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スウェーデンの学校給食と食育―環境教育と食文化の視点から―

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スウェーデンの学校給食と食育

―環境教育と食文化の視点から―

School Lunch and Food Education in Sweden

from the Viewpoints of Environmental education and Food Culture

中 澤 弥 子

*

Hiroko Nakazawa

This study aimed to clarify the characteristics of school lunch in Sweden, where environmental education since childhood is considered as important. I conducted the field research at one preschool, two primary and junior-high schools, and one high school in Uppsala and Knivsta in September 2017. I directly observed the preparation at cooking facilities and eating at dining rooms, and interviewed chefs and cooks of school lunch, responsible management officers for school lunch at local government, and a researcher at Uppsala University.

In Sweden, the government has set the regulation of school lunch, such as free supply of school lunch during compulsory school periods, and providing 30% of recommended dietary energy and nutrients per day by school lunch. The meals of school lunch were composed of hot main meal, cooked potatoes, rice or pasta, bread, butter and salad bar. Milk and water were provided as beverages. Special meal for vegetarian was to be provided every day, and specially considered meals for pupils with food allergy were also provided. In addition, the meals paid attention for the preference of immigrants and refu-gees were also provided.

The local government is responsible for the school lunch. The school lunch utilized the system via internet, and the school lunch is provided as cafeteria type so that the school pupils have chosen their own menu at each meal.

Learning environmental issues through food education is considered as significant in Sweden. For instance, composting leftover foods as organic fertilizer and recycling raw wastes as the resource of bio-energy were conducted. The target for in-creasing the proportion of organic food for food staffs of school lunch has been set. School lunch was provided with consid-eration for various cultural background of school pupils in terms of food culture.

キーワード: スウェーデン Sweden; 学校給食 school lunch; 環境教育 environmental education: 食育 food education; 有機食品 organic food; 食文化 food culture

1.背景と目的 2005年(平成17年)に食育基本法が制定され、食育 によって国民が生涯にわたって健全な心身を培い、豊か な人間性を育むことが目的とされた1)。なかでも、子ど もたちに対する食育は、生涯にわたる健全な心と身体を 培い豊かな人間性を育んでいく基礎となるもので、学校 教育において食育を推進することが学習指導要領や学校 給食法で明記され、数多くの取組みが行われている2) 2016年度から5年間で取り組む計画として策定された 「第3次食育推進基本計画」3)では、「食の循環や環境を 意識した食育の推進」や「食文化の継承に向けた食育の 推進」を5つの重点課題の2つの柱とし、「中学校にお ける学校給食の実施率を上げる」と、「学校給食におけ る地場産物等を使用する割合を増やす」の2つを学校給 食に関する目標として具体的に明記している。 一方、諸外国においても子どもを対象とした食育に関 連する各種取組みが実施されており4–8)、著者自身も ヨーロッパ7カ国の学校給食を見学し9)、イギリス、ス ロバキア等で学校給食及び食育に関して現地調査を行っ た経験10)から、諸外国の食育や学校給食の取組みから学 ぶべきことが多いと考えている。本稿は、幼児期からの 環境教育を重視しているスウェーデン11)の学校給食及び 食育について調査を行い、その特徴を明らかにし、日本 の学校給食や食育に資する情報の収集、特に「食の循環 や環境」及び「食文化の継承」に関する資料を得ること を目的として行った。これまで、スウェーデンの食育に 関しては、文献に基づく荒木氏らの1993年の報告12) 内閣府の報告5–7)、田中らの2009年調査の報告13)がある が、幼児期から環境や食文化に注目して具体的事例につ いて詳細に報告されたものはほとんどない。本稿では、 予備調査で行ったホームステイ等、関係する現地滞在中 の観察及び体験についても参考にして報告する。 * 長野県立大学健康発達学部食健康学科

Faculty of Health and Human Development, Department of Food and Health Sciences, The University of Nagano

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2.研究方法 (1) スウェーデンの概要と学校体系 調査対象国のスウェーデンは、面積が日本の約1.2倍 の約450,000万平方キロメートル、2018年11月の人口 は約1,022万人、首都はストックホルムでその人口は約 96万人である(スウェーデン統計庁)。政治体制は立憲 君主制で、1523年にカルマル同盟から離脱し王政が始 まった。言語はスウェーデン語、宗教は福音ルーテル派 が多数である14)。また、世界的にみて福祉水準が高く、 男女平等が進み、環境問題や消費者問題への国民の関心 が高い国として知られている。なお、スウェーデンの移 民・難民政策は、他のヨーロッパ諸国に比べ、より開放 的で平等主義的な性格を有し、これまで数多くの難民を 受け入れた結果15)、ヨーロッパ諸国のなかでも比較的高 い移民人口比率を示しており、2012年の移民人口比率 は20.1%である(スウェーデン統計庁)。 スウェーデンの学校体系16)は、初等・前期中等教育 は7∼15歳の9年間を義務教育と定めており、次いで後 期中等教育が3年間、大学教育準備課程と職業教育課程 に分かれて上級中等学校で行われる。高等教育は、大学 またはカレッジで行われる。就学前教育については 1996年に幼保一元化を実現し17)15歳児を対象とし て就学前学校(以下、プレスクールと記す)、1997年か らは6歳児のための就学前学級が義務教育学校内に設け られ、就学前教育が公的教育体系に位置づけられてい る。また、スウェーデンでは就学前学級から大学まで授 業料が無償12,18)であり、義務教育学校前のプレスクー ルは有料だが、親の年収に応じて大幅に月謝が免除され る。 スウェーデンの特徴として、行政業務の中心がコ ミューンと呼ばれる日本の市町村に相当する地方自治体 (以下、市と記す)に置かれていることが挙げられ、学 校給食を含む教育行政についても市が国の制度や方針の 範囲内で自らの裁量に基づき実施し16)、教育水準を保つ 責任を担っている。 (2) 調査対象と調査方法 現地調査は、ウプサラ市在住の環境教育の専門家 Lena Lindahl氏を調査協力者として、関係資料や情報 の収集及び調査の詳細を決定した。市の学校給食管理運 営責任者にLena氏を通して本調査の目的を理解いただ き了解を得て、市内で標準的な学校給食調理場の紹介を 依頼し、調査対象校を決定した。プレスクールから上級 中等学校まで学校給食が実施されているので、調査対象 をウプサラ市内の公立のプレスクール(以下、Aプレス クールと記す)、義務教育学校(以下、B小・中学校と 記す)、上級中等学校(以下、C高校と記す)と、他の 市の学校給食を見学するため、ウプサラ市に隣接したク ニブスタ市の義務教育学校(以下、D小・中学校と記 す)を調査対象とした。スウェーデンの学年暦は8月か ら翌年5月までの2学期制であるので、予備調査を2017 年7月8日∼15日に行い、本調査を2017年9月8日∼16 日に行った。 ウプサラ市は、ストックホルムから約70 km離れたと ころに位置するスウェーデン第4の都市で、2018年11 月の人口は約22万5千人(スウェーデン統計庁)であ り、1477年に創設された北欧最古のウプサラ大学があ る。 調査の方法は、各学校給食の調理場や食堂での食事の 様子について参与観察を行い、市の学校給食管理運営責 任者(以下、給食管理運営責任者と記す)や、給食調理 場の責任者(以下、給食調理責任者と記す)及び調理員 に聞き取り調査を行った。調査協力者を通して、学校長 に本調査の実施の了解を得て調査を行った。そのほか、 ウプサラ大学の研究者に聞き取り調査を行った。調査 は、英語または通訳を介してスウェーデン語で行った。 スウェーデン語の通訳は、調査協力者に依頼した。 3.研究結果と考察 (1) スウェーデンの学校給食制度について 各種資料5, 6, 12, 19–23)に基づきスウェーデンの学校給食 制度について紹介する。スウェーデンの学校給食の歴史 は、1842年に貧困家庭の児童に寄付金により学校給食 を供給することから始まった5)1937年に議会は学校給 食事業に補助金を交付することを決定し、国家的事業と しての学校給食が開始された。1946年には政府が学校 給食の無償化を実施すること、1966年には市が学校給 食の責任を担うことが決定し12)1973年から義務教育 の児童生徒全員に学校給食が提供されるようになった。 その後、政府は2005年に「健康的な食習慣及び身体活 動の増進のためのアクションプラン」を策定し、基本概 念として「社会は、国民すべての層が健康的な食習慣を 形成できるように組織されるべきである」を定め、関係 する目標を設定した。その目標達成のための実践項目と して、プレスクール、小・中学校及び高校での学校給食 の新たな指標を作成し、普及し、評価することが、国立 食品管理局を実施主体として教育法で提案された。 従来の指標は給食の栄養価が中心であったが、2007 年に学校給食の配送サービスや食事環境、食習慣の形成 や昼食以外の食事内容も含む指針である「プレスクール でのおいしい食事、学校でのおいしい食事」が提案され た。また、それに伴い、市、校長、給食調理責任者、調 理員、教師、売店管理者、生徒会、学童保育、保護者等 の対象別の指針が提案された。さらに、国立食品管理局 により「よりよい学校給食の指針」がスウェーデンの栄

