Title
薄膜シリコン系太陽電池の原子状水素に対する透明電極保
護膜としての酸化チタン膜の開発( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
夏原, 大宗
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(工学) 甲第271号
Issue Date
2005-12-14
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/2968
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏名(本籍) 学 位 の 種 類 学位授与番号 学位授与日付 専 攻 学位論文題目 学位論文審査委貞 夏 原 大 宗(滋賀県) 博 士(工学) 甲第 271 号 平成17 年12 月14 日 環境エネルギーシステム専攻 薄膜シリコン系太陽電池の原子状水素に対する透明電極保護膜としての酸 化チタン膜の開発 (DevelopmentofTi02filmsforprotectionoftransparentconducting oxideswithatomichydrogeninSithinfi1msolarce11s) 富 守 授 教 一樹充 修 秀憲 相浦 田 々 野 箕 吉 授授授 教 教教助 ) ) 査 査 主 副 ( (
論文内容の要旨
本論文の目的は、酸化チタン叩02)薄膜を透明電極保護膜として用いることによって 薄膜シリコン太陽電池の効率向上のための技術開発を行うことである。Hot-wire CVD法 を用いた原子状水素処理において¶02薄膜が一般的にアモルファスシリコン太陽電池用 透明電極保護膜として用いられているZnO薄膜と比較して高い還元抑止力を有している ことを示した。また、高密度原子状水素が発生する条件下においても¶02薄膜が透明電 極保護膜として有用であることを示した。これは、太陽電池窓層材料としての利用が期 待されている3C-SiC薄膜を用いた太陽電池の作製など高密度原子状水素が存在する条件 下で透明電極保護膜として利用できる可能性を示した。ノンドープ¶02は絶縁物である ために電気伝導度を向上させるための方法を模索した。その結果、窒素雰囲気中のアニ ール処理が有効であることを見いだした。Anatase型¶02薄膜の屈折率が2.2程度である ことから、透明電極/p-i-n太陽電池界面での反射低減技術の開発を行った。以下に本研究 で明らかになった内容をまとめる。 勉薄膜の尻手配水割こ対する還元耐性 Hot-Wire CVD法を用いた原子状水素処理を行い、Ti02薄膜の原子状水素に対する還元 耐性について評価した。TiO2薄膜の単一膜における原子状水素耐性は非常に高く、むSi太陽電池用透明電極保護膜として用いられているZnO薄膜よりも高い耐性を示すことを示
した。テクスチャー構造を有する透明電極上に作製した¶02薄膜が保護膜として機能す る最低膜厚は10nmであることを示し、テクスチャー構造を有する透明電極上に作製した ¶02薄膜においても高い原子状水素耐性を示すことを明らかにした。透明電極保護膜と してTiO2薄膜およびZnO薄膜を用いた太陽電池をHot-wire CVD法を用いて作製して太 陽電池特性の比較を行った。ZnO薄膜を保護膜に用いた太陽電池の短絡電流は8.66mA化m2 であるのに対して¶02薄膜を保護膜に用いた太陽電池の短絡電流は9.81mA化m2と大きく向上することを示した。これは¶02薄膜がZnO薄膜にかわる透明電極保護膜として有効 であることを示しており、高密度原子状水素が存在する条件下での薄膜シリコン太陽電 池を実現するための基礎技術を確立した。 不純物添加によるⅥ0乙薄膜の電気伝導度の改善 ノンドープ¶02の電気伝導度は10 13s/cm程度であり、電気的に絶縁物であることが知 られている。