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衆議院奄美特例選挙区存続の法的検討

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衆議院奄美特例選挙区存続の法的検討

著者

中村 英

雑誌名

東北学院大学論集. 法律学

35

ページ

21-44

発行年

1989-08-31

URL

http://id.nii.ac.jp/1204/00000337/

(2)

衆議院奄美特例選挙区存続の法的検討

一九七六︵昭和五一︶年四月一四日の大法廷判決は、衆議院の議員定数配分を違憲とし、この判決以降、同種の訴訟 や関連の文献は移しい数にのぼっている。それにもかかわらず、これに拙文を加えようとするのは、いままで触れら れなかった角度から、なお検討すべき問題があると考えたからである。 周知のとおり、右の判決は衆議院議員の定数配分審査にあたり、現行制度がいわゆる中選挙区制であることを前提 に立論し、その後の判決はこれを踏襲してい説。しかし、あらためて言うまでもなく、選挙区制度という点では、現 行公職選挙法︵一九五

O

︵ 昭 和 二 五 ︶ 年 法 律 一

OO

号。以下﹁公選法﹂とすることがある﹀は、付則一

O

項 で 、 定 数 一 名の奄美選挙区という特例を認めているのである。この特例は、どういう理由で存続しているのだろうか。また、他 の全ての選挙区の選挙民が少数代表制の下に置かれているのに、この選挙区の選挙民だけを多数代表制の下において いるこの特例は、右の最高裁判決によって﹁投票価値の平等﹂が﹁憲法の要求するところ﹂とされた今日、憲法上ど う評価されるべきなのだろうか。これが本稿の課題︵

H

︶であるが、以下ではその前提として、奄美特例選挙区に関 する規定の変遷を通覧しておかなければならない︵

I

︶ 。 衆議院奄美特例選挙区存続の法的検討

(3)

A 衆議院奄美特例選挙区存続の法的検討 j主 (2) ハ 1 ﹀ ハ 2 ︶ 民 集 三 O 巻 三 号 二 二 三 頁 。 衆議院議員選挙、参議院議員選挙及び都道府県議会議員選挙について、関係判決は公刊された最高裁のものが一 O 件 を 超 え 、 国 家 賠償請求、選挙差止請求の事件まで含め、下級裁判所判決をも加えると五五件ほどである。また、関係文献は、衆議院議員選挙に 関する四件の最高裁判決︵注︵ 1 ﹀の判決、及び注︵ 3 ︶最後部に所引の三判決﹀の評釈等だけで膨大なもの︵四五以上︶となる。 参照、越山安久﹃最高裁判所判例解説民事篇﹄昭和五一︵一九七六︶年度︿一九七九年二一月発行︶一七一頁︵注五回︶、江見弘武 ﹃ 最 高 裁 判 所 判 例 解 説 民 事 篇 ﹄ 昭 和 五 人 ︵ 一 九 八 三 ﹀ 年 度 ︵ 一 ‘ 九 八 八 年 八 月 発 行 ︶ 五 O 八 頁 ︿ 後 注 ﹀ 、 演 野 慢 、 法 曹 時 報 三 八 巻 八 号 ︿ 一 九八六年八月発行﹀一一九頁 4 、遠藤比呂通、ジュリスト九三五号︿一九八九年六月発行﹀一四頁。 民 集 三 O 巻三号二四五頁は、﹁本件は、衆議院議員の選挙に関するものであるところ、右選挙については、いわゆる中選挙区単記 投票制が採用されている。これは、衆議院の有すべき性格にかんがみ、候補者と地域住民との密接性を考慮し、また、原則として 選挙人の多数の意思を確保しながら、少数者の意思を代表する議員の選出の可能性をも残そうとする趣旨に出たものと考えられ る﹂とする。なお、﹁その後の判決﹂として、ひとまず本稿筆者の念頭にあるのは、衆議院の定数配分を問題とした以下の三つの 最高裁判決の、指定した頁の記述である。一九八三︿昭和五八﹀年一一月七日大法廷判決民集三七巻九号二一四三頁以下特に==ハ O 頁 、 一 九 八 五 ︵ 昭 和 六 O ﹀ 年 七 月 一 七 日 大 法 廷 判 決 民 集 三 九 巻 五 号 一 一 OO 頁 以 下 特 に 一 一 一 九 頁 、 一 九 八 八 ︵ 昭 和 六 三 ﹀ 年 一 O 月 二一日第二小法廷判決民集四巻八号六四四頁以下特に六六一頁。 なお、いわゆる中選挙区制︵各選挙区の議員定数三名ないし五名︶に対する特例という点では、 正ハ同年法律六七号﹀以来、付則九項により、六人区一っと二人区四つが追加されている。 ハ 3 ﹀ ︵ 4 ﹀ 一 九 八 六 ︵ 昭 和 六 一 ︶ 年 の 公 選 法 改

I

変遷を辿った関係規定のうち、検討すべき最も重要なものは、 一九五三︵昭和二八﹀年の﹁奄美群島の復帰に伴う法令の適用の暫定措置等に関する法律﹂︵同年法律二六七号。以

(4)

下﹁暫定措置法﹂とすることがある﹀三条と、 B 一九六四︵昭和三九﹀年の改正ハ同年法律二ニ二号﹀による公選法付則九項・一

O

項 の こ つ で あ る 。 確 か に こ の 後 に も 、

c

一 九 七 五 ︵ 昭 和 五

O

﹀年の改正で公選法付則九項のカッコ書部分が削除され、 D 一 九 八 六 ︵ 昭 和 六 一 ︶ 年 の 改 正 で 項 番 号 が 繰 り 下 げ ら れ 、 付 則 九 項 ・ 一

O

項 が そ れ ぞ れ 現 行 の 一

O

項・一一項にな る等の改正がなされた。しかし、これらは、いずれも

AB

に比べ実質的意味の少ないものである。

五 三 ハ 昭 和 二 八 ﹀ 年 暮 の 日 米 協 定 に よ り 、 四 六 ︵ 昭 和 二 一 ﹀ 年 一 月 の 覚 書 以 来 、 日 本 政 府 の 統 治 権 の 及 ば な い 地 域 と な っ ていた奄美群島の復帰が決まった。この復帰に伴う経過措置、暫定措置を定めるために﹁暫定措置法﹂が制定され、そ

A

の三条がこの地域の衆議院議員の選挙について規定した。同条のうち選挙区制度に直接かかわる第二項はつぎのとお り で あ っ た 。 ﹁ 暫 定 措 置 法 ﹂ 第 三 条 第 二 項 公職選挙法第十三条及び同法別表第一の規定にかかわらず、同法別表第一がこの法 律の施行後最初に更正されるまでの問、奄美群島をもって一の選挙区とし、その選挙区において選挙すべき議員 の 数 は 、 一 人 と す る 。 衆議院奄美特例選挙区存続の法的検討

(5)

衆議院奄美特例選挙区存続の法的検討 二 四 政府は、この規定︵と、衆議院議員の総定数を暫定的に一名増加して臨時に四六七名とする同条一項︶の提案理由を (4) 以下のとおり説明している。 ﹁奄美群島の人口は、現在の議員定数配当の基礎数には入っておりませんが、二