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養勧告に基づき提案され、指針の基準を満たすための学 校給食の準備についてまとめられた。「よりよい学校給 食の指針」は栄養価計算を補助したり、その代わりに利 用できる5)。この指針では、食堂の環境や料理を提供す る順序等についてのアドバイスも行われた。以下に要点 を記載する。 ①給食は、すべての児童生徒が温和に静かに給食を食 べることができるようにアレンジすべきである。給 食の時間は、1日の真ん中頃、早くて11時ごろに設 定する。 ②学校の食堂は、楽しく食べるのに快適な環境を提供 する。環境を整えることで、食事が進み必要な栄養 価をとることができる。 ③児童生徒に野菜をより多く摂取させるために、サラ ダから供給するとよいだろう。野菜類を先に提供す ることで、残りの献立の食も進んだという実例がい くつかある。 ④学校職員、保護者、児童生徒が協力して、「食品グ ループ」、「健康グループ」等を結成し、適切な給食 を全児童生徒に提供できるよう評価・工夫を行う。 なお、市においても学校での取組みを推進するために 食生活政策プログラム推進の指針が以下の通り定められ た6) ①市は、献立の計画と栄養の評価について責任を有す る。 ②学校給食は、栄養評価され、公式の栄養勧告を満た さなければならない。 ③学校給食は11時から13時の間に配給されなければ ならない。 ④学校の食堂は、適切な広さと様式に従わなければな らない。 ⑤市は、加工食品、環境保全に役立つ食品、旬の食品 等の特定の食品の選択と扱いについて指針をもつも のとする。 ⑥調理から配給までの時間をできるだけ短く保ち、味 と栄養を高いレベルに維持するものとする。 ⑦食生活政策プログラムの質評価を継続的に行なうも のとする。 ⑧教師は、勤務時間中に教育上の食事に参加する機会 をもつものとする。 そのほか、スウェーデン農家ユニオンと農家が経営す る食品企業等が主体の学校給食仲間と呼ばれる自主組織 団体が、学校給食を向上させ安全性を保護するために 2000年に結成され、地域ぐるみの取組みを行っている 5)。その取組みの例としては、各学校における学校給食 に関する各種指針についての実施状況をチェックし、以 下に示すチェック項目を一定以上満たした学校に証明書 を発行する学校給食の認証制度を開始している。 学校向け給食認証制度の条件 ①毎日、給食には2種類の献立とベジタリアン向け献 立を提供するものとする。 ②毎週多様な獣鳥肉類を献立に含めるものとする。 ③毎週魚料理を献立に含めるものとする。 ④最低5種類の野菜や生の果物で構成されるサラダ バーを提供する。 ⑤毎日、パン、低脂肪牛乳と水を提供する。 ⑥昼食時間は11時以降に設定する。 ⑦児童生徒が食堂に殺到しないよう食事時間を整備 し、食事時間を十分にとる。 ⑧学校の食堂の環境をよくして、雑音レベルを下げ る。 ⑨調理場の環境を清潔にする厳格な習慣を形成し、食 事は最低60°Cの温度で温める。 ⑩学校に給食委員会を置く。 ⑪児童生徒が給食を実際に食べ、満腹になるようにする。 ⑫学校で菓子類やソーダ類を販売しない。 その後、教育法で2011年に「無償の学校給食」から 「無償であり、栄養価の高い学校給食」にすることが定 められ、一方、インターネットによる学校給食の献立作 成・材料発注等の入力システムが関係者の協力により開 発された。2012年に改訂されたスウェーデンの栄養勧 告及び科学的研究を根拠として、2013年に学校給食栄 養指針の改訂版21)が国立食品管理局から提案され、現 在に至っている。旧指針からの変更ポイントは、食事の 品質について全体的視点からより明確に記載されたこと と、学校給食をどのように評価し記録するかを明らかに したことである。そのほか、「アレルギーと食物過敏症」 や「持続可能な学校給食」の章が新設された。また、新 図1 学校給食の品質モデル 注:学校給食で重要な6領域(栄養面・安全性・お いしさ・持続可能性・楽しさ・教育の一環と しての統合性)をパズルの形で示したモデル (出典:The National Food Agency, Sweden

