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超階段接合におけるツェナ降伏電圧 利用統計を見る

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(1)

超階段接合におけるツェナ降伏電圧

小林光彦 清水東

石田哲朗

(昭和43年9月12日受理)

Analysis of Zener Breakdown Voltage of Hyper-Abrupt Junctions

MitsuhikoKOBAYASHI AzumaSHIMIZU TetsuroISHIDA

SynopsIS

Theimpurityconcentrationofhyper−abruptjunctiondecreaseswiththedistancefromthepnboundary.

Thebreakdownvoltagedependsonthedistributionofimpurityconcentration,Whichisveryhighinpreg10n

andvariesaccordingto N。eXp(−3/L。)+Nbinnregion.AssumingthatZenerbreakdown occurswhenthe maximumfieldinthedepletionlayerreachestoaconstantvalue,Whichis3×105v/cmforgermaniumand l・4×106v/cm forsilicon,thebreakdownvoltageofgermaniumandsiliconhyper・abruptdiodeis evaluated numericallybythecomputer・TheresultsareobtainedthatZenerbreakdownvoltagedecreasesverysharply at NoLe≒(2・0∼2.5)×1012cm,2forgermaniumandat N。Le≒(6∼8)×1012cm−2forsilicon,andcoincidewell Withtheexperimentalresults・Whentheavalanchebreakdown occurs,however,theexperimentalvalueof the breakdown voltageis smaller than the theoreticalvalue.

1.序   言 超階段接合とは,不純物濃度がpn境界からの距離と ともに減少するような分布をもつ接合である。このよう な不純物分布は合金拡散法1),2),二重拡散法3),拡散後蒸 着合金法およびェピタキシャル法4)などで実現できる。 超階段接合の空乏層容量は,印加電圧により大きく変化 する.この道バイアスによる大きな容量変化率を利用 し,UHF帯までの周波数変調素子や同調素子として用い られつつある。また,ドリフトトランジスタのエミッタ 接合やマイクロ波発生素子として注目されているリード ダイオードなども超階段接合をもっている。 超階段接合をもった可変容量素子やリードダイオード は逆バイアスで使用されるので,その不純物分布と降伏 電圧との関係を明らかにすることは,素子設計上重要な 意味をもつ.階段接合や傾斜接合の降伏機構および降状 電圧については数多くの研究がある5)∼8)。しかし超階段 接合では,その不純物分布が特殊な形をとるため,降伏 電圧の不純物濃度依存性は階段接合や傾斜接合とはかな り異なっている。 超階段接合の降伏機構および降伏電圧に関しては二, 三の報告9),10)が見られるにすぎず,まだ十分な説明が 得られていない。文献9)ではツェナ降伏と電子なだれ降 伏の両方の降伏機構について述べてある。電界の平均値 を用いてツェナ降伏を解析しているが,これは最大電界 で議論すべきである。また,本論文のような不純物分布 と降伏機構との関係には触れておらず,具体的な降伏電 圧についても述べられていない。文献10)では降伏電圧 の実験的考察が主で,理論的解析は行なわれていない。 降伏にはツェナ降伏が起きる場合,電子なだれが起き る場合およびツェナ降伏と電子なだれの両方が起きる場 合とがある。そこで,まず第一段階として,ツェナ降伏 が起きるものとして解析を行なった。その結果は実測値 とよく一致する。しかし不純物濃度の低い領域では,降 伏電圧の理論値は実測値よりも大きくなる。この領域で は電子なだれ降伏がさきに起きるものと考えられる。 2.超階段接合と不純物分布 不純物濃度は接合の一方の領域では十分高く,他の領 域ではpn境界から離れるにしたがって指数関数的に減 少しているものとする。すなわち不純物分布は Ⅳ(の=Ⅳoexp(一㌶/上。)+Ⅳゎ  諾≧0  (1) Ⅳ(の=Ⅳ∞ (Ⅳ∞≫Ⅳ0+Ⅳゎ)ごく0  (2) で示されるとする。ここで ㌶:pn境界からの距離 Ⅳ(の:距離ガにおける不純物濃度 Ⅳ0‥式(1)の第1項の最大値 上。:式(1)の第1項が1/βになる距離

