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日本人におけるシスタチオニンβ合成酵素欠損症の遺伝子解析

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Academic year: 2021

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全文

(1)

日本人におけるシスタチオニンβ合成酵素欠損症の

遺伝子解析

著者

勝島 史夫

3380

発行年

2006

URL

http://hdl.handle.net/10097/23006

(2)

氏名(本籍)

学位の種類

学位記番号

学位授与年月日

学位授与の条件

最終学歴

学位論文題目

カヤつしまノシみお

勝島史夫(宮城県)

博士(医学)

医第3380号

平成18年3月1日

学位規則第4条第2項該当

平成5年3月31日

弘前大学医学部卒業

日本人におけるシスタチオニンβ合成酵素欠損症

の遺伝子解析

論文審査委員

(主査)

教授土屋

教授林

滋富

教授松原洋一

一529一

一塞_

(3)

論文内容要旨

目的

シスタチオニンβ合成酵素(以下CBS)欠損症は常染色体劣性遺伝形式をとる先天性含硫ア ミノ酸代謝異常症であり,ホモシスチン尿症の原因の殆どを占める。無治療では知能障害,水晶 体脱臼,血栓症などを生じるが一部に大量のビタミンB6にて症状の改善するビタミンB6反応 型が存在する。CBSは1サブユニットが551のアミノ酸よりなる4量体を形成する蛋白で,その 遺伝子解析は欧米人を中心になされており,既に130個以上もの病因変異が報告され,高頻度変 異としてビタミンB6反応性を示す1278Tの他,B6不応性を示すG307S,IVS11-2A〉C, T191Mが知られている。しかし日本人をはじめ,非欧米人において充分な検討はなされていな い。本研究は日本人におけるCBS欠損症の遺伝子変異を解析し高頻度変異の存在,B6反応性 の変異の有無などの詳細を調べることを目的とした。

方法

12家系13症例について解析を行った。株化した細胞もしくは末梢血細胞を検体とし,mRNA を抽出しRT-PCR法により作成したcDNAもしくは直接抽出したゲノムDNAのダイレクトシー クエンスを行った。検出された変異をPCR一制限酵素法を用いてゲノムDNAで確認した。現在 まで発現実験の報告のないR121H,G149R,G151R,S217F,H232D,R266G,K441X, 1591delTTCGについて発現実験により病因変異であることの確認を行った。まず既報のプラス ミドpKK388.1に野生型cDNA全長をサブクローニングしたものに,各々の変異を導入した。 次にこの変異プラスミドをE.coliXL-IBlueCellsに導入(トランスフォーメーション)し,

培養後細胞破砕上清を用いてCBSの活性測定とウエスタンプロットを行った。

結果

ミスセンス変異11種類(D35Q,A114V,R121C,R121H,G148R,G151R,S217F, H232D,R266G,1278T,G347S),ナンセンス変異2種類(W43X,K441X),4塩基欠失1 種類(1591de1TTCG)を検出した。新たな変異はD35Q,W43X,G148R,S217F,H232D, R266Gであった。D35Q,W43X,H232Dは1症例より検出されたため,RT-PCR産物をプ ラスミドにサブクローニングし検討したところ,D35QとW43Xが同一アリルに存在した。発 現実験のCBS蛋白の活性測定ではK441X以外は著明な活性の低下を示したが,K441Xのみ は正常対照の63%と比較的高い酵素活性であった。この変異のdenature条件下のウエスタンプ ロットでは,早期停止コドンによる分子量の小さい48,3kDaのバンドと野生型と同じ大きさの

(4)

63kDaが観察された。native条件下のウエスタンプロットでは4量体と早期停止コドンによる と考えられる2量体が観察された。しかしK441X変異のホモ接合体である症例由来のリンパ芽 球を用いてCBS活性測定とdenature条件によるウエスタンプロットを行った結果,CBS活性 は検出されず,ウエスタンプロットでもCBS蛋白は認めなかった。

