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第一遷移金属酸化物クラスター表面修飾酸化チタンの調製およびソーラー環境触媒への応用に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)平成25年度. 論. 博士学位 内容の要旨. 及び 審査結果の要旨. (平成 26年3月). 近畿大学大学院 総合理工学研究科. 文.

(2) 学位論文審査結果の報告書 氏. 金奇良. 名. 生年月日. 本籍(国籍). 学位の種類. 四iφ・平成. 29日. 中華人民共和国 博. 士(工学). 工第 201号. 学位記番号 学位授与の条件. 56年12月. 学位規程第5条該当. (博士の学位). 論文題目. Molecular scale F丘St ROW Tr釦Sition Metaloxide cluster-surface. Modified Ti始血血(1V) oxideas solar Envir0血entalcatalyst(第一遷移金属酸化物クラス ター表面修飾酸化チ衣ンの調製およびソーラー環境触媒ヘの応用に関する研究). 審査委員 ・1ヰ、. ー'ーー.))、. 多田弘明. (主査). ^'. (副主査). 古.南博. (副主査). 松尾司. '"、. (副査). ⑳. (副査). ⑳. 37.

(3) 旨. 論文内容の要 我々は,質(力表面に酸化物クラスターおよび酸化物超薄膜をサブナノスケールで制御しながら 成長させる手法として,金属錯体やオルガノシロキサンを原料とした化学吸着一熱処理サイクル. 淘Che血S0中don・calC血嘘伽 Cycle, CCC)法を開発している。との方法は,金属金昔体を Ti02表 面に化学吸着させたのちに有機部位を熱酸化することから,最終的に凝集,ノ勺レク中ヘの拡散 なしに表面に分子スケールの高分散状態で金属酸化物を形成することができ,錯体濃度を調整 すると共に処理サイクルを繰り返すととで,広い範囲で厳密な担持量御」御が可能であるという特 徴を有する。この場合に,金属酸化物クラスターの担持量は,単位Ti(力表面積当たりの金属イオ ン数r(i0郎乃(カ、血、2)で表示さオ1る。本ヨ兪文は, CCC 法を用いて乃(力表面に分子スケーノレの 第一遷移金属酸化物クラスターを形成させると共に,その光(紫外およひ司視光)"蚊某活性 並びに熱角虫嬬舌陛について系統的に調ベた結果をまとめたものである。また,水および空気 のモデノレ汚染物質として,それぞれアゾ色素の原*斗である2、ナフトールおよびシックハウス 症候群の原因物質とされているアセトアノレデヒドを用いて,これらの分角引こ対する"虫媒活性 を評価した。さらに,各種分光法および電気化学的手法を駆使して,第一遷移金属酸化物ク ラスター表面イ戯市乃(hの物理化学的特性および光・熱角蚊某活性に対する金属酸化物クラス ターの作用機構を検討した結果を4章に分けて言臣丞している。 各章の概要は以下の通りである。 第一章では,二章以降で述ベる3d金属酸化物クラスター表面イ戯市系との比較のために, dl0金属であるスズ(sn)の酸化物クラスターによる表面修飾系(sn0ゾΠ(カ)について論じ. る。 X、線光電子分光σくPS)により,クラスター中のスズの酸化数が4+であることが確認され た。 CCC 法を用いてアナタース形質(カ(A、100,石原産業)およびノレチノ研ラ乃(カ(Mr・70OB, TAYCA製)表面に担持量の異なる極微サイズのSn02クラスターを形成させた。液相テスト反応 として 2、ナフトール分角早反応を行い,〔Ⅳ光活性について調ベた結果,アナタース系では, 活性は僅かに増加するのみであるのに対して,ルチル系では著しい活性の増大が認められ た。さらに,光電気化学的手法を用いてW光活性が増大する原理について検討を行った。 W光を照射すると,乃(力の四からCBに電子が励起され,続いて励起電子は素早くSn(カ の空の表面dレベルにトラップされ,励起電子と正孔の再結合が抑制されることによって, Sn0ゾrl02のUV光活性力赴曽加する。 以上の通り,sn(カクラスターによる嘔(力表面修飾によって,可視光活性は得られないが, 電子一正孔の再結合が効果的に抑制される結果としてノレチノ研つ乃(hのUV光活性が顕著に 向上することを明らかにした。. - 38 -.

