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小学校体育科における集団の指導に関する一考察 : 集団のモラールを中心として

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(1)《学位論文》. 小学校体育科における集団の指導に関する一考察.    一集団のモラールを中心として一. 兵庫教育大学大学院 教科・領域教育専攻 生活・健康系コース.  M87334J  近 藤 憲 司.

(2) 目  次. 第3章 小学校体育科における児童のモラールの分析.  第1節 小学校体育科におけるモラール調査の目的と方法    1 調査目的 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一81. 第1章研究の目的と方法.    2 調査方法 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一82.    1 問題の所在と研究目的 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一1.  第2節  体育授業におけるモラール調査の結果と考察.    2 研究の方法 一一・一一一一一一一一一一一一一一・一・一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一4.    1 調査項目の設定一一一一一・一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一88.    2 小学校体育における児童のモラールの検討一一一一一一一一一一一一一94. 集団に関する基礎理論  第1節  集団の教育的意義と機能. 第2章.    1    2    3.  集団の教育的意義 一一一一一一一一一一一一一一一…一一一一一一一一一一一一5.    3 体育授業における教師のり一タ“一シップとモラー一 A・の関連一一一100    4 単元経過に伴うモラールの検討一一一一一一一一一一一一一一一一一一一L一一一一・119. 第3節 小縄 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一「一一一一一一一一一一『}131.  集団の構造と機能 一一一一一一一一一一一一一・・一一一一一・一・一一・・一一一一一一一一一一一13.  学習集団に関する研究動向 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一27.  第2節  学習指導要領における指導法の変遷    1    2    3    4    5    6    7. 昭和22年 学校体育指導要綱 一一一一一一一一一一一一一一一一一30 昭和24年 学習指導要領小学校体育科編 一・一一一一一一一一一一32 昭和28年 小学校学習指導要領体育科編 一一・一p一一一一一一一34. 昭和33年 小学校学習指導要領体育編 一一一一一一一一一一41. 小学校体育科における集団の指導のあり方の視点  第1節 視点設定の前提条件     1  文献研究から明らかになった事項i一・’・一一一一一一一一一一一一一一一136     2  調査研究から明らかになった事項一一一一一一一一一一一一一一一137  第2節 小学校体育科における集団の指導のあり方の視点. 第4章.     1  児童の学習要因の視点一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一140. 昭和43年 小学校学習指導要領体育編 一一一一一一一一一一一44.  (1)児童の主体的学習活動の促進. 昭和52年 小学校学習指導要領体育編 一一一一一一一一一一一46.  (2)集団機能の充実. 今次学習指導要領改善の方向  一一一一・一一一一一一一一一一一一一一一48. 2 教師の指導要因の視点一一一一一一一一一一一一一一一一一一一・一一一一一一142.  第3節. 主体的学習と学習集団の関連.  (1)集団の指導の構え.    1    2    3. 主体的学習と学習集団の意義 一p・ 一一一一一一一一一一一一一一一一一一49.  (2)り一義㌧シップ機能の発揮. 主体的学習と学習集団の関連 一一一一一一一・・一一一一・一一一一一一一一一54. 第5章 研究のまとめと今後の課題.  第4節. 個性化と学習集団の関連.     1 研究のまとめ一一一一一一・一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一・145.    1    2. 個性化化教育の必要性 一一・・ 一一一一一一一・一一一一一一一一一一一一一一一一一58.     2 今後の課題一一一一一一一一一一一一一一一一一一一… 一・・一・一一一一一一一一一一一一一149.  第5節. 小括一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一?7. 主体的学習の背景と性格 一一一一一一・・一一一一・一一一一一一一一一一一一一..51. 個性化と学習集団の関連 一一一一一一一一一 一一一一一一一一一一一一一一一67. 引用・参考文献 謝辞 資料.

(3) 響し合いながら進展していくのが,体育学習ととらえることができる.. 第1章研究の目的と方法. 1 問題の所在と研究目的.  昭和62年12月に教育審議会答申「教育課程の基準の改善について」が 出された.体育・保健体育科の改善の方針としては「生涯体育・スホ“一ツと. 体力の向上とを重視する・・」という観点が示され,生涯を通して運動 実践する態度や能力の育成が強調されている.それは,現在及び将来に. 図1体育授業のハ。ラダィム(竹之下1966). おいて運動に親しみ,運動を自発的に実践することに重点が置かれてい るものと考えられる.つまり,健康の増進や体力の向上といった身体的 価値観や,運動の方法の視点はもちろん,運動の必要性や価値を見直し, 社会的存在としての人間の要求を満たすために,運動やス S・’ 一ツを学習させ.  体育の授業では,基本的には目標や課題達成に向かっての自発的・主 体的な活動が期待されており,集団の中で互いにその技能や個性の違い を認め合い,学び合うことが重要なことと思われる.そのためには,体. ようとするものととらえることができる,.  体育学習時を見ても,運動それ自体が集団で行われることが多く,個 人が他者からの影響を受け,よりょく成長するためにも集団の持つ教育 的価値を積極的に推し進め℃いくことが必要であると思われる.竹之下 ・宇土2》は,体育の授業過程を全体的構造的に示す優れたハ。ラダ仏を示し. ている.その特徴は,教師・子ども・学習内容による体育授業が,学習 集団という社会的環境と施設・用具による物理的環境によって支えられ. 育学習においては集団を発達させて行かなければならないと考える。そ れは,学習者の自発的・主体的学習活動がその集団の持つ雰囲気や人間 関係が大きく影響されると考えられるからである..  集団の雰囲気や人間関係と集団の機能について,丹羽3)は集団の持つ 積極的な雰囲気や人間関係が集団機能に大きく影響すると指摘している. また,成員関係について松田4)は,成員の相互作用は学習目標や課題達. 成に向けて方向づけられていなければならないとして,その質に関心を ているという教科の特徴を明らかにしたものである.この構造によれば,. 学習者,学習集団,施設・用具が目標や課題達成に向かって,互いに影 一1一. 持つこととその方向の重要性を指摘している.浅井5》は,学習における. 一2一.

(4) 集団の持つ教育的価値として,①成員の学習の推進, ②成員の保護,. 2 研究の方法. ③個人の同一化,④個性の伸張の4点をあげている.まrt ,指導につい ては,集団の機能に関心を払い,集団のモラールを高めて行かなければなら.  研究方法は次の通りである.研究目的①については文献研究,研究. ないとし,集団が機能するように働きかけていくことの指導性の要因に. 目的②については調査研究,研究目的③については文献研究と調査研. ついて指摘している.また,竹村6》は集団のモラールの状態を知ることは体. 究をもとに考究した.. 育指導の上で重要であるとして,運動部集団のモラールを検討を行い,その. (1)文献研究. 要因を明らかにしている’.   文献研究については,学習集団の意義とそのあり方を検討する.. 。.  このように体育学習において,学習者がより積極的に課題に向かって.    ①集団の意義,集団の機能(集団のモラーのを検討する.. 活動を進めていく上で,集団のモラーn・は重要な要因であると考えられる..    ②学習指導要領ににおける集団の指導の変遷を検討する。. この集団のモラールの状態を把握・検討することは,体育指導の上でも重要な.    ③主体的学習と学習集団との関連を検討する.. 要因と思われる。この集団のモラールは,成員相互の凝集度や目標・課題達.    ④個性化と学習集団の関連について検討する.. 成に向かっての熱意や努力の水準の概念としてとらえられ,検討が行わ. (2)調査研究. れている..   調査研究については,小学校体育における集団のモラールを調査,検.  体育・スホーーツ集団におけるモラールについての先行研究は,運動部集団にお.   討する.. ける戦績の要因7),権限構造8)9)le;等との関連において検討されている.    ①体育授業におけるモラール調査項目の設定を行う.. が,小学校体育学習についての集団のモラールの検討は十分とは言いがたい。.    ②体育授業における児童のモラー&を調査,検討する.f.  そこで本研究では,小学校体育科における学習集団についての基礎的.    ③体育授業における教師のリータ㌧シッフ’と児童モラールの関連を調査,.     検討する. 考察を行い,体育授業において大きな要因と考えられる集団のモラールを検    ④単元経過に伴うモラー・一ル項目の変化を,調査,検討する.. 討すること.また,その集団に大きな影響を及ぼしていると考えられる (3)文献研究・調査研究による集団の指導のあり方の視点設定 教師のり一タ㌧シップとの関連を検討することを目的とした..   集団の指導のあり方についての視点を設定する.  ①学習集団における基礎的考察を行い,その意義と有効性を検討する..    ①集団の指導についての視点の前提を明かにする.  ②小学校の体育授業における集団のモラールを検討する..    ②小学校体育科における集団の指導のあり方を考究する,  ③小学校体育科における集団の指導の望ましいあり方を考究する. 一3一. 一4一..

