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膠原病患者の爪廓部毛細血管像に関する研究

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原 著

〔書略籍82元町6即言〕

膠原病患者の爪廓部毛細血管像に関する研究

東京女子医科大学 皮膚科学教室(主任:肥田野信教授) ツキ モト ァツ ミ 月 本・. 厚 美 (受付 昭和63年1月29日)

AStudy of Nailfold Capillary Abnormality Patterns in

Connective Tissue Diseases

Atsumi TSUKIMOTO

Department of Dermatology(Director:Prof. Akira HIDANO)

Tokyo Women’s Medical College

Naiifold capillaroscopy with hand slitlamp was performed in 117 patients with collagen diseases.

Capillary findings were classified into 4 groups, i.e., SD pattern, LE pattern, non・specific pattern and normal pattern.

The results were as follows;

1.Seventeen but of 29 patients(60%)with SLE were normaL LE patterns were observed in 27.6%.

2.SD patterns were observed in 75%of 20 patients with PSS and in 70%of 13 patients with

DMS.

3.In RA, various abnormalities were noted but no particular patterns were predominant in 22

patients.

4.Most patients with Behget’s disease and Sj6gren syndrome showed normal pattern.

5.In particular, clinical symptoms and laboratory findings were examined in patients with PSS but no correlation with R訊ynaud’s phenomenon, antinuclear antibody, visceral and skin symptoms

was observed. On the contrary, the relationship between capillary findings and disease period was noticed. 緒 言 末梢循環系の血流状態を観察するには爪廓部が 適しており,細小血管の機能的,器質的病変が病 像に大きく関与する膠原病,特に全身性強皮症 (PSS)およびその類縁疾患における爪廓部毛細血 管像の異常は以前から指摘されている.しかし, 生体で観察できる毛細血管顕微鏡法は装置や操作 が複雑なため一般診療時に実施することは困難で あった.最近,Minkinらはophthalmoscopeを用 い爪音部毛細血管を簡便にかつ反復して観察でき ることを主張した.著者はさらにこの方法にヒン トを得て,眼科用のスリットランプによって簡便 に観察しうることを見出した.そこでこの方法を 用い,膠原病患者を対象に爪廓部毛細血管像を詳 細に観察し,Minkinらの方法で4型に分類して 検討した.さらにPSSにおいて罹病期間,抗核抗 体,内臓病変と毛細血管像の関係についても検討 を行った. 本文中で用いる病名の略語は下記の通りであ る.

SLE:systemic lupus erythelnatosus,全身性 エリテマトーデス

PSS:progressive systemic sclerosis,全身性 強皮症

(2)

DMS:dermatomyositis,皮膚筋炎

MCTD:mixed connective tissue disease,混 合性結合織病

CREST:calcinosis, Raynaud, esophageal,

sclerodactylia, multiple telangiectasia

RA:rhe㎜atoid arthritis,慢性関節リウマチ 対象および方法 1.対象 当科膠原病外来および本学リウマチ痛風セン ター外来を受診した患者でSLE29名, PSS20名, DMS13名, MCTD 3名, CREST症候群3名, RA22名,慢性播種状エリテマトーデス(wide− spread DLE)および深在性エリテマトーデス(LE profundus)12名, generalized morphea 2名, Behget病7名, Sjδgren症候群6名である.また コントロールとして健常者20名について観察した (表1).

SLEはARAの診断基準11のうち4項目以上

をみたすもの27例,3項目のものが2例で,PSS は厚生省特定疾患調査研究上による全身性強皮症 診断の手引きにより確実例と診断したもの16例, 疑い例4例,DMS13例のうち確実例10例で,筋症 状は揃わないものの典型的な皮膚症状を呈したも

の2例,疑い例1例であった.RAは全例ARAの

診断の手引きによりclassica1あるいはdefinite と診断したものを対象とした.Widespread DLE とLE profundus, generalized morpheaは皮疹の

分布および組織学的所見より診断し得たものと し,BehGet病は1982年厚生省研究班による診断基 準で完全例3例,不全型4例,Sj6gren症候群は厚 生省難病研究班の診断基準で確実例3例,疑い例 3例であった.このうちRAとSj6gren症候群,

