第2学年〇組 数学科学習指導案
指導者 1.単元 平行と合同 2.指導観 ○ 図形に関する学問としての起源は古代エジプトであるといわれている。ナイル川の氾濫により土 地の測量が必要となり、人々が生活する上での大切なものとして幾何学が生まれた。やがてギリシ ャ人の手により学問としての幾何学が論理的に構成され、紀元前 800 年頃にユークリッドの名のも とに「原論」として集大成された。「原論」では最初に概念を明確に規定するために 23 個の用語の 「定義」を与え、筋道立てて説明することによって図形の性質を解明していくという学問的方法を 確立させている。このように図形を学習することは、その図形の中に潜む性質や特徴などについて 定義をもとに根拠を明らかにしながら考察していくことができ、論理的な思考力を養う上で大変意 義のあることである。 小学校では、具体物を用いる等の算数的活動を通して、図形について基礎的なことを学んできて いる。また、中学校1年「平面図形」では、垂線のひきかたや線分の垂直二等分線をひくこと、角 を二等分することなどの基本的な作図のしかたや、平行・回転・対称移動の知識や図形の性質を説 明することについて学習してきている。これらの既習事項は、多角形の内角の和を求める問題や対 頂角と平行線の同位角・錯角の性質と条件及び三角形の合同条件を考えることに深く関わってくる。 本単元では、三角形や四角形などの多角形の角の大きさについての性質を、論理的に筋道を立て た推論を行って調べ、その推論の過程を自分の言葉で他者に伝わるように分かりやすく表現できる ようにすることをねらいとしている。このような学習を通して、文章や図から必要な情報を読み解 く力、考える力を身につけさせたい。 ○ 今年度4月に行われた学力診断テストの結果では、学年全体では「図形」の正答率○%、本学級 では○%であった。これらの結果から、図形の問題が苦手な生徒が多いものととらえる。図形にま ったく興味がないわけではなく、問題を解けるようになりたいと考える生徒も多くいることも事実 である。しかし、生徒の「考える力」や問題文の中にある文章や図を「読み解く力」が非常に低く、 前回の学力診断テストの文章問題についての正答率は○%を下回る結果となっている。このように、 ことばを理解したり伝えたりすることが苦手な生徒が多数在籍している。そのためにも、問題解決 にあたって数学的な用語や表現を用いて相手にうまく伝える力や、理解する力を身につけさせるこ とが重要だと考える。 ○ 指導にあたっては、次の2点を工夫点とする。1次では、自分の考えや思考の過程や判断などを 表現する場面において、数学的な表現や用語の活用を促すことである。そのような自分の考えの根 拠が分かるように説明する場面では、既習事項を学習プリント、教科書を活用して振り返るような 活動を設けたいと考える。2次では、ペアやグループ、全体など、学習形態を変えながら、他者と の伝え合いを通して、様々なものの見方・考え方に触れさせ考え方の共通点や相違点に着目し話し 合わせることである。図形に対して苦手意識を持つ生徒にとっても、「色々な考え方があるんだ」と いう意識を持たせることで、「自分も考えてみよう」という意欲を喚起させることにもつながると 考える。また、全体の場で発表させ、多様な解決方法について、それぞれの根拠を明らかにしなが ら説明したり、他者の考えを読み取って説明したりすることで、数学的な見方や考え方を身につけ ることにもつながると考える。これらの活動を通して、図形の性質などを見いだし、それを根拠を 明らかにして説明する力を育み、数学的な用語を用い表現する力を育んでいきたい。 3.目標 ○ 数学的に考え表現することに関心をもち、意欲的に問題解決に取り組もうとしている。(関) ○ 数学的な推論の方法を用いて論理的に考察し表現したり、考えを深めたりすることができる。(見) ○ 平行線の性質、三角形の角についての性質、三角形の合同条件などを数学の用語や記号を用いて 簡潔に表現することができる。(技) ○ 平行線の性質、三角形の角についての性質、三角形の合同条件、証明の意味及びその方法などを 理解し、知識を身につけている。(知)4.指導計画と評価規準(全12時間) 次 学習活動・内容 指導上の留意点 主な評価規準 第 1 次 ( 2 ) 1 図形に親しみを持ち、平 行であることや図形の合同 を示す方法について、関心 を高める。 ・対頂角の性質 ・平行線と同位角の関係 ・平行線と錯角の関係 ○ 対頂角、同位角、錯角は、 交わってできる角の位置関 係を示す用語であることを 確認する。 ○ 生徒の興味・関心を高め るため、折りたたみ椅子や はさみなど、身近にあるも のを使って活動を行う。 ・ 数学的に考え表現するこ とに関心をもち、意欲的に 問題解決に取り組もうとし ている。(関) ・ 対頂角、同位角、錯角の意 味と性質を理解している。 (知) 第 2 次 ( 4 ) 2 平行線の性質や平行線に なる条件をもとに、新たな 性質を見いだす。 ・三角形の内角の和 ・三角形の1つの外角は、その となりにない2つの内角の 和である ・角の分類、三角形の分類 3 多角形の内角の和の求め 方を説明する。 ・四角形の内角の和 ・多角形の内角の和 ・多角形の外角の和 4 星 形 の 先 端 の 角 の 和 が 180°であることを説明す る。【本時4/4】 ○ 論理的に正しく説明する 力をつけるため、個人でそ れぞれ考えたあと、グルー プで話し合う活動を行う。 ○ 解きやすさについて3つ の式を比較し、話し合う活 動を行う。 〇 効率よく多角形の外角の 和を求めるため、内角の和 の 求 め 方 の 振 り 返 り を 行 う。 〇 既習事項をもとに、凹四 角形の内角、外角について 考え説明する活動を行う。 〇 星形の先端の角の和の求 め 方 を 考 え さ せ 交 流 さ せ る。 ・ 多角形の内角の和を求め る方法を、三角形の内角の 和に帰着させるなど、既習 の学習内容をもとに考えよ うとする。(見) ・ 前時で習った内容を使い、 内角の和考え、求めようと している。(関) ・ 前時で習った内容を使い、 外角の和が 360°であるこ とを考え、求めようとして いる。(関) ・ 角を求めるために、補助線 のひき方を工夫している。 (見) ・ 様々な解き方を、数学の用 語や記号を用いて簡潔に表 現することができる。(見) 第 3 次 ( 3 ) 5 合同な三角形をかくため に必要な条件を見いだす。 ・合同な図形の性質 ・三角形の合同条件 6 筋道立てて説明する方法 を考える。 ・証明の意味と必要性 ・仮定と結論の意味 ・証明の仕組み ・証明の根拠となることがら ○ 既習の「合同」の定義を、 あらためて押さえる。 ○ ≡と=の「ちがい」を発表 させることで、合同につい て の 理 解 を 更 に 深 め さ せ る。 ○ 1年で習った角の二等分 線の作図を振り返り、前時 で習った「仮定」と「結論」 が ど の 部 分 に あ た る の か を、確認しながら活動を行 う。 ・ 2つの三角形が合同であ ること、辺や角の関係など について記号を用いて表し たり、意味を読み取ったり することができる。(技) ・ 命題の仮定や結論などに ついて記号を用いて表した り、その意味を読み取った りすることができる。(技) ・ 三角形の合同条件を用い て、角を二等分する作図が 正しいかどうかを考えるこ とができる。(見) 第 4 次 ( 3 ) 7 様々な問題に取り組む。 ・角度の大きさを求める ・証明問題 (4章基本の確かめと章末問 題) ○ 段階的にかけるように、 証明の根拠となることがら が何かを確認しながら解か せる。 ○既習事項である証明の組み 立て方を押さえながら解か せる。 ・ 証明のための構想や方針 の必要性と意味を理解して いる。(知) ・ 根拠となる事柄を明らか にし、筋道立てて結論を導 くにはどうすればよいかを 考えることができる。(見)
5.本時 (1)日時 (2)主眼 星形の先端にできる角の和が 180°になることを、既習事項に帰着して考え、よりよい説明の仕 方を話し合う活動を通して、筋道立てて説明することができる。【数学的な見方や考え方】 (3)授業仮説 以下の手立てを講じれば、生徒は既習事項を根拠として、筋道立てて説明することができるだろう。 【問いづくり】 課題解決に向けて、基本の性質が必要であると見通しをもつために、星形の先 端にできる角の和が 180°になることを操作により提示し、図形の角の大きさに 着目させ、これまで学習した角についての基本の性質を掲示する。 【思考づくり】 星形の先端の角の和が 180°であることを三角形の内角と外角の性質を使っ て説明できるように、赤と青の補助線を引いた星形をスクリーンに提示し、ワー クシートには説明に必要な既習事項と説明を書く欄を設ける。(かく活動1) 数学の用語や記号を用いた説明になるように、個人で書いた説明を比較しな がら、よりよい説明をつくる場を設定する。(話し合う活動) 個人で数学の用語や記号を用いた説明がかけるように、三角形の外角の性質 を使った説明を参考にして、違う性質を使った説明を考える場を設定する。