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指針では、良質な食事は個人によって異なるので、6つ の部分からなるパズルの形で食事モデル21)が示された (図1)。学校給食の1日1食当たりの推奨栄養量の摂取 基準は、1日推奨栄養量の30%を摂取するよう勧告され ている。年齢グループ別の学校給食の1日1食当たりの 摂取基準を表1に示す。 2015年の報告21)によると、スウェーデンでは毎年 2億64万食の学校給食が提供されており、学校給食の 食材料費と人件費と輸送費は毎年1人当たり平均6,400 スウェーデン・クローネ(約89,600円: 三菱UFJ銀行 2015年年間平均TTB値)で、費用は地方税で負担され ており、食材料費は1人1食当たり平均約10スウェーデ ン・クローネ(約140円)と記されている。 (2) 学校給食の現地調査の結果 次にAプレスクール、B及びD小・中学校とC高校で の現地調査の結果を示す。各学校や市の給食関係者への 聞き取り調査の結果も合わせて記載する。写真で学校給 食の実際の様子を紹介する。プライバシーを保護するた め、本稿では人物が撮影されている写真は省いて結果を 示す。 1) Aプレスクールの給食 ウプサラ市内にあるAプレスクールで2日間調査を 行った。Aプレスクールの園児数は144人で、異年齢混 合の4クラスに分けられていた。開園時間は6時頃から 19時頃までで、早朝やお迎えが遅い園児は少なく、早 朝から登園する園児には教室内にある冷蔵庫等にシリア ル、ヨーグルト及びサンドイッチ等の朝食が準備されて おり、お迎えが遅い園児には夕食までの間におなかがす かないように軽食を提供すると回答された。 スウェーデンの学校給食の調理場は2つに大別され、 すべての給食献立の調理を行う調理場(以下、完全調理 場と記す)と、温かいメイン料理やアレルギー等の特別 の配慮が必要な料理を受け取り、サラダーバー等一部の 調理を行う調理場(以下、部分調理場と記す)に分けら れる。 Aプレスクールの給食調理場は完全調理場で、ほかに 1か所の小・中学校へ給食を配送していた。国の指針で 学校給食の料理を提供する完全調理場から配送先の部分 調理場までの移動時間は2時間以内に定められており、 給食を配送する地域が広範囲にならないよう配慮されて いた。 ウプサラ市内の学校給食の献立は、市により統一献立 が提案されており、インターネットを通して人数等必要 情報を入力すると献立作成・材料発注等を行える入力シ ステムが完備されていた。なお、市内で統一された献立 ということで統一献立と記したが、日本の学校給食の通 常1種類の組み合わせの献立とは異なり、カフェテリア 方式で提供する複数の料理の組み合わせの統一献立を示 している。 調査1日目は、ウプサラ市に5台配備されているス クールバスを利用して農村体験7)に出るクラスがあった ので、調理場では最初に携帯用のハンバーガーを調理 し、バスに積み込んだ。スクールバスには、テーブルや 表1 スウェーデンの学校給食における年齢グループ別の推奨栄養量の1日1食当たりの摂取基準 年齢(歳) 6–9 10–12 13–15 16–18 1人1食当たりのエネルギー(kcal) (25–35%)30% (415–580)500 (535–750)645 (610–855)735 (655–920)790 脂質(エネルギーの25–40%)(g) 14–22 18–29 21–33 22–36 飽和脂肪酸(エネルギーの10%)(g) 最大量 6 7 8 9 多価不飽和脂肪酸(エネルギーの5–10%) (g) 3–6 4–7 4–8 4–9 炭水化物(エネルギーの45–60%)(g) 55–73 71–95 81–108 87–116 たんぱく質(エネルギーの10–20%)(g) 12–24 16–32 18–36 19–39 食物繊維(g) 6 8 9 10 ビタミンD(μg) 3.0 3.0 3.0 3.0 ビタミンC(mg) 12 15 23 23 葉酸(μg) 39 60 90 120 鉄(mg) 2.7 3.3 4.5 4.5 食塩(g) 最大量 1.2* 1.8* 1.8* 1.8* *現状では実行が難しいとしても、長期目標にする。ナトリウム0.7gを食塩相当量1.8 gとする。

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文具保管スペース、冷蔵庫や電子レンジ、ミニキッチン も配備されており、給食は冷蔵庫に保管された。日本で もこのようなスクールバスを市等で配備し、幼少期から 国の農業と食品生産を学ぶ機会を地域間や学校間格差な く頻繁に提供するための法制度が整備されるとよいと思 われた。 給食の調理は、スチームコンベクション等加熱温度や 時間を自動制御する大型調理機器を用い、食品内部温度 を示すモニターも整備され、手順よく衛生的に行われて いた。生野菜のサラダは、専用の調理室で機械や手切り で準備され、食物アレルギーのある園児に対しては、代 替食が別室で専用の調理器具により調理されていた。ま た、ベジタリアン用の料理も、毎日、準備されていた。 食材は週2回まとめて配送されると回答された。 クラスは縦割りであったが、午前中の園児の活動はお よそ1∼3歳児と4歳児以上の2つに分かれて行われてお り、4歳児以上のグループを中心に参与観察を行った。 9時半頃、果物を食べる時間があり、順番に園児の希望 を聞いてリンゴか梨を1/2に切って渡し、もらった園児 から食べ始めた。おかわりは自由で、輪になって座って 食べた。食べ終わると園児は、残す部分を教員にみせな がら食べ残しを皿のなかに置いた。教員は、残すことを 注意するより、きれいに食べきっている園児を褒めてい た。ヘタや芯等の食べ残しは、園内のコンポストで堆肥 化していた。 その後園児は昼食まで園庭で活動した。園児の戸外で の1時間ほどの活動量は大きく、給食前に園児が空腹の 状況になっていることが推察された。 11時半頃から園児は各教室で教員と一緒に給食を食 べた。なお、5歳児は、6歳児の就学前学級や小・中学 校で配膳や後片付けを自分で行うことになるので、5歳 児の約半数は交替で専用の食堂を利用してその練習を 行っていた。当日の食事の様子を以下に報告する。 観察日の献立は、白身魚のパン粉焼き、マッシュポテ ト、クネッケブロートknäckebrödと呼ばれるパリッと した歯ごたえが特徴の北欧の伝統的な薄いパン(以下、 クネッケと記す)、バターと野菜サラダで、飲み物は牛 乳または水だった。配膳ワゴンに白身魚のパン粉焼きと マッシュポテトがビュッフェ式に並べられていた。野菜 サラダには季節の野菜を中心に数種類が準備され、テー ブルごとに皿にまとめて盛り付けられていた。食器につ いては、プラスチック製の食器は健康によくないという 情報を重視して、この春からセラミック製に変えたとの ことで、大人と同じ大きさの平皿を使用していた(写 真1)。食具も大人と同じサイズのナイフ、フォークが 提供され、スプーンは必要な時に使うと回答された。 クラス担当の教員の指導の下、園児は順番に配膳ワゴ ンから皿に料理を盛り付けテーブルに運んだ。園児は、 テーブルにもどるとすぐ個々に食べ始めた。飲み物につ いては、園児の希望を聞いて、教員がコップに配ってい た。園児は食事途中で教員から促され、順番に野菜サラ ダをスプーンですくって自分の皿にとり、味を付けない でそのまま食べていた。食事も飲み物もおかわりは自由 で、食事の後半でクネッケとバターがテーブルに出され た。教員がバターをクネッケにのせて園児に渡し、園児 はバターをナイフで広げて食べていた。バターにはビタ ミンDが添加されており、冬季に日照時間が短くなる ためビタミンDの摂取に留意していることが推察され た。教員は、食事中楽しくお話をしながら食べるように 声かけしていたが、うるさいレベルになると注意を与え ていた。著者は、果物を食べた時と同様、食事の最初に 「いただきます」のあいさつがなく、園児がばらばらに 食べ始めるので、知識としては理解しているつもりでも 違和感を覚え、食文化の違いを確認できた。 約40分後に食事は終了し、各自で食器や食具、食べ 残しを配膳ワゴンに返却した。当番の園児がテーブルを 拭き、教員と一緒に配膳ワゴンを調理場へ移動した。お やつは、パンにチーズと野菜をのせたもの等とスムー ジーや果物等で、昼食後から3時までの間に食べること になっていた。 教員の話では、子どもの能力にあわせ、一緒に食べて お手本を示しながら食べ方について教えている。1歳半 にはナイフ、フォークのセッテイングを行わせ、新しい 食べ物を食べるよう勧めること、無理矢理には食べさせ ないこと、ほかの人にも配慮し適量をとって残さないで 済むように食べること、残飯を少なくすることに留意し て食事の指導を行っているとのことだった。また、給食 の食材には、有機食品の利用を心がけていると語られ た。 Aプレスクールの給食の牛乳は1.5%脂肪分の低脂肪 牛乳で、その包装紙容器にスウェーデン語でオーガニッ クを意味する「ekologisk」の略語「eko」と記載されて 写真1 Aプレスクールの給食の盛り付け例