CRESTとSj6gren症候群のoverlapが各1例

あった. 2.方法 被験者は室温で坐位にして,原則として,両側 の第4指で観察した.観察の際,手は心臓とほぼ 同じ高さとし,国璽部にうすくオリーブ油を塗っ た上,ナイッのハンドスリットランプを用いてス 写真1 観察器具.ナイツハンドスリットランプ 表1 検査対象 症例数 男 女 年齢(歳) 平均(歳) SLE 29 4 25 5−59 36.1 PSS 20 1 19 24−73 53.1

DMS

13 5 8 15−80 46.7

RA

22 3 19 23−65 47.3

MCTD

3 0 3 15−5ゴ 31.0 CREST 3 0 3 51−65 60.0 WDLE, LEP 12 5 7 35−73 47.3

GM

2 0 2 11−18 14.5 Behget’s disease 7 3 4 21−75 43.0 Sj6gren syndrome 6 0 6 18−63 36.7 Normal control 20 4 16 22−40 29.0

WDLE:widespread discoid lupus erythematosus LEP :1upus erythematosus profundus GM =generalized morphea

写真2 観察方法

患者を四位にし,白酒部にオリーブ油をうすく塗った 上より観察.

(3)

リットにせず全部開いた状態で観察した(写真1, 2).倍率は3∼4倍として行った.通常の観察は この方法のみで行ったが,特別の必要がある時の み写真撮影を行った.撮影は観察時と同様爪廓部 にオリーブ油を塗り,120mmのレンズ,落射式光 源,グリーンのフィルターを使用してマクロ写真 装置(ニコンマルチフォト)で2.5∼3倍で撮影し た(写真3). 毛細血管像はMinkinらに従いNormal pat・

tern, scleroderma pattern(SD pattern),1upus

erythematosus pattern (LE pattern), non−

speci丘。 pattern(NS pattern)の4型に分類した.

写真3 顕微鏡撮影装置 オリーブ油を塗った上ニコンマルチフォトで撮影. 写真4 30歳女性,正常コントロール ヘアピン様の細く規則正しいループが並ぶ. さらにSD patternについては拡張の程度,無血 管野の有無,係蹄数減少の有無,出血について詳 しく観察した.以下各pattemの所見を述べる. 1)Normal pattern 輸入脚と輸出脚の間が一様の狭い間隔をへだ て,細く規則正しいループが並ぶ(写真4). 2)SD pattern ループ両脚の拡張と変形,幅の拡張を伴い,怒 張,充血し,ソーセージループとよぼれる.ルー プの配列は乱れ,破壊を伴い,血管のみえない無 血管野がある.出血,血栓形成も高頻度にみられ る(写真5,6,7). 3)LE pattem . 脚の拡張は比較的軽いが,脚の間隔は拡がって 曲がりくねったループを形成する.時にループが 写真5 22歳男性,皮膚筋炎 SD pattemを示す.ループ両脚の拡張と幅の拡張が目 立つ. 写真6 57歳女性,皮膚筋炎 SD pattemを示す.ループの配列の乱れ,破壊が著明 で,高度の出血を認める.

(4)

写真7 63歳女性,強皮症 拡張はごく軽度であるが,ループ数の著明な減少と凝 血をみる. 写真8 35歳女性,全身性エリテマトーデス LE pattemを示す.脚の拡張は軽度だが,間隔は広が り配列が不整である.無血管野も認める. 腎の糸球体に似ることもある.配列が不整になる ことはあるが,無血管野を認めることは比較的少 ない(写真8). 4)NS pattem ループの構造に特異的な変化はなく,配列の不 整,無血管野,出血,凝血のいずれかのみがみら れるものをいう. 結 果 1.各疾患における観察パターン(表2) SLEでは29田中約半数の17名(58.6%)で正常 パターンを示し,8名(27.6%)でしE patternを 認めたが,SD pattemを示したものは1例のみで あった. PSSでは20名中15名(75%)にSD patternを認 め,LE pattemを示したものはなく正常所見は2 例のみであった. DMSでは13浜中9名(69.2%)にSD pattem を認めLE pattemを示すものはなかった. DMS におけるSD pattemの所見はPSSにみられるも のと特に差異は認めず区別は不可能であった. RAでは22名品約60%の13名がNS patternで あり,SD pattem, LE pattemはそれぞれ1例, 3例と少数であった.NS pattemでは乳頭下血管 叢が目立つ例が多かったがその他無血管野,出血,