(4) 第二章では,乃(力表面における分子スケール酸化鉄クラスター形成(F仂0ゾn(カ)メカニ ズム, F鋤0ゾn(力の物理化学特性およびモデル有害有機物邪引こ対する光"蚊某活性につい て論じる。ベースとなる噴(力としては,アナタースールチル接合微粒子(第1節)および アナタース升触粒子僕2節)を用いた。. 第一節では,アナタースーノレチル接合1102微粒子の表面イ修飾を行った。 Ti(h微粒子とし ては,アナタースールチル接併立子(P、25)を用いた。吸着実験から,暇(力表面における分 子スケール酸化鉄クラスター形成(F之03m(カ)は,次のようなメカニズムに従うことが明. らかになった。第一段階では,トリス(アセチルアセトナト)鉄田D (Fdacac)3)が乃(力表面 のOH基と酉引立子交換し,Fd御C力がTi02表面に化学吸着する。第二段階で焼成すると,配 位子が完全に酸化されて乃(力上に酸化鉄クラスターが生成する(F釦0ゾn.)。 X線吸収広 域微〒佃構造伍XAFS)測定によって,酸化鉄クラスター中の鉄の酸化数が3+であること, また,rく0.5では軒亥に近い分子スケールの酸化鉄クラスターが形成されるととが判明した。 次に,液相テスト反応として2、ナフトールおよび気相テスト反応としてアセトアルデヒドの 分角¥反応における光"虫嬬舌性を調ベた結果,高い可視光活陛が発現すると同時に紫外光活性 も顕著に増大することを見出した。すべての反応系において,光"蚊某活陛VS.rプロツトは 火山型の曲線を示し,rに最適値が存在することが明らかになった。さらに,各種分光法(紫 外一可視吸収,価電子帯XPS)を用いて,酸化鉄クラスターの作用メカニズムにっいて検討 を行った。F仇03クラスターによる暇(h表面イ戯侃こ伴って,賢(力の四上端が上昇すること によってバンドギャップが低下する。可視光を照附すると, F切03の表面dサブバンドから Ti02のCBに電子が励起される。この可視光吸収は,表面F切(hクラスターから乃(カへの表 面→バノレク界面電子移動に対応している。従って,笥盲分離が促進され,このことが湖虫媒 活性の劇的な増大の要因であることが示された。. 第二節では,アナタース形乃(h微粒子の表面イ彦飾を行った。畷(力微粒子としては,アナ タース形粒子(ST、OD を用いた。分子スケール酸・化鉄クラスターによるアナタース形乃(カ. 表面修飾に伴って,アナタースーノレチル接合乃(力微粒子系と同様に,2・ナフトールおよびア セトアルデヒドの邪弔反応に対して,高い可視光活性が発現すると同時に紫外光活性も顕著. に増大することが明らかになった。この原因を明らかにするためにフォトルミネツセンス測 定および電気化学担1定を行った。その結果,光"虫媒活性の増大に対する二っの因子が新たに 明らかになった。ーつ目は,乃(hのCBに光励起された電子は,空の表面dレベルに素早く トラップされ,表面酸素欠陥を介しての再結合が抑制されることである。二っ目は,表面d レベルにトラップされた電子は効率良く吸着酸素を還元することである。. 以上の通り,高いUV光活性を有するアナタースールチル接合型およびアナタース形乃(カ. - 39 -.

