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ウレタンフォーム複層クッション材の経時変化に関する研究(1)

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(1)

椙山女学園大学

ウレタンフォーム複層クッション材の経時変化に関

する研究(1)

著者

滝本 成人, 堀越 哲美

雑誌名

椙山女学園大学研究論集 自然科学篇

46

ページ

81-90

発行年

2015

URL

http://id.nii.ac.jp/1454/00002069/

(2)

ウレタンフォーム複層クッション材の経時変化に関する研究

(1)

滝 本 成 人 *・堀 越 哲 美 **

Research on the variation per hour of urethane foam double layer cushion material (1)

Narihito T

AKIMOTO

and Tetumi H

ORIKOSI

1.はじめに  椅子のクッション材としてウレタンフォームが用いられることが多いが,特に座り心地 を考えて複層されたものが用いられてきている。複層させる場合に,従来は技能者・職人 の経験によって組み合わせることが多かった。そこで,本研究ではウレタンフォーム複層 クッション材を,材料の物性的側面から経時変化計測するものである。  クッション材に物体が置かれた場合,接触部分の圧力分布は経時的に変化をする。長時 間測定を行い「硬さ・組み合わせ」の違いと,圧力分布の経時変化の関係から,クッショ ン材の特性値を明らかとする。  ウレタンフォームは単一材料としての物性データは整っているが,複層クッション材と して物性データが整っていない。本研究は複層クッション材の厚みの組み合わせを 10mm 刻みに変え,それぞれの物性データについて検討をしていることから,実用的で有益な データの呈示になりうると考えられる。そして,複層クッション材の領域の,質的向上に 寄与するものである。 2.方法と材料  実験は以下に示すウレタンフォーム複層クッション材を用いた。クッション材の物理的 特性を求めるため,鉄球を用い圧力分布の 30 分間の経時変化測定を行った。ウレタン フォーム複層クッション材の試験体として,㈱天童木工が既製品家具に使用している軟質 ポリウレタンフォームを用いた。通常用いられている表 1 に示す素材の組み合わせにより, ハードタイプ(H145)・ミディアムタイプ(M145)・ソフトタイプ(S145)の 3 種類の複 層クッション材として使用されている。この素材の組み合わせを基本とし,各タイプの中 層と下層に用いられている素材の厚みの組み合わせを 10mm 刻みに変更した。タイプ毎に * 生活科学部生活環境デザイン学科  ** 名古屋工業大学大学院(現:愛知産業大学)

(3)

滝 本 成 人・堀 越 哲 美

表 2 に示す 6 種類のクッション材を作り,計 18 種類の試験体を準備した。試験体サイズ は,一人掛けサイズ w500mm×d500mm×h100mm で統一した(図 1)。

3.実験の方法

 実測機器として,Force Sensitive Application/VERG 社製の体圧分布測定装置:S11 エキス パート(センサマットの仕様:測定範囲サイズ 510mm×960mm,センサ総数 1024 個)を 使用した。圧力分布測定は,圧子に鉄球(競技用砲丸:直径 127mm,重量:7.26kg)を使 用した。変形のない底板の上にクッション材を設置し,圧子とクッション材の間にセンサ 表 1 ウレタンフォームの品質特性と特性値 品質特性 単位 DK-D DK-C GD-W VE-W VY-C リボンデッド フォーム リボンデッド フォーム エバーライト エバーライト エバーライト 硬さ kgf 20.0 (15.0∼25.0) 15.0 (11.0∼19.0) 20.0 (17.0∼23.0) 12.0 (9.5∼14.5) 10.0 (7.5∼12.5) 伸び % 50 以上 40 以上 80 以上 150 以上 100 以上 引張り強さ kg/cmm2 0.50 以上 0.30 以下 0.30 以上 0.8 以上 0.60 以上 セル数 個/25mm ― ― 30 以上 35 以上 20 以上 密度 g/cm3 0.080 (0.065∼0.095) 0.065 (0.055∼0.075) 0.045 (0.043∼0.047) 0.042 (0.040∼0.044) 0.040 (0.037∼0.043) 圧縮残留歪 % 8.0%以下 8.0 以下 8.0 以下 6.0 以下 6.0 以下 試験方法 JIS K6400(資料提供:ブリヂストン化成品株式会社) 表 2 ウレタンフォーム複層クッション材の組み合わせ