凝血など特徴的な所見はなく,正常者は5名

(22.7%)と少数であるもののRAに特徴的な 表2 観察結果

診 断 患者数 SD pattem(%) LE pattem(%) NS pattem(%) Noma1(%)

SLE 29 1(3.5) 8(27.6) 3(10.3) 17(58.6) PSS 20 15(75.0) 0(0) 3(15.0) 2(10.0)

DMS

13 9(69.2) 0(0) 2(15.4) 2(15.4)

22 1(4.6) 3(13.6) 13(59.1) 5(22.7)

MCTD

3 1(33.3) 0(0) 1(33.3) 1(33.3) CREST 3 2(66.7) 0(0) 1(33.3) 0(0) WDLE, LEP 12 1(8.3) 2(16.7) 2(16.7) 7(58.3)

GM

2 0(0) 1(50,0) 0(0) 1(50.0) Behget’s disease 7 0(0)

OCO)

1(14.3) 6(85.7) Sjδgren syndrome 6 1(16.7) 0(0) 1(16.7) 4(66.6) Normal 20 0(0) 0(0) 4(20.0) 16(80.0)

(5)

patternはなかった.

Widespread DLEおよびLE profundusでは3/

4が正常あるいはNS patternで, SD patternや LE pattemを示したものはごく少数であった. MCTD, CREST, generalized morpheaは,患丁 数が少数のため,特別な傾向を見出すには至らな かった. Behcet病では7例中6例が正常であり,1例に NS patternをみたのみであった. Sj6gren症候群では2/3の症例が正常であり, SD pattern, NS patternがそれぞれ1例あった.

RAとSj6gren症候群のoverlap患者は正常で

あり,CRESTとSjδgren症候群のoverlap患者

はSD patternを示した. 2.PSSにおけるレイノー症状の程度と毛細血 管像との関係(表3) レイノー症状を自覚症状の強さと,他覚的には 罹患指数および範囲,正常に復するまでの時間に 指標をおき,軽度,中等度,高度と3段階に分け て比較すると,軽度10例のうちSD pattemを示 したのは6例(60%),無血管野は,5例に認めた, 拡張の程度は軽度が5例であった.中等度のレイ ノー症状を示したのは7例でSD patternは6例 (85.7%),拡張は軽度,中等度,高度各2例と一 定の傾向は認められなかった.強いレイノー症状 を呈した例は3例で全例SD patternを示し,い ずれもループ数減少と拡張軽度の点で共通してい た. 3.PSSの罹病期間と毛細血管像との関係 初発症状出現から観察時までの期間とパターン およびその他の所見との関係を表4に示す.初発 症状は約半数がレイノー症状であり,朝のこわぽ り,関節痛がそれに続き,皮膚硬化の自覚,肺症 状で始まった例が1例ずつであった. 発症5年以内の例が8例あり,SD patternを示 した4例(50%)のいずれにも無血管野を認めた もののループ数減少は1例もなかった.

発症5∼10年の例は5例で,うち4例にSD

patternを認めた.無血管野は3例に認めたが

ループ数減少をみたのは1例のみ,拡張の程度は 軽度2例,中等度,高度各1例で他の時期に比べ 拡張が目立つ. 発症後10年以上経過した例は7例で全例にSD

patternを認めた.他の時期と異なり5例

(71.4%)にループ数の減少があり,3例に出血, 凝血をみた. 4.PSSの抗核抗体と毛細血管像との関係(表 5,6) 抗核抗体の測定はSRL社に依頼し,核材をヒ ト喉頭癌由来単層細胞Hep−2 cellとし螢光抗体 法で行い,毛細血管像との関係について検討した. 抗核抗体は15例中13例(86.7%)に陽性であった. 表3 レイノー症状と毛細血管像の関係 Pattern ループ数 ク少 無血管野 拡 張 出血・凝血 レイノー症状の