(5) 第2章 集団に関する基礎理論. である.他方,集団的な解釈とは,古い世代が新しい世代の各員に社会 全体の中で自分たちの役割を引き継ぐとを可能にさせるあらゆる措置12 >としている.ここでは教育は,社会全体の一つの機能であり,社会の機. 第1節集団の教育的意義と機能. 能を果たすために後継者を育成するものである..  しかしながら,1っの定義は人間を自己目的を持つものとしてとらえ,.  ここでは,集団の持つ教育的意義や社会的背景からの集団の位置づけ. 他方は人間を社会に一員としてとらえられていることから,2っの定義の. を明らかにすると共に,集団の機能と構造を明らかにすることを目的と. 矛盾が指摘されている.ホ’W一一(O・F・Bollnow)13》は, 「人間はいずれか. した,. の定義を土台にして,いずれもそれぞれが,個人主義的な体系か集団主 義的な体系を持つことになる。いずれの体系もその出発点からまったく 異なっている」とし,この定義の二者択一の困難性を指摘している.. 1 集団の教育的意義.  丹羽14)は,その集団を個と集団という立場からみると,個人優位の原 理と集団優位の原理に見る2っの典型的な型があるとし, 「民主社会にお. (1)教育における集団の位置づけとその社会的背景. ける教育では個のない集団は否定され,あくまで個を生かすと言う教育.  「人間は教育されなければならない唯一の動物であるJと述べたのは,. 原理に立つ指導が基本である」t4)とその方向性を示唆している.したが. カント(1,Kant,1972−1804)である,人間にとって,この言葉はいずれに. って,この2っの原理をいかにして調和させて行くか,すなわち,協同的. せよその決定的な本質の特徴を示している.この教育の解釈については,. な集団や社会を形成し,自由の保障と個性の尊重を保障するヒとが基本. そのひとつを個人的な解釈,他方を集団的な解釈とすることができる.. 的な構えであると指摘している. 浜口t5}も社会生活を考える場合,そ.  個人的な解釈とは,広義には幼いものたちを十分に生活できるまで助. こには2っの選択肢があり,1っは,個人優先の立塩であり,もう1っは,. ける措置11}であり,自力で自分の生活をして行く能力を成長するものに. 集団優位の立場であるとしている.前者は,個人こそが社会を成り立た. 行える必要な措置の全てを教育としているものである.ここにおける教. せる要因であると考え,後者においては,社会があってこそ個人の生活. 育目標は,成熟と成人である.人間の申にある能力が完全に成長した状. が可能になるという考えである.三隅16)は「わが国の経営風土や意志決. 態(自然有機的な現象)を成熟とし,自立した責任ある一員として社会. 定方式は,集団主義であると言われている.集団的合意が意志決定にお. に受け入れられる状態(法律的で道徳的な現象)を成人としているもの. いて重視されているのである.しかし,このような風土が存在すること. 一一. T一. 一6一.

(6) と集団意志決定が必ずしも最適度に一致しているとは限らない」とし,. を対置してとらえる考え方は個人主義的発想と言える.集団主義のもと. 封鎖的小集団主義,あるいは孤立した集団はかえって集団意志決定を疎. で個人と集団とは,対立=協同の関係にあるのではなくて,一体の関係. 外することなど,集団の陥りやすい点を指摘している.. になることである.ここから西欧の観念からみて,個人主義に未確定な.  ElO・ライシャワー(E・O・Reischawer)は「ザ・ジャパニーズ」a7}のなかで,. 部分が出てくる.だが,集団主義の理想から言えば,個人と集団は対立. 我が国について「人類は個人から成り立っている.しかし,個人は生を. ・協調の関係にあるのではなく,融合・一体の関係にあるのが望ましい.. 受けてからずっと集団の中でその生の大部分を送る。ただ個人と集団の. 個人即集団であり,集団即個人である.この状態は,「集団のため」とい. いずれにより大きな力点を置くかと言うのは,社会によって異なる,日. う外部の人間の目には犠牲と映る行動も,当人にとっては他者への犠牲. 本人とア刈力人の違いのうち最も顕著にあるものは,日本が集団を重視し. ではなく自分自身のためのものである」. 時には個人が犠牲にされることもあることである,(申略)日本人は欧.  間は, 「個人Jか「集団」かという二分法的そのものが個人主義的発. 米人よりも集団で行動する機会が高い」と述べている.. 想であると指摘し,日本の集団主義(以下,日本的集団主義とする)に.  日本人は欧米人に比べて集団を意識する性向は強いと考えられるが,. あっては,「個人」と「集団」が融合・一体の傾向にあるとしている.. 今日の日本人が自らを集団にとらえられた自己として規定しているであ. つまり,日本的集団主義は, 「個人主義」の対立した概念ではないと考. ろうか.浜口18)は,自らの所属するもしくは,準拠する1集団iをわがも. えられる.それは,成員が互いに協力し会って「集団」の目標を達成す. の顔に自分のもの(われわれ集団の形成)とし,それとの一体化を図っ. ることに努力し,そのことを通して個人の欲求の充足が図られると言う. てきたのではなかろうかとして,日本人が集団に埋没・没入しているの. 1っの協同主義的な価値観に立脚するものと考えられる.. ではないと指摘している.E・0・ライシャワー19》も,自己が埋没してしまったと.  さらに間2Dは,「集団主義だからと言って偲の主張,いいかえれば,. 言うような感じがないとして現実を認識している.. 自己実現の考えがないわけではない.ただ,それが個人主義のようにど.  集団主義の立場は,社会の機能を果たすための後継者の育成であり,. こまでも個人の努力と責任によって実現されるものとは考えられず,集. 集団優位の傾向にある.個人主義的な立場は,個人の自主・自立・自由. 団を通して実現できうるものとみなされる.それ故,集団も成員の自己. ・権利をあくまでも守り抜こうとする傾向があり,集団主義の対立語と. 実現に大きな責任を負うことなる」とし,集団の中に個が埋没してしま. して用いられることが多い.では,なぜ日本は「集団主義の社会」とさ. うのではなくて,集団を通して自己実現が図られて行くものであるとし. れながらも「個が集団に埋没した感じがない」とされるのか.. ている..  間2e》は,これについて次⑳ような見解を示している.「個人と集団と 一7・一.  この日本の「集団中心の考え方」は,もともと日本社会に伝統的にみ 一&.