O

万をこえる状況でございます。人 口比例から申しましても同地区から衆議院議員一名を選出する必要があると考えられますが、さしあたりただちに鹿 児島のみの選挙区なり定数を改めるわけにも参りませんので、この際は、暫定的に、公職選挙法の別表第一がこの法 律施行後最初に更正されますまでの問、衆議院議員の定数を一人増加して四百六十七人とし、奄美群島の区域をもっ て一つの選挙区といたしまして、この選挙区から一名の衆議院議員を選出させることとしたわけであります。﹂ 条文と右の説明から、三条二項について、三点を確認すべきであろう。 ︶ ’E A r − − 、 復帰に伴う暫定措置として、奄美群島が定数一名の特例的な独立選挙区となること。 (2) 暫定期間の指標が、﹁同法別表第一がこの法律の施行後最初に更正されるまでの間﹂、と明定されていること。そ し て 、 (3) この措置が、直接的な公選法の改正によってではなく、その特別法としての﹁暫定措置法﹂中の規定によって な さ れ る こ と 、 で あ る 。 こ の う ち

ω ω

につき、﹁暫定措置法﹂案を審議した委員会での論議には注目すべき点がいくつかあった。 、

. .

, , ’E A ︵ については、公選法がいわゆる中選挙区制を採用し、他方向法別表第一が奄美群島︵正確には、別表第一の文 言は﹁大島支庁管内﹂﹀を鹿児島県第三区に編入している。それなのに、この法案は﹁小選挙区制を臨時に施行﹂しょ うとしており、ここに﹁主義の紛渇があるのではないか﹂、何故﹁鹿児島県第三区として中選挙区制による選挙を行わ

(6)

ないか﹂との質疑である。 政 府 の 答 え は 、

a

こ の 措 置 の 暫 定 性 、 b 奄美群島住民にとっての利益、 の 二 点 か ら 成 っ て い た 。

a

は 後 の

ω

の 検 討 の 際 に 扱 う 。 b について、言葉通りに紹介すれば、﹁奄美群島の郡民の代表が郡民の意思のなるべく近いところに出てくるように と い う 考 慮 ﹂ だ と い う 。 右 の

b

の真意が、奄美群島の地域代表の確保を承認したものと理解されるなら、それは復帰直後に限られぬ問題と なってしまい、既に

a

との衝突の契機を含んでいることが確認されねばならないだろう。

ω

に関しては、﹁暫定措置法﹂案とは違って、特定の期日まで、あるいは、次の総選挙まで、といった暫定期間の定 め方のありうることを指摘し、それなのに何故法案は﹁同法[公選法]別表第一がこの法律[﹁暫定措置法﹂] の施行 後 最 初 に 更 正 さ れ る ま で の 間 ﹂ ︵ [ 委員によってなされた。 ]中は本稿筆者の補足で、以下の引用部においても同様﹀としたのかという質疑が、 政府の回答の趣旨は次の二点にまとめられるだろう。 別表第一の全体的な改正によって定数や選挙区画を見直す際︵つまり、別表第一更正の際︶に奄美群島を他の 選挙区に属させるのでないと、既存選挙区に不利益な影響を及ぼして不適当である︵このため、暫定期間を﹁特定の a 期日まで﹂とも﹁次の総選挙まで﹂ともできない︶。 他 方 、 b 暫定措置が可能な限り短期に終るべきなのは確かだが、﹁別表更正まで﹂と定めても、 一 九 五 五 ︵ 昭 和 三

O

︶ 年 の 衆議院奄美特例選挙区存続の法的検討 二 五

(7)

衆議院奄美特例選挙区存続の法的検討 二 六 国勢調査の結果で更正されるはずなのだから、﹁従ってもうそう長いことでない﹂と。 (6) 右 の

a

の考えは大いに問題とされよう。また

b

については、他の委員から、別表更正は事実上困難であり、したがっ て﹁臨時的につくったこの法案が、 いつまでも効力を持続する。そして一人一区というような変形的な選挙区が残存 して行くのではなかろうかという懸念を持つ﹂。そこで、暫定措置を次の総選挙が行われるまでとし、次の総選挙から は、別表第一の規定通り、奄美群島を鹿児島三区に属させ、同区の定数は三名のままとしてはどうか、との発言のあっ た の が 注 目 さ れ る 。

B

一九六四︿昭和三九﹀年改正︵同年法律一三二号︶による公選法付則九項・一

O

一部委員の懸念は現実のものとなった。たしかに、 一 九 五 五 ︵ 昭 和 三

O

︶年の国勢調査による定数改正は不十分なが ら準備されたが、それは小選挙区制への改正と一体の法案として一九五六ハ昭和三一﹀年に提出され、反対にあい不成 立に終ってしまった。この後も、各選挙区の人口の変動を理由とする定数改正の必要が承認されてはいたが、現職議 員の利害に直接影響する事項として、別表第一更正は容易に実現しなかったのである。この結果、﹁暫定措置法﹂三条 による奄美選挙区の特例は継続した。この状態に一部変化が生じたのは、衆議院議員定数の部分的・暫定的改正を主 な内容とする六四ハ昭和三九﹀年の改正︵同年法律一三二号﹀が公選法付則九項・一

O

項を制定したことによってであっ た。このうち奄美群島の選挙区制度に直接係わる第九項は次のように定められた。 ﹁ 公 選 法 ﹂ 付 則 第 九 項 別表第一の規定にかかわらず、当分の問、鹿児島県名瀬市及び大島郡の区域︵大島郡三島

(8)

村及び十島村の区域を除く。︶をもって一の選挙区とし、その選挙区において選挙すべき議員の数は、一人とする。 政府の提案理由説明の中に、この九項に直接言及する部分はないが、質疑の際、政府は次のような趣旨の答弁をし て い る 。 今回衆議院議員の定員を公選法の付則で暫定的に改正するが、現状では公選法以外の法律︵﹁暫定措置法﹂三条︶が、 その定員を実際に決定しているというわかりにくい状態になっている。このまま更に今回の改正を加えればまことに 複雑になってしまう。そこで、衆議院議員定数について、その根拠規定をわかりやすくするという技術的な理由で、﹁奄 美群島の復帰に伴う法律[﹁暫定措置法﹂]の中から奄美群島関係の選挙区の関係の条文をそのままこちらへ移しかえ﹂ せ た ん

8

の よ で

2

つまり、﹁だいぶ近いところに持ってきたというだけでございまして、実質が変わるわけではございま 従来の条文を﹁そのまま﹂移しただけというこの説明は、その意図はともかく、 A の 場 合 の

ω ω

ω

についての検 討と対比すれば、事実に反している。 も っ と も 、

ω

の点、つまり直接公選法には改正を加えないという点が改められたのは、今回公選法に移すことから の当然の結果で、これは政府も否定しないだろう。 問題なのは

ω

で、ここでは暫定措置の期間に関する、﹁同法[公選法]別表第一がこの法律[﹁暫定措置法﹂] の 施 行後最初に更正されるまでの間﹂という、それとして判定が明確な指標が、﹁当分の間﹂という、伸延自在であること を法律家が熟知している語に置き換えられている。したがって

ω

の点、特例選挙区制度の暫定性という点も、事実上 衆議院奄美特例選挙区存続の法的検討 二 七

(9)

