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心理学ワールド 81号 ここでも活きてる心理学 児童のトラウマ支援に活きる心理学 辻野 琢也(大阪府立子どもライフサポートセンター) | 日本心理学会

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Academic year: 2021

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認定心理士コーナー

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大阪府立子どもライフサポートセンター 心理職

辻野琢也

(つじの たくや)

児童のトラウマ支援に活きる心理学

Profile─辻野琢也 2007年,同志社大学大学院文学研 究科博士課程前期修了。同年に大 阪府入庁。障害者支援施設,児童相 談所の勤務を経て,東日本大震災の 復興支援のため,岩手県一関児童相 談所へ派遣された後,現職。  私は地方自治体に採用された, いわゆる「公務員心理職」です。 公務員心理職は国や地方自治体, その他関連団体に採用され,様々 な業務にあたっています。主には 心理学的知識を活かした技術職と して,医療,福祉,教育,司法,産 業等の臨床現場で働いたり,研究 に従事したりすることになりま す。私のような都道府県に採用さ れた地方公務員の場合,その大多 数が臨床現場,具体的には児童相 談所や精神保健福祉センター,障 害者更生相談所,児童福祉施設, 障害者支援施設等に配属されま す。また,心理職ではなく,社会 福祉職や施設職員の役割として勤 務する場合もあると共に,都道府 県庁にて行政職として働く場合も 少なくありません。  私はここ数年,児童福祉関連の 職場に配属されることが続いてお り,大阪府の児童相談所で勤務し た後,東日本大震災の復興支援の ために岩手県の児童相談所へ派遣 されていました。その後は,現所 属である,中学校卒業後の社会的 養護を必要とする児童が対象の児 童福祉施設にて勤務しています。 私がこれまで出会った多くの児童 たちは,虐待や自然災害(震災や 津波),劣悪な環境等によって,何 らかの心理的,身体的,社会的な 逆境を体験しています。そうした 逆境体験はトラウマティック・ス トレスとなり,体験後にトラウマ 反応や症状を引き起こすだけでな く,心身の発 達へ悪影響を 及ぼしたり, 長期的には疾 患・障害の原 因や社会適応 上の問題につ ながったりす ると言われて います。トラ ウマ体験をし た児童を支援 するにあたっ ては,児童本 人や周囲の大人がトラウマの影響 について理解し,トラウマ症状や そのきっかけに気づき,対処スキ ルを獲得できるような体制を形作 ることが必要です。これは「トラ ウマインフォームド・ケア」と呼 ばれており,トラウマにより傷つ いた児童が安全感や自己統制感, 自己効力感を持つに至るために必 要不可欠な支援体制です。  このトラウマインフォームド・ ケアにはトラウマのメカニズムを 理解するための学習や認知,情動 調節についての心理学理論が必須 です。また,トラウマの神経基盤 や対処法としての認知行動技法の 説明には,神経心理学や臨床心理 学といった基礎から応用までの幅 広い心理学の知識が活かされてい ます。そのため,私が所属する施 設や大阪府の児童相談所では,心 理職が推進の核となることが期待 されています。特に,施設という 生活場面での関わりは,児童のト ラウマ症状を即座に共有でき,現 実感をもって症状について説明 し,対処法を一緒に実践できるた め,非常に有効です。一方で,症 状による行動化等に接すること で,職員も危険や不安を感じるこ とも多く,職員自身が疲弊する危 険性も高くなります。そのため, 職員にとっても安心できる環境や 協力体制を培うこともまた,トラ ウマを理解したケアには欠かせま せん。  以上のような児童福祉領域での トラウマ支援は心理学だけが担っ ているわけではなく,医療,保健, 社会福祉,教育等の各分野の力を 総動員することが必要です。その ため,「トラウマのレンズ」を通 して児童や家庭に関われるよう他 の機関に働きかけながら,協働で きる心理職を目指したいと思いま す。 岩手県派遣時の関係機関との打ち合わせの様子 (右端が筆者)

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