考察

日本人CBS欠損症患者の遺伝子変異はほとんどがプライベート変異で多様性に富み,高頻度 変異は日本人においては存在しないと考えられた。1278丁変異は日本人においてもB6反応性を 示すことが明らかとなった。日本人患者においてB6反応型が少ないことは,工278Tの頻度が低 いことに起因すると思われた。K441X,R121C,R121H,G347Sのホモ接合体はすべて臨床 的にはB6不応性であり,これらの変異はB6不応性と関連すると考えられた。D35Qは新たに 検出された変異であるが,35位のアスパラギン酸は生物種により保存されておらず,同一アリ ルにあるW43Xは早期終止コドンをもたらすことより病因変異ではないと予想された。発現実 験の結果によりR12/H,G148R,G151R、S217F,H232D,R266G,1591de/TTCGが病因で あることが確認された。K441X変異の発現で観察された63kDaの蛋白は,大腸菌に存在する amber-tRNAsuppressorsにより停止コドンがアスパラギンと読みとられたためのアーチファ クトと考えられ4量体を形成し酵素活性を持つと予想された。またK441Xの如くC一末端が欠失し たCBS蛋白はinvitroでは活性を持つと報告されていることより有意な酵素活性が観察された ことが説明可能であった。K441Xのホモ接合体症例由来のリンパ芽球を用いた検討結果より, 当該症例の生体内ではCBS蛋白が発現していないことが証明された。以上の事より,K441X 変異も病因変異であると考察された。 一531』

(5)

審査結果の要旨

シスタチオニンβ合成酵素(以下CBS)欠損症は常染'色体劣性遺伝形式をとる先天性含硫ア ミノ酸代謝異常症であり,ホモシスチン尿症の原因の殆どを占める。無治療では知能障害,水晶 体脱臼,血栓症などを生じるが一部に大量のビタミンB6にて症状の改善するビタミンB6反応 型が存在する。CBSは1サブユニットが551のアミノ酸よりなる4量体を形成する蛋白で,そ の遺伝子解析は欧米人を中心になされており,既に130個以上もの病因変異が報告され,高頻度 変異としてビタミンB6反応性を示す1278Tの他,B6不応性を示すG307S,IVS11-2A>C, T191Mが知られている。しかし日本人をはじめ,非欧米人において充分な検討はなされていな い。この研究は日本人におけるCBS欠損症の遺伝子変異を解析し高頻度変異の存在,B6反応 性の変異の有無などの詳細を調べることを目的としている。 申請者は,CBS12家系13症例について解析を行った。株化した細胞もしくは末梢血細胞を検 体とし,mRNAを抽出しRT-PCR法により作成したcDNAもしくは直接抽出したゲノムDNA のダイレクトシークエンスを行った。検出された変異をPCR一制限酵素法を用いてゲノムDNA で確認した。現在まで発現実験の報告のないR121H,G149R,G151R,S217F,H232D, R266G,K441X,1591de1TTCGについて発現実験により病因変異であることの確認を行った。 まず既報のプラスミドpKK388.1に野生型cDNA全長をサブクローニングしたものに,各々の 変異を導入した。次にこの変異プラスミドをE.coliXL-IBlueCellsに導入(トランスフォー メーション)し,培養後細胞破砕上清を用いてCBSの活性測定とウエスタンプロットを行った。 実験の結果,ミスセンス変異11種類(D35Q,AH4V,R121C,R121H,G148R,G151R, S217F,H232D,R266G,1278T,G347S),ナンセンス変異2種類(W43X,K44工X),4 塩基欠失1種類(1591de1TTCG)を検出した。新たな変異はD35Q,W43X,G148R,S217F, H232D,R266Gであった。D35Q,W43X,H232Dは1症例より検出されたため,RT-PCR 産物をプラスミドにサブクローニングし検討したところ,D35QとW43Xが同一アリルに存在 した。発現実験のCBS蛋白の活性測定ではK441X以外は著明な活性の低下を示したが,K441 Xのみは正常対照の63%と比較的高い酵素活性であった。この変異のdenature条件下のウエス タンプロットでは,早期停止コドンによる分子量の小さい48.3kDaのバンドと野生型と同じ大 きさの63kDaが観察された。native条件下のウエスタンプロットでは4量体と早期停止コドン によると考えられる2量体が観察された。しかしK441X変異のホモ接合体である症例由来のリ ンパ芽球を用いてCBS活性測定とdenature条件によるウエスタンブロッ1・を行った結果, CBS活性は検出されず,ウエスタンプロットでもCBS蛋白は認めなかった。 これらの研究は,CBS欠損症の我が国での遺伝子変異の特性を明らかにするものであり,遺 伝学的に極めて貴重なデータを蓄積かつ解析しており,学位に相応しい論文である。 よって,本論文は'博士(医学)の学位論文として合格と認める。 { 唾 玉

参照

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