衆議院奄美特例選挙区存続の法的検討 二 八 一九七一︵昭和四六︶年には﹁沖縄の復帰に伴う関係法令の改廃に関する法律﹂︵同 年法律二ニ

O

号︶により、公選法別表第。一が改められたが、右の

ω

の結果もあってか、奄美選挙区存続の是非等をめ 一段と薄められたと言えるだろう。 (8) ぐる論議は一切なされなかった。

c

O

この削除は、カッコ内の区域︵三島村と十島村︶が、 うになり、そのためカッコ書部分を設けて明示的に適用除外をする必要がなくなったことの結果でありバ特例選挙区 一九七三︵昭和四八︶年、大島郡ではなく鹿児島郡に属するよ の区域を鉱張するという意味を持つものではない。

D

この改正で付則九項・一

O

項はそれぞれ一

O

項・一一項になり、同時に新一一項中の送り仮名の一箇所と用字の一 箇所が改正されたが、実質的内容に変化はなかった。むしろ注目すべきなのは、この改正に際して衆議院鹿児島県第 三区︵別表第一では現在なお﹁大島支庁管内﹂を含む、既出の選挙区︶の定数が、付則新九項により三名から二名に 減少したことである。奄美選挙区と合区して三名とし、 避ける措置は採られなかったわけである。 いわゆる中選挙区制の例外である二名という定数になるのを

(10)

‘ 迂 ︵ 1 ︶ ︵ 2 ︶ ﹁奄美群島に関する日本国とアメリカ合衆国との聞の協定﹂一九五三︵昭和二八﹀年条約三三号。 ﹁若干の外廓地域を政治上行政上日本から分離することに関する覚笹﹂一九四六︿昭和二ご年一月二九日。このテキストは日本管 理法令研究一巻八号︵一九四六年一二月発行︶四三 O 頁、国際法外交雑誌五四巻了二・三合併号︵一九五五年四月発行︶二四二 頁などにある。なお、高野雄一﹃日本の領土﹄︵一九六二年一二月発行﹀二四頁注 5 において、同由著者は

g

仲宝誌にあてられた ﹁外廓﹂という訳語を﹁外辺﹂とするほうがより適訳だとして、自らの旧訳を改めている。 復帰の対象となった﹁奄美群島﹂とは、﹁北方北緯二十九度、南方北緯二十七度、西方東経百二十八度十八分及び東方東経百三十 度十三分を境界線とする区域内にあるすべての島、小島、環礁及び岩礁﹂︵注︵ l ︶ の 日 米 協 定 付 属 古 ︶ を 言 う 。 な お 、 注 ︵ 2 ︶ の 覚 書により日本から分離された旧鹿児島県地域の内、北緯二九度と三 O 度の間にある諸島︿今日の十島村﹀は、一九五二昭和二六﹀ 年一二月の覚書︵テキストは、例えば注︿ 2 ﹀所引の国際法外交雑誌五四巻一・二・三合併号二四五頁︶により一足早く復帰して いたため、ここには含まれていない。 奄美群島の復帰をめぐる法的問題については、林忠雄﹁奄美大島の復帰に伴う法律上の問題﹂自治研究二九巻一二号︵一九五三年 一二月発行︶六三頁、山下康雄﹁奄美群島の復帰﹂国際法外交雑誌五六巻四・五合併号︿一九五八年二月発行︶五二五頁参照。 一九四七︵昭和二二︶年の衆議院議員選挙法の別表改正︿同年法律四三号﹀にあたり、奄美群島の人口数を算入しなかったことを指 している。公選法別表第一による定数配分は、七三︵昭和四八﹀年の沖縄復帰まで、この衆議院議員選挙法別表の定数配分をそのま ま 引 き 継 い で い た 。 一 九 五 三 ︵ 昭 和 二 八 ︶ 年 一 O 月三一目、衆議院地方行政委員会における政府委員︵林修三法制局次長﹀による法案の逐条説明の一部、 第一七回国会衆議院地方行政委員会議録第一号三頁。 一九五三︵昭和二八︶年一一月三目、衆議院地方行政委員会、法務委員会、公職選挙法改正に関する調査特別委員会連合審査会にお ける大村清一郎公選法特別委員会委員の質疑、自治省選挙部編﹃選挙制度国会審議録﹄第六輯︵一九七 O 年 三 月 発 行 ︶ 四 七 六 頁 。 注 ︵ 7 ︶と同日の連合審査会における爆田十一郎自治庁長官の答弁、注︵ 7 ︶所引の﹁選挙制度国会審議録﹄第六輯四七七頁。 注 ︵ 7 ︶と同日の連合審査会における大村清一郎公選法特別委員会委員の質疑、注︵ 7 ︶ 所 引 の ﹃ 選 挙 制 度 国 会 審 議 録 ﹄ 第 六 輯 四 七 七 頁 。 直接的には大村委員への答弁ではないが、同旨の森三樹二公選法特別委員会委員長の質疑への答弁で、塚田長官は、暫定期間を別 ︵3 ︶ ︵ 4 ︶ 5 ︵ 6 ︶ 7 ︵ 8 ︶ ︵ 9 ︶ ︵ 叩 ︶ 衆議院奄美特例選挙区存続の法的検討 二 九

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衆議院奄美特例選挙区存続の法的検討

︵ U ︶ ︵ ロ ︶ ︵ 日 ︶ 表第一の更正までとしたのは、﹁突然にある部分||今まで選挙区の中に考えられておらなかった[奄美群島の]二十一万という ようなものが、ごそっと入って来るということになりますと、その新しく選挙区に加えられる地元の選挙区[鹿児島三区]の他の 方々に、非常に大きな影響を及ぼす﹂︵注ハ 7 ︶所引の﹃選挙制度国会審議録﹄第六輯四八一頁︶ことを考慮してだと述べている。 ここでは、﹁新しく選挙区に加えられる地元の選挙区の他の方々﹂︵文脈上は、旧来の選挙民︶の利益保護を配慮していることにな ろうが、その後の定数配分問題の進展の際にもあきらかになった、議員の一般的性向から推測すると、真意は、鹿児島三区の現職 議員の地盤等に関するいわゆる既得権保護への配慮ではないかとも疑われる。 注 ︵ 7 ︶と同日の連合審査会における塚田十一郎自治庁長官の答弁、注︵ 7 ﹀ 所 引 の ﹃ 選 挙 制 度 国 会 審 議 録 ﹄ 第 六 輯 四 八 一 頁 。 注 ︵ 7 ︶と同日の連合審査会における蘇三樹二公選法特別委員会委員長の質疑、注︵ 7 ︶ ﹃ 選 挙 制 度 国 会 審 議 録 ﹄ 第 六 輯 四 八 一 頁 。 この小選挙区制法案については、小島和司ニニ沢潤生﹁小選挙区制のあしあと﹂法律時報二八巻八号︵一九五六年八月発行︶二ハ 頁 参 照 。 この改正までの定数是正問題の経過について、芦部信喜﹁議員定数是正論議の回顧と問題点﹂ジュリスト三 O 四 号 ︵ 一 九 六 四 年 八 月発行︶四 O 頁審照。同論文は芦部信喜﹃憲法と識会政﹄︵一九七一年三月発行︶三六五頁にも載録されている。 一九六四︵昭和三九︶年四月八日衆議院公職選挙法改正に関する調査特別委員会における政府委員︵長野士郎選挙局長︶の答弁、自 治省選挙部編﹁選挙制度国会審議録﹄第一七輯︵一九七四年一二月発行﹀四三五頁。 注 ︵ 店 ︶ 所 引 の 、 ﹃ 選 挙 制 度 国 会 審 議 録 ﹄ 第 一 七 輯 四 三 六 頁 。 ただちに、刑法施行法二五条︿ただし、この規定の場合、厳密には﹁当分の内﹂だが﹀に関する、一九四九︵昭和二四︶年四月六日 大法廷判決刑集三巻四号四五六頁が想起されるであろう。 沖縄全県を定数五人の一つの選挙区とし、それを別表第一に追加した。なお、これは公選法別表第一の改められたこ回目であり、 初 回 は 一 九 五 二 ︵ 昭 和 二 七 ﹀ 年 に 法 律 三 O 七号によって行われている。ただし初回の内容は、市制を施くことになった地方公共団体 の名称の追加で、定数配分には係わらぬものだった。結局、いずれも、別表第一の末文、﹁直近に行なわれた国勢調査の結果によっ て、更正する﹂とされている﹁更正﹂には該当しないものだったと言う余地はある。 七 五 ︵ 昭 和 五 O ︶年改正前は、公選法付則一一項により、﹁鹿児島県大島郡三島村及び十島村は、第一五条第一項の規定及び別表第 一の適用については、当分の問、鹿児島県鹿児島郡に属するものとみなす。﹂とされていた。なお、郡の区域の変更については、地 方自治法二五九条参照。本件についての、同条四項による自治大臣の告示は七二︵昭和四七﹀年一一月二九日になされている︵同年 自 治 省 告 示 二 九 八 号 ︶ 。 (iO) ︵ M ︶ ︵ 時 ︶ ︵ 凶 ︶ ︿ 口 ︶ ︿ 凶 ︶ ︵ 国 ︶

