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2次計画法による回路網関数の近似 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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(1)

河西宏之 細田雅男 (昭和42年9月7日受理)

On the Approximation of Network Function

by Quadratic Programing Methods

SigeoTSUJII HiroyukiKASAI MasaoHOSODA

Synopsis  This paper presents a method of time−domain network syllthesis for a prescribed unit−impulse response. We applied quadratic Programing method to the time−domain network synthesis, and showed that its method is very valid to design networks used in PCM systems. 1. 緒 言  先にPCM方式において符号誤り率を最小ならしめ る等化波形について考察し,伝送系の諸特性,実用面 の制約等を考慮し,数理計画法を用いて最適波形を決 定する方法を提案し具体例を示した1)。そこで次に等 化回路網を実現することが問題となるのであるが,そ れに先立って,かかる最適波形をインパルスレスポン スとして有する回路網を構成する問題を検討しておく 必要がある。われわれは,このような波形成形回路網 の伝達関数を格子形回路の伝達インピーダンスとして 実現するに当り,2次計画法を用いて近似を行ない, 単に2乗平均誤差を最小ならしめる方法と比較して格 段に良好な近似が得られることを示した。 2. PCM方式における最適波形について  符号伝送に適する波形として一般にガウス波形が望 ましいとされている。まずこの意味を若干説明し,実 際の伝送系においては必ずしも好ましくないことを示 す。図一1に符号伝送系のブロック図を示す。ここで受 信増幅器出力において信号の有無を識別するわけであ るが,その場合の誤り率は符号間干渉および雑音によ って決まる。受信増幅器を広帯域化すればする程等化 波形のまとまりはよくなって符号間干渉は減少するが 逆に熱雑音,漏話等の雑音は増加する。また増幅器を 狭帯域とすれば逆の現象を生ずる。そこで図一1におい てS(りおよびL(f)を与えられたものとすると符号 誤り率を最小ならしめる受信増幅器特性E(f)および 等化波形r(りが存在するはずである。極く概念的に 考えれば等化波形としては時間域においても周波数領 域においてもまとまりのよいものが好ましいわけであ る。そこで時間領域および周波数領域におけるまとま りの度合を示す尺度としておのおの   oo       co   ∫」こ・r(・)・12d・ ・t・’よび∫」s・R(f)12df を用いた場合,この両者の積を最小ならしめるr(の を求めるとガウス波形が得られる。これから明らかな ようにガウス波形は伝送系の諸特性すなわち線路の減 sω 〔s(∫)〕 γω 〔R(ノ)〕 S(t):再生中継器送出波形 r(り:受信等化波形 S(f):S(t)のフーリエ変換 R(f):r(りのフーリエ変換 L(f):伝送路(同軸ケーブル)の周波数特性 E(f):受信増幅器の周波数特性

   図一1PCM通信系のブロック図

(2)

1.0 ワ 一〉〕o ( ≡ 』 ↑ 0.5 15   −10 一5 _→ 5 0    15 時間 〔n.s〕 40 冨 竺 士 こ)30 竺 旦 自 ↑2° 10 図一2 最適受信等化波形の一例        ’  ガウス波形→       ,’      ,’     t’    t’  ,oot o■9 ’ ’    3    3    s

  1

  1   ノ  ∼  ノ  ! ! ’ 最適波形  0       5       10      15       −一一一一一一≒〉基準化角周波数 図一3最適波形およびガウス波形の減衰特性 衰特性,雑音特性等とは無関係にいわば定性的に定め られたものであるから符号誤り率を最小ならしめる波 形でないことはもちろんである。特に,いわゆるVア 特性を示すケーブルを伝送媒体とする場合には増幅器 の広帯域化に伴って急激に熱雑音が増加するため等化 波形のスペクトラムも急峻なしゃ断特性を有するもの が望ましい。また符号間干渉は読出し時点の変動すな わちジッタのない場合には零とすることが好ましい。 これらの点を考え,さらに時間制限等の実用面の制約 を考慮し,ジッタの影響も計算に入れ,最適波形を求 める問題を線形計画あるいは2次計画問題として定式 化し解を求めるとたとえば図一2のごとき波形が得られ る1)。これは同軸ケーブル4kmを線路とする場合で, ガウス波形と比較するとジッタ45°を考慮しても中継 可能距離は約3割増加しており,一般に急峻な低域炉 波特性を有する伝送媒体を使用する符号伝送方式にお 図一4(a)対称格子形回路網 C R L      r 図一4(b)K(P)各項の回路表現 いては図一2に類似の波形が良好な特性を示すと考えら れる。したがって次に回路網の実現性が問題となる。 3. 回路網構成の概要  等化波形r(りがたとえば図一2に示すごとき波形の 成形回路網についての研究は見当らないようである。 時間軸を基準化して図一6の実線のように目標とする波 形r(りを定めるとその振幅スペクトルの絶対値は図 一3の実線のとおりであり,ガウス波形の図一3点線と比 べて急峻なカットオフ特性をもっている。また対称波 形であるから位相特性は直線であることを必要とする ので最小位相回路による実現は不可能であろう。ここ では格子形回路網の開放伝達インピーダンスとして, すなわち図一4(a)に示すようにZa, Zbを定めると