(7) られる心理上の特性とも考えられている.その原型を岩崎22)は「農耕民. て,いかなるものが成長と考えられられるかを考察するものである.. 的基層文化」から生まれたものであるとしでいる.表1は,個人主義と集.  現行の学校教育においては,教師が担当の児童を学級として集団的に. 団主義の文化比較を行ったものである.. 指導すると言う形態をとっている.これは個珊教授と比べるならば,相 対的に小数の教師によって多数の子どもを指導できると言う意味での効. 表1 個人主義と集団主義の文化比較(岩崎1980) 個人主義 集団主義 農耕民的基層文化 牧畜民的基層文化 定住型共同社会 移動型個人社会 集団の文化(結び) 組織の文化(区分け) 個の倫理(自己主張の文化 集団の倫理(没我性の文化 他律性 自律性 外部志向(他人の目) 内部志向(内なる声). 率性を持つことと,子どもたちが集団的に活動する多様な機会を含むた めに(知的側面の発達だけでなく)集団的・社会的側面の成長を合わせ て期待し得ることなどにおいてその大きな長所を持つものと考えられる.. 現行の学校教育の枠組みによって教育を進めようとする限り,教育がひ とりひとりの子どもの活動や成長に関心を持つともに,学級における活 動とその結果としての教育的効果や成果に関心を払う必要があると考え.  これまで集団を社会的背景から考察してきたこれらのことから,次の. られる.ここでは,学習集団としての成長を考察して行くものである.. ことが示唆される.. ・日本における集団は,個との対立関係にあるのではなく,協同主義的  な価値観に立脚していること,.  ア 学習集団としての成長の意義.  何をもって学習集団の成長と見なすかは,人によってかなりの見解が. ・集団の役割が,自立した個人の形成に影響しているし,他方,個性を  越えた大きな課題に役立とうとする時に,個人は自分の充実感を得こ  とができること.. 分かれる.ここでは,前項の立場から3っの見解を示すものである.. ・日本では,徹底した個人主義は理解されにくいこと.それは,日本に  伝統的に見られる心理上の特性が,大きく影響していると考えられる  ためと考えられること.. 成長と考える見解である.学級を集団という面からとらえるならば,そ.  まず第1に,さまざまな面における学級としての平均点の尚上を学級の. の学級に属する子どもたちの配する得点の平均値の向上が追求されるべ き課題であると言える.また,その学級に属する子どもたちひとりひと りの社会性や集団性についてもそれが重要な教育目標である限り,学級. (2)学習集団の成長. としての平均点が向上して行くならばその学級に対する指導の成果が納.  前項では,学習集団の意義を考えるに当たって,集団の意義を社会的. められっっあるものとして評価されてよいと考えられる.この場合,学. 背景から考察した.この前提に立って学校教育における学習集団につい. 級を必ずしも一つの集団としてとらえるものではなく,基本的にはひと. 一9一. 一10一.

(8) りひとりの子どもの属性としての学力と社会性・集団性などとの関連は. 面における様々な集団経験によるものあると言うことである.つまり,. 問わないで問題にしていこうというものである.言い替えれば,これは. 集団経験をより高次なものにすることによって個人の成長・発達もより. 個人主義的教育観による学級の成長のとらえ方と言える.. 高次なものにすることができるとする考え方である..  第2は,学級を一つの集団としての実質を備えて行くべきものとしてと.  以上の3点が,前項から考えられる学習集団の成果の視点であると考え. らえ,学級を集団としてのまとまりの観点からその成長をとらえていく. られる.次に3っの立場を検討することとする.. 見解である.つまり,集団主義的教育観による学級の成長のとらえ方と いえる.この場合の成長の具体的観点として,集団の凝集性,すなわち.  イ 学習集団の教育的意義. 「われわれ意識」や相互の信頼感・所属する学級への誇りの程度やまと.   教育的営みという観点から倉田23}は,集団優位の立場と個優先の立. まり具合いなどが考えられる.従って,教育としての成果も個々人の知.  場を指摘し,双方の並存を考えていく方向を示している.要約すると. 識や思考よりも学級全体としての集団の思考の豊かさや質が問われたり,.  次の3点になる.. 個々人の属性としての集団性や社会性よりも,学級という集団に対する.  ①個と集団の存在意義を認める.つまり,集団も個も一部は重なり合   っているのであるが,それぞれの独自の領域が存在するとするもの. 個人の具体的寄与や学級の他からの評価が重視されたりするというもの.   である.. である..  第3は,この2っの考えの中間的性格を持つ見解である.真の集団とし.  ②掴は集団の中で育つこと.つまり,個は集団の中で対立したり,一   致したりしてその存在を確立して行くものと考えられる.  ③掴が個性的である集団の形成.集団が均一化せず異質を抱え込むこ   とと考えられる.. て育って行くべきものと考える点においては,集団主義的教育観の面を.  また,前述の丹羽24)も民主社会における教育では,個のない集団は否. 持ち,集団としての学級をあくまでもひとりひとりの子どもが成長・発. 定されるべきであるとし,あくまで個を生かすという教育原理に立脚し. 達していくための手殺としての位置づける点においては,個人主義的教. た集団の指導でなければならないとしている.これは,集団の絶対化は. 育観の面を持つものである。従って,ここでは集団としての学級全体的. 個を犠牲にする画一主義・全体主義に陥る危険性のあることを指摘した. 特性も学級を構成する個々人の特性の集台も共に問われることになる.. ものととらえることができる.片岡25)は学習場面の要因として学習内容. つまり,個々人の子どもの知識や思考のあり方を同時に学級全体として. ・学習主体と共にその人間関係をあげている.つまり,授業の場におい. の集団思考のあり方としても問われているのである.. ては学習主体の心理的過程と共に,人間関係上の相互作用の過程でもあ.  ここで重要と考えられること1ま,子どもの個々人の属性としての学お. るとして,学習における集団の意義を示している.. や社会性・集団性は,それ自体の発達によるものではなく,具体的な場.  学習において学習者の相互作用は,片岡25>,丹羽24},倉田23)が示す. 一11一. 一12一一.