(12)

︵ 却 ︶ 一九八六年の改正については、野中俊彦﹁衆議院議員定数改正の経緯と問題点﹂ジュリスト八六五号︵一九八六年七月発行︶三六 頁 参 照 。

I

I

ーで見たとおり、奄美選挙区は今日、公選法付則一

O

項・一一項を根拠として﹁当分の間﹂存続することになって い る 。

H

では、こうした例外規定が、どういう理由で現在なお存続しているのか︿

A

﹀、また憲法上どう評価されるの か ︵

B

﹀ を 検 討 す る 。

A

今日における奄美選挙区存続の理由

この問題について、現行の一

O

項・一一項の形を決定した一九八六︵昭和六一﹀年改正︵

I

D

︶の際も、カッコ書 部分を削除した七五︵昭和五

O

﹀ 年 改 正 ︵

I

C

︶の際も、国会での論議は何も語っていない。既述のように、奄美選 挙区についていずれも実質的内容の改正を伴わなかったことの結果といえる。したがって、立法時の議論で直接検討 す べ き な の は 、 一 九 六 四 ︵ 昭 和 三 九 ︶ 年 改 正 時 ︵

I

B

︶ と 、 更 に 遡 る 五 一 二 ︵ 昭 和 二 八 ﹀ 年 の ﹁ 暫 定 措 置 法 ﹂ 案 審 議 時 ︵

I

A

﹀のものになる。ここで、本稿筆者の検討の結論を先取りするならば、﹁暫定措置法﹂による奄美選挙区の創設に はそれなりの合理的理由があったが、六四︵昭和三九﹀年改正以降の存続については合理的理由が十分説明されていな い 、 と 言 え る だ ろ う 。 衆議院奄美特例選挙区存続の法的検討

(13)

三 一 一 ﹁暫定措置法﹂で、定数一名の特例選挙区を創設する前提については、ーの

A

に引用した政府の提案理由が述べて 衆議院奄美特例選挙区存続の法的検討 (12) いたが、質疑の中でも同旨の答弁が繰り返されていた。 まず第一に、奄美群島の人口は、公選法別表第一の基礎数に算入されていなかった。そして、奄美群島の人口は二

O

万人を超えていて、他方当時、全国の総人口数を衆議院議員総定数で割った数字は一七ないし一八万である。 このことから、奄美群島分として一議席与える論拠はある、と考えられた。他方、たしかに当時の定数配分は、改 正が行われていなかったため、既に別表作成以後の大量の人口変動を反映しないものとなっていて、大都市の人口増 大区の定数も据え置かれたままであった。したがって、復帰した奄美群島に議席を割り振らなくとも、そのことだけ を特別に問題にすべきではなく、将来の別表第一更正の中で解決すればよいと考える余地もあった。しかし、﹁暫定措 置法﹂制定時には、八年弱の外国統治をうけ、あわせて台風などによる激しい自然災害に見舞われた奄美群島の住民 を、復帰後できる限り早く、しかも効果的に国政選挙に関与させたいという配慮がまず第一に働いたようで、結局、一 議席を与えたという措置は、それとして成り立つ政策的判断だったといえよう。 第二に、奄美群島が独立選挙区となるについては、別表第一は、全体のバランスを考えないまま、部分的に改める ことはできないという考えがあったようである。この第二の前提は、第一以上に異論の余地があろう。というのは、奄 美群島として一議席与えることにすれば、その事実自体によって既に、直接的な更正か否かにかかわらず、実質的に は、別表第一による定数配分を全体のバランスを考えずに部分的に改めてしまうことになるからである。 つまり﹁暫 定措置法﹂は、別表第一には直接手を加えず、独立選挙区を作れると判断したわけで、そうであるなら、 一 議 席 を 配 分するという右の第一での結論を前提にしても、同様に別表第一に直接手を加えず、奄美群島を鹿児島三区の一部と

(14)

し、後者の定数を四名にする措置を採り、いわゆる中選挙区制の例外となる定数一名の独立選挙区の発生を回避する こともできたのではないか、と反論できるからである。 しかしこれも、第一で最後に見た、奄美群島の特異な戦後の歴史を考慮して、復帰後できる限り早く、しかも効果 的に国政選挙に関与させることと、更に政府の言うところの﹁別表第一の更正﹂、つまり全体的な定数改正が近いとい う建前をとれば、確かに考え得る政策として否定はできなかったのではなかろうか。 その後、﹁暫定措置法﹂案審議の時点での前提は、ーの

B

で見たとおり、別表第一の更正がなかなか行われないこ つまり全体のバランスを 考えた議員定数の全面的改正の当面不可能なことを前提に、付則による部分的な定数改正︵同年法律二ニ二号︶が行 とによって揺らぎはじめたと言える。そして、 一 九 六 回 ︵ 昭 和 三 九 ︶ 年 、 ﹁ 別 表 第 一 の 更 正 ﹂ 、 われたことで、決定的に崩れてしまった。それというのは、奄美選挙区はあくまで暫定措置であり、それをできるか ぎり早く原則の中選挙区制に戻さねばならない、しかしそれには、全体的なバランスを考えた上での定数改正、 つ ま り別表第一の更正を待たねばならない。伺故なら、定数配分は相互に関連するので、部分的改正は不可能だ、という 論理があったはずだからである。 六四年の定数改正に関する政府原案では、﹁暫定措置法﹂時︵一議席増︶よりはるかに多くの定数配分の変更︵一九 議席増︶が行われ、更に、増員の結果六人以上の定数となる五つの選挙区の分割までが、衆議院による修正として行 われている。しかも、自民党・社会党が共同で提案した、分区を内容とするこの修正の趣旨説明には、選挙区制度の 一貫性についての次のような考えさえ示されていた。 ﹁選挙区制度にとって、最も重要な、かっ、欠くべからざる基本要件は、すべての選挙区を通じて、各選挙区は平等 衆議院奄美特例選挙区存続の法的検討