Hard Medium Soft

仕様 H127 H136 H145 H154 H163 H172 仕様 M127 M136 M145 M154 M163 M172 仕様 S127 S136 S145 S154 S163 S172 表層 化繊綿 10 10 10 10 10 10 化繊綿 10 10 10 10 10 10 化繊綿 10 10 10 10 10 10 上層 GD-W 10 10 10 10 10 10 VE-W 10 10 10 10 10 10 VY-C 10 10 10 10 10 10 中層 GD-W 20 30 40 50 60 70 VE-W 20 30 40 50 60 70 VY-C 20 30 40 50 60 70 下層 DK-D 70 60 50 40 30 20 DK-C 70 60 50 40 30 20 VE-W 70 60 50 40 30 20 単位(mm) H145 は㈱天童木工オフィス特注仕様/M145は㈱天童木工標準仕様/S145は㈱天童木工住宅仕様

Hard Medium Soft

70 20 10 60 30 10 50 40 10 40 50 10 30 60 10 20 70 10 H・M・S 127 H・M・S 136 H・M・S 145 H・M・S 154 H・M・S 163 H・M・S 172 図 1 実験に使用した試験体

(4)

マ ッ ト を 敷 い て,30 分 間 の 圧 力 分 布 を 5 分 毎 に 記 録 し た。 圧 力 分 布 測 定 は 測 定 域 を 20mmHg 毎の帯域に設定し,それぞれのクッション材の接触面積・最大圧力・平均圧力お よび各帯域面積を測定した。この方法で 18 種類のクッション材の実測データを作った。 4.経時変化の測定結果と考察  圧力分布の測定結果を図 3,4 に示す。次に圧力分布を 20mmHg 毎の帯域に分けた面積 比較と,合計圧力,最大圧力,平均圧力を図 5,6 に示す(共にハードタイプとソフトタ イ プ の 掲 載 は 紙 面 の 都 合 上 省 略 し た )。 接 触 面 積 の 合 計 は ハ ー ド タ イ プ が 105.16∼ 124.28cm2 ,ミディアムタイプが 152.96∼172.08cm2,ソフトタイプが 138.62∼172.08cm2で あった。ウレタンフォームの硬さが接触面積に影響していると考えられる。合計圧力は ハードタイプが 1,217∼1,429mmHg,ミディアムタイプが 1,281∼1,494mmHg,ソフトタイ プが 1,119∼1,423mmHg であった。ウレタンフォームの硬さによる合計圧力の差は少ない 結果となった。柔らかいクッション材は接触面積も多いことから荷重を広い接触面積で受 けていることが推測できる。平均圧力はハードタイプが 46.79∼64.24mmHg,ミディアム タイプが 35.58∼44.86mmHg,ソフトタイプが 37.00∼47.42mmHg であった。接触面積の小 さいハードタイプが最も高い値となった。  次に経時変化を見ると,全てのサンプルで計測時間中の圧力の増加があった。特に 0∼ 5 分の間の増加幅が大きく,ハードタイプで 32.3∼124.1mmHg,ミディアムタイプで 79.5∼140.3mmHg,ソフトタイプで 40.1∼92.1mmHg であった。30 分経過後の増加幅はハー ドタイプで 132.2∼220.0mmHg,ミディアムタイプで 201.1∼239.4mmHg,ソフトタイプで 130.0∼245.9mmHg であり,ミディアムタイプの増加幅が最も大きかった。  また,構成別で比較をすると,H・M・S172 の増加幅が最も大きく,続いて H・M・ S127 であった。逆に増加幅が最も小さいものは H・M・S145 であり,続いて H・M・S154 であった。中層と下層の厚みの差が大きいものほど増加幅が最も大きく,厚みの差が小さ いものほど増加幅が最も小さくなる結果となった。  最大圧力は,今回の測定器の上限が 200mmHg であったため,全てのサンプルで計測を することはできなかった。最大値が 200mmHg 以下で,変動の確認ができた 5 つの試験体 (M136,S127,S154,S163,S172)においては,いずれも最大圧力の増加が確認できた, 30 分経過後の増加幅は 9.5∼32.6mmHg であった。  次に合計圧力の変動を図 7 に示す。平均圧力の変動は,−3.2∼6.7mmHg とばらつきが 物体 クッション材 W 変形 N 接触部分 図 2 接触部分の概念図