(9) ように個の成長に影響を及ぼしている.指導者の立場からは,集団のも. 体」ととらえている.. つ有効性を十分に把握し,活用することが重要であると思われる.また,.  また,狩野3ωは各集団の定義を概観し,その特性を次に示している。. 教育現場から考えてみても極端な立場は学習の成立を困難とすることか.  ①成員としての明確な定義を持った複数の人々の集台である.  ②成員間には,なんらかの心理的関係が存在する.  ③その諸関係は,全体として統合されることにより一つの構造を持つ.  ④その構造により,目標遂行の機能を営む.  ⑤その機能によって,内部的・外部的適応を営む.. ら,個の成長が集団と共にあるというこの第3の観点の立場を支持するも のである..  このような特性を持つ人々の集合体としている. 青井3e》は,小集団(Small−greup)を次の3点から定義している.. 2 集団の構造と機能.  ①対面的(Face to face)な関係にあること..  ②成員間の相互作用(lnteraction)があること.  ③成員相互に個人的な(as a individual person)印象や知覚を有す   ること..  前項において教育における集団の意義とあり方が検討され,個と集団 の関連についての方向性を考察した.次にその集団の持つ構造と機能に.  つまり,集団とは成員間に相互作用や相互依存的な関係があるものと 考えられる.. ついて考察する.このことは,指導上からも把握しておく必要があると  また,狭義の集団はさらに分類されることがある. 考えられる.  ・一次集団(primary group=相互作用が直接的で,ハ’一ソナリティの形成に. (1)集団の構造  集団を考えていく場合,集団のとらえ方が多岐にわたり一義的に集団.   大きな影響を及ぼすもの)と二次集団(secondary group・相互作用   が必ずしも直接的でなく,一定の機能を果すために構成されたもの)  ・心理的集団(psychogreup・成員間に相互作用が行われている内に,   集団の目標や成員関係が形成されて行くもの)と社会的集団(soci   egroup・客観的な目標を追求していく間に,成員関係が形成されて行   くもの). をイメージすることは難しい,そこでまず,集団の定義について検討する.. ア 集団の定義  丁・M・ニューカム(T・M・Newcom)26)によれば, 「集団とは,相互に一定の事. 物に関する規範を共有L,そして,密接に連結する社会適役割を持つ2人 以上の人々から構成されるもの」と定義されている.また,K・レピン(K・ L’. ?魔奄氏j2マ》は「相互依存性にもとつく力動的な全体」ととらえ,かトライト.  ・インフォーマルグループ。(informal group・心理的集団に近いもので,学級内.   の集団など)とフォー嚇ダルーフe(formal goup・社会的集団に近いもので,   学級など)  ・イングルーフ。(in group・Ne group・集団成員にとって自分の集団という   意識が伴っているもの)とアウトグルーフ’(out group・othergroup・集団.   成員にとって,よそもの意識が伴っているもの)  ・関係集団(reference group・集団の成員にとって規制する枠組みや   規範となっているもの)と成員集団(membership greup・ただ集団に   所属しているだけという意識が働いているもの) 以上の分類等がなされている.. &ザンダー(Cartwright,D&Zander)28⊃は「成員関係の相互依存的な集合 一13・一. 一14一.

(10)  体育学習集団もこうした集団の一種であり,学習(知識・技能・態度. の7っをあげ集団の構造化を促す点を明らかにしている.. など)を目的とした集団である.体育学習集団は,竹之下31}が指摘する.  ①共通目標Common Goal. ように学習指導の必要上,学習するための下位集団に分けられることが.  ②同志感情 We−feling  ③秩序   Social Order. 多い.この下位集団について竹之下は,この下位集団は厳密な集団では.  ④リーダーLeader  ⑤ルール rule. なくて集合と呼ばれるものであるとして,学習を通して変質することの.  ⑥役割  Socia1 Rule.  ⑦活動領域 Devision of Group behavior. 必要性を指摘している.この集団が変質する必要性については,T・Mニュー.  また,民主集団と封建集団の集団支配場面構造類型の比較研究が,大. カム(T・N・Newc。m)が「準拠枠の共有化」の必要性を述べていることと類. 回ら33}34)35}36}によって行われ,集団場面が異なるとリーダー機能が異な. 似する.この「準拠枠」とは,ものを知覚する仕方に選択的影響を及ぼ. ることを報告している.そこでは,封建集団ではり一タ㌧と7tロアーの関係が. す知覚的文脈に作用するものとされており,準拠枠を共有する人々との. 一方的結台型となり,民主集団では相互結合型が多い点を明らかにして. コミュニケーションを通じて知覚や態度・ハ㌧ソナリティと言ったものが変化させること. いる.さらに,佐藤・大回37》によって学習集団における児童・生徒の行. ができるとするものである.. 動を学習目標とリータ㌧機能から研究が行われ,り一タ㌧の機能を発揮してい.  体育学習に場面においても,この準拠枠の共有化が図られるべきであ. る児童は学習目標に一番近い領域で活動し,そうでない児童は目標から. り,教師と児童,児童と児童といった相互によって準拠集団化がなされ. 離れた領域で活動をしていることを明らかにしている。. ていくことが必要であると考える.つまり,体育学習集団も学級集団と.  こうしrt 一一連の研究は,民主的な児童・生徒を育てるためには,集団. いうフォーマル集団として編成されるが,児童相互や教師と児童の相互作用の. 場面とその集団内における行動変容に着目し,集団場面を民主的に組織. もとでインフォーマル化されることが望まれる.このことによって,集団として. することの重要性を示唆しているものと考えられる。従って,学習集団. の様々な機能を発揮し児童の学習に影響を及ぼすものと考えられる.. もその集団自体が民主的であるか封建的であるかによって学習環境が異.  集団が機能を発揮し児童に影響を及ぼすための集団の変容の要因につ. なり,集団の学習の効果が変化してくるものと推測される.. いては,浅井32}を中心とする研究グルーフ’がその検討を行っている..  成員間における相互作用を通して集団化していく過程を田中38》は,次.  浅井ら32)は,集団が学習目標に即して行動的効果を示すには集団に備. のようなプロセスとして考えられるとしている.. えるべき最低の社会的条件があるとし,集団が未組織的なものから組織.  ①恐怖・不安・警戒心や構えを持ち相互に相手の出方をうかがう時期.  ②相互の緊張が解けて,所属の感情の増大に伴う同一化の時期.  ③集団としてのまとまりが高まり,集団目標が設定される時期.  ④集団の凝集性の発達にともなって集団の規範が生ずる時期.  ⑤「われわれ意識」が発生すると共に,他の集団に「かれら意識」が. 的なものへ変容し構造化される場台には,変容を促す重要な要因が左右 することを明らかにしている.そして,浅井はこの集団の要因として次.   生じる時期. 一15一一.                一16一.

(11)  ⑥集団が持続されるにつれ生じる集団雰囲気形成の時期. この一定の構造的条件を具備いていくプ吐スは,新しい集団を編成した 臼己寓盟曜 自載噸oet t. や変容を考える時,個人とその準拠集団との関わりが重要な意味を持つ ものと考えられる.狩野39)はその集団がどれほど当人の重要な欲求や動. 機の充足に適合するものであるかによってそれは決定されるとしてその 関連を指摘している.  また,集団がもたらす欲求を考えるにあたって,A・H・マスロー(Mas10W,A ,H,1943)4e)の欲求階層説が多くを示唆していると思われる.. 繍 酬 ?ズロ醐. ・麟発樫しょうと ナ禰牒. 帥謄fけ罎囚. ︷. ときなどに見られるものである.このプロセスにおいて,成員の行動の理解.  〔やる褒曜こる蓋囚). ・他Aから鯛闘繊. Sb6Mk. ・亀団膵Ωけλれら槻陣. 立嘱一. ・自已傭、i鰍窟m. 腿. 妬盤蛭園.  〔錦tkSWtPと不瀞. ・魂食匿鰐配虞.  つeNfi,. 生£縫瞳鷹. ハーツノ←クtoat胴づけ欄. 図2 欲求階層説と動機づけ衛生理論(坂野・高垣1985).  図2は,A・H・マスローの欲求階層説とハーツハ㌧グの動機づけ衛生理論41)の関. 連づけて図式化したものである.A・H・マスローは人間の欲求の諸相の内,親 しい人々と一・一一緒にいたいという親和,集団所属の欲求,自らの価値を高. (2)集団の機能. め他の人々から認められたいとしする自尊の欲求,その究極には,自ら を社会の中に実現しょうという自己実現欲求の重要性を指摘している.. 次に,集団の機能を仮説的枠組みによって明らかにすることとした..  個人がその集団との関わりを求める条件とは,とりもなおさずこのよ うな重要な欲求がその集団で活動することによって充足される場合をい. ア 集団の機能. うものと考えられる..  青井72}は,集団の機能を仮説的枠組みによって示している..  個人が集団の活動の中で自己実現をもたらし,それによって成員の行.   表3−1集団のインフ’ット・アウトフ●Vト (青井1962). 動や集団の活性化が図られるためにも,集団の機能の充実が望まれるも のと考える.. 一17一. インフ’ット. 集団過程. アウトプット. 相互作用. コミュニケーション構造. 集団の凝集性. ?@ 二 S  情. n位構造 エ情構造. W団の生産性. 一1&. W団のモラール.