@程度

症例数 Normal NS SD 軽 中 高 軽 度 10 1 3 6 1 5 5 1 0 3 中等度 7 1 0 6 2 5 2 2 2 2 高 度 3 0 0 3 3 0 3 0 0 1 表4 罹病期間と毛細血管像の関係 初発からの期間 症例数 Pattern 無血管野 拡 張 Normal NS SD ループ数 @減少 軽 中 高 出血・凝血 ∼ 5年 8 2 2 4 0 4 2 2 0 2 5∼10年 5 0 1 4 1 3 2 1 1 1 10年∼ 7 0 0 7 5 3 6 0 1 3

(6)

表5 抗核抗体の染色型と毛細血管像の関係 Pattern 拡 張 抗核抗体染色型 症例数 Normal NS SD ループ数 @減少 無血管野 高 出血・凝血 Discrete @speckled 4 0 0 4 4 1 3 0 1 3 Speckled 10 o 1 9 2 7 5 3 1 2 表6 抗核抗体の抗体価と毛細血管像の関係 Pattern 拡 張 抗 体 価 症例数 Normal NS SD ループ数 @減少 無血管野 軽 中 高 出血・凝血 20×以下 2 0 2 0 0 0 0 0 0 0 40× 1 0 0 1 0 1 1 0 0 0 80× 3 0 0 3 1 3 0 2 1 2 160× 4 0 0 4 2 2 3 1 0 1 320× 2 0 0 2 2 0 2 0 0 1 640x以上 3 0 0 3 1 2 2 0 1 1 表7 内臓侵襲と毛細血管像の関係 内臓侵襲 症例数 Pattern 拡 張 Normal NS SD ループ数 @減少 無血管野 高 出血・凝血 な し 8 2 1 5 2 3 4 1 0 0

1臓器

8 0 2 6 2 4 3 2 1 4

2臓器

3 0 0 3 1 2 2 Q 1 1

3臓器

1 0 0 1 1 0 1 0 0 1

Discrete speckled patternの例は4例あり全例 SD patternを示し,ループ数の減少も全例にみら れた.拡張は軽度が3例,出血も3例に認めた. Speckled patternは10例あり,1例のNSpat− ternを除き9例にSD patternがみられた.ルー プ数減少は2例であるが無血管野は7例に認め た.拡張は軽度5例,中等度3例,高度1例であっ た. 抗体価については20×以下は2例でともにNS patternであった.40×以上の陽性例では全てSD patternを呈したが抗体価によりループ数減少・ 無血管野・出血の有無・拡張の程度に特徴的な所 見は得られなかった. 5.PSSの内臓侵襲と毛細血管像との関係 内臓侵襲については,肺・食道・腎・腸・心筋 等につき検索を行ったが,肺に病変のみられたも

の9例,食道2例,腎3例,小腸1例,心筋2例

であった.一方,内臓侵襲のみられないものが8 例あり,侵された臓器数からいうと1臓器8例, 2臓器3例,3臓器に及んだもの1例となった(表 7).内臓病変のなかった8例のうちSD pattem を示したものは5例(62.5%)で出血をみたもの はなく,拡張の程度は大部分が軽度であった.1 臓器に侵襲がみられたものは8例でSD pattern を示した6例のうち4例に無血管野と出血があっ た.さらに皮膚の潰瘍が重症であった4例につい てまとめると(表8),全例にSD patternと無血

(7)

表8 皮膚の潰瘍病変の強い例と毛細血管像の関係 Pattern 拡 張 出血・凝血 症例数 Normal NS SD ループ数 @減少 無血管野 軽 中 高 4 0 0 4 1 4 2 0 2 1 管野を認めたが,拡張に一定の傾向はみられな かった. 考 察 爪廓部の毛細血管像(nailfold capillaroscopy 以下NC)については,湿疹類1),紫斑2),糖尿病3), 精神分裂症のなどについての報告があるが最も多 いものはエリテマトーデス,強皮症などの膠原病 である.膠原病でNCの異常は古くから指摘され ているが普通のwidefield microscopeは使用法 が難しく一般には使えない.これに対し1976年 Herd5)がophthalmoscopeを使ってNCを観察す ることを報告し,これを用いて1982年Minkin6)が

膠原病患者のNCを4型に分けている.しかし

ophthalmoscopeを用いると観察は容易でくり返 し行えるものの写真にとれない.著者はophthal− moscopeの代りに・・ソドスリットランプを用い て観察し十分実用的に役立っことを確かめた上, マクロ写真装置による写真撮影も行って膠原病患 者のNCを検討した.

