非可換群を用いたNTRU方式の拡張
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(2) による群環 Z[CN ] と同型である.(2) の規則は 一般の有限群に対する群環が,NTRU の構成に 必要な環の“ 特徴 ”を持っていることを示して おり,群環が NTRU と非常に相性の良い環で あることが分かる. 本発表では,群環を用いた NTRU の拡張(GRNTRU)を提案し,その安全性について議論す る.但し,今回は一般的な群環に対する安全性 評価はせず,群が2面体群,フロベニウス群の 場合のみを扱い,その結果から,一般の場合の GR-NTRU の安全性を推測する.将来的に,一 般の場合の GR-NTRU の安全性が決定できたな らば,より安全性の高い群に対する GR-NTRU を選択し,使用することができるようになる. 安全性の観点から見て,GR-NTRU 全体におい てオリジナル NTRU がどの位置にあるかとい う点について今のところ不明であるが,興味深 い問題である.. 2. 群環を用いた NTRU の拡張方 式. (. 1 n. 2 n−1. ··· ···. n−1 n 2 1. ). と対応させると Dn から Sn への埋め込みが作 れる.この埋め込みと置換行列を用いると. Φ1 : Z[Dn ] → M(n, Z) なる環準同型が作られる.また,準同型 Dn = Cn ⋊ Z/2Z → Z/2Z から,環準同型. Φ2 : Z[Dn ] → Z が作られる.n が偶数のときは準同型 Dn = Cn ⋊ Z/2Z → (Cn ⋊ Z/2Z)/(Cn/2 ⋊ Z/2Z) ≃ Z/2Z があるから,これより. Φ3 : Z[Dn ] → Z が作られる.このとき次が言える. 補題 1. 1) n が奇数のとき,Φ1 ⊕Φ2 : Z[Dn ] → M(n, Z) ⊕ Z は単射となる.. 2) n が偶数のとき,Φ1 ⊕ Φ2 ⊕ Φ3 : Z[Dn ] → M(n, Z) ⊕ Z ⊕ Z は単射となる. この補題により問題1は解決する.すなわち, n が奇数のとき,Z[Dn ] は M(n, Z) ⊕ Z で,偶 数のときは M(n, Z) ⊕ Z ⊕ Z で実現することが できる. 次に GR-NTRU の安全性について考える.ま ず,NTRU の行列環類似方式 Matrix-NTRU[2] の安全性について述べておく.. NTRU の方式は環 Z[x]/(xN − 1) を用いて記 述されるが,この環を単純に Z[CN ] に変えても 何の問題もなく方式が実行できる.さらに,こ の CN の部分を一般の有限群 G に拡張すること ができる.この Z[G] を用いた NTRU の拡張を GR-NTRU と呼ぶことにする.GR-NTRU に関 しては NTRU にはない次の 2 つが問題となる. 補題 2 ([3]). 行列環 M(n, Z) を用いた NTRU の類似方式 Matrix-NTRU の安全性は,環 Z[x]/ 1. 有限群 G に対して Z[G] をどのように実現 (xn −1) を用いた NTRU の安全性と同等である. するか. 補題1で Z[Dn ] を実現し,GR-NTRU の方式 2. GR-NTRU の安全性はどの程度か. を実行すると,実質,複数個の Matrix-NTRU の方式を実行することになる.実際,n が奇数 この 2 点は実は密接に関係がある.このことに の場合は M(n, Z) を用いた Matrix-NTRU 1つ ついて 2 つの例を用いて説明する. と Z = M(1, Z) を用いた Matrix-NTRU 1つを 実行することになり,n が偶数の場合は M(n, Z) を用いた Matrix-NTRU 1つと Z = M(1, Z) 2 3 二面体群の場合 つを用いた Matrix-NTRU を実行することにな 2 面体群 Dn = Cn ⋊ Z/2Z は位数 2n の非可 る.この事実から懸念されることは,Z[Dn ] を 換群である.Dn は n 次対称群 Sn の部分群と 用いた GR-NTRU の安全性が Matrix-NTRU の して実現することができる.実際,Cn の生成 安全性に帰着されるのではないかということで 元を巡回置換 (2, 3, . . . , n, 1) と Z/2Z の非自明 ある.これに関しては次が言える. 元を - 133 -.
(3) 補題 3. GR-NTRU に付随する格子問題の最短 ベクトルは,補題1の準同型により,MatrixNTRU に付随する格子問題の最短ベクトルに 移る.. 謝辞. 定理 4. Z[Dn ] を用いた GR-NTRU の安全性は 環 Z[x]/(xn − 1) を用いた NTRU の安全性と同 等である.. 参考文献. この研究は総務省戦略的情報通信研究開発推 進事業(SCOPE)平成 25 年度イノベーション 創出型研究開発フェーズ II(no. 0159-0172)の すなわち,懸念通り,GR-NTRU の安全性は 支援を受け,また第1著者は科研費若手研究 B Matrix-NTRU の安全性に帰着される.よって, (課題番号 24740078)の支援を受けている. 補題2から次が言える.. 群の位数で比較すると Dn の位数が 2n で,CN の位数が n であるから,Z[Dn ] を用いた GRNTRU を用いるよりも同じ安全性を持つ NTRU を用いた方が,鍵長などが小さくて済むことに なる.. 4. フロベニウス群の場合. フロベニウス群 Fp = (Z/pZ) ⋊ (Z/pZ)×(p: 素数)の場合も同様のことが言える.実際,Z[Fp ] は Z[x]/(xp−1 − 1) ⊕ M(p, Z) により実現するこ とができ,次が言える.. [1] J. Hoffstein, J. Pipher, and J.H. Silverman, “NTRU: a ring based public key cryptosystem”. ANTS-III, Springer LNCS vol. 1423, pp. 267–288, 1998. [2] R. Nayak, C. Sastry, and J. Pradhan, “A matrix formulation for NTRU cryptosystem”, ICON’08, IEEE, pp.1–5, 2008. [3] Y. Pan and Y. Deng, “A General NTRU-Like Framework for Constructing Lattice-Based Public-Key Cryptosystems”, WISE’11, Springer LNCS vol. 7115, pp. 109–120, 2012.. 定理 5. Z[Fp ] を用いた GR-NTRU の安全性は 環 Z[x]/(xp − 1) を用いた NTRU の安全性と同 等である. 群の位数で比較すると Fp の位数が p(p − 1) で,Cp の位数が p であるから,Z[Fp ] を用いた GR-NTRU を用いるよりも同じ安全性を持つ NTRU を用いた方が,鍵長などが小さくて済む ことになる.. 5. 考察. 2つの例から分かるように,GR-NTRU の安 全性は Z[G] の実現方法と関係している.Z[G] の実現方法には G の表現が関わっている.よっ て,GR-NTRU の安全性は G の表現と関係があ ると考えられる.実際2つの例の場合,G の既 約 Q-表現の最大次数が安全性を決定している.. - 134 -.
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