(5) 表面に分子スケーノレのF切(hクラスターを形成させることによって,いずれの噴(力微粒子に も高い可視光応答性を賦与すると同時に紫外光活性も著しく増大させることに成功した。こ の主因が, F切(%クラスター表面イ彦飾に伴う四上端の上昇によるバンドギャップの低下, 表面→バノレク界面電子移動および空のクラスターレベノレへの電子トラップによる再結合の. 抑制,およひ酸素還元に文ナずる謝動虫媒作用にあることを明らかにした。一方,表面dレベ ルに生成した正孔は,拡散する必要なしに,その場で効率良く有害有機物を酸化する。. 第三章では,乃(力表面における分子スケール酸化マンガンクラスター形成(Mn20ゾ「i(カ) メカニズム, M1203m(力の物理化学特陛およびモデル有害有機物邪引こ対する熱角虫媒活性 にっいて論じる。乃(力表面におけるMi1203クラスターの形成メガニズム1灯切(hクラスターの. ものと同様である。すなわち,配位子交換により八血(a侃C)21灯102表面に化学吸着され,さら に焼成することによって酸イ助に変換される。>印S測定から,クラスター中のマンガンの酸 化数が3+であることが判明した。反応温度323 K,暗所において,2・ナフトールラM羣反応を 行った。未イ修飾「102は殆ど不活性であるのに対して, M120ゾ「102系で1才2・ナフトーノレの分"羣 が進行した。反応2時間後の夕ーンオーバー数が10に達したことから,本反応が熱角虫媒反応 であることが確認された。rく3の範囲で,熱"蚊某活性1才rの増加に伴って増大したことから,. 表面M1203クラスターカ萌虫媒活性中心として働いていることが明らかとなった。さらに,反 応温度を変化させて分角羣速度を測定し,アレニウスプロットから反応の活幽ヒエネルギーと して32.5士4.oumd-1なる値が得られた。一方,298Kにおける2・ナフトーノレ分角引こ対,、る紫 外光活性は, M1203クラスター担持量の増加に伴って単調に減少した。. 以上の通り, N金1203クラスターによる乃(h表面イ彦飾によって,紫外光活性は低下するの に対して,高い熱角虫媒活性が発現することを明らかにした。. 第四章では,賢(力表面における分子スケール酸化コバノレトクラスター形成メカニズム, Cω03m(力の物理化学特性およびモデル有害有機物分解に対する光触媒活性と熱触媒活性 にっいて論じる。 C0203クラスターの形成メカニズムはF切(カクラスターのものとは異なり, 第一段階で,前駆体であるビス(アセチルアセトナト)ジアクァコノ勺レト(CO(a卿力値20力) が配位子を保持したまま乃(力表面の01瑳による配位を受けて表面に化学吸着される。第二 段階で焼成すると,配位子が完全に酸化され,噴(h上に酸化コバノレトクラスターが形成され る(C0203瓜(h)。>ΦS測定により,クラスター中のコノ勺レトの酸化数は3+であることが確認 された。2、ナフトール邪單反応に文ナずる"虫媒活性を調ベた結果,驚くべきことに,C0203m(カ. は,乃(hのUV光活性を維持したまま,F切0ゾfi(力を超える非常に高い可視光活性およひ高い. - 40 -.