(2)

超階段接合におけるツェナ降伏電圧 籔+N・ 墾巷 、、 、 翼 Nゐ   、一一一ヘー“一一一一 柊 1\ 0 L¢ ↑ 一一ィ距離劣 N刀       図一1超階段接合の不純物分布 Fig.11mpurity distribution in hyper・abrupt junction・    lO3

a

3

D

102 101    100     10−1   100    101    102        V、十V。(V)      図一2 各種接合の電圧・容量特性 Fig.2 Voltage・capacitance characteristic of several  junctions.   Nb:半導体母材の不純物濃度   N。。:x<0における不純物濃度で一定値 である。これを図一ユに示す。  一般に,pn接合の空乏層容量Cは印加電圧をV。, 拡散電圧を砺とすると     Coc(「Vα十「Vd)−n      (3) となる。ここでnは定数である。階段接合のときはn =1/2,傾斜接合のときはn=ユ/3である。これに対して 超階段接合の場合には,設計により異なるが,n=1∼3 という値が実現できる。C−V特性の一一例を図一2に示 す。    3.空乏層内の電界分布および電位分布  N。。〉(1V。+N,)であるから空乏層はほとんどがκ>0 の側だけに伸び,他の側への伸びは無視できる。x≧0 の領域でのボアソンの方程式は

  暮一一凪・xp(.Le)+Nb} (・)

傾斜接合 K段接合 超階段接合 這 心 LO 0.5    0.     0         0.5         1.O        x/w        図一3 空乏層内の電界分布 Fig3 Electric field patterns in the depletion layer・ となる。ここで   q:電子の電荷   ε:半導体の誘電率

である。空乏層の端x=Wで電界E=0であるとして

式(4)を解くと   E−一器一」警{・xp(−t)一・xp(一誓)

    −N畿ヂ}   (・)

が導かれる。式(5)からわかるように,空乏層内の最

大電界Emaxはx=0の点に生じ

  Emax−」撃{・一・xp(一芸)+;i竃}(・) となる。

 x=OでV=Oとして式(5)を解くと

  V−!Z−:llVlg{te:H°Le2(・一・xp(−i)一・xp(一‘)(i)     一fi.bilii2+霊}

が得られる。x=WでV=V。+Vdであるから

V・+V…!:N{Y.oY°Le2 oユー(  ▽1十一  Le)・xp(一芸)

       +懸}

(7) (8) となる。印加電圧を高くすると空乏層幅Wも広くなる が,式⑤および(7)からわかるように,その電界分布お よび電位分布が変化する。電界分布の一例を図一3に示 す。このように電界分布の形が変化するのは超階段接合 に特有の性質である。      4.降伏機構および降伏電圧 降伏機構にはツェナ降伏と電子なだれ降伏とがある。

一75一

(3)

昭和43年12月 山梨大学工学部研究報告 第19号 電子なだれ降伏は,逆方向にバイアスされた空乏層内に 入ってきた少数キャリアが加速電界のために加速されて 衝突電離をくりかえし,逆方向電流を急激に増加させる 現象である。イオン化率をα(E),増倍係数をMとする と,一般に

  ・−M−∫:α(E)dx    (・)

である。電子なだれ降伏が起こっているときには,M→ O。として

  ∫:α(E)d・==・     ⑩

がなりたつ。式⑩に(5)を代入し,式㈹を満足するwを 求めて(7)に代入すれば,電子なだれ降伏電圧が求められ る。  ツェナ降伏は,空乏層中の強電界のために価電子帯の 電子が量子力学的トンネル効果で伝導帯に遷移するため に生じる。トンネル効果により単位時間当たりに遷移す る電子の確率zは