(12)  青井によれば,集団は集団生活への個人のインプットを特定のアウトプvトに変. 聞形成が主眼におかれている.つまり,機能面から考えると課題達成へ. 形するシステムであり,この過程において集団構造が形成されて行くものと. の活動が重要となる.しかし,課題達成機能と集団維持機能が便宜上の. している.この理論的枠組みにおいては,体育授業を考察するにあたっ. 区別であり,活動上,有機的に機能しているものであると考えられる.. て多くの示唆を得ることができる.青井は,この枠組みがインフォーマルな小集. 団を対象としていることから,学習集団を考え場合に,学習目標は授業 集団の生三生・成果. 過程その一もののと考えられる.そこ:では,集団の過程を課題二成機能と. 集団維持機能として考える必要があると思われる.片岡25}は青井を参考 り一P“一うPtyプ. に表3−2のように考えることができるとしている.. 表3−2学習集団のインフ’ット・アウトフ●ット・(片岡ig68) インプット. 集団過程. アウトプット. 相互作用. 課題達成機能. ?@ 動 S  情. W団維持機能.  集団のモラール       集団の凝集性. 図4 集団の機能(松田,1979)72). 集団の凝集性. w力 生産性 c堰[ル(意欲).  このことは,松田72》の示す集団の成果・集団のモラール・集団の凝集性・ ワータ’一シッ7tの関連を見れば推察される,阿江74,は集団の凝集性があいま. いであることを指摘して,凝集性一モラール(課題凝集)の立場と凝集性一. 学習場面から学級集団を考えると,体育集団が活動を始めることによ 魅力(対人凝集)の立場を明らかにしている。つまり,集団のモラールも集. り集団それ自体が一定の機能的性質を持つようになってくるものと考え 団の凝集性に大きく関わることを示唆しているのである.そこで,体育 られる.その機能として次の2点が考えられる.  ①集団目標への活動一課題達成機能(task,performance fanction)                     下位機能一集団のモラール. 学習が,学習目標に向かって教師と児童の活動が行われることから,集 団機能の中の集団のモラールに着目して考察して行くものとする..  ②集団維持のための活動一集団維持機能(greup maintenance fanc−   tion)                下位機能一集団の凝集性.  体育学習集団は,体育において一定の目標を持ち,学習内容の内面化. イ 集団のモラール  ここでは,前述の集団のアウトプットとしての集団のモラールについて,その定. をめざして活動している集団である.教育的な目標があり,望ましい人 義と意義について検討・考察することとする. 一19一. 一20一.

(13) (1)集団のモラールの定義と意義. っており,日比野8t)82)はモラ鴫尺度点の相関係数から,.  集団のモラー rvとは「集団目標があり,成員がその目標に積極的意義を感. 団的次元を抽出している,. 個人的次元と集. じ,その達成の可能性を信じて集団活動が協力的・効果的に進められる 様な状態,あるいは特徴」74)を意味しているとされている.学校教育に 関連しては,このモラールの観点から,学級の特徴を明らかにしょうとする アプローチが行われており75)7s)77》78),学級独自の個性の解明の検討がな されている。. 表4 研究者にみられるモラールの規定要因(竹村,横山).  研究者           規 定 要 因 Katz.D91)   職務満足 集団への誇り 一体感 成績への満足 尾高邦夫92}  仕事への満足 意義の自覚 帰属意識 団結力 丹羽・竹村93) 部と部員の関係 人間関係 集団機能 満足度 横山一郎94)  集団の志向性 人間関係 運営と団結 満足度.  モラー rvという概念は,きわめて多義的である.しかし,集団の目標ない. し課題に向かっての成員の自発的・積極的態度,または行動と解するな らば,一定の教育目標ないし学級目標に向かって遂行される教師と児童 の諸活動もモラールの概念でとらえ,それによって学級の特徴を明らかにし.  ここで,体育・スホ㌧ツ集団における研究者のモラール規定要因を見ると,個. 人的次元と考えられるものが部と部員の関係や個人的満足度であり,集 団次元と考えられるものが人間関係や集団機能,運営と団結などと考え. ていくことが可能と考えられる.. られる..  モラールは,個人概念としても集団概念としてもとらえられている.つま り,学習意欲という個人レベルで用いられる場合と,士気として集団レへ擁. で用いられる場合がある.前者は集団目標にそって自発的に熱意をもっ て活動を続ける個人の心身の状態や態度をさしており,後者は支持,ま たは所属集団の目標達成に対して成員たちが協力して効果的に集団活動 を進める集団の状態をさしている.しかし,個人的な意欲も所属する集 団から影響されていると考えれば,個人レベルと集団レへ“ iltを厳密に区別す. ることは困難であると考えられる.つまり,モラールは個人的な面と集団的 な面が共存するもので,個人と集団をダイナミックに考えなければならない..  クレッチ(Krech)83}は,モラールの一般的定義をする代わりに,モラールの高低. の基準を示している.ここでは高いモラールを持つ集団の特徴として次をあ げている..  ①単に外部からの圧力によるものではなく,内部の凝集によって結合   しょうとする集団の傾向があること.  ②集団内部にあれっきや分裂がないこと,  ③内部に抗争があっても自分自身の手で処理し,必要な内部的弓適応   ができるように,変化する情勢に集団を適応させることができる.  ④集団の成員関の結合が強いこと.  ⑤集団の成員が目標について集団意識を持っていること.  ⑥集団の目標に関連して成員が積極的態度を持っていること.  ⑦集団成員が集団を維持していくことを願い,かっそのことに積極的   な価値を認めていること..  モラールを規定する要因は,竹村79》,横山ee)によって概観されている.. 表4は,その一部である.モラールの規定要因は,各研究者の視点によって異 一21一. 一22一.