(6) 熱角虫媒活性を示すことが明らかとなった。可視光照射下 U河ホ温度298K)およひ暗所(反 応温度323 K)のいずれの場合にも,長時間反応を行うことによって,2、ナフトールは最終 的にC02にまで酸化されることがる寉認された。さらに,反応1昼度を変化させて分角翆速度を測 定し,アレニウスプロットから熱角虫媒反応の活性化エネノレギーとして46.5士0.4klm01',なる 値が得られた。. 以上の結果から,暇(力表面にC0203クラスターを形成させることにより,乃(力に非常に高 い可視光応答性に加えて熱角蚊某活性をも賦与できることが明らかとなった。 全体を総チ舌すると,'ツーラー環舞虫媒"に刻する合理的な設計指金十に基づき, CCC法を 用いて分子スケールの各種 3d 遷移金属酸化物クラスターによる li02表面修飾を行い. (Moyrl(h),モデル有害有機物分角早に対するこれらの光およひ熱角蚊黛舌性を二判西・検討し た。図1は,第7遷移金属酸イヒ物クラスター表面イ戯市系全体で,2、ナフトール分解に対する 光触媒活性を同じ条件下で比較したものである。このように,表面イ修飾玄力果は,金属の種類 に強く依存していることを示した。詳しく見ると,ず0であるスズ(sn)の酸化物クラスタ ーによる表面修飾効果は小さいことに対して,3d遷移金属酸化物クラスター表面修飾系で は,いずれの場合にも可視光活陛が増加している。中でも, Fe, CO, Ni酸化物クラスター 系では,乃02の高いW光活陛を保持しながら,高い可視光活性が発現していることが明ら かである。また,図2は,第・「遷移金属酸化物クラスター表面修飾系全体で,2・ナフトール 分角翆に対司、る熱角虫媒活性を同じ条件下で比較したものである。酸化バナジウム,酸化マンガ ンそして酸化コバノレト系が高い熱角虫媒活性を持っていることが明らかである。 以上によって, C0203m02は,1102の高い紫外光活性を保持しながら,非常に高い可視光 活性並びに熱角虫媒活性を同時に発現することから,"ソーラー環堀蚊某"のプロトタイプに なるととを示した。 VIS. Figure l. comparisonof壮levisible・1i帥tactivi6es(k心) 如d モⅣ・1i帥t aC廿Viti鏘(血Ⅳ) ofMoyTi02(ST・OD 血r 壮le2-1服Ph血olde部ada註on如der壮lesamecon価tions.. - 41. 2. r= 0.,フ. 臣0.的1. r罫 0,053 r零0.13 r卑0.16. Ti02 VOMn203F OC0203Nio cuosn02. Tio V205 M"203Fe203C0203Nio cuo sn02. ﹁X、山. r= 0.025. 4. 0. r= 0.,6. .^・. .-OE. r= 0.053. 60 r区 0.012. 1. r置 0.051 r冨 0.012. 2. r= 0.,3. ︽'こ一'仁0-. r= 0.09,. 5 4 3. 86420. 、、". Φ一二UΦ一OEN.⇔ミZ0↑. 14 稔和. r=. 0. "g11N 2. C卿P鉦太on of血e 壮le血咽制ytic acdviw doNatt'= 1h)ofMoyrl(h(ST・0りh壮le2・叩h仏01 由即Z如onat323K知d也eaC血血on伽e郷(勗).