  Z・2一丁(Z・−Z・)    (1)

として,伝送関数を定めることとする。Z。, Zbは一 義的には定まらないが逆に融通性に富むという利点も ある2)・3)。伝送関数をK(P)で表わし K(P)一

ヨ1鵠!溌  (・)

とする。すなわち分母多項式の根を図一5のように与え る。このように根を定める根拠は特にないが,分母多 項式が根を含むと近似が非常に複雑となるので,分子 多項式にのみ未知関数M・,N・(α=1,2…・n/2)を 含むようにするのである。Mα, Nαを定めて,その正 負をおのおのZb, Z。に対応せしめて回路構成を行な えぱよい。式②の各項は図一4(b)のようになる。そこで K(P)のラプラス逆変換すなわち回路網のインパルス

(3)

図一5K(P)の分母多項式の根の配置 応答k(りをr(りに近似せしめるようにM。,Nαを 定めることが問題となる。k(りのr(彦)に対する誤差 としては2乗平均誤差 E−

r:(k(・)一伽   (・)

を採用する。  さて,最適波形としては重要な部分と比較的重要で ない部分がある。たとえば隣接符号の読出し時点で略 零となること,またジッタを考慮すると読出し時点の 近傍もr(りに対する誤差が小さい等が必要である。 これらの条件の下で式(3)を最小ならしめることが望ま しい。式(2)よりK(P)はM。,∼Vαについて線形であ るからk(りも次に示すように線形である。   k(・)一δ〃丁竺〔M。c。,ω。t+N。、i。ω。t)(4)        α=1 ただし     2π

  ω・=’i’T cr        (5)

 本文ではnを偶数とするが奇数の場合はα=1,2  ・(n−1)/2とすればよい。  またbはσ。と次式で関係づけられる。     lnδ

  σ・=T−        (6)

 したがって時間領域においてはk(り に不等式条件 を付すと,それはMα,Nαに関する線形不等式とな る。また式(3)に示す誤差はM。,Nαに関しては2次 式となる。そこでこの問題は2次計画問題として定式 化し得ることがわかる。2次計画問題としては

  Axib       (7)

なる条件の下で を最大(最小)ならしめるベクトルxを求める問題で ある。ここにA,p, Cはマトリックス, bはベクト ルである。この問題の解を決定するアルゴリズムは2 次計画法と名付けられており容易に大:域的最大(最小) を求めることができる。    4・ 2次計画法による伝達関数の近似  Mα,Nαを変数とするわけであるが,2次計画法 (線形計画法の場合もそうであるが)においては通常 変数は非負の範囲で最適解を求めるものであるから, 次のごとく変数変換を行なう。  まず変数をX・に統一する。   Mα=Xα    」Vα=Xα十n/2       (9) したがって式(4)は   k(り一‘τ/噌〔X。C。、ω。t+X。+n/、、inω。t)        α=1       (10) となる。次にSCα=X、,+CすなわちXα=κα一6(eは 正定数)とすると   k(り一bT/・竺〔.、, C。、ω。t+。。+n、、、、nω。t        α;1     −c(cosωαZ十sin tOa’t)〕       (11) が得られる。  さて,目的とする最適波形r(りは一般に数値的に 与えられるので式(3)において時間tを有限個の標本点 で表わす。   E≒Σ]〔k(彦D−r(ti)〕2・at       (12)     i−1 次に式(12)に式(11)を代入し,定数項(最小問題に無関 係)を省略して整理すると最小ならしめるべき式は次 式となる。 F一Σ〔b・tl/T{望(。、, c。、ω。ti+。。+n、、、・叫)}・    i     α=1   −・{…IT・(ti)+cb・ti・・望(,。、 w。ti+、・nω。t、)}       α・=1    n/2   ×{Σ(καCOSωα烏十κα十n/2 sinωα㍑)}〕    α=1 式⑬において2乗の項は   n/2  {Σ(καCOSωα晦十κα+n/2sinωαZの}2  α=1    n/2n/2   =ΣΣ〔SCIOPm・C・S (・lti C・S・We7bti    l=1m−1    +SCIXm+n/2 COS tUlti sin t・mti    十κ1+n/2κ%sin COIti COS tOmti    十κ」+n/2κm+,n/2sin COIti sin tUmti〕 (13)