(15)

衆議院奄美特例選挙区存続の法的検討 四 であるとのたてまえのもとに、 一定の原理ないし原則で一貫されていること﹂である。﹁この法律案のごとく、大都市 (14) を中心として六人ないし八人というような例外を認めることは、中選挙区制のたてまえをくずすことになり、妥当で はないことは言うまでもないところであります。﹂ たとえ名は、これまた暫定的な措置だとされ、別表第一には直接手を触れていないにしても、付則の改正だけでこ こまでのことが可能であるならば、同じく、付則の改正で奄美群島を中選挙区制の原則の枠内に戻すことは何等不可 能とは考えられず、更に、右の分区の論拠︵中選挙区制原則の維持﹀からは奄美選挙区と鹿児島三区との合区の必要 さえ生じると考えられるだろう。 このように、﹁暫定措置法﹂成立後の事情の変化の中で、特に六四︿昭和三九﹀年改正以降、かつて立法機関で語られ た奄美選挙区存続の合理的理由・論拠は力ないものとなってしまったように思う。しかし、ここでなお検討しておき たいのは、正式な提案理由説明の際には含まれていなかったが、ーの

A

で見たとおり、ある政府の答弁では、奄美群 島を別表第一の更正まで独立選挙区としたのは、奄美群島住民にとっての利益と鹿児島三区の旧来の選挙民にとって の利益が考慮されたためだと説明されていたことである。たしかに、この説明は別表第一の更正が近々に行われるこ とを前提に、独立選挙区をあくまで暫定的な措置だとしていたので、したがって、その前提が崩れたのは既述のとお りだが、なおそれ自体として、合理的な理由としての成否を検討しておく意味があるだろう。 まず第一の、奄美群島を独立選挙区とするのが、選挙民にとっての利益だとする点、これはたしかに、既に見た歴 史的経緯から、とくに復帰直後については賛同を呼びやすい理解だったと思われる。とりわけ、次の総選挙を待たず に、奄美の選挙民をできるだけ早く衆議院議員選挙に参加させるという目的がそれなりに承認されるなら、その手段

(16)

として独立選挙区を認めることも承認されるだろう。問題なのは、こうした、いわば、奄美群島の地域代表選出とい う利益が、復帰から三五年以上経過した今日においてなお、 いわゆる中選挙区制の原則に例外を存続させる十分な合 理的理由となり得るかという点であろう。ただし、合理的か否かは別として、また本稿筆者としての評価を別として、 このことが今日なお奄美選挙区の存続する一つの理由ではあるように思われ封。 他方第二の、鹿児島三区︵奄美群島の合区の対象となり得る選挙区︶の旧来の選挙民の利益保護という主張は、 般化すれば、合区されない、あるいは選挙区の区域を拡張するように変更されない利益保護の主張となるだろう。そ して、この主張の内容が、例えば現職の議員にとっては、次の選挙での当落に直接影響する重大問題となることは確 かだろう。そうであればこそ、公選法史上初の議席減︵七人減﹀を含む八六ハ昭和六一﹀年の定数改正の際も、たしか に、若干の選挙区につき境界変更がなされたとはいえ、他方で、既に見た従来の分区の際の論理︵中選挙区制の維持︶ をなげすてて、既述の鹿児島三区を含め、四つの二人区が出来るのを放置したのであろう。

B

奄美選挙区存続の憲法適合性

本稿の初めに書いたように、奄美選挙区の特例を存続することは、他の全ての選挙区の選挙民が少数代表制の下に 置かれているのに、この選挙区の選挙民だけを多数代表制の下に置いていることになる。 つまり、同じく選挙権者と 表 す る 議 員 の 選 一 出 般 の 的 可 な 能 選 性 挙 を 区 も 内 残 に す 住 包 む

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句 者 わ で 照 あ喧 を 九 代 さ れ な が ら 、 こうした例外を含む、現在の衆議院の選挙区制度・議員定数配分の現状の憲法適合性を問題にする可能性としては、 衆議院奄美特例選挙区存続の法的検討 五

(17)

衆議院奄美特例選挙区存続の法的検討 ノ 、 二 つ の 途 が あ る だ ろ う 。 (16) 第一は、選挙権の平等の視点からであり、意外に感じられるかも知れないが、最高裁の理解を前提にするかぎり、現 行の制度を、憲法上の要請である﹁投票価値の平等﹂の違反として問題にできるかも知れないのである。それと言う のは、多くの学説が、端的に選挙区人口数︵または有権者数︶とその選挙区の議員定数の比率を指して﹁投票価値﹂と する︵これを以下﹁狭義の投票価値概念﹂とすることがある︶のとは異なり、最高裁は、この比率以外の事項をも考 慮にいれた﹁投票価値﹂概念︵以下﹁広義の投票価値概念﹂とすることがある︶を採っているようだからである。七 六︵昭和五一︶年大法廷判決を再確認すれば次のとおりである。 ︶ ’E E − − ︵ まず、判決理由は、次のように、﹁投票価値﹂を﹁選挙の結果に及ぼす影響力﹂だとしている。 ﹁平等原理の徹底した適用としての選挙権の平等は﹂﹁選挙権の内容の平等、換言すれば、各選挙人の投票の価値、 すなわち各投票が選挙の結果に及ぼす影響力においても平等であることを要求せざるをえない、﹂ (2) そして、議員定数と選挙区人口数︿または有権者数﹀との比率の各選挙区間における均衡を、右の要請、 つ ま り﹁投票価値﹂平等の要請の﹁一場合﹂︵つまり、全てではない︶とする趣旨の記述をしている。 ﹁具体的な選挙制度において各選挙人の投票価値に実質的な差異が生ずる場合には、常に右の選挙権の平等の原則 との関係で問題を生ずるのである。本件で問題とされているような、各選挙区における選挙人の数と選挙される議 員の数との比率上、各選挙人が自己の選ぶ候補者に投じた一票がその者を議員として当選させるために寄与する効 果に大小が生ずる場合もまた、その一場合にほかならない。﹂ (3) 更に、﹁投票価値は、選挙制度の仕組みと密接に関連し、その仕組みのいかんにより、結果的に右のような投票

(18)