(5)

滝 本 成 人・堀 越 哲 美 構成(mm) M127∼172(直後∼10分) M 127 上10+中20+下70 M 136 上10+中30+下60 M 145 上10+中40+下50 M 154 上10+中50+下40 M 163 上10+中60+下30 M 172 上10+中70+下20 ○印は圧力中心を示す 180 160 140 120 100 80 60 40 20 200 0 直後 5分後 10分後 mmHg 図 3 M127∼172 の 0∼10 分後の圧力分布の測定結果(1)

(6)

180 160 140 120 100 80 60 40 20 200 0 mmHg 15分後 20分後 25分後 30分後 M127∼172(15分∼30分) ○印は圧力中心を示す 図 4 M127∼172 の 15∼30 分後の圧力分布の測定結果(2)

(7)

滝 本 成 人・堀 越 哲 美 M127∼145 構成(mm) 5分ごとの変動 M 127 200 150 100 50 250 1600 1400 1200 1000 800 600 400 200 1800 160∼180 140∼160 120∼140 100∼120 80∼100 60∼80 40∼60 20∼40 ∼20mmHg 合計(mmHg) 最大(mmHg) 平均(mmHg) 180∼200 0 0 25分 20分 15分 10分 05分 00分 30分 200 150 100 50 250 1600 1400 1200 1000 800 600 400 200 1800 160∼180 140∼160 120∼140 100∼120 80∼100 60∼80 40∼60 20∼40 ∼20mmHg 合計(mmHg) 最大(mmHg) 平均(mmHg) 180∼200 0 0 25分 20分 15分 10分 05分 00分 30分 200 150 100 50 250 1600 1400 1200 1000 800 600 400 200 1800 160∼180 140∼160 120∼140 100∼120 80∼100 60∼80 40∼60 20∼40 ∼20mmHg 合計(mmHg) 最大(mmHg) 平均(mmHg) 180∼200 0 0 25分 20分 15分 10分 05分 00分 30分 上10+中20+下70 M 136 上10+中30+下60 M 145 上10+中40+下50 左軸:接触面積(cm2 右軸:圧力(mmHg 図 5 M127∼145 圧力分布の測定結果のグラフ(1)

(8)

M154∼172 構成(mm) M 154 200 150 100 50 250 1600 1400 1200 1000 800 600 400 200 1800 160∼180 140∼160 120∼140 100∼120 80∼100 60∼80 40∼60 20∼40 ∼20mmHg 合計(mmHg) 最大(mmHg) 平均(mmHg) 180∼200 0 0 25分 20分 15分 10分 05分 00分 30分 200 150 100 50 250 1600 1400 1200 1000 800 600 400 200 1800 160∼180 140∼160 120∼140 100∼120 80∼100 60∼80 40∼60 20∼40 ∼20mmHg 合計(mmHg) 最大(mmHg) 平均(mmHg) 180∼200 0 0 25分 20分 15分 10分 05分 00分 30分 200 150 100 50 250 1600 1400 1200 1000 800 600 400 200 1800 160∼180 140∼160 120∼140 100∼120 80∼100 60∼80 40∼60 20∼40 ∼20mmHg 合計(mmHg) 最大(mmHg) 平均(mmHg) 180∼200 0 0 25分 20分 15分 10分 05分 00分 30分 上10+中50+下40 M 163 上10+中60+下30 M 172 上10+中70+下20 左軸:接触面積(cm2 右軸:圧力(mmHg 5分ごとの変動 図 6 M154∼172 圧力分布の測定結果のグラフ(2)