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いた。このekoの表記がついた食品は有機食品を意味し ており、環境に配慮して有機食品を推奨するウプサラ市 の姿勢がうかがわれた。給食の食べ残しも園庭のコンポ ストで堆肥化されており、その堆肥を利用して野菜栽培 が行われていた。幼児期から資源の循環や環境について 考える教育が工夫されている。また、ウプサラ市からの 指示により、現在、プレスクールの給食の週1回は、園 児全員にベジタリアン用の料理を提供することにしてい るが、今後、ベジタリアン用給食を週2回に増やす計画 があると回答された。穀類に比べ、生産エネルギーコス トが高い肉類の摂取の増加は温暖化の原因になると考 え、幼少期から環境に配慮した食事に親しませるため に、ベジタリアン用給食の頻度を増やす予定とのこと だった。ウプサラ市の環境に配慮して献立内容を変更す る施策に、環境を重視し実行する積極的な姿勢を感じ た。 給食に関するプレスクール内の展示については、給食 調理責任者が中心となって、毎月、テーマを決めて行っ ており、今月は緑をテーマにして、緑の野菜や果物の写 真や絵やオブジェが展示されていた。また、5歳児とパ ンやお菓子等、料理を行うイベントを実施することもあ り、園庭のリンゴの木から収穫して、アップルパイを作 ることもあると回答された。 日本の保育園の給食と比較して、顕著に異なるAプ レスクールの給食の特徴として、食の自立と環境に正し い行動を行うために教員が低年齢から園児の能力にあわ せて適切な食べ方を指導することや、ベジタリアン用の 給食が毎食準備されること、そのベジタリアン用の給食 を園児に提供する日が週1日あること等を知ることがで きた。また、果物の廃棄部分や残食を園庭にあるコンポ ストで堆肥化しており、園児の目に見える形で食の循環 と環境について学ぶ機会が提供されていた。食を通して 環境を重視した教育を行っていることが示された。 2) 小・中学校の学校給食 スウェーデンの小・中学校の給食調理場の約30%を 対象として行われた2011年の調査19)によると,完全調 理場が127校(66.5%)、部分調理場が64校(33.5%) であった。ウプサラ市のB小・中学校、クニブスタ市の D小・中学校の順に結果を述べる。 ①ウプサラ市のB小・中学校の給食 ウプサラ市内にあるB小・中学校で2日間調査を行っ た。B小・中学校の給食調理場は、別の5つの学校に配 送する完全調理場であり、1日に約2,000食を調理し、 B小・中学校では就学前学級と小・中学校の児童生徒を 対象に約800∼900食をカフェテリア方式により食堂で 提供していた(写真2)。なお,ウプサラ市内では、現 在、小・中学校に60の給食調理場があり、その半数が 完全調理場、残りの半数が部分調理場との回答だった。 B小・中学校は始業時間が8時で、15∼18時頃に終業 し、朝食や夕食の提供はなく、低学年には給食後3時間 後ぐらいに食堂で軽食が準備されていた。 学校給食は低学年から順に10時半から13時までにク ラスごとに食堂に来て交代で食べることになっており、 クラスが食堂に来る時間は行事等を配慮してあらかじめ 計画されていた。指針等5, 6)では給食開始時刻は11時と 記載されていたが、B小・中学校では開始時刻は10時 半にしており、各小・中学校の現状に応じて運用が可能 であることが推察された。また、低学年では、給食と軽 食で適切な栄養量を摂取できるよう計画しており、食事 間隔を空けるために10時半に開始時刻を決めていると 考えられた。 11時頃にはほとんどのテーブルがいっぱいになり、 食後は使用した食器や食具を下膳場に運んでいた。教員 は学校給食を児童生徒と一緒に食べるが、B小・中学校 では給食費が2種類設定されており、児童生徒に指導を 行いながら食べる場合は給食費の40%負担で、指導を 行わない場合は65%負担に決められていた。すなわち、 給食時間に教員が積極的に児童生徒に学校給食の指導を 行うように公的支援が設定されていた。食事中にうるさ くなってくると「静かに食べましょう」と教員が声をか け、児童生徒はひそひそ声にして静かに食べ始めてい た。また、残食が多い児童生徒がいると、教員がどうし たのか理由を尋ね、少し食べさせた後、片付けさせてい た。 13時∼13時30分には児童生徒は給食を食べ終わり、調 理員により食堂の片付けと低学年用の軽食が準備された。 13時30分頃から6∼9歳児が、クラスごとに食堂に来て軽 食を食べた。軽食には、使い捨て容器の紙皿やプラス チック食器と食具が使用された。軽食の献立は、クネッ ケ、バター、パン、生野菜、果物、キャビア、コーン、カ レーヨーグルト、ケーキ等で、ビュッフェ方式で提供され た。教員が盛り付けを手伝っていた。飲み物は水か牛乳 写真2 B小・中学校食堂の料理提供用配膳台

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で、14時40分頃にはほとんど食べ終わっていた。 献立作成や材料発注等は、プレスクールと同様、ウプ サラ市の入力システムを利用していた。ウプサラ市の給 食用のレシピは1,000以上あり、その統一献立は新聞に も掲載され、1年分をホームページで確認できる。イー スター、クリスマス、ミッドサマー時には行事食が提供 され、ウプサラ市の給食用レシピのなかにスウェーデン の伝統食が含まれていると回答された。 観察した日のB小・中学校の献立は、5種類のメイン 料理とベジタリアン用のメイン料理が1品、そのほか、 丸ごと茹でたジャガイモ、フライドポテト、ロングライ ス の 飯、 茹 で た シ ョ ー ト パ ス タ、 茹 で た ス パ ゲ ッ ティー、調理場で焼いたパンのスライスとサラダバー だった。また、昨日残ったメイン料理も、安全に提供で きる料理は100°Cで30分間加熱して提供していた。温 かい料理を入れる容器の底はお湯で満たされ、温かい温 度で提供していた。サラダバーには、季節の野菜を中心 とする5種類以上の野菜を準備し、夏には多種類の野菜 が利用され、冬には人参、コールラビ、キャベツ、レッ ドキャベツ、ジャガイモが中心に使用される。献立では ベジタリンアン用のメイン料理が必ず1品用意されるこ とになっており、メイン料理は豆類で作ることが多く、 イスラム教徒の児童生徒に配慮し豚肉料理は減らすこと になっていると語られた。人気メニューは、スウェーデ ンの伝統料理のミートボールに加え、ハンバーグ、チキ ンケバブ、ピザ、パンケーキで、豆料理や魚料理は苦手 であり、魚料理ではフライを好むそうである。なお、魚 料理はメイン料理として週1回、オーブン焼きやグラタ ン等にすると回答された。 調理場では、Aプレスクール以上に大型の自動制御の 調理機器を用い複数の大量調理が同時並行して行われて いた。グルテンや乳製品等の食物アレルギーに対して は、牛乳を使わないクレープや小麦粉を使わないパン ケーキ等の代替食を別の調理台で専用の鍋で調理する か、冷凍保管しているものを温めて提供していた。ま た、重篤な食物アレルギーの児童生徒のためには食事用 に別室を準備していた。食物アレルギーについては、医 師による診断書に基づき対応していた。現在、肉、卵、 グルテン、トマト、牛乳、豆のアレルギー症状が認めら れる児童生徒がいると回答された。なお、前日は、 ファーマーの日と呼ばれる農村体験の日のため携帯でき るミートボールのサンドイッチとパスタサラダを作った と回答され、学校行事にあわせた対応も行っていること が示唆された。 給食内容の変化としては、昔はジャガイモ料理が多 かったが約半分の調理量に減り、現在はパスタ料理が増 えた。また、10∼15年前には学校給食にサラダバーは なく、野菜を多く食べるように変化した。また、ス ウェーデンでは移民や難民が増加しており15)B小・中 学校でも移民や難民の児童生徒が増加していることか ら、その好みに配慮した香辛料を用いたサラダやチリ・ コンカン等の辛い料理、青唐辛子のピクルス等の料理が 提供されていた(写真3)。なお、調理員に給食につい て重視していることを尋ねた結果、毎日おいしい食事を 作るように心がけているとの回答が得られた。スウェー デンの学校給食の指針等6)でも、食事モデル(図1)に おいても「おいしい(TASTY)」ことが6つの要素のな かの1つとなっており、移民や難民の児童生徒数が増加 し、社会的経済レベルや宗教や菜食主義等、文化背景が 異なる児童生徒にとって、また、食物アレルギー等の疾 患をもつ児童生徒にとっても、毎日おいしい食事を提供 することが重要視され、無料のカフェテリア方式の学校 給食によってそれが実現されているように考えられた。 また、味見用のスプーンが配膳台の途中に置かれており (写真4)、児童生徒が新しい料理を容易に試食すること ができるように工夫していた。 食堂の壁際には、食塩とコショウ、クネッケ(写 真5)、バターとマーガリンが置かれていて、自由に テーブルに運んで食べていた。食塩とコショウについて 写真3 B小・中学校のサラダバー (青唐辛子のピクルス等) 写真4  B小・中学校の料理提供用配膳台上の味見用スプーン

