218 (76) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
リ ケイ エイ李慶英(昭和24
医学博士 乙第1002号平成元年3月17日
学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者) 先天性心疾患児の血清アミノ酸に関する研究 第1編 食事負荷による血清アミノ酸の経時的変動について第II編チアノーゼ性心疾患児における血清遊離アミノ酸について
(主査)教授 福山 幸夫 (副査)教授 高尾 篤良,教授 今井 康晴論 文 内 容 の 要 旨
目的 慢性低酸素を有するチアノーゼ性先天性心疾患 (CCHD)児は,身長に比し体重増加が不良な場合が多 いが,その原因は解明されていない.本研究はこの発 育障害を蛋白栄養の面から検討することを目的とした が,その一環として,血清アミノ酸(AA)分析に当り, 採血前賦払の必要性などについても検討した. 対象および方法 飢餓条件の検討には,健康成人12名を対象とし,高 蛋白・高カロリー食(A),低蛋白・低カロリー食(B), 低蛋白・高カロリー食(C)の3種を負荷し,食前およ び食後3α,6α,9σ,180’でのAAを測定した.次に生後1ヵ月から11歳までのCCHD児を対象に
AA分析を行った.対象は年齢別に2群(1~12ヵ月, 13ヵ月以上)に,また大動脈血酸素飽和度(02sat:%) セこよ り 2 君羊 (1 君羊:75%<02sat≦85%, II君羊:02 sat≦75%)に分類した. AA分析は日立オートアナライザー835により,血清 総アミノ酸(TAA),必須アミノ酸(EAA),非EAA/EAA比,側鎖AA(BCAA),芳香族AA, BCAA/芳
香族AA比, Ghisol丘らの6指標(タウリン,タウリ ン十〇.05グルタミン タウリソ十〇.01グルタミン , 一〇.09プロリン,バリン,バリン十〇.68リジン,バリ ン十1.16リジソー0.29プロリン)について検討した. 結果および考察(1)A食の場合,血清総EAA, BCAAおよび各
EAAのいずれも,負荷後3時間まで有意に増加し続 けたが,B食およびC食では変化なく,食前値とはほ ぼ同値を示した.すなわち蛋白カロリー比8%以下, 体重当り0.2gの蛋白質摂取では, AAは食後!80分ま ではほぼ食前値を保ち,従ってEAA分析の採血条件 として,長時聞の飢餓は不要と思われた. (2)CCHD児では,乳児群,幼児・学童群ともに, TAA,総EAA,各EAA, Gh{sol且らの6指標のいず れにおいても,対照群に比し低値を示した.またHb 20.Og/dl以上の群では,各EAA値において対照群に 比し有意の下値を示す例が多く,特に強い蛋白栄養障 害の存在が示唆された. 結論 CCHD児には,慢性低酸素状態と共に蛋白栄養障害 が存在する,CCHD児の管理に当っては,今後この事 実を考慮に入れるべきである.論 文 審 査 の 要 旨
慢性低酸素状態にあるチアノーーゼ性先天性心疾患児は,身長に比し体重増加が不良な場合が多いが,その機 序については解明されていない.本研究は,この発育障害を血清アミノ酸の面から検討を加え,血清総アミノ 一1108一219 酸,必須アミノ酸,その他,種々アミノ酸指標が,健康対照児に比し有意に低値を示すことを見出し,チアノー ゼ性先天性心疾患児に,慢性低酸素状態と共に蛋白栄養障害が存在することを明らかにした学術上緬値ある研 究である. 主論文公表誌 先天性心疾患児の血清アミノ酸に関する研究 第1編 食事負荷による血清アミノ酸の経時的変 動について 日本小児栄養消化器病学会雑誌 第2巻 第2号 135~139頁(昭和63年11月30日発行) 第II編 チアノーーゼ性心疾患児における血清遊離 アミノ酸について 日本小児栄養消化器病学会雑誌 第2巻 第2号 140~146頁(昭和63年11月30日発行) 副論文公表誌 1)当医局が関与している学童心臓検診の現状につ いて 東女医大誌 57(10)1205~1210(1987) 2)小児心不全時における血中尿中アルドステロン の分泌動態について ノ」\シ巳臣舘 37 (5) 993~997 (1984) 3)川崎病冠状動脈閉塞例の予後 日小児会誌 92(12)2530~2534(1988) 4)心筋梗塞様の症状ならびに心電図所見を呈した 幼児の心筋炎の1例 ’L卜月蔵 19 (3) 341~346 (1987) 5)学童心臓検診で発見された右心室粘液腫の1例 ’亡}臓 18 (玉.2) 1473~1477 (1986) 一1109一