所見の分類法としてはPSSおよびDMSに特

徴的とされるSD・DMS pattern(あるいはSD

pattern), SLEで多くみられるtortuous mean− dering pattern(あるいはLE pattern),および Normalと3型に分ける方法7)8),あるいはそれに

Non−specific patternを含め4型にする方法6)9), またnormal, borderline, definitely abnormalと

異常所見を一つにまとめる分類10)などがあり,さ

らにNormal∼SD patternをclass I∼Vに細分

するもの11)12),SD patternをactive patternと slow pattenに分けるもの13)など種々あるが,まず 大きくは4型に分け.ることにした. SLEではtortuousあるいはmeandering loop が特徴的とされるがこのような所見の得られるこ とは比較的少なく報告でも22−75%6)∼9>14)とぼら つきがある.自験例でも27.6%と低かったがその 理由として,steroid内服治療を開始してからかな り年月の経過した症例もあること,ARAの診断 基準を4項目以上満たすものの症状の比較的軽度 のものが含まれていたためかもしれない.SD pat− ternのみられることは稀で2ん13%といわれ,今 回も1例(3.5%)に認めたのみであった.SLEと 診断してもSD patternをみた場合は他の膠原病 のoverlapを考慮する必要があるだろう. PSSにおける毛細血管像の異常は著明で,ルー プ幅の拡張,形態の異常,ループ数の減少,出血 ないし血栓形成等で特徴づけられ,これらは60% 以上にみられ6)∼9)14),80%以上との報告も少なく ない。このうちLE patternは0∼10%にとどま る.同様の変化はDMSでもみられ6)8)9)14)∼16)100% との報告もある8)15).DMSでは出血ないし血栓:形

成が特徴的とされ,自験例でも高度の出血は

DMSに多くみられる傾向にあった.しかしそれ

以外はPSSとDMSを区別する所見は見出せな

かった.

RAではPSSのようにある一定の異常所見は

なく,ほぼ全例が正常との報告8)もあるが,一方 種々の所見も記載されている.和田17)は毛細血管 型を10型に分け詳しい観察を行って異常を指摘し ている.異常所見として乳頭下血管叢の増加,ルー プのねじれや延長,出血などがある18)∼20)が,乳頭 下血管叢は精神分裂症)や動脈硬化症にもみら れ,ループのねじれや出血は他の膠原病でも認め られRAに特異的なものではない.自験例でも NS patternの多くは乳頭下血管叢の目立つ例で あった. MCTD, CRESTについては報告が少ないが,

Maricqら9)は26例のMCTDを集め54%にSD

pattern,12%にしE patternを認めたと報告し, SD patternを示すものはsclerodermaの症状が 強く,activeで内臓侵襲が強くcontrolに大量の

(8)

steroidを必要とすると述べている.自験例は3例 にすぎないが,SD patternの1例はscleroderma の症状が強く,筋,肺,腎病変を合併していた.

CRESTはPSSに類似した所見を呈すると考え

てよい. BehGet病についてはWechslerら2Dが30イ 1中 13例43%にcapillary loopの形態異常や乳頭下血 如露の増加,出血などを認め,これらの所見は罹 病期間,免疫学的異常,治療とは無関係で粘膜症 状のactivityに相関すると記している.しかしそ れらの変化はBehget病に特有のものとはいえな い.自験例では完全型が少ないためか明らかな異 常を示したものはなく,軽度のループ形態異常と 乳頭下血管叢の増加をみたNS pattern 1例のみ であった. Sjδgren症候群は今までの報告も少なく自験例 も含めほとんど正常例であった. 以上よりcapillary patternを4つに分けた場

合,SD patternはPSSおよびDMSに特徴的で

PSSについて感度75.0%,特異度83.5%で診断的 価値が高い.Kenikらの報告7)では感度94.4%,特 異度73.1%であり自験例は感度はやや低いが特異 度は高値であった. 次にPSSのレイノー症状についてであるが,レ イノー症状が高度の場合拡張は軽度になり血管数 が減少する傾向がみられた.いわゆるRaynaud 病ではNCは正常であることが多く,異常を認め た場合は経過を追うとPSSなど膠原病への移行 が多いといわれている9)∼11)22)23).レイノー症状の みの18例のうち,SD patternを示した9例の経過

