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サクラエビの生化学的研究I : サクラエビの一般成分について

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(1)

サクラエビの生化学的研究I : サクラエビの一般成

分について

著者

柿本 大壱, 金澤 昭夫

雑誌名

鹿児島大学水産学部紀要

5

ページ

153-155

発行年

1956-12-30

別言語のタイトル

Biochemical studies on the Sergestes

phosphoreus I : on general components

URL

http://hdl.handle.net/10232/11658

(2)

全窒素に対 す る 比 100 83.3 16.6 8.4 53ユ 46.9 2.7 10.4 14.2

サ ク ラ エ ビ の 生 化 学 的 研 究 一 I

サ ク ラ エ ピ の 一 般 成 分 に つ い て

柿 本 大 壱 ・ 金 沢 昭 夫

BiochemicalStudiesontheS”98sオ8s”0s”0γBzzs-I

OnGeneralComponents DaiichiKAKIMoToandAkioKANAzAwA

サクラエピ(Sgγ99sメgs”Cs”oγg"s)は静岡県由比,蒲原,焼津地方の特産で’これらの地

域以外には同一種属のものは殆んど棲息しないと言われ,多くは素乾品に製造されている・本

邦産の小エビ類では伊勢湾,有明湾にAcejesノapo"ic"sKIsHIなるサクラエビ近似の種類

が棲息し,年冬かなりの水揚げがあり,佃煮,塩辛などの原料・に供せられているが'量的にはサク

ラエビに遥かに及ばない.サクラエビは地方的には可成り重要な産物であるに拘らずこれまで

殆んど研究の対象とされていないが,たまたま生産地出身者の試料提供と研究希望があったの

を機に,IUDかその成分について研究した.順序としてその一般成分を測定した結果について報

告・する. 実 , 験 の 部 1.一般成分及び窒素成分

分析に供した試料は昭和29年3月28日,明神丸で静岡県蒲原町魚市場に水揚げされ直ちに

天日乾燥し冷室に貯蔵されていたものである.分析にあたりこれをそのまム細粉し,常法によ

って各成分を定量したが,結果は第1,2表の通りである.

一般に甲殻類の筋肉は魚肉と異り非蛋白窒素に富むと言‘われているが,サクラエピに於ても

明らかにこのことが・示されており全素素の約47%にも達する.叉温.水可溶窒素も魚肉に比べ

て多いことが報告されているが,本実験に於ても全窒素の83%以上が水溶性窒素として定量

第2表サクラエピの窒素区分 第1表サクラエビの一般成分

組成|風乾物'009中の含量

熊 | 鰯 ‘

粗 脂 肪 6.20 全 窒 素 1 0 . 7 9 総 酸 0.56

揮 発 酸 不 揮 発 酸

還元糖(プL1悩醇)835

全 窒 素 水 溶 性 窒 素 不 溶 性 宰 素 遊 離 ア ミ ノ 窒 素 純 蛋 白 態 窒 素 非 蛋 白 態 窒 素 塩酸.nJ溶性窒素 ア ミ ド 態 窒 素 ヒューミン態窒素 揮 発 ' 性 塩 基 窒 素 アミノ態窒素(酸水解 モノアミノ区窒素 モ ノ ア ミ ノ 酸 窒 素 ジ ア ミ ノ 区 窒 素 ジ ア ミ ノ 酸 窒 素 10.799 8.99〃 1.80〃 0.91〃 5.73〃 5.06〃 0.30〃 1.13〃 1.54〃 0.34mg 6.629 6.80〃 605〃 1.32〃 0.57〃

,

158 窒 素 区 分 30022 曲●■■■ 13525 6661 粗蛋白十水分十粗脂肪-│-灰分=93.94%

(3)

鹿兇島大学水康学部紀要第5巻創基十周年記念号 グ リ シ ン ア ラ ニ ン ノ ミ リ ン 画 イ シ ン ゼ リ ン ス レ オ ニ ン メ 弓 チ オ ニ ン ア ス パ ラ ギ ン 酸 グ ル タ ミ ン 酸 オ ル 二 三 チ ン 154

即ち遊離アミノ酸としてグリシン,アラーン,ロイシン,アスパラギン酸,グルタミン酸,フェ

ニール・アラニン,シスチン,アルギニン,ヒスチジン等が検出される他,オルニチン,クウリン,

トリプトファン,リジン等は不明瞭であるが存在を予想される程度の斑点を与えた.叉同一試

料の酸水解物に於ては,グリシン,アラニン,バリン,'コイシン,ゼリン,スレオニン,メチオーン,

アズパラギン酸,グルタミン酸,チロジン,フェーールアラニン,う°ロリン,トリプトファン,シス

チン,アルギニン,リジン,ヒスチジンの17種の他タウリンが検出された.水解前後に於ける相

違はバリン,ゼリン,スレオニン,メチオニン,チ厩ジン,プロリン,リジン,クウリン等であるが,

十十士

された.この値は蛋白態窒素の少いこと」L共に既往の分析値と甚だしい相違点となっている

が,本分析試料は前記のように素乾品であるから乾燥過程中に可成りの自己分解があったため

とも思われるが,この点は明らかではない.次にBuGLIA等')によれば甲殻類の筋肉がモノア

ミノ及びジアミノ両窒素に富むといわれ,叉清水氏等2)も軟体類,甲殻類に於て同様のことを報

告しているが,吾為の分析結果でも全窒素の8.4%に相当する遊離アミノ態窒素を含んでい

た.この遊離アミノ酸の多いことはエビ肉の呈味に関係あること』考えられる.又両アミノ態

窒素の比率をみるとモノアミノ態窒素はジアミノ態窒素の5倍にも当る多量を占めている●筒

普通成分として還元糖の多いことも注目される所であろう.

