 27(2), pp117−126. 三末和男(1996),ペン,スケッチ,フリーハンド図∼創造支援への手. 書きの利用,第2回知識創造支援システムシンポジウム予稿集, pp.40−47. 日本教育工学会(2000),教育工学事典,実教出版,東京 NTT−IT(2001), MeetingPlaza(ミーティングプラザ), http://www.meetingplaza.com/index−」.html. 尾関哲・岩本和也(正997),手書き時とワープロ使用時の作文過程分析,. 神戸市立工業高等専門学校研究紀要,pp.17−19 曽谷敏男・福島英洋・高橋延匡・中川正樹(1993),遅延認識を用いた. 手書きユーザインタフェースの基本設計,情報処理学会論文誌 Vol.34 No.1, pp。158−166. 高野陽太郎編(1995),認知心理学2記憶,東京大学出版会,東京. 37.
(41) 謝辞. 本研究を進めるにあたり,兵庫教育大学大学院教育内容・方法開発 コースの長澤憲保教授をはじめ,天根哲治准教授,黒岩督准教授,別 惣淳二准教授,伊藤博之講師には,丁寧なご指導をいただきました。 ここに深く感謝を申し上げます。. 特に,直接ご指導を賜りました掛川淳一助教,正司和彦名誉教授, 総合学習系コースの森広浩一郎准教授には,研究の示唆を与えて下さ ると同時に,貴重なご助言,温かいご支援を頂き,深く感謝を申し上 げます。. 本研究の実験に際し,本大学の大学院生,学部生,教職員の皆さま のご協力をいただき有難うございました。. 教育内容・方法開発コースの皆さま,この2年間に出会うことがで きた皆さま,最後になりましたが,家族の協力と理解により,ここに. 大学院での研究成果として修士論文をまとめることができ心より感 謝を申し上げます。. この研究から学んだことを生かし,出会いを大切にし,よりよい学 校教育を目指し努力していきたいと思います。. 2007年12月20日 大井章弘. 38.
(42) 資料編. 手書きシート(実験:アルファベットを書いてもらったシート)・ ii. 手書きシートに書かれた文字の例・・・・・・・・・・・・…. 血. 似ているアルファベットのマトリックス表・・・・・・・・…. v. 実験実施手順・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. vi. 実験実施順序・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 霜. 記録シート(実験:提示されたアルファベットを記入するシート)面.
(43) 手書きシート 聯1τ. l. l. 飯 葦. 一. l 写. N. l. 蓄. 影. 一一.. 箋. _____∼__講_______________. 垂. 垂. 塀. ii.
(44) 手書きシートに書かれた文字の例. iii.
(45) 手書きシートに書かれた文字の例. iv.
(46) 似ているアルファベットのマトリックス表. A. 」 「 、唱、.戸F. 日. ㌔. い 「. 、. 「粘 「.「. −L「. C c E F G H. P. 「. 「「 、 、、. 」. 「、“P■. ㍉㍉、.后 」. K k M m O o Q q. き. ■㌔. s. 「「習P. 、、.. 」L. u u 蕾. ’. x. …A. 1日 {o. x. X. X. x. X. D ;E. x. X. X. lF. lG. X. iH iI. x. x X. x. 」. lK. x. iL. iM. X. iN. o. X. iP. iQ .R. is. x. :u. x. ・V. iw. X. Y :Z. V. 甘岬 ■A.. 」.
(47) 実験実施手順 1.実験の説明. ・目的 本実験は,コンピュータの画面上表示される文字の種類別による記憶(短期記憶)に. ついての実験です。手書き文字(3種類)と活字体(MSゴシック)の4試行について 実験を行います。. ・方法 コンピュータの画面上にアルファベット(A∼Z)をランダムに9つ提示しますので 覚えてください。次に記憶した文字を記録シートに覚えている文字を書き出します。. 実験は被験者のマウスクリックによって開始され,文字列が1秒間提示されます。文 字列が消えた後,赤い丸印が5秒間表示されます。赤い丸印が消えたら記録シートに先 ほど提示された9つのうち覚えているものを全て記入します。このとき順番は表示され. た配置でなくても結構です。これで1回終了です。この作業を各文字の種類ごとに20 回行います。同様の作業を4試行行います。また,各試行の間に2分間の休憩時間を入 れます。. 機器の操作と4試行のうち実施する順序の指示は,実験者(大井)が行います。. 2.練習 実験に入る前に,操作方法の確認として一通り実演します。その後,被験者の方は実験を. イメージしてもらうために5回程度の練習を行います。練習用の記録シートとして本紙の裏 面を使用してください。このとき使用する文字は手書き文字(1−H)とします。. 3.実験 記録シートと鉛筆の準備ができましたら,第一試行を開始してください。1試行が終わり ましたら終わったことを実験者(大井)まで知らせ,2分間の休憩に入ってください。この. 時渓験画面の團は,絶対にクリックしないでくださし㌔ わからないこと,コンピュータのトラブル等がありましたら速やかに大井まで知らせてく ださい。. 4.集計 集計作業は,全ての実験(4試行)が終わった後に行います。被験者の方は,「3.実験1 で本実験は終了です。. vi.
(48) 実験の実施順序く短期的な記憶実験〉. 番号 1. 13 2. 14 3. 15 4 16 5. 17 6. 18 7. 19 8. 20 9. 21 10. 22 11. 23 12. 24. 第一試. s. A A A A A A. 休憩. Q分. 第二試. s. 休憩. Q分. B B C. 第三試 休憩. s C. Q分. 第四試. s D. D. C. B. D. C. D. B. D D. B. C. C C. B D. D. C. A D A. D. A. C. A D. B B B B B B. A A. C C C C C C. A A. B. D. B. B B. A. D. D D A. A. A. C. C C. D D. D D D D D D. D B B. A. B B C C. C. A B. <文字の種類> A:知らない人の手書き文字 B:知っている人の手書き文字 C:自分の手書き文字 D:活字体の文字. vii. C. A B. A C 8 C. A B. A.
(49) 文字の種類(A∼E). 記録シート. 回. 表示された文字列. 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 血 一表一. 裏に続く.
(50) 回. 表示された文字列. 11. 12. 13. 14. 15. 16. 17. 18. し. 19. 20. 一裏一 ix.
(51)
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