(4)

1.0 最適波形 一 一 一 2乗平均誤差最小 = o ≧ _ _ 一 _ 一 ’ 2次計画法による = ) 0.5 ↑ 、\ . 0  、 1’ 2 3 4 5      6 〉<,ク

時間〔s〕 図一6 最適波形および近似波形 948.8 25.7 321.4  10.67 133.4  5.682 7工02  0.767 43.60 0.0046 29.4         2tCio.1   52S.8        56z3」’°196拘。、       4・ 947        22.2     R:Ω

    C:F

    L.H

一…一・・一・ 図一7 2次計画法近似により実現せる回路網 式(14)を式⑬に代入して F−〃akb・閲丁望讐{(,。,t。lt、、C。、、。mti).Xl,、m    α一1   1=1m=1    十(COS(Dlti sin tOmti)κlscM+n/2    十(sin(Dlti COS tUmti)κ1+n/2κm    十(sinωlti sin tOmti)κ1+n/2κM+n/2}    一、{〆・・T,ω+,bM窒(,。,(D、,t、+、・。、。。・、)}       α=1      n/2    ×{Σコ(cos tOαtiκα十sinωα白κα+n12)}〕   (15)     α=1 を得る。これは式(8)と同様,κ・(α=1,2,・…n/2) に関する2次式であり2次計画法の目的式たり得るも のである。  次に条件式について述べよう。目的波形がt=1sで 約1Vとなること,隣接符号読出し時点で約OVとな ること,およびタイムスロットごとに指定された極性 をとること,さらにZ≧2での残留応答を規定以下に おさえること等の条件は式ωよりすべてκ・に関する 線形不等式となることは明らかであろう。よって式(7) のごとく表わされ,これらの条件の下で式⑮を最小な らしめる2次計画問題を解いてκ。,したがってM・, Nαを求めれば伝達関数の近似は完了する。 5.具  体  例  図一6の実線に示す波形を得るため,n=12として図 一7に示す回路を得た。また波形は図一6の点線に示すよ うになり(時間軸目盛は括弧内に記す),t=25∼30ns 区間を除いて目的波形とよく一致している。なお,2 次計画法を用いずに単に2乗平均誤差を抑えるように M。,Nαを決定すると図一6の鎖線のごとくなり(次数

(5)

6.結

言  以上のごとく,波形成形回路網の伝達関数を格子形 回路網の伝達インピーダンスとして実現する場合,分 母多項式をあらかじめ適当に定め,分子多項式の係数 を2次計画法を用いて定める方法を述べ具体例を挙げ た。本方法によれば波形の要所を希望する誤差の範囲 に収めることが可能であり,同じ次数ならば,単に2 乗平均誤差を最小ならしめる方法に比べはるかによい 近似が得られる。なお,分母多項式の選び方,リアク タンス回路網による構成等,今後に残された問題も多 いが,これらについては一案を得て現在検討中であ 教授,ならびに御検討戴いた東工大川上研究室の諸氏 に深謝致します。 文 献 1)辻井重男:同軸PCM方式の最適波形に関する考   察,電気通信学会雑誌,昭41−11 2)C.G. Vasiliu:APractical Method for Time   _Domain Network Synthesis, IEEE Trans.   Circuit Theory, CT−12,2, p.234−241(June   1965) 3) Guillemin, E. A.:Srnthesis of Passive∼Vetwork   New York:Wiley 1957

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