太陽電池用透明電極保護膜としてTiO2薄膜を用いるために¶02薄膜の低抵 抗化技術について模索した。¶02薄膜のドーピング材料としてNbが有用であり、Nbを 添加することで電気伝導度を∼10イs/cmに向上することを示した。また、Nbドープ¶02 薄膜の電気伝導度は製膜温度および製膜後の降温速度と相関関係があることを見いだし、 基板温度650℃、降温速度30℃瓜ourで作製した¶02薄膜の電気伝導度は3.9×10-2s/cm まで改善することに成功した。また、¶02薄膜の電気伝導度の改善には窒素雰囲気中で のアニールが有効であり、アニール後の電気伝導度は4.5×10●2s/cm となる興味深い結果 を示した。これはⅩ線光電子分光法の測定結果より表面に吸着した窒素が¶02薄膜の電 気伝導度の向上に寄与していることを示した。またIBAD法による窒素イオンの打ち込 みによる電気伝導度の改善を示した。以上の結果から、¶02薄膜の電気伝導度を約11桁 向上することに成功し、¶02薄膜の低抵抗化技術を開発した。 勉薄膜の反射防止効果と薄膜シリコン太陽電池への応用 透明電極用02薄膜/p-i-n太陽電池構造における理論的な反射率の計算を行った。a-Si太 陽電池を想定した場合には60nmのTlO2薄膜を透明電極/p-i-n太陽電池間に挿入すること で反射率が11.9%から4.25%まで減少することを示した。P層に3C-SiCを用いた太陽電池 では反射率を2.6%からほぼ0%まで減少させることが可能であることを示した。また反射 防止膜としての最適屈折率はp層にa-Si薄膜を用いた場合には∼2.7、P層にSiCを用い た場合には∼2.4であることから、太陽電池用p層材料の変化に柔軟に対応するためNド ープによる¶02薄膜の屈折率制御を行った。NドープTiO2薄膜の作製はスパッタガスに 窒素ガスを用いることで可能にした。また、NドープTiO2薄膜の屈折率は膜中の窒素量 と相関関係があり2.17から2.47まで変化させることを示した。膜厚を10nmおよび60nm のTiO2薄膜をSnO2、p型a-Si間に用いた太陽電池を試作し、TlO2薄膜の反射防止効果に ついて検討した。Ti02膜厚が10nmの太陽電池の短絡電流は8.43mA/cm2であるのに対し て、Ti02膜厚が60nmの場合には8.60mA/cm2まで増加するごとを示した。反射率測定お よび分光感度特性の測定結果から、TiO2薄膜の反射抑防止果によって透明電極/p-i-n太陽 電池での反射率が低減し、発電層であるSi膜により多くの光が入射していることを確認 した。これらの結果は、TiO2薄膜が薄膜シリコン太陽電池における反射防止膜として利 用できること示しており、透明電極/p-i-n太陽電池界面における反射低減技術を確立した。
論文審査結果の要旨
本論文は、薄膜シリコン太陽電池の効率向上のための技術開発として酸化チタン叩02) 薄膜を原子状水素による透明電極の還元を防ぐための保護膜として用いることを初めて 提案し、実際に応用するための基礎的な技術を確立している。一般に薄膜シリコン系太 -26一陽電池は水素ベースの原料ガスが用いられる。プラズマおよび高温フィラメントにより 原料ガスが分解される際に原子状水素が発生し、薄膜中に水素原子が取り込まれ欠陥密 度を下げる利点と200℃程度の低温でも原子状水素のエネルギーを用いて結晶化(ナ ノ結晶)が可能となる利点がある。最近ではナノ結晶シリコン薄膜に加えて、高温フィ ラメントを用いたHot-wire CVD法により原子状水素密度の大きな作製条件においてナノ サイズの立方晶シリコンカーボン薄膜が製膜可能となってきている。一方で酸化物であ る透明電極が還元されて太陽電池としての性能が低下する問題がある。これらの利点を 活かしつつこの透明電極の還元問題を解決する事が急務となっている。本論文はこの問 題点を解決するための一方策を提案している点で価値があると判断した。以下に得られ た成果の要旨を①∼③にまとめた。 ①勉薄膜の原子状水素に対する還元耐性 Hot-Wire