一竿・xp(−i2Pt,・等)

である11)。ここで   a:格子定数   h:プランクの定数   Eg:エネルギーギャップ ⑪   m*:ブリリアンの近似によって得られる実効質量     で次式で示される。     *_ 2mα2Eg     m      −m°          h2    m:電子の静止質量 である。  式⑪で与えられる遷移の確率は電界Eが強くなると急 激に増加する。空乏層内の電界がある一定の値に達して 2が約1になると,ツェナ降伏が起きると仮定する。空 乏層内の電界は,式(5)に示したようにある分布をもって Rり,pn境界で最大となる。電界最大の領域でツェナ 降伏の条件を満足すれば,接合は降伏状態にあると考え られるから,電界としては空乏層内の最大電界をとれば 十分である。この降伏の条件としての電界の値はGeで 約3×105V/cm, Siで約1.4×106V/cmである。  次に,すべての設計パラメータに対する超階段接合の ツェナ降伏電圧を求めるために,式(8)を次のように変形 する。       ε       Le

         +蒜(芸   a2

式(6)および⑫からwを消去すればツェナ降伏電圧が求ま (iVa+V。)N。−q(N・Le)2 {1−(1+Z)・xp(−ZL) )2} る。しかし解析的に解くことができないので,電子計算 機を用いて計算を行なった。  式(6)およびa2)は, N,/Noおよび」V。L,を一定とする とW/五,の関数であるので,Nb/Noおよび2V。Leが 数値で与えられると,規格化ツェナ降伏電圧NoVBが 電子計算機により容易に求められる。次にその手順を示 そう  (i)Nb/N。を一定値にとる

㈹N。Leの値を与える

‖iD式(6)でEm。xが降伏の条件としての一定値に達す   るときの▽/L,を求める。解析的に解くことがで   きないのでニュートン法による近似解を求める ㈹ 式⑫に㈹で求めたw/五,を代入しN。VBを計算   する  (v)N。Leの値を変え圃および㈹を行なう  M)すべてのNoL,についての計算が終わったら,   N,/Noの値を変え㈹∼(V)を行なう

5.結

果  図一4および5にGe 12)とsiの場合の計算結果を 示す。不純物分布を定めるパラメータNo, Leおよび N,を与えると降伏電圧は図から一義的に求めることが できる。横軸の2VoL,は,母材に後からドープした不純 物の全量である。それは

∫ll”・・xp(Le)dx−Al’・Le  a・)

なる積分により明らかであろう。  図からわかるように,Nb/Noに関係なくA7’oLeがあ る値すなわちGeで (2.0∼2.5)×10i2cm−2, Siで (6∼8)×1012cm−2を越えると急激にツェナ降伏電圧が 低下する。この低下の割合はN,/Noが小さいほど大き い。またN。Leの大きな領域における降伏電圧は1v。に 大きく依存し,2V。Leの小さな領域ではNヵに大きく依 存している。GeとSiの計算結果を比較すると, Siで は降伏電圧の低下する領域のNoL,の値がGeの場合の 約3倍であり,規格化電圧が全体に約10倍になっている だけで,その傾向は一致する。  合金拡散法により製作したGe超階段接合についての 実験結果10)との比較を図一6に示す。図から明らかな ように,N。Leが大きい領域での降伏電圧の値および降 伏電圧の急激に低下し始めるN。Leの値は,実測値とよ い一・致を示している。しかしNoL,の小さい領域では実 測値は理論値よりも低い。これは,ツェナ降伏よりも電 子なだれ降伏がさきに起きるためと考えられる。

一76一

(4)

超階段接合におけるツェナ降伏電圧 “ lomlO.OO・3

1

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  1 ギ’ ε .:10n ご. さ ≧° 0.001 O.003 10iS 10ir 0.00] O.03 0.1 0.3 A・rtノ/IVu L 1.0 0.OOOII