(9)

滝 本 成 人・堀 越 哲 美 あった。最大圧力の増加と接触面積の増加の双方があり,平均圧力にばらつきが出たと考 えられる。接触面積の合計は,いずれのクッション材も計測時間内の変動があった。その 中で 16 種類の試験体(H127∼172,M127∼145,163,172,S127∼145,163,172)にお いては,0∼5 分の間に接触面積が増える傾向があり,最大 19.1cm2の増加があった。5 分 後以降の変化は接触面積が減少する試験体も全体の 1/3 あり,変動にばらつきがあった。  今回の測定で接触面積にばらつきが生じた。これは圧子に直径 127mm の球体を用いた こと,センサマットの 1 つの面積が 4.78cm2であることから,鉄球の周辺部の測定誤差が, 接触面積に大きく影響したと考えられる。 合計mmHgの差の変動(硬さによる分類) H127∼172 M127∼172 S127∼172 合計mmHgの差の変動(構成による分類) H・M・S―127 H・M・S―136 H・M・S―145 H・M・S―154 H・M・S―163 H・M・S―172 縦軸:圧力(mmHg) 横軸:時間(30分) 図 7 合計圧力の差の変動

(10)

5.まとめ  今回の研究結果から,ウレタンフォーム複層クッション材は接触面積と合計圧力に経時 変化が見られ,特に加圧後 5 分間に大きな変動があり,その後も徐々に変動があることが 明らかとなった。椅子の座り心地実験は一般的に短時間測定と長時間測定があるが,クッ ション材の物理的測定を行うことの優位性が示された。この後に実施するクッション材の 長時間測定のための基礎的データの抽出ができた。 参考文献 ・小原二郎・大内一雄・寺門弘道(1963):室内計画の人間工学的研究(第 13 報・欧米椅子の機 能的考察),日本建築学会論文報告集第 89 号,355 ・小原二郎編(1983):インテリアデザイン 2,鹿島出版社,37/99 ・川口孝泰・上野義雪・白石光昭(1985):人体系家具のクッション材料の特性に関する実験, 日本建築学会大会学術講演梗概集,351/352 ・小原二郎・内田祥哉・宇野英隆(1987):建築・室内・人間工学,鹿島出版社,154/160 ・島崎信・野呂影勇・織田憲嗣(2002):近代椅子学事始㈱ワールドフォトプレス,168/187 ・太田明彦・為房純一・川本悠人・齋藤芳徳・松本正富・筧淳夫(2007):低座面モデュラー型 車椅子導入が体圧分布と座位姿勢に与える影響,日本建築学会中国支部研究報告集(30), 557/560 ・古澤慶一・堀越哲美ら(2008):心理評価と体圧分布を用いた椅子の座り心地評価に関する指 標化の試み,第 32 回人間 - 生活環境系シンポジウム報告集,101/104 ・滝本成人・堀越哲美ら(2012):心理評価と弾性特性を用いたクッション材の座り心地評価に 関する指標化の試み,人間と生活環境,19(2),145/152 ・滝本成人・堀越哲美ら(2013):心理評価と変形特性を用いたクッション材の座り心地評価に 関する指標化の試み,人間と生活環境,20(1),77/83 ・滝本成人・堀越哲美ら(2013):心理評価と体圧分布を用いたクッション材の座り心地評価に 関する指標化の試み,人間と生活環境,20(2),129/136

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