(7) 旨. 論文. 査結果. の. 要. 著者らは,紫外域から赤外域まで太陽光エネルギーを最大限に利用して有害有 機物の分解・無害化を可能にする環境浄化用触媒を"ソーラー環境触媒"と名付. けている。本論文は,'ツーラー環境触媒"のプロトタイプを提供することを目的として, 光および熱触媒活性に対する第一遷移金属酸化物クラスターによる酸化チタン(Ti02) 表面修飾効果に関して行われた一連の研究の中から,特徴的な系を取り上げてその 内容を四章に分けて論述している。. 環境汚染はボーダーレスで進行することから,高性能な環境浄化用触媒を開発 することは世界中の化学技術者が取り組むべき重要な課題のーつである。太陽. 光エネルギーは,その内 3%が紫外域,45%が可視域に,そして残り52%が近赤外一 赤外域に分布している。 Ti02は,強力な光誘起酸化力を有し,殆どすべての有害 有機物を分角羣・無害化する能力を有する。また,物理化学的に安定であることに 加えて無害かっ安価であることから,環境浄化用触媒として非常に有望な材料で ある。しかしながら,Ti02は,バンドギャップが豹 3eVと大きいため紫外光しか利用する ことができない。これまでに,イオンドーピングに代表される li02 の可視光応答化に関 する研究が世界中で活発に行われてきたが,通常,可視光活性の発現は紫外光活性 の低下を伴う。そこで本博士学位論文では,Ti02 の高い紫外光活性を.保持しながら, これに高い可視光ならびに熱触媒活性を賦与することによって,"ソーラー環境触媒"の プロトタイプを提供することを目的としている。合理的な材料設計指針に基づき,化学 吸着一熱処理サイクル(CCC)法を用いた分子スケールの第一遷移金属酸化物クラス ターによる Ti02表面修飾ならびに光・熱触媒活性に対する効果に関して系統的な研. 究を推進している。なお,水および空気のモデル汚染物質として,それぞれアゾ色素の 原料である 2、ナフトールおよびシックハウス症候群の原因物質のーつとされるアセトア ノレデヒドが用いられている。. 第一章では,二章以降の第一遷移金属酸化物クラスター表面修飾系との比較のた. めに,dl0金属であるスズの酸化物クラスターによる表面修飾系にっいて論じている。最 初に, CCC 法の第一段階が,前駆体である[sn(a侃C)2}2゛イオンと Ti02表面プロトンとの イオン交換による化学吸着を経由して進行することを明らかにしている。透過型電子顕. 微鏡(TEM)およびX、線光電子分光法(XPS)を用いて,Ti02表面にSn"イオンを含む 極微サイズの酸化スズクラスターが形成されていることを確認している(snoyTi02)。し かし,snoyTi02 は可視域に吸収をもたない。さらに 2・ナフトーノレ分解に対する触媒活 性を調ベた結果,紫外光活性は僅かに増加するものの,可視光および熱触媒活性は. - 42 -.

(8) 発現しないことが明らかにされている。紫外、可視(UV・vis)吸収スペクトノレおよびフォト ルミネッセンス(PL)測定により,これらの結果が,Ti02 バンドエネルギーに対する Sn02 クラスター表面修飾の影響が小さいためであることを示している。. 第二章では,可視光活性が発現すると同時に紫外光活性も増大する酸化鉄クラスタ 一表面修飾系について論じている。最初に,CCC 法の第一段階が,出発原料である. Fe(acac)3錯体のアセチルアセトナト酉酎立子とTi02表面 OH 基との酉酎立子交換による化 学吸着を経て進行することを明らかにしている。次に,TEM観察およびX線吸収広域 微細構造(EXAFS)解析により,Fe"イオンを含む単核に近い酸化鉄クラスターが Ti02 表面に高分散状態で存在することを明らかにしている(Fe20yTi02)。また,Fe203 クラス ター表面修飾に伴って d、d遷移吸収強度は低いままで吸収端のレッドシフトが起こると いう,Fe20yTi02の非常にユニークな光学特性を見出している。さらに,2・ナフトーノレなら びにアセトアルデヒド分解に対して高い可視光活性が誘起されると同時に,紫外光活. 性も顕著に増大することを示している。価電子帯・XPS スペクトノレおよび電気化学デー 夕に基づき,これが,Ti02 価電子帯上端エネルギーの上昇による可視光吸収の発. 現,酸素還元に対する電極触媒作用,再結合の抑制による電荷分離の促進,表面 における正孔の生成に起因するものと結論付けている。. 第三章では,高い熱触媒活性を示す酸化マンガンクラスター表面修飾系について 論じてぃる。TEM観察およびXPS測定により,Ti02表面に極微サイズのMn"イオンを 含む酸化マンガンクラスターが担持されていることを確認している(Mn20yTi02)。2・ナ フトール分解に対する光および熱触媒活性の評価を行い,光触媒活性に対する Mn203クラスター表面修飾効果は小さいものの,熱触媒活性が顕著に増大することを 見出してぃる。酸化マンガンは,有機物の酸化反応に対して熱触媒活性を示すことは 知られてぃるが, Mn20yTi02 はノ勺レク状態の酸化マンガンを遥かに超える高い熱触媒 活性を有することを示している。さらに, Mm03クラスターの酸化還元を含む熱触媒反 応の推定メカニズムを提出している。. 第四章では,極めて高い可視光活性と熱触媒活性を同時に発現する酸化コバルト クラスター表面修飾系にっいて論じている。最初に,CCC法の第一段階が,出発原料. であるCO(acac)2(H20)2錯体ヘのTi02表面OH基の配位による化学吸着を経て進行す ることを明らかにしてぃる。TEM観察およびXPS測定により, Ti02表面にC03、イオンを含 む分子スケーノレの酸化コノVレトクラスターが高分散状態で形成されていることを確認し てぃる(C020yTi02)。 C020yTi02は,バノレク状態の酸化コバノレトとは異なる強い吸収を. 可視全域にもっことを示している。2、ナフトール分解に対する触媒活性を調ベた結果,. - 43 -.