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は、高学年ではサラダやパスタ、米飯に塩を加えて食べ ることが一部に認められ、コショウも高学年の一部が 使っていた。食事の最後にクネッケにバターをぬって食 べる児童生徒が多く、スウェーデンの食文化であるよう に推察された。なお、容器包装にキーホール・シンボル マークが付いたバターが提供されていた。キーホール・ シンボルマーク表示6)とは、商品を購入するまたは外食 する際に、消費者が健康的な商品を選択できるように、 脂質、糖分や塩分の少ない商品や食物繊維の多い商品を 示す表示で、表示を採用する食品は、国立食品管理局が 定める条件を満たす必要がある。児童生徒にキーホー ル・シンボルマークを周知する工夫がなされていると考 えられた。 飲み物は水及びビタミンA及びビタミンDが添加さ れた脂質0.5%の低脂肪牛乳で、食堂のコーナーにセル フサービス式で提供されていた(写真6)。低学年では 牛乳を飲む者が多いが、高学年では水を飲む者が多かっ た。高学年では皿の上に3∼4種類の料理をたっぷり盛 り付けていたが、20∼30分位で給食を食べ終わってい た。2つの配膳台に分かれて温かい料理が提供されてい たので、児童生徒が料理を皿に盛り付ける時、混雑して 困ることはなかった。サラダバーから野菜を盛り付ける 児童生徒が多く、提供されている料理は少なくなると補 充された。観察日では青唐辛子のピクルスやスイカをと る児童生徒が多く、頻繁に追加されていた。高学年にな るほど1人が食べる量が多いので、補充する頻度が頻繁 になった。各料理の調理量は、嗜好性やそのほかの料理 の内容を考慮して決定されており、最後のグループが食 事をするときでも、ほとんどの料理が十分な量を提供さ れていた。また、児童生徒に予想より好まれ調理量が不 足した場合や、発注や配送のミス等により当初の調理量 では不足した場合のために、短時間で調理できる冷凍食 品が冷凍庫に保管されていると回答された。 食事マナーについては、右手でフォークを使い、ナイ フはクネッケにバターをぬるのに使う児童生徒が多かっ た。移民の児童生徒が多いので食具の使い方の指導は徹 底できないと回答された。 調理場には週1回金曜日に5日分の食材が運ばれるこ とになっており、観察日には大型トラックで大量の食材 が大きな箱に詰められ配達された。量や品質をチェック 後、常温の食品庫や冷凍庫、冷蔵庫に分けて保管され た。なお、食品の保管スペースは広く、大量の食品が保 管されており、金曜日に翌週の材料が配達されるため、 発注ミス等が生じても、対処しやすいことが推察され た。ウプサラ市では、生鮮食品等、できるだけ国内や地 域の食材を使用するようにしている。また、環境への配 慮から、2023年に学校給食の使用食材を100%有機食 品 に 増 や す 目 標 が 設 定 さ れ て お り、 調 理 員 は 全 員 「100%EKO」と記載した帽子を被って調理を行ってい た。ウプサラ市の2017年に購入した食料品の有機食品 割合は41%であり、2018年には50%を目指していると 回答された。 ②クニブスタ市のD小・中学校の学校給食 クニブスタ市内にあるD小・中学校の児童生徒数は 約730人で、その給食調理場は完全調理場であり、隣接 する高校生約100人もD小・中学校の食堂を利用してい た。また、ほかに1か所の小・中学校へ給食を配送して いた。クニブスタ市でも国の指針に基づき統一献立を提 案しており、インターネットで献立作成や材料発注等を 行うシステムを2年前から利用していた。クニブスタ市 では、給食管理運営責任者を定め、複数の学校給食調理 場を管理させていた。D小・中学校では1日のみ調査を 行い、食堂での児童生徒の様子の参与観察と、D小・中 学校担当の給食管理運営責任者とD小・中学校の給食 調理責任者に聞き取り調査を行った。 D小・中学校の学校給食の献立構成も国の指針に従い B小・中学校と同様で、温かいメイン料理、ジャガイモ 料理、米飯、パスタ料理とパン、サラダバー及び飲み物 写真6 B小・中学校の低脂肪乳のサーバー (ekoのマーク付) 写真5 B小・中学校のクネッケ

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で、専用食堂にカフェテリア方式で提供されていた。調 査当日のメニューは、ソーセージ、ミートボール、鶏肉 のオーブン焼き、ソーセージのストロガノフ風、ベジタ リアン用にはトマトと豆のシチュー(写真7)と、ロン グ ラ イ ス の 飯、 茹 で た シ ョ ー ト パ ス タ や ス パ ゲ ッ ティー、ブロッコリーとカリフラワーと人参の温野菜、 ブロッコリーのチーズ焼きとサラダバーで、サラダバー には、人参の千切り、パプリカの乱切り、キュウリのス ライス、キャベツの千切り、玉ねぎのスライスが提供さ れていた。B小・中学校と同様、食堂の壁際にクネッケ とバターとマーガリンが置かれ、飲み物も水または牛乳 がセルフサービスで準備されていた。その他、植物性ミ ルクのオーツミルクやラクトースフリーのミルクも提供 されており、食物アレルギー等の理由で牛乳を飲むこと ができない児童生徒への配慮が行われていた(写真8)。 クニブスタ市では、給食調理責任者と給食管理運営責 任者が協力して給食で提供する新しい料理レシピを開発 していた。D小・中学校の学校給食の給食調理責任者は 2人でそのうちの1人はタイからの移民で、提案したタ イ料理が、D小・中学校の人気の料理になっているとの 話も得られた。給食調理責任者も給食管理運営責任者 も、児童生徒が学校給食の料理を好きになることを重視 していた。すなわち児童生徒の嗜好を考慮した献立に配 慮していた。また、学校給食にテーマを設け、新しい料 理を紹介し、児童生徒と頻繁に会話するよう心がけてい るとのことだった。児童生徒に人気のメニューはパスタ のトマトソース添え、ハンバーガー、ミートボールで、 魚料理は人気がないので、児童生徒の嗜好に合うように 鱈の料理を工夫してメイン料理に加えていると回答され た。男子生徒のロングライスの飯の上にソーセージのス トロガノフ風をかけた盛り付け例を写真で示す(写 真9)。また、珍しい盛り付けとしては、サラダバーか ら人参だけを山盛りにする生徒がいた。 クニブスタ市の小・中学校の給食費は無料だが、実際 には10歳児で1食当たり食材費が10.50スウェーデン・ ク ロ ー ネ、 人 件 費 等 を 加 え る と1食 当 た り29.50ス ウェーデン・クローネが必要で、約36,000人分を市が 負担していると回答された。教員が学校給食を食べるか どうかは自由で、教育的な学校給食を提供するために、 D小・中学校では一緒に学校給食を食べると教員の学校 給食費は校長の裁量により無料にしているとのことだっ た。すなわち、D小・中学校でも学校給食の指導を教員 が積極的に行うよう公的支援が施されていた。食材の購 入には、フェアトレードや有機食品を購入するよう留意 しているが、ウプサラ市の有機食品を100%使用する目 標には反対で、その理由は合理的でない、バランスよく 考えるべきと語られた。食育としては、現在は砂糖を テーマに学ぶ展示や企画等を行っているとのことだっ た。 以上、観察したスウェーデンの小・中学校の学校給食 と日本の学校給食を比較すると、スウェーデンの学校給 食の特徴として、就学前学級及び義務教育期間中の学校 写真7 D小・中学校のトマトと豆のシチュー (ベジタリアン用) 写真8  D小・中学校のオーツミルクと ラクトースフリーのミルク 写真9 D小・中学校の給食の盛り付け例