の影響力に何程かの差異を生ずる﹂としている。確かに、この最後の記述は、本稿筆者の判断とは異なり、最高裁が ﹁狭義の投票価値概念﹂を採っていると理解しても一見説明可能と思えるかもしれない。 つまり、例えば、小選挙区制 を採るか、いわゆる中選挙区制を採るか等の差異が、選挙区の面積の大小などと連動し、結局、選挙区ごとの人口数 ︵または有権者数︶と議員定数との比率を全国的に同一化する難易度に対し、ある程度の影響を及ぼすと言うことはで き、その意味で狭義の概念による﹁投票価値﹂と﹁選挙制度﹂との﹁関連﹂を語れそうだからである。しかし、右の 最高裁は両者間に﹁密接な関連﹂があるとしているのであり、最後の記述自体からも、最高裁はより広い定義を採っ ていると考えるほうが自然に説明できる。更に、先の二つの論拠、すなわち﹁投票価値﹂を﹁各投票が選挙の結果に 及ぼす影響力﹂とする定義の仕方と、﹁選挙人の数と選挙される議員の数との比率﹂の均衡を結局のところ、﹁投票価 値﹂平等の﹁一場合﹂とする記述とをあわせ考えれば、最高裁が﹁狭義の投票価値概念﹂を採っているとはどうして も判断できないのである。 このような最高裁の立場からは、奄美選挙区を存続させる現行制度は、右に見た判決の際の事実とは異なり、﹁各選 挙区における選挙人の数と選挙される議員の数との比率上、各選挙人が自己の選ぶ候補者に投じた一票がその者を議 員として当選させるために寄与する効果に大小が生ずる場合﹂ではないが、やはり、﹁具体的な選挙制度において各選 挙人の投票価値に実質的な差異が生ずる場合﹂の﹁一場合﹂と考えられるのである。 他方、定数一名の奄美選挙区という特例を今日存続させる合理的理由は立法の際に提示されていず、せいぜい、

H

の A の最後に見た、二点︵奄美群島住民の利益と鹿児島三区選挙民の利益﹀が存続の理由︵むしろ原因と表記すべき か︶として推測されるだけである。そして、既に見た青木委員の見解、すなわち選挙制度の最重要な基本要件が、﹁す 衆議院奄美特例選挙区存続の法的検討 七

(19)

衆議院奄美特例選挙区存続の法的検討 A べての選挙区を通じて、各選挙区は平等であるとのたてまえのもとに、一定の原理ないし原則で一貫されていること﹂ (18) とする見解を承認できるのであれば、奄美選挙区の存続の憲法適合性、その平等原則との適合性は、はなはだ疑わし いものと判断されるだろう。 しかし他方、複数選挙区から議員を選ぶ公職の選挙制度において、多数代表制と少数代表制とを混在させている例 としては、他にも参議院議員選挙区選挙と都道府県議会議員選挙がある。また、立法の際の論議で制度の趣旨が十分 論拠付けられていなくとも、現に存在する制度がどう機能しているかに着目して、 つまりその現に果たしている役割 に着目し憲法的評価を加える余地も一般的には否定できない。そうであれば、例えば他のレヴェルの現行選挙制度の 憲法適合性をそれとして別途問題にする余地を留保するにしても、現在の衆議院議員選挙制度を、奄美特例選挙区の 存続の故に違憲と断定するには、なお慎重にならざるを得ないだろう。 例外選挙区を含む、現在の衆議院の選挙区制度の憲法適合性を問題にする第二の可能性は、一部に唱えられている、 ︵制“︸ 憲法四三条一項の要請を理由とするものである。この論者は、最高裁の﹁投票価値﹂概念が広義のものであることを 自覚しているが、﹁広義の投票価値概念﹂そのものには批判的である。広義の概念を採り、それによって選挙制度の合 憲性を判定しようとすると、﹁ほとんど決着のつきがたい領域に平等原則をもちこんでその意味を不明確なものにして しまう﹂と言う。したがって、﹁狭義の投票価値概念﹂が問題になる範囲、つまり選挙区の人口数︵または有権者数﹀と その選挙区の議員定数との比率の問題、を超える部分としての﹁選挙区制の歪曲の問題﹂については、必要な場合に は憲法四三条一項︿この論者は宮沢俊義﹁日本国憲法﹂に依拠して、この条文は、﹁全国民の意向を忠実に反映﹂すベ きだという規範的意味をも持っとする︶により処理し、﹁平等原則でカヴァ!すべき領域をあまり拡げすぎることに

(20)

よってかえってその内容を暖昧・稀薄に﹂しないようにする、という主張を行っている。 この一見魅力的な主張については、この論者の想定する﹁選挙区制の歪曲﹂の具体的内容や、また訴訟の在り方な どなお十分な検討が必要と思う。しかし、仮にこの理解を承認した場合にも、本稿での問題については、違憲主張の 根拠規定には変化が生じるものの、奄美選挙区の存続を憲法四三条一項に適合しないとするほどに、選挙区制度選択 における国会の裁量を狭く考えることは困難である、と結論されることになるのであろう。 II j主 ︵ 1 ︶ ︵ 2 ︶ − 注 ︵ 6 ︶を付された政府委員ハ林修三法制局次長︶による提案理由説明参照。 − 注 ︵ 7 ﹀と同日︵一九五三年一一月三日︶の合同審査会における説明員ハ金丸三郎選挙部長︶による説明、−注︵ 7 ﹀ 所 引 の ﹃ 選 挙制度国会審議録﹄第六輯四七六頁。ただし、注︿ 3 ﹀の森委員長の雷う総人口ハ八六 OO 万人﹀を四六七の総定数で割ると、衆 議院議員一人当たり人口は一八万四千人余となる。なお、一九五 O ︵ 昭 和 二 五 ﹀ 年 及 び 五 五 ︿ 昭 和 三 O ﹀ 年 の お の お の の 国 勢 調 査 に よ る 総 人 口 は 、 約 八 一 ニ OO 万人と約八九 OO 万 人 で あ る 。 ﹁ 日 本 の 現 在 の 人 口 は 八 六 OO 万人といわれておりますが、それを基準にして行きますと、識員定数に対する人口の比例というも のは増加する。それで割りますと、大体東京都などは八名の増員にならざるを得ない。大阪府は三名、あるいは北海道において二 名の増員を来す﹂はずで、﹁現在の別表のままでは、総人口の割合からすれば非常に不公平があります。﹂ I 注 ︵ 7 ﹀ と 同 日 の 合 同 審査会における森三樹二公選法特別委員会委員長の発言、−注︵ 7 ﹀ 所 引 の ﹃ 選 挙 制 度 国 会 審 議 録 ﹄ 第 六 輯 四 八 一 頁 。 − 注 ︵

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を付した森委員長の質疑は、こうした考えの可能性をも指摘しながら、この点での政府の見解を求めている、 I 注 ︵ 7 ﹀ 所引の﹃選挙制度国会審議録﹄第六輯四八一頁。 日本から分離された後の奄美群島における行政制度変遷の概略は、−注︵ 4 ︶所引の山下論文五二八頁注四参照。奄美群島の疲弊 に つ い て は 、 当 初 の 復 帰 予 定 日 ︵ 一 一 月 一 日 ︶ の 遅 延 に と も な う 困 難 に つ い て と と も に 、 一 九 五 三 ︵ 昭 和 二 人 ︶ 年 一 O 月三一日の衆 議院地方行政委員会に参考人として出席した泉芳朗名瀬市長のくわしく語るところである、−注︵ 6 ︶ 所 引 の 会 議 録 第 一 号 四 頁 か ら 一 O 頁。同様の問題につき政府委員︿石井通則南方連絡事務局長﹀、参考人ハ三ツ井卯三男鹿児島県総務部長︶らによる、同年 ︵ 3 ︶ ︵ 4 ︶ ︿ 5 ︶ 衆議院奄美特例選挙区存続の法的検討 九