(か く活動2) 【価値づくり】 本時学習の価値を自覚できるように、既習事項や記号を用いて説明したこと (内容)や、1つの図形でも様々な見方で考え説明することができること(方 法)を賞賛する。 (4)観点について 目的 観点 方法 かく活動1 三角形の外角の性質を 用 い て 先 端 の 角 の 和 が 180° であ るこ と を説 明 するため。 ・ 図形の見方 ・ 角の表し方 ・ 既習事項の用い方 ・ 考えた順序 ・ 提示された既習事項 からの選択 ・ 提示された補助線と 既習事項をつなぐ。 話し合う活動 よりよい説明の方法を 考えるため。 ・ 説明のわかりやすさ ・ 数学用語、記号の使用 ・ 互いの説明の比較 ・ 筋道を立てて説明す るワークシートへの記 入 かく活動2 完成した説明を参考に して、違った見方で考え、 説明するため。 ・ 図形の見方 ・ 説明のわかりやすさ ・ 数学用語、記号の使用 ・ 提示された既習事項 からの選択 ・ 学習プリントの完成 した説明との比較 (5)準備 既習事項カード、学習プリント、スクリーン、プロジェクター、パソコン、ヒントカード
(6)展開 段階 学習活動・内容 指導上の留意点 ◆評価 形態 配時 導 入 / 展 開 1.本時の課題を知り、めあてをつか む。 (1) 本時の課題を知る。 先端にできる5つの角の和は 何度になるでしょう。 (2) 前時までの内容を復習する。 ・対頂角の性質 ・平行線と同位角、錯角 ・三角形の内角、外角の性質 ・凹四角形の角 (3) めあてをつかむ。 2.三角形の外角の性質を使った説明 を考える。 (1) 個人で考える。 (2) グループで、よりよい説明の仕 方を考える。 ・ 先端の5つの角の和が180°である ことを操作によって確認し、操作や実測 ではなく既習を使うと説明できることを 伝える。 ・ 既習事項をカードで確認する。 ・ カードを黒板に掲示し、確認しやすいよ うにする。 ・ 既習である「三角形の内角と外角の性 質」を使えば説明できるという見通しを もたせるために、色のついた図形をスク リーンで提示する。 ・ 既習である「三角形の内角の和」を使え ば180°であることが説明できるとい う見通しをもたせるために、∠xと∠y を図に示す。 ・ 個人での考えが進まない生徒にはヒン トカードを渡し支援する。 ・ 説明をよりよくするために、互いの説明 を比較し修正していくよう指示する。 一斉 一斉 個 班 5 5 5 5 【めあて】星形の先端にできる5つの角の和の大きさが180°になることを、 これまでに学習したことを使って説明しよう。 【予想される生徒の答え】 三角形の内角と外角の性質を使って ∠x=∠a+∠d ∠y=∠c+∠e 三角形の内角の和は 180°を使って ∠x+∠y+∠b=180° ∠a+∠b+∠c+∠d+∠e=180°
x
y
展 開 / 終 末 (3) できた説明を発表する。 3.完成した説明を参考にして、適用 問題を解く。 (1) 個人で解く。 【パターンB】 【パターンC】 (2) 説明をそれぞれ1名が発表し、 確認する。 4.本時の学習を振り返る。 *他のグループの考えを聞いて、気 がついたこと、考えたことを書く。 ・ 発表しやすいように、色付きの図を黒 板に掲示する。 ・ 発表の説明をもとに、習ったことや記 号を使うと伝わりやすくなることを押さ える。 ・ スクリーンに B と C の図を写し、どち らのほうが考えやすいか選択させ、その 考え方を学習プリントにまとめさせる。 ・ 1つのパターンが解けた生徒には、もう 1つのパターンについても考えさせる。 ・ なかなか進まない生徒にはヒントカー ドを提示する。 ◆ 既習事項や数学の記号を使って、星形 の先端の角の和が 180°であることを説 明することができる。〔観察・ワークシー ト〕 ・ 発表しやすいように、色付きの図を黒板 に掲示する。 一斉 個 一斉 一斉 10 10 5 5 【まとめ】1つの図形で、補助線のかき方によって違った見方ができ、 これまでに習った図形の性質を使って説明できる。 へこみのある四角形の外角と内角の性質を使って、∠x=∠a+∠c+∠d 対頂角の性質を使って ∠x=∠y 三角形の内角の和は180°だから ∠b+∠y+∠e=180° よって ∠a+∠b+∠c+∠d+∠e=180° 対頂角は等しいから赤い2つの三角形で、∠b+∠e=∠x+∠y 三角形の内角の和は180°だから、 ∠a+∠c+∠x+∠y+∠d=180° よって ∠a+∠b+∠c+∠d+∠e=180° x y x