をみたところ5年以内に4例がPSSに移行した

との報告もある23).したがってレイノー症状をみ た場合NCの観察は予後判定に有用といえる. 罹病期間とNCの関係については,15年を境と してそれ以前はcapillaryが拡張し,それ以降は 拡張が軽度となりループ数の減少が目立つとの報 告24),また3年以上経過した例にループ数減少あ りとの報告25)があるが,自験例では5年以内の例 にはループ数の減少は1例もなく,10年を超える と7例中5例71%に著明なループの減少をみた. さらに高度の拡張が持続する場合は比較的軽症例 が多いといわれるが,自験例の10年以上の経過で 拡張が高度の1例は皮膚潰瘍は著明なものの内臓 侵襲はごく軽度であった.組織学的に血管のない 部は血管周囲の結合織に変化がおこっていること を示しており,ループ数が減少するのは経過につ れ結合織の変化が強くなるためであろう. 抗核抗体とNCの関係についてはChenら13)が 詳しい報告を行っている.それによるとspeckled patternの場合約90%に拡張を認めループ数の減 少も高率であるが,抗心ントロメァ抗体陽性の場 合は拡張は73%にみるもののループ数の減少はみ ないという,しかし自験例の場合抗セントロメア 抗体陽性群では全例にループ数の減少があり相反 する結果を得た.そして高頻度に出血,凝血を伴っ ていた.ただし抗核抗体陰性例では明らかな異常 がないという点は一致していた.抗体価について はChenらは言及していないが今回の結果からは 関連性はないといえよう.今後抗核抗体,臨床像

とNCを総合的に考え合わせ何らかの関連性が

得られれぽ予後を予測するうえにも有意義と思わ れる.

最後に内臓侵襲や皮膚病変とNCの関係であ

るが,Maricqら11)はPSS, DMS, Raynaud症候 群のNCをclass I∼Vに分類しレイノー症状の みの患者はほとんどclass Iすなおち正常のNC であり,臓器病変が進むにつれNCのclassは重 症になるとし,その侵襲が2臓器までと3臓器以 上ではclassに有意の差があるとしている.また Chenら13}もSD patternをactive patternと

slow patternに分け, active patternを示す者は 臓器侵襲特に腎,筋への侵襲が強く,皮膚病変が より広範囲で体幹に及ぶことが多いと報告してい る.しかし今回の観察では有意な差を得ることは できなかった. 本研究には含めなかったがnailfoldの生検は 興味深い.Maricq26>は15例についてnailfoldの生 検を行い前腕の皮膚生検よりも多くの情報が得ら れるとし,血管の拡張や消失,出血,血管周囲の 結合織の変化などを認めている.また血管拡張, 血管壁の肥厚があり高頻度にPAS陽性のcolloid bodyがみられるとの報告27)もある.さらにScher

(9)

ら28>は10名の膠原病患者でNCの異常が強いほど PAS陽性のdepositが強く, PAS染色によりレ イノー症状のみの患者が将来膠原病に移行するか どうか予測されうるとしている.

最後に治療によるNCの変化も今後の課題で

ある.DMSの患者で治療前に著明であった拡張 (写真5)がステロイド治療開始後症状の軽快とと もに拡張にも明らかな改善がみられた例を経験し ているので,本法は治療効果判定や予後推測にも 役立っことが期待される. 結 語 最近抗核抗体や螢光抗体法などの検査が普及し 診断の際それらに頼ることが多くなっているが, 本法は簡単でもあり侵襲もなく施行することがで き,他法に劣ることがないので膠原病の補助診断 として有用性が高いことが証明された. 稿を終えるにあたり,御指導,御校閲を賜わりまし た肥田野信教授,ならびにリウマチ痛風センター御巫 清允所長と,写真撮影に協力いただいた写真室沼田延 清氏に深謝致します. 本論文の要旨は第50回日本皮膚科学会,東日本学術 大会で発表した. 文 献 1)茶山敬子:湿疹類の皮膚顕微鏡的研究.日皮会誌 77:144−162, 1967 2)島野晧三:紫斑類の皮膚顕微鏡的研究.日皮会誌 76:22−38, 1966 3)川島愛雄:毛細血管顕微鏡.皮膚 15:210−216, 1973

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参照

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