(14)  また,低いモラールの集団の特徴として,.  N・シンカ㌧(N・Singer)86)は,モラールは承認,及び信頼関係によって特徴.  ①外的な力によって集団が結成されていること.  ②集団成員に情緒的な交流がなく,相互に敵対・拒否の感情があること. ・③情勢の変化に適応できず,あれっきが生じ,分裂状態にあること.. づけれるとして,①共通目標②リ。タ㌧シップ’③相互作用④指導者 の誘引といった要素をあげている,また,竹村・丹羽87,は,モラールを高め.  低いモラールは,対称的な特徴を持つものであって集団が集団内部の力に. るためには目標に重要性を認識させ,また目標の可能性を認識させるこ. よって結合しているのではなく,多くは外部の力によって結合が保たれ. とを必要としてる.. ている状態であるといえる.したがって,集団内部には親しい交流がな.  小川ge)は,学級集団の立場から①所属感の保持 ②集団凝集性の高. く,困難な事態に直面すると挫折する可能性が高いと考えれる.. 低③目標の魅力 ④目標・活動の計画設定の参加 ⑤目標への見通し.  また,浅井84)はモラールの高い集団では,次の4っの教育的価値が期待で.  ⑥目標への接近意識 ⑦リータ㌔シvプ をあげ,モラ鋤を高める要因の鍵を. きるとしている.. 握っているのは,指導者であると指摘している.浅井88》は高い目標を維.  ①成員を保護する作用  ②個人を同一化する作用  ③成員を学習させる作用 ④個性を伸ばす作用. 持しながら,可能な範囲においてその目標の実現のために現実的な行動 を計画し,協力することがモラールを高めるための基本的な要因であるとし.  このようにみてみると,集団の機能は集団のモラールを高めることによっ ている.. て充実することが示唆される..  各研究者によれば,モラールを高める要因は集団目標との関連が強く指摘. され,論じられているものと考えられる.目標との関連では,目標は行 (2)集団のモラールを高める要因. 動を動機づけ,方向づけるものであり,目標を持つことによって意欲づ  体育・スホ’一ヅ集団のモラールは,目標達成機能を中心として集団の凝集性や. り一事㌧シップとの関連において検討され,モラ沸を高める要因が明らかにされ. けられるものと考えられる.            ・ 小学校の体育学習においては教師からの影響が大きく作用し,小川89》. てきている.. の指摘するように集団のモラールを要因の鍵は教師にあるものと思われる..  松田85}は,集団のモラ磁を高める方法について,次の5っの条件を示し. 教師が学習者の目標に対して学習者を積極的・適切に導き,より高次な ている.. 目標に積極的に参加することができように指導の手を加えて行かなけれ  ①集団の目標を確認し,目標への筋道を明確にする.  ②役割を決め,その実行を促進する.  ③行動の基準を明確にする.. ばならないと思われる,.  ④コミュニグションの機会をつくる.  ⑤スtl“ 一ツカウンセワングを行う.. 一23一. 一24一.

(15) (3)体育・スポーヅ集団におけるモラールの先行研究の概要. るとモラ魂は運動遊戯集団であっても生まれるものであると報告している..  体育・スホ㌧ツのモラール研究は,丹羽・竹村95)がリツかト法によって「運動部.  また,森岡・浅井le3)は体育における集団の機能を探るためモラールの検. 集団のモラール調査項目」を作成し,尺度化している.そして, 「運動部に. 討を行い,個人の能力が目標と一致することがモラールを高める要因になる. おけるモラールの状態から,部員の活動意欲・協力状態を知り,運動部全体. ことを指摘している,. の雰囲気を知ることはもちろんのこと,モラールを高めている,あるいは低.  これらの研究は,運動部集団を対象にその権限構造やリータ㌧シップ’との関. めている要因を見いだし,評価することによって集団の機能の検討を行. 連が検討され,運動遊戯集団を対象にその存在と有効性が検討されてき. うことが可能である」としている.このサッかト法によって丹羽99)は,運. ている.そして,モラールを検討することによって集団の機能について明ら. 動部集団の権限構造や集団機能・ワータ㌧シップとモラールの関連を検討している.. かにすることやその機能を高めるためにモラールを指標とすることが研究の. そこでは,指導者のり一ダーシップ要因が,課題達成機能と集団維持機能が共. 対象とされている.. に強いPM型と集団維持機能が強いM型にモラール得点が高いことを報告してい.  しかし,遊戯・体育集団におけるモラールの検討は,個人レベルでの学習意. る.. 欲について検討されたものである.これは,学習集団としての集団レベル.  竹内9マ}も運動部集団の機能特性について検討し,集団の凝集性を高め. の検討がその把握・検討するための指標が明らかにされていなかったた. る要件に,集団の雰囲気と共に集団のモラールを挙げている.. めと考えられる.その指標は,丹羽・竹村によって尺度化されたものが.  また,日比野98}はモラールとり一タ㌧シップ’との関連を検討しており,指導効. 報告されるまで見あたらない.このように小学校の体育授業における集. 果をあげるためには集団の構造やモラールとの関連を知ることが必要である. 団のモラーfUは,集団として検討されたものは少ない.. と報告している..  小学校の体育学習ではとくに,人間関係や集団の持つ雰囲気が学習の.  横山’ge)は運動部集団の特徴を見いだそうとし・学芸部集団と運動部. 進展に大きな影響を及ぼすことが考えられることから,体育授業におけ. 集団のモラールについて比較・検討している.特に「集団のまとまり」に関. る集団のモラールを把握・検討することは,その学習の成果,学習における. して差異がみられ,体育で具体的に指標化するときのひとつの観点とな. 集団のアウ1フ’ットの一指標として有効なものと考えられる.. ることを示唆している.  浅井let》は集団の機能を把握するおめには,集団のモラールについて検討. しなければならないとし,教育的価値との関連を示している.渡辺te2}. は,集団には必ず集団意識があり集団が共通目標に向かって活動し始め 一25一. 一26一.

(16) 3 学習集団に関連する研究動向. あり,集団の研究で明らかにされてきている理論や原理を適用していく ことが望ましいと考えられる..  学習集団の研究の業績を概観すると,2っの研究動向がうかがえる..  図3は日本体育学会における集団研究の発表演題の推移を5年ごとに示. 1っは,集団そのものをできるだけ自然な中で観察し,その一般的な特性. したものである64}.1960年頃まではグルーフ◎学習の研究が非常に多く,学. を明らかにした上で理論を構築していこうとするものであり,他方は,. 習集団(主に遊戯集団)の研究の発表が続いている.. 現実に展開されている授業を観察しそこに見いだせることのできる現象. 弾団. 藷. ☆/日. しての民主的人間関係の発達」を契機に,日本での関心の高まりがあっ. P0.  /ソ   イー/    □,沃   、、\   曇、.  丹羽62》によれば,1951年米国で出された「保健・体育・レ列エーションを通.   ぎ. 22.    しノ     、/. があげられる..   □凝. る研究グトプによる一斉指導とグルーフ’学習の比較研究le8)leg》tle)など.    ノ  ノ     一幅三三. を中心とする研究グルーフ’による体育と社会性の研究や竹之下を中心とす. 聞廻編 羨. ㎝.  この代表的な研究として,昭和30年代頃までの浅井1e4)te5》1e6)197}. 三脚 に炉. のである.. 八︵髭. や事実に対して「仮説一検証」をしてその適用を図っていこうとするも. 習. O  ’51∂司54’55−59’〔泌→34’65−69’7Z−74’75−79’89騨85. たことを報告している.この期においては,新教育による体育科教育の.                発汗年度. カリキュラムや学習形態について論議が盛んに行われ,前述の竹之下のB型学. 図3 日本体育学会における集団の研究発表演題の推移. 習やグループ学習の理論と実践に,現場と研究者が大きな関心を向けられ た時期である..  近藤63}は,この期までの研究が体育科教育に大きな影響を与え,人間.  この集団の研究動向について,丹羽65)は「学校体育における小集団の. 関係や小集団の理論を科学的に補強されたグルーフ’学習の理論や方法を高. 研究は,もともと社会的人間関係によって民主的人間関係や全人教育と. く評価している.学習集団の特性は,運動遊戯場面における社会的機能.. いういわば社会的人間形成,ハ㌧ソナリティ形成と密接な関係を持って発展し. を基盤にたって,その基本的性格が明らかにされているものである・体. てきたものであり,体力問題のような個人的次元で達成可能なねらいに. 育学習集団も集団である以上,集団一般の性質を兼ね備えているもので. 対しては,あまり魅力を持ちえない」と小集団研究の衰退を指摘してい. ・一. Q7一. 一2&.