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1012      1013         1014  N。L、(cm−2) T 9 ≧ 〉 ピ 10an lOtg lOiti 10i了 Nレ凡=0.005 α001 o o o x o      o       × =@     o× ワ     メ y 冥o oメ  0 ネx wx ¥w ooO x x o o 0 o Nあ=13×104cm−3 §0 0 o oo o 凡=2.5×1016cm≡3 × ・{ 凡/N。=0.0052 oo o o ・/八㌦=P.0×1016cm−3 mδ/N。;0.0014 1011  図一4 Ge超階段接合におけるツェナ降伏電圧の理論値 Fig.4 Theoretical values of Zener breakdown voltage  in germanium hyper’abrupt junction. 10ee lon 1021 三、 § 5 io2⑪ ご ξ 1019   10i2 N。Le kcm’2) 10B 0、001 0.003「 0.01 0.03 0.1 O.3 Nム/No=1.0 o.ooo30.boo1 i i 十一一一一     101;0・コ  10・2  10・3 10・4       N。L,(cm−2)    図一5Si超階段接合におけるツェナ降伏電圧の理論値 Fig.5 Theoretical values of Zener breakdown voltage in  silicon hyper・abrupt junction.’    図一6 ツェナ降伏電圧の理論値と実測値との比較 Fig.6 Comparison of theoretical values and measured  values of Zener breakdown voltege on germanium  hyper・abrupt junction,       ’ より低くなる。この場合には,電子なだれ降伏がツェナ 降伏よりもさきに起きると考えられる。このような領域 まで説明するには,電子なだれ降伏をも考慮した解析が 必要である。

6.結

言  空乏層内の最大電界が一・定の臨界値に達すると,ツェ ナ降伏が起きると仮定して降伏電圧を計算した。その結 果,後からドープした不純物の総量N。L,が“定の値す なわちGeで(2.0∼2.5)×1012cm−2, Siで(6∼8) ×1012cm−2を越えると急激に降伏電圧が低下するとい う超階段接合特有の現象をよく説明できる。N。Leの小 さい領域および1Vbの小さい場合には,実測値は理論値 文 献「 1) A.Shimizu and J. Nishizawa:Alloy−diffused va−   riable capacitance diode with large figure−of merit,   IRE Trans. on electron devices, ED・8, P370(Sept.   1961).      “:t 2) T・Sukegawa, K. Fujikawa and J. Nishizawa:   Silicon alloy・diffused variable capacitance,、 diode   Solid・St. Electron.,6, p.1(Jan.1963). 3) 中島,堀場:シリコン超階段接合の逆特性,昭40信学全   大,538. 4)A.L. Anderson and M. J. O. Rourke:Avapor・   grown variable capacitance diode, IBM Jour.,4,   p.264 (July 1960). 5)K.G. McKay:Avalanche breakdown in silicon,   Phys. Rev.,94, P.877(May 15,1954). 6)S.L. Miller:Avalanche breakdown in germanium,   Phys. Rev.99, P.1234(August 15,1955). 7) C.Zener:Atheory of the electrical breakdown   of solid dielectrics, Proc. Roy. Soc.,145, p.523(1934) 8)M.Singh Tyagi:Zener and avalanche breakdown   in silicon alloyed p・n junctions・1, Solid・St. Electron.,   11,p.99 (Jan.1968), 9)寺田:ゲルマニウム超階段可変容量ダイオード,信学誌,   49,p.203(昭41−02). 10)平山,清水,石田:Ge超階段接合ダイオードの耐圧,   昭41連大,ユ308. 11)K.B. McAfee, E. J. Ryder, W. Shockley and M.   Sparks:Observation of Zener current in germanium   P・njunctions Phys. Rev.,83, P.650(August 1,1951). 12)小林,清水,石田:超階段接合におけるツェナ降伏電圧   の不純物分布依存性,信学論(C),51−C,p・385(昭43・一・08).

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