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給食は無料であること、市が学校給食の管理運営の責任 を負うこと、学校食堂で低学年から順番にカフェテリア 方式でベジタリアン給食を含む2種類以上の献立から選 択して食事をすること、残食を減らし児童生徒の嗜好を 広げる工夫が具体的に実行されていること、教員が学校 給食の指導に積極的に関わる場合に給食費が減免される 公的支援が存在すること、献立作成や材料発注に関して 市単位で統一献立の提案等インターネットを介したシス テムが利用されていること、環境に配慮した食品購入が 行われていることが明らかとなった。 3) 高校の学校給食 ウプサラ市内にあるC高校で1日調査を行い、食堂で の生徒の様子の参与観察と、C高校の給食調理責任者と ウプサラ市の給食管理運営責任者に聞き取り調査を行っ た。C高校の給食調理場は完全調理場で1日2,000食を 調理していた。高校の給食費は国の指針では無料と定め られていないが、多くの市が無料で提供しており、ウプ サラ市でも高校生を対象に無料の給食が提供されてい た。食事時間は10時半から13時頃までで、生徒は友達 と一緒に食堂を訪れカフェテリア方式で食事をしてい た。食事開始時間が指針等5, 6)11時より30分早く設 定されている理由は、生徒の都合に合わせた給食の提供 をより可能にするためと、生徒の食堂への殺到を緩和し 食事時間を十分にとるためと回答された。 献立構成は小・中学校と同様だったが、小・中学校の メニューに比べ、より手間をかけた料理(写真10)が 数多く提供されていた。アレルギー等の専用の料理も配 膳台を別にして準備されていた。飲み物は水及び牛乳が セルフサービスで提供されており、牛乳よりも水を選ぶ 生徒が多かった。レストランの食事に遜色ないおいしさ で、B小・中学校と同様、味見用のスプーンが配膳台の 途中に置かれており、生徒が新しい食材や料理を試食す る機会を通して、いろいろな料理を味わうことができる ようにする工夫が観察された。また、食堂には、「サウ ンドレステーブル」と表示されている静かに食べるス ペースが設けられており、指針等6)が勧める食堂の環境 を整える配慮が実行されていた。 高校での食育に関しては、入学後、調理員が給食につ いて生徒に説明する機会があると回答された。また、体 育の授業で1週間健康日記をつけることになっており、 運動と食事や栄養について学ぶ機会があるとのことだっ た。運動では、サイクリングや水泳が人気で、冬は体育 館で運動する。また、ウプサラ市はサイクリングにベス トな環境が整っていると語られた。 ウプサラ市の学校給食について、給食管理運営責任者 及び調理員から得られた情報をまとめると、1945年に は学校給食を無料と定め、国の指針通り、1日の推奨エ ネルギー摂取量や推奨栄養量の30%を提供できるよう 献立を提案していた。ウプサラ市のMåltidsserviceと呼 ばれる給食調理場の組織は、プレスクール、就学前学 級、小・中学校、高校及び高齢福祉施設を対象として給 食を提供しており、2017年には1日約46,000食を180 の調理場で380人の調理員が調理した。 ウプサラ市では近年児童生徒数が年々増加しており、 2017年には児童生徒数が約2,800人増加する等、新し い調理場の建設が必要となっている。現在180の調理場 の約半数が完全調理場であり、さらに完全調理場を新し く建設する予定である。なお、私立学校は、ケータリン グを利用している。 前述のとおり、環境に配慮した食事に親しませるため に、週に1度木曜にベジタリアン用の食事のみを提供し ている。一方、ベジタリアンやビーガン(VEGAN)の 児童生徒が増加する傾向にあり、その理由として、宗教 や動物愛護の精神や環境を重んじるから、肉の味が嫌い だから等の理由が語られた。また、ベジタリアンやビー ガンになるのは、低学年の時は親からの影響で、中学生 頃になると本人が決めるようになる。ビーガンはビタミ ンB12等の摂取不足が懸念されるので推奨できないと考 え、保護者を指導していると回答された。 環境への配慮としては、給食による生ゴミはバイオガ スの燃料にリサイクルしている。給食用の食器は、プラ スチックの食器の使用が減り、磁器を使うところが増え ている。食材の購入については、地域の生産者に学校給 食にふさわしい食材を生産してもらうように要求する機 会があり、条件をつけて地元のものを購入するようにし ている。また、ウプサラ市では、前述のとおり、2023 年に学校給食の使用食材を100%有機食品に増やす目標 を設定しており、有機食品を多く使用するように心がけ ている。 (3) ウプサラ大学の研究者への聞き取り調査 スウェーデンの学校給食の研究者の1人であるウプサ 写真10 C高校のパスタ料理とメイン料理の一部