(17) る.1965年以降からは発表演題数は減少するが,丹下を中心とする学校. 第2節 学習指導要領における指導法の変遷. 体育同志会の一連の研究66)67),岐阜大ク“ルーフ。68)や小林68》69)7e}によ. る研究によってその価値を再認識され,深まりの傾向を示しているもの.  体育における集団の指導の意義とそのあり方について考察してきたが,. と思われる.昭和50年代の学習指導要領では,「運動に親しむこと」な. 次に学習指導要領の目標とその集団における指導との関連を検討するこ. どを強調し,生涯にわたって運動に親しむ人間形成を目標に掲げられて. とを目的とした.. いる,今日,生涯体育・スホ㌧ツへの関心を強く考える体育では,子どもの 能力や欲求のレへ“ llfで運動に親しみ,向上しょうとすることが重要になっ. てきている.それは,一人ではなく仲間と共に運動に親しむ機会を分か. 1 昭和22年(1鱗7年)学校体育指導要綱. ち合い,補い合う体育・スホ㌧ツ集団の形成が大前提になるものと考えられ. る.運動をやりがいのある活動にするためにも,小集団での学習を学習.  戦後の体育においては,戦前の体操・武道にとりかわって,遊技・スホ。. の基盤におき,運動の自発性・自主的な活動を強調することが必要であ. 一ツが導入された.ここにおける体育理念は,ア刈力のNeu Physical educa. ると考える.. tionのコヒ㌧であったとされている.  前川111)は, 「「皇国民錬成」から「民主主義人間形成」への転換」とし,. 同時に「1身体の教育」(Of Physica1)から「身体活動を通しての教育」(Th. rogh Physicai Education)への転換」としている,この改革精神のもと. に,1947年7月に学校体育指導要網(以下 要網とする)が出さている.  この要網作成に携わった大谷112)は, 「要網は,わが国の新しい教育方. 針に則り,体育の基本的方向示すために制定されたものであって,その重. 点は民主主義に浸透した,健全で有能な社会人の育成に置かれている」 としている,この要網は,体育の「民主化・科学化」を目指し,体育科 の性格を従来のものから大きく転換させる内容を含んでいる.体育の目 標では, 「体育は,運動と衛生の実践を通して人間性の発展を企画する. ものである.それは,健全で有能な身体を育成し,人生に於ける身体三 一29一. 一30一.

(18) 動の価値を認識させ,社会生活における各自の責任を自覚させることを. へ」という指導法が考えられ,従来の反復訓練的指導が転換されている.. 目的とする.」113}と掲げている.. そのねらいは,能力の似通ったもの同士を集めて,能力に応じた指導を.  そして,この体育の目標が導き出す主な目標として,①身体の健全な. 行おうとしたものであったと考えられる.. 発達(8項目) ②精神の健全な発達(8項目) ③社会的性格の育成(11項目. )をあげている.さらに,その特徴的性格を表していると考えられる第四 の「指導の指針」では「遊技・スホe一ツを中心とする指導を行い,スホ“一ツマン. 2 昭和24年(1949年)学習指導要領小学校体育科編. ・シップを養う」(4項)1i4)をはUめとして,スホ’一ツによる民主的な性格の育. 成と子どもの個性・自主性の尊重を強調している,戦後の「新体育」は,.  要網が出されてから2年後の1949年9月に,学習指導要領小学校体育編. 遊技・スホ㌧ツを重視し,それらを社会性や民主主義的人間形成の最適条件. (以下指導要領とする)が出された.体育の目的や内容において,要網と. と考えられたものと推察できる.. ほとんど変わりがないものとされている..  大谷は,この点について「学校体育の教材として用いられるスホ{一ツは,.  ここでは,体育科の一般目標として,①健康で有能な新体を育成する.. その大部分のものが団体競技形式をとるものであるから,スホ㌧ツ精神を主. ②よい性格を育成し,教養を高める.と言う2っの大きな目標を掲げてい. なる内容として例示した.公正・協力・責任感などの諸徳は,社会生活. る.三三1!7}によれば,「昭和二十年代のわが国の教育思想の主流は,. にそのまま有効な徳目となるわけである」115)としている.. 米国のJ・デューイ(J.DeNey,1859∼1952)の経験主義の教育哲学・教育課程.  これらのことから,この期においては,スホ㌧ツ活動から導き出される徳. 観・学習論を基盤としたと見られる」と述べ, 『昭和二十六年版学習指. 目的価値を集団(団体)に求めていることがうかがえる.. 導要領の特色として「教育課程(学校指導下のもとに実際に児童・生徒.  要領における指導方針としては「体育は運動と衛生の実践を通して人. が持つところの教育的な諸経験または諸活動の全体)」の用語の使用と. 間性の発展を企画する教育である」と述べ,「各個人に機会を均等に与. 共に,「経験主義カリキュラムの色彩が強くなったこと」118}をあげている.. え,体力に応じた運動に親しませ,運動を自主的に実践させるよう創意. しかし,この「新体育」の理念が実際の活動や指導に進んでいく過程に. 工夫する」能力に応じた組わけをして班別指導を行う」「目標を定めて. おいては,いくつかの問題点が指摘されている.. 指導する」「団体競技の指導では,特に社会生活に必要な徳性を養う」.  中森119》は,児童中心主義の問題点として個人の価値を尊ぶと言うこ. など,6項目にわたって示されている.116}. とが,そのまま児童の興味を尊重し,その興味から出発すべきだと言う.  また,指導の展開に関連しては,「ケ㌧ムから基礎へ」「全習から分三 一31一一. 教育観に短絡してしまう点をあげ,「子供の興味に追随し,振り回され, 一32・一.

(19) 体育の方向を見失ってしまうと言う誤りを生じた」t19)とし、経験主義. 次の記述が見られる.「個人差に応じ多くの児童性とに対して効果をあ. ・児童中心主義の教育観が,現場においては,充分な成果をあげること. げようとすると,いっせい指導と個劉指導の中間にある班別指導が考え. ができなかった要因を指摘している.. られるのは,自然であろう」「班溺の指導者を生徒の中から,適宜交代.  次に学習指導について概観する.この指導要領では,第一章の第四節. させることは,指導力と協力の態度を形成する上において効果がある。. で「学習指導法」を次のように取り上げられている.122). 男女一緒に指導しても差し支えない」12Pとし,この段階では班別指導 が,合理的であることを強調していると考えられる.. 第4節 学習指導i塗.  しかし,ここに個人差と個性の混同がみられ,指導の個別化や班別指.  (1)指導方針. 導がそのまま民主教育の形式であるかのような形式的・機械的考えがう.   1,目標を持って指導する.   2,計画的に指導する.   3,季節に応じて指導する.   4,健康生活に留意して指導する.   5,他教科と関連して指導する.   6,機会均等の原則を重んじて指導する。   7,性格や個人差に応じて指導する.   8,自発活動を重んじて指導する.. かがえる.この点について中森a22)は,次のように述べている.「この ように,特定の教材や指導形式と目的とを直接的に結合して理解すると 言う誤りは,過去の日本の教育や体育の目的や内容や指導法の誤りを自 らの力で否定し,厳しい自己批判と,その止揚の上に新しい方向を見い だしていくという自己否定の契機がないままに,ア刈力の教育や体育の理.  (2)学習意欲の喚起   1,興味   2,必要感   3,成功の喜び. 念や方法をそのまま摂取すると言う姿勢に由来していたと思われる」 この背景には,敗戦後の混乱と社会の急激な変化の中で,教材の変化な.  (3)練習の必要. どに伴う指導法の変化について行けず,混乱や放任が見られたことにも.   1,練習時間   2,全習法と分習法. 起因するものと推察される.・.  (4)個別指導、一斉指導と班別指導.  練習時間についての配慮や全習法と分習法を出したことは,教育心理 学や体育心理学の側面から指導法を見直していくことの現れと見ること. 3 昭和28年(1953年)小学校学習指導要領体育科編. ができ,評価できるものと考える.また,形態指導として「個別指導,. 一斉指導と班別指導」を示していることは,集団の取り扱いについて一 歩前進したものとみることができる.指導要領では,班別指導に関しで.  1953年小学校学習指導要領体育科編は,1951年に出された学習指導要 領一般編を受け継いだものであり,1949年の指導要領を理論的に発展さ. 一33一. 一34一.