(9) C020yTi02は,Ti02のUV光活性を維持したまま,極めて高い可視光および熱触媒活性 を示すことを見出している。さらに,各種分光法および電気化学データに基づいて,こ のC0203クラスター表面修飾効果が,Ti02価電子体上端エネルギーの上昇による可 視光吸収の発現,酸素還元に対する電極触媒作用,表面→バルク界面電子移動 ならびに表面酸素欠陥を介する再結合の抑制による電荷分離の促進,表面にお ける正孔の生成,酸化還元型熱触媒活性中心としての作用に起因するものと結 論付けている。. 各章における主要な結論は,共同研究者である MichaelN01釦博士(university. C0Ⅱegecor幻の密度汎関数理論計算によっても裏付けられている。 全体を総括すると,'ツーラー環境触媒"に対する合理的な設計指針に基づき, CCC法を用いて第一遷移金属酸化物クラスター表面修飾Ti02(MOSぽi02)を調 製し,その光および熱触媒活性を系統的に研究している。その結果, MOSπi02 は金属の種類によってユニークな触媒活性を示し,その大きさは金属酸化物クラ スター担持量に強く依存することを明らかにしている。中でも,C020yTi02. は,Ti02の高い紫外光1舌性を保持しながら,非常に高い可視光活性ならびに熱触 媒活性を同時に発現することを見出し,これが"ソーラー環境触媒"のプロトタイ プになることを示している。. 本論文は,分子スケールの第一遷移金属酸化物クラスターによる表面修飾と いう独創的な手法によって, Ti02 の価電子帯上端エネルギーを連続的に変化さ せることが可能であるという科学的に重要な知見を提供している。このことは,. 正孔の酸化力を微調整することができることを意味しており,今後,この特徴 を利用することによって,環境浄化のみならず,太陽光駆動型のグリーンな選 択的物質変換ヘの応用が大いに期待される。また,本論文の表面修飾法は,現 在生産されてぃるTi02に容易に適用できるという点で実用的な観点からも重要 である。これらの研究内容は,学術誌 jphys. che柳. C,豆πgew che形.1πt.Ξd→Phys. Chenl. che形.phys.に公表されており,学位論文として高く評価されている。 以上,著者は,光および熱触媒活性の両立という難度の高い研究テーマに挑. 戦し,これを実用可能な手法を用いて達成していることから,本論文は,学術 的にも工業的にも価値があり,博士(工学)論文に値すると認めた。. - 44 -.

(10) 本学の学位規定に従って試験および試問を行った。公聴会において論文内容の発. 表を行い,物質系工学専攻教員による質疑応答をもって試験にあて,論文審査委員が 本論文とその関連分野について試問を行った。その結果,専門分野ならびに外国語に ついて十分な学力があることを認め,合格と判断した。. - 45 -.

(11)

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