2.アミノ酸組成

前記の如くサクラエピは遊離アミノ酸に富承,叉その加水分解物に於ては著しくモノアミノ

酸の含量が多いので,これらのことはその味及び体内に於ける代謝と関係ある事項と思われ

る.依ってこれらのアミノ酸の種類を櫨紙クロマト法によって検索した.

試料として前記エビ粉末59に水30ccを加え,30分間室温に放置浸漬した臆液に10%

三塩化酢酸100ccを加えて除蛋白し,穂液を中和後40-50℃で約0.5ccに減圧濃縮したも

のを用いた.叉加水分解液は常法によって塩酸と煮沸し’減圧蒸溜によって出来るだけ塩酸を

除いた後中和し源過濃縮したものを用いた,この両試料.につき展開剤としてブタノール・酢

酸.水(4:1:1)及びフェノール。水(25%)を用いる二孜元法によって検索したがその結果

は第3表の通りである, 第 3 表 サ ク ラ エ ビ の ア ミ ノ 酸 組 成 十士 十 +

十十十士十十十十十

千十

+は二次元漏紙クロマト法で確認されたもの,一は検出されなかったもの,

士は存在が明.確でなかったものを表わす.

ア ミ ノ 酸 | 遊 離 型 | 加 水 分 解 物 I ア ミ ノ 酸 | 遊 離 型 | 加 水 分 解 物

十十士十十

イ ソ 1 − 〔 イ シ ン チ ロ ジ ン フ エ ニ ー ル ・ ア ラ ニ ン フ . ロ リ ン ト リ プ ト フ ァ ン シ ス チ ン ア ル ギ ニ ン リ ジ ン ヒ ス チ ジ ン 夕 ウ リ ン

十十十十十十十

(4)

柿本大壱・金沢昭夫:サクラエピの生化学的研究(1)

155

エビ素乾品の熱水抽出液には,恐らく之等のアミノ酸を構成☆分とするペプタイドが存在する

ことも予想されるが,同時に呈味の上にアミノ酸が関与している場,合,こ上に遊離状態で存在す

るアミノ酸類とペプタイド等が重要になって来る.之等の事項に関しては更に研究を進める予

定である。 3.無機成分

サクラエピ全体を風乾した試料,に於ては第1表に示したように風乾物に対し約13%の灰分

を含有する.この組成につき燐酸,硫黄,カルシウムを常法によって定量し第4表の結果を得,

その他陽イオンを分光分析によって検べCu, 第4表サクラエビの無機成分

Fe,A1,Cd,M9,K,Na,Mn,Sr,Ti,Pd,Ga(アニオン)含量

を検出した(第1図)なおこれら微量金属瞳o‘|so‘lcao

元素としてFox及びRAMAGE等3)はエビ,−

1588%’1132鶏’2925%

カ ニ の ミ ー ル の 中 に S r , N b , A g , P b , S n , T i , − . − − − 一 ‐

V,Cr,Mn等を分光分析によって検出し,叉WEBB1)は海棲無脊椎動物中にSb,As,Be,Ge,

Au,Hg,Tiを検出しているが,吾為はサクラエビ中にPd,Gaを新たに検出した.

第 1 図 サ ク ラ エ ビ 灰 分 の 輝 線 ス ペ ク ト ル }標準

}

要 約

1.サクラエピ(素乾品)の一般成分を定量した結果窒素の83%以上が水溶性であり,非

蛋白窒素が同じく約47%に達し,そのうち遊離アミノ態窒素が8.4%を占めたが,これらは

何れもエビの呈味に関係をもつことが推・定される.叉水解によって多量の還元糖を生成するこ

とも成分上の特徴として挙げられる.

2.アミノ酸組成を徳紙ク厩マト法により検索した結果遊離アミノ酸としてグリシン,アラ

ニン,ロイシン,アスパラギン酸,グルタミン酸,フェニールアラーン,シスチン,アルギニン,ヒス

チジンの存在を確認し,同じ試料・の加水分解物に於ては上記のアミノ酸以外に,バリン,ゼリン,

スレオニン,メチオニン,チロジン,プ区リン,リジン,タウリンを検出した.

3.分光分析の結果無機成分としてPd,Gaの二元素を新に発見した.

本研究を行うにあたり本学柏田教授の御教示を賜り,叉試料は静・岡県蒲原町出身,日本輸出冷

凍水産物検査協会勤務の吉田繁氏によって提供されたものであり,叉実験は同氏の協力によっ

て為された.附記して謝意を表す. 文 献 1)BuGLTA,CoNTANlTINo:Z.P〃jノsjo/、C"G7〃.,86(1913) 2)清水亘,竹田正彦:日水誌‘,18,233(1952) 清水亘,日引重幸,柴田栄,武田一雄:日水誌.,19,871(1953) 清水亘,藤田真夫:日水誌.,20,720(1954) 遠藤金次,藤田真夫,清水亘:日水誌.,20,723(1954) 3)Fox,H、M、,RAMAGE,11.:ZVaな〃9,126,No.3183(1930) 4)WEBB,,.A、:Scj.Pγoc.R”.、”"mSoc.,N、S、21,505(1937)

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