(20) 少しも変わっていない」と前書きの中に述べられている..  (A)身体活動の指導        (B)人間関係=協力についての指導  (C)集団行動についての指導    (の施設、用具についての指導  (E)健康習慣と安全についての指導(F)進歩の評価の指導.  丹下t25)が,1953年指導要領は「戦後の新体育,民主体育が日本の現. 以上のような指導の観点が示されている.. 状にようやく根をおろした理論と実践の結晶であった」と述べているよ.  また,指導形態としては,. うに,わが国が独立してから初めてのものであり,自主的に作成された.  ①いっせい指導  ②個別指導  ③集団指導. ところに特色があると思われる.. の3形態をあげ,協力・自主性の育成の観点から集団の指導を重視する方.  この指導要領の体育の目標はについては, 「健康な生活に導く目標の. 向を示しているものと考えられる.. ために組織だてられた教科」と説明するだけでは不十分として,教育全.  この学習形態は,1953年の指導要領の性格を最もよく現していおり,. せ,内容の充実を図ったものであり,「教科としての体育の根本方針は,. 般にわたって貢献することを強調しながら,一回目標と具体目標に分け. 「協力(人間関係)についての指導」の項目をたて, 「協力的な人間関. て述べられている.また,目標と教材と指導法と指導場面とを直結させ. 係を身体活動で打ちだそうとするのがこのねらいである312T)とし,さ. ることに重点が置かれ,身体目標・社会的目標・生活的目標の3点が示さ. らに,「家庭・社会・学校で問題になることをチーム・ 7C }, 一.の活動経験を通. れている.. して解決していく力をもたせることに指導の主眼点」128)を置くものと.  教材は,①個人的種目②団体的種目③けりェーション種目に分類され,学. している.. 習指導に関する理論も体系的にまとめられている,また,指導上の留意.  丹下126}は,この目標・教材・指導法・指導場面を,次に様に図式化. 点については次のように示されている.. している..  (1)学習目標の把握  (2)方法の発達的段階への適応  (3)健康状態の把握  (4)生活的背景の把握  (5)学習環境の改善  (6)教師の態度・指導力. 1身体目標 一一個人種目一一教師中心 一一教科時 2民主的人間一一団体種目一一ク三一プの問一一行事単元  関係の目標         題解決学習. 教科指導の3類型としては,  (A)個人的発達に関係のあるもの  (B)教科以外の組織的グループ活動に発展し易いもの  (C)未組織であるが、日常活動としてよく用いられるもの. これは,後にB型学習と呼ばれる学習指導の形態がここから生じたもの. 3レクリェーションの一一 一レクリェーシヨンー・一・一一一教師中心 一一自由時.  目標     種目     グ期フ’学習. 図5 目標・教材・指導法・指導場面の図式化(丹下1987). であり,後の学習形態論に発展して行くものと推察される,.  また,学習内容に応Uる指導の基本的な観点について, 一35一. 一36一.

(21)  これらのことから,体育授業における「経験」が,そのまま学級全体. 学習が考えられてきた.B型学習は,異質のグiレープ1メンハ㌧が作業を分担. ・地域・社会へと同心円的に拡大して,発展していくという考え方が示. し,協力しあう特質を高く評価し,体育では,団体種目に用いると有効. されているものと推察される.しかし,スitlt 一ツにおける「経験」が,民主. である.個人差・自発性・興味・社会性を重視する近代理論からすれば,. 教育において価値ある教材として民主的人間形成に大きく貢献するであ. 教師中心の一斉指導は支持されず,このB型学習を重視しなければなら. ろうことの考えは,認められるものの,スホ㌧ヅをすれば自然にスホ㌧ツマン・シ. ない.これを現場で実践してみたところ,B型学習は,社会性を育成す. ップが養われ,チーム・ワークが身につくと言う楽観的な考えは早計に思われる,. るだけでなく,懸念された運動技能の学習にも良い結果が認められた」.  村上129)の指摘するように「対等な条件の基での競争というスホ㌧ツの内. としている.しかしB型学習について丹下139}は, 「異質グループで団体. 部の民主主義を強調する余り,スホ㌧ツに参加する過程での条件(主として. 種目をやれば,民主的人間関係が育成されるのはあまい」として,次の. 経済的条件)の不平等性に注意を払わず,スホ㌧ツは,民主的性格を携えて. 3点について問題点を指摘している.. いるかのよう・・」ととらえられ,B型学習論争を引きおこしていくも. ①個人種目は身体効果,団体種目は,社会性の効果,鬼遊び,固定施. のと考えられる.ここで集団の指導を考えるために,B型学習論とその.  設などの未組織な運動は,レクリェーションの効果の価値を持つと割り切って  良いか.. 批判について概観しておくこととする..  この学習指導要領の問題点として中森123》は,身体そのものを教育の. ②身体発達のための体操や陸上運動のような個人種目は,教師中心の一  斉指導,または,等質グループのA型学習で,社会性の育成は,団体種  目で異質グ斯プの問題解決学習ですると言う根拠は,何であるのか.. 経の価値の認識と,その身体そのものの中に価値を実現していくと言う. ③異質グループで団体種目をやれば,民主的人間形成が育成されるのか.. 体育観が,きわめて不十分であったことをあげている,このような批判 が,B型学習批判を生むことの原因となったものと考えられる.. 以上の点について指摘し,①目標と教材分類の仕方,②運動と指導法の.  B型学習の主唱者の竹之下134,は,次のように説明している.. 機械的な把握の仕方,③体育における民主的人間関係の質を明らかにす.  「B型学習論は,体育における分団学習の一形態である.分団学習に. ることを提起している.. は,2っの形態があり,その一つは,能率的学習のための等質グルーフ’学習.  次に笠井t32》は,系統主義の立場を主張して次のように批判している.. であり,他方,社会的協力関係に重点をおく異質グルーフ’学習である.B. 「三目標を平等の立場で並列にとらえるのではなく,表層目標・深層目. 型学習は,後者の方を指すのであって,異質的成員による分団学習のこ. 標と言うように重点的な考えをとる必要がある.この目標を重点的に考. とである.能率的学習のための等質グかプ学習,ドリル学習や個人種目の. えるということは,体育指導の重点を運動技能を中心とした運動学習で. 学習に有効であり,これをA型学習という.従来は,もっぱらこのA型. あるといことである.問題解決学習は運動技術を系統的に学習すること. 一37一. 一38一.

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