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ラ大学食品栄養・食事療法学部のクリチーネ・パーショ ン=オソウスキ准教授に聞き取り調査を行った。准教授 の話では、スウェーデンの学校給食は大都市における貧 困児童の低栄養問題を解決するために始まり、次第に一 般児童にも普及した。学校給食に関する2003年の調査 22)や国の調査により、摂取エネルギーの過剰による肥満 の増加、砂糖や食塩や飽和脂肪酸の過剰摂取が明らかと なった。その原因として加工食品や高脂肪の乳製品の過 剰摂取が考えられ、2012年に国の指針が見直しされた。 学校給食4週間分の献立で栄養計算を行い、学校給食は 脂質の質と量、食塩や砂糖の摂取量に留意し、栄養必要 量の30%を確保でき、内容が教育的なものであるべき と定められたと語られた。小・中学校及び高校の牛乳は 脂質0.5%の低脂肪乳が提供され、ヨーグルト等の乳製 品も低脂肪の製品が用いられているとのことだった。ま た、キーホール・シンボル表示の食品の購入を心がけて いるそうである。 給食の費用が高くなっても保護者負担にならないの で、児童生徒の好みにあわせて注文できるレストランと 同じように考えている保護者が多く、保護者からは給食 の味への不満が市に多く寄せられていると語られた。児 童生徒に好まれる現在の料理は、給食関係者の話と同様 で、ジャガイモ料理よりもパスタ料理であった。また、 スウェーデンの伝統料理であるミートボールは現在でも 人気で、ソーセージ等肉料理が好まれるとのことだっ た。ジャガイモにはいろいろな種類があり、児童生徒に 人気のジャガイモ料理をもっと工夫し、学校給食でおい しく提供したいと語られた。なお、食事時間については 20分間では短く、もっと時間が必要と考えているとの ことだった。また、准教授の研究23, 24)において、学校 給食を食べていない児童生徒は、それが原因で摂取エネ ルギーや栄養摂取不足をきたしていることが明らかと なっており, 学校給食による栄養摂取が児童生徒の健全 な発育に重要であることが指摘されている。 4.まとめ スウェーデンでは、プレスクールから高校までの期間 で学校給食が提供されており、国の指針の下、市ごとに 運営・管理され、就学前学級及び義務教育期間には無料 で提供されていた。観察した2つの市では、インター ネットを利用して給食の献立作成や材料発注等を行うシ ステムを構築していた。システムでは国の指針に従った 統一献立が提案されており、各調理場はその統一献立を 基本として各学校規模によって献立を作成し、システム を利用して学校給食を運営していた。国の指針は、栄養 面だけでなく給食を提供する食環境面等にも配慮した具 体的な内容であり、おいしく良質の学校給食が実現され るように工夫されてきたことが推察された。 スウェーデンの学校給食は、食堂でのカフェテリア方 式での食事の提供が最も一般的で、移民や難民の児童生 徒やベジタリアン、食物アレルギー等に配慮した料理の 提供が指針において重視され、一般の児童生徒用の献立 とベジタリアン用の献立の少なくとも2種類以上の献立 が毎食提供されている。その基本献立は、温かいメイン 料理+ジャガイモ料理、米飯、パスタ料理やパン等+サ ラダバー+水か牛乳等の飲み物で、味見用のスプーンに より児童生徒に食経験を広げる等の工夫が行われてい た。児童生徒が選ぶ食事内容は個人により異なり、栄養 のバランスから考えると問題のある選択を行っている児 童生徒も観察された。しかし、給食時の教員の指導の 下、栄養バランスのとれた料理の選び方や適量を児童生 徒が日々の給食を通して習得する力の育成を目指してい る21)スウェーデンの学校給食から日本の学校給食が学 ぶことは多々あると思われた。 「食の循環や環境を意識した食育」に関して観察され た主な内容としてウプサラ市では、まず、カフェテリア 方式の給食で適量をとることを5歳児から指導する等、 幼児期から環境を意識した食育が行われ、残食を減らす ため前日残ったおかずも温め直して使用する等、合理的 に運営されていた。また、プレスクールでは給食の生ゴ ミが園庭のコンポストで堆肥化されており、小・中学校 や高校で生ゴミはバイオエネルギーにリサイクルされて 公共バスの燃料に使用され、市所有の公共バスを利用し て自然農業体験学習が定期的に行われていた11)。牛乳の 包装紙容器やミルクサーバーには「eko」の記載があり、 園児及び児童生徒に有機食品の牛乳が提供されているこ とがわかるように工夫されていた。ミルクサーバーによ る牛乳の提供は、食品廃棄が少ない環境に配慮した提供 方法であり、日本でも特に小学校低学年の牛乳提供の方 法として検討してはどうかと思われた。 また、環境に配慮した食事に親しませるためにベジタ リアン用給食の日を週1回実施しており、プレスクール においては今後週2回に増やす計画が検討されている。 環境への配慮から学校給食で使用する有機食品の割合を 増やす目標を設定しており、目に見える形で食の循環と 環境に正しい行動について意識した食育が行われてい た。 スウェーデンには持続可能な食品消費を推進するリー ソース・センターであるエコマットセンター( Ekomat-centrum)がある。エコマットセンターは、気候、環境 及び生態学を重要な要素とし食料と持続可能性の問題に 取り組むCOE(センター・オブ・エクセレンス)で、 農家、加工会社、卸売業者、飲食店、市、消費者等、関 係者のネットワークでもあり、政治的決定に影響を与え るロビー活動も行っている。 そのエコマットセンターが、毎年、有機食品の購入量

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に基づくランキングを行っている。スウェーデンの地方 ブロック単位、都道府県単位及び市単位でランキングを 行い、環境に正しい行動を目に見える形で示している。 ランキングに参加するには条件が定められており、 2018年のランキング対象は2017年の有機食品の購入量 が35%以上であった。ウプサラ市は2017年の購入量が 41%であったので、ランキングに参加することができ た。スコーネ地方にあるヴェリンゲ市では、2015年に もうすでに購入量72%を達成している。このようなラ ンキングが学校給食の有機食品の購入量に影響を与えて おり、地域さらには国全体としても有機食品を購入する 強いインセンティブになっていることが示唆された。日 本では、「第3次食育推進基本計画」3)において「学校給 食における地場産物等を使用する割合を増やす」が目標 として明記されているが、市町村単位で地場産物等を使 用する割合のランキングを行うような非営利団体はな い。日本でも、学校給食さらには地域の消費者に対し地 場産物を購入する強いインセンティブとなる取組みを非 営利団体等と協力して検討するとよいと思われた。 「食文化の継承」に関しては、主な年中行事の時には 学校給食において行事食が提供されており、ウプサラ市 の給食用レシピのなかにはスウェーデンの伝統食が含ま れ、クネッケも常に提供されていた。スウェーデンで伝 統的に食べられてきたジャガイモ料理が好まれなくなっ ており12)、学校給食において児童生徒の嗜好を考慮し工 夫したジャガイモ料理を提供することによって、もっと 食べる機会を増やしたいとの話が複数得られ、伝統的な 食材を重視している様子がうかがわれた。また、児童生 徒が学校給食をおいしく食べることができるように、移 民や難民の児童生徒の出身の食文化を考慮した料理やピ ザ、パスタ料理等、児童生徒に人気の料理も学校給食で 出されていた。スウェーデンの学校給食では基本的には スウェーデンで日常的に食べられている料理が提供され 選択されているので、食文化の継承が学校給食を通して 行われていると考えられる。それに加えて、多様な食文 化を背景とする食事が提供されるようになっている。な お、移民や難民の児童生徒は、青唐辛子のピクルス等、 出身国の料理を選んでおり、クネッケを食べている様子 は観察されなかった。一方、D小・中学校ではタイ出身 の給食調理責任者の影響でタイ料理が人気料理になって いるという話も得られていることから、教員や調理員に よる児童生徒への味見用スプーン等を利用した働きかけ が、児童生徒の食経験や食嗜好を広げ、学校給食におけ る食文化の継承や新たな創造に繋がる可能性が考えられ た。 その他、牛乳については、観察した小・中学校及び高 校の学校給食の牛乳の脂質は0.5%であった。筆者が ヨーロッパで見学した学校給食でも、低脂肪牛乳が提供 されていた9,10)。日本の学校給食では低脂肪の牛乳を提 供していないが、学校給食摂取基準を充足するため、牛 乳の脂質含量は給食で提供できる他の料理の脂質含量に 影響することから、総合的に学校給食の牛乳の脂質量に ついて検討を始めることが必要ではないかと思われた。 また、日本の学校給食は義務教育期間でも有料であ り、「第3次食育推進基本計画」3)において「中学校にお ける学校給食の実施率を上げる」を目標としている。児 童生徒の食育推進における学校給食の重要性に鑑み、義 務教育期間中の学校給食費に対する補助金の増額や無償 化を一層進めるべきだと思われた。 なお、予備調査で大学生の話では、スウェーデンでは 生鮮食品や主食のパンの税金が安く、一方、惣菜等の中 食や外食には税金が高く課せられており、男女に関係な くキーホール・シンボル表示を参考にして食品材料を購 入し、自分で調理して食べることが一般的であるとのこ とだった。大学生の調理へのインセンティブが食料品、 外食や中食への課税のあり方で、明らかに異なる様子を 見聞きして、環境教育はもとより、次世代の食の自立の ためにも日本でも見習うことがスウェーデンの食にある ように思われた。 今回の調査では、スウェーデンの学校給食の大都市と 地方による違いの有無や、市による違い、北部と南部間 の地域性の有無等について、詳細な情報を収集すること ができず検討できなかったので今後の課題としたい。今 後も、国内外の学校給食や現地調査を通して資料収集を 継続して行い、学校給食や食育のあり方、また、食事の あり方について考えていきたい。 謝 辞 本研究はJSPS科研費 JP16K00938の助成を受けたも のです。ここに付記し謝意を表します。調査にご協力い ただきましたスウェーデンのプレスクールÅrstaparkens