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衆議院奄美特例選挙区存続の法的検討 四 0 ︵6 ︶ 一一月二日の参議院地方行政委員会での発言も審考になる、第一七回国会参議院地方行政委員会会議録第二号五頁以下。また、復 帰直後職務で奄美群島に赴いた鹿児島県選挙管理委員会書記長は、﹁島民の大部分が飢餓寸前にある状態で、市町村の財政状況は 極度に疲弊し、職員の給料も四月分も五月分も未払いのま L となっており、投票箱といってもミカン箱や索麺箱を改造したシロモ ノで全くお話にならない困懲振である。﹂と記している、正込正夫﹁奄美大島の復帰と選挙﹂選挙七巻三号︵一九五四年三月発行︶ 二七頁。復帰直前の現地調査の法社会学者による観要紹介として、潮見俊隆﹁奄美大島おぼえがき﹂法律時報二六巻三号︵一九五 三年三月発行︶七三通巻三 O 三︶頁がある。復帰後初の衆議院議員選挙は、﹁暫定措置法﹂三条三項により、同法施行から二月以 内とされ、具体的には一九五四年二月一五日に行われた。八名が立候補し、法定得票者が出ず、四月三 O 日に再選挙が行われたこ と な ど 、 T − S ﹁復帰から復興へを目指した奄美群島の衆議院議員選挙が再選挙となるまで﹂選挙七巻五号︵一九五四年五月発行︶ 三 O 頁 参 照 。 − 注 ︵ 6 ︶を付された政府委員︵林修三法制局次長︶による提案理由説明中に、﹁さしあたりただちに鹿児島のみの選挙区なり定数 を改めるわけにも審りません﹂という部分があるが、これは、注︵ 2 ︶所引の説明員︵金丸三郎選挙部長︶の発言︵ I 注 ︵ 7 ︶ 所 引 の﹃選挙制度国会審議録﹂第六輯四七六頁︶にあるように、奄美群島の人口は定数配分の基礎数に入っていなかったので、﹁奄美 大島が復帰いたして容りますならば、当然にその人口を基礎にして配当を考えなければならないわけでございますけれども、ほか の一一七の選挙区にまで影響を||全部が及ぶわけではございませんけれども、多くの選挙区に影響を及ぼす定数の変更という ことは、さしあたり至難﹂である、という意味なのであろう。 場田自治庁長官は IA ︵ 1 ︶ a のように、奄美選挙区の暫定性を強調していて、﹁ほんの臨時の、従って次の別表改正||現在のと ころは大体昭和三十[一九五五]年に予定されておるわけですが、そのときまでの臨時措置﹂だとしている、−注︵ 7 ︶ 所 引 の ﹃ 選 挙制度国会審議録﹂第六輯四七七頁。 この定数改正は、選挙制度審議会の第二次答申︵一九六三年一 O 月︶に対応したものだったといえるが、同答申は﹁第一議員定 数の不均衡是正に関する事項﹂の二 1 で﹁前項第一号[都道府県ごとに人口に比例して議員数を配当し、各選挙区ごとに定数の不 均衡を是正すること。]の方法によって是正を行うとすれば、その増減が多数の都道府県および選挙区に及ぶ著しい変動をみるこ とになり、現段階においては実際的でないと考える。このため、本審議会は、さしたり、選挙区制についての根本的な解決の行わ れるまでの是正措置として﹂、一二選挙区一九議席増、一選挙区一議席減、差し引き一八議席増の提案をしていた。答申のテキス トは、二井関成﹃選挙制度の沿革﹄ぎょうせい︿一九七八年三月発行︶四四五頁のものを審照した。この定数改正案のうち、一議 席減については、対象となる兵庫五区の定数がこの結果二名となるため、他の理由と並び﹁中選挙区制にもとる﹂という理由での 8 (20)

(22)

9 反対もでて、結局政府案は一九議席の増加のみで議席減なしという内容に決った。この間の経過など、 I 注 ︵ M ︶所引の芦部論文 参 照 。 一九六四年六月一九日衆議院公職選挙法改正に関する調査特別委員会における青木正委員による、問委員と畑和委員との共同修 正案の趣旨説明の一部、−注︵日︶所引の﹃選挙制度国会審議録﹂第一七輯六 OO 頁 。 六四年の改正の際、衆議院の公選法特別委員会では、山下栄二委員が奄美選挙区の問題に伺度か言及し、四月一五日には次のよう な質疑を行っている。﹁奄美大島群島が昭和二八[一九五三]年に日本に復帰いたしまして、ただちに政府は島民に国政へ参与さ すべきであるということから、特別区をつくって、衆議院の選挙がおこなわれた﹂。﹁担当大臣であった塚田さんは﹂﹁来るべき次 の選挙法改正のときには、これを本土の選挙区内に戻して、特別区をなくいたします﹂と﹁答弁されておる﹂。﹁しかるに今回提案 になりましたのを見ますると、いままでは暫定措置として行われておった特別区が、やはりそのまま恒久化してあとへ残る﹂。﹁こ れは三名ないし五名という中選挙区制の定員の制度というものが、ここでくずれ去ったということに相なろうかとおもうのであ りますが、これに対して総理は一体いかようにお考え﹂か、と。池田勇人総理大臣の答弁は、この措置が恒久化を意味しないとす るだけで、中選挙区制の原則に戻さなかった理由の説明にはなっていないが、次のように答えている。﹁奄美大島復帰という歴史 的事実にかんがみまして、あのときは一人区を設けておったが、将来は一緒にしようということも、塚田君が答弁したやに聞いて おりますが、しかしいまこの問題は、将来永久に一人区制を考えておるというのではない。最近の機会にそういうことも予想され ますので、今回は従来どおりにとどめておった次第でございます。﹂、と。以上引用部はいずれも I 注 ︵ 日 ︶ 所 引 の ﹃ 選 挙 制 度 国 会 審議録﹄第一七輯四六九頁。 奄美群島住民の利益という点については、−注︵ 8 ︶の付された塚田長官の発言を想起されたい。関連して、蘇公選法特別委員会 委員長も、﹁選挙のことに関しまして、独立選挙区を設けるような暫定的な臨時的な措置が講ぜられんとしておるわけであります が、私どもやはり復帰される島民の国政に参与するという憲法上の貴重な権利を行使せしめたいという気持につきましては、非常 に 同 感 で あ り ま す 。 ﹂ ︵ I 注 ︵ 7 ﹀所引の﹁選挙制度国会審議録﹄第六輯四八 O 頁 ﹀ と し て い る 。 鹿児島県三区の利益という点については、−注︵凶﹀所引の塚田長官の答弁のほか、同長官は更に、﹁別表改正によらない臨時の 間に選挙をやったときに、すぐにそこのところだけ臨時に直すということになりますと、突然の事柄で、非常に大きな急変がその 選挙区に起きるということを非常に強く考えておる。﹂︵ I 注 ︵ 7 ﹀所引の﹃選挙制度国会審議録﹄第六輯四八二頁︶とも言ってい る 。 ﹁暫定措置法﹂による鹿児島三区の一議席増という対応で、補欠選挙についても特例を定めれば、奄美群島を独立選挙区としなく ︵ 叩 ︶ ︵ 日 ︶ ︵ ロ ︶ 衆議院奄美特例選挙区存続の法的検討 四

(23)

衆議院奄美特例選挙区存続の法的検討 四 ︵ 日 ︶ とも、早期に選挙に参加させることはできたであろう。ただし、その場合奄美群島の選挙民だけによる選挙にはならない。 注 ︵ 5 ﹀ 所 引 の T

S 署名の記事は、復帰後第一回の選挙につき、﹁復帰からすぐに衆議院議員を一人選び出し、その人によって復 興予算を政府から引き出す折衝をしてもらうというのが、衆議院選挙に一部で托した願いでもあったようだ。﹂︵注︵ 5 ﹀ 所 引 の 選 挙七巻五号三二頁︶とする。こうした﹁願い﹂は、復帰直後に限られず、また﹁一部﹂とは言え、かなりの選挙民の﹁願い﹂なの で は な か ろ う か 。 もっとも、この改正で定数六人という例外︵北海道一区﹀も生まれた。二人区放置との関係で﹁中選挙区制の維持﹂という論理を つかえなかったためか、分区のための調整が間に合わなかったためであろう。 内容的には、少数代表制一般を指し、二人区や六人区をも説明する文言だが、引用したのは、本稿既引の七六︵昭和五一︶年大法廷 判決による、いわゆる中選挙区制の説明の一部分である︵民集三 O 巻 三 号 二 四 五 頁 ︶ 。 芦部信喜﹃演習憲法﹄新版︵一九八八年一一月発行﹀六五頁が、﹁選挙権の平等の原則には﹂﹁議員定数と人口数との比例、すなわ ち選挙人の投票の価値は各選挙区においでほぼ同じでなければならぬという価値的平等の意味も含まれ﹂る、としているのはその 明白な例だろう。なお、﹁狭義の投票価値概念﹂を採るにしても、﹁人口数﹂︿国勢調査人口は原則として外国人も含む︶と﹁有権 者数﹂︵現実には選挙人名簿登録者数となろうか︶のいずれを基準にするか等、検討すべき問題は多く残されているが、ここでは 立 ち 入 ら な い こ と に す る 。 民 集 三 O 巻三号二四二頁。なお後の最高裁判決中では、注︵口﹀を付した部分に対応する部分は﹁[選挙人資格の平等だけでなく] 更に、憲法一四条一項の規定は、選挙権の内容の平等、換言すれば、謝則叫到削叫判例引制劃割刈例制劉.叫割引引財割刻の平等、 すなわち投票価値の平等をも要求するもの﹂︵民集三七巻九号一二五九頁﹀となっている。つまり、﹁各投票が選挙の結果に及ぼす 影響力﹂から﹁議員の選出における各選挙人の投票の有する影響力﹂へと表現が若干変わっているが、趣旨に変化はないと言える だ ろ う 。 民 集 三 O 巻 三 号 二 四 三 頁 。 民 集 三 O 巻三号二四三頁及び二四四頁。 ただし、個別意見の中で﹁狭義の投票価値概念﹂を採っていることをうかがわせる最高裁判所裁判官のいることは否定できない。 例えば七六年判決における岡原等四裁判官反対意見︿とくに民集三 O 巻三号二六四頁﹀、同判決における岸裁判官反対意見︵とく に 民 集 三 O 巻三号二七 O 頁 ︶ 等 参 照 。 −注ハ日﹀所引の﹃選挙制度国会審議録﹄第一七輯六 OO 頁 。 (22) ︵ M ︶ ︵ 日 ︶ ︵ 国 ﹀ ︵ 口 ﹀ ハ 四 ﹀ ︵ 四 ﹀ ︵ 却 ﹀ ハ 幻 ﹀

(24)

︵ 幻 ︶ 樋口陽一﹁違憲審査における積極主義と消極主義﹂判例タイムズ三三七号︵一九七六年一 O 月発行︶二頁。同論文は樋口陽一﹃司 法の積極主義と消極主義﹄︵一九七八年一一月発行﹀九二頁にも載録されている。 注 ︵ 幻 ﹀ 所 引 判 例 タ イ ム ズ 三 三 七 号 一 二 頁 。 注 ︵

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︶所引の樋口論文の主張が、どのような訴訟を考えていると推定されるか等の分析については、高橋和之﹁定数不均衡違憲 判決に関する若干の考案﹂法学志林七四巻四号ご九七七年三月発行﹀七九頁、とくに八三頁参照。ただし、高橋論文が、樋口論 文を﹁[憲法]四三条により投票価値の平等が要請されているという解釈﹂︵右引誌八三頁︶を採っているとするのには同意できな い。本文にも書いたように、樋口論文にとって四三条が問題になるのは、本稿でいう﹁狭義の投票価値概念﹂をはずれる領域につ いてであるはずだ、と理解するからである。 ︵ お ︶ ︵ M ︶

当初提示した課題に対応させ、本稿を締め括りたい。 第

ω

に、奄美選挙区存続の経緯と存続理由については、次のようにまとめられよう。 ① 復帰する奄美群島の選挙民にできるだけ早く、しかも効果的に国政参加の機会をつくるため、定数一名の独立 選挙区を創設した。こうするについて積極的な理由は、奄美の人口が二

O

万人を超えていること、消極的な理由は、定 数改正は全体的改正として行わねばならないが、それは直ちに行えないことだった。ただし、この選挙区創設は、あ くまで暫定的な特例措置で、近々の定数全面改正の際、原則︵中選挙区制﹀にもどすはずであった。 ② 六四︵昭和三九︶年改正で、全面改正でなくとも定数配分等を改められるという前例を作ったので、前項①の﹁定 数改正は全面改正として行わねばならない﹂が崩れ、同時に﹁近々の定数全面改正﹂も崩れた。それにもかかわらず、 六四年改正時には、ただただ、関係規定を﹁暫定措置法﹂から公選法付則に移すだけだと

L

か説明されぬまま特例が 衆議院奄美特例選挙区存続の法的検討 四

(25)

衆議院奄美特例選挙区存続の法的検討 四 四 残 さ れ た 。 (24) ③ その後、七五︵昭和五

O

︶年、八六︵昭和六一﹀年いずれの改正の際も、奄美選挙区存続の論拠は示されぬまま、特 例が継続していることに変化はない。 結 論 以上からすると、本稿筆者は、立法時・改正時に明示された特例創設・存続の理由で今日なお力を持つもの は存在しない、と考える。 第

ω

に、奄美選挙区の憲法適合性についてはこうである。 結 論 現在の制度は、特例を存続させる十分な理由を示さぬまま、住所地がどの選挙区に属するかで、選挙人の選 挙権に質的な差異を持ち込むものとなっており、平等原則違反の強度の疑いをいだかせるものである。ただし、本稿 では、他の選挙制度についての検討、またいわゆる効果的な代表選出の必要性等々の重要な問題に対処できていない ため、﹁強度の疑い﹂にとどめ最終的結論を留保する。 なお、本稿筆者としては、右に示した未対処の問題に今後取り組むとともに、また本稿のなかでは行論上部分的に しか扱えなかった﹁投票価値﹂概念につき、別稿で判例学説の整理と自説の提示を行いたいと考えている。 ︵ 一 九 八 九 ・ 七 ﹀

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