förskola、義務教育学校(Alsike skola及びGränby

sko-lan)、Rosendals gymnasium上級中等学校の関係者の皆

様、ウプサラ大学准教授Christine Persson Osowski氏、 調 査 の 実 施 に あ た り ご 助 言 い た だ き ま し た、Lena Lindahl氏に心より厚くお礼申し上げます。 参考文献 1) 農林水産省ホームページ: 食育基本法 前文(2005年 6月17日 法 律 第63号)〔https://www.mhlw.go.jp/file/ 06-Seisakujouhou-10900000.../0000129496.pdf〕(最 終閲覧日:2019年7月11日) 2) 農 林 水 産 省 ホ ー ム ペ ー ジ: 平 成29年 度 食 育 白 書 (2018年5月29日 公 表)〔http://www.maff.go.jp/j/syo kuiku/wpaper/h29_index.html〕(最終閲覧日:2019年

(13)

3月31日) 3) 農林水産省ホームページ: 第3次食育推進基本計画 (2005年6月17日 法 律 第63号)〔http://www.maff.go. jp/j/syokuiku/pdf/kihonho_28.pdf〕(最 終 閲 覧 日: 2019年7月11日) 4) 宮本孝正・森田倫子・戸田典子・藤田健一・伊藤り さ・恩田裕之: 欧米の食育事情、『調査と情報 第450 号』、国立国会図書館(2004) 5) 内閣府ホームページ:「諸外国における食育推進政策に 関する調査報告書」(2007年3月)第10章 スウェー デン、166–179頁(2007)http://warp.da.ndl.go.jp/info: ndljp/pid/9929094/www8.cao.go.jp/syokuiku/more/ research/foreign/h19-1/index.html(最終閲覧日:2019 年3月31日) 6) 内閣府ホームページ:「諸外国における食育実践プログ ラムに関する調査報告書』(2008年10月)、第7章 ス ウ ェ ー デ ン、129–138頁(2008)http://warp.da.ndl. go.jp/info:ndljp/pid/9929094/www8.cao.go.jp/syokuiku/ more/research/foreign/h20-1/index.html(最終閲覧日: 2019年3月31日) 7) 内閣府ホームページ:「諸外国における民間活力を生か した食育実践プログラムに関する調査報告書」、第7章  スウェーデン、162–180頁(2008)http://warp.da.ndl. go.jp/info:ndljp/pid/9929094/www8.cao.go.jp/syokui ku/more/research/foreign/h20-2/index.html(最終閲覧 日:2019年3月31日) 8) 国立国会図書館ホームページ:『食育白書、平成20年度 版』、 内 閣 府、92–96頁(2008)http://dl.ndl.go.jp/info: ndljp/pid/2942909(最終閲覧日:2019年3月31日) 9) 中澤弥子:「ヨーロッパ7か国の学校給食―食育及び食 文化の視点から―」、長野県短期大学紀要、第70号、 61–74頁(2016) 10) 中澤弥子:「スロバキアの学校給食」、会誌食文化研究、 No. 13, 31–42頁(2017) 11) 槇村久子:「スウェーデンの環境教育に見る多様な主体 と協働」、京都女子大学現代社会研究、第6号、5–17 頁(2004) 12) 荒木慎一郎、川口仁志:「国際的視野から見た学校給食 制度: スウェーデンを事例として」、九州産業大学教 養部紀要、29巻3号、1–15頁(1993) 13) 田中 舞、河村美穂:「スウェーデンの食育―長期的視 野に立つ取組みとその実態―」、埼玉大学紀要 教育 学部、59巻2号、45–58頁(2010) 14) 外務省ホームページ: スウェーデン王国、国・地域の 一 般 事 情(2019年1月31日更新情報) https://www. mofa.go.jp/mofaj/area/sweden/data.html#section1(最 終 閲覧日:2019年3月31日) 15) 挽地康彦:「スウェーデンにおける移民統合のパラドク ス」、 和 光 大 学 現 代 人 間 学 部 紀 要、8巻、39–51頁 (2015) 16) 文部科学省ホームページ: 世界の学校体系(欧州)ス ウェーデン王国(2017年10月登録情報)http://www. mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/attach/1396864. htm (最終閲覧日:2019年3月31日) 17) 倉田節子:「スウェーデンのプレスクールにおける幼児 教育・保育」、ヒューマンケア研究学会誌、第4巻2 号、47–50頁(2013) 18) テニテオホームページ: スウェーデンの幼児教育を知 ろう!日本との教育の違いと教育方法、https://teniteo. jp/c01/m004/SHgC0(最終閲覧日:2019年3月31日) 19) Emma Patterson & Liselotte Schäfer Elinder: Improve-ments in school mealquality in Sweden after the intro-duction of new legislation̶A 2-year follow-up, Euro-pean Journal of Public Health, Vol. 25, No. 4, pp. 655–660 (2014)

20) The National Food Agency, Sweden: Good school meals. Guidelines for primary Schools, secondary schools and youth recreation centres. Uppsala (2013) http://www.slv.se/upload/dokument/mat/mat_skola/ Good_school_meals.pdf(最終閲覧日:2019年3月31 日)

21) The National Food Agency, Sweden: School lunches, Uppsala (2015) https://www.livsmedelsverket.se/en/ food-habits-health-and-environment/maltider-i-vard-skola-och-omsorg/skola(最終閲覧日:2019年3月31 日)

22) Enghardt Barbieri H., Pearson M., & Becker W.: Riks-maten barn 2003: livsmedelsoch näringsintag bland barn i Sverige [Riksmaten children 2003: dietary hab-its and nutrient intake in Swedish children]. Uppsala, Sweden. (In Swedish): National Food Administration (2006)

23) Persson Osowski, C., Lindroos, A., Enghardt Barbieri, H., & Becker, W.: The contribution of school meals to energy and nutrient intake of Swedish children in rela-tion to dietary guidelines. Food & Nutrirela-tion Research, 59, pp. 3–9 (2015)

24) Persson Osowski, C., Wulf Becker, Enghardt Barbieri, H. & Karin Lindroos: A. Energy and nutrient intakes of Swedish children in relation to consumption of and habits associated with school lunch. Scandinavian Journal of Public Health, 45, pp. 3–9 (2017)

参照

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